代表取締役の異動の内定に関するお知らせ

多田雅之氏(以下、多田):本日はご多用の中、株式会社アルファパーチェス個人投資家向け説明会をご視聴いただき誠にありがとうございます。本日のメインプレゼンテーターを務める、代表取締役社長兼CEO多田雅之です。本日はどうぞよろしくお願いします。

それでは、定例の業績関係のご説明の前に、本日15時半に開示した代表取締役の異動について、みなさまにご報告します。

本日の取締役会で、私、多田雅之が取締役会長に、田辺孝夫が代表取締役社長に就任することが内定しました。正式には、3月26日に開催される当社の第15回定時株主総会で取締役の選任決議が行われる前提で、その後の臨時取締役会で決定することとなります。

この人事に関する経緯と理由について、私からご報告します。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、私は社長職を19年にわたって務めてきました。

今後のさらなる成長とビジネスモデルの進化のため、事業基盤がかなり固まってきたこともあり、そろそろ良い意味で組織に揺らぎを与える必要があると考えました。

そこで、当社の取締役会の諮問機関である指名・報酬委員会に対し、代表取締役社長の後任選定の検討を依頼しました。この委員会は、私と社外取締役員3名で構成されています。その結果、新社長に求められる2つの要件が挙がりました。

1つ目に、昨今、テクノロジーの進化が激しく、特に生成AIのように日進月歩で進化している技術もあります。当社も無縁ではいられません。それどころか、むしろ積極的に利活用していかなければならない状況の中で、テクノロジーに対する洞察力が強いことが求められます。

2つ目に、当社の生業である大企業向けの間接材の購買に関し、その購買行動をよく理解し、その分野に対して深い知識を有していることが求められます。

私からは、社長としての覚悟を持っている人、覚悟を持つことができる人であることを要件として追加しました。

それらの要件に基づき、複数の候補者の中から、現在CTOである田辺が最適であるとの結論に至りました。田辺は、当社の設立準備段階から当社のビジネスに関与しています。当社設立後は主にテクノロジーとコンサルティング分野のリーダーとして、私とともにビジネスモデルを構築し、リードしてきた1人です。私にとっては同志とも言える存在であり、非常に信頼しています。

そのため、今回、社長職を彼に引き継ぐことについて、何の不安もありません。信頼しているパートナーであり、同志でもあるため、安心してバトンを渡すことができると考えています。それでは、田辺よりご挨拶します。

田辺氏からのご挨拶

田辺孝夫氏(以下、田辺):みなさま、こんばんは。個人投資家向け会社説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。ただいま多田社長より紹介を受けました田辺です。本日の取締役会において、代表取締役社長に内定しました。

私は、素材とエネルギーの製造現場で、エンジニアとしてキャリアをスタートしました。その後、米国のカーネギーメロン大学院に留学し、インターネットビジネスに触れる機会を得ました。

当時の日本は、職場にワープロやパソコンが導入し始めた頃でしたが、カーネギーメロン大学ではすでに光ファイバーのネットワークが整備され、学生が学内を超えてさまざまな方と情報を共有できる基盤が整っていました。

このようなテクノロジーの時代に日本も取り残されないようにしなければならないと、危機感を抱き日本に戻ってきました。帰国後はさっそく、インターネットベースのシステム開発に従事し、特に私の専門分野であるビジネスアプリケーションの開発に注力しました。

アルファパーチェスに転職する前の最後のプロジェクトでは、複数の企業をシステム上に仮想統合し、サプライチェーン全体の最適化を担うシステムの実証実験にも携わりました。

このプロジェクトで得られた成果物等が、当社の設立準備段階にメンバーとして関わることになった理由の1つにもなっています。

そのような経緯を経て、25年間、アルファパーチェスで仕事をしてきました。アルファパーチェスは、日本がデフレや人手不足の時代の中で、インターネットをベースとしたシステムを提供することにより、お客さまの間接購買の業務プロセスの効率化や、間接コストの削減を支援するサービス提供してきました。

しかし、日本経済はデフレからインフレへと転換しつつあります。また、AIの進歩は目覚ましいものがあります。このような変化に対応しながらビジネスを展開していかなければいけないということが、現在の状況だと思っています。

そのため、特に間接購買の仕組みがお客さまにどのような新たな価値を提供できるのかをしっかりと見つめ直しながら、ビジネスを進めていくことが必要だと思います。

多田社長が掲げている2030年に売上高1,000億円を目指すという目標がありますが、私の使命は、その目標をできるだけ前倒しで実現し、さらに上積みをしていくことだと考えています。

