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谷奥秀実氏(以下、谷奥):本日は株式会社中央倉庫の2025年3月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長執行役員の谷奥です。

スライドに記載のとおり、経営環境の認識から株価推移まで、7項目についてご説明します。

1.経営環境の認識 (2024年度を振り返って)

まず、経営環境の認識について、2025年3月期を振り返りながらお話しします。日本経済はみなさまご存じのとおり、企業収益や雇用・所得環境の向上、私たちも京都から来ており実感していますがインバウンド需要が顕著です。また、円安に伴う物価上昇やインフレの傾向があります。

加えて、地政学的な問題による不安定な国際情勢が続いています。世界経済に関しては、情勢不安の長期化、中国経済低迷の影響がありました。また、毎日のように話題になっている、関税問題をはじめとするアメリカの政策動向に対する景気の不安定化への懸念も広がっています。

このような状況下で、我々が属している物流業界においては、貨物の荷動きが徐々に増えています。

一方、ガソリン代や軽油代といった燃料価格などのさまざまなコスト上昇と、業界内の労働力不足に伴う人件費の上昇も非常に顕著です。また、こちらもよく話題になりましたが、2024年問題への対応としても、労働力不足やコスト上昇などの問題を多く抱えた期でした。

1.経営環境の認識 (2024年度) <営業倉庫21社統計より>

経営環境の認識についてです。スライドのグラフは主要営業倉庫21社の統計です。当然、当社もこの中に入っています。

グラフを見ると、2025年3月期は入庫高・出庫高についてはいずれも、そこまでドラスティックに増えているわけではありませんが、増加しています。一方で保管残高に関しては、入庫より出庫が増えていることにより、営業倉庫21社全体で見ると減少している状況です。

2.2025年3月期の実績《連結業績》

2025年3月期の実績をご報告します。スライドでは営業収益と営業利益に絞って記載しています。営業収益は前期比5.0パーセント増の278億4,000万円、営業利益は前期比13.2パーセント増の21億8,900万円と、増収増益となりました。

それぞれの背景をスライドに記載していますが、後ほどセグメントごとに詳細をご説明したいと思います。

2.2025年3月期の実績《連結業績》

営業収益と営業利益以外の実績についてです。経常利益は前期比9.1パーセント増の24億3,300万円となりました。前期と比較して少々抑えられた感がありますが、これは政策保有株式の縮減等に取り組んでいるためです。また、受取配当金などの減少により全体的に配当が減少したことも要因の1つです。そのような背景により、営業利益の伸びと比較しても伸び率が抑えられています。

一方、当期純利益は残念ながら前期比6.5パーセント減の15億8,800万円となりました。経営判断により、関係会社の文洋流通センターの株式を売却したことに加え、投資有価証券の評価損を計上したことが要因です。それらの影響により、営業利益および経常利益と比較して減少しています。

2.2025年3月期の実績(国内物流事業)

セグメントごとの実績をご説明します。当社のセグメントは国内物流事業、国際貨物事業、不動産賃貸事業の3つです。このうち、国内物流事業では倉庫業と運送業、国際貨物事業では通関業と梱包業を担っています。

まず、国内物流事業の実績についてご説明します。スライドのグラフは扱いトン数の比較で、上段が倉庫業に関わる部分です。先ほどの営業倉庫21社統計と同様に入庫・出庫とも増えています。ただし、おかげさまで当社は入庫のほうが若干多いため、保管残高も増えています。

運送取扱数量は前期比1.7パーセント増えています。これは、倉庫の入出庫が増えると、倉庫に入ってくる輸送も増えるためです。

また、当社は倉庫外の輸送も行っています。一例を挙げると、ペットリサイクル事業の工場間の輸送を行っています。また、後ほどご説明しますが機工、つまり機械の取り外しも含めた工場から工場への輸送業務も手がけています。そのような案件も含めて、運送取扱数量は増加しました。

2.2025年3月期の実績(国内物流事業)

国内物流事業の営業収益は224億8,400万円で前期比5.5パーセント増、営業利益が25億6,000万円で前期比15.8パーセント増となっています。金額ベースでは、国内物流事業が全体の約8割を占めています。

