2025年3月期決算説明

足利直純氏:みなさま、こんにちは。株式会社あじかん代表取締役社長執行役員の足利直純です。当社の2025年3月期決算説明動画をご覧いただき、誠にありがとうございます。

本日は、まず私より当社の会社概要をご紹介します。その後、説明者を代表取締役専務執行役員の江角に代え、2025年3月期の業績説明や投資方針、株主還元など、企業価値向上に向けた取り組みについてご説明します。最後まで、どうぞよろしくお願いします。

事業概要

まずは、あじかんの事業概要についてご説明します。あじかんは、業務用食品事業・ヘルスフード事業・海外事業の3つのセグメントを柱に展開している食品メーカーです。

業務用食品事業では、鶏卵加工品や巻き寿司具材を主に中食市場に向けて製造販売を行っています。ヘルスフード事業では、機能性表示食品ごぼう茶を中核に据えた健康食品を展開しています。海外事業では、中国、米国をはじめ、各国へ和食素材の販売を推進しています。

事業概要|業務用食品事業

業務用食品事業についてご説明します。あじかんの主要な製造製品は、玉子焼きなどの鶏卵加工品や業務用の巻き寿司具材です。これらは、業界でもトップクラスのシェアとなっています。

また、問屋機能も有しているため、他社製品も取り扱うことができ、あじかん製品と他社製品を組み合わせたメニュー提案や売り場作りのお手伝いを得意とし、他社との差別化を図っています。

事業概要|業務用食品事業

こちらは、取り扱い商品のイメージです。巻き寿司に使用される玉子焼きや、かんぴょうやシイタケを煮炊きしたもの、すり身を甘く味付けして炒った「おぼろ」などがあります。

事業概要|業務用食品事業

和風巻き以外にも、肉系・海鮮系の巻き寿司の具材も取り揃えています。

事業概要|業務用食品事業

また、巻き寿司以外にも、お弁当の具材となる玉子焼き、野菜の和え物、唐揚げからデザートまで、幅広い製品を取り扱っています。

事業概要|業務用食品事業

先ほどご説明した製品を、主に回転ずしチェーンなどの外食や、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの中食向けのお客さまに販売しています。

そして、外食・中食事業者の方々にお弁当や巻き寿司といった最終製品に加工され、一般消費者のみなさまに召し上がっていただくこととなります。

事業概要|業務用食品事業

営業拠点は全国37拠点です。生産拠点は自社工場5工場に加え、グループ会社である中国に2工場と、国内の協力工場1工場があります。

事業概要|ヘルスフード事業

次に、ヘルスフード事業についてご説明します。2010年に、当社として初めての一般消費者向け商品となるごぼう茶を発売しました。発売から15年で約35億円の売上まで拡大し、健康茶市場の拡大を牽引してきました。あじかんは、このごぼう茶を便通改善効果がある製品として、日本で初めて機能性表示食品として販売しています。

また、近年ではごぼう茶以外にも、スープやチョコレート風のスイーツなど、お茶以外の製品開発にも力を入れており、ごぼうを喫食していただく場面を増やしていきたいと考えています。

事業概要|ヘルスフード事業

ごぼう茶関連製品は、自社の販売サイト「あじかん美食生活」や、「Amazon」「楽天」などの他社サイトで通信販売しているほか、ドラッグストアやスーパーマーケットなどの店舗にて、一般消費者の方に直接販売しています。

事業概要|ヘルスフード事業

おかげさまで、この15年で多くの方にごぼう茶をご愛飲いただき、通信販売では約158万人の方々にごぼう茶をお届けすることができました。

ドラッグストアやスーパーマーケットのバイヤーの方からの評価も高く、店舗への採用率も、ドラッグストアはほぼ100%、スーパーマーケットでも約4割の店舗でご採用いただいています。

事業概要|海外事業

次に、海外事業についてです。国内で製造している製品のうち、鶏卵加工品、巻き寿司具材、和惣菜を世界各国へ販売しています。

中国では2工場を展開しており、生産拠点としてだけでなく、中国国内への内販も行っています。そのほか、2021年にはアメリカのカリフォルニアに現地法人を設立し、アメリカへの販売を強化しています。

事業概要|海外事業

みなさまもご存じのとおり、世界の人口は増加しています。また、日本食レストランの数も、2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて以降、急激に増加しています。

海外事業はさらに拡大する可能性のある市場であると認識しており、これからのあじかんを支える主力事業へと成長させていきたいと考えています。

事業概要|海外事業

こちらは、現在の販売実績です。主要な販売先は、北米、オーストラリア、中国、香港、シンガポールですが、そのほかにも東南アジアやEUなど、徐々に販路を拡大しています。

