うるる新サービス「fondesk IVR」とは? 今IVRに参入する狙いについて徹底解説!
國分淳平氏(以下、國分):本日のゲストは、証券コード3979東証グロース上場の株式会社うるるより、執行役員の脇村さんにお越しいただきました。ご無沙汰しています。
脇村瞬太氏(以下、脇村):ご無沙汰しています。
國分:うるるマニアの方ならおそらくすぐわかると思いますが、今回、脇村さんに出ていただいているということは、「fondesk」がらみのリリースということで、本日、お話を聞いていきたいのは、12月10日にリリースされた新サービス「fondesk IVR」についてです。格好良い名前ですね。
脇村:ありがとうございます。いくつか候補があったのですが、最後はけっこうシンプルな名前に落ち着きました。
國分:私も気になっていたこのサービスについて、本日はいろいろなお話を聞いていきたいと思います。よろしくお願いします。
脇村:よろしくお願いします。
自動音声応答に特化した「fondesk IVR」のサービス概要
國分:まず、初めて「fondesk」を知る方は、前回の動画をYouTubeの本動画の概要欄に貼っておくので、それをご覧ください。今回は新しいサービス「fondesk IVR」についてお話を聞いていきます。こちらはどのようなサービスになりますか?
脇村:IVRはInteractive Voice Responseの略称です。実は国内には約40年前から、銀行や通信キャリアのサポートなどにお電話していただくとよくある、「契約のご用件の方は1番を、何々は2番を」などと案内する、IVRサービスの原型のようなサービスがありました。
近年、ほかのサービスのジャンルではオンプレミスからクラウド型に置き換えたものが国内にも出始めていて、その潮流に乗って、我々もIVRサービスを作ったかたちになります。
國分:現行の「fondesk」との違いはどのようなところになりますか?
脇村:6年間提供してきたもともとの「fondesk」は電話代行サービスです。かかってきたお電話に我々が抱えるクラウドワーカーである有人オペレーターが出て、それをお客さまである会社に取り次ぎをするというサービスでした。
IVRはシステム対応するので、先ほど申し上げたような条件の分岐をするのと、さらに、自動でSMSを返したり、伝言を録音したり、急ぎのお客さまには通話をもう一回転送して店内にお電話をつなぐ機能があります。
また、「fondesk」の有人オペレーターにつなげることもできるので、より広範なニーズに対応できるサービスと言えると思います。
このタイミングで始めた理由
國分:もともと「fondesk」もそうでしたが、古くからあったものをクラウド化する流れはありましたが、なぜ今回このタイミングでいきなりIVRを始めたのかを教えてください。
脇村:もともと電話にまつわるサービスである「fondesk」を提供していましたが、以前からIVRで電話のお悩みを解決しているお客さまが近年出てきているということを知っていました。
國分:人を介さずに自動対応するサービス、つまり競合が出てきたということですね。
脇村:おっしゃるとおりです。そのような背景があります。把握している限りでも新興で4、5社あり、細かいものや、近接サービスであるPBXというジャンルを入れると、シェアを持つ会社は数十社あり、我々の電話代行サービスと比較検討していただいたケースもありました。
また、他社のIVRやPBXと組み合わせて我々の電話代行の「fondesk」を使っていただくというケースもありました。上流・下流ではありませんが、IVRは電話代行と近接したところにあるサービスでした。
我々の目線からすると、同じサプライチェーンの上流をつくりにいこうという考えのもと、今回IVRを作っているというかたちです。
fondesk IVRとfondeskの組み合わせ
國分:ぱっと見た印象は別物とまではいかないものの、お話を聞くとまったく違うサービスというイメージですが、「fondesk」と組み合わせて使うケースもよくあるのですか?
脇村:おっしゃるとおりです。すでにお客さまから少しずつそのようなご依頼をいただいていますし、今後も出続けると思います。
そもそも電話代行を必要とされている背景とも共通するのですが、人手が不足しているので、電話に出るお仕事の担い手がいなくなっているため、ここのニーズはおそらく増えていく一方だと思っています。
このようなツールを使って、より少人数で生産性を上げていこうという流れが全業界に見られると思うので、そこにフィットしていると思います。
リリース後の導入事例
國分:リリースを見ていると、導入事例としては現在、美容室や飲食店などが中心ですか?
