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株式会社BeeX4270

東証グロース

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会社概要

広木太氏:みなさま、こんにちは。株式会社BeeX代表取締役社長の広木です。本日は2026年2月期第2四半期の決算についてご説明します。

まず、事業の概要について簡単にご説明します。当社の概要についてです。株式会社BeeXは、2016年3月に創業したクラウドを専門としたシステムインテグレーションを提供する会社です。

BeeXのマルチクラウド対応力

我々が事業を展開しているクラウドには、さまざまな形態やプラットフォームが存在します。我々がどのような事業を行い、どのようなプラットフォームを扱っているのかについてご説明します。

我々が取り扱っているクラウドプラットフォームは、大きく3つあります。Amazon Web Services社の「Amazon Web Services(AWS)」、Microsoft社の「Azure」、Google社の「Google Cloud」の3つです。

世界市場では、これら3つのプラットフォームで60パーセント以上のシェアを占めており、「三大クラウド」と呼ばれることもあります。我々はこの3つすべてを取り扱っている点が特徴です。

特に、創業以来「AWS」を中心に事業を展開してきており、「AWS」においてはプレミアティアサービスパートナーという最上位パートナーとして位置づけられています。

このプレミアティアサービスパートナーは、日本では15社しか存在しません。その多くを大手のシステムインテグレーターが占めていますが、我々は創業10年に満たない企業ながら、クラウドのスキルや実績をAmazon Web Services社に評価され、最上位パートナーの位置付けを得ています。

もう1つの特徴は、我々はSAPの認定サービスパートナーにもなっていることです。SAPはドイツのERPパッケージを提供するソフトウェアベンダーです。SAPの製品は企業の基幹システムを支えるものとして、日本の多くの大企業に導入されています。

我々はこの「SAP」を取り扱っていることから、お客さまは大企業が中心となっており、また取り扱っているシステムも企業の事業運営にとって非常に重要な基幹システムとなっています。

大企業を中心とした顧客基盤を持っていること、そして企業の基幹システムを取り扱っていることが、我々の大きな特徴であり、強みであると考えています。

事業内容

事業の内容について簡単にご説明します。当社の事業は3つあります。1つ目はクラウドインテグレーションで、クラウドを専門としたシステムインテグレーション事業です。

具体的には、クラウド導入のコンサルティングや構築、オンプレミスと呼ばれる従来型システムからの移行支援、クラウド上での新しいアプリケーション開発などを提供しています。

2つ目はクラウドライセンスリセールで、クラウドのライセンス販売事業です。クラウドライセンス販売は、契約を交わすことで電気代や携帯電話料金のように利用状況に応じて毎月課金される仕組みになっています。いわゆるストック型ビジネスの形態です。

3つ目はマネージドサービスプロバイダーで、運用・監視を担当する分野となります。先ほどお話ししたように、我々はSAPシステムという企業の基幹システムの運用を手掛けています。

このような重要なシステムですので、システムが停止するようなことがあるとお客さまの事業に大きな影響を与えます。システムが正常に動作しているかを確認し、障害が発生した際には迅速に対応できるよう、24時間365日体制での監視・運用を行っています。

また、クラウド上の稼働しているシステムに対して、さまざまな最新機能の導入なども運用保守サービスとして提供しています。これもストック型ビジネスとしてサービスを展開しています。

クラウドインテグレーションが、お客さまから依頼を受けてクラウドの構築やコンサルティングを行うフロー型ビジネスであるのに対し、クラウドライセンスリセールとマネージドサービスプロバイダーはストック型ビジネスとして位置づけられています。

フロー型とストック型を組み合わせて提供している点が、我々のビジネスモデルの大きな強みと考えています。

エグゼクティブサマリー

第2四半期のサマリーについてご説明します。エグゼクティブサマリーとして、まずは業績の状況をお伝えします。

全体の売上高は前年同期比14.4パーセント増と、引き続き堅実な成長を遂げています。特に、MSPライセンスリセールと呼ばれるストック型ビジネスが前年同期比で大幅に増加しました。

クラウドインテグレーションについては、前期には官公庁や「SAP」の大型案件があったため、非常に大きな売上を占めていました。しかし今期は、大型案件をまだ獲得できていないことから、前年同期比で減少している状況です。

また、営業利益については、MSP事業を展開する株式会社スカイ365を子会社化したことにより、販売費や一般管理費が増加し、減少しています。ただし、これはもともと計画していたことであり、概ね計画どおりに進捗している点を強調したいと思います。

