2026年6月期決算説明
アイスタイル(@cosme運営)、ワラント消却・自社株買い・増配等の資本政策実施 今期計画は二桁の増収増益
目次

吉松徹郎氏(以下、吉松):おはようございます。株式会社アイスタイル代表取締役会長兼CEOの吉松です。本日はお忙しい中、私たちの決算説明会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。さっそく、今期の決算説明についてお話しします。
本日は、まず代表取締役社長兼COOの遠藤から2026年6月期の決算概要および直近の運営サービスについてご説明します。次に、私のほうからアイスタイルの成長戦略と展望、株主還元強化を含む資本政策についてお話しします。その後、2027年6月期の事業計画をご説明し、質疑応答を行う予定です。
本資料のエグゼクティブサマリー

まず本資料のエグゼクティブサマリーとして、簡単にポイントをお伝えします。2026年6月期は、営業利益が予想を上回り、前年同期比で約30パーセント増の非常に良い数字で着地しました。
特に、マーケティングソリューションの数字が伸びてきたことが大きな要因です。Webメディアだけでなく、リテールとの両輪が回り始め、マーケティングの売上と利益が伸びたことが非常に重要だった期と考えています。
今期も2桁の増収増益を計画しており、次の成長につながるよい期だったと感じています。資本政策についても大きな発表を行いました。Amazon.com, Inc.が持つ新株予約権を今回私たちが買い取るかたちとなり、自己株式の取得に加え、安定的な株主還元として増配を計画しています。
これらの詳細については後ほどお話しします。それでは、遠藤から今期の決算概要についてご説明します。
通期累計 / 連結決算サマリー&トピックス

遠藤宗氏(以下、遠藤):代表取締役社長兼COOの遠藤です。2026年6月期決算の全体図についてご説明します。売上高は前年同期比19.0パーセント増、営業利益は前年同期比29.1パーセント増と、順調な成長を実現できたと考えています。
営業利益は業績予想を上回り、初めて40億円台に突入しました。マーケティング支援事業が成長の鍵であることは以前お伝えしたとおりですが、こちらも順調に成長し、利益成長を牽引したと考えています。
トピックスとして、ユーザーアクション総数も順調に成長しました。また、第3四半期に引き続き、事業環境に変化がありました。特定地域の地政学的問題や中東情勢などの影響もありましたが、一部ではインバウンド需要の減少が見られたものの、中東情勢の緊迫化に関しては、極めて影響が小さかったと考えています。
通期累計 / ハイライト(単位:百万円)

通期累計のハイライトです。各事業セグメントについては後ほどご説明しますので、全体を簡単にお伝えします。
マーケティング支援事業は売上高が前年同期比25.2パーセント成長し、営業利益も前年同期比24.6パーセント成長しました。リテール事業は売上高が前年同期比15.4パーセント増、営業利益は前年同期比15.6パーセント増です。グローバル事業については売上高が前年同期比37.9パーセント成長となりました。
グローバル事業の成長は、香港旗艦店の新規出店と越境ECの増収が大きく寄与したと考えています。一方で、営業利益は前年同期比マイナス3億5,600万円となり、香港旗艦店の立ち上げがまだ十分に軌道に乗っていない状況です。今期は下期に黒字化を実現できるよう、鋭意取り組んでいます。
その他では、営業投資有価証券の売却等があり、前年同期比で大きく伸びる結果となりました。コストについては、ほぼ計画どおりに進捗しました。
通期累計 / 連結業績予想に対する達成率

連結累計は、売上高が業績予想に対して98.6パーセントと若干未達に終わりました。その要因は、リテール事業が前年同期比では大きく成長したものの、アグレッシブな計画を立てていたため達成には至らなかったこと、そして香港のリテール事業の影響が挙げられます。
営業利益や経常利益などは、大きく目標を達成できました。
連結売上高 / 年別推移

連結売上高は、スライドに示されているとおり、順調に成長しています。
セグメント別売上高 / 四半期別推移

セグメント別の売上高について、各事業の概要はスライドをご覧ください。全体では前年同期比17.1パーセントの成長となっています。
マーケティング支援 セグメント別売上高 / 四半期別推移

