業績 ハイライト
矢下秀行氏:本日はお忙しい中、株式会社データ・アプリケーションの決算説明会の動画をご視聴いただき、誠にありがとうございます。4月より経営企画管理本部長兼経営企画グループマネージャーになりました矢下です。
株主・投資家のみなさまとの対話を質・量とも深めたく考えていますので、あらためてよろしくお願いします。2025年3月期決算について、資料に沿ってご説明します。
2025年3月期業績の総括です。決算数値に関して、事前にお伝えしておきたいことがあります。当社は、2024年7月に株式会社WEELを買収し、子会社化しました。これにより、当社は中間期より連結決算へ移行しており、業績に関しても連結の数字となっています。
スライドに記載した業績ハイライト以降のデータは、前年同期あるいは前年度末の非連結数値との比較分析が行われていますので、ご了解いただきますようお願いします。
業績のハイライトです。当期の売上高は26億700万円となり、前期比で10.7パーセントの減収となりました。単体においては、サブスク型の売上が通期を通じて安定的に推移した一方で、パッケージ製品においては、前期に計上された一過性の大型案件の反動減により、売上全体としては減収となりました。
足元では、第4四半期において新たに大型案件をパッケージで受注し、一過性の特需が発生しています。子会社であるWEEL社の連結も売上に貢献しています。
営業利益は3億2,900万円となり、前期比で40.1パーセントの減益となりました。売上減に加え、事業拡大に伴う人件費の増加、M&A関連費用、のれんの償却などが主な要因です。
当社の事業であるライセンス販売においては、その特性上、売上が未達・減少した場合に、開発費等の変化のない固定費を吸収できず、利益に与える影響が大きくなる構図になっている点も影響しました。売上の減少額がダイレクトに利益に影響を与えることになります。
一方で、コスト管理を徹底し、移転に伴う家賃の減少や、その他コストの見直しにより、一定のコストコントロールを実施しています。その結果、総費用は減少しています。
なお、サブスク化の推進により、売上・営業利益は中長期的な成長に向けた過渡期にあり、現在は成長基盤の構築を進めている段階です。経常利益は3億6,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、2億6,800万円となり、それぞれ前期比36.9パーセント減、45.7パーセント減という結果になりました。参考として、EBITDAは4億4,000万円となっています。
2025年3月期業績
本スライドに記載した2024年3月期実績及び2025年3月期期初計画値は、いずれも単体での数字となっています。これに対し、2025年3月期の実績値は、連結ベースでの数値であることを前提にご説明します。
当初、2024年3月期単体実績を踏まえ、2025年3月期の計画も単体ベースで策定していました。しかし、2024年7月にWEEL社を買収し、子会社化したことにより、中間期より連結決算に移行しています。これに伴い、当初の単体計画から連結ベースの修正計画を開示しました。
結果として、2025年3月期の実績は、連結ベースで売上・利益ともに、期初の数値比較では減収減益となりました。
サブスク型の売上は堅調でしたが、前期の一過性大型案件の反動減やM&A関連費用、のれん償却の影響を受けたかたちです。一方で、第4四半期に新たな大型案件を受注したことにより、一過性の特需も発生しています。また、子会社WEEL社の連結も売上の下支えに一定の貢献がありました。
売上構成
売上の構成についてご説明します。前期上期に大型案件をパッケージにて受注し、バージョンアップ案件を複数受注する特需が発生しました。前期上期は、パッケージ売上が大きくなっているのがおわかりになるかと思います。パッケージの売上はその分の保守料も付随しますので、同じく前期上期は、メンテナンス利益は増収となっています。
さらに、止まってはいけないシステムには、バージョンアップのつなぎとして、当社製品の古いバージョンと新しいバージョンが同時並行して使われます。バージョンアップ案件が発生すると、タームライセンスと呼ばれる一定期間利用可能なライセンスの販売も増加します。
2025年3月期は、その前期の特需要因がなくなり、パッケージ、メンテナンス、タームライセンスが減少しました。しかし、第4四半期に再び大型案件をパッケージにて受注する特需が発生しました。
WEEL社の子会社化によりサービス売上が増えています。サブスクは順調に伸長しています。サブスク・メンテナンス・タームライセンスなどからなるストック型収益であるリカーリング売上は、売上全体の約6割となっています。
サブスクリプションMRR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益)
