2026年3月期決算説明(個人投資家向けIRセミナー)
ナイス、建築資材と住宅の両輪で2026年3月期売上高が過去最高を更新 国産木材・中古マンション買取再販で成長加速へ
目次

津戸裕徳氏(以下、津戸):みなさま、こんにちは。ナイス株式会社代表取締役社長の津戸です。本日は当社の決算説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。当社の事業内容や成長戦略についてご理解いただけると幸いです。よろしくお願いします。
本日は、スライドに記載の5点についてご説明します。
すべてのステークホルダーの皆さまへ

津戸:はじめに自己紹介をします。私は入社後の2年半は、人事部で主に新卒採用を担当していました。その後、建築資材事業の営業として、名古屋や岐阜など中部エリアに赴任しました。木材・建材の販売店とともに、その地域の住宅供給会社に対して商品の提案や受注のお手伝い、需要創造に取り組んできました。
各地ですばらしい家づくりを手掛ける工務店や住宅会社は数多く存在します。そのような工務店を支援し、良い家をその地域に多く提供したいという思いで仕事に取り組んできました。結果として、その地域に住んでいる方々に豊かな住まいと暮らしを提供することこそが、流通業としての役割であると考えています。
当社グループが「なくてはならない存在」になるためには、相互信頼が不可欠です。この信頼を勝ち取るためには、誠実に取り組むことが必要であり、私の経営方針の一丁目一番地には「誠実」という言葉を掲げています。
企業理念

津戸:当社の企業理念は「私たちは信頼を礎に豊かな住まいと暮らしを実現します」です。この理念には、ステークホルダーのみなさまから信頼され、期待される企業であり続け、企業として成長し続けていこうという思いが込められています。
ナイス株式会社 概要

津戸:当社の概要です。当社は1950年に設立され、本年で76年目を迎えます。本社は箱根駅伝の走路となる国道15号線沿い、横浜市の鶴見駅付近に所在しています。グループ会社を含めた連結従業員数は2,800名を超える規模です。東京証券取引所では、スタンダード市場に上場しています。
1950年創業

津戸:当社の事業は木材の「市売り」から始まり、関東で初めて競り形式を導入しました。
ナイスグループのあゆみ

津戸:その後、取り扱い商材を建材・住宅設備機器など建築資材全般へと拡大し、住宅1棟分の部材を供給する体制を構築してきました。
また、1970年代から建築資材の流通に加え、マンションや一戸建住宅の供給、不動産仲介などの住宅事業も開始し、現在は建築資材事業と住宅事業の両輪で事業を展開しています。また、その他の事業として、物流、建設、ケーブルテレビ事業など、幅広いサービスを提供するグループへと成長しました。
売上規模(2026年3月期経営成績)

津戸:前期2026年3月期の売上高は2,591億円、営業利益は53億円となりました。当社がマンションや一戸建住宅を供給しているエリアでは、住宅会社として認知していただいている方が多いかと思いますが、売上高の4分の3はBtoBの建築資材事業が占めています。
拠点展開

津戸:グループ全体の拠点数は、首都圏および関東を中心に全国170拠点となっています。
拠点一覧

津戸:ここからは、建築資材事業および住宅事業の具体的な取り組みについてご紹介します。まず、建築資材事業です。建築資材事業では、住宅を建築するために必要な部材や住宅資材を供給しています。全国に31ヶ所の物流拠点を持ち、営業所や工場などを含めて115拠点を展開しています。
商流

津戸:スライドに、商流のイメージ図を掲載しています。木材、建材・住宅設備機器のメーカーから商品を仕入れ、全国の販売先に供給しています。仕入先は木材メーカーが約600社、建材・住宅設備機器メーカーが約4,000社、販売先は約4,000社に及びます。
建材・住宅設備機器の流通

津戸:建材・住宅設備機器の仕入先は多数あります。スライドに記載しているメーカー各社から、キッチン、浴室、洗面化粧台、トイレ、ドア、床材など、さまざまな建築資材を仕入れて販売しています。
スライド左上にロゴを掲載しているパナソニックの製品については、長年にわたり国内でNo.1の代理店という位置づけを維持しています。確認できる1994年以降の少なくとも32年間は、その位置づけを維持し続けています。
木材の流通

津戸:木材の仕入れについては、これまで培ってきた調達ネットワークを活用して、国内外から木材製品を安定的に調達しています。
約5年前に、世界的な木材価格の高騰や供給不足によるウッドショックがありました。その際、当社も輸入木材の入荷が減少しましたが、その分を国産木材の調達増加で補い、多くの需要に対応することができたと自負しています。国内の木材仕入先が600社を超える点は、業界随一のレベルであると認識しています。
47都道府県の認証材を調達

津戸:国立競技場の建設においても、当社の調達力を発揮することができました。外周の三層構造の軒庇(のきびさし)には、47都道府県の認証林から伐採されたスギ(沖縄はリュウキュウマツ)が使用されています。当社が材料の調達、認証手続き、さらに取付や施工までを担当しました。
原木生産・製材

津戸:木材に関しては、川上における取り組みも行っています。一部の社有林から原木を伐り出しているほか、徳島県と和歌山県に製材工場を保有しており、スギやヒノキを中心とした国産木材の製材も行っています。
プレカット加工・躯体供給

津戸:プレカット機能です。当社は国内7ヶ所に自社グループのプレカット工場を保有し、家づくりに使用する構造躯体を工場で加工して、全国の工務店やビルダーに提供しています。さらに、自社工場だけでなく、各エリアの提携プレカット工場と連携しながら、全国のニーズに対応しています。
また、全棟で構造計算を自動で行う当社オリジナルの「パワービルド工法」があります。建築基準法が先般改正され、現在では2階建て住宅においても構造計算が必要となっています。構造計算がプレカットCADと同時に作成できる「パワービルド工法」は多数の引き合いをいただいており、実績が増加しています。
拠点一覧