そのためには、従来型のシステムにとどまらず、サプライチェーン全体を統合、一元管理できる仕組みを構築し、ビジネスモデルをさらに進化させていくことが必要だと考えています。

これにより、当社のビジネスが一層成長し、発展し、みなさま方と新しい未来を築いていけることを願っています。今後とも、ステークホルダーのみなさまのご支援とご協力を賜りながら全力で取り組んでいきますので、どうぞよろしくお願いします。

2024年12月期通期決算説明

多田:それでは、定例の説明に入ります。まず、スライド右下にあるロゴマークについてご紹介します。当社は今年11月で25周年を迎えますが、それを記念してこのロゴマークを作成しました。

当社のコーポレートカラーである赤とグレーをあしらっています。「Anniversary」の「A」は、本社が東京の三田にあり、東京タワーが近いため、それをイメージして作りました。

このロゴマークは、当社の人事総務グループの社員が自らデザインしたもので、私は非常に気に入っています。今後、プレゼン資料や名刺などにもこのロゴマークをつけ、みなさまにもご紹介していきたいと思っています。

目次

本日のアジェンダです。まず、1番目に当社グループの会社概要についてご説明します。本日は社長人事の発表もあり、新しい投資家の方も多くいらっしゃると思いますので、あらためてご説明します。

2番目に、2024年12月期第4四半期ならびに通期の業績と、2025年12月期通期の見通し概要についてご説明します。その後、3番と4番の詳細についてご説明します。

最後に、5番目のセグメント情報の訂正・見直しについてご説明します。こちらは本日3時半に開示した内容ですが、正確性を期すためにCFOの齋藤からご説明します。

01-1.会社概要

会社概要です。当社は2000年11月15日に設立されました。資本金は昨年末時点で5億8,000万円です。事業概要は役務を含む間接材です。詳細は後ほどご説明しますが、購買に関わるさまざまなサービス・ソリューションを、主に大企業のお客さまにご提供しています。

お客さまの内訳をスライド右側に記載しています。製造業・建設業・電力事業・他が54パーセント、サービス小売業が34パーセント、卸売りである中小事業所向け再販が12パーセントとなっています。

当社のビジネスは大企業向けがメインですが、そうしたお客さま向けに取りそろえたモノや役務を、大株主であるアスクルの流通チャンネルを使用し、中小事業所向けにも再販しています。

メインの大企業向けについては、スライドに記載のとおり、お客さまは日本を代表する各業態の主要企業です。これは私としても非常に誇りであり、この強固な顧客基盤こそが当社の強みの1つです。

スライド左下に、基本理念を記載しています。当社の事業を通じて「お客さまの価値の創造と間接コストの削減を実現し、日本の産業の変革と再活性化に貢献します」という志を持ち、社員264名一同で取り組んでいます。

01-2.当社の事業セグメント(2大事業)

当社の事業セグメントについてです。これからMROやFMという言葉を使用しますが、MROは基本的にはモノのソリューション、FMは役務のソリューションを指します。

MRO事業では、工場や建設現場で使用するさまざまな備品・消耗品、作業工具・作業用品をはじめ、軍手やヘルメットのような安全用品も取り扱っています。さらに、研究現場で使用する研究備品・試薬・試作用の部品なども提供しています。

また、オフィスで使用する事務用品・OA機器なども取り扱っており、6,000万品目を超える商材を扱っています。スライド中央に記載のとおり、当社のITプラットフォームである「APMRO」や「無限カタログ」を通じて我々とアクセスすることで、お客さまは6,000万品目超の商材を購入することができます。

FM事業では、主に施設の修繕、清掃、各種工事、保守・点検など、いわゆる店舗の改装や内装工事をする際に、その現場に必要なものを必要な時に必要なだけお届けする、購買代行業務を行っています。

MRO事業とFM事業の2つのセグメントを通じて、お客さまの最適購買の実現をお手伝いしています。最適購買とは、モノと役務を効率的に、適切かつ低コストで購入することと、当社は定義しています。

01-3.連結売上高の推移と沿革

連結売上高の推移と沿革です。当社は少し変わった経緯で誕生しました。2000年11月に、アメリカのプライベート・エクイティ・ファンドであるリップルウッドが筆頭株主として設立した会社です。

その後、リップルウッドが日本から撤退したことから、アスクルグループに加わりました。さらに、2022年12月に東京証券取引所のスタンダード市場に上場し、現在に至ります。

