2026年3月期決算説明
不二製油、事業利益で過去最高、前年比+10円の増配を計画 米国ブラマーの構造改革・CBEの販売堅調が背景
2026年3月期決算説明
大森達司氏(以下、大森):本日は、不二製油決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。CEOの大森です。昨日公表した2025年度決算および2026年度業績予想について、ご説明します。
目次

2ページ目をご覧ください。本日の目次です。2025年度の実績、2026年度の業績予想、重点施策の順にご説明します。
1. 2025年度 通期実績

4ページ目をご覧ください。2025年度通期の実績です。売上高は、1,011億円増収の7,723億円、事業利益は、228億円増益の360億円、当期利益は、73億円増益の111億円となりました。
まず、売上高については、主要原材料であるパーム油、カカオなどの原材料価格上昇に伴い、販売価格の適正化を進めた結果、増収となりました。
続いて事業利益ですが、植物性油脂事業では、チョコレート用油脂CBEの販売が堅調に推移するなど、大きく伸長しました。また、業務用チョコレート事業における米国ブラマーでは、カカオに関連した特殊要因の費用が2024年度の305億円から、2025年度には104億円に縮小した結果、増益となりました。
なお、4月24日に開示したとおり、ブラマーに係る減損損失の計上と繰延税金資産の取崩しを行っています。
これは、アメリカにおける需要低迷の長期化による販売数量の減少や、管理強化に伴う固定費の増加などにより、当初の事業計画と実績に乖離が生じたため、必要な措置をしました。計上額は、のれんの減損損失が41億円、繰延税金資産の取崩しが51億円、合計で93億円となります。この結果、2025年度の当期利益は111億円となりました。
1. 2025年度 通期実績

5ページ目をご覧ください。事業利益について、事業別に説明します。
植物性油脂事業では、上期を中心に、主原料であるパーム油の安定した価格推移により、原料差益を確保することができました。また、CBEについては、堅調な販売に加え、販売価格の適正化も寄与し、増益となりました。
業務用チョコレート事業では、コンパウンドチョコレートの販売が堅調に推移しました。また、ブラマーは米国でのチョコレート消費の減退に伴い、ピュアチョコレートの販売数量が減少しましたが、価格適正化に加えて、カカオ特殊要因の費用が減少したことから、業務用チョコレート事業は、増益となりました。
乳化・発酵素材事業では、原材料価格の上昇に加え、中国をはじめアジアでの需要低迷に伴う販売数量の減少により、減益となりました。
大豆加工素材事業では、事業再編を推進するなど固定費の削減を進めましたが、飲料向けの機能剤の販売数量が減少し、減益となりました。
1. 2025年度 通期実績

6ページ目をご覧ください。通期事業利益における、前期比でのウォーターフォールチャートです。
まず、数量要因については、業務用チョコレート事業のブラマーで販売数量が減少しましたが、植物性油脂事業のCBEの販売数量の増加により、プラス7億円となりました。
単価要因については、原材料価格の上昇に伴う販売価格の適正化に加え、植物性油脂事業のCBEの販売価格上昇が寄与し、プラス328億円となりました。固定費・経費・為替等については、人件費等の固定費の上昇によりマイナス107億円となりました。
以上により、事業利益は228億円増益の360億円となりました。
1. 2025年度 通期実績

7ページをご覧ください。ブラマーの業績についてご説明します。2025年度は、ブラマー構造改革の施策の実行・継続を最大のテーマとして取り組んできました。カカオ高騰の影響は引き続き残りましたが、改革は前進しています。
事業利益はマイナス114億円、そのうちカカオ特殊要因は、マイナス104億円でした。2月に発表した計画値よりも、カカオ特殊要因が下振れていますが、期末に向けて一部販売が低調に推移したことにより、費用が先行するかたちとなっています。
カカオ特殊要因を除く事業利益については、第4四半期に一過性費用を計上したことから悪化していますが、収益構造の改善は進んでいます。
カカオ高騰以降、カカオ特殊要因低減に向け、さまざま施策を実行し、2025年度末において、管理可能な水準となりました。2026年度においては、一部影響は残るものの、限定的とみています。2026年度のブラマーの成長戦略については、後ほどご説明します。
2. 2026年度 通期業績予想