津戸:住宅事業についてご説明します。住宅事業は首都圏を中心に、仙台、新潟、宇都宮、豊田、浜松など地方の中核都市に47ヶ所の拠点を展開し、住宅の供給を手がけています。
分譲マンションの供給

津戸:分譲マンションの供給についてです。当社は「住まいは命を守るものでなければならない」という思いの下、地震に強い家づくりを推進しています。マンションでは地震の揺れを軽減する免震構造を推進しており、免震マンションの供給棟数は神奈川県、栃木県、宮城県でNo.1の実績を誇っています。
また、玄関やエントランスなどの共用部における木質化も進めています。高級感のあるデザインや落ち着きのある空間が特徴で、お客さまから高い評価をいただいています。これまでの分譲マンションの累計供給戸数は5万5,000戸を超えました。
一戸建住宅の供給

津戸:一戸建住宅の供給についてです。当社が分譲する一戸建住宅では、構造躯体など建物の主要部分において、国産木材を100パーセント使用した家づくりを行っています。性能面では、建築基準法で定められた耐震強度の2倍の耐震性能を備え、さらに高い断熱性能を標準規格としています。一戸建住宅の累計供給戸数は3万戸を超えています。
不動産仲介事業

津戸:不動産流通事業を手掛ける「ナイス住まいの情報館」では、住宅や土地の購入・売却のほか、賃貸やリフォームなど、住まいに関する相談をワンストップで対応しています。
伝統的和風住宅・社寺仏閣

津戸:グループ会社である菊池建設では、伝統的な和風住宅や数寄屋造りの和風住宅、さらには社寺仏閣などの建築も手がけています。
連結業績 概要

津戸:ここからは、2026年3月期の連結業績についてご説明します。各セグメントで増収となり、売上高は前期比6.6パーセント増の2,591億5,400万円で、過去最高の売上高となりました。営業利益は、増収に伴う売上総利益の増加などにより増益となりました。
セグメント別売上高

津戸:セグメント別の売上高についてです。建築資材セグメントでは、サッシ・エクステリアの販売に加え、建材・住宅設備機器の新規取引先が増加したことなどにより、前期比で104億4,900万円の増収となりました。
住宅セグメントでは、中古買取再販マンションの売上計上戸数が増加し、賃貸管理事業も堅調に推移したほか、一棟収益不動産による売上などで、前期比41億3,400万円の増収となりました。その他セグメントでは、建築工事事業等が堅調に推移しました。
セグメント別営業利益

津戸:セグメント別の営業利益についてです。建築資材セグメントは、成長投資として18億円を投じた徳島製材工場の減価償却費の負担や支払運賃の増加などにより減益となりましたが、住宅セグメントとその他セグメントでは増益となりました。
連結貸借対照表 概要

津戸:貸借対照表です。販売用不動産・未成工事支出金の増加は、中古買取再販マンションおよび新築分譲用地の仕入れなどによるもので、事業化に向けて着実に進んでいることを示していると認識しています。
市場環境の展望 ― 伸びゆくマーケット ―

津戸:ここからは、当社グループの成長戦略についてご説明します。まず、市場の前提についてです。市場環境としては、新設住宅着工戸数が人口減少などに伴い減少すると予想されています。
一方で、そのような中でも成長が見込まれる市場も存在します。具体的には、非住宅分野を含む木造建築物の拡大、国産木材自給率の向上、買取再販市場の右肩上がりの成長が予測されています。
また、今年3月に5年ぶりに見直された「住生活基本計画(全国計画)」では、新築重視の方針から住宅ストック価値の最大化が掲げられました。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの高性能で良質な住宅ストックの整備や、ストックの活用・管理が進められていく方針です。これらは当社にとって大きなチャンスであると捉えています。
成長ドライバー

津戸:マーケットの成長や市場環境の変化、当社グループの経営資源を組み合わせ、7つの領域を当社の業績を牽引する成長ドライバーとして位置づけています。
成長ドライバーによる業績貢献

津戸:マーケットの成長と7つのドライバーにより、2030年3月期に売上高でプラス550億円、営業利益でプラス30億円の成長を目指していきます。
国産木材の供給

津戸:ここからは、7つの成長ドライバーの各領域について、具体的な取り組みをご説明します。まず、「国産木材の供給」です。
2023年5月に農林水産省と建築物木材利用促進協定を締結しました。この協定の下、建築物への国産木材の積極的な活用に取り組んでいます。2030年3月期には年間の国産木材取扱量を75万立方メートルとする目標を掲げ、現在まで順調に拡大を続けています。
構造用集成材の供給強化

津戸:国産構造用集成材の供給体制の整備にも取り組んでいます。2024年5月に、徳島県、香川県、大倉工業との4者で建築物木材利用促進協定を締結しました。
当社は関連会社である徳島のウッドファーストの敷地内に製材工場を増築し、生産を開始しました。既存工場と合わせた年間の原木消費量は、最大で約9万立方メートルとなります。この工場で生産した板材を大倉工業が集成材に仕上げ、西日本地区を中心に流通拡大を進めていきます。
プレカット事業における連携を強化

津戸:2026年1月に、木材の製材・加工や住宅資材の販売を手掛ける山大と業務提携契約を締結しました。プレカット事業での連携に加え、両社が持つ経営資源や強みを有効活用し、国産木材のさらなる供給拡大と非住宅市場での需要獲得を目指していきます。
中層非住宅建築物の木造化を推進