スライドのグラフのとおり、リーマンショックやコロナ禍の時期を除いては、着実かつ確実に成長しています。当社のビジネスのほとんどは、いわゆるストック型ビジネスであり、その特性がこの数字に表れているとお考えください。

セグメント別の内訳ですが、上場以降、過去3年間で年率12パーセント成長しています。昨年実績におけるセグメント別の売上内訳は、MRO事業は75パーセント弱、FM事業は25パーセント超となっています。

02-1.業績および2025年度通期見通し概要

2024年度の業績ならびに2025年度通期見通しについてご説明します。

まず、2024年12月期第4四半期の売上は、MRO事業の大企業向けの好調が継続しています。そして、MRO事業の中小事業所向けとFM事業の建設工事の前年比売上減は、ようやく底打ちの兆しが見えてきました。

第4四半期の利益は、通期の利益目標達成による期末の業績賞与引当で販管費が増加しましたが、粗利改善で費用増を吸収し、営業利益は対前年3.9パーセント増の3億9,900万円となりました。

2024年の通期業績予想に対し、お客さま事情による大型工事の翌期へのずれ込みなどで、売上は見通しを2.0パーセント下回る559億円ではあったものの、利益見通しは過達することができました。対前年比では、7.7パーセント強の成長になっています。

営業利益は対前年4.6パーセント増の12億4,200万円、経常利益は対前年3.8パーセント増の12億2,700万円です。営業利益、経常利益ともに10期連続で増益です。

なお、本日、一部のニュースで「8期」と記載されているものを拝見しました。これは当社が過去に開示した数字がそこまでしかさかのぼれないためだと理解しています。実際には、連結ベースで10期連続増益を実現することができました。

2025年度の通期見通しですが、MRO事業の主力の大企業向けは好調を継続しています。そして、中小事業者向けは売上減の底打ちの兆しが見えてきました。

FM事業は、昨年はなかなか厳しい環境にありましたが、その復調を見込み、売上は対前年10.8パーセント増の619億円、営業利益は対前年13.5パーセント増の14億1,000万円、経常利益は対前年14.0パーセント増の14億円を見込んでいます。

セグメント売上高は、MRO事業が対前年9.0パーセント増、FM事業が対前年15.8パーセント増を見込んでいます。

配当についての詳細は後ほどご説明しますが、今年の業績に基づく来年の支払いの配当は、配当性向3割に基づく普通配当30円に加え、創業25周年を記念した5円の記念配当を実施し、配当合計35円を予定しています。

03-1.2024年度(1-12月)の売上高および利益

通期の売上高および利益は、FM事業の減速をMRO事業でカバーし、増収増益となりました。売上高は対前年7.7パーセント増、営業利益は対前年4.6パーセント増となっています。

03-2.MRO事業の2024年度(1-12月)のセグメント業績

MRO事業につきましては、大企業向けが好調で、売上高は対前年比11.0パーセント増の412億円となりました。

セグメント利益については、IT資産の減価償却が一巡したこともあり、前年比20.9パーセント増の7億6,900万円となりました。

03-3.MRO事業の販路別成長寄与度と売上構成比

MRO事業の販路別成長寄与度と売上構成比です。中小事業所向けは、昨年まで2年間不振が続いたこともあり比率は低下していますが、大企業向けはおかげさまで好調です。

中小事業所向けも底打ちの兆しが見え始めています。

03-4.FM事業の2024年度(1-12月)のセグメント業績

FM事業については、ホテルを中心とした大型改装案件の後ろ倒しの影響が大きく、売上高は微減となり、対前年比0.4パーセント減の146億円となりました。

セグメント利益については、小型の改装関連のビジネスが減少したこともあり、売上構成が悪化しました。その結果、対前年比19.0パーセント減の3億8,900万円となりました。

03-5.当社のセグメント別売上の四半期別パターン

セグメント別売上の四半期別パターンです。MRO事業、FM事業ともにお客さまの決算月に向けて増加する傾向があります。

特にMRO事業では、1月から3月および10月から12月に増加する傾向があり、2024年度も同様の推移をたどりました。特に大企業向けは、スライド左下のグラフのとおり、非常に順調に推移しています。

一方、FM事業は第4四半期に売上が集中する傾向があり、2024年度もこのパターンでした。このうち大型工事に関しては、お客さま事情による後ろ倒しもあり、大型施設の改装減がスライド右下のグラフからも見てとれると思います。

