第138回 個人投資家向けIRセミナー 第3部
新コスモス電機、国内トップシェアの家庭用ガス警報器が伸長 売上高500億円を突破し営業利益42.6%増
目次

山田芳穂氏(以下、山田):取締役管理本部長兼経営企画室長の山田です。それでは、ただいまより新コスモス電機の説明会を始めます。どうぞよろしくお願いします。
本日は土曜日の昼間でお休みのところ、当社の説明会をご覧いただき、誠にありがとうございます。本日の説明会は、目次の内容に沿って進めます。
01 新コスモス電機について 「世界中のガス事故をなくす」ために

山田:まずは、当社についてご説明します。本日は、もともと当社にご興味をお持ちいただき、ご覧いただいている方もいれば、他社の説明会をご覧になるついでに当社の説明会をご覧いただいている方もいらっしゃると思います。そのような方のために、まず当社が何をしている会社なのかについてお話ししたいと思います。
私ども新コスモス電機グループは、「世界中のガス事故をなくす」という理念で事業を展開しているガス警報器の専門メーカーです。その中核を担っているのが当社、新コスモス電機です。
新コスモス電機は、1964年に世界で初めて家庭用ガス警報器を開発し、現在では、日本の家庭内でのガス事故による死者はほとんどゼロに近い状況となっています。
一方で、産業分野に目を向けると、いまだに多くのガス事故が発生しています。世界全体に目を向けても、やはりガス事故は非常に多く発生しています。
新コスモス電機およびグループ会社すべてが、「世界中のガス事故をなくす」という思いを持ち、現在取り組みを進めています。
01 新コスモス電機について 「新コスモス電機」とは・・・

山田:とはいえ、ガス警報器はみなさまにとってなじみが薄い製品かと思いますので、少し身近な例でご説明したいと思います。
一番は、みなさまのご自宅に設置されている「ガス警報器」や「火災警報器」ではないかと思います。関東地域では東京ガス、関西地域では大阪ガスなどが販売しているガス警報器や住宅用の火災警報器などを、新コスモス電機が製造しています。
一方で、トヨタ自動車が現在発売している燃料電池自動車「MIRAI」には、当社の水素センサが搭載されています。このような燃料電池自動車が街中で水素を充填するための水素ステーションでも、当社の水素センサが活用されています。
また、アウトドアをされる方の中には、スライド右下にあるような小さな丸い製品をお使いの方もいらっしゃるかもしれません。キャンプや登山など、アウトドアで使用する一酸化炭素アラーム「COALAN(コアラン)」といった製品も作っています。
02 事業内容 会社概要

山田:当社の事業内容についてご説明します。あらためまして、社名は新コスモス電機株式会社で、本社は大阪市淀川区にあります。設立は1960年で、今年設立67年目を迎えました。資本金は14億6,000万円で、東証スタンダード市場に上場している会社です。
02 事業内容 事業内容

山田:事業内容としては、ガス警報器の要となるガスセンサの研究開発・製造をはじめ、そのガスセンサを搭載した家庭用ガス警報器や工業用の定置式、あるいは業務用携帯型と呼ばれるガス検知器の開発、製造、販売を行っています。さらには、産業用製品に関してはメンテナンスまで一貫して行っています。
グループ会社の中には、ガスセンサの研究開発・製造・販売を専門に行う企業や、メンテナンスサービスのみを提供する会社等もあります。
02 事業内容 沿革

山田:沿革についてお話しします。先ほど、1960年に新コスモス電機が設立されたとお伝えしましたが、実は当社は、二度の倒産を経てできた企業です。
前身の会社は、福島電機製作所という会社です。この会社が二度倒産したあと、新コスモス電機という現在の会社が設立されました。
もともとはボリュームコントロールという製品を製造していました。現在ではあまり馴染みがないかもしれませんが、これはテレビやラジオのチューニングや音量を調整するための部品です。当時、ボリュームコントロールの製造・開発していましたが、ある時不具合が見つかりました。
実際に何があったかというと、回転をよくするために使用していたグリースを、有機溶剤であるシンナーのようなもので拭き取ろうとしたところ、すべてが不良品(ロットアウト)になってしまう事態が発生しました。
その原因は、拭き取りに使用したシンナーが揮発し、そのガスがボリュームコントロールの一部に接触して、ボリュームコントロールの本来の性能に変化を生じさせていたためです。
その時、当時の経営陣が逆転の発想で「ガスによって変化するのであれば、見えないガスが、それを使えば見えるようになるのではないか?」という考えに至り、ガスセンサの研究開発に着手しました。
当時の時代背景として、家庭へLPガスが普及し始めた時期でもあり、ガス事故が多発していました。そのような状況を少しでも減らすべく、1964年に世界初の家庭用ガス警報器を開発しました。
その後、岩谷産業株式会社よりLPガス警報器「みはり」が発売され、1980年には家庭用都市ガス警報器の販売も開始しました。
さらに、会社の大きなターニングポイントとして、2016年にフィガロ技研株式会社をグループ会社化し、2018年には北米市場向けに家庭用ガス警報器の供給も開始しています。そのような沿革を辿って現在に至ります。
02 事業内容 拠点

