2016年 連結業績

吉田憲一郎氏(以下、吉田):CFOの吉田でございます。よろしくお願いいたします。では、これからこの2つの内容で20分ほどご説明申し上げます。

2016年度の連結売上高は前年度から6パーセント減の7兆6,033億円となりました。連結営業利益は前年度から2パーセント減の2,887億円となりました。連結税引前利益は前年度から17パーセント減の2,516億円となりました。

当社株主に帰属する当期純利益は、当年度に計上した映画分野の営業権減損が税務上の損金に算入されないことなどもあって、前年度から5割減の733億円となっています。

2016年 4Q 連結業績

2016年度第4四半期の実績はご覧の通りです。すでに発表した通り、当四半期において、保有するM3株式の1部を売却したことで、372億円を営業利益に計上しています。

2016年 セグメント別業績 [組替再表示]

セグメント別の通期実績はご覧の通りです。

2016年 4Q セグメント別業績[組替再表示]

セグメント別の第4四半期実績はご覧の通りです。なお、エレクトロニクスの6セグメントの合計で、第4四半期の営業利益は黒字となりましたが、これは1997年度以来19年ぶりのことです。

従来からエレクトロニクスの第4四半期における継続的な赤字を経営の課題の1つと考えておりましたが、一定の成果が上がってきているものと認識をしています。

2017年 連結業績見通し

2017年度の連結業績はこちらにある通り、売上高は前年度から5パーセント増の8兆円、営業利益は7割増の5,000億円を見込んでいます。当期純利益は前年度から約3.5倍の2,550億円を見込んでいます。

2015年2月に発表した現行中期経営計画の目標である、営業利益5,000億円以上、ROE10パーセント以上は達成可能と考えています。為替の前提はドルで105円、ユーロで110円としています。なお、現時点で未定としている2017年度の配当は、第1四半期の決算発表の時点で中間配当の予定額をお示しています。

2017年度からセグメントの構成を一部変更します。コンポーネントについては、電池事業の譲渡を予定しておりますが、譲渡の対象となっている事業が分野売上の約6割を占めています。譲渡の完了は7月上旬を目途としていることから、2017年度からはコンポーネント分野は廃止し、ストレージメディアなど残る事業はその他分野に移管をします。

2017年 セグメント別 業績見通し [組替再表示]

2017年度セグメント別の業績見通しはご覧の通りです。基本的に各セグメントの事業計画の数値をそのまま用いておりますが、いくつか留意点がありますので、ここで述べておきます。セグメント別見通しにおける為替の前提は、右上に記載しているようにドルで110円、ユーロで115円としています。

先ほど述べました、連結全体の業績見通しに用いた、ドルで105円、ユーロで110円という為替レートとの差による影響額として、新興国通貨による影響も含め、営業利益でおよそ400億円のマイナスを見ており、この金額は全社共通および消去に努めています。

また、2017年度は現行中期経営計画の最終年度にあたります。社長の平井がこれまで申し上げてきた通り、この中期経営計画の目標を達成することは、当社にとって大変重要なマイルストーンと考えています。

4月にイメージング・プロダクツ&ソリューション分野の分社化を行うことで一連の分社化は完了し、各事業が組織として自立を果たしたことになると考えています。

中期経営計画の目標達成に向けて、自立した各事業が事業計画を相応に高い目線で策定したこともあり、先ほど述べた為替リスクの400億円に加え、全社共通および消去において約400億円のリスクバッファーを織り込んでいます。それではここから、各事業の概況説明に移ります。

モバイル・コミュニケーション分野

まずはモバイル・コミュニケーション分野についてご説明します。2016年度は欧州を中心として、スマートフォンの販売台数が想定以上に減少したことに加え、不採算地域での事業規模を大幅に絞り込んだこともあり、前年度から33パーセントの減収となりました。

営業利益は、販売台数のマイナス影響があったものの、2014年度後半から実施してきた構造改革による費用削減効果を含むオペレーションコストの削減が大きく、前年度から716億円改善し、102億円の黒字に転換しました。なお、過去3年間の営業損益の改善はご覧の通りとなります。

2017年度はスマートフォンの年間販売台数を中近東や欧州を中心に190万台引き上げ、1,650万台とすることを予定しています。売上高は前年度から8パーセント増の8,200億円を見込んでいます。

営業利益見通しについては、為替の逆風、メモリー等の主要部品の価格高騰もあり、スマートフォンの事業環境は前年より厳しいと見ておりますが、2017年度も分野としての営業黒字を確保したいと考えています。