トピックスについては後ほどご説明します。またもう1つのトピックスとして、株主還元があります。当社はこれまで成長への投資を優先してきましたが、上場から約3年が経過し、安定的に成長できていることから、配当というかたちで株主のみなさまに還元することとしました。

もちろん、成長のための投資は引き続き実施しつつ、新たに配当というかたちで株主のみなさまへの還元をバランスよく提供していくことを今後実施していきたいと考えています。

KPIハイライト

KPIのハイライトをご説明します。売上高は51億2,300万円で、前期同期比14.4パーセント増となっています。一方、営業利益は3億4,000万円で、前期同期比12.3パーセント減となりました。

従業員数に関しては、連結で253名、株式会社BeeX単体では198名となり、前期より14名増となっています。順調に採用が進んでいる状況です。

その他、クラウドライセンスリセールにおいては、前期の540アカウントから815アカウントへと大きく増加しています。

配当予想の修正(初配)に関するお知らせ

配当予想の修正(初配)についてです。当初は「配当なし」としていましたが、今回、配当予想を25円に修正しました。

MSP専業会社スカイ365との連携によりMSP事業拡大

トピックスについていくつかご紹介します。

1つ目のトピックスです。株式会社スカイ365というMSP専業会社を子会社化しました。MSPのようなストック型ビジネスは、我々にとって非常に重要であると考えています。

特に、お客さまと長期的な関係を構築するうえで、運用保守は重要な役割を果たします。この分野の拡大は、株式会社BeeXの成長においても重要です。

我々はこれまでMSP事業を展開してきましたが、さらなる拡張を図るため、MSP専業会社である株式会社スカイ365と連携して事業を成長させていきたいと考えています。

SAPの週末マイグレーションを実現

2つ目のトピックスです。「SAP」の「S/4HANA」化がさまざまなお客さまの課題となっており、これを推進するために新たなサービスの提供を開始しました。これにより、SAPシステムの「週末マイグレーション」を実現します。

従来、「S/4HANA」化には長いダウンタイムが必要でした。SAPシステムは基幹システムであるため、その間、お客さまのビジネスが停止してしまうという課題がありました。

このような理由から、「S/4HANA」化に踏み込めないお客さまがいらっしゃいました。しかし、我々はこれを週末、いわゆる土曜と日曜の2日間で実現します。

以前は4日から5日、場合によっては1週間かかることがありましたが、これを2日間で完了させることで、「S/4HANA」化に踏み出せなかったお客さまへの支援を推進したいと考えています。

すでに、このプログラムを利用して大規模なシステムを持つお客さまを2日間で移行した実績もあります。今後、この取り組みを展開していきたいと考えています。

SAPデータのAI活用を実現

SAPシステムのデータの活用推進に関する取り組みについてご説明します。SAPシステムには企業の重要なデータが蓄積されていますが、その活用が十分に進んでいないという課題がありました。この課題を解決するため、データをより活用しやすいかたちで抽出・格納し、可視化するソリューションを提供しています。

これに加えて、生成AIを活用し自然言語での問い合わせから重要なインサイトを得られるソリューションの提供を開始しました。これにより、SAPデータ活用とAI活用をさらに推進することを目指しています。

マーケティング活動 AWS、SAPの大規模イベントに参加

もう1つのトピックスとして、マーケティング活動についてご紹介します。「AWS」と「SAP」、この2つが当社事業の中心ですが、「AWS」の年間で最も大きなイベントである「AWS Summit」にプラチナスポンサーとして出展し、多くのお客さまからリードを得ることができました。

「SAP NOW AI Tour Tokyo & JSUG Conference」というSAPジャパンが主催する年間で最大規模のイベントにも出展しています。先ほどお話しした「週末マイグレーション」サービスや、「SAP」のデータ活用、運用保守といった分野について、展示やセッションを通じて紹介し、多くの引き合いをいただいています。

業績サマリ 前年同期比較

第2四半期の決算についてご説明します。業績サマリーです。こちらは、先ほどご説明したKPIハイライトの内容と同様です。

サービス別売上高

サービス別売上高についてです。ご覧のとおり、右肩上がりで順調に成長しており、特に安定した売上と収益をもたらすストック型ビジネスが伸びています。

クラウドライセンスリセール売上の推移

スライドのグラフは、クラウドライセンスリセールの売上を示しています。2026年2月期第1四半期では円高の影響などにより売上が横ばいとなりましたが、第2四半期では再び売上が伸びています。

クラウドライセンスリセールビジネスアカウント数推移

クラウドライセンスリセールにおけるビジネスアカウント数の推移です。ビジネスアカウント数は契約数とお考えいただければと思います。

こちらの契約数も伸びています。現在、契約数が増加している状況であり、この後さらにストックからビジネスが成長する材料が揃っていることがおわかりいただけると思います。