マーケティング支援セグメントについてです。先ほどもお伝えしたとおり、このセグメントは私たちの利益成長の要であり、業績が順調に伸びていることを非常にポジティブに捉えています。
リテール事業の成長に伴い、広告領域だけでなく販促領域も拡大していることをこれまでお話ししてきましたが、そちらを十分に取り込むことで、大きく成長を遂げていると考えています。また、広告領域も同様に成長しています。
営業利益については、将来を見据えて営業基幹システムの改修のための投資を積極的に行っています。これは、売上が伸びてもコストがあまり増加しない環境を整えるためのものです。このため一定のコスト増加は発生していますが、そちらを吸収しつつ、利益をほぼ同水準で維持できていると考えています。
リテール(オンライン・オフライン) セグメント別売上高 / 四半期別推移

リテール事業についてご説明します。前年同期比では8.8パーセントの成長を記録しました。ただし、第4四半期においてはECの倉庫移転に伴い出荷遅延が発生し、多くのお客さまにご迷惑をおかけしました。大変申し訳ございませんでした。しかし、この問題はすでに解消されており、既存事業としては順調に成長したものと考えています。
一部店舗ではインバウンド需要の減少や、長年運営を続けている既存店の一部で苦戦する場面も見られましたが、ECが順調に倉庫移転の影響以外は成⻑したと認識しています。売上高も成長を維持しており、営業利益率もこれらの影響がある中でも前年とほぼ同水準を確保できたと考えています。
グローバル セグメント別売上高 / 四半期別推移

グローバルについては、香港旗艦店や中国越境ECの寄与によって増収となりました。しかし、香港旗艦店ではオペレーションの最適化に時間がかかり、売上が計画を下回ったため、営業利益が赤字となりました。ただし、全体としては前年に比べてかなり大きく改善しています。
改善の要因として、中国越境ECが大きく回復してきたこと、さらには韓国事業が順調に成長していることが挙げられます。これらによる利益の積み上げが、香港におけるマイナス分をある程度相殺したと考えています。
その他 セグメント別売上高 / 四半期別推移

その他のセグメントは、営業投資有価証券売却により増収増益となりました。
販売費及び一般管理費 / 四半期別推移

販管費率は全体として下降傾向にあります。コストについては一部増加しているものもありますが、コントロールの範囲内であり、特に問題はありません。
限界利益 / 四半期別推移

限界利益の推移です。利益率の低いリテール事業やグローバル事業がボリューム面で伸びていることもあり、限界利益率はほぼ横ばいで推移しています。
セグメント別営業利益 / 四半期別推移

セグメント別営業利益についてです。スライドは先ほど申し上げた内容をまとめたものとなっています。全体としては前年同期比で44.8パーセント増と大きく成長しました。通期の営業利益率も、微増ではありますが、全体を引き上げて着地できたと思います。
EBITDA / 年別推移

EBITDAも順調に拡大しています。稼ぐ力は過去最大となっており、今後もこちらを順調に伸ばしていく計画です。
ROE / 年別推移

ROEに関しては、Amazon.com, Inc.および三井物産株式会社のCB転換があったことで自己資本が増加し、前年同期比では減少しました。しかし、資本コストを上回って推移しているため、問題はないと考えています。
KPI ユーザーアクションの総数

続いて、直近の運営サービスの状況についてご説明します。ユーザーアクションの総数は順調に成長しています。
KPI @cosmeの会員数の推移

「@cosme」の会員数も順調に増加しています。
業界内外との共創する大型イベント「Tokyo Beauty Week」今年も開催

前期に初めて「Tokyo Beauty Week」という大きなイベントを開催しました。ユーザーのみなさま、ブランドのみなさま、そしてベニューパートナーのみなさまから非常に高い評価を得ることができました。
今期はこの「Tokyo Beauty Week」をさらにパワーアップして開催し、「ファッションのパリ、ビューティの東京」と評価されることを目指して、全力を尽くしていきたいと考えています。
以上、前期決算の概要についてお話ししました。次に、アイスタイルの今後の成長戦略と展望について、吉松よりご説明します。
成⻑戦略と展望

