ヤフー2016年度第2四半期 決算説明会 質疑応答
司会者:それではこれより質疑応答の時間とさせていただきます。ご質問がある方は、係りの者がマイクをお持ちいたしますので、まず会社名とお名前をお願いいたします。
質問者1:野村證券のナガオでございます。質問2点お願いいたします。
まず1点目は、検索連動型広告についてです。このクオーター、減収率が1桁前半になったわけですけれども。ご説明ですと、いろいろアルゴリズムの着実な改善というのがあるんですが、それをふまえた上で3Q・4Qあるいは来期、検索連動型広告がどうなるとお考えでしょうか。期初と比べて少し見方が変わってるようであれば、教えていただければと思います。
大矢俊樹氏(以下、大矢):今回、減収率が大幅に改善したわけですけれども、要因としては、プレゼンで説明をしたとおり、ユーザーインターフェースをより自然にしたり、プロダクトの機能差、Googleとの機能差を埋めていったり、あるいは営業力ですね。
もう一度テコ入れをしようということで、営業等を増強して提案力を強化したと。それとこのクオーターの一要因としては、スマホのパートナーサイトの要因が1ポイント程度残りましたので、それもございました。
前3つについては、引き続き持続可能な要因でございますので、一巡するまでは効果が持続するかなと見ております。
見通しとしましては、一方でやっぱりPCの減収というのはまだ続いている状況でございますので、当面1桁前半の減収と見ております。長期的にはもっと改善をしていくべく努力をしてまいりたいと思います。
Yahoo!ショッピングの見通し
質問者1:ありがとうございます。2点目はショッピング(事業)です。従来の御社からのメッセージですと、できるならば今期どこかで単月で黒字と、来期は収益貢献ともっていかれたいという思いがあったかと思います。
ショッピングの見通しについて変わりがないのか、そのあたりも改めて教えていただいてもよろしいでしょうか。お願いいたします。
大矢:ショッピングは、このクオーターの総括と今後の見通しということで申し上げますけれども。
このクオーターは、引き続きメディアからの誘導の強化であったり、プレミアム会員とのクロスセルの強化、それと効果の高い販促に的を絞ったコストの投下を行ったということですね。
課題としては、メディアからの誘導やプレミアム会員とのクロスセルというのは、持続可能な施策ではあるんですけれども、じわりじわりと効いてくるものだったかなということで。
販促を効率化したなかで、非常に高い伸び率は維持できたかなと思う一方で、前から申し上げている、目標性が高いと申し上げてましたけれども、前年度の伸びには届かなかったというところでございます。
現状まだ3番手で、フォロワーの立場でございますので、より勢いのある取扱高というのは重視をしていくべき段階かなと見ております。ですので、下期に関してはもう少し販促を投下して攻め込んでいく必要があるかなと。
全体としては、効率化で上期、業績的にも、予定していた販促よりもかなり押さえた水準できておりますので、全体の業績のガイドラインというのは変えないんですけれども、下期販促費のなかでのECのポーションというのは、もう少し高めていきたいなと思っております。
一方で、収益性についてですけれども。収益性はモール単体でも、このままいけば、単年、今年度中に黒字化というものにはなるわけですけれども。
今申し上げたとおり、しばらくは、取扱高の成長や勢いをより優先させるフェーズかなと思いますので、急いで小さい黒字を作りにいくというよりは、取扱いの成長を優先させたいと思っております。
この下期、そのような取組みのスタンスでやっていって、来期以降の計画というのはまた示したいとは思いますけれども、強調すべきは取扱いの成長を引き続き優先すべきフェーズだということでございます。
プレミアム広告のプラス要因
質問者2:クレディ・スイス証券です。私も質問2問です。
まず最初の質問が、広告のところなんですけれども、先ほど検索のところはご説明ありましたが、ディスプレイ広告のなかのプレミアム広告の部分も、今回から出された「事業指標 推移表」を今見てるんですけれども、こちらを見ると、久しぶりにけっこうプラスになってきたなという。まあ売上は小さいんですが、プラスになってきています。
この状況も、広告全体でなにか良くなってきている部分、先ほどのインターフェースの改善などがこういったプレミアム広告にも効いてきてるのか、このへんについて確認させてください。
大矢:今回のプレミアム広告、順調でございました。運用型の広告に予算をシフトしていくという流れはあって。
プライムディスプレイ等は引き続き軟調な基調が継続しておりますけれども、熊本の地震後に出稿を控えていた一部の広告主による出稿が回復をしたり。
