決算ハイライト①トップラインが継続的に成長
手代木功氏:改めまして社長の手代木です。今日はよろしくお願いします。時間の関係もございますので、さっそくご説明します。
まず売上高3,389億円で、対前年9.3パーセントの増で2年連続の増収です。ロイヤリティー収入が20パーセントを超える増で、非常に堅調な売上高でした。
決算ハイライト②各利益は過去最高
利益項目すが、営業利益1,082億円で18.3パーセントの増、経常利益1,230億円で同じく22パーセントの増、純利益が839億円で25.8パーセントの増ですが、各利益項目ともに過去最高益の更新です。
営業利益は2年連続で、初の1,000億円超えの営業利益。経常利益が1,230億円で5年連続。当期純利益としては839億円、税金の戻りが300億円ほどあった時に大きな667億円の利益がありました。
昨年金額的には667億円で、3,000万ほど届かなかったんですが、今年度は過去最高を更新しました。
決算ハイライト③KPIー2016年の結果ー
それと昨年の秋口にSGS2020のアップデートし、新たな項目として成長性、効率性、株主還元のKPIを設定しています。
そのKPIに基づき、今年度は新製品売上高、2020年度の目標にはまだ遠く及んでいませんが12パーセントの増439億円、経常利益は1,230億円で、2020年度の目標8割、9割まではきています。
効率性としてのROIC、2020年度で13.5パーセント以上を目指すことで、今年度13.3パーセントです。15年度が11.8パーセントで、1.5ポイントの改善です。
CCCも5.5ヶ月を目指すためには少しやるべきことが残っており、昨年が7.6ヶ月であったことからすると、ほぼ1ヶ月の改善です。
自社創薬比率50パーセント以上で、もともと7割ぐらいを目指したことからすると、ほぼオントラックと考えています。
それからROEですが、4年前に税金が戻ってきたときに一度15パーセントを超えたことがありますが、実力ベースとして初めて15パーセントを超えたROE16.3パーセントで、これは昨年が13.6パーセントでしたので2.7ポイントの改善。
DOEが4.5パーセント、昨年が4.1パーセントで、0.4ポイントの改善と、堅調な決算結果でした。
連結経営成績
予算進捗率は、売上高が101.5パーセント、それ以外の項目が110パーセントを少し超える程度で、レビューも含めて予算精度を書かせていただいていますが、直近3ヶ年の中間期に少し上方に直すことを何回か行っています。それを含めて予算以上の着地をしています。
為替はオントラックで、105円、140円に対して108円、141円。逆に言いますと今回のロイヤリティーの数字は為替ではなくて実数字が強かったです。
事業別・製商品別売上高
事業別です。まず国内ですが2.5パーセントの減です。薬価引き下げが5パーセント台の後半、長期収載品を24品目承継し、12月1日から売上から相手様の売上に計上しています。
4ヶ月分、長期収載品の売上がなくなっていることを考えると、このマイナス2.5パーセントはボリュームベースでは大体4パーセント前後増やしている解釈をしていただければと思います。
シオノギInc.ですが7.4パーセント。Osphenaは現地通貨ベースでは予算通りでしたが、フォータメット、メトフォルミンですが、このロイヤリティーが想定を上回っています。
ここが非常に効きプラスになっています。製造受託43.4パーセントのプラス、かなりの部分がドルテグラビルのViiV社への販売で、好調なViiVビジネスを受けて原薬の輸出も増えています。
一般用医薬品、シオノギヘルスケアで、別途のビジネス構造にしていますが、ムンディファーマからいただいたイソジンが好調で、40パーセント前後のプラスになっています。利益も想定よりも多くありました。
ロイヤリティーですが、クレストールはもともとアレンジメントを進めており、予想通りの着地です。HIV関しては約1.8倍、733億円で非常に強含みのロイヤリティーで、今年度もトレンドは継続すると考えています。
特殊要因として、その他ですが171億円、うちの161億円が長期収載品の承継に伴う一時金収入です。
損益計算書
売上高9.3パーセントの増に対し、売上原価を4.0パーセントの増に抑えています。当然のことながら売上総利益が増えています。
その上で販管費ですが、S-033188のグローバルフェーズ3、2本をまず立替をし100億円乗せる話をしました。
600億円の研究開発費本当に使えるんですか、というお声もその当時からいただきましたが、それは使わせていただいた上で販売費で一定のコントロールをし、トータルの販管費は6.3パーセントの増に抑え、営業利益は18.3パーセントと非常に大きなプラスでした。
営業外ですがViiV社からの配当、12月の末と3月の末と2回入っており、今年度少し大きくなっていますが、本年度以降はいつくるかわからないということでアレンジメントを変えました。
今年度以降はViiV社の売上並びに利益に応じて入ってくる予定をしています。合わせた経常利益1,230億円で22パーセントの増でした。
下期の取り組みと結果ー2017年度に向けて①
下期の取り組みですが、S-033188の臨床試験については極めて順調に、第1本目のOtherwise Helthy(以下、OwH)は完了することができました。第2本目についてもハイリスクポピュレーションも順調に進んでいます。
それ以外の開発としての非常に重要なプロダクトであるインチュニブ、あるいはcefiderocolについても進みました。
それから今後、長期収載品、第1号であれだけ大規模でさせていただいたんですが、製品の規模と競争力からすれば1番に出ていったので、ある意味高売りができたと思っており、競争が厳しくなっている中で、リスクをとってでも一歩進んだことがプラスになったと思っています。
またグループ会社6社を含めて今10社体制でやっていますが、雇用を延長しつつ人件費をどうコントロールするか、というステップについても歩み始めています。