当社の経営上の重要指標となるサブスク売上のみを、MRR(月次経常収益)にしたグラフです。サブスクのため、季節要因も少なく順調に推移しています。2025年3月単月の売上高は約7,600万円となり、2021年3月単月の売上高の約5.5倍となっています。
引き続き、当社の経営戦略の重要なファクターであるサブスクでの売上の推進を行い、収益の安定化を目指していきます。
総費用の推移
総費用の推移です。事業拡大を進める中でもコストコントロールに努め、総費用は前年同期比で減少しています。一方、営業利益への即時反映は限定的であり、第4四半期において一時的な特需が発生したものの、特需依存からサブスク型ビジネスへの転換を進めており、将来の安定成長に向けた戦略的な取り組みを実施しています。
販管費については、事業拡大に伴う人件費・求人費、新製品・新サービス「ACMS Cloud」や「Placul」の開発による研究開発費、人的資本経営強化のための教育訓練費が増加しました。他方、家賃・減価償却費は移転に伴い減少しています。
WEEL社のM&Aに伴い人件費が増加、業務委託費が増加しています。さらに、CM施策が一巡したことで広告費は減少しています。原価については、当社の特性上ほぼ労務費ですが、製品製造原価は移転に伴い、家賃と減価償却費が減少しています。
参考:総費用の四半期推移
総費用の四半期推移は、スライドをご覧のとおりとなっています。
製品別売上構成
製品別の売上構成です。戦略製品の売上高は、「ACMS Apex」の拡販により前期比3.3パーセント増となっています。戦略製品は構成比が42.2パーセントです。当社では、収益安定性向上のため、戦略的に「ACMS Apex」などをサブスクで販売することを強化しています。
今後は、引き続きお客さまに対して、「ACMS Apex」と「RACCOON」を核にしたデジタル・ビジネス・プラットフォームを提案するとともに、さらなる事業領域の拡大を目指していきます。加えて、今期よりスタート予定であり、徐々に機能などが強化、差別化されていく新たなサービス「ACMS Cloud」の販売を推進していきたいと思っています。
貸借対照表(B/S)
貸借対照表については、総資産61億7,900万円、純資産47億7,500万円となっています。WEEL社のM&Aによる2億5,500万円ののれんが発生しています。
各指標(ROE・ROA)の推移
ROE・ROAの推移は、スライドに示したようなかたちになっています。中期経営計画にも掲げているとおり、資本コストや株価を意識した経営に資するとともに、ROEは2028年3月期の目標値15パーセント以上を目指しています。自己資本比率は77.3パーセントと、70パーセント以上を維持しており、安定的に推移しています。
2025年3月期経営方針
2025年3月期は、スライドに記載した施策を中心として事業を行ってきました。これらの施策の進捗については、次ページ以降で主なトピックとしてご説明します。
Topics:事業領域拡大・開拓
事業領域拡大・開拓については、クラウド型データ連携プラットフォーム「ACMS Cloud」が正式リリースに向けて、試運転環境を2025年5月7日から提供開始しています。ワークマネジメントプラットフォーム「Placul」は無料で利用できるフリープランを提供開始しています。
2024年7月にWEEL社がグループイン、2025年4月にはデジタルトランスコミュニケーションズ株式会社・株式会社メロンが新たにグループインし、4社連携により、障害検知を含む高度な分析が可能になる次世代のデータプラットフォームを構築する体制を確立しています。
Topics:収益安定性の向上
収益安定性の向上については、サブスクの売上高が順調に伸長しており、全ライセンスのサブスク化を加速、さらなる伸長を目指しています。
Topics:人的資本経営の推進
人的資本経営の推進として、階層別スキル訓練強化、アンコンシャスバイアス研修の実施、e-learning受講率100パーセント達成など研修を充実させ、教育の強化徹底を行いました。2024年9月に「人権方針」「健康経営方針」を策定し、管理職向けにエンゲージメントサーベイを実施しています。
2026年3月期連結業績見通し及び配当予想
当期の業績見通し及び配当予想についてご説明します。今期は「Placul」の業績寄与に加え、新たにグループインしたデジタルトランスコミュニケーションズ社及びメロン社による事業拡大の効果もあり、売上高は前期比72.6パーセント増の45億円を見込んでいます。
これら3社とのシナジーを早急に発揮すべく、引き続き連携強化を図っていきます。一方、営業利益については、3社のグループインに伴う人員・管理体制の強化コストの増加、並びに人件費や外注費の上昇もあり、2億8,000万円と前期比14.9パーセントの減益を計画しています。
ただし、EBITDAベースでは5億円を見込んでおり、成長に向けた投資を行いながらも、一定の収益性は維持できると見込んでいます。利益面での短期的な圧迫はあるものの、グループ全体の基盤強化と今後の持続的な成長に向けた準備期間と捉えており、必要な戦略投資は引き続き実行していきたいと思っています。