あとはスマホのブランドパネルは、昨年は販売していなかったため純増となり、売上高の拡大に寄与したというところでございます。あとはやはりショッピングのコマースの広告がかなり目に見える数字で寄与してきたというところですね。
今後は、まず近々の第3クオーターについては、コマースの広告等が年末商戦で需要期にも入りますので、20パーセント程度の伸びになるかなと思っております。16年度としましても、プレミアム広告はだいたい2桁ぐらいのプラスという水準になるかなと見ております。
質問者2:ありがとうございます。
もう1つが、ちょっと細かい質問で申し訳ないんですけれども、会社全体の連結のなかで、売上原価に関してこの2QがQonQでちょっと下がっていて、どこの項目がすごい増えたかよくわからないんですけど、販管費が増えてます。おそらく販促費が主な増え方だと思うんですが、それ以外のところも全体的に少しずつ増えていて。
原価が減って販促費以外のところが全体的に少しずつ増えてるという、ここの仕組みかどういう構造になっているのかわからなかったので、教えていただければと思います。
大矢:原価が減っているのは……ちょっと調べないとわかりません。全体でQonQで−1.6パーセントというところですね。のちほど調べたいなと思います。
販管費に関しては、販促の要因……あと設備投資ですね。設備投資の増強というのは従来から申し上げてますけども、その影響で減価償却費がだいたい年率で30パーセント程度伸びていると。これがオーガニックなところでございます。
一時要因としては、引越し等に伴う2重家賃とか、原状復帰のための二重家賃とかが多少は発生しているというところですね。だいたいよろしいですか? そんな感じで。
質問者2:えっ、特殊要因は引越しぐらいって感じですか? 一時要因はほかには大きく効いてるものはない? 販管費のところでは。
大矢:大きくは……。はい。そうですね。
質問者2:わかりました。ありがとうございます。
ショッピング事業取扱高の推移
質問者3:三菱UFJ・モルガンのアラキです。ショッピング(事業)なんですけれども。(取扱高)1,011億という数字があって、アスクルを除くとおそらくQonQほぼ横ばいじゃないかなと思うんですが、それがオリンピックの影響があったのかどうかと。オークション(事業)のところであったというご説明があったんですけれども、ショッピングでもあったのかどうか?
1,011億という数字は、たぶん1クオーターでいうと996だと思うんですけれども、アスクルがたぶん95ぐらい入ってますから、除くと900億ちょっと。QonQ、Yahoo!ショピングだけで言うとほぼ横ばいという見方でご質問してますけれども、それがオリンピックの影響で少し弱かったのかなと。それが1つ。
2つ目は、それにもかかわらずショッピングの広告(売上高)が31億ということは、テイクレートでいうと3.3ぐらい上がっているような気もするんですけれども、それをあえてフィーチャーされてないというのは、なにか私の見間違いなのか。効率良い広告というのが少し寄与したかなという気もするんですけれども。この2点お願いします。
大矢:ありがとうございます。QonQの取扱いですか? ちょっと調べないとわからないんですけど、まあ伸び率としては第1クオーターに比べると確かに、YoYですけれども、第1クオーターに比べると10ポイント程度下がっているかなと。
大きくはやっぱり前年のハードルが、去年の第1クオーターはより低かったというのもあるかなと思うので、トレンド感としては引き続き順調だったかなと見ております。
オリンピックの影響があったかどうかでいうと、それなりにあったかなと見ております。
テイクレートにつきましては、現状だと3パーセントの半ばぐらいと見ております。こちらはやはり取扱いの伸びの勢い、モールとしての勢いがございますので、順調にテイクレートのは上がってます。
このトレンド感を大事にしながら、テイクレートについても3パーセントの半ばから徐々に拡大を目指していければというところでございます。
Amazon・楽天市場からマーケットシェアを奪えるか
質問者4:DCIのオスカーと申します。2つ質問があります。
まず1つ目、広告関連の売上全体に関してです。ディスプレイ、それから検索連動型と、いろいろな要素があるんですけれども、この広告関連の全体的な売上というのが長期的に下がる可能性についてはいかがでしょうか? まずその質問でお願いいたします。
宮坂学氏(以下、宮坂):売上の絶対額そのものが下がるというのは、当然計画としてはぜんぜん考えていなくて、まだまだ伸ばしていけるんじゃないかと思っています。
質問者4:ありがとうございました。2つ目の質問は、eコマース事業に関してです。Amazonや楽天といった大手からどういったかたちでマーケットシェアを奪おうと思っていらっしゃるかということなんですが。
販促費以外でということで、御社の場合の中核的な競争優位性というのは、こういった他社と比べてどういったところにあるんでしょうか?