ゲーム&ネットワークサービス分野

次に、ゲーム&ネットワークサービス分野についてご説明申し上げます。2016年度は前年度から増収増益となり、1,356億円の営業利益を計上しました。ネットワークサービスの売上高は、前年度から35パーセント増収となり、引き続きこの分野の収益成長を牽引しています。

昨年秋に発売したPSVRとPS4 Proの販売はいずれも順調に推移しており、2016年度はこうした新商品の導入でも成果をあげることができたと考えています。2017年度はネットワーク売上の増加などにより、増収増益を見込んでおり、営業利益見通しは1,700億円としています。

PS4は発売開始から3年半を経過し、2017年度の販売台数は1,800万台と、前年度から減少を見込んでおりますが、強力なソフトウェアラインナップの販売が予定されており、プラットフォームとしての収穫期を迎えていると認識しています。

イメージング・プロダクツ&ソリューション分野

続いて、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野についてご説明申し上げます。2016年度は前年度から15パーセントの減収となり、営業利益は221億円減少し、473億円を計上しました。

昨年4月に発生した熊本地震によるマイナス影響を、製品ミックスの改善や費用減などでカバーしたものの、円高の悪影響が大きく、前年度から大幅な減益という結果となりました。2017年度は主に製品ミックスの改善により、増収増益を見込んでおり、営業利益見通しは600億円としています。

なお、このうち26億円程度は熊本地震により発生した異質利益に対する保険金受取によるものです。また、冒頭でも述べましたが、この4月1日から分社化のよりソニーイメージングプロダクツ&ソリューション株式会社が発足をしています。

ホームエンタテインメント&サウンド分野

次に、ホームエンターテイメント&サウンド分野についてご説明します。2016年度は為替の影響もあって、前年度から10パーセントの減収となったものの、製品ミックスの改善などにより、79億円増益となり、585億円の営業利益を計上しました。

当四半期に含まれるテレビは、以前と比較して収益性が大幅に改善し、かつ業績の安定度も向上したと考えています。パネルの価格動向や、新興国通貨を含む為替の影響など、引き続き事業環境の変動性は高いものの、2017年度の営業利益は前年度からほぼ横ばいの580億円を見込んでいます。

半導体分野

続いて、半導体分野についてご説明申し上げます。2016年度は前年度から5パーセント増収、営業利益は223億円悪化し、78億円の赤字を計上しました。前年度からの損益悪化の要因は、円高による悪影響が437億円、熊本地震によるマイナス影響が保険受取のプラスとの差引後で約280億円となっています。

これに対し、モバイル向けイメージセンサーの数量増の効果や、当年度のカメラモジュールの長期性資産の減損額が前年度から減少したことなどが、改善要因となったものの、大幅な損益悪化となりました。

2017年度の見通しは大幅な増収・損益改善を見込んでおり、売上高で8,800億円、営業利益で1200億円としています。この1200億円のうち270億円については、今月初めに発表したカメラモジュール事業の中国工場の売却益です。

加えて、熊本地震の保険受け取りが今期も追加で67億円程度発生することから、これらの要因を差し引いた、当分野の事業による実質的な営業利益水準は863億円程度という計算となります。

次に2017年度の設備投資は、イメージセンサーの需要が堅調であることを踏まえ、分野全体で1,300億円、うちイメージセンサーで1100億円を計画しています。

イメージセンサーの生産キャパシティについては、大分工場の立ち上がりなどにより、300ミリウエハ換算で現状は月産88,000枚程度となっていますが、これを2018年の3月末までに月産10万枚程度まで増加する予定としています。

ここで、前回の決算発表と同時に、グラフを用いて半導体分野の営業損益内訳の推移を示します。今回から内訳の区分を1部変更しておりますが、イメージセンサー・カメラモジュール・その他の3つに分けて表示をしています。

こちらは過去2年間の四半期実績を並べたものになっています。続きまして、こちらは年度ベースで過去2年間の実績と、2017年度の見通しを並べています。

イメージセンサーについては、2016年度に収益性が大幅に低下したものの、2017年度は複眼化の進展や中国メーカー向け拡販による数量増の効果、地震による影響がないことなどにより、収益性は大きく改善する見通しです。

コンポーネント分野

続いて、コンポーネント分野についてご説明します。2016年度は13パーセントの減収となり、604億円の営業赤字を計上しました。この赤字のうち、予定している電池事業の譲渡に関連する損失が423億円となっています。