それから米国ですが、OsphenaをDuchesnayに出しつつ、麻薬のマーケットがだんだん難しくなっている中で、麻薬で一番強いPurdueとスインプロイクを組んでいます。かなり現実的な路線としてディールをまとめあげたんではないかと思っています。
下期の取り組みと結果ー2017年度に向けて②
アメリカの構造改革の点ではOsphenaにかかっていた営業要員を事実上すべて解雇しています。
一方で政策保有株式等については、一気に大きな利益が出てそこで税金を払うということも、うまくコントロールしつつ方向性としては持ち合いを、とくに金融関係は減らしていきます。
それからPurdueとDuchenay、それからcefiderocolを始めとする病院関係への枠組みの変更は昨年年末から今年の初めにかけ、どういうビジネスモデルになるのか見直し、会計監査人等ともかなり突っ込んだ話をした上でビジネスモデルの変更があり、将来収益を保守的に見直して繰延税金資産の取崩を今年度やっていくのは非常に堅い話で、103億円の取崩をしました。
構造上のビジネスがどのぐらい強くなるかに関しても、前向きに取り組ませていただきました。
2016年度の経営課題に対する取り組みの成果①
実際の事業ですが、サインバルタ、クレストールについては、サインバルタは正直少し不満が残ってはいますが、整形外科領域での浸透は確実に進んでいると思っています。
それからADHDの準備を確実に始めていることと、オキシコンチン、ジェネリックが出たことで非常に苦労をしていますが、一方で乱用防止製剤、胃がん領域への効能、効果拡大、そしてスインプロイクとのコンビでここのフランチャイズを守って、拡大をしていくと思っています。
米国はビジネスエンジニアリングが進んでおり、中国事業についても、一時期価格面でかなり厳しい政策を国が打ってきたこともあり苦しい時期がありましたが、少し対応が終わり今年度以降はブレイクイーブン、プラスアルファまでいけると思っています。
2016年度の経営課題に対する取り組みの成果②
S-033188ですが、OwH試験の1本目は予定通り投薬を完了しました。ただ、この決算説明会の時にファーストリードアウトをお伝えしたかったんですが、実は1月ぐらいまでインフルエンザはスローで、1月の後半から入ってしまい一気に1,500までたまりました。
症例はたまったんですが、PCRのチェックとウイルス量のチェックがリニアにいく前提でしたので、1日当たりのサンプル数は想定を超えてしまいました。
PCRの試験とウイルス量の試験をアメリカとシンガポールのお願いしたラボで鋭意をもってやっており、1ヶ月半ぐらい遅れてしまって6月の末ぐらいにファーストリードアウトを行うと思っています。
まだなにも分かりませんが、少なくとも、プラセボもタミフルも本剤も含めての安全性上の懸念は、今のところはなかったということは申し上げられます。
結果と、PCRでどれほどコンファームされるか、楽しみにしていただければと思います。
それからcefiderocolですが、アメリカの承認申請を行うべく、鋭意準備を進めています。日本向けのS-033188につきましても、この秋口のNDAのタイムラインは変わっていません。
ナルデメジンはアメリカ、並びに日本、ヨーロッパでも承認をいただきました。
秋口にS-033188の2本はまず自分で払おうと、コストを上げても、グループ全体としては着地をするコストマネジメントの体制は、ここ2、3年で力がついてきたと思います。
2016年度パイプライン進捗目標と実績
ここに関しては、とくに変わったことはなく、そのことを申し上げておきます。
積み残している課題
まだ積み残している課題がこの3つです。とくに国内事業は、17年度の後半に向けてクレストール、あるいはイルベタンのジェネリックが導入されてきます。
あるいは海外事業についても、まだ17年段階では大きく収益に貢献している状況ではなく、加えてロイヤリティー収入を除いた従業員1人当たりの生産性がまだまだで、改善をしていかなければならないという認識です。
業績予想
17年度の業績予想です。通期としての売上3,400億円で0.3パーセントの増、営業利益1,125億円で4パーセントの増、経常利益1,235億円で0.4パーセントの増、当期純利益920億円の9.7パーセントの増で、増収、各利益項目については過去最高益の更新を計画しています。
経常利益1,230億円と1,235億円でほとんど変わらないのに当期純利益が変わるのは、今年度米国における繰延税金資産の取崩があったのが来年はなく、通常の実効税率で考えるとこのぐらいの純利益の数字になります。
為替レートにつきましては110円、140円で、正直かなりの部分をヘッジしており、このあたりで着地すると見ていけばいいのかと思います。
とてつもなく円安になった時は、あの時ヘッジしてだめだったと言われるかもしれませんが、ビジネスを下支えする点ではかなりリスクが、円高にプレッシャーがあるという声もあり、大部分ヘッジさせていただいており、安心感があります。
事業別売上高予想
売上高ですが、シオノギInc.で59億円のマイナスとありますが、フォータメットAGのロイヤリティーを堅めに見ています。
実は昨年の上期の時に強かったので下期は弱いかなと思ったら下期はすごく強く、今年の上期はどうなのか非常にわかりにくくなっています。かなり堅めに見ておくのに越したことはないということで、相当堅めに見ています。
製造受託、一般用医薬品に関しては、今年の流れを受けて比較的堅調考えています。ロイヤリティーですが、クレストールも以前よりお話しているビジネスエリアアレンジメントの予定どおり、HIVフランチャイズについては単独で1,000億円を超えるロイヤリティー考えています。
その他については製品の売却がなくなる予定で、142億円のマイナスで合計としては10億円強の増収を見込んでいます。
KPIー2017年度の目標ー
それからKPIですが、成長性、効率性、株主還元KPI、2017年度の数字を計算どおりさせていただくと、スターティングポイントとしてお捉えをいただければと思っています。
とくにROIC、CCCは努力ができる範囲ですので、ターゲットにしたいと思っています。以上です。