宮坂:まず市場のシェアですけど、流通総額全体で見れば、Yahoo! ショッピングに加えてオークションとかトラベルとかありますので、そういったトータルのeコマースで見ると、たぶん楽天さん・Amazonが市場シェアの20パーセントぐらいじゃないのかなと。それで、我々が今、だいぶ伸びてきているので、15パーセントぐらいまできているのかなと思っています。
今後どう増やすか。オークション、ショッピング、それぞれ伸ばさないといけないんですけど、とくにショッピングに関して言うと、今やってる戦略、ある特定のセグメントの顧客基盤に対して少しお得というオファーをして、その人がほかで買わずにYahoo!で買うということをやっていきたいなと。
今のところそれが非常にうまくいっていますので、プレミアム会員に引き続いて、今後はキャリアの会員のY!mobileでも同じことを起こしてみたいなという挑戦をやりたいと思います。
インフィード広告の動画対応について
質問者5:JPモルガン証券のモリと申します。2点お願いいたします。
1点目が、広告全体の売上の見通しに関して確認です。1Qの後の時のご説明から、検索連動型広告が大幅に一応改善しているということで、広告全体の見通しに関しても、これがそのまま反映されるというかたちで考えてよろしいのでしょうか?
併せまして、インフィード広告の動画広告の導入に関して、なにかアップデートできることがあればお願いいたします。
大矢:広告の見通しは、このクオーターでだいたい5.7パーセントぐらいのプラスで着地をしましたけれども、今後下期も1桁半ばぐらいのプラスのパーセンテージの見通しかなと見ております。トレンド感として継続をするという感じですね。
動画に関しては、引き続きテストを繰り返しながら、年度内でのプロダクトの投入を目指しておりますけれども、今年度に占める業績へのインパクトは軽微であると考えていただければいいかなと思います。
宮坂:ちょっと補足すると、動画に関しては年度中になんらかのテストができればいいかなぐらいに思っていて、うまく行けば来年に活かしたいですけれども、やはりいろいろやってみなければいけないことがかなり残っていますので、まずテストをすると。
今せっかく、タイムラインを中心としたトラフィック、広告インベントリが増えてますので、うまく行けば来年以降に展開して伸びにつなげたいなというのが今のところのシナリオです。
下期に向けた販促戦略
質問者5:あと、下期の販促の振り方をeコマース重めにするというご説明がありましたが、可能な範囲で、もう少しどういうことをやられるかというのを教えていただきたいです。
去年ですと、かなりテレビCMで「全員5倍」みたいなかたちでわかりやすい施策をやっていたと思います。効果を期待しているものをご紹介いただければと思います。
先ほどの「いい買い物の日」のキャンペーンとか、ソフトバンクさんも長期契約特典ということでTポイントをショッピング向けに付与するのが12月から始まると思うんですけども、こういうことを期待して、結果的に下期40パーセントはまだ達成できると思ってらっしゃるというかたちでご説明いただければと思います。
大矢:販促に関しては、内容的にはおっしゃったとおりで「いい買い物の日」であるとか、年末商戦等での販促の投入やソフトバンクとの提携、Y!モバイルとのキャンペーン等を想定しております。
取扱高のガイダンスに関しては、もともと年度で40パーセントで目標性が高いと申し上げておりました。それで、下期に入りましたので、現実的な目標ということで年度としては20パーセントから30パーセントの伸びを目指すようなかたちにしていきたいなと思っております。
20〜30ということが意味することとしては、引き続き市場成長率よりも非常に高い伸びを目指すということと、もっとも勢いのあるモールという位置づけを維持していくということで、20〜30パーセントの通期の伸びを目指したいということでございます。
プロダクトのアップデート状況
質問者6:みずほ証券のイワサと申します。まずサーチの広告なんですが、秋以降に新しい製品やサービスを投入する計画だというお話を以前頂戴しておりましたが、現状の進捗と下期以降に、この第2四半期もマイナス幅が縮小しておりまして、このトレンドが続くような新しいご計画がありましたらご紹介いただけますでしょうか。
宮坂:最初に営業組織の話をしておくと、プロダクトを良くしていこうと。それから検索をする人の数を増やしていこうと。そして、ちゃんと売る、営業組織を整えていこうという3つをやらないといけないと思っています。
検索の数を増やすということに関して言うと、ヤフーの検索のトラフィックのほとんどが結局ヤフートップページからなんですよね。
パソコンでも、スマートフォンのブラウザでもアプリでもそうなんですけど。それを考えると、やっぱりヤフーのトップページをアプリでログインで使う人を増やしていくというのが、実はサーチ数を増やす最大の戦略になると思います。