営業収益に関しては、さまざまな取り組みが伸長に寄与しました。具体的には、既存取引先への深掘営業による取引の拡大がありました。また、新規営業開発による新たな輸送サービスなどもありました。最も大きな要因は、先ほどお伝えした取扱数量の拡大による増加です。その他にも、料金改定がかなり進みました。

一方、営業利益の伸び率が営業収益よりも大きかった要因は料金改定です。以前から、我々が支払う経費は値上げを受け入れてきました。そうしなければ荷物を運べないからです。今回そのような我慢が荷主さまへの料金改定にしっかり結びついたことで、営業利益の伸び率が非常に高くなっています。

2.2025年3月期の実績(国際貨物事業)

国際貨物事業についてです。通関業を含んだ輸出入取扱数量は前期比3.7パーセント増となりました。一方で輸出入取扱数量のうち、輸出量は減少しました。これは、中国経済低迷の影響により、日本から中国への商材輸出が減少したためです。ただし、おかげさまで輸入量は伸ばすことができています。これは、バージン樹脂の輸入にシフトしたことが寄与しました。

当社はペットボトルのリサイクル事業の物流を提供しており、本来はここを重点的に伸ばしていく予定でした。しかし、原料価格が非常に高騰し、今では倍くらいになっています。原料となるのはペットボトルのゴミですが、同業者がたくさん出てきており、取り合いとなっているためです。

当社はもともとバージン樹脂の輸入を行っており、バージン樹脂の量を減らし、リサイクルを増やしていく目論見でした。しかし、このような状況で原料価格が非常に高騰したため、前期はバージン樹脂の輸入にシフトしました。SDGsやサステナビリティを考えたら、このような状況が未来永劫続くとは思いませんが、2025年3月期に関してはおかげさまで輸入が増えました。

次に、梱包取扱数量についてです。当社では、すべてではないものの基本的に輸出時の梱包業を行っており、当事業に含まれます。一昨年テスパックをM&Aした効果が出ており、取扱数量が増加しました。

取扱数量のうち、輸入は前期比5.5パーセント増、輸出は前期比12.8パーセント減、輸出入を合わせた取扱数量は前期比3.7パーセント増となっています。当社の輸入と輸出の比率は、輸入が9で輸出が1ですので、結果としてこのような数字となりました。

2.2025年3月期の実績(国際貨物事業)

国際貨物事業の営業収益は51億9,200万円で前期比3.3パーセント増、営業利益は4億9,800万円で前期比4.1パーセント増となりました。取扱数量の増加により、収益も増えています。

背景としては、先ほどご説明した内容をスライドに記載しています。結果として、伸び率としてはそこまで高いものではありませんが、収益も前期を上回ることができました。

2.2025年3月期の実績(不動産賃貸事業)

不動産賃貸事業の営業収益は3億5,600万円、営業利益は1億5,300万円とほぼ前年並みです。スライドの写真は、本社隣地の京都梅小路地区にあるホテル「花伝抄」です。共立メンテナンスさまに土地と建物を貸し、同社が運営しています。収益源は家賃収入のため安定収入となっており、数字に変化がありません。

金額的には非常に小さいですが、今後は我々の資産を作っていかないといけないと考えています。「こんなに少ない数字でセグメントを分ける必要があるのか?」という意見もあるかと思いますが、そのような意味合いも込めて、事業として明確に取り組んでいます。

手前味噌ではありますが、京都という立地もあり「花伝抄」は連日満室、稼働率も非常に高いと聞いています。

2.2025年3月期の実績 (キャッシュ・フロー、その他財務指標)

キャッシュ・フローはスライドのとおりです。投資キャッシュ・フローのマイナスが目立っているかと思いますが、これは愛知県あま市の土地を購入したことによるものです。財務キャッシュ・フローに関しては、すでにリリースし実行していますが、自己株式を取得しています。さらに配当金の支払いがありましたので、これらによりマイナスとなっています。

その他財務指標として、自己資本比率はほぼ一定です。いろいろな施策は取っていますが、その成果がなかなか追いついていないのが現状です。

また、PBRがよく注目されますが、株価全体が高止まりしている中で当社の株価も上がっているため、前期比で0.09ポイント増加しました。ただし、PBRは1倍を目指しており、まだまだ足元にも及ばない状況です。