事業概要|グループ企業

グループ会社としては、国内で農産物の生産販売を行っているあじかんアグリファーム社、運送会社である井口産交社があります。

海外のグループ会社は、中国にある愛康食品社、山東安吉丸食品社で食品の製造販売を行っています。また、アメリカのAHJIKAN FOODS, INC.では、アメリカ国内への販売を行っています。

簡単ではありますが、以上が当社の事業概要に関するご説明となります。

2025年3月期 外部環境変化|鶏卵原料、為替等

江角知厚氏:それでは、2025年3月期の外部環境および決算概要について、代表取締役専務執行役員の江角知厚よりご説明します。

まずは、2025年3月期の外部環境についてご説明します。あじかんの原料の中心となるのは、鶏卵です。こちらのスライドには4つのグラフが出ていますが、左上のグラフが鶏卵価格の相場を示しています。

この価格相場に影響を与えているのは、その下に記載している鳥インフルエンザです。発生状況をご覧いただくと、2025年3月期は採卵鶏で859万羽の殺処分を行いました。これは、2023年3月期の1,654万羽、2021年3月期の901万羽に次ぐ、非常に大きな殺処分でした。特に2025年1月には非常に大きな発生があり、過去最高の殺処分が行われました。

その結果、鶏卵価格は、特に2024年の夏から秋頃までは非常に低位で安定的に推移していたものの、秋以降は非常に高い状況となりました。

2025年3月期 外部環境変化|鶏卵原料、為替等

ご承知のように、エネルギーコストも大きく上がっています。スライド右上のグラフのとおり、水道光熱費、電気代、ガス代ともに高値で推移しています。人件費も同様に、前期、今期と賃上げを進めていることから、コストアップになっています。

右下のグラフは、米、海苔、食用油の小売物価推移です。米については、みなさまご承知のように、非常に高くなっています。また、黒い折れ線グラフは海苔を示していますが、こちらも過去から比べると非常に高くなっており、3年ほど前と比べて約2倍になっています。

先ほど社長が申し上げたとおり、海苔、米など、巻き寿司を中心とした食材が弊社の商品の中心であり、ここに非常に影響を与えている外部環境となっています。

2025年3月期 決算概要|決算ハイライト(連結業績)

そのような外部環境の中、2025年3月期の決算です。まず、4期連続増収を確保しました。また、2期連続で営業利益および純利益の増益を確保しています。

スライドの表に数字を記載していますが、売上高は510億4,500万円となりました。2024年3月期から比べると8億500万円の増加、前年比101.6パーセントです。当期純利益は15億4,800万円となり、前年比102.6パーセントの3,900万円の増益でした。

この業績を期ごとに横並びで示したのが、次のスライドです。

2025年3月期決算概要|連結業績推移

売上高について、スライドに57期、58期、59期、60期、61期と並べていますが、段階的に売上を拡大することができました。510億4,500万円は、過去最高の売上になります。

また、純利益は15億4,800万円です。過去には鳥インフルエンザや新型コロナウイルスの影響があった時期もありましたが、安定的に売上利益ともに拡大させたことで、過去最高益となりました。

2025年3月期決算概要|連結C/F・財政状態

連結キャッシュ・フローです。まず、営業キャッシュ・フローは34億5,500万円です。2024年3月期の期末が銀行休業日だった影響もありますが、潤沢な営業キャッシュ・フローを獲得しました。

投資キャッシュ・フローは、7億6,300万円使っています。前年の11億円に対して少ないように見えますが、実際は約15億円の設備投資を実施しています。

財務キャッシュ・フローは25億7,800万円を借入金の返済に充てています。現金および現金同等物の期末残高は22億5,500万円となっています。その結果、純資産は173億8,800万円となり、自己資本比率は64.6パーセントということで、経営の安定性を強化しているところです。

2025年3月期決算概要|業務用食品事業の業績

業務用食品事業の業績についてご説明します。鳥インフルエンザの影響で大きく落ち込んだ卵製品の需要を回復するため、メニュー提案や販促活動を強化したことで、外食チェーンの売上や卵製品を中心に伸長し、増収となりました。

スライドに掲載しているのはオムライスキットです。白米にスライドの「素」を混ぜてチキンライスを作り、当社の「ふんわりれあとろたまご」をかけ、「デミグラスソース」をかけて、スーパーマーケットのメニューとして販売していただいています。これを単品で販売するのではなく、オムライスのキットとしてご提供することで、スーパーマーケットの人手不足を緩和するお手伝いをするような営業活動がお客さまに喜ばれています。