津戸:成長ドライバーの2つ目は「非住宅木造建築」です。2024年6月に、飛島建設と合弁でウッドエンジニアリングを設立しました。
当社の木材調達ネットワークや木造化のノウハウと、飛島建設の顧客ネットワークや技術力を融合し、これまでに2棟の物件を建築・竣工し、引き渡しを行いました。今後は、主なターゲットとして4階から6階建ての中層非住宅建築における木造化・木質化を推進していきます。
WOOD.ALC 木質材料(30分耐火/60分準耐火構造壁)

津戸:中大規模建築物への木材利用で注目されているのが「WOOD.ALC」です。これは鉄骨造の建築物において、カーテンウォールとして使用されるALCという壁材を木質化したパネルです。
最大の魅力は、木材でありながら優れた耐火性を備えている点です。万が一の火災時には、厚みのある表面が炭化層を形成し、内部への燃え止まり効果を発揮します。すでに30分の耐火認定を取得しており、現在は1時間の耐火認定取得に向けて準備を進めています。
国産木材100%の木造ユニットハウス MOK UNIT

津戸:スライドに掲載している木造ユニットハウスは、社員のアイデアから事業化しました。リゾート施設や災害公営住宅、建設現場の仮設事務所など、さまざまな用途での展開を検討しています。来年、横浜市で開催される「GREEN×EXPO2027」でも設置する予定です。
国産木材による新素材開発 Gywood ObiRED

津戸:独自に開発した新素材による木質化も提案しています。針葉樹は柔らかく傷がつきやすいという弱点がありますが、これを克服するために、当社の独自技術により強度を高めることで、これまで利用されてこなかった用途での活用が可能になりました。
宿泊施設やオフィス、店舗などの非住宅建築物において、新素材を多く採用していただいています。また、内外装の木質化についても現在多くの引き合いをいただき、採用されています。
木造+RC造ハイブリッド免震マンション

津戸:スライドに掲載している建物は、当社が現在計画中の木造と鉄筋コンクリート造によるハイブリッド構造の免震賃貸マンションです。下5層が鉄筋コンクリート造、上4層が木造というハイブリッド構造で、地震に強い免震構造とする計画です。
現時点の試算では、すべてを鉄筋コンクリート造で建築するよりもコスト削減が見込まれます。混構造への取り組みにも積極的にチャレンジしていきます。
サッシの供給体制を強化

津戸:成長ドライバーの3つ目は「エネルギー関連商品の供給」です。2024年10月に、サッシの供給に強みを持つセレックスホールディングスの株式を取得しました。同社は中京圏を中心に、年間6,000棟を超える供給実績を誇っています。今後は当社の拠点や流通網を活用し、サッシの供給エリアの拡大を図っていく方針です。
太陽光発電システム等の販売を拡大

津戸:太陽光の販売強化に向けた取り組みの1つとして、太陽光ゼロ円設置「シェア電気」を提供しているシェアリングエネルギーとの連携を進めています。特に初期投資を抑えたい分譲住宅会社からの採用が増えています。再生可能エネルギーの普及拡大に向け、パートナー連携をさらに強化していきます。
太陽光発電システムの販売強化

津戸:現在、企業における脱炭素経営へのシフトや電気料金高騰を背景に、工場、倉庫、店舗への太陽光パネル設置需要が急速に高まっています。そのようなニーズにお応えするため、産業用太陽光パネルや蓄電池の販売も強化しています。
中古マンション買取再販の拡大

津戸:成長ドライバーの4つ目は「中古マンション買取再販」です。昨年、木質化リノベーションブランド「RIZ WOOD(ライズウッド)」を発表しました。国産木材を用いた木質化を中心とした内装提案により付加価値を高め、他社との差別化を図っていきます。
販売戸数は、2024年3月期は120戸、2025年3月期は152戸、2026年3月期は194戸と着実に伸びており、2030年3月期には500戸まで拡大する計画です。
一棟収益不動産の取り組みを開始

津戸:一棟収益不動産の買取も積極的に推進しています。物件購入後にリノベーションを施すことで付加価値を高め、利回りの高い物件として再販するスキームに取り組んでいます。他社との差別化を図るためのポイントは、木質化によるバリューアップです。
スライド左側に、当社が所有する賃貸マンション「ナイスフォーラム鶴見」を掲載しています。当物件は、一棟丸ごと木質化リノベーションを実施した後に賃貸の再募集を行いました。建築から30年以上経過しているにもかかわらず、築浅物件に近い賃料設定で満室稼働を達成しました。
木質化による経済価値の見える化

津戸:この結果について、東京大学の井上雅文先生に情報提供したところ、本物件に関して、木質化が賃料に与えた影響は1平方メートル当たり288円であるとの推計結果が出ました。これを35平方メートルの1LDKで試算すると、月額1万円の賃料アップが見込める試算となります。
木材の価値を経済価値として表すことが可能となってきましたので、同様の事例を積み重ねることで、当社ならではの中古マンション買取再販を展開していきます。
マンション総合管理

津戸:成長ドライバーの5つ目は「マンション総合管理」です。グループ会社のナイスコミュニティーでは、サービスの向上と適正な管理手数料の設定、大規模修繕工事への対応を着実に進めながら、2030年3月期に管理戸数10万戸体制を目指します。
賃貸管理事業の拡大

津戸:成長ドライバーの6つ目は「賃貸管理」です。2025年10月に、新井商事ビル管理が当社グループに加わりました。同社は東京都足立区で圧倒的なブランド力を持ち、約3,500戸の賃貸物件を管理しています。当社グループのナイスアセットが管理する物件と合わせると、グループ全体で1万1,000戸を超える管理体制となりました。
賃貸管理事業の拡大にあたり、新たな顧客基盤として足立区を加えることで、住宅事業の拡大にも活かしていきたいと思っています。
中期経営計画「Road to 2030」