吉松:私からは「アイスタイルの成長戦略と展望」について、スライドの5つの観点からお話ししたいと思います。
1. 今、問われていること

1つ目の「今、問われていること」についてです。先ほど遠藤がお話ししたように、ここ数年をかけて私たちが取り組んできたメディア・EC・店舗の三位一体の基盤がようやく確立し、次の成長につながる非常に力強い手応えを感じることができました。
だからこそみなさまから問われているのは、「その次にアイスタイルはどうしていくのか?」「AI時代に口コミの価値はどうなるのか?」「店舗はどれぐらい伸ばしていくのか?」「化粧品業界はこれからどう変わっていくのか?」「その中で『@cosme』は本当に大丈夫なのか?」「アイスタイルはどこ・何を目指しているのか?」であると感じています。
2. この数年の振り返り

具体的に次に進むためには、この数年で私たちが何に取り組んできたかを振り返ることが重要です。スライドに示しているように、大きなポイントだったのは、「リテールの強化が私たちの成長基盤になる」という話が最も重要だったと考えています。
2-a. リテール領域の強化が成⻑基盤になる(FY21発表方針の再掲)

5年前の2021年6月期において、私たちはリテールをより強化していくという方針を打ち出しました。
これまでのようなメディアとしての規模感や、WebメディアでのMAU(月間アクティブユーザー)の成長だけにとどまらず、ブランドとユーザーをつなぐマーケティング支援において、販売力そのものが重要な要素となると考えたためです。
そのため、ネットとリアルの融合も視野に入れながら、私たちはリテールの強化に注力してきました。
2-b. 方針に基づいたアクション

その第1弾として、2020年1月に初の旗艦店「@cosme TOKYO」を出店しました。当時は、ネガティブな意見も多く寄せられました。振り返ると、当時は「これからECが伸びていくからショールーミング化していく」や「店舗の位置づけは大きく変わる」というお話もありました。
これまでに400坪を超えるような大型の専門店はなく、店舗の規模が異次元の大きさであったため、「どうやってお店を埋めていくのか」といった議論もある中で、私たちはネットとリアルを融合させた新しい提案型の旗艦店「@cosme TOKYO」を2020年1月にオープンしました。
その直後、コロナ禍という想定外の大きな困難が日本全体、さらには世界全体に影響を与えることとなりました。私たちも、それまで力を注いできた海外事業について、選択と集中の観点から大幅な縮小を余儀なくされました。
また、その2年間で資本にも損傷があったため、2022年にAmazonさまおよび三井物産さまとの業務資本提携を行い、資本の強化を図りました。そちらを受けて、2023年には「@cosme OSAKA」のオープン、さらにAmazonでの「@cosme SHOPPING」のオープンと、大きな一歩を踏み出しました。
2024年には、ソーシャルマーケティングの強化を目的にトレンダーズとの資本業務提携を締結しました。2025年にはデータコンサルティングのサービスをローンチし、第3の旗艦店「@cosme NAGOYA」をオープンしました。また、新しい取り組みとして「Tokyo Beauty Week」も進めています。
その中で、私たちは次のステージへとつながる重要な一歩として、昨年12月に海外初の旗艦店「@cosme HONG KONG」をオープンすることができました。
2-c. 当社業績の変化①:リテールとのシナジーでマーケティング支援(BtoB)が成⻑

私たちは、5年前に掲げた方針に向けて、一つひとつの施策を着実に実行してきました。その結果数字の面でも成果が現れ、2026年6月期においてはコロナ禍前の2019年6月期に対して、セグメント合計で売上高を3.5倍まで伸ばすことができました。営業利益も3倍まで成長しています。
なにより大きかったのは、マーケティング支援がリテールの規模と同じような営業利益を生み出せるようになったことです。
ここ数年、「『@cosme』はWebサービス・マーケティングソリューションからリテールの会社に大きく舵を切るのですか?」というお問い合わせをいただくことがありました。私たちは「マーケティング支援を行うためにもリテールを強化しているのだ」というご説明を続けてきました。
ようやくそれが実を結んだ重要な年だったと思います。
2-c. 当社業績の変化②:単一チャネルに依存しない事業成⻑

この数字を支えていたのは、メディアの成長に左右されない収益基盤でした。途中から私たちはMAUではなく、ユーザーアクション総数を大きなKPIに置き換えました。
ネットとリアルの融合、特にリテールの成長がマーケティング支援やユーザーとブランドの出会いに大きく寄与することを、数字としてもようやく実証できたと思っています。
2-d. 化粧品業界の変化①:J-Beautyの苦戦と流通チャネルの空洞化

