第144回 個人投資家向けIRセミナー 第5部
京進、2035年の成長指標に売上高400億円・営業利益率10%を掲げ、「一生支援企業」への飛躍を目指す
本日の内容

立木康之氏(以下、立木):株式会社京進、代表取締役社長の立木康之です。本日はどうぞよろしくお願いします。
今年7月に続き、当社の取り組みについてご説明する機会をいただきました。初めて当社の説明会をご覧になるみなさまや、前回から引き続きご参加いただいているみなさまに、足元の業績と今後の成長の方向性をわかりやすくお伝えできればと思います。
本日は、5つの項目に沿ってお話しします。
まず、当社グループが展開する事業概要と強みについてご紹介します。次に、先日公表した2027年2月期の中間決算の概要と業績動向についてご説明します。続いて、構造改革の進捗と新たな取り組み、2027年2月期通期業績見通しと株主還元、2035年に向けた成長戦略についてお話しします。
また、前回のセミナー後に公表した中長期経営方針と各事業の実現策についても、時間を取ってお伝えする予定です。
会社概要①

立木:当社グループの事業概要と強みについてご説明します。当社は1981年に設立し、京都市に本社を置く、東証スタンダード上場企業です。
現在、「ステキな大人が増える未来をつくる」というグループビジョンの下で、学習塾事業、語学関連事業、保育・介護事業の3つを柱として、幅広く事業を展開しています。
会社概要②

立木:各事業について簡単にご説明します。
1つ目は学習塾事業です。中学・高校受験向けの「TOPΣ(トップシグマ)」、大学受験向けの「TOPΣ」、個別指導の「スクール・ワン」など、集団指導と個別指導の両方を展開しています。
京都や滋賀を中心に長年培ってきた教育ノウハウや地域での信頼は、当社の大切な経営資源です。この後にご説明する多角化した事業群の中でも、学習塾事業は当社の原点であり、将来にわたって利益を生み出す重要な柱だといえます。
会社概要③

立木:2つ目は語学関連事業です。英会話教室「ユニバーサルキャンパス」、日本語学校「京進ランゲージアカデミー」、オーストラリアの語学学校「English Language Company」などがあります。
日本語学習、英語学習、海外留学といったさまざまな学びを支援しています。特に日本語教育は、今後の外国人材の活躍や国際的な人材交流にもつながる事業として、当社が成長を期待している分野です。
会社概要④

立木:3つ目は保育・介護事業です。保育園・認定こども園の「HOPPA」に加え、学童クラブや高齢者向けの住宅などを展開しています。乳幼児期の成長から学齢期、そして高齢期の暮らしまで、支援対象が広がってきました。
学習塾事業、語学関連事業、保育・介護事業の3つの領域を単に別々に運営するのではなく、共通する「学び」を通じて結びつけていくことが京進グループの特徴です。
事業ポートフォリオの変革

立木:このスライドには売上高構成比の推移を示しています。かつては学習塾事業が大きな割合を占めていましたが、語学関連事業や保育・介護事業の成長により、グループの事業領域は大きく広がりました。
特に強調したいのは、学習塾事業の構成比が下がることと、学習塾事業そのものが縮小していくことは同じではないという点です。学習塾事業の収益力を維持・強化しながら、成長領域へ投資を進めることで事業ポートフォリオの変革を図り、「人の一生を支援する」企業へと成長していきたいと考えています。
当社グループの強み 「多角化によるシナジー」(ノウハウの展開)

立木:多角化の強みの1つは、教育で培ったノウハウを別事業でも活用できる点です。例えば、保育園の「HOPPA」では英語に親しむプログラムや知育、プログラミングレッスンを導入しています。
また、日本語学校「KLA」では学生一人ひとりの目標達成を支援するために、リーチング学生手帳を活用しています。
学習塾で培ったのは、単に教科を教える技術だけではありません。人の目標を明確化し、成長を後押しするノウハウです。このノウハウを保育や語学などに展開できることが、当社ならではのシナジーだと考えています。
当社グループの強み 「多角化によるシナジー」(人材の循環)