一方、ROEは下がってしまいました。2025年3月期は特に当期純利益で特別損失等を計上した影響により、前期比0.4ポイント下がりました。なお、後ほどご説明しますが、第8次中期経営計画ではROE5.0パーセントを目標に掲げています。

2.2025年3月期の実績(設備投資の状況)

設備投資の状況です。2025年3月期は21億1,400万円の設備投資を行いました。第7次中期経営計画期間中に約85億円の投資をしましたが、そのうち約21億円が2025年3月期の実績となります。

一番大きなものは、あま市の土地の取得です。また、既存施設の改修も行っています。その他、倉庫の照明設備のLED化を長年進めてきましたが、2025年3月期に100パーセントを達成しました。子会社の中倉陸運のトラック入替えも行いました。

3.第7次中計の振り返り

第7次中期経営計画の振り返りです。2022年4月から2025年3月までの3年間、第7次中期経営計画を進めてきました。名称を「Let's TRY! 2024」とし、「自身にTRY! 組織でTRY! 社会へTRY!」を掲げ、何事にもトライしてきました。1つ前の6次中期経営計画では「CHANGE! to 2021」を掲げ変化を遂げたため、次の7次中期経営計画は積極的に試していこうと策定しました。

戦略基本方針はスライドに記載のとおりです。8つの戦略基本方針を策定し、これに基づいて行動しました。

3.第7次中計の振り返り《連結業績推移》

業績は順調に進捗したとは言えません。特に、途中で最終目標値を下方修正せざるを得ない状況になったことは、本当に残念でした。スライドに記載した業績目標値は、下方修正した後の数字です。

以上を踏まえた上で、2022年3月期と比べ、営業収益は16.3パーセント増、営業利益は17.3パーセント増、経常利益は17パーセント増、当期純利益は17.4パーセント増となりました。配当性向については、当期純利益が下がったことも影響しましたが、目標の40パーセントを上回り、33.7パーセントから42.6パーセントまで持っていくことができました。

いろいろな状況はありましたが、なんとかここまでの実績を作ることができました。業績目標値に関しては、経常利益まではすべて達成しています。ただし、当期純利益に関しては、残念ながら予想していなかった要因により、達成することができませんでした。

3.第7次中計の振り返り《施策》

8つの基本戦略のうち、主なものについて簡単にご説明します。まず、「新分野へ積極的に挑戦しグループとして成長を遂げる企業」についてです。京都の輸出梱包専門会社であるテスパックをM&Aしました。当社としては初めてとなる大がかりなM&Aでした。

また、機械の輸送だけではなく、取り付け・取り外しまですべてを請け負う機工部門を新設しました。さらに、大口の得意先の工場内に、物流を提供するだけではなく、物流に関する人材も提供するという工場物流部門の3PL化も行いました。これは先方の人手不足に対応する取り組みです。

次に「無形資産・人的資産への投資を通じイノベーションを育む企業」についてです。営業とシステムにおいて戦略部門の幹部人材を中途入社で採用しています。すでに数名が戦力として活躍しています。また、システム基盤については本格的な変更・整備を考えており、すでに投資を始めています。これは第8次中期経営計画も継続します。

「多様な価値観を尊重し皆が高いパフォーマンスを発揮できる企業」としては、人事制度改革を実行しました。さらに、エンゲージメント向上のためにアンケートを取り、改善すべき項目に関して施策を行い、1年かけて答えを出していきました。

「デジタル技術の活用を図り高い業務品質と生産効率を実現させる企業」としては、営業情報システムを導入しました。これまでは自前で対応していましたが、パッケージを導入しています。

また、各営業所で発生する事務業務について共通する業務が数多くあることから、事務センターを2ヶ所作り、こちらに集約しました。すべての事務とまではいかないものの、ある一定の事務を集約でき、営業所の原資を別のところに向けるという改革を行っています。

「サステナビリティの基本方針を組織に浸透させ施策に真摯に取り組む企業」としては、サステナビリティ委員会の下にサステナビリティ推進委員会を創設しました。社内から公募し、サステナビリティに興味のある方を中心とした、いわゆる小回りの利く部隊となっています。非常に細かい活動にも取り組んでおり、現在も推進中です。