足元の業績はやや厳しい計画になっていますが、グループとしての一体運営と体制整備を進め、中長期的な企業価値向上に努めていきます。
2025年3月期の期末配当については、本日別途リリースにてご案内のとおり、実績に基づき1円増配し、26円とさせていただくことを決定しています。配当予想については、株主のみなさまへの安定的な利益還元を重視し、2026年3月期は26円とさせていただく予定です。
引き続き、みなさまのご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。私からのご説明は以上です。最後までご視聴いただき、誠にありがとうございました。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)へ移行する理由
安原武志氏:代表取締役社長執行役員の安原です。本日発表した中期経営計画について私からご説明します。はじめに、昨年発表した中期経営計画から、本日発表した新中期経営計画へと移行する理由についてご説明します。
前中期経営計画は当社単体での内容でしたが、WEEL社、デジタルトランスコミュニケーションズ社、メロン社の3社がグループインしたことで、DALグループとしての新たな中期経営計画を開示すべき状況となりました。
デジタルトランスコミュニケーションズ社については、以降DTC社と呼びます。3社のグループインに伴い、連結決算に再度移行したことで、今後の数値目標についても、連結で明示すべき状況となりました。以上の理由から、DALグループとしての新中期経営計画を策定し、発表させていただくこととなりました。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期) 要旨
スライドに示したものが、当期2026年3月期からの3ヶ年の新中期経営計画となります。前中期経営計画を踏襲した方針となっていますが、事業戦略、計数計画、財務方針の3つの観点における要点をお伝えできればと思います。
事業戦略については、DIGITAL WORKの実現と、当社グループの企業成長を両立すべく、三本の柱を設定しています。計数計画については、業績伸長及び重要事業戦略指標に加え、戦略的投資を実施する上で、収益性を正確にはかる指標を採用しています。
財務方針については、資本コストや株価を意識し、株主還元の基本方針は変更せず、ROEの目標値並びに配当下限額を設定しています。後ほど、観点ごとにご説明します。
現在の社会情勢
あらためて、現在の社会情勢について触れたいと思います。昨今はVUCAの時代と呼ばれており、感染症や疾病、地震や台風といった災害、政治的不安定要素、AIの急速な進化等により、世の中の変化が激しく、予測が難しい状況となっています。
このような時代においては、変化に柔軟に対応することに加え、情報を的確に収集し、分析・思考した上で迅速に決断し、行動することの重要性が高まっています。当社はもちろんのこと、お客さまに対する支援においても重要なポイントです。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)
このような社会情勢において、新中期経営計画も引き続き「個人と組織がともに成長し続けるDIGITAL WORKを実現する」を旗印としています。
当社の基幹ソフトウェアであるエンタープライズデータ連携プラットフォーム「ACMS Apex」、データハンドリングプラットフォーム「RACCOON」は、企業と企業をデータでつなげることで、お客さまの事業を支援しています。
そして人と人、人の持つナレッジをつなげるワークマネジメントプラットフォームの「Placul」により、社会のあらゆる「つなげる」を実現する「DAL PLATFORM」をお客さまに提供し、お客さまの成長とともに自社も成長していく未来を描いていきたいと考えています。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)事業戦略
新中期経営計画について、冒頭でもお伝えした3つの観点からお話しします。事業戦略についてです。前中期経営計画と同様に、事業成長を担う3本の柱として、「事業領域の拡大・開拓」「収益安定性の向上」「人的資本経営の推進」を設定し、戦略を立案しています。
3本の柱の各項目については、3社のグループインを踏まえ、アップデートしています。これらの戦略を実践することで、当社グループが目指す「DIGITAL WORKの実現」を図りたいと考えています。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)事業戦略
戦略を遂行するにあたり、3社のグループインを踏まえ、シナジーを最大限に発揮すべく、事業セグメントを「ソフトウェア事業」「システムインテグレーション事業」「AI関連事業」の3つに分け、各グループの役割を明確にし、事業ポートフォリオを構築します。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)事業戦略
