2025年12月期 第1四半期 決算発表サマリー

佐藤健太郎氏:代表取締役社長の佐藤です。本日はお忙しい中、決算説明会へご参加いただきありがとうございます。GMOペパボ2025年12月期第1四半期決算説明会を始めます。

まずは、今回の決算サマリーです。第1四半期は前年同期比で増収増益となり、売上高は全事業で前年同期を上回りました。利益面では、今後の事業成長に向けた法人向けプロダクトへの投資を進めていますが、それらの費用増を計上した上でも、前年同期比で増益でした。

ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業では、主に「ムームーサーバー」の契約件数が着実に積み上がりました。また、「カラーミーショップ」ではプラン集約を実施したことで、より収益性の高い上位プランへの移行が進みました。

今期は、法人ニーズに応える新たなプロダクトやサービスラインナップの拡充も行っているため、詳細は後ほどご説明します。

配当性向を従来の50パーセント以上から65パーセント以上へと引き上げることで、直接的な株主還元を強化しています。さらに、自己株式の取得も年間を通じて実施します。本業を通じたフリーキャッシュフローは安定的に推移しており、こちらの収益基盤をもとに法人向けサービスへの投資と株主還元を継続する方針です。

AGENDA

本日のアジェンダです。第1四半期の決算概要とトピックスをご説明します。資料の後半には、会社概要やサービスのご説明も掲載していますので、お時間のある際にご覧ください。

2025年12月期 第1四半期 連結業績

2025年12月期第1四半期の決算概況です。2025年12月期第1四半期の売上高は、前年同期比103.7パーセントの27億4,500万円、営業利益は前年同期比143.0パーセントの3億3,500万円となりました。経常利益以下はスライドに記載のとおりです。

2025年12月期の業績進捗

2月に発表した2025年12月期の通期業績予想に対する進捗率です。営業利益は37.8パーセント、1株当たりの当期/四半期純利益は44.2パーセントの進捗率となっており、業績予想に対して順調に推移しています。

連結業績推移(四半期ごと)

四半期ごとの売上高・営業利益の推移です。売上高は、ストック型ビジネスの堅調な推移を受け、前年同期比で増収となりました。営業利益は、金融支援事業の債権回収が堅調に推移した他、原価低減施策により前年同期比で増益となりました。

売上高 (ストック型ビジネス)

業績を牽引するストック型ビジネスの四半期売上高です。ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業の主要サービスと「カラーミーショップ」を合算したストック型ビジネスの売上高は、順調に積み上がっています。第1四半期のストック型ビジネスの売上高は18億2,000万円となり、前年同期比で増加しました。

営業利益の増減分析(第1四半期)

営業利益の増減分析です。売上高が前年同期比で増加した影響に加え、貸倒関連費用が減少したことから、営業利益は増益となりました。

2025年12月期 第1四半期 セグメント別業績

セグメント別売上高と営業利益です。ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業は、「ムームーサーバー」の契約件数が積み上がり増収となりましたが、今後の成長に向けた新サービスへの投資をしていることから、減益となりました。

EC支援事業では、「カラーミーショップ」のプラン集約に伴い上位プランへの移行が進み、増収増益となりました。ハンドメイド事業は、売上高は横ばいでしたが、収益性の高い「minne広告」の取扱高が増加したことから、増益となりました。金融支援事業は、手数料率の高い個別取引の請求書買取額が増加した他、債権回収が堅調に推移し、増収増益となりました。

ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業

セグメント別にご説明します。ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業の売上高は、前年同期比101.3パーセントの15億4,200万円、営業利益は前年同期比91.7パーセントの4億7,600万円となりました。

「ムームーサーバー」の契約件数の積み上げにより増収となった一方、法人向けの新しいプロダクト導入に向けた投資を進めていることから、減益となりました。

ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業 KPI推移、ストック型売上

ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業のKPI推移です。現状の「ロリポップ!」「ムームードメイン」によるストック型収益に加え、新サービスの収益が上乗せされています。

引き続き、「ムームーサーバー」と「ロリポップ!for Gamers」をはじめとした新サービスの契約件数の獲得により、ストック型収益の積み上げを目指します。顧客単価は、「ロリポップ!」「ムームードメイン」ともに前年同期比で増加しました。

EC支援事業

EC支援事業の売上高は、前年同期比105.5パーセントの7億100万円、営業利益は前年同期比145.8パーセントの2億円となりました。「カラーミーショップ」では、昨年9月末に「エコノミープラン」と「スモールプラン」の低価格プランを廃止し、「レギュラープラン」以上へのプラン集約を順次進めています。そのため上位プランへの移行が進み、前年同期比で増収増益となりました。