山田:現時点でのグループ会社も含めた拠点については、国内には事業所が17ヶ所、海外にはタイとフランスのパリの2ヶ所に事業所を設けています。
グループ会社は国内に5社、海外に10社あり、海外の子会社は中国、韓国、台湾、アメリカ、オランダで展開しています。最近では、グローバル展開に非常に注力しています。
03 当社グループの強み 1-1 家庭用も産業用もを手掛けるガス警報器メーカーは国内で当社のみ

山田:当社および当社グループの強みについてお話しします。
1つ目の強みは、冒頭でもご紹介いただいたように、家庭用から産業用までを網羅しており、国内ではどちらも行っているガス警報器メーカーは当社のみという点です。
家庭用は、台所に設置し、ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素を検知する機能を持っています。産業用は、工場に据え置いたり、作業員の命を守るなど、まったく異なる用途で使用されます。これら2つの商品群を取り扱っていることが、当社の大きな特徴といえます。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):御社は家庭用と産業用の両方を手掛けるガス警報器メーカーですが、一般向けと産業向けの両方を取り扱うことで、経営の安定性や技術開発面での強みがあると思います。
例えば、高度な技術が必要な産業用を先行して開発し、それを簡略化してコンシューマー向け、すなわち消費者向けの製品として展開するのか、あるいはその逆なのか、といったニーズの違いについてもお聞かせいただけますでしょうか?
山田:家庭用ガス警報器の最大の技術的なメリットは、5年間ノーメンテナンスで使用できる点にあります。ご家庭の台所に設置して、5年間まったくメンテナンスを必要としないため、非常に高い長期安定性が求められる製品です。
一方で産業用製品は、定期的なメンテナンスをおおよそ1年程度で行うことが一般的ですが、使用環境が特殊です。例えば、海辺の工場であれば潮風にさらされる、鉄鋼工場であれば高熱にさらされる、といった状況があります。また、非常に低濃度のガスを検出する必要がある場合や、多様なガスの種類に対応する必要があるなど、まったく異なる用途や特性を備えた製品になります。
その2つがあることで、それぞれの技術開発で生じた特徴を、それぞれの製品群に活かせる点が技術的なメリットとなります。
家庭用製品については、先ほどお話ししたとおり5年間で更新する製品であるため、ある意味では経営の基盤となり、売上や利益がある程度安定的に計算できる商品と言えるかもしれません。
03 当社グループの強み 1-2 家庭用ガス警報器は国内トップシェア

山田:先ほどお話しした家庭用の警報器についてですが、現在、新コスモス電機は国内で約5割のトップシェアを有しています。
都市ガス警報器の普及率は全国で約4割です。一方、LPガス警報器は、LPガスを使用しているご家庭の約8割に設置されている商品です。
03 当社グループの強み 2-1 ガス警報器のコアとなるセンサの研究開発から行う技術集約型企業

山田:2つ目の強みは、ガス警報器のコアとなるガスセンサの研究開発を自社で行っている点にあります。
スライドに記載されているように、ガスセンサには非常に多くの種類があります。測定対象となるガスの種類だけでなく、低濃度で測るのか、高濃度で測るのかによっても用途が異なり、多様なガスセンサが存在します。
そのような各種センサを基礎的な研究から開発し、さまざまな種類を取り揃えていることが、当社グループの強みだと思います。
03 当社グループの強み 2-2 独自のMEMS熱線型半導体式センサ

山田:その中でも現在最も力を入れているのが、MEMS技術を活用したガスセンサです。
MEMSは「微小電気機械システム」という技術の略称で、この技術を活用することで、センサの小型化や、省電力化が実現可能となります。その結果、これまで電源が必要だった警報器を電池で動かせるという大きなメリットが得られます。
このMEMS技術は比較的一般的な技術であり、世界を見渡すと、この技術をガスセンサに応用している企業はいくつか存在します。しかし、可燃性ガスの検知に特化してMEMS技術を活用したセンサを展開している点においては、実際のところ当社グループが最も進んでいるのではないかと考えています。
この技術により、電池式メタン警報器の開発が実現しました。この製品は、後ほど説明する北米市場における電池式メタン警報器の市場開拓にもつながっています。
03 当社グループの強み 3 グループ全体で世界トップレベルのガスセンサ生産能力