立木:多角化のもう1つの強みは、人材の循環です。当社の塾に通っていた生徒が大学生になり、アルバイト講師として戻ってきてくれます。その後、新入社員として入社してくれる方もいます。新卒入社社員のうち、当社の講師出身者が30パーセント超となっているのは大きな強みだと考えています。
また、日本語学校で学んだ留学生や外国人材が将来的に介護事業などで活躍できるよう、就労支援の取り組みも進めています。人材確保が難しい時代だからこそ、学びと仕事がつながる自立型の採用基盤を育てていきたいと考えています。
決算期の変更について

立木:2027年2月期の中間決算についてお話しします。今回は、前期と比較するにあたり特殊事情がありますので、はじめにご説明します。
当社は決算期を5月末から2月末へ変更しました。このため、前期の2026年2月期は9ヶ月の変則決算となり、当期から通常の12ヶ月決算となっています。
今期の中間期は2026年3月から8月までの6ヶ月となり、前年同期との比較では2025年3月から8月までの6ヶ月間の数字を組み合わせ、参考値として比較しています。
以降の増減率は、このように期間を揃えた比較であることをご理解ください。
2027年2月期 中間連結会計期間(第2四半期連結累計期間)連結業績の前年同期間との比較

立木:中間期6ヶ月間の連結業績についてご説明します。売上高は前年同期比6.0パーセント増の141億9,200万円となり、順調に増収を達成しました。
利益面では人的資本への投資や学習塾事業の構造改革費用などが先行したことから、営業利益と経常利益は前年同期を下回りましたが、おおむね期初計画の想定範囲内で推移しています。
一方で、前年同期と比較して減損損失が大幅に減少したことなどから、中間純利益は前年同期の赤字から黒字へ転換しました。また、第2四半期の3ヶ月間においては、営業利益も大きく改善しています。その詳細については、次のスライドで詳しくご説明します。
四半期ごとの業績推移

立木:こちらのスライドには、四半期ごとの売上高と営業利益の推移を示しています。
第1四半期は、新年度募集に関する費用に加え、処遇改善や教室の統廃合といった費用が先行し、営業損失となりました。学習塾の事業は、春の新年度募集から年度後半に向けて生徒数が積み上がっていく特徴があります。そのため、利益の出方には季節性があります。
第2四半期にあたる2026年6月から8月の3ヶ月間で売上高が大きく伸び、営業利益も大幅に改善しています。
四半期の利益変動に関する補足説明

立木:四半期の利益変動について補足します。特に人的資本投資の観点から、保育事業における処遇改善の支払および計上時期を変更しました。
行政からの補助金収入、いわゆる補助金の精算は第1四半期に実施されます。従来は年度を通じて支給および費用計上を行っていましたが、今期は早期に従業員へ還元するため、第1四半期に計上しました。この影響により、第1四半期に費用が一時的に集中しています。
来期以降も同様に実施する予定ですが、補助金の精算額や支給・計上時期の調整により変動する可能性があります。期初に計画を立て、実施する方針です。
また、今期特有の費用として、統廃合や閉鎖に係る費用を第1四半期に計上しています。この費用は、統廃合や閉鎖の時期や規模により変動します。
2027年2月期 第2四半期連結会計期間(3か月)連結業績の前年同期間との比較

立木:第2四半期連結会計期間、2026年6月から8月の連結業績です。売上高は71億9,900万円で、前年同期比7.6パーセントの増収となりました。
営業利益は3億9,900万円で、前年同期比91.3パーセントの増益となりました。経常利益も前年同期比85.2パーセントの増益となっています。
学習塾事業では新年度募集や夏期講習が堅調に推移したことに加え、保育・介護事業の収益寄与や、構造改革に伴うコスト抑制などが業績改善を支えました。
2027年2月期中間期 セグメント別 売上高 前年同期間との比較・構成比

立木:セグメント別売上高についてご説明します。第2四半期、2026年6月から8月の3ヶ月間では、学習塾事業、語学関連事業、保育・介護事業のすべてのセグメントで増収となりました。
学習塾事業は、新年度募集と夏期講習の需要獲得が堅調でした。語学関連事業では、国籍の分散などに取り組みつつ、学生数を維持しています。
保育・介護事業では、既存施設の充足率に加え、前期にグループ化した「リンクハート」の寄与もあり、大きく伸びました。このように、複数の事業が売上を支えています。
2027年2月期中間期 セグメント利益 前年同期間との比較・構成比

