第3四半期ハイライト
仲里一義氏(以下、仲里):みなさま、ご覧いただきありがとうございます。株式会社ジグザグ代表取締役の仲里です。
北村康晃氏(以下、北村):取締役の北村です。
仲里:それでは、2025年5月期第3四半期の決算説明を始めます。まずは第3四半期のハイライトです。
第3四半期累計の業績について、売上高は前年同期比34パーセント成長の10億6,000万円、売上総利益は前年同期比34パーセント成長の7億2,000万円、営業利益は前年同期比47パーセント成長の2億6,000万円、純利益は前年同期比30パーセント成長の1億7,000万円となりました。通期予算に対する進捗についても、順調に推移しています。
当社の特徴として、売上高の実に95パーセントを海外売上が占めています。
KPIとしては、月間Activeショップ数とリピートカスタマー数を挙げています。月間Activeショップ数は、当社の「WorldShopping BIZ」を導入しているショップのうち、当月に海外売上実績があるショップ数を指しており、こちらは前年同期比19パーセント成長となりました。
リピートカスタマー数は、過去1年間に複数回購入している海外カスタマー数を指しています。こちらは前年同期比46パーセント成長となりました。
mission
当社は、「世界中のワクワクをあたりまえに」することをミッションに掲げています。
私たちが解決しようとしていること
このミッションは、ジグザグを創業したきっかけとなった、海外の商品を買えなかった私自身の原体験が背景にあります。情報は簡単に国を越えますが、eコマースにおいては、言語、決済、物流の3つの壁が存在しています。
当社は自社ECサイトの海外対応をタグ1行で実現し、世界中のカスタマーとECショップを「気持ちよく繋げる」ことで、「世界中のワクワクをあたりまえに」する社会を目指しています。
会社概要
当社の会社概要です。当社は2015年6月に設立され、今期で10期目となります。2025年2月末時点の従業員数は63名です。事業内容としては、海外カスタマー向け購入代行サービス「WorldShopping」、およびEC事業者向け海外販売支援サービス「WorldShopping BIZ」を提供しています。
経営チーム
経営チームです。越境EC、国際物流、マーケティング、ライブコマース、会計、M&Aなど、業界経験豊富なメンバーで構成されています。
zig-zagは何をやっているか?
当社は、タグ1行で世界中のカスタマーとECサイトを「気持ちよく繋ぎ」、越境ECをシンプルに実現しています。
越境ECの現状と課題
越境ECの現状と課題です。意外とまだ知られていませんが、日本のECサイトには海外からのアクセスが存在しています。現在、リアルの世界で海外から多くの観光客が日本を訪れているように、Webの世界でも訪日インバウンドが起きています。
これを当社は「ウェブインバウンド」と呼んでいます。しかしながら、せっかく海外からアクセスがあるにもかかわらず、多くの外国人は日本のECサイトでお買い物ができていません。
例えば、かな入力ができないという入力フォームの問題や、多言語カスタマーサポートに対応していないという「言語の壁」、海外発行のクレジットカードや各国では日常的に使われているローカル決済が使えないという「決済の壁」、さらにショップ自体が海外配送に対応していないといった「物流の壁」があります。
この3つの壁により、日本のECサイトは世界中の「欲しい」にほとんど応えられていない状況です。
ソリューション
この課題を当社がタグ1行で簡単に解決します。ECサイトにタグを1行追加するだけで、国内サイトを海外対応に早変わりさせ、海外カスタマーが簡単に購入可能になり、ショップとカスタマーを気持ちよく繋ぎます。
具体的には、海外カスタマーだけに見えるショッピングカードが出現し、かな入力フォーム不要の多言語ナビゲーションが表示され、多言語カスタマーサポートを我々が代行します。
そして海外クレジットカード、「PayPal」「銀聯」「Alipay」「WeChat Pay」、海外版「AmazonPay」、韓国の「NAVER Pay」、アジア圏で多く使われている「DANA」「GCash」「TrueMoney Wallet」といったウォレット決済など、いろいろな決済が使えるようになります。
また、特許取得の不正決済防止を自動で行い、ショップの安全を守っています。