一方で、化粧品業界全体の状況については、次のステージに進むための変革のフェーズからまだ抜け出せていないと考えています。具体的には、大手3社の時価総額の合計は、コロナ禍前の2019年と比較して60パーセント減少しています。
日本の化粧品市場全体としても3パーセントから4パーセントのCAGR(年間平均成長率)で推移しており、依然としてインバウンドに大きく依存しているという事実があります。さらに、日本の化粧品の海外輸出額は直近3年間で25パーセント減少しています。
流通においても、EC化率は10パーセント未満と他国に比べて低水準です。百貨店はピーク時の店舗数から半減し、ドラッグストアも店舗数が飽和気味になってきています。
2-d. 化粧品業界の変化②:マーケティングの高度化とシステム投資の肥大化

マーケティングは非常に難しいフェーズに入っています。顧客との接点はますます複雑化、多様化、細分化しており、その中でAIが急速に台頭し、生活スタイルそのものに大きな変化を生み始めています。
それに伴い、システム投資コストが増加しており、ITやEC分野でも新しい投資とともに維持コストが増えています。セキュリティリスクが高まるにつれて、そちらへの投資も必要となっています。
このように、マーケティングの高度化と多角化に伴うシステム投資が求められる状況ですが、投資を行ったとしても、実際の営業収支と直線的に連動するわけではありません。
そのため、収益性やROIの維持について、経営サイドとしては非常にコントロールやハンドリングが難しい時代に入ったと感じています。
2-d. 化粧品業界の変化③:際立つ@cosmeの強さ

このような状況の中で「@cosme」は、ネットとリアルを一気通貫し、両面のデータを多面的に捉えることで生活者の理解を深め、ネットとリアルの両方を活用したプラットフォームを通じてブランドや生活者を支援するサービスとして、ようやく確立されてきました。
私たちの強みとして挙げられるのは、「ネットの会社がリアル店舗を始めたから、あるいは流通に強い会社がネットサービスを買収したからといって、すぐにネットとリアルを融合させたサービスが実現できるものではない」という点です。
こちらを実現するためには、生活者中心の市場を構築するための組織体制が必要です。そして、私たちがその組織体制を整えていることは、数字では表せない私たちの強さだと考えています。この強みを背景に、この業界での独自のポジションを確立できていると感じています。
3. AIが引き起こす業界の変化

AIは新たな変化を生み出そうとしています。これまで以上に生活者のスタイルが大きく変化しており、化粧品選びもさらにAIに依存するようになるでしょう。
しかし、大事なのは、AIが提示した答えの次にどのような一歩を踏み出すかということです。店舗を訪れることや人に相談することなど、さまざまな選択肢が考えられます。
何をもって次の一歩を選択するのか、このステップや次の体験をどのように作り上げるかが非常に重要になっています。AIは、入口の選択肢が1つ増えたにすぎないのです。
10年前にアプリが普及したことや、20年前にGoogle検索が伸びてきたことと同様に、最終的にはユーザーが商品を購入する前の選択肢が増えただけであり、AIからの次のステップが非常に重要になっています。
化粧品業界では、AIの活用によって、あるブランドでは研究開発が加速し、ブランドや商品の開発スピードが短縮されるという発表があります。
しかし、ブランドの開発スピードが向上し、世の中にブランド数が早く増えたとしても、この増加が生活者の課題解決につながるとは限りません。
すでに市場には、オーバーブランドと思えるほど多くのブランドや商品が存在しています。重要なのは、正しい出会いを設計することが不可欠であるという点です。
ただし、マーケティングにおいて各企業はユーザーデータを収集し、ユーザーの分析を行い、レコメンドやAIに注力することでユーザー理解を進めています。しかし、生活者のデータを深く理解しているからといって、それが生活者がそのブランドを好きになることに直結するかといえば、それは別の話です。
これは人間関係にも当てはまるでしょう。例えば、興味を持っている相手の情報を把握し、その人の生活パターンを理解したとしても、こちらがどれだけその相手を理解したからといって、相手が自分を好きになってくれるとは限らないのです。
重要なのは、相手に好きになってもらえる可能性を高めるためのプロセス設計です。これが非常に重要であり、視点を逆転させるべきだと考えています。次の時代に求められるのは、「ユーザーがブランドを好きになってくれるプロセスをいかに設計できるか」だと思います。
このプロセスは、ネットとリアルの境界を越え、口コミやAIなどあらゆる要素を統合して構築していく必要があります。それこそが、これからの時代において最も重要な取り組みだと考えています。
4. これからの市場競争における要諦

