平成29年3月期 決算説明会

松岡靖之氏:本日は大変お忙しい中、当行の決算説明会にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、日頃よりなにかとご厚愛を賜っておりますこと、重ねて厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

それでは、私からさっそく、お手元の決算説明会資料に基づきましてご説明を申し上げたいと思います。まず最初に、ごく簡単な当行のプロフィールをご紹介させていただいた後に、決算の概要についてご報告を申し上げたいと、このように考えております。

紀陽銀行について

まず、紀陽銀行についてご説明します。

当行は和歌山県と隣接する、大阪府南部の地域を主要な営業エリアとしております。

現在、和歌山県に67店舗、大阪府に40店舗、奈良・東京(の3店舗)を合わせまして、合計110店舗展開しております。

和歌山県で創業し、今年で創立122年になりました。大阪府エリアでの歴史も古く、昭和25年に第1号店を開設しました。それ以降今日まで60年以上の歳月をかけて、和歌山県と同様に、大阪府南部の地域を地元メイン化する活動を、推進してまいりました。

地方銀行としては極めて特徴的な戦略かもしれませんが、お客さまとの距離感を重要視しております。資料の左上に記載のとおりです。本部機能を和歌山市の本店以外にも設置しました。大阪府堺市に営業推進部署の一部を、大阪市内に融資部の案件審査担当部署を配置いたしました。

昨年はその活動を展開していく中で、お客さまが求めておられる新しい商品・機能を企画する営業企画部も、堺本部に組み入れました。

預貸金の地域別構成についてお話しします。預金シェアが和歌山県で約7割、大阪府で約3割。貸出金シェアが和歌山県で約4割、大阪府で5割となっております。融資ポートフォリオの残高は、和歌山県を上回っている状態でございます。

目指す銀行像と基本姿勢・行動指針

次に、目指す銀行像と基本姿勢・行動指針についてご説明します。当行は目指すべき銀行像を「銀行をこえる銀行へ」と定めております。お客さまの期待や地域の壁、銀行という枠をこえるという基本方針で地域経済の活性化に貢献し、さらなる存在感の向上を目指して取り組んでいるところでございます。

決算の概要

それでは、ここから決算概要のご説明に入らせていただきます。

資料の左側に、単体ベースの決算概要を記載しております。表の左側の数字は、行数を表しています。

今回の決算では、とくに有価証券部門において、大きな売却益を計上した一昨年と比較したところ、利益水準において大きな差異が出ております。

まず、1行目の業務粗利益です。3行目の役務取引等利益が、事業性取引に関わる手数料の収入増加などにより、前期比で7億円増加の57億円。

一方で、2行目の資金利益は、貸出金利息の減少を主な要因として、前期比21億円減少の451億円となりました。

さらに、5行目の債券関係損益には、ポートフォリオのリバランスなども実施したことから、前期比46億円減少のマイナス10億円になりました。その結果(1行目にあるように、)業務粗利益は493億円になりました。

次に、7行目の実質業務純益です。業務粗利益の減少に加えまして、6行目の経費が3億円増加したことで、前期比69億円減少の114億円になりました。

16行目の経常利益につきましては、15行目の株式等関係損益が前期比12億円減少の11億円になり、また20行目の与信コスト総額が、前期比11億円増加の21億円になりました。その結果、経常利益は前期比94億円減少の、121億円になりました。

そして、19行目の当期純利益は、当初の計画比で課税所得が減少したことなどから、法人税等合計が前期比21億円減少の14億円となりました。その結果、当期純利益は102億円となります。

資料の右上に、連結ベースの決算概要を記載しております。3行目の、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、単体の当期純利益の結果に加えまして。

一方で、経営統合ののれんの償却は、前期で終了したこともあり、前期比60億円減少の110億円になりました。これは、当初の業績予想値である86億円を、大きく上回る結果となっております。

資金利益について

それでは続きまして、損益利益についてご報告申し上げます。

まず、資金利益の内訳を記載しております。

資料左上に記載の貸出金利息は、その残高が事業性貸出を中心に増加になりました。しかし利回りが0.15パーセント低下となり、前期比28億円減少の341億円になりました。

一方で、資金調達費用である預金等利息は、キャンペーン預金等の利息の見直しを図ることで、調達コストを削減しました。その結果、利回りが0.03パーセント低下し、前期比9億円減少の23億円になりました。資金利益全体では、前期比21億円減少の451億円になりました。