配送においては、海外カスタマーは複数の配送サービスから選択でき、世界228の国と地域にお届けすることが可能です。これらがタグ1行で、ECサイト事業者側の運営の手間を一切かけずに実現します。
サービス説明
サービス説明です。当社のサービスは、タグ1行で2つのサービスが一体となって価値を提供する越境ECサービスです。スライド左側のブルーのロゴの「WorldShopping」は、海外カスタマー向けの購入代行ソリューションです。
海外カスタマーは海外販売に対応していないECショップの商品を安心・安全・簡単に購入できるようになります。従来の煩雑な輸入代行サービスとは一線を画したUI/UXで、多様な決済手段があり、複数の国際配送が選択可能で、海外限定クーポンや異なるショップの商品をまとめて送るといった機能を持っています。
スライド右側のオレンジのロゴは「WorldShopping BIZ」で、ECショップ向けの海外販売ソリューションです。国内ECサイトにタグを1行追加すると、「WorldShopping」のモジュールが表示されて越境対応が可能になります。
サービス画面
実際のサービス画面のイメージです。普通のECサイトにタグを1行追加すると、海外カスタマーだけに見える「WorldShopping」のモジュールが起動します。「WorldShopping」のナビゲーションバーが海外カスタマーのお買い物をサポートします。
欲しい商品ページでカートボタンをクリックすると、国内ECサイトのカートではなく、海外専用の「WorldShopping」のカートが起動して商品が入ります。決済ページでは、かな入力を行うことなく、海外住所の入力とその国に合わせた各種決済が可能で、注文は簡単に完了します。
ビジネスモデル
注文後のフローです。海外カスタマーからの注文は、ショップへの注文ではなく、いったん当社に購入依頼というかたちで入金されます。その後、当社が海外カスタマーに代わって普通にECサイトでお買い物をします。
ショップは通常通り国内オーダーとして発送いただければ取引が完了し、売上が上がります。当社が商品を受け取り、検品し、海外カスタマーに発送します。
マネタイズとしては、海外カスタマーから購入手数料と配送手数料をいただきます。ショップは売上手数料・海外送料は無料で、月額利用料だけいただいています。特徴としては、海外カスタマーから事前に資金を受け取る前受金モデルで、ショップに対してはリスクが少なく、ショップの売上が増えれば増えるほど、当社の収益も増加するというビジネスモデルです。
業績ハイライト
北村:業績ハイライトです。売上高は高成長を継続しています。3年間の年平均成長率は38.8パーセント、当第3四半期累計の成長率は34.1パーセントとなりました。第3四半期累計の営業利益率は25.1パーセントと、売上拡大と収益性を両輪で実現できています。
業績ハイライト
スライドのグラフは四半期ごとの業績を示したものです。グラフの上に黒字で示した数字は、4四半期ごとの平均売上高を表しています。当社の特徴としては、ショップの商品の発売タイミングによって四半期の売上高が変動することがありますが、ご覧のとおり、安定した成長を継続できています。
収益及びKPIの構造とアクションプラン
収益およびKPIの構造をご説明します。先ほどお伝えした売上高はスライド左側になります。当社の場合は、取扱高(GMV)に対する手数料収入を売上として計上しています。取扱高(GMV)を分解すると、ショップあたりの売上高とショップ数に分かれます。
さらにショップあたりの売上高は、カスタマーあたりのオーダー単価とカスタマー数に分かれます。当社ではショップのファンを増やすことを重視していますので、カスタマー数の中でもリピートカスタマー数を重要KPIに置いています。
また、海外販売に取り組むショップを増やしていくことも重要になりますので、ショップ数の中でも当月海外売上高があるActiveショップ数を増やしていくことが、2つ目の重要KPIになっています。
重要KPI リピートカスタマー数・Activeショップ数
月間リピートカスタマー数と月間Activeショップ数の2つのKPIは、ともに今四半期も安定して成長を実現できています。
取扱高(GMV)の積み上げ
取扱高(GMV)の積み上げについてご説明します。スライドのグラフは「WorldShopping BIZ」を導入しているショップの売上高について、導入年度ごとに積み上げたものです。