事業戦略の3本の柱の1本目は、「事業領域の拡大・開拓」です。国内の既存市場においては、当社のデータインテグレーションプラットフォームを中心に事業を展開します。
加えて、DTC社のシステムインテグレーション(SI)サービスにより、お客さまの業務や課題に深く入り込み、細かなご要望にも丁寧に対応します。変化の激しい市場環境においても、お客さまごとのニーズに応じた柔軟な体制を構築し、継続的な価値を提供します。
国内の新規市場の開拓の面では、クラウド型データ連携プラットフォーム「ACMS Cloud」を通じて取り組みます。これまで培ってきたノウハウと柔軟な対応力を活かし、新市場への展開を図ることで、さらなる成長を目指していく方針です。
新たにグループインしたWEEL社による生成AIの活用、メロン社の持つ時系列解析技術や大規模言語モデルを用いたAI開発の知見を結集し、グループ全体としてのシナジーを創出します。より高度なデータ活用、業務最適化を実現し、付加価値の高いソリューション提供を目指していく考えです。さらに「Placul」により、ワークマネジメント市場への進出も図っていきます。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)事業戦略
2本目の柱は「収益安定性の向上」です。安定的な売上伸長を実現すべく、すでに成果を上げているサブスクリプションモデルによるソフトウェアの提供に加え、「つなぐ力をすべての人へ」をコンセプトに、DALグループのフラグシップ・ソリューションとなる「ACMS Cloud」を当期より市場投入していきます。
「ACMS Cloud」は、コアとなるデータ連携プラットフォーム「ACMS Apex」を中心とした、グループ4社の技術や知見を統合して構築されるクラウド型ソリューションです。メロン社のAIによる時系列解析により、高度な予兆検知機能で設備やシステムの未来の兆しをいち早く捉え、さまざまなリスクを未然に防ぎます。
WEEL社の生成AI技術により、ユーザーアシスタント機能として、対話型のインターフェイスや業務支援を提供し、より直感的な操作環境を実現します。DTC社が提供するIaaS基盤は、ミッションクリティカルな用途にも応える高性能・低電力のシステムで、私たちのサービスを強固に支えます。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)事業戦略
売上面においては、全ライセンスのサブスクリプション化、サービス型のビジネスを拡充することで、売上におけるボラティリティを最小化し、安定的に成長路線を描けるようにしていきたいと考えています。
他方、コスト面においては、将来の収益に寄与する戦略的な投資は継続しながらも、AI活用による業務効率化、及びグループ連携でのリソースやコストの最適化などを積極的に行っていきます。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)事業戦略
3本目の柱は「人的資本経営の推進」です。当社グループにとって、人財は「長期的な成長と成功のための重要な資産」です。
人財の価値を最大限に高めるため、経営戦略・人財戦略との密な連携、現状とあるべき姿の把握・分析、企業文化の醸成といった人的資本経営に準じ、「人財ポートフォリオの構築」「人財の多様性向上」「エンゲージメント向上」「自由な働き方」「経営目標・課題の組織全体での共有」を通して、企業価値向上を促進していきます。
現時点でも、人的資本経営の推進に関わる施策は多く実施していますが、あらためてすべての施策の意味を振り返り、何を達成するためのアクションであるかを常に意識していきます。その上で、それぞれが個別に存在するのではなく、有機的に連携させながら戦略的に実施し、人財価値を最大化することで、企業価値向上を積極的に推進していきます。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)計数計画
計数計画についてお話しします。事業成長を計数ではかる上で最も重要かつわかりやすい指標として連結売上高を選定し、最終年度の目標値として60億円を設定しています。
営業利益に償却費と株式報酬費用を加えることで、戦略的投資を実施する中でも正確に収益性をはかることができる連結EBITDAを採用し、最終年度の目標値として10億円を設定しています。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)計数計画
スライドのグラフは、直近4期の実績と新中期経営計画最終年度の目標値を示しています。売上高、EBITDAともに前期実績の2倍を超える目標となっており、過去の推移と比較しても、非常に高い目標値を掲げていると考えています。