昨年の10月時点で譲渡に関連する損失は330億円と申し上げましたが、為替影響を含む譲渡対象資産の簿価調整により、損失が増加しています。電池事業については、引き続き株式会社村田製作所様と事業譲渡に向けた準備を進めており、7月上旬を目途に取引の完了を予定しています。

冒頭でも述べた通り、ストレージメディアなど残る事業については2017年度からその他分野に移管します。

映画分野

次に、映画分野についてご説明します。2016年度は為替の影響により、4パーセントの減収となりました。米ドルベースでは5パーセントの増収となっています。営業損益については、第3四半期に営業権の減損1,121億円を計上したことなどにより、805億円の営業赤字となりました。

2017年度の見通しは、メディアネットワークおよびテレビ番組制作の売上拡大により、大幅な増収を見込んでいます。営業損益は前年度に減損を計上したことなどから大幅に改善し、390億円の営業利益を計上する見通しです。前年度の減損の影響を除いたベースでは、74億円の増益を見込んでいます。

すでに発表いたしました通り、2004年から13年に渡ってソニー・ピクチャーズを率いてきたマイケル・リントンが退社するにあたり、現在後任の選定を進めています。後任につきましては、決定次第みなさまにお知らせする予定です。

音楽分野

続いて、音楽分野についてご説明します。2016年度は前年度から増収減益となり、758億円の営業利益を計上しました。この減益は、主に前年度にThe Orchardの完全子会社化に伴う評価益181億円を計上していたことによるものです。

また、当年度はモバイルゲームの『Fate/Grand Order』が非常に好調に推移し、大きな利益貢献を果たしております。2017年度については、売上は若干の減収、営業利益についてはほぼ横ばいの750億円を見込んでいます。

金融分野

次に、金融分野についてご説明します。前年度からの増益の要因は、主にソニー生命において金利や株式相場の上昇に伴い、繰り延べ保険契約費償却額および責任準備金繰入額が減少したことによるものです。

2017年度については、保険契約高の拡大に伴い増収増益を見込んでおり、営業利益見通しは1700億円としています。

セグメントおよびカテゴリー変更について

最後に、セグメント別の業績見通しを再度示します。

2015年度 キャッシュフロー(CF)の分析 (金融の測連結ベース)

2016年度 キャッシュフロー(CF)の分析 (金融の測連結ベース)

なお、今回から情報開示の拡充として、お手元のハンドアウトの20ページ・21ページに重要な経営指標であります金融分野を除くキャッシュフローの分析を掲載しておりますので、後ほどご参照いただければと存じます。

また、すでにご案内の通り、5月23日には経営方針説明会を開催させていただく予定です。私からのご説明は以上です。

質疑応答

司会者:それでは、ただいまより質疑応答に移らせていただきます。ご質問される方は、係りの者がマイクをお持ちしますので、ご質問の際には媒体名・お名前をおっしゃっていただきますようお願いします。

英語で質問をちょうだいした場合は、まず通訳が質問を日本語に翻訳させていただいた後、日本語で回答させていただきます。なお、お時間限られておりますので、質問はお1人様2問までとさせていただきたいと思います。

それでは、ご質問のある方挙手をお願いいたします。では、真ん中の列のブルーのシャツの方お願いします。

営業利益5,000億達成は可能か

質問者1:日本経済新聞のハマといいます。お世話になります。まず、1点目なんですが、今期の業績見通しで営業利益5,000億出されたということですが、20年前の過去最高と比べると200億円強の差があり、この差を今後埋めていくための方策や、今期最高益更新できそうなのかどうか、そのあたりの手ごたえをまずお聞かせください。

吉田:5,000億円の利益について、過去最高益と比べてどうかと、更新することは可能なのかということでご質問いただきました。現時点で5,000億円というのは当社にとってベストの予想と考えています。

先ほども申し上げましたが、17年度につきましては、結果を出す年ということで、平井の号令のもと分社化して自立した各事業が非常に高い目標実現の意思が入った中期計画となっています。

これを単純合計するってことにはリスクがあると判断しており、また今期の実績としては減収で、最終利益はほぼ前年比半減という状況です。この最も大きな理由はやはり、映画の減損があったことです。

私CFOに就任して約3年になりますが、この3年間での固定資産のれんの減損額は5,000億近くに上ってきています。そういったことを踏まえ、これまで過去3年間のトラックレコードの悪さというのも一方で認識しないといけないと思います。