特徴としては、「WorldShopping BIZ」は導入の手間がなく、タグ1行ですぐに開始でき、月額5,500円という固定課金のみのサービスですので、まずショップ数が増えていきます。そのショップの売上高が積み上がっていくところが1つあります。
さらに、そのショップのECサイトにアクセスしているのは、わざわざ日本のECサイトに訪れるショップのファンのお客さまが多いため、リピートカスタマーによる売上がさらに積み上がっていくというモデルです。
したがって、当社のGMVはショップの増加による売上の積み上げだけではなく、そこにアクセスしているカスタマー、特にリピートカスタマーの売上によっても積み上がることが特徴となっています。
コスト構造
コスト構造をご説明します。当社のコスト構造の特徴は、多額の広告宣伝費、販促費を必要としないビジネスモデルということです。スライドのグラフは、売上高に対するコスト比率を示しています。
スライド右側の一番上に示している販管費の広告宣伝費・販売促進費については、先ほどお伝えしたとおり、導入していただくECサイトにすでに海外から来ているアクセスを売上に変えていきますので、通常の一般的なEC事業の販促費比率20パーセントに比べると低い水準を維持できています。今後は戦略的に増減させていこうと考えています。
販管費のうちの支払手数料は、海外のお客さまの決済に関する手数料です。こちらは売上高に連動するため、横ばいで推移しています。
販管費のうちの人件費および売上原価は、変動費のみではなく、固定費的なものも含んでいますので、売上拡大に応じてコストの比率が下がっていく構造になっています。
なお、売上原価比率については、今期に新拠点の立ち上げを行っていますので、その一時的なコスト増を反映するかたちで横ばいになっています。全体としては、売上規模の拡大に応じて利益率が継続的に改善する構造です。
予算進捗
予算進捗についてご説明します。売上高については予算進捗率75パーセントと、第3四半期の累計予算を達成しています。
営業利益、経常利益に関しても予算進捗率は94パーセントと、第3四半期の累計予算を十分に達成できています。理由としては、当初計画よりも効率的な事業運営を実現できましたので、第4四半期に向けた投資予算の余力を確保することができました。
当期純利益に関しては予算進捗率86パーセントと、こちらも第3四半期予算を達成できています。
成長戦略ロードマップ
仲里:成長戦略においては、大きく3つのフェーズに分けています。スライド左側のフェーズ1では、プロダクトのブラッシュアップに取り組みます。現状のプロダクト、サービスについては、まだまだ改善の余地がありますので、ショップやカスタマーのニーズを吸い上げ、サービスの改善、ブラッシュアップを行っていきます。
フェーズ2では、AI、テクノロジーによるデータの利活用により、販売の最適化とオペレーションの効率化を行います。顧客ニーズや購買動向などのデータを基に、最適なレコメンドやチャネル構築、リーチ手法の最適化を図っていきます。
また当社には、カスタマーサポートやロジスティックといったリアルなオペレーション業務があります。こちらはテクノロジーによる効率化を視野に入れています。
フェーズ3では、海外拠点展開によるGlobal to Globalを目指します。現状、当社は日本を拠点に日本のショップの商品を世界で展開しています。今後、当社自体が海外へ展開することで、世界から世界へといったサービス展開も視野に入れています。
成長戦略/バリューチェーンに沿った機能拡充
フェーズ1は、サービスの改善、ブラッシュアップを行うとお話ししました。バリューチェーンに沿って機能を拡充し、ショップとカスタマーを気持ちよくつないでいきます。スライド中央のグレーの部分は、現在実装済みの機能です。
黄色の部分は開発中と記載していますが、こちらはマイページの機能です。現在、マイページは基本的な機能を実装したばかりです。この機能が充実することで、レコメンデーション、エンゲージメントを高めるアプローチが可能となります。
今後、スライド下段に記載のとおり、海外マーケティング支援や多種多様な機能を実装していく予定です。海外マーケティング支援は、ショップ側の海外販促支援となります。
トピック:Meta platfom, Inc.との連携開始