これからの市場で強くなっていく会社はどのような会社でしょうか? それは既存事業の構造の延長線上にはないということは、みなさますでにおわかりだと思います。
既存サービスの強化において、単に店舗数やリーチの拡大を図るのではなく、ネットとリアルが密接に連携する中で、生活者がブランドを好きになるプロセスを再設計することが求められます。
さらにそのことを、日本やその他の特定の国にとどまらず、国境を越えたプラットフォームの中できちんと実現していくことが重要です。
ネットとリアルの融合、ブランドを好きになっていくための体験設計、さらにグローバル展開を実現できる企業こそが、次の市場競争において強い企業となると、私たちは考えています。
5. アイスタイルの成⻑戦略と展望①

アイスタイルの成長戦略については、次の未来を見据えた3つの施策を考えています。「@cosme」のアップデート、新領域への事業展開、そして新しいグローバル展開を踏まえたBeauty経済圏の確立です。
「@cosme」のアップデートと新領域への事業展開については、以前の中期事業戦略でもお話ししました。スライド左側のグラフを、スライド中央の円グラフの中に当てはめると、これまでご説明してきたグラフになります。
特に「@cosme」のアップデートでは、これまでご説明してきたメディア、EC、店舗という三位一体に加え、SNSを含めたネットやイベントなど新しいエリアのサービス、さらにAIを統合し、三角形から六角形へのサービス進化を目指します。
このヘキサゴンのサービスに向かって「@cosme」をどのようにアップデートしていくかが、私たちの次の大きな一歩となります。
このような戦略を踏まえ、生活者がブランドを好きになる体験を設計し、新領域へと展開していきます。そして、グローバルも含めた新しい経済圏を確立することが、私たちの新しい成長戦略となります。
(参考)日本・韓国の化粧品輸出額 増減率推移

特に現在、韓国と日本の化粧品輸出額を比較すると、過去3年間で韓国は急成長し、日本の約3倍に達しています。一方で、日本は2021年に新型コロナウイルスの影響がピークとなったことで、投資が難しくなったためか、減少傾向が続いています。
この状況は非常にもったいないと言えます。業界に可能性があることは感じていますし、国全体としてもこれを大きな成長戦略の機会として捉えています。
(参考)オールジャパンでJ-Beautyの復興へ

昨年から、日本の化粧品業界の国際競争力を高めるために官民一体となって本格的に動いています。昨年12月には経済産業省から「化粧品産業競争力強化検討会」が立ち上がり、内閣府からも「新たなクールジャパン戦略ワーキンググループ」が発足しました。
与党の自民党でも「J-Beauty産業研究会」として国家戦略化に向けた政策提言が進められています。さらに、経済産業省が海外展開目標額として2兆円という現状比で約4倍の目標を表明し、具体的な数字を示してきました。
この業界に携わって30年近くになりますが、これまでなかなか動かなかった国が動き、この間の成長戦略の17分野に化粧品領域も含まれるようになりました。
5. アイスタイルの成⻑戦略と展望③:グローバル展開

韓国のコスメ市場の世界的な成長は、日本の化粧品市場の成長可能性を示唆しているにすぎないと考えています。
ご存じのとおり、「TikTok」や「YouTube」、「Instagram」といったすべてのプラットフォームが国境を超えて展開されています。あとは、それらを活用して、どのようにブランドやマーケティングを介在させ、具体的なサービスとして成長させていけるかが重要です。
私たちは、このような状況の中で、新しい東アジアのビューティ経済圏を着実に構築していきたいと考えています。
5. アイスタイルの成⻑戦略と展望④

