ログミー IR Meet 2026春 第1部
ispace、JAXA宇宙戦略基金で最大200億円支援獲得 NASA案件も担い月面輸送開発が進展
ログミー IR Meet 2026春
袴田武史氏(以下、袴田):株式会社ispace代表取締役CEOの袴田です。当社は月関連の事業を展開しており、多くの方は具体的なイメージが湧きにくいかもしれません。そこで、まずはispaceのビジョンを簡単にまとめた動画をご覧いただきたいと思います。
(動画が始まる)
私たちが月に行くのは、その先に本当の目的があるからです。私たちが創り出さなければならないものがあるのです。ispaceは人類の未来のための礎を築きたい。そのためには、しっかりと存在感を示し、宇宙に持続可能なインフラを整え、かつ成長させる必要があるのです。
採水され精製された月の水は、不可欠なエネルギー源となり、シスルナ(=地球と月の間)での人類の活動を拡大し、地球上の生活に持続的な恩恵をもたらします。そしてispaceは、この貴重な資源探査と開発のまさに最前線にいるのです。
ispaceは、市場で最も包括的なシスルナ(=地球と月の間)での人類の活動を拡大し、お客さまのペイロードを月の周回軌道や月面へと運ぶのです。
私たちは、人類が月面に到達するための基盤を築こうとしています。水資源、エネルギー、通信そして月環境に関するデータなどのサービスを、政府機関や学術機関だけでなく、顧客にも提供しています。
私たちは、革新的な技術を検証し、月面で運用するための初めの一歩を共に歩むのです。ispaceは月特有の課題に対して、素早く設計を改良し、最も費用対効果の高い解決策を見出すことができるのです。
ispaceは、これまで不可能とされていたことを可能にします。私たちは月の開発だけでなく、人類と地球に確かな価値を還元できる経済システムへの道を開くのです。地球上と宇宙空間における人類の未来を創る、使命があるのです。
この新しいシスルナ(=地球と月の間)経済圏の扉はすでに開かれています。共に、月を探求しましょう。未来のために、地球上の暮らしを宇宙へ広げましょう。すべての人類のために。
(動画が終わる)
袴田:このように、非常に大きなビジョンを掲げている企業です。
登壇者紹介

袴田:まずは自己紹介です。映画『スター・ウォーズ』に魅了されたことが、宇宙の仕事を目指すきっかけとなりました。大学・大学院で航空宇宙工学を学び、特に大学院ではアメリカで修士号を取得しました。
その後、少し異なる仕事に従事しましたが、「Google Lunar XPRIZE」という国際的な民間月面探査レースに参加するためにispaceを立ち上げ、現在に至ります。
1.ispaceが取り組むビジネスとは? ―OUR VISION

袴田:動画の中にもありましたが、当社のビジョンは「EXPAND OUR PLANET. EXPAND OUR FUTURE.」です。人間が宇宙に生活圏を築けるような世界を創りたいという背景があるメッセージになります。
人間が宇宙に生活圏を築くためには、宇宙に経済圏が必要だと考えています。それがなければ、豊かに成長する生活は実現できないと思っています。
そのような世界が実現すれば、月でも1,000人ほどの人が生活し、働き始めていてもおかしくないと考えています。私たちは「Moon Valley 2040」という構想も掲げています。
1. ispaceが取り組むビジネスとは? – 水資源の存在

袴田:その背景にあるのは、月の資源を活用していこうという考えです。宇宙で経済圏を作るための最初のドライバーとして、宇宙での資源利用が重要だと考えました。
特に、月には水資源が存在することが確認されています。正確にどこにどのくらいの量があるかはこれから確認していく段階ですが、水資源を獲得し、飲み水としてだけでなく、水素と酸素に分離してロケットの燃料としても利用します。
そして、宇宙にガスステーションが設置され、宇宙で最も大きなコストである輸送コストを大幅に削減することが可能となります。これにより、宇宙での活動に経済合理性が生まれることで、将来的には火星への移動も可能になります。
また、私たちは地球周辺の宇宙インフラを支えることが、地球上の持続可能性を高める上で重要だと考えています。
1. ispaceが取り組むビジネスとは? – 当社のビジネス領域

袴田:ただし、いきなり月の資源を獲得することはできませんので、まずは月に行く必要があります。現在、月面への輸送の仕組みを構築している段階です。当社はこれを事業化しています。
まずは、SpaceX社など他社のロケットで打ち上げます。その中に仕込まれている着陸船と呼ばれる宇宙機が、地球の軌道から切り離された後、月に向かい、着陸します。
その後、衛星を展開したり、月面でローバー(月面探査車)というロボットを展開してデータを獲得し、そのデータを地球に送り返します。ただし、残念ながら機体が地球に戻ることは想定していません。
1. ispaceが取り組むビジネスとは? – 当社の提供サービス

袴田:この輸送インフラを活用し、ペイロードサービスという宅急便のような輸送サービスを「1キロ当たりいくら」という価格設定で提供しています。これには民間企業や宇宙機関が重要になります。さらに、月面で得られたデータを販売するデータビジネスも展開しています。
2. 足許の事業活動 – 開発進行中のミッション

袴田:当社はすでに2回のミッションを実行し、技術を蓄積してきました。Mission 3以降は、輸送可能な重量を大型化し、本格的な商業フェーズに入っていきます。
Mission 3では、アメリカのNASAと契約しており、NASAの荷物を運ぶ予定です。打ち上げは2027年を予定しています。
Mission 4は、日本のSBIR制度(Small Business Innovation Research:中小企業技術革新制度)に採択され、経済産業省の支援を受け、2028年の打ち上げを予定しています。
2. 足許の事業活動 – ミッション6の概要