立木:第2四半期、2026年6月から8月の3ヶ月間のセグメント利益についてご説明します。
学習塾事業のセグメント利益は5億9,400万円で、前年同期比11.2パーセントの増益となりました。教室の再配置などを進めてきた学習塾事業の収益力がグループを支えています。保育・介護事業も2億1,500万円と、前年同期から大きく増加しました。
一方、語学関連事業は日本語学校の関係会社統合に伴う初期費用や先行投資の影響などで減益となっています。
1つご注意いただきたいのは、先ほど申し上げた第2四半期3ヶ月の利益と、中間期6ヶ月累計の利益では、見え方がやや異なる点です。また、セグメント利益の合計と連結営業利益の間には、全社費用などの調整項目があります。
学習塾事業

立木:以上のような各事業の成果と課題を踏まえ、ここからは足元で進めている構造改革と新たな取り組みについてご紹介します。
まず、学習塾事業です。少子化が進む中で、従来と同じ地域に同じ規模の教室を維持するだけでは、収益性を高めることはできません。
そのため、関西地域では2026年春に不採算の16教室を閉鎖しました。一方で、首都圏では人口が集まるエリアを中心に、新しい教室の開設を進めています。
大切なことは、教室数を減らすこと自体ではなく、拠点の規模や立地を最適化し、教育の質と収益性を向上させることです。主要ブランドの新年度入会数は堅調で、閉鎖教室を除く既存教室の生徒数も前年を大きく上回りました。
一方で、閉鎖した教室の売上への影響もあるため、成長と改革の両方を進めていく必要があります。この方針は、後ほどご説明する2035年に向けた学習塾事業の戦略にもつながります。
語学関連事業

立木:語学関連事業では、日本語学校を運営する関係会社4社を、2026年4月1日付で統合しました。
経理や人事などの重複する業務を整理し、経営資源をより有効に活用するとともに、認定日本語教育機関制度への対応やグループ内の人材交流を進めるための取り組みです。
統合に伴う初期費用も発生していますが、運営の共通化や業務効率化を着実に進め、その効果を今後の収益性向上につなげていけるものと考えています。
塩谷航平氏(以下、塩谷):こちらのスライドに関して、拠点の閉鎖も含めてグループ化の統廃合が第1四半期に集中したという認識でよろしいですか?
立木:おっしゃるとおりです。
塩谷:では、第2四半期、第3四半期以降は、このような統合や閉鎖に伴う費用は減少する見通しなのでしょうか?
立木:ほぼなくなります。
塩谷:併せて、第1四半期では補助金収入に関して、従業員還元を早めたことで一時的な費用が発生しましたとご説明がありました。これは今後も同様に第1四半期に集中して起こり、第2四半期以降はこのような一時的な費用は発生しない認識でよろしいですか?
立木:これまでは年間を通じて分散していましたが、今後は第1四半期に集中させて実施していく方針で考えています。
塩谷:来期以降もその方針で進める予定でしょうか?
立木:そのつもりで考えています。
DX・AI推進

立木:AIを活用した取り組みです。当社は今年10月5日、教育と介護分野におけるAIを活用した対人サービス支援技術で特許出願を行いました。
教育と介護の現場では、日々面談や行動データが集まります。今回開発したのは、それらのデータを活用し、サービス提供者である職員の「声かけ」、生徒・利用者の「行動変容」、そして「成果」との関係を分析する独自の技術です。
当社はシステム会社ではありませんが、日々お客さまと接する現場を持っています。一人ひとりの学習や生活の変化を継続的に把握できることは、京進グループならではの強みだと思います。
今後は、対人サービスの質や現場の生産性を高める取り組みとして育てていきたいと考えています。
人的資本投資

立木:人的資本への投資です。当社は「従業員向け株式給付信託」の導入を決定しました。
これは従業員が会社の中長期的な成長を、株式を通じて自分事として捉えることができる制度です。株価の上昇が従業員の経済的なメリットにもつながることで、日々の仕事と企業価値向上を結びつけたいと考えています。
今年10月9日の取締役会で決議し、資料に記載のスケジュールで制度を設定する予定です。株主のみなさまと従業員が同じ方向を向き、成長を目指すための取り組みと位置づけています。
2027年2月期 業績見通し