続いて、2026年度の業績予想についてご説明します。
9ページをご覧ください。2026年度の業績予想です。売上高は、183億円減収の7,540億円、事業利益は、15億円増益の375億円、当期利益は、84億円増益の195億円を計画しています。
売上高は、カカオなど原材料価格下落に伴う販売価格の下落を見込み、減収を計画しています。
事業利益については、業務用チョコレート事業での利益伸長を中心に増益を計画しています。
事業別については次のページでご説明します。
当期利益については、前年度に計上したブラマーでの減損損失等の反動に加え、事業利益の伸長により増益を計画しています。
2. 2026年度 通期業績予想

10ページ目をご覧ください。2026年度予想の事業利益における、2025年度比でのウォーターフォールチャートです。
まず、業務用チョコレート事業では、ブラマーにおける収益性改善に加え、各エリアで稼働を予定している新設備の効果により、プラス131億円の改善を見込んでいます。
乳化・発酵素材事業、大豆加工素材事業では、それぞれ5億円の改善を見込みます。
植物性油脂事業においては、2025年度には原料差益を確保しましたが、足元で植物油脂市況が高い水準で推移していることから、2026年度には原料差益を織り込まないことを主要因とし、マイナス91億円を見込んでいます。この考え方については、後ほどご説明します。
なお、グループ全体において、中東情勢やアメリカの関税動向、原料相場や市場動向の変動といったリスクを考慮し、「その他」としてマイナス35億円を織り込み、2026年度の事業利益は375億円を計画しています。
2. 2026年度 通期業績予想

11ページ目をご覧ください。バランスシート、キャッシュフローの状況についてご説明します。
まずはバランスシートです。2025年度は、事業投資等により、Net(ネット)有利子負債は増加しました。運転資本に関しては、カカオ価格高騰の影響により、高い水準ではありますが、この第4四半期に大きく改善しました。2026年度においては、期末にかけてカカオ在庫の価格も低下し、資金の回収も進むことで、Net有利子負債の削減、Net DE(ディーイー)レシオの改善が進むと想定しています。
戦略投資の支出のタイミング等も加味すると、2027年度のNet DEレシオやNet有利子負債の目標に向けて、若干の遅れはありますが、中計目標達成に向けて、引き続き施策を実行していきます。
次にキャッシュフローです。利益の伸長や、ブラマーにおける運転資本の改善により、2025年度第4四半期に営業キャッシュフローは大きく改善し、フリーキャッシュフローもプラスに転じました。2026年度においても、原料価格の平準化と利益伸長により、改善を進めます。
2. 2026年度 通期業績予想

12ページ目をご覧ください。FUJI ROICと配当方針についてご説明します。まず、FUJI ROICです。2025年度は、植物性油脂事業において、利益伸長により、高い水準を維持しました。また、業務用チョコレート事業では、運転資本は引き続き高いものの、ブラマーでの損失改善により、FUJI ROICは2024年度から改善しました。
これらの結果、全社FUJI ROICは、2024年度の2.1パーセントから、2025年度は5.1パーセントへと大きく改善しました。
2026年度は、業務用チョコレートでの利益伸長が成長ドライバーとなります。加えて、大豆加工素材事業での事業再編を含め、各種施策を着実に実行することで、2027年度目標であるFUJI ROIC6パーセント以上の達成に向けて、引き続き取り組んでいきます。
続いて配当についてご説明します。2025年度は、1株当たりの年間配当52円を予定しています。期末に当期利益の下方修正はありましたが、期初にお約束した配当の実施を予定しています。
2026年度については、利益伸長を背景に、年間10円の増配となる62円の配当を計画しています。従来、当社の配当方針は、配当性向30パーセントから40パーセントを基本とし、安定的かつ継続的な配当の実施としています。
株主のみなさまのご期待にしっかりとお応えしていくことが重要と考えており、2026年度の配当性向は27パーセントとレンジを下回る水準ではありますが、利益進捗や市場環境等を踏まえ、追加的還元も視野に入れながら検討していきます。
2. 2026年度 通期業績予想