脇村:初動でそのような業界の企業にご利用いただいていますが、実はもともと我々の電話代行においてニーズがあったのは小規模のスタートアップ企業です。シード期で、まだオフィスを持たず、シェアオフィスやバーチャルオフィスに入っているような会社は、電話の実機をお持ちではないことがあるため、そのようなところに入っていけると思っています。
國分:そのような小さな会社から入って、スモールスタートで始めて、最終的には「fondesk」も組み合わせながら単価を上げていくようなイメージですか?
脇村:おっしゃるとおりです。
投資家目線でのメリット
國分:サービスの利用者にとっては大変良いサービスだと思いますが、単価としては3,000円くらいですよね。投資家から見た場合、ビジネスとしてのうまみがあるのかどうかが不透明です。
脇村:「fondesk」は現在5,400社が利用(2024年12月末時点)しており、そこにさらに積み上げるかたちになります。向こう1、2年で大きなインパクトをすぐに出せるかというと、そうではありません。
残念ながら、5,400社という規模になってくると、そのまま線形に伸びていっても母数が大きくなっていってしまい、スピードとしては、今回はYoYで15.8パーセントという伸びですが、同じ数が伸びてもYoYは落ちていってしまいます。
IDを着実に積み増し、広く接点のあるお客さまを増やすことで、ARPUのアップにもつなげたいと思います。さらに、これまではIT系や士業が中心だったインダストリーを、C向けのテナントなどにも広げていけるので、「fondesk IVR」は既存の「fondesk」のポテンシャルをさらに引き上げるものと位置付けられると考えられます。
したがって、中期的な長さで見れば、きちんとインパクトが出てくるのではないかと考えています。
國分:面でユーザーを取りに行った先には、脇村さんにはまたなにか違うものが見えていますか?
脇村:率直に申し上げると、今はまだ具体的に2個目を作ったところなので、これというものを位置付けているわけではないのですが、今、業務のバックオフィスのところにインダストリーカットとしてどんどん入っていっているため、そこから拾い上げられるニーズは、今後も広がりがあると思っています。
我々は情報システム部門や総務などに最も出入りをするのですが、そこはまだまだDXの余地がたくさんあるので、今後も広くチャンスを作っていけると思います。
fondesk IVRのプラン内容
國分:急に通販番組のようになりますが、今だと「fondesk IVR」の価格は安かったりするのですか?
脇村:はい。もともと無料トライアルのようなかたちで使っていただけるプランもありましたが、先月から乗り換え割のようなものも行っています。
國分:乗り換え割は露骨ですね。
脇村:携帯キャリアなどと同じ考え方です。他のIVRを使っているお客さまであれば、過去半年以内に1万円以上使っていたことがわかる請求書などを出していただくと、我々は6ヶ月間無料で提供するというプランをご用意しています。(2025年3月現在)
おそらく現在、一番低価格の部類に入ると思います。機能面で言えば、IVRの主要な機能はすでに他社に追いついているという認識です。ぜひ、お試しください。
また、スマートフォンやタブレットでも簡単に設定できるUXになっているため、これまでよりも使いやすくなっています。情報システム部門のスタッフがいなくても、店舗運営者の方がスマートフォンで設定できる仕様になっていますので、ぜひご利用ください。
國分:本動画の概要欄からお申し込みできます。
脇村:ぜひお願いします。
國分:次にこの番組に出ていただけるのは、いつ頃になりそうですか?
脇村:いつでも、来月でもまた出ます。
國分:何かイベントを控えているのですか?
脇村:すみません、ありません。なにか節目がないと出てはだめですね。
fondesk IVR周辺のサービス展開と今後の展望
國分:投資家としては、やはり「fondesk IVR」が気になっていると思います。ARPUなども気になりますが、周辺サービスには私も期待しています。
脇村:実は「fondesk IVR」は、細かく言えばもともとある電話代行とかなり違います。見た目や聞いた上での利便性はシンプルですが、機能面で言うと、例えば多言語の対応もできます。
國分:多言語にも対応しているのですか?