津戸:これらの成長ドライバーを確実に実行することで、2030年3月期に売上高3,000億円、営業利益75億円を目標とする5ヶ年計画「中期経営計画Road to 2030」を達成したいと考えています。
2027年3月期 連結業績予想(概要)

津戸:今期の連結業績予想と株主還元についてご説明します。2026年3月期は過去最高売上を達成しました。2027年3月期はこれをさらに上回る売上高2,700億円を目指し、営業利益57億円、経常利益52億円、当期純利益32億円を達成したいと考えています。
中東情勢をはじめとする地政学的リスクの影響については、現時点では合理的な算定が困難であるため、今回の業績予想には織り込んでいません。
中東情勢の影響

津戸:現在、中東情勢の悪化により供給が不安定になっているナフサは、住宅関連資材において断熱材や塩化ビニルの配管、雨どいなど、多くの建築資材の原料として使用されています。
一部メーカーの商品では納期遅延等の動きも見られますが、国土交通省や経済産業省と緊密に連携しながら、取引先へのタイムリーな情報発信を通じて、目詰まりの解消に努めています。
現時点では、発注した商品になんとか納期がついている状況です。しかし、万が一ナフサ問題が長期化し、業績に重大な影響が生じる場合には、速やかに情報を開示します。
株主還元(配当)

津戸:株主還元についてです。当社は累進配当を導入しており、2026年3月期の配当は72円を予定しています。
また、中期経営計画期間中は毎期7円の増配を継続し、2030年3月期には1株当たり100円の配当を計画しています。みなさまにお示しした計画ですので、安定的に収益を上げ、確実に実行していきます。
株主還元(株主優待制度)

津戸:当社では、株主優待制度を導入しています。年に2回、保有株式数と継続保有期間に応じて、緑の募金への寄付金付きの「おもいやり」QUOカードを贈呈しています。継続保有期間の基準日は毎年3月末と9月末です。
この寄付金は、国内の森林整備や子どもたちへの森林環境教育、災害復旧支援などに活用されることから、当社の取り組みと親和性が高いという理由で採用しました。
中長期的な事業ポートフォリオ

津戸:当社は、今後も持続的な成長と進化を実現するために、収益性と成長性を軸とした中長期的な事業ポートフォリオを策定しています。
まず、建築資材事業や住宅事業といった既存のコア事業をしっかりと深掘りし、収益基盤を盤石にしていきます。その上で、今後拡大が見込まれる非住宅木造領域や周辺領域へ事業を拡大し、将来的な新たな収益事業群の構築を目指していきます。
企業ブランディング

津戸:最後に、企業ブランディングの一環として制作したキービジュアルをご紹介します。「木を知り、暮らしを支える。」は、木に携わってきた人々の思いを知る当社グループが、笑顔あふれる暮らしを支えているというメッセージです。
また、森林と住まいの2つのシーンを木でつなぐことで、建築資材と住宅の両輪で事業を展開する当社グループを表現しています。
これまで、横浜市内の商業施設やバスの車内、駅の看板に広告を掲出して周知を図ってきました。今後も、当社グループの全体像や目指す姿をしっかりとお伝えすることで、企業価値の向上につなげていきたいと考えています。
引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願いします。
質疑応答:決算の手応えと中期経営計画達成に向けた注力領域について

荒井沙織氏(以下、荒井):「直近の決算で最も手応えがあった領域と中期経営計画達成に向けて寄与する事業領域は何であると考えていますか?」というご質問です。
津戸:直近の決算で手応えがあった領域は、主に2つあります。1つ目は、建築資材事業です。昨年度連結子会社化したセレックスホールディングスが増収に寄与しました。2つ目は、住宅事業です。中古買取再販マンションの売上計上戸数が、前期の152戸から194戸へと増加しました。

また、2030年3月期の中期経営計画達成に向けて、どの領域に注力するかというご質問については、2点あります。成長ドライバーのウォーターフォール図をご覧ください。
1つ目は、右から3番目に示している中古マンション買取再販です。昨年度も伸長しましたが、今後もしっかりと伸ばしていきたいと考えています。2つ目は、一番左側に示している国産木材の拡販です。こちらも引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
中古マンション買取再販については、当社は仕入れの優位性を有していると考えています。いくつかポイントがあります。
まず1つ目は、当社はリアルの仲介店舗を持ち、お客さまと直接顔を合わせて商談ができることです。これにより、お客さまに直接買取の申し入れをすることが可能です。お客さまは仲介を利用すると仲介手数料を払わなければなりませんが、当社に直接売却していただくことで手数料が不要になるというメリットもあります。
また、当社がマンション管理を行っている物件から引き合いをいただくことが多くあります。現在、当社では約6万8,000戸を管理しており、管理人は約700名在籍しています。管理人を通じて、住民の方々から売却に関するお話やご相談をいただくケースもあります。さらに、約1万1,000戸の賃貸管理を行っており、こちらからも引き合いをいただいています。
加えて、情報発信を行うケーブルテレビ事業も展開しており、テレビの視聴者からもお引き合いをいただいています。この仕入れの優位性は大きなポイントだと考えています。

スライドをご覧のとおり、中古マンション買取再販は2030年3月期に500戸まで拡大したいと考えています。住宅事業全体としても、しっかりと拡大していく方向で取り組んでいきます。
次に、中期経営計画達成に向けた注力領域の2点目として、国産木材への取り組みをご紹介します。現在、輸入木材の国内入荷は減少しています。その要因として、為替の影響が挙げられます。このように円安が進むと価格面で非常に厳しくなることに加え、輸送費も大幅に値上がりしている状況です。
その結果、相対的に価格競争力を持つのが国産木材です。直近では、2024年のデータに基づくと、国産木材比率はチップやバイオマス燃料を含め42.5パーセントを占めています。国産木材比率は、マーケットにおいて引き続き上昇傾向にあります。
引き合いも非常に強くなっていますので、当社が約600社の仕入先のネットワークを有していることは大きな武器だと考えています。創業来の信頼を基盤に、仕入先とのネットワークをしっかり活用し、安定した調達に向けて取り組んでいきます。
質疑応答:投資の優先順位と投資回収基準について