山田:3つ目の強みは、生産能力についてです。グループ全体でガスセンサの生産能力は、世界でもトップクラスとなっています。
兵庫県三木市には「コスモスセンサセンター」と呼ばれるガスセンサの製造拠点があります。2025年に新たに大阪市淀川区で淀川工場というセンサ工場を開設しました。
さらに、グループ会社であるフィガロ技研株式会社もセンサの製造工場を持っています。これら3つの拠点により、当グループは世界でも非常に高い生産能力を有しています。
04 中期経営計画2025-2027概要と進捗 計画の概要

山田:現在2年目となる「中期経営計画2025-2027」の概要と進捗についてご説明します。
この中期経営計画では、定性目標と定量目標の2つを掲げています。まず定性目標は、「MEMSガスセンサ技術を軸にグローバルに展開し、ガス事故ゼロとカーボンニュートラル社会の実現に貢献する」と掲げています。
定量目標としては、連結売上高で600億円以上、海外売上高比率で50パーセント以上、営業利益率で12.5パーセント以上、PBRで少なくとも1.0倍、ROEで8.5パーセント、ROICで8パーセントを目標としており、現在取り組みを進めています。
04 中期経営計画2025-2027概要と進捗 計画の概要(考え方)

山田:中期経営計画の基本的な考え方です。現在進行している中期経営計画だけでなく、その前にも3年間の中期経営計画がありました。今後も計画が終了すれば、新たな中期経営計画を策定するように、会社として事業は連続的に続いていきます。
その中で、本中期経営計画では、投資の収益化を図る「展開」と、将来に向けた新市場・新事業の基盤作りを行う「拡張」という2つのポイントに力点を置いて取り組みを進めています。
具体的に「展開」では、北米向け電池式メタン警報器の市場拡大、半導体市場での売上拡大、そして先ほどお伝えしたMEMSガスセンサの量と質の充実が主なポイントとなっています。
「拡張」では、カーボンニュートラル市場の基盤作りや家庭用電池式ガス警報器のラインナップ拡充を重点的な取り組みとして挙げています。
04 中期経営計画2025-2027概要と進捗 計画の進捗(1/3)

山田:さらに、その内容をより具体的にお話ししたいと思います。
まず1つ目は、北米向け電池式メタン警報器の市場拡大についてです。今回の中期経営計画が進捗する中で、大きなトリガーの1つとなっているのが、ニューヨーク市における電池式メタン警報器の設置義務化です。
もともと、この義務化に伴う警報器の設置期限は、2025年5月に設定されていました。この影響もあり、前期の売上ではこの製品が非常に好調でした。しかし、期中に設置の猶予期限が2027年1月以降に延期されるという変更がありました。それに伴い北米向けの売上は、第3四半期以降はやや落ち着いています。
ただし、北米市場での取り組みには引き続き力を入れており、ホームセンターでの取り扱い店舗の拡大やネットショップでの採用が増加しています。また、エネルギー事業者向けの販売も順調に計画どおり進行しています。さらに、取り扱い事業者の増加を目指して、サンプル提供を進めています。
市場拡大に向けた生産体制についてですが、北米向け製品はガスセンサと警報器の組立に分けて説明しています。当社では、ガスセンサに関してはコア技術として位置づけており、国内で生産を行っています。
坂本:自社で製造しているのですね。
山田:自社で製造しています。このガスセンサを協力会社に輸出したり、国内で供給するなどして、組立作業は協力会社に依頼しています。 その協力会社による組立は国内とメキシコで実施していますが、現在はメキシコでの比重が高くなっています。
坂本:需要地に近い場所ですね。
山田:おっしゃるとおりです。センサの生産能力としては現在年間200万個になっており、この中期経営計画期間中には、年間300万個まで生産できる体制を構築する予定です。
メキシコでも同様に生産増強を進めています。こちらの警報器の組立についても、中期経営計画の終了時までに300万個を供給できる体制を整える予定です。
04 中期経営計画2025-2027概要と進捗 計画の進捗(2/3)