立木:ここからは、通期業績の見通しおよび株主還元・資本戦略についてご説明します。
2027年2月期の通期業績予想は、今年4月10日に発表した内容から変更はありません。売上高は285億500万円、営業利益は7億8,500万円、経常利益は5億5,800万円を見込んでいます。
中間期における営業利益の進捗率は6.6パーセントとなっていますが、学習塾事業では年度後半に向けて生徒数が積み上がる季節性があり、第2四半期の3ヶ月では営業利益が前年同期比91.3パーセント増と大幅に改善しました。
また、学習塾事業の拠点再配置や日本語学校の統合、保育・介護事業の収益性改善なども着実に進めています。このような状況を踏まえ、引き続き通期業績予想の達成に向けて取り組んでいきます。
通期業績見通し 補足説明

立木:通期業績見通しについて補足します。中間期では営業利益5,200万円を計上しており、通期では7億8,500万円を見込んでいます。下半期に大きく利益を計上する見通しです。
これは、学習塾事業において春先の生徒数が最も少なく、秋冬にかけて積み上がっていく従来の事業特性に加え、今期は計画に基づき第1四半期に費用を集中させているためです。
この季節変動の特性を踏まえ、前年同期と比較しながら下半期営業利益の改善見通しについてお伝えします。
学習塾事業では、既存校舎の生徒数増加による増収効果に加え、閉鎖に伴う固定費削減効果を見込んでいます。なお、学習塾事業は昨年の秋以降、業績が改善傾向にあり、前年同期からの改善見通しとしては小幅にとどめています。
語学関連事業では、日本語学校4社の統合による運営効率化や、入学生回復に伴う増収効果を見込んでいます。
保育・介護事業では、先ほど説明した保育事業における処遇改善費用の計上時期を第1四半期に集中させた反動で、約3億1,000万円のプラスの効果が見込まれています。また、保育・介護ともに高い稼働率を維持しており、この効果が業績改善に寄与しています。
塩谷:学習塾事業に関して、足元の改善傾向を考慮すると少し保守的な数字になっている印象を受けましたが、いかがでしょうか?
立木:多少保守的に見えるかもしれませんが、あまり大きく言わないほうがよいと思っています。
塩谷:その一方で、保育・介護事業はプラス3.4億円の改善見通しとなっていますので、強い数字に見えます。これは冒頭でご説明があったように、例年は通期で平準化していた費用を第1四半期に集中させたことが影響しているのでしょうか?
立木:そのとおりです。また、保育の設備稼働率は90パーセントを超えており、介護はさらに良好で、入居率が約98パーセントです。それも寄与してくると考えています。
塩谷:保育・介護の稼働率90パーセントと98パーセントですが、これは前期よりも高い水準でしょうか?
立木:例えば介護施設に関して言えば、昨年は新しい介護施設を開設しています。開設当初はどうしても空室があるものですが、開設から1年を経てその空室が埋まってきました。
2027年2月期配当予想

立木:2027年2月期の配当予想です。当社は今年1月、連結配当性向30パーセントを目標とし、1株あたり年間5円を下限とする新しい配当方針を公表しました。この方針に基づき、2027年2月期の配当は1株あたり7.81円を予定しています。今年4月に公表した予想から変更はありません。
今後も業績の改善と成長投資のバランスを考慮しながら、株主のみなさまへの安定的な還元を大切にしていきます。
財務・資本戦略