海外も含めた「Beauty経済圏」の確立に向けた施策は、これから始めるのではなく、すでにこの数年間で私たちは手を打ってきています。
実際に、スライドの左側にある円の上の赤い三角形、つまり「三位一体」に関しては、より強化するためのサービスも設計しています。さらに新しい青い三角形を含めて六角形に進化させるための「@cosmeデザインLab」も、社内で立ち上がり、「@cosme」のアップデートに関する検討が進んでいます。
サービスとしては、トレンダーズさまとのソーシャルメディア強化を含め、「Tokyo Beauty Week」という新しいリアルでのイベントも進行中です。さらに、「ASIA BEAUTYTECH AWARDS」という取り組みも進行しており、AIを活用した新しいサービスの開発も進んでいます。
新サービスの観点では、「@cosme+」というサプリメント事業も立ち上がりました。これが第一歩となります。また、フェムケア系のサービスとしては、「carefull」というサービスが昨年当グループに参画し、次のステージへ進み始めています。
Beauty経済圏の確立に向けて、コロナ禍で一時撤退を余儀なくされた中でも、私たちが提供を続けてきたサービスがあります。韓国では「GLOWPICK」、そして「@cosme(台湾版)」、中国では「@cosme in Tmall Global」、さらに「Over The Border」というソーシャルサービスも展開しています。
昨年、「@cosme HONG KONG」という旗艦店でリアルでの展開を開始しました。この旗艦店では、韓国・日本・台湾の各ブランドから商品を集め、日本よりも多くのブランドが揃う新しいかたちで展開しています。
これまでスライドで示した赤い三角形を強化していくとお伝えしてきましたが、これからは次のステージへと入り、私たちの次なる大きな成長につなげていきたいと考えています。
これからの発表では、私たちがこの3つの成長戦略に向けてどのように進化していくのかということを踏まえて、お話ししたいと思います。
株主還元強化を含む資本政策の概要

株主還元強化を含む資本政策についてです。特に重要なのは、Amazon.com, Inc.が保有する第24回新株予約権を私たちが取得し、消却することです。さらに、自己株式の取得と安定的な株主基盤の強化という、3つの大きな取り組みを発表しました。
1. 第24回新株予約権(潜在株式)の取得①:概要

まずAmazonさまの新株予約権ですが、全体として4,300万株という、全体の40パーセント以上の希薄化を含む大きなものでした。当時、私たちはAmazonさまに対して、2つのCBと新株予約権の発表を行いました。
CBは資本の増強を目的として借入金の返済に充当し、新株予約権は次の事業成長を見据えたシステム成長やセキュリティ投資に使用すると説明しました。
CBについては、昨年実際に株式に転換されました。新株予約権については、Amazonさまと討議を重ねてきましたが、私たちの事業成長が予想以上に早く進んだことにより、システム成長やセキュリティ投資について新株予約権を行使せずとも対応できると判断しました。そのため、今回は新株予約権を行使せず、当社が買い取って消却する計画としました。
これにより、大きな希薄化を伴うことなく、次の成長に進むことができたと考えています。
1. 第24回新株予約権(潜在株式)の取得②:業務提携の継続・強化

Amazonさまとの業務提携については、今後もより強く継続・強化していくことを両社であらためて認識し、次の一歩を進めています。商取引に関する契約も新たに更新予定で、取り扱い商品の「@cosme SHOPPING」も引き続き大きな成長を遂げています。
2・3. 自己株式の取得決定・増配

株主のみなさまに対しては、自己株式の取得として28億円、株式総数で最大750万株の取得を視野に入れた対応を実施することになりました。また、配当については前期の倍となり、金額としてはまだ小さいものの、1株あたり1円から2円への増配を行うことになりました。
これによって、従来のアイスタイルにとどまらず、次のフェーズへ進むためのスタート地点となる土台がようやく整い、第一歩を踏み出すことができたと考えています。こちらを基盤として、さらなる事業計画と成長を目指し、今期の第1期の事業計画を策定してきました。
EBITDA / 年別推移

EBITDAについてです。再掲となりますが、稼ぐ力が向上しており、今期は70億円、80億円と、次の成長に向けてさらに稼ぐ力を伸ばしていきたいと考えています。
今期の事業計画については、遠藤からご説明します。
2027年6月期 事業計画 / 概要

遠藤:2027年6月期の事業計画についてご説明します。2027年6月期の事業計画では、売上高は900億円を目標とし、営業利益は50億円を計画しています。こちらは前期比で売上高がプラス10.0パーセント、営業利益がプラス22.4パーセントの増加を見込んでいます。
先ほど吉松がご説明したとおり、新株予約権を消却するにあたり、特別損失を計上するため、純利益は14億円となります。特別損失計上前の計画では34億円を見込んでいましたが、最終的にこの消却を決定し、純利益は14億円に着地する見込みです。1株当たり配当金は2円を計画しています。
2027年6月期 事業計画 / 各セグメント