山田:2つ目は、半導体市場における売上拡大についてです。当社の半導体市場向け売上は、中国、台湾、日本の3つのエリアでの販売が中心となっています。
前期の2026年3月期では、中国や台湾の半導体工場向け売上がやや不調で低迷ぎみでしたが、第4四半期頃から徐々に回復の兆しを見せています。その理由は、データセンター向けの需要や生成AIへの取り組みが世界的に広がり、そこへの需要増に対応するために工場での生産拡大が進んでいるためで、それによって警報器の需要につながっています。
その中で、当社が競合メーカーと差別化を図る強みとして、「熱分解コンバータ一体型」のセンサユニットを開発している点が挙げられます。
熱分解コンバータ一体型と言われても、具体的なイメージが湧きにくいかもしれません。これは何かと申し上げると、スライドに記載されているNF3(三フッ化窒素)やCOS(硫化カルボニル)といったガスは、直接ではなかなかガスセンサで検知しにくい性質を持っているため、熱をかけて別のガスに変換することで、検知しやすくなります。
坂本:複数のガスが混ざっていて、どのガスが漏れているのかわかりにくかったということですか?
山田:おっしゃるとおりです。このガスそのものでは検知が難しいため、従来はどうしていたかというと、スライドの写真にあるような警報器の横に、ほぼ同じ大きさの熱分解用ユニットを配置していました。そこにNF3やCOSといったガスを入れて分解し、検知していたのですが、これでは設置に多くのスペースが必要になってしまいます。
当社は、分解装置をセンサユニットと一体化することに成功しました。これにより、今画面に映っている警報器1台の中に分解装置を組み込むことができ、省スペースで現場に警報器を設置することが可能となりました。この技術が当社の強みとなっています。
このような製品を作ることで、他のライバルメーカーとの差別化や競争力の強化につなげていければと思います。
04 中期経営計画2025-2027概要と進捗 計画の進捗(3/3)

山田:3つ目は、欧州を中心としたカーボンニュートラル(水素)市場の基盤作りについてです。当初予定していたスピード感よりやや低下しているものの、引き続き、FCバスやトラック、フォークリフトなどへのサンプル提供は順調に進んでいます。
パリに事務所があるため、同事務所を拠点として、展示会への出展やWebを活用したPR活動を進めています。
また、水素ガス警報器に関しては、2025年5月に初代商品の開発が完了し、この商品がイギリスのSGN社が進めるグリーン水素プロジェクトに採用されました。
SGN社は、スコットランドに拠点を置くエネルギー事業者であり、同社は特定の地域で戸数限定でグリーン水素を家庭用エネルギーとして活用する実証試験を実施しています。この実証試験向けに、当社の水素警報器が採用されたという状況です。
04 中期経営計画2025-2027概要と進捗 2026年3月期の計画と実績

山田:終わった期である中期経営計画1年目については、売上高480億円、営業利益56億円、営業利益率11.6パーセントという計画でスタートしました。
第3四半期終了時点で上方修正を行い、2026年3月期は最終的に売上高500億9,100万円、営業利益73億5,100万円、営業利益率14.7パーセントで締めることができました。
05 2026年3月期決算概要 損益計算書(P/L)

山田:2026年3月期の決算概要について、詳しくご説明します。
売上高は500億9,100万円で、前期比18.8パーセント増となり、営業利益も73億5,100万円で前期比42.6パーセント増を記録し、増収増益で終えることができました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も大幅に上昇し、非常に好調な結果となりました。
第3四半期終了後に一度上方修正を行いましたが、さらにそこから上振れて終えることができました。第4四半期は季節的な要因として国内で売上が伸びやすい時期ということもあり、国内向けの産業用および家庭用製品が非常に好調で、最終的にこのような結果を達成することができました。
05 2026年3月期決算概要 商品別の概況

山田:現在の売上の中身について、商品別にご説明します。
家庭用の売上は296億500万円となり、前期比で大きく伸び、これが全体を牽引しています。特に、先ほどお話しした北米向けのメタン警報器や、グループ会社が販売している警報器用ガスセンサが牽引した影響で、売上が大きく伸びました。また、国内でも都市ガス警報器の売上が堅調で、家庭用全体として非常に大きな成長を遂げたことが実績として示されています。
一方、工業用に関しましては、前期比で2.8パーセント減という結果となりました。国内向けは比較的堅調でしたが、先ほどお話しした中国の景気低迷が大きな影響を及ぼしたと考えています。加えて中国・台湾における半導体工場向け事業も当社としては厳しい状況となり、前期比で2.8パーセント減という結果となりました。
業務用携帯型ガス検知器関連が前期比で11.6パーセント増となり、プラスで終えることができました。主力製品であるガス検知器に加え、グループ会社が販売したアルコール検知器が非常に堅調だったことや、前期から取り組みを始めた防爆ファン付きウェアが好調に推移したことが実績として挙げられます。
05 2026年3月期決算概要 地域別の概況