合わせて今日の為替のリスクということで述べさせていただいたとおり、為替のリスク、それから金利のリスクといったものを勘案する必要があると思っています。以上です。

安定的な利益計上ができる会社になるのか

質問者1:すいません、2点目なんですが、今おっしゃられたように直近3年ないしは10年ぐらいさかのぼってみても、エレキの事業の中で部門は違えど数百億レベル、1,000億を超えるような損失が出ている時が多々ありまして。

今期はエレキの部門でそれぞれで黒字を見込むということなんですが、これを今後標準化していくための会社としての取り組みを、ソニーが安定的にエレキを含めて利益を稼いでいける企業にするには今後なにが必要なのかというところも教えてください。

吉田:ありがとうございます。エレキ事業の個別事業で過去に起きた損失があったんですが、今後安定的に利益計上する会社になるにはなにが重要かというご質問をいただきました。

まず来月には経営方針説明会がありますので、そこで平井よりお話をさせていただければと思います。

私が1つ大事にしたいと思っているところは、やはり創業の精神でもあるいたずらに規模を追わないということです。合わせて、最も重要なことは新しいことをチャレンジするということと考えています。以上です。

司会者:では、次にご質問のある方。今の方の隣の方お願いします。

為替感応度

質問者2:日経新聞のオオニシと申します。2点質問させてください。1点目は為替感応度についてです。17年3月期は対ドルで1円の円高で35億円のプラス、ユーロで50億円のマイナスだったと思うのですが、18年3月期の為替感応度はそれぞれいくらになるでしょうか。

それと関連して、画像センサーの事業については円高がマイナスになると思うんですが、対策について教えてください。

吉田:2点、為替の感応度についてご質問いただきました。2点目は画像センサーの円高対応のマイナスについてということで。1点目につきましては武田よりご回答申し上げます。

質問者2:すいません、為替感応度を含めて全体で1点という理解でよろしいでしょうか。

吉田:はい、わかりました。

武田和彦(以下、武田):まず為替の感応ですが、今年度17年度はドル安円高に対し、1円動きますと年間でドルで35億円のポジティブ、ユーロはユーロ安円高でマイナスの55億円になります。加えて、新興国通貨安はネガティブに影響するとご理解いただければと思います。以上です。

吉田:画像センサーの事業についての円高対策ですが、どうしても円コストが中心になります。当社ロジック以外は、ロジックは主に調達していますが、それ以外は基本的には国内、主に九州での生産になっています。

したがって、どうしても円高のマイナス影響は避けられません。しかし、基本は継続的なコストダウン、例えばロジックは調達が主と申し上げましたが、一部内製をすることでコストダウンを図っており、また、トータルのリードタイムを短くするという努力もしています。

いずれにしても、簡単な対策はないですが、しっかりとコストダウンをする。それからプレミアムのデバイスに集中していくということが基本的な対策になると考えています。

質問者2:ありがとうございます。2点目、のれんについてお聞かせください。先ほどおっしゃったように、前期は映画の営業権で1,000億円を超える減損を出したと思います。御社、かなりの金額ののれんを抱えておりますが、最近他社の日本郵政ですとか東芝ですとか、疑惑の減損が相次いでおります。今の現状のソニーののれんに対する抱えるリスクをどう考えていて、どのような対策をしているか、教えてください。

吉田:のれんについてのご質問をいただきました。のれんにつきましては、各セグメントごとの内訳を開示しています。それを適宜ご参照いただければと存じます。

過去3年で先ほど5,000億円と申し上げましたが、最大のものはモバイルでの減損、これの1,700億円が過去最大でした。それから、もう1つは前年度、2016年度の映画の1,100億円になります。

現時点でリスクがあると認識しているのれん、アセットはありません。相対的に音楽とゲーム&ネットワークサービスが、のれんの金額は多いのですが、基本的にはビジネスを順調に回していくことで、のれんの減損リスクが顕在化すると考えております。以上です。

質問者2:ありがとうございます。

司会者:次にご質問がある方、挙手をお願いいたします。では、向かって右側のブロックの2列目で手を挙げてらっしゃる方。

質問者3:日刊工業新聞のマサトシと申します。まずゲーム分野のところなんですが、VRの16年度の影響というのはどの程度あったか教えてください。

武田:VRにつきましては、16年度は計画通りの販売をして終えることができました。まだ小さくビジネスを始めており、全体に対する影響はそれほど大きくない、と考えています。

質問者2:あと、半導体の分野なんですが、16年度の熊本地震などの特別な影響がなかった場合、事業だけの営業利益がどのくらいだったか。そして、17年度は増産も投資考えているということなんですが、その投資額と主にどこの工場で投資するかを教えていただけないでしょうか。

