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後藤康進氏(以下、後藤):株式会社ピーバンドットコム代表取締役社長の後藤です。よろしくお願いします。

本日は資料に沿って、2025年3月期の通期決算概要と今後の成長戦略について、そして株主還元についてご説明します。

2025年3月期 通期 損益計算書

通期の決算です。まず売上高は前年同期比8.2パーセント増となりました。当社は上場して以来、成長が横ばいで続いていたことを指摘されてきましたが、2022年度より準備してきた戦略が確実に効き始めており、このまま成長軌道へ乗せていきたいと思っています。

2025年3月期 通期 損益計算書

当期純利益においても前年同期比20.6パーセント増と、こちらもV字回復しています。

サービス別売上推移

売上高の成長要因としては、2022年度から進めていた戦略が奏功しました。具体的にはクロスセルが効いているということです。中でも中堅・大手といったポテンシャルの高いお客さまからのクロスセルでの利用が増えています。

前提として、我々はプリント基板のEC事業を展開している企業であり、いわゆるプリント基板をお作りする製造サービスがメインになります。

その工程の前後にある、基板を製造するための設計や作った基板に部品を実装するサービスといった、付帯サービスと一括でのご利用が増えている状況です。

メインサービス

「そもそもプリント基板とは何?」と、よく投資家のみなさまからも聞かれますが、スライド右上の図がいわゆるプリント基板です。テレビやパソコンなどを分解すると出てくる緑色の板です。これを見て思い出した方もいると思います。

このプリント基板は世の中のほとんどの電子機器の中に含まれており、パソコンやカメラ、お手持ちのスマートフォンにも必ず入っているものです。聞きなじみがないものですが、日々身近に触れているものにプリント基板が使われています。

当期純利益の要因

当期純利益の増加要因です。売上のトップラインを成長させるには、費用としていろいろな先行投資を進めていく必要があります。我々の投資としては、仕組み作りに必要な人員採用、特にSE(システムエンジニア)などの採用が主になります。

近年ではそのSEへの成長投資がかさんで利益を圧迫していましたが、仕組み作りの戦略が効いてきたことでトップラインが伸びています。それが利益回復の大きな要因となっています。

当社は少人数で会社を運営しており、これが我々の強みでもあります。少人数でサービス提供からサービスの仕組みまで自社開発しており、今後の方針としても、成長とのバランスを見ながら少数精鋭での採算性の向上を目指していきたいと考えています。

通期業績サマリ

通期業績サマリです。売上高は21億8,000万円で前年同期比8.2パーセント成長となりました。当期純利益も前年同期比20.6パーセント増の1億1,200万円となっています。

先ほどご説明したとおり、前年までSEへの人材投資がかさんでいたところが、トップラインが着実に伸びたことにより、利益もきちんと伸びたというシンプルな構造です。

トピック

トピックについてご説明します。1つ目がコアスタッフ社との業務提携と、新しい部品調達サービスを開始しました。 

プリント基板の上には半導体や電子部品が必ず実装されるわけですが、その電子部品をネット通販で展開している企業が何社かあります。そのうちの1社であるコアスタッフ社と業務提携を発表しました。彼らとの提携により、我々のサイト上でも半導体や電子部品を買えるようになります。

トピック

2つ目のトピックは、三井物産と北米市場向け基板ECを新規開設しました。三井物産の100パーセント子会社である米国法人のMitsui Plastics(MPI)社と共同で、「PCB Flash」という北米向けのプリント基板通販サイトをリリースしています。

日本の5倍くらいはある、305億ドル規模の北米市場に向け、我々がどれほどの市場シェアを獲得していけるか挑戦しようと思っています。

我々は国内で培った品質管理と製造ノウハウ、Web上で完結するオーダーシステムを作ってきたという自負があります。その強みがどれだけ武器として寄与できるか、我々としても非常にわくわくしています。

トピック

3つ目のトピックは、世界最大級のセラミックスメーカーである日本ガイシ社の超小型・薄型のリチウムイオン二次電池「EnerCera(エナセラ)」と、当社のデモ機開発サービス「gene(ジーン)」とのコラボレーションです。

新しいセンサが世の中にリリースされた時やエンジニアが製品開発する際には、いろいろな部品に対応できるかを評価する必要があります。その評価というのが開発環境においてかなり面倒で工数がかかるため、ある意味でハードルとなっていた部分があります。

それを手軽に試せる環境を提供するのが当社の「gene」というサービスです。その中に今回、日本ガイシ社の「EnerCera」がコラボレーションしたという展開になっています。

これにより、本物の機能をそのまま再現したデモ機を作ることが可能になりました。例えば、展示会などでメーカーがブースで紹介するために使用するといった用途があります。

トピック

4つ目のトピックは、マレーシア科学大学と共同で、AI設計アシスト技術の開発を開始しました。プリント基板を作るためのデータであるガーバーデータと呼ばれるものがあり、実際に基板を製造する前に、実際に作れるかについてデータをチェックします。

その時にソフトウェア上だけではなく、どうしても人の目でチェックする必要がある部分があります。これを今我々のCS(カスタマーサポートセンター)では、お客さまの注文をすべて1件1件確認しています。

これにはかなりリソースが割かれますが、このチェックが我々の強みでもあります。そこでそのノウハウをAIにすべて機械学習させて、チェック作業をアシストするソフトウェアを開発するというのが、マレーシア科学大学との取り組みになります。

最終的にはチェックするだけでなく、プリント基板設計自体の完全自動化を目指していきたいと思っています。

田坂正樹氏(以下、田坂):補足として、マレーシア科学大学との取り組みの背景について私からご説明します。

15年ほど前に、現在マレーシア科学大学の教授となっている学生が、東京工業大学に国費留学生として来日しており、その時に当社にアルバイトに来ていました。

当時から彼はすばらしいプログラムが書けたため、当社のホームページやデータベースなどをすべて手掛けてくれました。今でいうマーケティングのようなことをしてくれました。

3年間ぐらいアルバイトとして働いた後にマレーシア科学大学に戻り、その後は教授になっていました。最近連絡をもらったところ、彼は当社の仕事と同じようなことをマレーシアで手掛けていました。彼のメインは半導体のAI設計ですが、半導体のAI設計もプリント基板の設計も一緒です。

当社にはこれまで約22年間にわたり貯めてきた設計データのアーカイブがあり、「それを使えばこんなソフトウェアができますよ」と言われたのをきっかけに、この共同開発が始まりました。

それこそ国内の大学といろいろやろうとしていたのですが、そのような機会もあって、マレーシア科学大学との共同研究開発というかたちで今、進めています。

質疑応答:サービス展開の詳細について

司会者:「基板のアートワーク設計、部品実装(部品調達含む)まで一気通貫して可能ということでしょうか?」というご質問が届いています。

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