立木:当社の財務・資本戦略です。株主のみなさまからいただく市場評価を真摯に受け止めるとともに、資本コストを上回る収益性の実現と、利益成長に見合う株主還元の両立を目指していきたいと考えています。
当社の多角化の強みは、教育ノウハウや人材の循環にとどまりません。学習塾事業や保育事業で生み出したキャッシュを、介護、学童、日本語教育、DXなど、成長が期待される分野への投資に振り向けられる点も強みといえます。
当然のことながら、投資は規模を拡大すればよいというものではありません。収益性や資本効率を意識しながら、投資と財務基盤、株主還元のバランスをとっていきたいと考えています。このような取り組みを通じて、PBR1倍超えの早期達成を目指していきます。
塩谷:成長投資にはM&Aも含まれていると思います。御社はかなり多くのM&Aを行っている印象を持っており、他社と比較しても実施件数が多いように思うのですが、このようなM&Aのソーシングは自社で行っているのでしょうか?
立木:主に仲介会社を活用していますが、自社で行うケースもあります。
塩谷:メインの事業領域として、介護や日本語教育、学習塾などが挙げられますが、その中で特に重点的に狙っている分野はどこでしょうか?
立木:「狙っている」と言ってよいかはわかりませんが、日本語教育と介護に関しては、お話をいただく機会が多いです。
塩谷:業界的に再編が進んでいるのでしょうか?
立木:日本語教育に関しては、そのような状況にあると思います。
中長期経営方針(2035年のありたい姿)策定の目的と位置づけ

立木:最後に、2035年に向けた成長戦略についてご説明します。
まず、「なぜ今、10年後を語るのか?」についてです。少子高齢化や人材不足など、社会の環境は大きく変化しています。このような変化に対応するためには、目先の数字だけにとらわれず、グループ全体で目指す将来像を明確にすることが必要だと考えました。
今年7月4日のセミナーでは、中長期の成長目標は後日具体的に示す予定だとお伝えしており、その後7月27日に中長期経営方針として「2035年のありたい姿」を公表しました。
また、前回のセミナーでは、中長期の成長ストーリーや少子高齢化などの環境変化への対応についてもご関心をいただきました。
そこで今回は2035年の数値目標だけでなく、その実現に向けた各事業の取り組みについても詳しくご説明します。
なお、この中長期目標から逆算した中期経営計画については、2027年4月の公表を視野に精査・検討を進めています。
中長期経営方針(2035年のありたい姿)定性目標

立木:当社が2035年に目指しているのは、「学びを核に人の一生を支援する『一生支援企業』への飛躍」です。
子どもの頃に学ぶ、海外で学ぶ、社会に出て働く、年齢を重ねても豊かに暮らす。このように人生にはさまざまな段階があります。それぞれの段階において、教育とその周辺に存在する生活や成長の課題を支えていくことが、京進グループの存在意義であると考えています。
「ステキな大人が増える未来をつくる」というビジョンを、幅広い事業を通じて実現していきたいと考えています。
中長期経営方針(2035年のありたい姿)定量目標

立木:2035年のありたい姿を数値で示したものです。2035年度の連結売上高は400億円、連結営業利益率は10パーセントを目標としています。
ここで重要な点は、売上拡大以上に利益を生み出す力を向上させることです。構造改革による収益性の改善、付加価値の高いサービスへの転換、DXなどを通じた生産性の向上を各事業で進めていきたいと考えています。
その結果として生まれた利益は、従業員への還元、株主のみなさまへの還元、さらなる成長投資につなげていきたいと考えています。
この数字は現時点で公表している中長期目標です。具体的な実行計画やマイルストンについては、今後策定する中期経営計画の中で検討を進めていきたいと考えています。
塩谷:2035年の定量目標では、非常に意欲的な数字が示されている印象を受けました。この数字はどのように決まったのでしょうか?
立木:当社では昨年創業50周年を迎え、それを機に社史を作ることとなりました。その中で、会社の50年の歴史を振り返るとともに次の50年を考えようという企画に取り組み、まずは10年後の未来を考えようと、各部門がさまざまなアイデアを出してくれました。それらを統合した数字が1つの土台になっています。
しかし、実は統合した結果、売上も利益もこの数字を大幅に上回る水準となっていました。そこからもう少し現実的に、ある程度見通しが立つ範囲で設定したものが今回の数値です。
塩谷:売上高が400億円、営業利益率が10パーセントであれば、営業利益は40億円ほどになります。これは毎年20パーセント程度の利益成長を目指す計画となりますが、社員の方々からボトムアップで出てきた数字はそれ以上のものだったのですか?
立木:さらに上でした。
塩谷:それはすばらしいことですね。
中長期経営方針(2035年のありたい姿)定量目標