荒井:「『Road to 2030』で新規事業投資145億円以上、既存事業の成長投資120億円以上を予定していますが、投資の優先順位と投資回収の基準をどのように設定していますか?」というご質問です。
津戸:まず、投資の優先順位のご質問がありましたが、スライドのキャッシュアロケーションで示している投資は、基本的にすべて実施していきたいと考えています。
株主還元については、累進配当として年間7円の増配継続をお伝えしています。収益をしっかり上げながら、確実に実行していきたいと考えています。
既存事業の成長投資については、まずIT投資として50億円を計画しています。現在、基幹システムの更改を開始しています。さまざまな業務で手作業やエクセルで管理している部分がありますが、AIへの対応や業務効率化を目的としたDXへの投資を着実に進めています。
設備投資は35億円を計画しています。主に建築資材事業へ投資します。特に当社の主戦場である首都圏の基幹倉庫の効率向上を目指し、設備投資に着手しています。
人的資本投資は35億円を計画しています。既存社員に対する教育も進めていきますが、主に当社に不足している組織能力、いわゆるケイパビリティを、中途採用によって補完していく方針です。毎年20名前後のプロ人材を当社に迎え入れ、新たな組織能力を獲得することで、新領域への取り組みを着実に進めていきたいと考えています。
次に、新規事業投資についてです。研究開発投資として15億円を予定しており、主に木材の研究開発を行います。当社は現在、住まいの領域で木材を多く展開していますが、木材を圧縮することで寸法安定性や表面の強度を向上させ、暮らしの領域において木材をさまざまな用途で活用できないかと考え、研究開発を進めています。
最後に、M&Aおよび新規事業開発に向けた投資も検討しています。M&Aのテーマとしては、事業シナジーを生む分野、あるいは当社がこれまで手掛けてこなかった新規事業領域でチャンスを見出せる分野を想定しています。
現在、さまざまな会社と対話を重ねており、よりシナジーを生み出せる分野に果敢にチャレンジしていきたいと考えています。これらすべての投資に取り組んでいきたいと思います。
投資回収の基準については、当社ではWACCを上回るハードルレートを基準として設定しており、この基準値を上回っているかどうかをしっかりと見定めていきます。投資が決定した後も定期的にモニタリングを実施し、取締役会などで進捗レビューを行います。その上で、必要に応じて計画の変更も行う方針です。
質疑応答:建築資材事業の価格転嫁、商品構成、在庫運用の方針について
荒井:「住宅事業は増収増益ですが、建築資材事業は増収減益です。成長を継続しつつ、建築資材の利益率を回復させるための価格転嫁、商品構成、在庫運用の方針を教えてください」というご質問です。
津戸:まず、建築資材事業において成長のために取り組むべき点をご説明します。建築資材は、当社の商材の領域が主に2つあります。
1つ目は、木材です。さらなる成長を目指し、国産木材の取り扱いをしっかりと強化していきたいと考えています。昨年度は商品別売上で木材は減収となりましたが、国産木材に関しては売上高、販売ボリューム、材積ともに増加しました。ただし、輸入木材の減少分を補うには至らず、さらなる木材販売強化に努めていきます。
2つ目は、木材と併せて多く販売している建築資材関連です。建築資材関連の売上ボリュームは昨年度は増加しましたが、収益性をどのように高めていくかが重要な課題となっています。このため、粗利をしっかり確保できる商品の取り組みを強化していきます。
特に、当社が開発している商品として、建築資材の中の基礎資材関連において、メーカーからOEM供給いただいている「ZENIYA(ゼニヤ)」というブランドがあります。こちらをさらにしっかりとPRし、販売を拡大していきたいと思います。

また、当社はオリジナルの木材製品を有しています。スライドに記載しているとおり、デッキ材の「ObiRED(オビレッド)」や、木材を圧縮させた「Gywood(ギュッド)」といった商品があります。これらは他社にはない唯一無二の商品群であり、戸建住宅だけでなく非住宅領域でもしっかりとPRし、販売拡大に努めていきます。