13ページは、2026年度通期業績予想に関する、事業とエリア別のマトリクスですので、ご参考ください。
3. 重点施策

ではここから、事業別に重点施策を説明します。
15ページをご覧ください。植物性油脂事業では、2026年度事業利益は、91億円減益の243億円を計画しています。2025年度は、期初から上期にかけて主要原料であるパーム油相場が、安定して推移したことで、原料差益を確保することができました。
2026年度については、中東情勢の影響もあり、足元では植物油脂市況が高い水準で推移していることから、2025年度の増益要因の一つであった原料差益は織り込まずに、計画を作成しています。
チョコレート用油脂CBEについては、カカオ価格高騰以降、需要は引き続き堅調に推移し、新規顧客からも高い評価をいただいています。2026年度においても、自社コンパウンドチョコレートへの供給を含め、数量面では引き続き堅調な需要を想定しています。
また、収益に関しても、2025年度は高まる需要に応じた販売により収益性が向上しました。2026年度においても、競争優位性を活かした販売戦略を進めていきます。
一方、年明け以降、カカオ価格が下落した影響として、2026年度下期には、一部販売価格の調整が入るリスクはあります。この点については織り込んだ上で予算を作成しています。
続いて、サプライチェーン強化について、2026年度下期より、認証油など環境対応に特化した油脂精製を行う合弁会社JPG フジが稼働を開始する予定です。これにより、農園から搾油、精製までを一貫して管理することが可能となります。供給の安定性と品質の信頼性を高め、植物性油脂事業の中長期的な競争力強化につなげていきます。
3. 重点施策

16ページをご覧ください。業務用チョコレート事業についてご説明します。2026年度の事業利益は131億円増益の155億円を計画しています。
この2年間、カカオ価格の高騰により、世界的にチョコレート菓子の消費が冷え込む局面が続きましたが、そのような環境下においても、不二製油グループでは、油脂技術を活用したコンパウンドチョコレートの販売を着実に拡大することができました。品質、安定性、機能性といった強みについて、市場での認知を高めることができた点は、大きな成果だと考えています。
歴史的な高値を記録したカカオ価格は下落基調が継続し、今後、チョコレート市場の回復や需要拡大が見込まれていることから、コンパウンドチョコレートの拡販を進めます。
その拡販のため、今中計においては、世界5拠点において設備投資を実行しています。2025年度下期にはブラジルにおいて新ラインが稼働開始しました。さらに、2026年度には、上期に日本、下期にはアメリカのブラマー、欧州、オーストラリアで新ラインが稼働する予定です。
これらの施策により、不二製油グループ全体のチョコレートの販売数量は、2025年度においては、ブラマーの減少はありましたが、全体としては、2024年度に近い水準を確保することができました。
2026年度は2024年度比で105パーセント、2027年度は110パーセントまで引き上げ、設備増設の効果により、利益成長を達成します。
3. 重点施策

17ページをご覧ください。ブラマーにおける施策をご説明します。
2026年度のブラマーの業績計画は、売上高は222億円減収の1,621億円、事業利益は144億円増益の30億円を計画しています。
2025年度、ブラマーでは、カカオ特殊要因の継続や、カカオ価格高騰によりアメリカ国内でのチョコレート消費が低迷し、非常に厳しい市場環境でした。その一方で、構造改革の発表以降に取り組んできた、価格改定の実行や、原料・収益管理の見直しなど、立て直しに向けた取り組みを着実に進めた1年となりました。
2026年度は、カカオ特殊要因の改善、一過性費用の改善、コンパウンドの拡販の3つの要因により、ブラマーの大幅な改善を計画しています。
まず、カカオ特殊要因については、2026年度上期まで続きますが、販売価格の改定により、通期ではカカオ特殊要因の解消を見込んでいます。
また、一過性費用の改善については、2025年度には、シカゴ工場に関する償却の変更や第4四半期における一過性費用など約10億円が発生しましたが、これらは2026年度には発生しない見込みであり、増益要因となります。
さらに、コンパウンドの拡販効果による、収益性の改善の成果も着実に現れ、30億円の改善を見込んでいます。
まず、市場認識ですが、アメリカのチョコレート市場は、カカオ価格の安定と共に、回復が期待されます。市況回復の中で、ブラマーにおいても着実にコンパウンド製品の拡販を進めていきます。
拡販施策については、キャンベルフォード工場の新ラインは、2026年度下期の稼働開始を予定しています。この新ラインでは、不二製油の油脂技術を活用したコンパウンドチョコレートを製造し、顧客の課題に応える、課題解決型提案を強化していきます。
あわせて、これらの施策を支えるため、体制の整備も同時に進めています。
販売体制については、日本からの開発営業の駐在員派遣を含め、人員拡充を進めています。また、生産体制については、主力工場であるイーストグリーンビル工場の生産性改善を目的に、日本から生産関連の駐在員を大幅に増強し、キャンベルフォード工場における新ラインの稼働サポートを含め、生産体制の強化を実施しています。
こうした取り組みにより、CBEコンパウンドの販売数量拡大を目指しています。2025年の発売以降、顧客からは品質や機能性の面で評価をいただいており、2026年度分の販売契約についても、計画どおり進捗しています。
今後も、CBEコンパウンドをはじめとするコンパウンド製品の、機能性を訴求することで、2027年度には、販売数量を2024年度比で150パーセントまで引き上げていきます。これら取り組みを通じて、ブラマーの収益基盤を着実に立て直していきます。
3. 重点施策