各セグメントの計画についてです。マーケティング支援事業では前期比11.7パーセント増の売上高135億円を目指しており、営業利益は前期比5.2パーセント増の37億円を見込んでいます。
この点については、みなさまからさまざまなご質問をいただくかもしれません。売上高は前年比11.7パーセントの成長を予測していますが、営業利益についても、事業自体の成長はさらに上回ると見ています。ただし、マーケティング支援事業にはアイスタイルグループのテクノロジー関連の費用など、さまざまなコストが含まれています。
具体的には、セキュリティやデータベースの再整理など、近年5年間にわたってテクノロジー関連、特にセキュリティやデータベースの移行等に関わる投資を行ってきました。
その投資分が今期から償却費として反映されることもあり、営業利益がやや弱含みとなる見通しです。しかしながら、トップラインのさらなる成長により、従来と同様の成長性を今後示していけると考えています。
リテール事業においては、売上高が前期比8.1パーセントの成長、営業利益が前期比13.9パーセントの成長を見込んでいます。グローバル事業では、売上高が前期比39.0パーセントの成長を目指しており、営業利益についても前期は赤字でしたが、今期は黒字化を目指します。
2027年6月期 事業計画 / 計画の前提

マーケティング支援事業については、既存の広告・ソリューションサービスにおける取引ブランド拡大に近年努めてきましたが、こちらをさらに伸ばしていきます。
新しい広告サービスについては、以前お話ししたとおり、今期の後半に立ち上げる予定ですので、事業計画上ではほとんど考慮していません。
ただし、そのための先行投資として、DX人材やAI人材の確保、セキュリティコストなどの費用を進めていくため、利益成長は限定的になる見通しです。
リテール事業においては、新たに2店舗の新規出店と3店舗の既存店改装を計画しています。既存店改装といっても、基本的には店舗規模を拡大する内容であり、かつての新規出店に相当するような規模の改装を計画しています。
ECでは、メディアや店舗との連携をさらに強化し、「@cosme BEAUTY DAY」も順調に成長していることから、新たなお客さまの獲得を進めていきます。
グローバル事業については、冒頭で申し上げたとおり、中国の越境EC事業が非常に順調に成長しています。この成長に加え、「@cosme HONG KONG」はオペレーションの改善がほぼ完了し、これから攻める段階になったと考えています。そちらの利益貢献を下期から見込んでおり、セグメントのトータル黒字化を今期目指していきたいと考えています。
営業利益の増減要因 / 販管費別

全体で見た営業利益の増減要因についてです。前期は営業利益が40億9,000万円でしたが、今期は売上総利益がプラス38億円となります。一方で、人材関連費用が11億円、システム関連費用が6億円、物販関連費用が5億円、その他費用が7億円の増加を見込んでおり、最終的な営業利益は50億円に着地する見通しです。
人材関連費用については、マーケティング支援事業の体制強化を図るとともに、国内での新規出店が進み、店舗数の増加に伴って人員が増えることで、これらのコストを見込んでいます。
システム関連費用については、セキュリティコストやシステム基盤の改修を進めています。短期的な視点ではなく長期的なものを見越し、この分野への適切なコスト配分を会社方針として掲げているため、費用は今後も増加する見込みです。
ECに関しては基幹システムを全体的に見直すプロジェクトを継続しています。この投資は今期も継続中です。物販関連費用は変動費であるため、大きな問題はないと考えています。その他費用については、大きな投資ではありませんが、積極的に攻めていくための費用として計上しています。
リテール(オンライン・オフライン)店舗:今後の新規出店・改装の予定

店舗展開についてです。今期は新規で2店舗、増床で3店舗を計画しています。新規店舗としては、2026年10月に京都河原町、2027年6月に福岡天神に新店舗をオープンします。なお、福岡天神店のオープンは今期の終わりにあたります。
増床については、来月に東京有楽町、2026年11月に函館を予定しており、函館については増床計画ながら、ほぼ同面積となります。さらに、新たに1店舗を増床する計画があり、時期は未定ですが今期中の実施を予定しています。
来期については、新規店舗を1店舗、増床を3店舗計画しています。特に大規模な増床計画も含まれていますので、発表可能なタイミングになりましたらあらためてお知らせします。
2029年6月期に関しては、現在1店舗の増床を決定していますが、他案件についても多くのご提案をいただいています。そのため、吉松のご説明のとおり、リテールをしっかりと伸ばす一方で、BtoBビジネスも成長させていきます。
私たちは、ネットとリアルの融合を実現するにあたり、新しい店舗を次々と作るのではなく、増床などを通じてさまざまな体験ができる場を提供し、ネットとリアルがより密接につながる体験を創出していきます。このような取り組みにより、店舗での大幅な売上・利益の成長を見込んでいます。
連結業績の推移(売上高・営業利益)