既存領域ではこのように収益性の高いものに取り組んでいきたいと思いますが、今までになかった商品として「MOK UNIT(モクユニット)」があります。先ほどご紹介しましたが、今後「GREEN×EXPO2027」でも展示する予定です。
展示会では、プレセールスを開始しました。すでに八丈島などの離島から引き合いをいただいています。現在、国内では全般的に職人不足が課題となっていますが、特に離島では職人不足がより深刻で、そのような地域にも確実にお届けしていきたいと考えています。
また、災害時の応急仮設にも活用できる商品です。さらに、建築現場における従来のスチール製の仮設事務所は、炎天下になると非常に暑くなり、中にいられないという話があります。
しかし、当社の製品は断熱性を備えた木製の施設となっており、建築現場の職人の方々に涼んでいただいたり、休憩していただいたりするための仮設事務所として活用していただけると考えています。このような新しい商材を販売することで、収益性をしっかりと確保していきます。
次に、在庫運用についてご説明します。現状の建築資材の在庫ボリュームは、金額ベースで月商の0.5ヶ月分程度です。これはおおむね適正なボリュームではないかと考えています。
今後は、国産木材にシフトしていきたいと考えています。輸入木材はなるべく(注文確定後に仕入れる)直接販売に切り替え、在庫ストックを減らす方針です。輸入木材はボリュームが大きく、コンテナで運び入れて当社の倉庫でストックする必要があります。しかし、納期が短い国産木材にシフトすることで、木材全体の在庫ボリュームが増加することはないと見込んでいます。
一方で、現在はモノ不足が叫ばれています。そのため、可能な限りメーカーから供給されるものをストックし、安定調達を図っていきます。総合的に見ると、月商の0.5ヶ月分程度が適正な在庫ボリュームではないかと考えています。
荒井:輸送コストも安定しそうですね。
津戸:おっしゃるとおりです。
質疑応答:中古買取再販マンションの仕入れ基準と商品力強化策について
荒井:「住宅事業では中古買取再販マンションの売上計上戸数が増加していますが、仕入れ競争が強まる中で、戸数拡大と利益率を両立させる仕入れ基準と商品力強化策を教えてください」というご質問です。
津戸:当社は、中古買取再販マンションの強化にさらに力を入れていきたいと考えています。仕入れについては、当社が関与しているネットワークからさまざまな情報をいただけることが強みです。
仕入れのポイントとして、当社は得意とするエリアに特化しています。当社の強みである横浜、川崎、グループインしていただいた足立区、これまでマンションを供給していたエリアでストックがある仙台、宇都宮、浜松といった地域です。これらのエリアに特化して仕入れを強化しています。
商品力については、現在、新築マンションの価格が高騰しているため、中古マンションのニーズが非常に高まっています。各社で中古買取再販事業に参入していますが、当社は商品の差別化を図っていきたいと考えています。
ポイントは木質化です。先ほど「RIZ WOOD」というブランドを立ち上げたことについてお伝えしました。現在、お客さまから非常にご好評をいただいています。

スライドをご覧いただいたように、木の持つ価値が経済価値としても認められるようになってきています。今後さらに木質化を施した商品の商品性を高め、より多くのみなさまにご満足いただける中古買取再販の区分所有マンションを展開していきたいと考えています。
また、戸数を増やすには工事能力の強化が必要となります。施工に対応していただける会社は多くありませんが、当社の建築資材事業の取引先の中には多くの施工会社がいらっしゃいます。
そうした企業と連携しながら工事体制を整えて、施工力と商品力の両面を強化し、2030年3月期の販売戸数目標の500戸までしっかりと伸ばしていきたいと考えています。
質疑応答:2027年3月期における住宅事業の成長戦略について

