引越業界を取り巻く経営環境
田島哲康氏:社長の田島です。本日はお忙しいなか、当社決算説明会にご出席いただき誠にありがとうございます。それでは平成29年3月期決算説明会を始めさせていただきます。
本日の流れとしまして、当社を取り巻く環境、決算概要、今後の取り組み、戦略概要の順で説明をさせていただきます。
まず当社を取り巻く環境ですが、国内は、企業収益や雇用環境の改善等、ゆるやかな回復基調が続く一方で、諸外国経済の動向やアメリカの政策動向など、先行き不透明な状況であります。
引越業界におきましても、新設住宅着工戸数は堅調に推移しておりますが、ドライバー不足や長時間労働問題により、人員の確保が難しくなる等、厳しい経営環境が続いております。
そのため3月、4月の繁忙期、この一部の時期ですが、受注を抑制せざるを得ない状況も発生しております。
同業他社引越売上高の推移
こうした競争環境の緩和により、繁忙期の引越単価は上昇傾向となりました。その結果同業他社の引越売上高の推移は、グラフのようになっております。当社は売上高を順調に伸ばすことができました。平成25年度以降、4期連続日本一であることを確信しております。
M&A
それでは決算概要について、ご説明させていただきます。
まず初めに昨年の5月13日に、株式会社SDホールディングスが新しくグループに加わりました。連結対象になっておりますので、少しご紹介をさせていただきます。SDホールディングスは主として、株式会社ダスキン様のフランチャイジーとして、クリーンサービス業を営んでおります。
SDホールディングスはグループ4社、350名の社員により成り立っておりますが、年間の売上高につきましては約40億円程度。経常利益は約4億円で、サカイ引越センターとのシナジー効果は非常に高く、サカイ引越センターグループの新たな柱になっていくと考えております。
連結決算概要
連結決算の概要をご説明いたします。29年3月期の売上高は、前年同期比9.1パーセント増の799億6,300万円。営業利益は前年同期比、11.3パーセント増の75億5,200万円。経常利益は前年同期比、12.2パーセント増の79億6,800万円。当期純利益は前年同期比、4.9パーセント増の45億3,500万円となりました。
個別決算概要
続きまして、サカイ引越センター個別の決算概要についてご説明いたします。29年3月期の売上高は、前年同期比4.2パーセント増の737億7,500万円。営業利益は8.3パーセント増の70億5,100万円。経常利益は7.3パーセント増の74億1,100万円。当期純利益は0.7パーセント減の41億9,600万円となりました。
売上高増収(前年同期比+29億4.2パーセント増)の要因
売上高増収の主な要因といたしましては、競争環境の緩和と生産性の向上により、作業件数が73万8,437件と、前年同期比4パーセント増となり、作業単価が9万9,140円と、前年同期比0.3パーセント増となったことによるものです。
支社数につきましては5支社増。拠点につきましては1支店移動がありましたので、6拠点増となっております。
全都道府県のネットワーク網
こちらが増加した支社を表示しております。星印が新たな拠点を設けての新設になります。関東地区では小平支店、土浦支店、熊谷支店を開設し、中部・東海地区は富士支社を開設。九州・沖縄地区は博多支社を開設し、以上の結果29年3月末現在では、全国146拠点183支社となりました。
地区別売上高・地区別作業件数
地区別の売上高につきましては、北海道・東北地区、九州・沖縄地区を中心に伸びており、全地区で増収を達成いたしました。また作業件数につきましても、関東地区、九州沖縄地区が中心に伸びており、全地域で増加しております。
新設住宅着工戸数の推移と作業件数
このグラフは引越業界と密接な関係にある、新設住宅着工戸数と当社の作業件数の推移を、四半期ごとにまとめたものです。29年3月期の新設住宅着工は、前年比5.9パーセントの増加となりました。引越市場のシェアを確実に拡大しているのがわかっていただけると思います。
チャネル別売上高
チャネル別売上高では、法人売上が3.6パーセント増。インターネット売上が、8.8パーセント増となりました。個人引越は法人やネットに、シフトする傾向にあるため1.3パーセント減となりました。
四半期別売上・作業件数・単価・経常利益
各種指標を四半期ベースでみますと、今期は受注を抑制しながらも、件数を順調に伸ばしたため、売上は増加いたしました。
利益は第1四半期、第2四半期まで、人件費の増加等により伸び悩みましたが、第3四半期以降、効率化を図ることにより利益を増やすことができ、第4四半期に入ってからは、単価も上昇した結果、期初の予想を上回る成績を出すことができました。
損益計算書
次に主な費用の内訳についてご説明致します。
売上原価の内、外注費は82億8,700万円で、売上費は0.7ポイントの上昇となったものの、その他のうち、ごみ処分費が0.6ポイント減。燃料費及び減価償却費が0.2ポイント減となったことにより、売上原価が0.3ポイント減の433億9,300万円となりました。