袴田:最近、次のミッションであるMission 6で、JAXAの宇宙戦略基金事業第2期の案件を獲得し、最大200億円の支援を受けられることになりました。また、ESA(European Space Agency:欧州宇宙機関)の案件も予算確保済みで、これから契約を締結する予定です。
2. 足許の事業活動 – ミッション計画

袴田:このように、当社としては将来的に年2回から3回の月への輸送を実施することで、事業を拡大していきたいと考えています。また、輸送だけでなく、周回軌道や月面でより長期にわたり活動できるような取り組みを目指していきたいと考えています。
経営体制

袴田:当社の特徴は、グローバルで展開している点です。日本だけでなく、ヨーロッパやアメリカにも子会社があり、グローバルチームでこの事業を世界的に成長させようと考えています。
ispaceの紹介は以上です。
ispace(9348)のここがすごい!!

kenmo氏(以下、kenmo):ここからは投資家目線で「ispaceのここがすごい!!」というところやリスク要因などを見ていきます。まず、スライドに「ispaceのここがすごい!!」というところを5点にまとめています。
1点目は「官需を軸にした“月面インフラ企業”へ進化」です。国家戦略に組み込まれた唯一無二のポジションであり、月へ行くという点において他に例を見ない企業です。当然ながら、月に行くには非常に多くの資金が必要となります。しかし、すでに見込み契約として580億円以上、さらに潜在需要として970億円以上が見込まれています。
2点目は「ミッション失敗でも売上影響が限定的」ということです。こちらは非常に重要なポイントと考えています。ペイロード契約という形式で契約しており、基本的には「解約不可・返金不要」です。
月面に行くということは、当然ながら失敗がつきものです。「失敗したら、お金はいただきませんよ」という契約ではなく、スライドに記載のとおり、約9割を打ち上げ前に入金していただく仕組みになっています。したがって、仮に打ち上げに失敗しても、売上の減少を限定的にすることが可能です。
3点目は「量産フェーズへ移行」です。現在、月面に行くにあたり、Mission 1、Mission 2、Mission 3といった取り組みを通じて徐々に改良が進められています。安定的に月面へ移行できる仕組みが整ってくると、シリーズ化や量産化が進みます。
これにより、開発期間の短縮や開発コストの削減も期待できるため、徐々に収益に寄与していくフェーズに移行していきます。
4点目は「月面ビジネスの追い風」です。月面に着陸するという観点で、地政学的・構造的な追い風を受けています。一見すると月面プロジェクトと国家安全保障は関連がないように見えるかもしれませんが、実際は密接に関係しています。
国の予算は防衛と宇宙ビジネスがセットで確保されていきます。足元でも高市政権下でこの分野のニーズがより注目を集めています。
5点目は「データビジネスへの拡張」です。スライドに「輸送からデータサービスへ」と記載しています。将来的なお話になりますが、輸送はあくまでも手段であり、最終的には月面データの蓄積と販売が中心になっていきます。
輸送ビジネスからデータサービスへの拡張を目指し、「1回行くと売上がいくら」から「ストック型宇宙データ企業」へと段階的に発展していくと理想的だと思っています。このように、今後さらなる可能性を秘めた企業であると考えています。
ispace リスク要因

kenmo:一方で、当然ながらispaceは非常に多くの資金を必要とするビジネスです。また、誰も成し遂げたことのないビジネスを手掛けているため、多くのリスクがあります。そこで、どのようなところがリスクになり得るかをスライドに5点まとめています。
1点目は「技術リスク」です。ここが最大のリスクと言いますか、肝かと思います。Mission 1では、高度の誤認識により着陸できませんでした。Mission 2では、着陸まで行けるかと思いましたが、LRFハードウェアの異常により、着陸まで至りませんでした。
致し方ない部分もあるとは思いますが、次回のMission 3でもうまくいかない場合、「本当に大丈夫か」「本当に月に行けるのか」といった信頼毀損が大きくなります。ここが一番のリスクになるかと思います。
2点目は「新エンジン依存リスク」です。「VoidRunner」というエンジンに関して現在さまざまな改良を進めている中で、「スケジュールどおりに進むのか」「もう少し改良に時間や費用がかかる」といったリスクが顕在化していると考えています。
ここが長引くようであれば、スケジュール遅延などのリスクにもつながるため、注視が必要なポイントだと思います。
3点目は「官需依存」です。先ほど追い風についてお話ししましたが、追い風とリスクは表裏一体です。現在の大型契約は官需を中心としており、場合によっては政策変更や予算削減などがispaceにとって逆風となる可能性も否定できません。したがって、将来的にはリスク要因となり得ます。
4点目は「希薄化リスク」です。現在、株式市場に上場していますが、株式市場での資金調達を見据えた上場でもあります。
今後、大きな投資が必要なフェーズにおいては、増資による資金調達が見込まれます。それによるさらなる成長も見込めますので、一概に悪いとは言えませんが、その可能性がある点を念頭に置きながら、長期的にウォッチすべき企業だと思います。
5点目は「宇宙市場の時間軸リスク」です。宇宙ビジネスは非常に時間軸の長いビジネスで、「Moon Valley 2040」という長期的なテーマが掲げられています。
足元の変化が大きい世の中において、長い時間軸のテーマについて市場が期待先行で進む一方、実需がなかなか立ち上がらない中では、時間軸におけるリスクが5点目として挙げられます。
ここまで、「ispaceのここがすごい!!」とリスク要因についてお話ししました。ここからは、せっかく袴田社長にお越しいただいていますので、さまざまなお話をうかがっていければと思います。
質疑応答:政府との情報連携、政府への働きかけ、宇宙開発ニーズについて
kenmo:高市政権が発足し、宇宙開発に対して非常に追い風になる可能性があると考え
新着ログ
「サービス業」のログ