立木:2035年度における事業セグメント別の定量目標です。売上高は、学習塾事業で107億円、語学関連事業で70億円、保育・介護事業で220億円を目指します。
売上規模では保育・介護事業の成長が大きい一方で、営業利益率は学習塾事業22パーセント、語学関連事業16パーセント、保育・介護事業8パーセントを目標としています。
特にお伝えしたいのは、少子化が進んでも学習塾事業を縮小するだけでなく、引き続きグループを支える収益の柱として再成長を目指している点です。
なお、これら3つの事業の利益目標を単純に足し合わせた金額と、連結全体の営業利益目標は一致していません。これは、全社費用や今後創出する新規事業の損益などを考慮する必要があるためです。
事業戦略(学習塾事業)

立木:それぞれの事業における2035年度目標に向けた取り組みについてご説明します。
まず、学習塾事業です。少子化は避けられない環境変化であり、直近10年で0歳から14歳の人口は約16パーセント減少しています。京都や滋賀など、当社の主力地域でも通塾率の変化を含め、市場をしっかり見極める必要があると考えています。
一方で、大手への市場集中や中小塾の淘汰が進む中、教育の質と経営基盤を備えた企業にとっては、シェアを高める機会でもあります。また、高校授業料の無償化の広がりに伴うご家庭の教育投資の変化にも注目しています。
具体的には、不採算教室の統廃合や拠点の大規模化を進めるとともに、人口が集まる成長エリアへの出店を推進します。また、大学受験向けの「TOPΣ」など、高校生向けの高付加価値サービスを強化し、生徒一人ひとりに長く選ばれる仕組みを構築したいと考えています。
2035年度の目標は、売上高107億円、営業利益率22パーセントです。単に売上を大きく増やすだけでなく、教室配置や提供サービスの刷新を通じて、利益率を高めながら再成長を目指すことを中心としています。
繰り返しとなりますが、学習塾事業は、今後もグループの収益性と成長投資を支える重要な柱であり続けると考えています。
事業戦略(語学関連事業)

立木:続いて、語学関連事業です。日本語教育をめぐっては、認定日本語教育機関制度への移行や外国人材の受け入れ拡大など、事業環境が大きく変化しています。制度の厳格化は運営上の負担となりますが、教育品質と運営基盤を整えてきた企業においては、差別化やシェア拡大の機会になると考えています。
当社は、先ほどご紹介した4社統合によって運営の効率化を進める一方で、必要に応じてM&Aを活用した成長も目指します。また、海外語学学校とのつながりを活かし、日本語教育と就労支援の連携拡大にも取り組んでいます。
2035年度の売上高70億円、営業利益率16パーセントの目標に向け、規模の拡大と収益性の向上を両立させていきます。
事業戦略(保育・介護事業)

立木:最後に、保育・介護事業です。保育では学童保育ニーズの広がり、介護では高齢化に伴う生活支援やリハビリへの需要が見込まれます。既存施設の運営に加え、これまでのグループ化によって事業の幅も広がりました。
一方で、保育・介護は人手のかかる事業です。人材不足や人件費の上昇に対応しつつ、施設の稼働率やサービス品質を高める必要があると考えています。
当社では、学習塾で培った教育ノウハウを活かしたサービス作りと、AIやICTを活用した業務効率化を進めることで、職員が人にしかできない業務に多くの時間を割ける環境を整えていきます。
2035年度には売上高220億円、営業利益率8パーセントを目指しており、規模の拡大だけでなく、生産性と収益性を高めることが重要だと考えています。
このように、3つの事業がそれぞれ異なる市場環境と課題に向き合いながら、グループ全体で売上高400億円、営業利益率10パーセントの目標を実現すべく、取り組んでいきます。
以上、当社グループの足元の業績と2035年に向けた成長戦略についてご説明しました。本日は時間の都合上ご紹介できなかった内容もあります。詳しい決算説明資料や中長期経営方針については、当社WebサイトのIR情報に掲載していますので、ぜひご覧ください。
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荒井沙織氏(以下、荒井):「通期の経常利益と中間期の経常損益を見ると、下半期だけでかなり大きく稼ぐ計算になりますが、その根拠と達成への自信のほどを教
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