山田:こちらのスライドは地域別の売上高を示したものです。北米は、一年を通じて売上が堅調であり、売上高は159億4,400万円となりました。前期比で77.8パーセント増と、非常に高い水準で終えることができました。
四半期ごとの数字をご覧いただければわかるように、一年を通じて好調だった一方、第3四半期および第4四半期に関しては、ニューヨーク市での義務化設置期限が延長された影響で、売上はやや落ち着いた状況です。
アジア市場については、中国と台湾の半導体市場が厳しかった影響で、一年を通じて前期比で6.2パーセント減となっています。ただし、第4四半期にはわずかながら数字が上向き、回復傾向が見られます。この傾向が今期も継続することを期待しています。
国内については、第4四半期に実績が上がりやすい傾向があり、終わった期においても第4四半期が非常に好調で、前期比で6.5パーセントの増加となりました。
また、スライド右下に記載されているとおり、海外売上高比率は51.8パーセントとなり、当社グループとしては50パーセントを超える高い割合を記録しています。この水準を今後も維持していければと考えています。
05 2026年3月期決算概要 キャッシュフロー

山田:キャッシュフローや財産に関する情報についてご説明します。
営業活動によるキャッシュフローは、売上増に伴い前期と比較して増加しました。一方で、投資活動によるキャッシュフローは、工場建設や設備投資が前年より減少したこともあり、支出額が前期と比較して減少しています。
その結果、営業活動によるキャッシュフローから投資活動によるキャッシュフローを差し引いたフリーキャッシュフローは37億5,400万円となりました。
最終的な現金及び現金同等物は、前期末比で15億3,200万円増加して202億4,500万円となり、前期末と比較して8.2パーセントの増加となっています。
05 2026年3月期決算概要 財政状態(B/S)

山田:B/Sです。総資産は前期末比61億5,600万円増の734億4,400万円となり、9.1パーセント増加しています。増加要因としては、先ほどお話しした現金および預金の増加、投資有価証券の増加、棚卸資産の増加が挙げられます。
投資有価証券の増加については、株価の上昇に伴い評価が上がったためです。棚卸資産の増加については、アメリカ向けの警報器の在庫が増えたことによるものです。
これは、ニューヨーク市の設置義務延長に伴い、若干の生産調整を行った結果です。そのため、アメリカで一時的に警報器の在庫が増加していますが、今後販売が進めば順調に減少すると考えています。
負債については、前期末から2,600万円減少し、160億100万円となっています。工場建設のために借り入れた長期借入金が順調に減少しています。
また、純資産は前期末比で61億8,200万円増加し、574億4,300万円となり、12.1パーセントの増加となっています。
自己資本比率は72.7パーセントとなり、前期末比で1.9ポイント増加しています。
06 2027年3月期の連結業績予想 連結業績予想

山田:現在進行中の2027年3月期の連結業績予想についてご説明します。連結業績予想は、売上高510億円、営業利益60億円で、増収減益の見込みです。
06 2027年3月期の連結業績予想 業績予想

山田:増収減益という予想に対して気にされている方も多いかと思いますので、この内容について少しご説明します。
売上予想の背景としては、先ほどからお話ししているように、ニューヨーク市での設置猶予期限が、計画を作成した時点では未決定でした。そのため、北米の売上は前期に比べて弱含みで推移すると予想して計画を作成しました。
一方、半導体業界向けの売上については、中国での売上が回復すると予想するとともに、台湾向けの売上も堅調に回復していくとの見込みがありました。また、国内市場では産業用および家庭用のいずれも堅調であると見込み、合わせて売上高は510億円と予想しています。
営業利益については、売上は増加するものの、原価の上昇が利益に大きく影響しています。部材の価格が上昇しているほか、当社では製品の組立などを協力会社にお願いしていますが、加工費や人件費が大幅に増加しています。
また、物価の上昇により物流コストやエネルギーコストも大幅に増加しています。さらに、売上原価に含まれない減価償却費も増加しているため、営業利益の予想は前期比で18.4パーセント減の60億円と計画しました。
ただし、最新情報として、ニューヨーク市における家庭用ガス警報器設置義務化の設置猶予期限が2027年1月に決定したというニュースが、6月15日に発表されました。なお、当初の計画では、この設置義務化による売上は織り込んでいません。そのため、今後売上が上振れる可能性があるかもしれません。
もともと設置猶予期限が延期された背景には、当初、サプライヤーが当社1社しかいなかったことがありました。しかし、ニューヨーク市としては、「複数のところから買えるようにしないといけない」ということで、6月15日の時点で、「4社製造できるところがあることが確認できたので、今回2027年1月にした」ということで発表に至ったようです。
当社から見れば、新たにライバルメーカーが最低でも3社参入したことは間違いないことになります。
坂本:御社はライバル製品についても当然、研究されているかと思います。性能に関しては、ガスを検知すればよいという観点で捉えられている部分があるかもしれませんが、価格面や電池式センサの強みをお持ちです。
こうした違いについて、正式な発表はされていないかもしれませんが、おそらくここがポイントだろうという見解があると推測します。このイメージについて、またライバル製品がどのようなものなのか教えていただけますでしょうか?
山田:まだ発表されたばかりで、当社としても正確な情報は把握しきれていませんが、3社のうち2社についてはおそらく中国製の製品ではないかと考えています。あわせて、電池式の警報器である点については、どのメーカーも同様ではないかと思っています。
性能面に関しては、これから情報収集を行い比較する必要があると考えています。ただし、中国製であることから、コスト競争に持ち込まれる可能性があり、そこが懸念点であると思います。
当社としては、競争が激化した際のコスト面での対抗策については明確な指針はありませんが、当社の強みの一つとして、ニューヨーク市で義務化が始まった際に市場で約100万台に及ぶ当社製品をご採用いただいている実績があります。
坂本:ネットショップでもすでに販売されているという話を聞いています。
山田:そのように当社製品をお使いいただき、評価いただいていることや、もともとエネルギー事業者向けに販売され、そこで採用されている実績があります。このように、品質面で高い評価をいただいているのではないかと思います。
そのような点を強みや売りとして、4社の中で一定のシェアをなんとか確保していきたいと思っています。
坂本:メキシコ工場で組み立てるというお話ですが、これはコスト面もある程度考慮された結果なのでしょうか?
山田:やはりコスト面が大きいです。また、現在メキシコで製造している場所は、アメリカに輸出する際に関税がかからないエリアにありますので、その点が非常に大きなメリットです。また、日本から送る場合には物流コストがある程度かかりますので、そうした点を踏まえても、メキシコ工場での製造が大きなメリットといえると思います。
今メキシコ工場の話が出ましたが、メキシコは地政学的な要素やアメリカのトランプ大統領によるさまざまな政策の影響で関税などが変わる可能性があります。そのため、今後はアメリカ市場内での製造についても検討していきたいと考えています。
そうした中で、アメリカでの実際の生産を見据え、生産管理を行う会社を、6月22日に岩谷産業株式会社との合弁で設立すると発表しました。
このような取り組みを進めていく中で、確かに今回の計画では増収減益という予測であり、今期については踊り場的な段階とも言えます。しかし、将来的に北米市場が成長市場であることに変わりはないと考えています。
06 2027年3月期の連結業績予想 レーザーガス検知器の展開