資料右側に、預貸金の利回りをグラフ化しております。

貸出金利回りは、今年度も一段の低下を見込んでおりますが、その低下ピッチはここにきて、緩やかになってきています。

また、当行の貸出利回りの水準(青色のグラフ)におきましては、表に記載の通り、地方銀行の平均(緑色のグラフ)、近畿地銀の平均(オレンジ色のグラフ)との比較の中では、若干優位にある状況でございます。

一方、預金等利回りは、当行の設立120年の際に実施した、120周年預金キャンペーン等の影響で、調達コストが一時膨らみました。しかし、今年度は0.03パーセントまで引き下げる予定であり、次年度も一段の引き下げの余地があると判断しております。

利鞘について

続きまして、利鞘についてご報告申し上げます。

まず、資料左側のグラフのとおり、(一番下に記載の)預貸金利鞘は、近畿地銀平均の0.15パーセントを上回る0.22パーセントを確保しております。中ほどに記載の経費率は、地銀平均と比較すると課題を残している、と判断しております。こちらは、今年を含めた今後4年間で、約30億円の経費削減を図る予定でございます。

これをもちまして、利鞘の一層の改善に努めてまいりたいと考えております。

次に、資料右側をご覧ください。(一番下に記載の)総資金利鞘は、当行の水準はグラフに記載のとおり、地銀平均(0.24パーセント)ならびに近畿地銀平均(0.16パーセント)を上回る、0.28パーセントを確保しております。

この利鞘の水準も、地方銀行64行中、ただいま11位に位置しております。今年度も調達コストの一段の引き下げを予定しておりまして、今後も一定の利鞘は、引き続き維持できると考えております。

預金等・貸出金について

続きまして、預金等・貸出金についてご報告いたします。

まず、預金等につきましては、昨年政策的にキャンペーン預金を大幅に縮小した結果、とくに個人預金が減少となりました。しかし、法人預金の増加により、預金等全体は前期比239億円の増加となりました。

先ほども申し上げたとおり、さらなる預金利回りの改善に取り組んでおりまして、調達コストの削減を進めていく方針でございます。

一方で貸出金は、前期比822億円の増加となりました。その内訳は、事業性貸出で486億円、消費者ローンで156億円、公共関連で181億円の増加となりました。

今後も、この中小企業向け貸出を中心として、引き続き増強を図ってまいる所存であります。しかし、当行は競合環境が厳しい中でも、貸出金利だけが先行する活動の展開を避けております。お取引先との信頼関係を深め、課題解決型の渉外活動を引き続き展開してまいりたいと考えております。

預金等・貸出金について(和歌山)

次に、エリア別の預金等・貸出金の状況についてご報告申し上げます。

まず、和歌山エリアです。和歌山県における預金は、法人預金を中心に前期比243億円の増加となりました。

例年と比べますと、キャンペーン預金の縮小により、個人預金の増加が小幅となりました。

一方、貸出金につきましても、前期末対比ほぼ横ばいで推移しております。

和歌山エリアにおきましては、これまで事業性の貸出金の減少傾向が続いておりました。しかし、すでに昨年度後半から全取引先へのシェアアップ工作を進め、あらゆる小規模事業者にアプローチするために本部機能の強化活動をしております。そのため、今年度は残高的にも反転する見込みでございます。

預金等・貸出金について(大阪)

次に、大阪府の預金等・貸出金のご説明です。

まず預金についてお話しします。法人預金は堅調に推移しております。また、個人預金は、先ほど申し上げたキャンペーン預金の縮小により、ご覧の結果でございます。

一方、貸出金は、事業性貸出が前期比369億円増加しました。また、消費者ローン・公共関連を合わせて、前期比663億円増加しました。

資料右側に、預金等・貸出金と、その合計である預貸和の推移(青色の折れ線グラフ)をグラフ化しております。事業性向け貸出金(青色の棒グラフ)ならびに法人預金(薄灰色の棒グラフ)の増加が、大きく貢献しました。順調に積み上がっており、過去3年の累計で2,500億円以上増加している状況です。

今後も引き続き、新規の取引先の開拓活動を展開するとともに、積極的なリスクテイクによる中小企業向け貸出の増強を含め、メイン化取引の推進も注力してまいりたいと考えております。

有価証券について

それでは、有価証券の状況のご説明です。

有価証券の29年3月末の残高は、取得原価ベースで前期比末対比1,397億円の増加の、1兆2,736億円になりました。

主に地方債を中心とした国内円貨債券(紫色のグラフ)の他、外国債(薄い水色のグラフ)、そして投資信託(黄色のグラフ)を増加させております。一方、デュレーションに関しては、資料左側の下段に記載のとおり、若干長期化しております。