荒井:「2027年3月期の見通しでは、住宅事業の増収を見込みつつ、地政学的リスクは織り込まないとしています。金利上昇や資材高など逆風局面で計画達成の確度を上げる施策を教えてください」というご質問です。
津戸:まず、地政学的リスクを織り込まない理由については、4月の段階では、新聞報道などで「モノがない」「受注が停止する」などの情報がありましたが、実際に蓋を開けてみると、概ね前年並みのボリュームを確保できていました。
また、住宅事業については、2027年3月期に引き渡しを予定しているマンションの材料確保についてもすでにめどが立っています。そのため、現時点では問題ないと判断し、地政学的リスクを織り込んでいません。
金利上昇と資材高の影響については、資材価格の高騰に伴い、現在、住宅のコストが上昇しています。どのような住宅かにもよりますが、資材コストは概算で1棟当たり100万円から200万円程度増加していると考えています。
また、金利が上昇すると、月々のローンの負担が増加し、それにより消費者マインドが低下することが最も懸念されます。
当社はBtoCの住宅事業を展開していますので、お客さまにはさまざまな住宅ローンの商品をご案内しています。35年ローンだけでなく、40年や50年といった長期ローンやペアローンなども含め、しっかりと丁寧にご提案していきたいと考えています。
一方で、新築住宅の価格が高くなってきたため、以前の建築コストで建てられた中古住宅が注目されています。先ほどお話ししたような取り組みをしっかりと強化していきたいと考えています。
また、「中古住宅も少し高い」と感じている方々で、なおかつ「利便性の高いエリアに住みたい」と希望される方々が選ばれるのが賃貸マーケットだと思います。当社では賃貸ニーズの高まりに対応するため、商品企画や建築、入居いただくためのリーシング、リーシングしたものを商品として販売することにも着手しています。
建築コストの上昇や消費者マインドの低下といったネガティブな要素がありますが、それを上回ってカバーすることができるような取り組みをしっかりと推し進めていきたいと考えています。
質疑応答:非住宅木造建築の用途、顧客層、競合との差別化要因について
荒井:「非住宅の木造化・木質化を企画から施工まで支援していますが、受注拡大に向けて重点を置く用途や顧客層と、競合との差別化要因を教えてください」というご質問です。
津戸:いろいろな用途でご要望があるため、当社が用途を限定することはありません。最近では、ロードサイドの店舗やオフィス、倉庫などでニーズが高まっていると感じています。さまざまな用途に対応していきたいと思います。
当社の差別化ポイントとしては、優れたプロ人材が多いことだと考えています。一級建築士や二級建築士、構造設計士を合わせると、社内に200名を超えるスタッフが在籍しています。
彼らの能力を活かし、企画、設計、構造のご相談から、計画が固まれば材料の調達、加工、施工まで一気通貫で対応します。みなさまのニーズにしっかりお応えしていきたいと考えています。
また、「木造テクニカルセンター」という相談窓口を設けており、これまでに累計で約1,500件のご相談を受けています。さまざまな案件についてご相談いただくことが増えてきましたので、物件化・実現化に向けてしっかりと進めていきたいと考えています。
さらに、飛島建設というゼネコンとの間で、合弁会社ウッドエンジニアリングを設立しました。こちらでは、4階建てから6階建ての中層建築をターゲットにしていきたいと考えています。
従来、この分野は鉄筋コンクリート造や鉄骨造が主流でしたが、建築物の木造化に向けて、当社の構造設計のノウハウを活かしながら、事業展開を進めていきます。
質疑応答:人的資本経営の施策について
荒井:「御社では人的資本経営を掲げていますが、具体的にはどのような施策を計画していますか?」というご質問です。
津戸:「人材は最大の財産」と捉えています。施策は多岐にわたりますが、特にキャリアの自律性を持っていただきたいと考えています。
当社の事業を通じて「どのようになりたいか」「何を実現したいか」といったキャリアの自律性を高めたいと考えており、この会社で実現したいことをタレントマネジメントシステムで拾い上げ、それに合致した適正な人員配置を行っています。
また、サクセッションプランとして次の役員候補や部長候補を選定し、彼らに教育を施しながら、新たな事業を構築するための素地を学んでいただきたいと考えています。
さらに、社員の声を経営に活かしたいと考えており、私自身も社員との対話をしっかり行う必要があると感じています。そのため、オープンコミュニケーションミーティングという場を通じて社員と対話し、その声をもとに人事制度改革にも着手しています。さらに良い会社にするために、社員の声を事業に活かしていきたいと考えています。
津戸氏からのご挨拶
津戸:当社グループは、住まいと暮らしを通じて、すべての人々のあふれる笑顔を作り出していきたいと考えています。
社長に就任して約2年になります。このビジョンを実現するとともに、企業価値向上に向けて今後もしっかりと取り組んでいきます。みなさまには引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日登壇者に回答いただきましたのでご紹介します。
なお、内容が重複する質問についてはまとめて回答していますのでご了承ください。
<質問1>
質問:国産木材と輸入木材の割合はどのくらいでしょうか?
回答:当社における木材取扱材積の国産木材比率は着実に上昇しており、2025年度には半数を超えて、輸入木材との比率が逆転しました。
今後においても、「中期経営戦略 Road to 2030」の主要な成長ドライバーである「国産木材の供給」拡大に取り組み、強靭なサプライチェーンの構築による安定供給体制の整備に努めていきます。
<質問2>
質問:国産木材の一戸建ての価格は輸入木材の一般的な一戸建よりかなり高いのでしょうか?
回答:木材価格は相場により変動しますが、現時点での当社試算では、国産木材の方が若干割安となる結果が出ています。
こうしたコスト競争力の向上に加え、地産地消という持続可能性の観点からも、国産木材を用いた家づくりには大きな優位性があると考えています。
<質問3>
質問:木材はどこの国からの輸入が一番多いのでしょうか?
回答:当社が取り扱う輸入木材の調達先については、直近の実績では欧州および北米が主要な調達先となっています。
<質問4>
質問:資材調達先は海外企業からでしょうか?
回答:建材・住宅設備機器については、国内メーカーさまの商品が中心ですが、木材については、国産木材と輸入木材の双方を取り扱っています。
今後も市場環境の変化を的確に見極め、あらゆる状況下でお客さまへ安定供給を維持できるよう努めていきます。
<質問5>
質問:パワービルド工法は特許なのでしょうか?
回答:パワービルド工法に使用する一部の専用金物の特許を保有しており、技術的な優位性を確保しています。
なお、「パワービルド」は当社の登録商標であり、知的財産権の保護とブランド価値の維持・向上に努めていきます。
<質問6>
質問:ケーブルテレビを開局した理由を教えてください。
回答:当社は、創業の地である横浜・川崎エリアの「住宅提供における付加価値の向上」と「地域インフラの維持発展」を両立させることを目的として、ケーブルテレビ事業を開始しました。
1990年代初頭、自社分譲マンション建設に伴う近隣の視聴環境の確保(電波障害対策)が課題となっていましたが、当社はこれを単なる対策業務に留めず、自ら放送・通信インフラを担う「地域放送局」を設立することで、ハード(住宅)とソフト(情報サービス)が一体となった高度な住環境を提供できると判断しました。
この開局時の決断が、現在の強固な地域密着型の顧客基盤を生み出し、他社と一線を画すグループ独自のストック型収益モデルの構築へとつながっています。