山田:この計画を達成するために、トピックとして2つの展開についてお話ししたいと思います。
1つ目は、レーザーを使ったガス検知についてです。従来のガス検知は、設置場所や身に着けることで特定の点で検知するものでした。しかし、レーザーは光を使うため、レーザーが通る線の部分で検知したり、人間の手が届かない遠隔地などでも測定が可能です。そのような技術により、従来以上の安全性を担保できると考えています。
坂本:スライド左側に表示されているものは、モニターのような装置が付いていますが、色が表示されるのですか?
山田:スライド左側のタイプについては、実際に濃度などが表示されることで可視化するものになっています。レーザーを当てながら、手元のモニターで現在ガスが漏れているかどうかが確認できる仕組みになっています。
坂本:スライド右側のタイプは、眼鏡を使って確認するものですか?
山田:おっしゃるとおりです。こちらは現在開発段階にあり、これから商品化に向けて取り組む予定です。いわゆるVR用眼鏡のようなイメージで可視化する装置で、今後も商品化に向けた取り組みを進めていきます。
坂本:遠隔地でも確認ができるということですね。技術が進化していますね。
山田:このような技術を活用し、保安の強化に向けたさまざまな取り組みを進めています。
06 2027年3月期の連結業績予想 防爆ファン付きウェア「AIR FLOW PRO」の展開

山田:こちらも先ほどお話ししましたが、みなさまもよく目にする、ファンが付いた作業着があります。このような製品は内部に電源となる部品を搭載している場合があり、そのファンの回転部分が接触することで、爆発の危険があるガスが存在する場所では、規制によって使用が制限されるという課題があります。
しかし、私どもはガス警報器を開発する中で、そのような環境でも使用可能な製品を過去に開発した経緯があります。この技術を活用し、そうしたエリアでも着用可能なウェアを開発しました。このような製品は市場でも非常に高いニーズがあり、売上が拡大している状況です。
07 株主還元 配当金の推移

山田:株主還元についてです。当社は基本的に株主還元は配当を中心に行いたいと考えています。
配当についての基本的な方針は、従来から安定的かつ継続的な配当を行うことを基本としています。その中で、中期経営計画では配当性向30パーセントを目標に掲げ、その実現に取り組んでいます。
2026年3月期には、前期比で35円の増配となり、95円の配当を行いました。2027年3月期に関する期末配当の予想も95円としています。
この時点で配当性向は29パーセントになりますが、中期経営計画中に30パーセントという目標を達成したいと考えています。
08 お知らせ 横浜市民防災センターの防災パートナー企業に就任