今回はとくに進捗に大きな変化はないので割愛しますけど、前回ちょっとお話しした、フラッグシップ戦略というのをお話ししたと思いますけど、強いアプリを固めてより強くしようというのを今やっていますので、それがうまくいけばサービスを伸ばすことに少し貢献できるのではないかと思っております。
セールス方式については、いろんな人から今アドバイスをもらいながら、どうするともっと日本のお客様とか広告会社の人に効果的な営業体制ができるんだろうかということをかなり今ヒアリングをして、アドバイスをもらっています。
これは実はかなり効き始めているんじゃないかなと思っていまして、こういったものは一過性に終わらず、引き続き継続して伸ばしていければと思います。
具体的なプロダクトのリリースの各論がもしなにかあれば、田辺からお願いします。
検索連動型広告の改善点
田辺浩一郎氏:広告責任者の田辺と申します。プロダクトのアップデートに関しては、なにか1つ変更をかけて、大きくYonYが改善するというようなアップデートは下期は見込んではおらず、ただ細かいGoogleとの機能差を埋めていくような改善をいくつも用意をしています。
これがそれぞれどれぐらいYonYに効いてくるかというところはやってみないとわからないところもあるんですけれども、先ほどCFOからありましたように、下期の見通しとしてはマイナス1桁台前半というところを見込んでプロダクトのアップデートを進めておるという状況です。以上です。
宮坂:プロダクトのアップデートのちょっとしたイメージまでに。なにか1つのことをやってドーンと増えるということは、めったに起きることじゃないんですよね。
インフィード広告を始めたときみたいに、わかりやすく新商品でドーンと伸びますというのは、そんなに頻繁にはなかなか起きない。今後、動画はちょっと期待してますけど。
検索連動広告に関して言うと、20年近くやってる事業ですから、細かい改善の積み重ねで、それを複利で効かせていくようなものだと思ってもらっていいと思います。
最近、Yahooのなかで、社内表彰制度をやってるんですけど、最近受賞したのが1つ検索連動広告に関するプロダクトでして、どういうものかというと、広告会社の方が検索連動広告を入稿するときに、もっと簡単に短時間にできるようにするというツールなんですよ。
一見非常に地味に見えると思いますけど、やっぱり1時間で1,000個入稿できたものが、1時間で2,000個できたほうが圧倒的にいいですよね。
そういった小さいものの積み重ねをコツコツ積み重ねているというのが今の取り組みでして、そういったものの積み重ねのトータル、改善のトータルがここにつながってると思ってもらったらいいんじゃないかと思います。
インフィード広告の新たな可能性
質問者6:ありがとうございます。最後にもう1つ、インフィード広告の足元の考え方についておうかがいできますでしょうか。
先ほどご説明のなかで、前年対比では伸びていますというお話しではありましたが、1Q対比で実額でどんなイメージであったかということと、それから下期にかけましてこのインフィード広告の方向についてご解説をいただけますでしょうか。お願いいたします。
宮坂:インフィード広告については、去年の5月かな? リリースして、一巡をしてきているのは現実としてあります。
なので、YonYの成長率で見ると、一周してきてますから、ちょっとずつそれ自体は下がってくるなと思います。
ただ、今後どうやって伸ばすかについてですけど、1つはインフィード広告を配信できる面そのものを増やすというのがあると思います。
YAHOO! JAPANにはまだまだトップページ以外にもいろんな在庫があって、インフィード広告が掲載できる可能性がありますので、そちらに面を増やしていくというのが1つあります。
そして今後はネットワーク化していって、ヤフーの外側、nonYJでも配信できないかというのは当然、可能性としてはあると思っております。
そして継続的な改善としては、やっぱりクリックレートとかコンバージョンレートとかそういった効率性を上げることが非常に重要だと思ってますので、これは、マルチビッグデータを活かして改善していきたいと。
毎年数パーセントでも改善していけば複利で巨大な変化を生み出しますので、こういった地道な改善というのをマルチビッグデータを使ってやってみたいなと思います。
最後に飛び道具的に上がったらうれしいなと思うのが、今年度予定しているビデオを配信する仕組みです。
こればっかりは、目論見通りすごくいいことになるかどうかやってみなきゃわからないですし、結局ビデオを配信しても1年2年すると一巡効果が出ますので。
長い目で見れば、やはりデータを使ってコンバージョンレートを改善するとか、ログインを使う人を増やしていってより配信精度が上がるようにするとか、そういった意外と地道なことを積み重ねていくことが今後の成長においては大事じゃないかなと思っています。
司会者:ほかにご質問のある方はいらっしゃいますでしょうか? それでは、本日の説明会はこれで終了とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。