3.第7次中計の振り返り《施策》

「積極的な投資と強い財務体質をバランスさせ健全経営を継続する企業」についです。1つ目は、滋賀県大津市に大津営業所を開設しました。2つ目は、先ほどお伝えしたとおり、愛知県あま市に土地を取得しました。造成も済み、現在は着工まで行っています。3つ目は、子会社の中倉陸運において特殊車両を購入しました。特殊コンテナなども数台購入し、現在大活躍しています。

「『プライム市場の企業』として期待される企業」としては、いろいろなことに取り組んでいます。我々はプライム市場を選択し、対策を必死に進めました。具体的には、自己株式の取得、1on1ミーティング、従業員持株会向け譲渡制限付株式報酬インセンティブ制度の導入、株主優待制度の見直しなどを行いました。

東京証券取引所から要請されている「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」についても開示しています。当社はアップデートをしっかり行っており、5月12日に2回目のアップデートを行いました。これについては二極化しているようですが、当社はそこをきちんと出そうと取り組んでいます。

最後は「ガバナンスの充実」についてです。取締役会の活性化はどの会社でも取り組んでいることですが、実効性評価アンケートを社外で実施し、対応を進めています。

3.第7次中計の振り返り《次期中計につなげる主な課題》

次期中期経営計画につなげる主な課題についてです。すでに第8次中期経営計画に注力していますが、それぞれ積み残したことがありますので、それを主な課題として第8次中期経営計画の中で取り組むこととしています。

3.第7次中計の振り返り

第7次中期経営計画の振り返りとして、図にして見える化しました。先ほどお話ししたとおり「花伝抄」の賃貸開始、大津営業所の開設、テスパックのM&Aを行っています。スライドのテスパックの写真は、梱包作業を行っているところです。

循環型ビジネスおよび機工部門については、実は第7次中期経営計画期間ではなく、第6次中期経営計画の終わり頃に進めました。第7次中期経営計画でもしっかり取り組めたということで、こちらの2つも一緒に記載しています。

第8次中期経営計画「NEXT CS-100」

第8次中期経営計画についてです。スライド上部に記載しているとおり、「NEXT CS-100」が今回の名称です。当社は1927年10月に創業しており、第8次中期経営計画期間中の2027年10月に、ちょうど100年を迎えます。

「NEXT CS-100」には、次の100年に向けたメッセージを入れています。「CS」には、中央倉庫という意味も当然含まれていますが、「Challenge Spirit」という意味も込められています。ちなみに、第6次中期経営計画には「Change」、第7次中期経営計画には「Try」という言葉を入れていました。

「では次は何だ?」と考えた時に、実は企業理念の中に「挑戦」があります。私が入社した頃は「誠実」「進歩」だけでしたが、2000年頃に「挑戦」も加えました。それをこの100周年で掲げ、「もっとガンガン挑戦していこう」という意味を込めています。

グループ中長期ビジョンは「卓越した専門性と実行力でお客様や社会に新しい価値を提供し続ける企業」です。これを当社の目指す姿として規定しました。戦略基本方針については、スライドに記載の6つを挙げています。

4.第8次中期経営計画「NEXT CS-100」

数値目標です。2028年3月期の営業収益は315億円、営業利益は25億円、経常利益は26億5,000万円、営業利益率は7.9パーセント、経常利益率は8.4パーセント、ROEは5.0パーセントを目指します。このうち、営業収益はかなり厳しい数字です。あま市の土地は建築作業の最終年度となります。そこでフルスペックがかかってきますので、それも期待しながら織り込んでいます。

一方で、利益率は足元の数字と同程度です。先ほど国内情勢、海外情勢についてお話ししましたが、今の情勢を見るとかなり厳しい状態が続くこともあり、なんとかこの基準を保っていこうと考えています。

ROE5.0パーセントは、資本コストや株価を意識した経営の中での目標値です。なかなか理解されない数字かもしれませんが、当社の現状を鑑み、5パーセントを掲げています。第8次中期経営計画中には達成していこうと考えています。