単純な右肩上がりの成長による利益創出だけではなく、中長期的な視点での成長を企図した投資を積極的に行いつつ、グループ連携による効率化等を実施するなど、グループ全体で総力を挙げて達成していきたいと考えています。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)財務方針
財務方針についての変更はありません。株主還元について、基本方針は変更せず、配当下限額25円を設定した上で、株主資本配当率(DOE)3.5パーセントの水準を目途に配当を行います。前期に拡充した優待制度も継続したいと考えています。株主還元については、次のスライドで詳しくご説明します。
ただし、株主のみなさまに対する真の還元は、当社の企業価値向上であることも認識しています。企業価値向上をはかる指標として、新中期経営計画最終年度においてもROEを15パーセント以上まで向上させることを目標とします。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)財務方針
株主還元の方針について、ブレイクダウンしてご説明します。基本方針は従来と同様で、短期的な指標に基づくものではなく、財務体質の強化と長期的な企業価値の向上を踏まえたものでありたいと考えています。
その考えのもと、安定的・継続的な配当を実施する観点から、DOE3.5パーセントの水準を目途に配当を行うこととしています。過去6年間の配当水準については、スライドに掲載しているグラフをご参照ください。
現在はビジネスモデルの転換期で、業績の大幅な伸長を描くことが難しい過渡期です。しかし、株主のみなさまのご期待を裏切らないため、配当額25円を下限額とし、安定的・継続的な配当をお約束する意味で、今回も引き続き設定しています。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)財務方針
東京証券取引所が示している「資本コストや株価を意識した経営」を当社も推進し、企業価値向上を目指していきます。PBR及び資本コストに関する当社の認識について、簡単にご説明します。
PBRの過去の推移に関しては、スライドに掲載しているグラフをご参照ください。基本的に、PBRが1倍を割れることなく推移しています。当社は情報通信業・IT業に属しており、特性として設備投資や資産がない状態であることを考慮すると、決してグラフの水準は妥当とは言えず、十分な利益を出して株価を高める必要があると考えています。
PBRをROEとPERに分解すると、ROEも必ずしも高くない状況と考えています。ROEについては、次のスライドでお話しします。資本コストは3パーセントから5パーセントを1つの水準と理解しており、この水準は必ずしも一般的に見て高い水準ではないとも考えています。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)財務方針
当社の過去のROEの水準は、スライドに掲載しているグラフをご覧ください。一見すると、ROEの水準は下がっているように見えるかと思います。その主な要因は、サブスクリプション導入による売上の一時的減少と利益率の低下が挙げられます。
利益率低下に関しては、将来に向けた投資を積極的に実施していることによるものです。具体的には、魅力的なオフィスへの移転、給与水準の改善、社内ITインフラの強化、広告宣伝、M&Aなどの投資になります。
このように、ROE水準が一時的に下がっていますが、収益の向上とバランスシートの効率化を通じ、2028年3月期にはROE15パーセントを目指したいと思います。収益の向上においては、今後、サブスクリプション比率を高めながら売上を伸ばしていきますので、安定的に収益を獲得することができると考えています。
新中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)財務方針
このようにして得た経営資源を適切に配分すべく、このたびキャピタルアロケーションを策定しました。事業運営に必要な現預金の水準を運転資金より推定し、その水準を踏まえて、余剰現預金と、中期経営計画を推進する中で得る営業キャッシュフローの見通しをもとにしたキャッシュインを原資としています。
成長投資、戦略投資及び株主還元ならびに財務体質の健全化のバランスを確保しながら、経営資源の有効活用を実施し、最適な資本構成を維持して、当社の持続的な企業価値向上に努めていきます。
具体的には、原資をもとに資本コストを意識しながら、成長投資(戦略投資)として海外展開・人的資本に5億円から10億円、M&Aまたは自己株買いに10億円から20億円、配当金に5億円程度を配分する考えです。
ただし、あくまで水準の枠として基本方針を明示したに過ぎず、事業運営の局面に合わせ、有利子負債の活用も含めて、金額・項目・内容は機動的に組み替えていきます。
私からのご説明は以上となります。最後までご視聴いただき、誠にありがとうございました。今後とも、当社へのご支援をよろしくお願いします。