「SUZURI」は、企業案件や動画配信関連の売上高が増加し増収、プロモーション等のコスト抑制により増益となりました。

EC支援事業 KPI推移(カラーミーショップ)

「カラーミーショップ」のKPI推移です。「カラーミーショップ」の流通額は、前年同期比100.9パーセントの498億円となりました。1店舗あたりの四半期流通額と有料店舗の顧客単価は、引き続き増加傾向が継続しています。「カラーミーショップ」では、引き続き「プレミアムプラン」の新規契約獲得と法人向けの機能強化を行い、ストック収益の増加を目指します。

EC支援事業 KPI推移(SUZURI)

オリジナルグッズ作成・販売サービスの「SUZURI」は、流通額が前年同期比で減少しました。「SUZURI」では5月21日より、写真共有サービス「30days Album」を「SUZURI」ブランドへ統合し、「SUZURIアルバム」としてリニューアルします。この統合により、累計登録会員数は355万名となり、当社サービスの中でも利用ユーザー数は最大規模となる見込みです。

「SUZURIアルバム」では、ユーザーが撮影した写真を保存・共有するだけでなく、そのまま簡単にオリジナルグッズとして販売できる動線を設けます。今後、サービス間のシナジーを創出し、ユーザー体験の向上と収益機会の拡大を図ります。

ハンドメイド事業

ハンドメイド事業の「minne」です。売上高は前年同期比101.3パーセントの3億6,400万円、営業利益は前年同期比256.1パーセントの4,900万円となりました。「minne広告」や「minnePLUS」の伸長により増収となった他、収益性の高い「minne広告」の取扱高が増加し、前年同期比で増益となりました。

ハンドメイド事業

「minne」の流通額は前年同期比で減少しましたが、引き続き月額プランの「minnePLUS」で会員を獲得し、ストック型収益の積み上げを目指します。また第3四半期には、「minne」の作家向け支援と、ユーザー体験を高める新たな機能の提供を予定しています。

金融支援事業

金融支援事業の売上高は前年同期比136.4パーセントの1億3,500万円、営業利益は8,500万円の黒字となりました。売上高は、手数料率の低い提携企業取引の比率が減り、手数料率の高い個別取引の請求書買取額が増加したことから、増収となりました。営業利益は、売上高の増加に加え、債権回収が堅調に推移し黒字転換となりました。

金融支援事業

金融支援事業のKPIです。請求書買取額は横ばいとなりましたが、先ほどお伝えしたとおり、個別取引の割合が高まっています。貸倒関連費用による営業利益への影響は、債権回収が堅調に推移し、増加しました。

セグメント別の説明は以上となります。

今後の方針

第1四半期の取り組みと今後のトピックスを説明します。1つ目は「売上成長につながる法人顧客の獲得」です。当社ではこれまでクリエイター支援を軸に、低価格でより多くの契約件数を積み上げるストック型のビジネスモデルにより、着実な事業成長を実現してきました。

今後はさらなる成長を目指す上で、より単価の高い法人ユーザーを獲得できるよう、事業の方針を見直す必要があると考えています。そのため、法人ニーズに応えられるような高機能、高付加価値のプロダクトやサービスラインナップの拡充を進めています。

2025年は、こうした新たなサービス提供を本格化させ、顧客単価の上昇に軸足を置いたビジネス展開で持続的な成長を目指します。

VPN新サービス「ロリポップ!固定IPアクセス」を提供開始

法人向けの新たなプロダクトとして、2025年3月に「ロリポップ!固定IPアクセス」の提供を開始しました。このサービスでは、社外や複数拠点からでも、企業の社内サーバーにアクセスできる環境を提供します。また、アクセス元のIPを固定することで、端末ごとのアクセス制御を一元管理できる点も特徴です。

リモートワークの普及やビジネスのグローバル化を背景に、社内LANを経由せずに、登録されているIPアドレスから直接アクセスしたいとのニーズが高まっています。例えば、在宅勤務や海外出張での利用を想定しています。また、全国展開する企業でも、各店舗から売上管理システムへの接続をする手段としての活用が進んでおり、業種を問わず導入が広がっています。

国内VPN市場は2020年に1,703億円、2027年に5,100億円へと拡大する見通しです。年平均成長率は17パーセントと高水準で、今後の事業展開に大きなチャンスがある成長領域です。