4.第8次中期経営計画「NEXT CS-100」

第8次中期経営計画では、キャッシュ・アロケーションを明確化しました。キャッシュ・イン、キャッシュ・アウトはそれぞれ170億円です。キャッシュ・インには営業キャッシュ・フロー、借入が含まれています。キャッシュ・アウトには設備投資に加え、配当、自己株式の取得も含めています。

設備投資としては、総額120億円を見込んでいます。今後進めていく取り組みとして、現時点ではあま市の新倉庫建設に加え、賑わい施設として本社隣接のホテルの横に新たに建物を建てています。また、M&Aも進めていく方針です。

その他、非常に大事なところとして、システム投資を始めています。今期中にシステムの環境整備をしっかり進めたいため、比較的大規模な投資を考えています。

人的資本に関しては、当社でも初任給アップ、給与の改定、ベースアップなどを行っていますが、金融機関を中心にますます上がってきているため、なかなか追いつくことが大変です。ここもしっかり取り組んでいく必要があるため、計画に織り込んでいます。

既存設備については、古い倉庫等の設備更新を行います。

4.第8次中期経営計画「NEXT CS-100」(戦略基本方針)

6つの戦略基本方針についてです。1つ目の「成長分野への絶え間ない挑戦による新たな収益モデルの構築」については、リサイクルペット樹脂の物流の拡大に取り組みます。再生するものはペットだけではなく、自動車部品、家庭製品の冷蔵庫や洗濯機もあります。それらをペット樹脂の物流の中でプラットフォーム化して提供していくことを、すでに一部進めているところです。こちらにしっかり取り組んでいきます。

どちらかというと我々は樹脂とフィルムが中心ですが、それ以外の化学品は輸入品が多いです。国内生産をやめているようなところの物流を拡大していきたいと考えています。

2つ目の「国内外物流ネットワークの更なる拡充」については、あま市の新倉庫建設などにより、東海地区の営業エリアの拡大および新倉庫の営業強化を図っていきます。

また、東南アジアを中心とした3国間貿易案件の拡充を挙げています。現在、日本を通さない貿易を行っているところです。関税問題で今後のサプライチェーンが変わります。それを意識しているわけではありませんが、案外営業の面があると思いますので、3国間貿易案件の拡充に取り組んでいきます。

M&Aについては1件実施しましたので、可能であれば2件目、3件目も進めていきます。

3つ目の「高い業務品質・付加価値創出による収益性の向上」については、適正料金の収受がまだまだできていないところがあります。これは当然進めていく必要がありますので、しっかり取り組んでいきます。また、今に始まったことではありませんが、業務改善・効率化に継続して取り組んでいきたいと思います。

4.第8次中期経営計画「NEXT CS-100」(戦略基本方針)

4つ目の「情報システムの強化による高い生産効率の実現」については、システム基盤の整備を行っています。システム人員がなかなかいないため、次期基幹システムに向けた次世代人材の確保に取り組んでいます。このような人材は、第7次中期経営計画でも何名か採用できています。

当社ではほとんど内製でシステムを作っており、いわゆるCOBOLを使っています。しかし、オープン系システムの人員があまりいないため、確保が必要です。どの会社でもいっていますが、当社も同様の流れです。人材を確保していくにつれ、このようなことがしっかり進められることを認識していますので着実に取り組みたいと思います。

5つ目の「健全な財務体質の維持と資本効率を重視した財務・資本戦略の実行」については、先ほどお話ししたキャッシュ・アロケーションをしっかり実施していくこと、および資本コストや株価を意識した経営に取り組んでいきます。

6つ目の「サステナビリティ対応強化」については、全従業員と人事部で年1回必ず対話しています。その中で出てきた問題に関しては共有し、解決を図っています。加えて、先ほどお話ししたとおり、エンゲージメントアンケートも実施しています。言い方は悪いですが、働きがいのある職場というだけではなく、辞めない会社を作っていきたいと思っています。

環境負荷低減の推進については、当社は2023年5月に「TCFD提言に基づく情報開示」を開示しました。なかなか難しいですが、それに向かった環境負荷低減に取り組んでいきます。自動車がEV化できれば大きく進むのですが、そのようなことがなかなか進展しないため、こちらもしっかり行っていきたいと思っています。