事例をご紹介します。Meta Platforms社との越境ECコンバージョンデータ共有スキームの開発です。ショップが海外マーケティングをする際に「Facebook」等を利用しますが、これまでショップがコンバージョンデータを媒体へ共有できないといった課題がありました。
これを解決するために、当社とMeta Platforms社が協業し、当社からMeta Platforms社に対してカスタマーや購入商品などのコンバージョンデータを暗号化して提供することで、ショップがMeta Platforms社の広告配信のコンバージョンを最適化できるようになりました。
Facebook広告活用事例
実際に、この施策によって広告の費用対効果を示すROASが300パーセントを超える成果も出てきています。
ショップ売上高のグロース
このように、当社の「WorldShopping BIZ」はタグ1行の追加で簡単にスタートでき、国内ECサイトに存在する海外からのアクセスを売上に変えるため、特別な集客がなくてもオーダーが入り始めます。
その後のデータ分析やソーシャルメディアでの発信、クーポンなどの販促といった各施策により、さらに成果が出る効果が生まれています。当社のショップサクセスのグロース支援により、ショップの海外販売の意識を向上させることで継続的な売上成長を実現していきます。
ターゲット市場の拡大戦略(中長期)
中長期におけるターゲット市場の拡大戦略についてご説明します。日本においてはエンタメ市場を強化し、その後カテゴリ軸を広げることでマーケットを拡大していきます。
中長期的には、先ほどお話しした海外展開を進めていきます。日本のショップだけでなく、北米、アジア、その他の地域のショップへのサービス提供を考えています。
フライウィール
データの利活用についてです。「WorldShopping」には他社にはないユニークなデータが蓄積されます。「WorldShopping BIZ」を導入している数千のショップを横断する世界中のカスタマーのアクセスデータ、購入データ、海外配送データがそれに該当します。この購買データからいくつかの価値の循環が生まれてきます。
スライド右側に示している「購買加速の循環」は、ショップ視点で見ると、購入データが溜まることでレコメンデーションの精度が向上していきます。それにより、カスタマー支援として購入体験が向上し、オーダーが増加します。
スライド中央に示している「商品充実の循環」は、ショップ視点で見ると、カスタマーの欲しい商品がダッシュボード上で見えるようになります。また、国や地域別の傾向がわかるようになります。そうすると、国や地域別に商品のラインナップの最適化も可能になります。
そして、海外カスタマーは自分の欲しい商品に出会える確率がよりアップするという循環が生まれます。
スライド左側に示している「ショップ充実の循環」は、当社の視点から見ると、どのようなショップがどの国の海外カスタマーのニーズがあるかがわかるようになり、ショップに対するサービスの提供を最適化できます。
海外販売にチャレンジするショップが増えることで、海外カスタマーはより好きなショップの商品を買えるといった購入増加の循環が生まれてきます。
スライドの一番外側に示している「カスタマー増加の循環」については、先ほどお話ししたMeta Platforms社の例もありますが、昨今、広告のテクノロジーが発達しており、潜在カスタマーのニーズがわかることで、より広範囲かつターゲティングを絞った海外カスタマーに対するアプローチの最適化が可能です。
これにより、ショップにおいては新たな海外アクセス、ウェブインバウンドの増加が見込めます。カスタマーにおいては、広告のリーチによって自分が知らなかった商品・ショップとの出会いでセレンディピティな体験が増加するため、購入増加が見込めます。
これらの購入増加が生まれることで、さらに購買データが増え、フライウィールの価値の循環が生まれます。これにより当社は、我々だけでなく、ショップ、カスタマーに対して、世界中の「欲しい」に応える価値の提供を行っていきます。
質疑応答:売上・営業利益の四半期ごとの偏重傾向について
仲里:「この度は上場おめでとうございます。長期保有の予定です。直近のものではなく、ここ数年における御社の売上・営業利益の四半期ごとの偏重傾向を教えてください」というご質問です。
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