<質問7>
質問:TNFDや自然資本開示への関心が高まる中で、木材利用だけでなく、「持続的な森林管理まで含めた調達体制」が重要になると感じています。今後の国産木材調達や川上の森林側との連携について、どのような方向性をお持ちでしょうか?
回答:当社は、2025年に木材調達基本方針を策定し、環境・人権・生物多様性等に配慮した木材調達を推進しています。これにより、自然資本の維持・向上と木材の安定供給の両立に努めています。
調達体制においては、国内約600社の木材仕入先とのネットワークに加え、当社の木材加工・流通拠点でCoC認証を取得し、責任ある森林管理が行われている森林から生産された木材のトレーサビリティを確保しています。
また、川上の森林側との連携として、2022年に山林での伐採や選木など、素材生産を手掛ける「ナイス原木流通株式会社」を設立しました。森林所有者や素材生産事業者との連携を深めることで、原木の安定調達と、製材メーカーへの安定供給を推進しています。
<質問8>
質問:世界的な物流不安定化や資源価格変動が続く中、木材調達リスクへの対応はますます重要になっていると感じます。国産木材サプライチェーンとの中長期的な関係構築や、安定調達に向けた取り組みについて、どのようにお考えでしょうか?
回答:当社は、為替や地政学的リスク等の影響を受けやすい輸入木材から国産木材へのシフトを進め、外部環境に左右されにくい強靭なサプライチェーンの構築を目指しています。
国産木材の安定調達に向けた中長期的な関係構築として、全国の有力製材メーカーとの組織化による連携強化に加え、農林水産省や各自治体(徳島県、香川県、宮崎県、京都府など)と木材利用促進に関する協定を締結しています。特に宮崎県では製材メーカーらと協議会を設立し、地域産材の利用拡大に官民連携で取り組んでいます。
当社グループでは、これらの体制強化を通じて、2030年3月期までに国産木材の取扱量を75.0万立方メートル(2023年3月期比で約1.9倍)へと拡大する目標の達成に向けて取り組んでいます。
<質問9>
質問:ESG投資やTNFD対応が進む中で、「森林由来の自然資本への関与」は、今後の企業価値や金融市場でどの程度重要になるとお考えでしょうか? また、木材流通企業として、森林整備や再造林への関与について今後強化される可能性はありますでしょうか?
回答:気候変動や生物多様性の損失を経営リスクと捉える一方、木材流通をルーツとする当社にとって、企業価値を高める重要な機会であると認識しています。森林由来の自然資本への関与は、当社の競争優位性と将来の成長期待を支える中核要素であり、「国産木材の供給」を「中期経営戦略Road to 2030」の成長ドライバーとして経営戦略に統合しています。
森林整備や再造林への関与については、全国に所有する計2,428.4ヘクタールの社有林において、適切な森林管理を推進・強化していく考えです。
なお、これら社有林による二酸化炭素吸収量が自社の排出量(Scope1・2の合計)を上回る「カーボンニュートラル」を、2024年3月期より2期連続で維持しています。
<質問10>
質問:不動産事業も行われており、土地活用の知見もあると思いますが、所有されている森林はどのような管理をされていますでしょうか?環境的な視点、経済的な視点双方でお答えください。
回答:当社は全国に計2,428.4ヘクタールの社有林を所有しており、環境・経済の両面の観点から適切な森林管理を行っています。経済的視点では、一部を「経済林」として原木を生産し、グループ内の製材工場へと供給することで、外部相場に左右されにくい、安定した原材料確保に努めています。環境的視点では、そのほかの社有林を「環境林」と位置づけ、多面的な機能の維持・増大を主眼に保全・育成しており、年間約11,000トンのCO2吸収に貢献しています。
さらに、今年4月には、社有林の「水源かん養機能」を定量化して公表しました。年間の水資源かん養貢献量(485万2,000立方メートル)がグループ全体の年間水使用量の約100倍に相当し、水リスクの観点から「ウォーターポジティブ」となるなど、自然資本の価値向上に取り組んでいます。
<質問11>
質問:売上高3000億目標の達成は少し頑張ればいくものなのか、それともかなり頑張らないと達成できないものなのかを教えてください。
回答:売上高3,000億円という目標は、当社にとって「一段上のステージへの挑戦」であると認識しています。当社の売上高は2025年3月期の2,430億円から、2026年3月期には2,591億円へと伸長し、過去最高の売上高となりました。さらに2027年3月期には2,700億円を見込むなど、成長トレンドを描いています。この成長を今後さらに加速させていくことで、3,000億円は達成可能な目標であると考えています。
今後は、「中期経営計画Road to 2030」に掲げた各施策を一つひとつ着実に実行し、全社一丸となってこの目標の達成に向けて邁進していきます。
<質問12>
質問:自社株買いを直近に実施されていますが、業界の中でも最下位に近いPERでPBRも1倍割れと買収リスクについても気になるところですが、そのあたりはどのようにお考えでしょうか?
回答:当社のPBRが0.4倍を下回る水準に留まっている現状を踏まえ、その向上に向けた施策の実行は喫緊の課題であると認識しています。株価は市場環境や全体相場など、外部要因に左右される側面もありますが、まずは「中期経営計画Road to 2030」に掲げた諸施策を確実に実行し、着実に業績を積み上げていきます。
同時に、当社の固有の強みや事業構造が市場から見えにくい点が現状の株価に影響している一因と捉えています。今後は、IR活動を一層強化し、事業の認知と適切な評価の獲得に注力していきます。
あわせて、株主還元を重要事項の1つと捉え、中期経営計画期間である2030年まで毎期7円ずつの増配(最終年度に配当金100円)を確実に実行し、株主価値の持続的な向上に努めていきます。
当社に対して同意なき買収提案がなされた場合には、取締役会において、当該提案が当社の企業価値の向上および株主の共同の利益に資するものかについて、客観的かつ真摯に検討を行います。真摯な提案に対しては、株主の意思を尊重する観点から、買収者との間で誠実な対応・対話を行うとともに、検討の結果について株主に対し適切に情報提供・説明を行うことを基本とします。
<質問13>
質問:M&Aは経営戦略上で重要なテーマになると思いますが、M&Aの実行においてのルール設定は社内で具体的に何を実施されていますか?
回答:具体的な投資判断においては、初期検討から最終決定に至るまで、法務・財務のアドバイザー等の外部専門家を交えた厳格なデューデリジェンスを実施しています。その上で、当社の企業理念の体現や、事業シナジーの可能性といった「定性面」と、投資回収期間やハードル・レート(収益性基準)といった「定量面」の双方から、経営会議および取締役会にて段階的な審議・承認を行うルールを徹底しています。
さらに、単なる利益創出の有無だけでなく、対象会社の運転資本の状況や当社の財務健全性を勘案し、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)ベースでの資金効率を厳格に検証した上で実行の可否を判断しています。
<質問14>
質問:大きなIRフェアへのブース出展の予定はありますか?
回答:2026年8月28日(金)・29日(土)に東京ビッグサイトで開催予定の「日経・東証IRフェア2026」への出展を予定しています。詳細については決定次第、当社ホームページ他でお知らせします。
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