4.第8次中期経営計画「NEXT CS-100」(配当政策)

配当政策です。これまではDOEの下限を決め、最終年度の配当性向を何パーセント以上にするという方法でしたが、第8次中期経営計画期間中は累進配当を実施します。前提として連結業績、財務面での健全性を踏まえた上で、前期の配当額を維持または増配します。

なお、2026年3月期の1株当たりの配当金額は38円を予定しています。

5.2026年3月期 通期の見通し

2026年3月期通期の見通しについて簡単にご説明します。営業収益は前期比2.4パーセント増の285億円、営業利益は前期比2.7パーセント増の22億5,000万円、経常利益は前期比0.7パーセント増の24億5,000万円、当期純利益は前期比13.3パーセント増の18億円を計画しています。

スライド下部に記載しているとおり、アメリカの動向、中国経済の低迷などにより、現在非常に不透明な状態です。したがって、あまり強気の予算は立てられません。売上がある程度増加する一方で、利益もさらに上げられないかと思いましたが、弱気の予算になっています。ただし、この数字をしっかり作り上げたいと思います。

当期純利益に関しては、前期に特別損失等を計上していますので、今期の粗利はかなり大きく、ここだけ目立っています。スライドに記載しているとおり、あくまでも第8次中期経営計画の1年目ですので、確実な着地を目指したいと考えています。

6.トピックス①(国内複合輸送の戦略構想)

トピックスとして2点ご説明します。1つ目は、フェリー・内航船を活用した国内複合輸送の拡大戦略です。我々はいろいろなメニューを作っていく必要があります。先ほどお話しした機工部門も1つのメニューであり、リサイクルペット樹脂も1つのメニューです。今回新たなメニューとして、フェリー・内航船を使った仕組みを考えています。

なんとなく内航船は人を運ぶイメージがありますが、フェリーは人を運ぶよりも、荷物やトラックを運んでいるほうがはるかに多いです。これはみなさまもご存じかもしれません。我々は内航船を使うだけではなく、船会社と連携して進めていくことに取り組んでいます。

6.トピックス①(国内複合輸送の戦略構想)

スライドには実績として、リサイクル樹脂におけるコンテナのドレージ輸送を挙げています。A社から神戸まで運び、内航船で北九州まで輸送し、そこからドレージ輸送で工場に運びます。

現状、組み合わせ輸送の内容はもう少し細かいです。トレーラーで運びフェリーに載せますが、トレーラーはトラック輸送に化けます。現在はトレーラー輸送後に小口ユーザーに届ける部分を構想しているところで、荷主とお話ししています。

なお、JR貨物を使用する場合と同様、リードタイムが長いことだけが問題です。そこだけは荷主と交渉する必要があります。

6.トピックス②(再生原料関連ビジネスへの更なる営業展開構想)

トピックスの2つ目です。当社はリサイクルペット樹脂取扱いノウハウをプラットフォーム化し、ペットリサイクル事業を積極的に展開しています。ペットリサイクル事業以外でもこの物流スキームを活かせることから、シェア拡大を狙っています。

7.当社株価の推移

最後に、株価の推移です。スライドは、2024年3月末からの推移を示しています。当社の施策の力だけではなく、市場の動きによる変動もありますが、株価は24.4パーセント上昇しています。2024年3月29日の1,148円に対し、5月16日現在で1,428円まで上がりました。

株主優待制度の見直し、自己株式の取得、IRの推進、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の開示などにしっかり取り組んだ結果だとも捉えられると思っています。市場の動向によってどうなるかわからない部分はありますが、今後も株価を意識しながら経営していきたいと思います。

具体的には、第8次中期経営計画の施策とともに、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」で開示している施策も継続して行うことで、企業価値を高め、市場から評価される企業にしていきますので、よろしくお願いします。

最後までご清聴いただき、ありがとうございました。

質疑応答:国内物流事業および国際貨物事業のセグメント利益率について

司会者:「国内物流事業および国際貨物事業のセグメント利益率は概ね10パーセント前後ですが、同業他社に比べて高水準を維持しています。その要因として、どのような付加価値を顧客に認めてもらっているのかを教えてください」というご質問です。

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