連結業績の推移についてです。中期事業目標として掲げていた計画は、今期の900億円から1,000億円を目指し、順調に進んでいる状況です。営業利益についても、今期は50億円で、目標として掲げている利益率8.0パーセントの80億円の達成に向けて進行中です。
私たちとしては、売上高1,000億円や営業利益80億円といった目標はあくまで事業を進めていく上での通過点と考えています。先ほど吉松が述べた戦略を実現していくことで、さらに大きなビジョンを目指したいと考えています。
そのため、縮小均衡ではなく、投資が必要な部分には適切に投資を行うという従来のスタンスを崩すことなく継続していきたいと思っています。
ROE / FY27見込み

ROEについてです。自己株式の取得や特別損失の計上などが影響し、一時的に6.6パーセントまで下がります。しかし、明確な意思を持って進めてきた結果であり、一過性のものであると考えています。その点についてはご安心いただければと思います。
特別損失計上前の最終利益では、ROEは13.1パーセントとなります。前期より下がっているように見えるのは、一部税金の計算が変更された影響によるもので、事業には大きな影響はありません。その点をご理解いただければと思います。
想定質問と回答

「想定質問と回答」として、一部、みなさまから寄せられるであろう質問を記載しました。
「インバウンド需要はどうなるのですか?」というご質問に関しては、前期に影響を受けたため、リテール事業に前期下期の実績ベースで反映しています。そのため、大きなずれはないと考えています。
マーケティング支援事業については、中東情勢による地政学的リスクなどはあまり影響しないと見込んでいます。
ECの倉庫移転に伴う発送遅延については、今年5月の時点で倉庫業務が正常化に向かい、解消されています。倉庫管理を委託している物流代行会社との交渉も終わり、補償金は前期の業績に反映済みです。そのため、今期の業績に対するマイナス影響は一切ありませんので、ご安心ください。
グローバル事業について、「『@cosme HONG KONG』は大丈夫なのか?」という疑問にお答えすると、店頭や倉庫のオペレーションがようやく落ち着いたところです。そのため、これからは攻めに転じる時期だと考えています。
私たち自身も生活者理解をさらに深め、本当に生活者に支持され、愛される企業となることを目指しています。特に香港市場に関しては、生活者の視点をあらためて見直しながら攻めのフェーズに移行する計画です。今期の下期から黒字化を実現するべく、現在進めています。
以上、今期の計画についてご説明しました。最後に吉松から、あらためてご挨拶します。
吉松:前期の実績と今期の計画について簡単にご説明しましたが、次の新しいフェーズに明らかに入っていると社内メンバーも感じています。
数字としても確実に達成していきたいと思いますし、先ほどの話にもありましたように、投資すべきところにはしっかり投資し、還元すべきところにはしっかり還元していくという、新しいアイスタイルになったと考えています。
みなさまのご指導を今後ともいただきたく思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
質疑応答:Beauty経済圏の東アジアへの集中と国際展開戦略について

司会者:「成⻑戦略について質問です。Beauty経済圏は中華圏などに偏っている印象です。ここもとインドネシアやフィリピンなど、急激にアジアのEC化が進み、Kビューティーも急伸しています。アジアの対象地域をカントリーリスクの高い中華圏依存度を下げる選択肢はないのでしょうか? 地域戦略の補⾜をお願いします。
また、K-Beautyからのインプリについてです。K-Beautyは先行指標と発言がありました。K-Beautyはインフルエンサーマーケティングの活用、OEM中心など、いくつか特徴があります。何を採用強化していくのでしょうか?
また、AI活用のマーケティングコンサルのさらなる強化の部分で、期待するとよいですか? 27年6月期下期に立ち上がり、28年6月期にはどのくらい利益貢献するの
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