販管費は大きな変動はありませんが、人件費比率が0.1ポイント増加したものの、広告宣伝費その他が0.1ポイントずつ減少したため、売上費0.1ポイント減の233億3,000万円となりました。
経常利益率の推移
また、経常利益率につきましては、8年ぶりに10パーセント台に回復致しました。リーマンショックの影響により、低迷していた経常利益率ですが、これまでの取り組みを継続した結果、徐々に回復してきております。
車両1台あたりの作業件数および単価
真鍋彰郭氏:取締役経理本部長の真鍋です。よろしくお願いします。
こちらの表は、車両1台あたりの作業件数と単価をグラフ化したものになります。先ほど経常利益率10パーセント台回復と申し上げましたが、その要因としては単価の上昇だけではなく、稼働率の上昇も重要な要因となります。
28年3月期は期末に受注を抑制したため稼働率が悪くなりましたが、今期におきましては効率化をはかれるようになり稼働率も上がってきております。
労務費の推移
労務費になりますが、過去10年の推移を見ていただきますと徐々に増加しております。しかし、売上構成比をみると23年3月期ごろから減少傾向が続いており、生産性の向上を見て取れると思います。
外注費の推移
外注費の推移ですが、売上構成比の中で、外注費の主なものは電気工事となっております。引越件数が増加するとほぼ同じ割合で増加しますが、若干増加傾向にございます。
外注費のうち電気工事に関しては80パーセント以上が子会社のエレコンです。その他には企業案件における一部傭車などが含まれています。
人件費の推移
販管費の人件費につきましては、売上構成比については増加傾向にありますが、微増しながらもほぼ横ばい状態となってます。
広告宣伝の効率化
こちら広告宣伝費のグラフですが、金額につきましては毎年ほぼ同じ額を使っておりますが、売上が伸びていますので売上構成比としては下がり続け、今期は3.3パーセントまで減少いたしました。これはコスト面で優位性があることを示しております。
貸借対照表
貸借対照表につきましては、現金及び預金が70億2,700万円となりました。有形固定資産の増加22億8,800万の主な内訳としましては、福岡西支社の土地取得8億800万円、川崎の土地取得7億5,900万となります。
また、有利子負債の残高は前期末と比較して10億8,100万円増加し、49億9,500万円となりました。これは28年5月にSDホールディングスの取得にかかる費用などが含まれております。
キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書につきましては、営業活動におけるキャッシュフローでは、税引前当期純利益の増加、未払金、未払費用の増加などにより前期と比べて11億4,700万円増加し、投資活動によるキャッシュフローではSDホールディングスの取得などにより、前期と比べ43億200万円減少いたしました。
財務活動によるキャッシュフローでは長短借入金の増加などで前期と比べて16億8,900万円増加しました。結果、現金および同等物の残高は前期と比べ5億5,400万円減少しました。
私からの説明は以上となっております。
連結業績予想
それでは、平成30年3月期の業績予想についてご説明させていただきます。連結業績予想につきましては、売上高は前期比5.2パーセント増の841億4,700万円。
経常利益は、4.7パーセント増の83億3,100万円。当期純利益は、2.9パーセント増の46億6,700万円を見込んでおります。
個別業績予想
サカイ引越センター個別業績予想につきましては、売上高、前期比4.3パーセント増の765億8,500万円。経常利益は、3.4パーセント増の76億5,900万円。当期純利益は、5.2パーセント増の44億1,400万円を見込んでいます。
予想の前提となっている数値は、作業件数が2パーセント増、作業単価は2.6パーセント増、設備投資が47億円、減価償却費は12億5,700万円などです。
売上高内訳計画
チャネル別では、引き続き法人営業とインターネットに注力してまいります。地域別では、全地域増収で推移する計画です。
<h2今後の取り組み・戦略概要
続きまして、今後の取り組み・戦略概要についてご説明させていただきます。当社の課題としましては、少子高齢化による労働力不足の問題もあり、さらなる人材の確保と生産性の向上に取り組む必要があります。そこで、次の6点についてお話しさせていただきます。
①生産性の向上
まず、生産性の向上につきましては、引越サービスの提供という観点から、人材の育成がとても重要になっていきます。そのため、豊富な研修プログラムとアフターフォローの繰り返しにより、誰もが品質の高いサービスを提供できるよう取り組んで参ります。
②支社開設によるシェアアップとネットワーク網の強化
次に、シェア展開についてお話しさせていただきます。今期のシェア展開の候補地につきましては、全国で11ヶ所を挙げております。
また海外で1つ候補を挙げており、年間で考えますと、今期は候補地の中から5店舗の開設を予定しております。なお5月1日の段階ですでに葛飾支社・広島北支社・別府支社の3店は開設済みとなっております。