吉田:地震の影響は、販売機会逸失による利益への影響も含め、半導体で281億円です。

武田:はい。5ページを参照いただければと思います。それと17年度の投資の金額ですが、半導体全体で1,300億円、それからイメージセンサーにつきましては1,100億円です。こちらの内訳につきましては……少々お待ちいただけますでしょうか。

吉田:熊本もありますし、大分のロジックマスターが中心になるかと思います。

ソニー・ピクチャーズの後任人事

司会者:では、他にご質問のある方お願いします。向かって右側のブロックの一番端の方。

質問者4:ウォールストリートジャーナルのモチヅキと申します。2問お願いします。1問目なんですが、今年度の営業利益5,000億円以上、ROE10パーセント以上、これを達成された後、どう経営指標に重点が移っていくのでしょうか?

2問目なんですが、ピクチャーズの後任人事について、求められる人物像ですとか、重要視しているということがあれば教えてください。お願いします。

吉田:1点目が達成した後の指標は何を重視するかということのご質問で、2点目が映画事業のトップについてのご質問をいただきました。もっとも重視している指標としてはROEがあります。

この位置付けは、経営の規律となる指標としてのROEというのは変わらないと思います。加えて、やはり少し開示の拡充もお話した、キャッシュフローにもしっかり目を向けていく必要があると考えています。

映画事業のトップについてということですが、今選定を進めております。できるだけ早期に決定し、みなさまにもお知らせしたいと思っています。最適な人物を選ぶことは重要だと思っています。今選定のプロセスにありますので、これ以上のコメントは控えさせていただければと思います。

司会者:では、今の隣の方。

質問者5:東洋経済のタジマと申します。イメージセンサーとゲームについて、1問ずつ質問です。まず1点目、イメージセンサーについて、2017年度見通しは「モバイル向けが伸びる」というようなご発表ですが、具体的にはどこ向けが伸びるのでしょうか?スマホ市場は成熟期にあると思いますが、どういったところで伸ばしていくのか、お願いいたします。

2点目、ゲームについてです。ゲーム、PS4が発売から3年半ということで収益面ではいい時期だと思うんですが、次世代機についてもそろそろお考えになってる頃かと思うんですが、いつ頃を目処に切り替わるのかですとか、おっしゃれること少ないかもしれないんですが、次のビジョンについてお聞かせください。

吉田:まず1点目がイメージセンサーについての、モバイルのセンサーについての仕向けについてのご質問だったと思います。それから2つ目がPS4の次世代機についてっていうことで、ご質問をいただきました。

まずイメージセンサーですが、モバイルのイメージセンサー伸びると考えています。ただ、それ以外のAV、それから監視用のカメラ、こういったものもある程度の伸長は見込んでいます。

モバイルのイメージセンサーはトータルの市場の伸びというよりも、むしろ、例えば中国でもそうですが、ローエンドというよりはミッドからハイエンドの伸びが大きくなっているということ。とくにデュアル、二眼のリアのカメラ。それからフロント、自撮り側の高機能化も進んでおり、そういった意味では、当社にとっては追い風だと思っています。

次世代機のご質問ですが、基本的にはコメントできませんので、ご容赦いただければと思います。

スマホゲームの売上予想

司会者:はい。では、今挙手いただいた方お願いいたします。

質問者6:フリーランスのニシダと申します。2点お願いいたします。

まず第1点目に、イメージング・プロダクツの件ですが、全世界的に減速がかなり続いている状況で、ソニーはそこからなんとか高利益率に戻してきているわけです。

来年以降の傾向についても各社、他社はかなり厳しい状況を見ているようですが、ソニーについては、いわゆるこれまでのやり方を維持して、今の状況を持てるとい考えてらっしゃるか、それとも新しいミックスの施策であるとか、そういったものを導入したうえでこの水準を維持できると考えてらっしゃるか、その点教えてください。

2点目に、音楽分野ですが、日本でのスマホゲームの売上の部分の計上が非常に大きく効いてると思うのですが、これは来年であるとかその先まで利益をきちんと見込んだうえで、計画を立てていらっしゃるのか、それともいわゆるスマホゲームのようにある程度変動性のあるものについて、来年以降どういうふうな数字で見ていらっしゃるか、その点の状況も教えてください。2点お願いいたします。