また、海外輸出売上は、品ぞろえを強化したことで北米や香港を中心に需要が拡大しました。

2025年3月期決算概要|業務用食品事業の業績

業務用食品事業のセグメントの実績です。スライド左側の表に記載のように、売上高は470億円で、前年比101.3パーセントの5億8,300万円の増収となりました。国内、海外の売上ともに増収となりました。セグメント利益は36億5,200万円で、増益を確保しています。

2025年3月期決算概要|ヘルスフード事業の業績

ヘルスフード事業の業績です。ヘルスフード事業では、ごぼう茶の新製品として「焙煎ごぼう茶ごぼうのおかげW」を発売しました。

ごぼう茶はお通じの改善効果が認められていますが、こちらの商品は内臓脂肪を減少させる機能性表示も獲得しています。この2つの機能性を「W」として表現し、商品として発売しています。売上は非常に好調に推移しています。

さらに新商品として、焙煎ごぼうを活用したチョコレート風の食品素材「MelBurd」を開発し、「GOVOCE」を発売しました。こちらの商品はさまざまな表彰をいただいており、今後大きく拡大していくと確信しています。

加えて、ごぼう茶をお飲みいただく客層を拡大させるため、ペットボトルを開発しました。ごぼう茶を発売してから14年ほどたちますが、開発当初からペットボトルを作っていきたいと考えていました。お客さまに喜んでいただける品質のペットボトルがいよいよ完成し、ペットボトルのごぼう茶を2024年11月に発売しています。

2025年3月期決算概要|ヘルスフード事業の業績

ヘルスフードセグメントは、売上高が35億8,500万円で、前年比2億3,900万円の増収となりました。セグメント利益は2億1,400万円で、前年よりも減益となりました。新製品やごぼう茶に対する広告宣伝を戦略的に実施していますが、その効果は来期以降に創出するものと考えています。

2026年3月期|連結業績予想

2026年3月期の業績予想および展望についてご説明します。連結の業績予想は、売上高520億円、前期比1.9パーセントの増収を見込んでいます。価格改定や新製品の導入などを実行していきたいと考えています。

一方で、営業利益は17億5,000万円、前期比10.9パーセントの減益を見込んでいます。売上高による増収効果はあるものの、卵をはじめとする原材料価格の高騰や、人件費、物流費等の諸経費の増加により減益を予想しています。

それに伴いまして、経常利益は18億5,000万円、前期比16.7パーセントの減益、当期純利益は12億2,000万円、前期比21.2パーセントの減益を見込んでいます。

2026年3月期|連結業績 セグメント予想

セグメントの予想です。主力である業務用食品事業については、売上高474億5,000万円で増収を見込んでいます。こちらは、売価改定や新製品の発売が主な要因です。セグメント利益は、先ほどご説明したとおり、減益を見込んでいます。ヘルスフード事業は増収増益となる見込みです。

2026年3月期|通期連結参考資料

通期連結決算の参考資料です。グラフはROEとROICの数字です。2025年のROEは9.3パーセントで、2024年3月期より若干下がっていますが、大きな目標としている8パーセントを上回っています。また、ROICは6.5パーセント、これは資本コストを5パーセント程度と見ていますので、それを上回る数値と考えています。

2026年の3月期については、ROE・ROICともに下降傾向となる予想です。ROEについては8パーセントを目指して努力していきたいと考えています。

2026年3月期|展望 重点施策

具体的な方策について、スライドのモデル図でご説明します。まず中心となるのが、三角形の底辺にある業務用食品事業です。拠点整備や価値あるサービスの提供を行い、しっかりと業績を支えていきたいと考えています。

そして、業務用食品事業で創出した営業キャッシュフローを、成長性のあるヘルスフード事業と海外事業のほうに展開していきたいと考えています。

当社は業務用食品を中心としていますが、ヘルスフード以外は市販用の事業にはあまり進出していません。今後は、業務用で培った開発力や販売力に加えて、ヘルスフードで蓄積した健康食品のノウハウを活かしながら、市販用の新規事業にも力を入れて進出していきたいと考えています。

2026年3月期|今後の投資方針

今後の投資方針です。当社は、2030年3月期までの長期ビジョン「V30 ver.2.0」に従って投資計画を遂行しています。

2026年3月期には、30億円の投資を予定しています。主な投資は、営業所業務効率化に向けたシステム投資、生産設備の機能増強と合理化に向けた投資、環境保全や負荷軽減への対応です。