マネージドサービスプロバイダー売上、ユーザー数の推移

もう1つ重要なストック型ビジネスとして、マネージドサービスプロバイダーの運用・保守があります。

こちらは、先ほどご紹介したスカイ365社の子会社化により大きく売上が伸びており、お客さまの数も増加しています。MSPのさらなる成長は、今後も継続していきたいと考えています。

クラウドインテグレーション受注件数・四半期売上高の推移

クラウドインテグレーションの受注件数についてです。受注も順調に進んでいることが、このグラフからご確認いただけるかと思います。

第2四半期決算概要 貸借対照表の推移 〜健全な財務基盤〜

貸借対照表の推移です。健全な財務基盤が維持できていることがご確認いただけると思います。

2026年2月期連結業績予想 進捗状況

業績予想についてご説明します。今期の連結業績予想と進捗状況は、当初計画から変更はありません。進捗率はご覧のとおりです。

2026年2月期(下期)主なポイント-売上-

下期の売上のポイントについて、いくつかご紹介します。まず、クラウドインテグレーションですが、冒頭でお話ししたとおり、上期には大型案件がありませんでした。下期には「SAP」の大型案件やクラウドマイグレーション、モダナイゼーションの大型案件を獲得すべく活動を進めていきます。

MSPに関しては、スカイ365社の連携強化や、それによる新たなサービスの開拓を行い、新規受注や新たなお客さまの獲得、さらには現在のお客さまの売上拡大に取り組んでいきたいと考えています。

業績予想 2026年2月期(下期)主なポイント-費用-

費用に対するポイントです。MSPのサービス開発においては、スカイ365社と連携し、さらなるサービス展開を進めていく予定です。マーケティングについては、上期に大型イベントを実施しました。下期は引き続きITイベントのセミナーにも参加するとともに、Web系やオンライン系の取り組みを強化していきます。

人的投資についてです。連結ベースで社員数の25名以上の純増を目指しています。引き続き採用のための投資や、入社した社員へのトレーニングに関する投資を実施します。さらに来年度の新卒採用を行ってきましたが、再来年度の新卒採用も開始しました。今後とも成長のため人的投資には力を入れていく予定です。

SAPシステムのクラウド化・S/4HANA化支援

成長戦略についてお話しします。成長戦略として3点挙げます。1つ目は基幹システムのクラウド化およびモダナイズ化です。

トピックスでもご紹介しましたが、現在多くのお客さまが使用されている「EPR6.0」というバージョンは、2027年に保守が終了、延長サポートを適用しても2030年で終了するため、後継製品である「S/4HANA」へのアップグレードが現在行われている状況です。

「SAP」は大企業を中心に利用されているため、ある意味で社会的課題への対応と考え、取り組んでいます。

この「S/4HANA」化に加えたクラウド化、さらには「S/4HANA」化で完結するのではなく、その後のさまざまな拡張を目指します。特にDXの拡張においては、先ほど述べたデータ分析やAI活用など、多岐にわたる取り組みを進めていきます。

また、「S/4HANA」にはマイナーバージョンが存在しますが、「S/4HANA」の古いバージョンではすでに保守が終了しているものもあります。

現在は、クラウド化や「S/4HANA」化、導入後のDX拡張、「S/4HANA」のマイナーバージョンのアップグレードを同時並行的に進行しているのが市場の状況です。

DXのための拡張 ーSide by Side拡張ー

当社は「S/4HANA」化やクラウド化を中心に取り組んできましたが、今後はさらに「S/4HANA」の活用を推進することに力を入れていきたいと考えています。

SAPは、「クリーンコア」という方針に切り替わっています。SAPシステム本体には追加開発を行わず、できるだけクリーンな状態で作り、Side by Sideという外部で必要な開発を行う方針に変わりつつあります。

この方針を支えるプラットフォームが、SAPのビジネステクノロジープラットフォーム(BTP)です。このBTPの活用を今後さらに拡張していきたいと考えています。

特にアプリケーションの開発や自動化、データやAPIの連携を意味するインテグレーション、データ分析、AIの活用といった分野に、現在非常に力を入れています。

DXのための拡張 SAPサラウンドソリューション

その中でも、特に注力しているのはデータ活用の分野です。

ここでは、「SAP」のデータだけでなく、例えば製造業のお客さまであれば工場のデータ、販売を中心とするお客さまであればマーケティングデータやセールスフォース上などにある顧客データを集約します。さらに、AIを活用して分析を行います。