吉田:ありがとうございました。当社で言うイメージング・プロダクツ&ソリューションに、いわゆる「α(アルファ)」のシリーズのビジネスが入っています。ご指摘今いただいたように、トータルの、我々「ILC(Interchangeable Lens Camera)」と言ってますが、ILCの市場はやはり減速している、と思っております。

そういった中で、当社は独自のイメージセンサーの強みも活かしまして、よりハイエンドのもので、とくにフルフレームのカメラにおいて新機種をいくつか出して、ビジネスの成長を図ってきており、今のところ非常に好評をいただいている、と認識しています。

今後、市場は縮小することは避けられないと思いますが、とくにイメージ、ビジネスで使われるプロのカメラマンの方、そうした方により使っていただけるような商品開発をしていきたいと思いますし、レンズのラインナップも拡充していきたいと思います。

この領域は、当社の社長の平井が、カメラオタクですので、そのプラスの影響もけっこうあるのではないかと個人的には思っています。

2点目のゲームですが、おっしゃるようにスマートフォンのゲーム、今はソニー・ミュージックエンタテインメント・ジャパンが、さっき申し上げました『Fate』のビジネスを非常に成功させています。

これのボラティリティは高いと思ってますけが、現時点までは、懸念していたように落ちてきているという状況ではありません。ただ、一定のリスクは見ておくべきだ、と考えています。

併せて、今期については、フォワードワークス、これはゲームのセグメントに入ってますが、ここからのスマートフォン向けのゲームのリリースがいくつか予定されています。それについては期待をしていますが、まだ実績がないので、予算に盛り込んでいるという状態ではありません。

モバイル分野の黒字化

質問者6:すいません。確認ですが、要は事業として別体でやってるので音楽についてですが、今後、いわゆる今音楽についているスマートフォンのゲームの事業をゲームのセグメントに移動する、という可能性はあるんでしょうか? 企業体として違うので、今そういうかたちで計上されてると思うんですけれども。

吉田:現時点ではその予定はありません。ミュージックのスマホゲームの場合は、むしろアニメのIPを活かしたというかたちになってますので、アニプレックスの事業がソニー・ミュージック側にありますので、その中の位置付けとご認識いただければと思います。

質問者6:ありがとうございます。

司会者:そろそろお時間になりますので、最後のご質問にさせていただきます。

質問者7:日経新聞のナカフジです。吉田さんに2点お願いします。1点ずつお願いします。

まず1点目、モバイル分野の黒字化についてですが、セグメント別のさらに内訳で、So-netなどを除いたスマホ事業単体でも黒字になったんでしょうか?ソニーにとってのスマホ事業の位置付けを、改めて教えてください。

吉田:スマホ事業単体で黒字になったかどうか、ということですが、黒字になっています。スマホ事業の位置付けは、ちょうど平井の言葉で申し上げると、「感動を届けるラストワンマイルのハードウェア」。

これを具現化していくためには維持すべき事業であり、収益の安定化はまだ途上ですが、今後それを図っていきたい、と考えています。

やはり技術の面、それから、今のエレクトロニクスのサプライチェーンが基本最大のものがスマホになってますので、そこでの例えばチップセット、センサー、それからパネル、さらに重要なポイントとして、やはり通信、5Gも含む通信の技術、こういったものはしっかりとキープしていかなければならない、と認識しています。

質問者7:2、3年前はパソコン事業と並んで売却という選択肢もあったかと思うのですが、「売却しなくてよかったな」と思いますか?

吉田:売却の選択肢があったかどうかという議論は承知してませんけれども。やはり、BtoC、とくに平井も申し上げてますけど、BtoCのハードウェアをしっかりやっていくということを、要はコミットしてますので、その中ではやはり欠かせない事業である、と考えております。

ソニーはなんの会社なのか

質問者7:ありがとうございます。残り1点ですが、吉田さんが副社長に就任されてから丸2年、今のソニーは先ほど「前期、エレキのセグメントが合計で19年ぶりに黒字」というお話もありましたが、今のソニーは吉田さんから見て、何会社だと表現しますか?教えてください。

吉田:そうですね、やはりソニーブランド、ブランドを使った商品とサービスの会社だと思っています。とくにBtoBもありますが、やはりBtoCのプロダクト、それからBtoCのサービス、こういったものを軸に、どちらかというとエンターテインメント、楽しい側の感動を届けるというのがミッションの会社であり、目的ではないかな、と思っています。

質問者7:ありがとうございます。

司会者:それではお時間になりましたので、これで質疑応答を終了させていただきたいと思います。本日はお忙しいところ、大変ありがとうございました。