山田:最後に会社からのお知らせです。私どもはこの4月に横浜市民防災センターの防災パートナー企業に就任しました。
当社は、同センター内の「煙体験コーナー」のリニューアルに関わりました。ここでは、火災発生時の一酸化炭素の危険性や、火災時の避難方法を学べる体験コーナーが設置されています。
当社では、一酸化炭素検知機能付住宅用火災警報器「PLUSCO(プラシオ)」という製品を開発・販売しており、この体験コーナーではその製品の展示や、一酸化炭素の危険性についての案内を通じて、当社が協力しています。
関東地方にお住まいで、この防災センターが近くにある方は、個人でも体験コーナーを申し込めるとのことですので、ぜひ足を運んでいただければと思います。
ガスセンサ技術で、世界中のガス事故をなくす

山田:私どもは、冒頭にもお話ししましたが、「世界中のガス事故をなくす」という目標に向かって、現在グローバルに展開しています。
当社グループは全社一丸となり、中期経営計画と足元の計画達成に向けて取り組みを進めています。この機会に、少しでも新コスモス電機にご興味を持っていただければ幸いです。
以上で、私からの説明を終わります。ありがとうございました。
質疑応答:現状における製品製造への影響と為替感応度について
向井沙耶氏:「原油価格の高騰やナフサ不足、原材料費の高騰などいろいろ目立っておりますが、御社の事業への影響はどの程度あるのか教えていただけますでしょうか?」というご質問です。
坂本:これに為替感応度を含めて教えていただけますか?
山田:私どもの製品への影響でいうと、家庭用ガス警報器などはプラスチックでできており、樹脂部分はナフサに関係するため、多少影響を受けやすい部分があります。
また、価格が上がっている部分として、警報器には銅線が使われており、電源ケーブルなどに銅を使用しています。そのため、銅の価格が上昇すると影響があります。
さらに、警報器内ではICチップも使用されており、現在では価格というより納期の遅れが大きな課題となっています。
足元の状況としては、価格の高騰や納期の遅延などがあるものの、部材の調達や製品製造に対しては影響が出ていない状態です。ただし、今後価格がさらに上昇する場合には、影響が出る可能性があります。
為替についてですが、今期は1ドル150円を前提に計画を立てています。為替感応度としては、1ドルあたり1円の変動で売上ベースで約1億円、営業利益ベースで数千万円程度の変動があると見込んでいます。
坂本:これはメキシコへの生産移管が進むと、少しは影響が緩和されるイメージですか?
山田:少しは緩和されると思います。
質疑応答:アメリカにおける家庭用ガス警報器設置義務化と市場拡大の見通しについて
坂本:先ほど、ニューヨーク市における家庭用ガス警報器設置義務化の猶予期限が2027年1月まで延びたという話がありました。この件について、どの程度浸透しているかというお話もありましたが、質問者の方が調べたところ、ニューヨーク市の住宅数は推定370万戸とされており、今後駆け込み需要が発生する可能性があると言われているようです。
ニューヨーク市以外でもペンシルベニア州、イリノイ州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州などで設置義務化に向けた法律整備が進行中であり、それについてぜひ知りたいというご質問です。
御社の業績には、すでにこうした状況が織り込まれていると思いますが、例えば中国市場の動向が影響する可能性もあります。このような義務化がどの程度強制力を持つのか、努力義務に留まるのか、また猶予期間が2027年までなのか、あるいは2030年まで延長されるのか、州によって差が大きい可能性があります。
このような点を踏まえ、米国での需要が今後も続くのかどうか、さらにメキシコなどでの生産シフトが必要になるのかについて、現時点でのお考えをお聞かせいただければと思います。
山田:アメリカに関して、現在義務付けが法案で成立しているのはメイン州とニューヨーク市の2つのみです。先ほどご質問いただいた州については、現在議会で法案の審議が行われている段階です。
したがって、現時点での業績への織り込みに関しては、それらの州について具体的な内容を反映できる状況ではなく、現状として業績には織り込んでいないかたちになります。
期間については、法令ごとに「2028年何月」「2029年何月」といった時期の違いがあり、また、法案が最終的に成立するタイミングによって変更される場合もあります。この点については、当社としても注意深く監視している状況です。
ただし、途中でも申し上げたように、長期的にはアメリカ国内での警報器市場は確実に拡大していくと考えています。そのため、事前に生産体制を整備していきたいと考えています。
北米、特にアメリカにおいて生産工場を立ち上げ、生産管理を行う会社を岩谷産業さまと共同で設立したことも、今後の市場拡大に備えた最初の一手だとご理解いただければと思います。
山田氏からのご挨拶
山田:本日は土曜日のお昼にご視聴いただき、誠にありがとうございました。最後にもご質問いただきましたが、北米ビジネスに非常に関心を持ってご覧いただいた方も多いのではないかと思います。