③法人営業の強化
次に、法人営業の強化につきましては、専属営業員の育成と、法人コールセンターの活用等により、今期は7.8パーセント増の382億5,000万円を予定しております。また、大型物件の受注促進も進めていきます。
とくに、当社の強みである大型マンション物件では、これまでのノウハウを活かして、受注件数をさらに増やしてまいります。また、29年3月期では、造幣局様や、近畿大学様といった、官公庁や大学の移転も行わせていただきました。このような大型物件にも力を入れて参ります。
④インターネットによる受注の促進
次に、インターネットによる受注の促進につきましては、ホームページの改定、レスポンスの早い対応などを進めて、今期は6パーセント増の253億6,000万円を予定しております。
ホームページの改訂につきましては、今期中にコンテンツの追加等を予定しております。とくに今回は、リピーター専用コンテンツや、紹介専用コンテンツを新たに設けることで、お客様の受注拡大をさらに進めたいと考えております。
IT技術の活用
次に、IT技術の活用についてです。現在、営業スタッフが利用しているタブレット端末の使用範囲を広げ、今後はお客様へ動画を使ったプレゼンテーションや、お見積り時の不用品買い取りサービスをグループ間で連携するなど、スムーズなお客様対応とあわせ、業務効率化・ペーパーレス化に取り組み、さらなる顧客の獲得を目指して参ります。
また、インターネット教育ツールの導入も行いました。すでに現業職については動画配信を開始しており、現場スタッフが自由な時間に現場作業の方法や、危険行為の事例を動画で学べるシステムになっております。
このシステムの活用により、安全で効率的な作業を進めていくことができます。今後は、このような教育ツールをさまざまな分野で活用したいと考えております。
また、アンケートはがきのWeb化も進めてまいります。このアンケートは、サービス向上のため、引越後のお客様にお送りしているのですが、そのご意見を集計するまでに時間と労力がかかっておりました。
これをWeb化することにより、リアルタイムに情報収集し、お客様への対応を高めることができると考えております。
同業他社引越売上高の推移
こうした戦略を着実に進めることで、今期はサカイ引越センター単体で765億8,500万円を予定しております。いつも見ていただいておりますが、引越業界上位6社の約10年間の売上の推移のグラフです。
グループ力を強化し、売上1,000億円へ
そして、サカイ引越センターはグループ会社のエレコンを筆頭にエヌケイパッケージ、新世紀サービス、ジェイランド、日本ユーロムーバーズ、そして今回のSDホールディングスが入ることによって「新生活応援グループ」ということで取り組んで参ります。
そして、これらの戦略とグループ力の強化により、シナジー効果を活かして、中長期的にグループ全体で1,000億円を目指して参ります。
その他の活動 陸・海・空の総合防災訓練に参加
その他の活動ですが、当社は27年に近畿管区警察局と災害時輸送協定を締結しております。
堺市との災害時物資輸送協定を締結 平成29年2月21日
昨年の11月5日には、近畿地方整備局、堺市の合同震災総合訓練に参加させていただき、救急支援物資をトラックに積み込み輸送しました。
また、こうした流れをくみまして、大阪府堺市とも災害時における物資の輸送等に関する協定を今年の2月21日に締結いたしました。トラックでの輸送とともに、必要に応じて物資輸送に関する助言や避難所の仕切り等に活用できる梱包用ダンボールの提供にも協力をして参ります。
ふくい移住サポーター企業として登録 平成29年1月18日
福井県の移住サポート企業としても登録させてもらいました。
フードバンク大阪様へ備蓄食料を寄贈 平成29年2月1日
フードバンクですが、数年前から水や食糧を備蓄をしておりますが、消費期限が迫ってきたものを少しでも活用してもらえればということで、フードバンク大阪様に提供させていただきました。
メセナ活動など
メセナ活動の一環として「大阪エヴェッサキャラバン隊」というバスケットボールチームなどの応援を行っております。
前社長の命日である17日を「まごころの日」と定め、毎月清掃活動を行っております。
株主還元/h2>
株主還元ですが、期末配当につきましては、平成29年3月期の中間配当は15円。期末配当は特別配当5円を含め25円で合計40円とさせていただきました。
自己株式の取得
自己株式の取得ですが、資本効率の向上を通じて株主利益向上を図るため、自己株式の取得を実行いたしました。取得価格は総額で6億5,000万円ほどです。株数にしまして26万株ほどを取得させていただきました。
参考資料
こちらは、参考資料になりますので、ご覧ください。
当社は今後とも健全な経営を目指して取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。以上で、説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。