なお、29年3月期はその期末におきまして、政策的に外国債券の一部入れ替え取引を実施しました。その含み損の解消を図るとともに、今年度以降の安定した利息確保を目的に、ポートフォリオの改善を行いました。

また、右側のグラフに有価証券の評価損益推移を記載しております。29年3月末の評価損益は、期末に実施したポートフォリオの改善要因を含めて、前期末比70億円減少しました。現時点では、361億円の含み益を保有しております。

今年度以降有価証券の運用は、今後も低金利の環境が続くと予測しております。引き続き運用対象・指標の多様化を進めながら、有価証券全体として安定収益の確保ならびに、リスクバランスのとれたポートフォリオの構築を目指す方針です。

そして、今年度の有価証券利息は、前期実績並の142億円程度を計画しております。

役務取引等利益について

それでは、役務取引等利益についてご説明します。

まず、役務取引等収益です。投資信託関連手数料は、市況の影響もあり販売額が伸び悩んだことから、前期比4億円の減少となりました。

ただ、個人年金保険等関連手数料・事業性取引関連手数料の収入の増加などにより、役務取引等利益は、前期比7億円増加の57億円になりました。この増加額は、地方銀行64行中トップの増加額になります。今後も、事業性の貸出を起点としたさまざまな活動が、功を奏していくものと考えております。

今年度も、取引先の本業支援などで事業性サービスのご提供に注力し、約60億円程度の役務取引等利益を見込んでいるところでございます。

預かり資産の販売について

それでは次に、預かり資産の販売についてご説明します。

投資信託の販売は、市況の影響が大きく、前期比221億円の減少となりました。

残高も、同様に減少しております。

今年度はマーケットの回復を受けまして、投資信託で560億円、個人年金保険で400億円程度の販売を見込んでおります。

また昨年11月より、これまで取り扱いを本部に限定していた金融商品仲介業務を、仕組債の取り扱いで43ヶ店、外国債券の販売は全店で取り扱うこととしました。これにより、今年度の販売額を150億円程度と見込んでおります。

経費について

続きまして、経費についてご説明します。

経費は、29年3月期は人員増加等による人件費の増加や、外形標準課税の税率の引き上げ等により、全体で前期比3億円の増加となりました。

経費に関しては、本部人員のスリム化・業務改革を含めた各種効率化を実施することで、今後4年間で30億円程度の経費削減を計画しております。その初年度となる今年度は、前期比8億円の経費削減を見込んでおります。

与信コストについて

続きまして、与信コストの状況です。

29年3月期は、個別貸倒引当金の繰入が増加したこともあり、前期比11億円増加の21億円となりました。

なお、これまでも与信コストは当初の予想の範囲内で推移しており、今年度の予想も前期比予想と同水準の見込みです。

単体業績予想

続きまして、今年度の単体業績予想のご説明です。

今年度の業績予想に関しては、これまでご説明申し上げた内容を踏まえまして、30年3月期の業績を記載しております。表の左側の数字は、行数を表しています。

まず、1行目の業務粗利益のご説明です。2行目の資金利益は前期比5億円の減少を見込むものの、5行目の債券関係損益の増加により、業務粗利益は、前期比29億円増加の522億円となります。

また、15行目の経常利益は、6行目の経費の削減効果も加わり、前期比37億円増加の158億円と、増益を予想しております。

一方で、18行目の当期純利益は、17行目の法人税等合計の増加を見込み、100億円程度と予想しております。

連結自己資本比率について

連結自己資本比率についてご説明します。

連結自己資本比率はバーゼル経過措置ベースで、前期比0.53パーセント低下の9.7パーセント。完全実施ベースで、前期比0.11パーセント低下の8.75パーセントとなりました。

低下要因は、連結ベースで110億円の利益の計上を行いましたが、当期は劣後資本を60億円返済したこと。また、株主還元の一環として15億円の自己株の取得を実施したこと。そして、貸出金の増加によるリスクアセットの増加が影響しております。

今後は、さらなる内部留保の蓄積による自己資本充実を図ってまいりますが、30年度末の自己資本は、9.5パーセント程度の見込みでございます。

株主還元について

それでは、株主還元についてご説明します。

当行は27年3月期以降、年間35円の配当を実施するとともに、株主還元の一環として自己株式の取得も、24年度から今日まで継続して実施しました。

現時点でも60万株、総額約10億円の取得を実施しており、発行済株式数の削減に取り組んでおります。

なお、配当と自己株式の取得を合わせた株主さまへの還元率は、31パーセント程度になっております。今後も利益水準の維持・向上を図りつつ、着実な株主さまへの還元を、実施したいと考えております。