2027年から2030年までの期間には、110億円の投資を計画しています。主な投資として、デポ機能の強化、いわゆるロジスティックスに関連する投資を強化していきたいと考えています。さらに、生産設備の合理化投資を進めていきますが、生産ラインの自動化やロボット化を推進し、原価低減を図っていきます。

株主還元|配当方針とその状況

株主還元についてご説明します。まず、配当方針と状況についてです。2025年の3月期の配当は、普通配当25円、特別配当5円、合計30円の配当を実施します。自己資本配当率(DOE)は、1.4パーセントとなっています。

配当方針については、長期的かつ安定的に利益還元を行います。安定的に利益を創出し、持続的な成長拡大に向けた戦略投資や、企業価値向上のための諸施策の展開に必要となる内部留保を確保しながら、配当についてはDOEなどを指標として、経営成績を勘案した成果配分としていきます。

2026年3月期については、DOEを2.2パーセントまで引き上げ、普通配当52円を計画しています。今後、2027年の3月期までにDOEを2.5パーセント以上、2030年3月期までに3.0パーセント以上とすることを目標に、配当についても積極的に実施していきたいと考えています。

株主還元|株主優待等

続いて、株主の優待品についてです。当社は、中間と期末の年間2回、株主優待品として自社製品を贈呈しています。

3月31日を基準日として、100株以上500株未満かつ半年以上保有していただいている株主さま、500株以上かつ2年以上保有いただいている株主さまに対しては1,000円相当の自社製品、新製品のごぼう茶や「焙煎ごぼう茶ごぼうのおかげW」を考えています。

さらに、9月30日を基準日として、半年以上保有いただいている株主さまで500株以上2,000株未満の株主さまには2,000円相当の自社製品、2,000株以上の株主さまに対しては3,000円相当の自社製品をお贈りしています。

スライドには過去の贈答品の一例を掲載しています。業務用で培った、お客さまに喜んでいただけるような自社製品をお送りしています。

サステナビリティへの取組|取組の全体像

当社のサステナビリティへの取り組みについてご説明します。スライドは、弊社が注力しているサステナビリティの取り組みの全体像となっています。次のページから、具体的に主要なものをご説明します。

サステナビリティへの取組|取組例NO.1

取組例の1つ目です。ごぼう茶の原料としてごぼうを非常にたくさん使っていますので、ごぼう資材の有効活用を進めています。

カットロス(未利用分)やごぼうの焙煎工程で出た残渣等を活用し、再生紙にして紙袋に利用しています。さらに、ごぼうの素材を活用した新しい研究も行っています。

サステナビリティへの取組|取組例NO.2

取組例の2つ目です。株式会社あじかんは、巻き寿司の具材を製造していることが強みですが、日本の伝統である巻き寿司の啓蒙に力を入れています。幼稚園や小学校での巻き寿司教室を実施し、食育活動を通して子どもの頃から巻き寿司というものに触れていただいています。

また、各地で行われている食のイベントに出店し、海外の方や地元の方に巻き寿司の魅力を普及しています。さらに、冷凍巻き寿司についてもさまざまな研究を行っており、食品ロスの低減に努めていきたいと考えています。

サステナビリティへの取組|取組例NO.3

取り組み事例の3つ目は、フードバンク活動です。子ども食堂への寄付やフードドライブを実施して、社会貢献活動を進めています。

サステナビリティへの取組|重要課題と目標

環境問題への取り組みテーマとして、食品ロスの低減、CO2排出量の低減、プラスチック包材の削減を進めています。

食品ロスの低減については、工場工程内ロスの50パーセント削減を目標にしています。現在、45.8パーセントまで削減が進んでいます。

CO2排出量の低減については、再生可能エネルギーの比率を5パーセント以上、エネルギーの使用量を工場で20パーセント、営業所で10パーセント低減、車両燃料使用量についても30パーセント低減ということで、まだまだこれについては目標に到達していませんが、力を入れて進めていきます。

プラスチック包装材の削減については、製品に使用するトレー等の削減を進めています。これについては、ほぼ予定どおり進んでいます。今後も環境問題への取り組みを力強く進めていきます。

人への想いが、かくし味。

最後になりますが、「人への想いが、かくし味。」が株式会社あじかんのステートメントです。株主のみなさまをはじめ、多くのみなさまに喜んでいただけるような経営をこれからも続けていきます。株式会社あじかんの活動について、ご協力・ご理解を賜ればありがたいと思います。今後ともよろしくお願いします。