脇村:対応しています。読み上げも、アラビア語、英語、スペイン語など多くの言語に対応しています。
國分:アラビア語にも対応しているのですか?
脇村:はい。
國分:すごいですね。
脇村:世界中の言語(2025年3月現在、68言語に対応)に対応しています。さらに先日からは、ツリー状の吹き出しのマトリックスをたくさん作っていくサービスの中で、同じ吹き出しの中で、例えば「お電話ありがとうございます。株式会社うるるです」と日本語で読んだ後に、それを英語で読み上げたり、中国語で読み上げたりできるようになりました。
インバウンド関連の業種では、最近は欧米からの宿泊のお客さまもたくさんいらっしゃいますが、そのようなお客さまへのアナウンスが同じ吹き出しの中でできます。また、お客さまのニーズによって、押してもらうボタンを変えることも可能になっています。
このように、IVRにはできることがまだまだたくさんあります。したがって、すぐに次というよりも、もう少し進化させていって、使えるユースケースやカバーできるニーズを1、2年程度は着実に掘り下げていきたいと考えています。
國分:アップデートをしながら、いろいろな業界や業態にフィットさせていくイメージですか?
脇村:おっしゃるとおりです。単にパッケージとして売るのではなく、お客さまに導入していただいた後に、先ほどの例のように「fondesk」を組み合わせるなど、「これにも使える」「あれにも使える」というように、用途やアカウントを増やしていただくイメージです。そちらでも、着実にARPUを上げていけると思っています。
1つの法人の中でも複数の用途に対応できる可能性がある
國分:インバウンドだと、ホテルなどでも非常に活用してもらえそうですね。
脇村:おっしゃるとおりです。また、さまざまな商談を行う中で、新しい使い方もあるなと気付くこともあります。
例えば、全国チェーン系の飲食店などには他社のIVRが導入されていますが、これには各店舗にかかってくる電話を振り分けるという役目があります。
これを、フランチャイズのオーナーの方から本社へのホットライン的なことにも使えると思っています。
というのは、現在は、関東にいるエリアマネージャーが一手に電話を引き受け、各店舗で起きていることに対応するような構図があるらしいのですが、ここをIVRで解決し、2人いるエリアマネージャーのどちらかが出られるようにするという使い方ができます。
緊急でなければいったん用件の録音を残してもらい、マネージャーは移動や休憩時など手が空いた時間に用件を確認し、必要な人には電話を折り返すという使い方もできます。このように、1つのお客さまにおいて複数の用途を作れる可能性があります。
しかし、我々はまだ一面的な提案しかできていないところがあります。掘り下げていくと「このような用途や、あのような用途がある」ということが見えてくるので、1つの法人に対していろいろな角度から複数の提案ができると思っています。
そのようなかたちを取ることで非常に掘り下げがいがありますし、先ほど申し上げたエリアマネージャーの例のような使い方に合った機能も考えられると思います。
従来型の単にボタンを押して回答を分岐させるだけのものではなく、よりさまざまな業態に合ったかたちを、まだまだ作り込んでいけるのではないかと思っています。
國分:これまでの電話代行という切り口ではなく、企業のビジネス課題を解決できるようなサービスになっていくということでしょうか?
脇村:おっしゃるとおりです。当初からそのように考えており、それができなければ長くは使っていただけないと思っています。単に電話代行をするだけではなく、さまざまなお客さまにご提案できる機会が増えると思っています。
國分:そうなると、単価も次のステップに行きそうな感じはありますね。次にこの番組に出演していただけるのがいつになるかわからないですが、期待しています。
脇村:外からもわかるような良い節目を作り続けて、ぜひまた呼んでいただけるようにがんばります。
國分:本日は株式会社うるる執行役員の脇村さんにお越しいただきました。どうもありがとうございました。
脇村:ありがとうございました。