ムームードメインにおいて「Gemini」も活用できる「Google Workspace」の販売を開始

また「ムームードメイン」では、2025年2月より「Google Workspace」の提供を開始しました。「Google Workspace」は、「Gmail」や「Googleドキュメント」「スプレッドシート」など主要なビジネスツールに加え、「Google」の生成AI「Gemini」も利用できる業務ツールです。すでに全世界500万社以上で利用されており、今後もその利便性と生産性の高さから、企業での利用拡大が見込まれています。

「Google Workspace」の導入に伴う手数料収入に加え、導入時に必須となる独自ドメインを「ムームードメイン」で提供することで法人の獲得を図ります。

GMO即レスAIの取り組み

昨年提供を開始した「GMO即レスAI」では、当初は従業員が10名程度の企業を主な対象として想定していました。しかし、実際には従業員100名以上の企業から高い関心をいただき、現在はターゲットをより大規模な企業へと広げています。今後はそのような企業向けの付加価値の高い提案と法人営業の強化を行い、新規契約の獲得を目指していきます。

2025年3月31日に中小企業庁の「IT導入補助金2025」対象ツールとして認定を受け、補助金の活用を通じた導入促進と拡販に注力していきます。

Alive Studio、メタバース推進室の取り組み

昨年提供を開始した「Alive Studio」では、VTuberをはじめとする幅広いユーザーの配信ニーズに応えるため、機能強化と企業コラボを進めています。機能強化では、配信の利便性を向上させるために、「Stream Deck」との連携プラグインを公開しました。このプラグインにより、効果音やBGMの再生、配信素材の切り替えがスムーズに行えるようになりました。

企業コラボでは、カルビーの「じゃがりこ」をライブ配信用素材として提供するなど、企業と連携した新しい取り組みを開始しています。今後も「Alive Studio」のコンテンツの魅力を高める取り組みを継続的に展開し、新規ユーザーの獲得を目指します。

Alive Studio、メタバース推進室において引き続き展開を実施

「メタバース推進室」では、次世代に向けたサービス展開とブランド価値の強化を目的とし、さまざまな取り組みを進めています。直近では新卒採用活動の一環として、VR空間上で会社説明会を開催し、これまでにない新しい採用体験を提供しました。

また、VRChat Inc.と「SUZURI」が連携したオリジナルグッズのデザインコンテストも支援しています。これにより、メタバース領域におけるサービスシナジーを創出し、新たなユーザーとの接点を拡大していきます。今後もメタバース領域での積極的な取り組みを通じて、サービスの発展とブランド価値の向上を目指します。

お問い合わせ対応の1次受けを100%AI化した成果

次にAI活用です。昨年、社外のお問い合わせ対応の1次受けを100パーセントAI化しました。スライドは、2024年の具体的な成果です。左側のグラフは、カスタマーサービス部門における業務時間の推移を示しています。AI導入により、業務時間は約50パーセント削減され、業務効率の大幅な改善が実現しました。

またこれにより、人財流動性も向上しています。カスタマーサービス部門のパートナーが、部署異動や職種変更を通じてリスキリングを行い、31名がこれまでとは異なる職種や部署で働いてくれています。

このリスキリングに伴い、本来必要だった新規採用を抑制できた他、外部委託していた業務の見直しや削減も進み、2024年は年間8,200万円の利益改善につなげました。

AI・ノーコードツールの導入

昨年1年間で大きく業務効率化が進み、今期はAIやノーコードツールの活用を進めていきます。その結果、専門的な知識がなくても画像やWebサイトの制作が可能になり、デザイン業務に携わる仲間たちが35名から71名へと拡大しました。

これにより、各サービスで施策のスピードが向上するなど、生産性の大幅な向上につながります。今後は管理部門にも展開し、さらなる効率化を図っていきます。

株主還元

最後に株主還元です。2025年は前回本決算でお知らせしたとおり、配当性向を従来の50パーセント以上から65パーセント以上へと引き上げました。当社のストック型サービスによる安定した収益基盤と健全な財務体質を背景に、より積極的な株主還元の強化を図っていきたいと考えています。

さらに、自己株式の取得も予定どおり進行中です。累計の取得額は、2025年4月30日時点で4,600万円となります。上限額の1億8,000万円に向けて12月まで継続して買い付ける予定です。

フリーキャッシュフローの推移

スライドのグラフは、当社の金融支援事業を除いたフリーキャッシュフローの推移です。配当の原資となるキャッシュは安定的に毎期生み出されています。

今後もストック型サービスを中心とした安定的な収益基盤と、着実なキャッシュの積み上げを通じて、株主のみなさまへ還元を継続的に実施できるよう、事業の成長を進めていきます。

私からの説明は以上です。ありがとうございました。