18ページをご覧ください。乳化・発酵素材事業および大豆加工素材事業についてご説明します。
まず、乳化・発酵素材事業です。2026年度事業利益は5億円増益の16億円を計画しています。2025年度も日本市場ではインフレに伴う消費動向が低迷する中、新しい商品提案を含め、一定の販売は、確保できたと捉えています。
2026年度においても、日本では、新技術を活用した高付加価値製品群の拡充、拡販を進めます。また、海外では、日本でのアプリケーションを東南アジア、中国のグループ会社に積極展開することや、海外拠点間での製造最適化により、収益性を高めていきます。
次に、大豆加工素材事業です。2026年度は、前期比で5億円の改善となる、事業損失4億円を見込んでいます。足元では、ホエイプロテインをはじめとするたん白質摂取ニーズの高まりを背景に、当社のソイプロテインにも注目が集まっています。また、2025年度は、飲料向け機能剤において販売数量が低調に推移しましたが、販売体制の強化を進めています。
2026年度においては、大豆たん白素材および機能剤の積極的な拡販を図ることで、売上の回復とあわせて、収益性の改善を着実に進めていきます。
3. 重点施策

19ページをご覧ください。挑戦領域についてご説明します。
2025年度は、挑戦領域製品群の拡充に注力した1年でした。顧客や社会が抱える課題に応える製品を形にすることで、いくつかの取り組みが数量・収益の両面で成果として表れ始めています。具体的には、植物性油脂事業のメラビオ、そして業務用チョコレート事業ブラマーのCBEコンパウンドについては、成果が現れています。
また、乳化・発酵素材事業では、2026年4月に植物性発酵素材の新ブランド「デアリ」シリーズを上市しました。大豆加工素材事業においても、顧客での作業工程の簡略化につながる課題解決型製品を発売し、着実に採用が進んでいます。
さらに、油脂、乳化、大豆の技術を掛け合わせて開発した植物性ダシ「ミラダシ」については、製品ラインナップの拡充を進めるとともに、日本にとどまらず、海外での拡販も進めています。
現時点では、挑戦領域の規模は、まだ全社業績の一部分ではありますが、将来の事業の柱となる領域として、確かな手ごたえを感じています。2026年度においても、これらの挑戦領域への取り組みを継続・強化していきます。
3. 重点施策

20ページをご覧ください。最後に、中期経営計画達成に向けた進捗をご説明します。
まず、2025年度は、事業持株会社制に移行した初年度であり、組織の面でも事業の面でも、次の成長に向けた土台作りができた1年として、手ごたえを感じています。
また、業績面においては、ブラマーは、2024年度からのカカオ特殊要因とアメリカ市場の需要低迷の影響により、みなさまにご心配をおかけしていますが、ご説明したとおり、2026年度の回復につながる施策をしっかりと打つことができました。
不二製油グループとしては新体制のもと、各事業本部長が中心となり、販売戦略、成長戦略に取り組み、事業利益360億円と過去最高益を更新することができました。ROEは5パーセント、FUJI ROICは5.1パーセントと、まだ、満足のいく水準ではありませんが、2024年度から改善が進んでいます。
2026年度計画も含め、中計の2027年度目標達成に向けて、全体的に計画どおりの進捗です。
今回お示しした2026年度の事業利益目標375億円については、保守的と受け止められた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この目標は、中東情勢やアメリカの関税、原料相場の変動など、私たちを取り巻くリスクを織り込んだ上で設定した、必達の計画です。
2026年度、2027年度に、業務用チョコレート事業を中心に業績伸長を果たし、加えて、事業全体でシナジーを生み出していくことで、不二製油グループの成長を確かなものとし、中期経営計画の目標を必ず達成していきます。
今後とも、不二製油グループをよろしくお願いします。
質疑応答:2026年度通期業績予想における植物性油脂事業と業務用チョコレート事業の前提と考え方について

質問者:今期のガイダンスの前提や考え方について、あらためて教えてください。
植物性油脂事業の大幅減益計画についてですが、原料差益の剥落やCBE(チョコレート用油脂)の価格下落、さらに業務用チョコレート事業のうち、ブラマーを除いた部分での減益といった内容をうかがうと、保守的で理解が難しい点が多いと感じます。
なぜこのような表現になっているのか、また、実態としてはどのような動きになると考えている
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