このようなデータ駆動型経営を支える分析基盤の構築に、現在力を入れています。ここにAI活用を組み込むことによる高度化を、さまざまなお客さまに提供しています。

今後のAI活用やデータ活用において、お客さまにとって重要なポイントになると考えています。当社としても、これらの分野に引き続き注力していきたいと考えています。

企業のDX推進を伴走型で支援

成長戦略の2つ目のデジタルトランスフォーメーション(DX)についてです。DXの推進において重要なのは、お客さま自身がさまざまな改革を内製化して実施していくことだと考えています。

しかし、新しいクラウドテクノロジーやAIの活用をいきなりお客さまだけで行うのは難しいため、当社としては単純に導入して終わりではなく、伴走型でお客さまと長く付き合い、幅広く支援を行うことが大切だと考えています。

これにより、お客さまの内製化支援、特にデータ駆動型企業への変革を継続的に支援していきます。

AIの利活用の推進

このDXにおいてはAIの活用が最も重要であると考えています。AIには2種類あり、1つは市場で注目されている生成AIと呼ばれるものがあります。生成AIは新たなコンテンツを作ったり、チャットでさまざまな質問に答えたりするものです。

もう1つは従来からある予測AIです。情報を整理し分析するもので、先ほど触れたデータドリブンの分野にも関連しています。この2つのAIを両軸で活用することが重要であると考えています。

この2つを活用して、1つはお客さまの価値創造の支援、もう1つは我々自身の生産性向上、この2つの取り組みを行っています。

お客さまへの支援としては、まず生成AIを利用し、体感していただくことです。生成AIをすでにご利用いただいているお客さまも多くいらっしゃいますが、まだ「何をすればいいのか」「何ができるのか」がよくわからないというお客さまも少なくありません。

こうしたお客さまに、迅速に生成AIを体感していただくため、さまざまなユースケースに対応した生成AIのテンプレートを我々は提供しています。

RAGチャットと呼ばれる企業内データの生成AI活用や、議事録作成・サマリー化といった生成AI活用のユースケースをテンプレート化し、いち早く、お客さまに体感していただけるサービスを提供しています。

2つ目は、先ほどからお話ししているデータとAIの活用です。データ分析基盤やMCPと呼ばれる新しいデータとAIを活用する仕組みを、伴走型で支援しています。

さらには、プロセスの自動化やAIを活用したビジネスプロセス改革が、最終的には非常に重要だと考えています。これらをお客さまのステージに応じて提供しています。

また、社内の業務や開発業務においてもAIを活用しています。我々はクラウド上でのアプリケーション開発を行っていますが、AIを利用することで非常に効率化が進みます。

反対に、AIを活用しない開発は今後なくなっていくだろうと考えています。このように、開発業務でのAIの活用を継続して進めていきます。

運用業務についてです。これまで人間が行っていた運用を、AIを活用して自動化します。これにより品質を向上させ、人員が多くなくても運用が回せるようにすることを目指していきたいと考えています。

マルチクラウド対応マネージドサービス

成長戦略の3つ目であるクラウドライセンスリセールやMSPについてです。我々が進めてきたストック型ビジネスは成長しており、安定した売上と利益をもたらす源泉となっています。これらの拡大を継続的に進めていきたいと考えています。

マネージドサービスの推進

マネージドサービスに関しては、これまで主に運用・監視、いわゆる障害対応やクラウド運用のご支援を中心に取り組んできました。

今後はスカイ365と連携し、セキュリティサービスや、新しい監視の仕組みとして注目されているオブザーバビリティの導入、さらにはAIを活用した運用など、お客さまの業務そのものをアウトソーシングとして請け負う領域を拡大していきたいと考えています。

セキュリティに関しては、従来の外部からの攻撃を遮断するだけのセキュリティ対策に加え、セキュリティリスクの中でも特に人間のミスが大きな要因として挙げられる点に注目しています。

こうした人間のミスをいち早く検知し、自動的に解決する仕組みや、現在の環境がベストプラクティスから外れていないか診断し自動で対応するサービス、さらにはゼロトラストネットワークと呼ばれる新しいネットワークに対応した対策など、多面的にサービスを拡大し、お客さまが安心・安全にクラウドやDX、AIを活用できるよう推進していきたいと考えています。

以上、決算のご説明を行いました。今後も成長のための投資と株主のみなさまへの還元を両輪で進めていきたいと思います。

株主のみなさまには、引き続き応援とご支援を賜りますようお願い申し上げます。今後ともよろしくお願いします。

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