このような義務付けが進む中で、年によって売上に変動があるとは思いますが、北米市場は長期的に見れば非常に大きな可能性を秘めた市場であると考えています。
また、当社としては、北米市場以外の地域についてもグローバルに展開し、「世界中のガス事故をなくす」の達成という、最大の目標に向けて取り組むことがすべてであると考えています。
この目標の達成に向けて、グループ一丸となって取り組んでいきますので、今後とも新コスモス電機を応援いただければ幸いです。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:ガス警報器は他社メーカーにない貴社ならではの機能があったりするのでしょうか? それともどこのメーカーもあまり機能は変わらないのでしょうか?
回答:家庭用ガス警報器の基本的な仕様(有効期限、警報設定値など)については日本の規格(JIA、KHK)に基づき作られているのでどこのメーカーも大きな違いはありません。ただ、「熱中症・乾燥おしらせ機能」「スマホとの連動機能」など他社製にはない付加価値を搭載した機種を当社からは発売しています。
<質問2>
質問:直近開示された、岩谷産業との合弁会社の目的と業績への影響の見通しを中計期間で教えてください。なぜあえて岩谷産業と組む必要があったのでしょうか? 自社ですべてやった方が利益流出がないのではないでしょうか?
また、半導体市場の設備投資が大きく増えていますが、受注動向は期初計画と比べてどの程度上振れしているのでしょうか?
回答:合弁会社の役割はあくまでも北米向け家庭用ガス警報器の生産管理であり、ガス警報器の販売についてはこれまで通り当社の現地子会社(New Cosmos USA, Inc.)が担いますので、中期経営計画期間中の販売見通しについては、合弁会社設立の影響は特にありません。あるとすれば、合弁会社でより効率的に生産管理を実施することで、生産コスト削減のメリットが出せる点です。
従来はNew Cosmos USA, Inc.が生産管理を担っていたのですが、今後は生産委託先や調達先が多様化し、取扱量も増加する見通しであることから、現地法人だけでは対応が難しいと判断し、岩谷産業が長年商社機能を通じて培ってきたサプライヤーとの信頼関係や調達の実務知見を活かし、調達・物流面の中核的な役割を担っていただく目的で、両社で合弁会社を設立する運びとなりました。
また半導体市場の需要増については、今期は期初より計画に織り込んでいます。
<質問3>
質問:株価上昇してきましたが、株式分割を意識されているのでしょうか?
回答:個人投資家のみなさまがより投資しやすい環境を整え、当社株式の流動性向上および投資家層の拡大を図ることは重要な課題であると認識しています。株式分割の実施については、そのための有効な選択肢のひとつとして捉えており、株価水準や市場環境、株主構成の変化などを総合的に勘案し、引き続き前向きに検討していきます。
<質問4>
質問:北米が浸透した後の進出計画はすでに頭の中にあるのでしょうか?
回答:過去アメリカで火災警報器や一酸化炭素警報器が設置義務化になった際、全土へ義務化が広がるまでに20年から30年ほどかかったという実績があります。おそらく、ガス警報器についてもそれくらいの長い年月をかけて進捗すると予想しており、まずは北米市場にてしっかり普及を進めることに注力していきます。
<質問5>
質問:米国や欧州の分はその国の規格に沿った警報器等にアレンジされているものなのか、それとも日本の規格がそのまま通用するものなのか教えてください。
回答:ガス警報器の規格は各国で異なるため、各国の規格に沿ったものにアレンジをしています。具体的には、各国の住環境等に合わせて警報設定値や求められる応答速度等が異なります。
<質問6>
質問:DOEは導入しないのですか? 余剰資金の使い道を教えてください。
回答:現状では、「中期経営計画2025-2027」で最終年度に配当性向30パーセントを目標に掲げており、DOEを導入する予定はございません。ただ、もともとできる限り減配をせず安定的な配当を継続することを当社の基本的な考え方としており、その方針は変わっていません。
余剰資金の使い道については、北米市場の動向に合せた追加投資を中心に成長に向けた投資(開発投資、グローバル展開)を最優先に位置づけています。また、当社の製品は保安機器のため、万一の不具合やリコール等が発生した際にすみやかに対応するためある程度のキャッシュを保有しています。
<質問7>
質問:新たな技術を用いた警報器の開発はどのくらいあるのでしょうか? 商品化の目途についてもコメントお願いします。
回答:電池式LPガス警報器を開発し、2026年度中に上市予定です。
レーザーガス検知とAR技術を融合し見えないガスを可視化するスマートグラス「ARレーザーガス可視化装置」を2026年3月に開発し2027年中の製品化を目指しています。
その他開発中の製品はございますが、現状ではお答えできません。公表できる時期がきましたら、プレスリリース等でお知らせします。
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