03-6.2024年度(1-12月)の前年比 営業利益増減要因

営業利益増減要因について、通期の対前年比較を示したエレベーターチャートです。MRO事業の増益効果が大きく、FM事業の減速と会社全体の費用増を吸収しています。

費用増については、スライド中央に「人件費増」「IT費用増」と記載していますが、昨今の状況を踏まえ、将来さらに大きく成長するために、ITや人件費については戦略的に支出しています。その増加を吸収し、営業利益は対前年比5,400万円の増益となっています。

03-7.第4四半期(10-12月)の前年同期比営業利益増減要因

営業利益増減要因について、第4四半期(10月から12月)の対前年同期比較を示したエレベーターチャートです。

MRO事業の増益効果が大きく、従業員向けに積み増した業績賞与引当金を吸収して増益となっています。

03-8.四半期別セグメント別累計売上高と通期の売上

四半期別セグメント別累計売上高と通期の売上です。FM事業の大型改装案件の後ろ倒しの影響が大きく、業績予想比2.0パーセント減となりました。売上の対前年の数字は7.7パーセント増となっています。

03-9.四半期別セグメント別累計営業利益と通期の実績

営業利益のセグメント別情報です。MRO事業の営業利益は前年実績比で20.9パーセント増となりました。それが大きく影響し、業績予想(見通し)比2.6パーセント増の12億4,200万円で着地しました。

03-10.通期見通し比 実績達成率

通期見通しと対比した実績達成率です。昨年2月発表した通期見通しに対し、売上高は達成率98パーセントで、若干未達となりました。

一方、営業利益は達成率103パーセント、当期純利益は達成率101パーセントで見通しを上回る数字を達成することができました。

03-11.年間配当の計画(支払い年ベース)

配当については、上場以来、早期に3割配当に引き上げるとお約束してきました。

2025年3月の株主総会に付議する予定ですが、今年度の支払い年ベースでは27円と、3割配当で見込んでいます。

04-1.2025年12月期の業績見通し

2025年12月期の業績見通しです。売上高は10パーセント超成長を見込んでいます。ITと人材への戦略的投資、支出を今期も継続します。それを吸収し、2桁増益を実現していきたいと思っています。

売上高は対前年10.8パーセント増の619億円を予想しています。利益に関しては対前年の売上高の伸びを上回るレベルで、営業利益は対前年13.5パーセント増の14億1,000万円、経常利益は対前年14.0パーセント増の14億円を予想しています。

04-2.セグメント別の売上見通し

セグメント別の売上見通しです。MRO事業は大企業向けが非常に好調で、2桁成長を維持しています。中小企業向けは底打ちしたものの、大きく成長することはないと見込んでおり、全体として対前年比9.0パーセント増の412億円を予想しています。

FM事業は昨年やや低調だったため、復調も考慮し対前年比15.8パーセント増の170億円を予想しています。

04-3.MRO販売の売上構成と主要顧客グループ数の変化

MRO販売の売上構成と主要顧客グループ数の変化です。こちらは四半期ごとにみなさまに開示しているためご存知のグラフかと思いますが、まずMRO全体の売上金額構成比としては、83.4パーセントが大企業向けです。

さらに、その中でも94パーセント強が、月平均1,000万円以上ご購入されるお客さまです。そして月平均100万円から1,000万円ご購入されるお客さまを加えると、ほぼ100パーセントに達するレベルとなります。

スライド右側の棒グラフは、大企業向け直販顧客の企業グループ数推移です。2024年通期で、月平均1,000万円以上ご購入される企業グループは41企業グループ、100万円から1,000万円ご購入される企業グループは44企業グループとなります。

2024年第4四半期だけで見ると、2024年通期よりも1社ずつ増え、月平均1,000万円以上ご購入の企業グループは42企業グループ、100万円から1,000万円ご購入の企業グループは45企業グループとなります。

ここでグループと呼んでいるのは、当社のビジネスが単独の本体企業だけで完結するものではなく、お客さまのメリットのために、グループ会社、子会社、孫会社、関係会社、さらにはサプライヤーまで広げていくパターンが多いためです。

したがって、この数値は企業グループ数であり、実際の企業数としては、大企業でも数10社、多いところでは100社から200社規模となるところもあります。そのため、この数字よりも大きな顧客数を抱えているとご理解ください。

04-4.大企業向けMRO事業の「契約年度別」売上推移

投資家のみなさまからご要望が多かった、契約年度別の売上推移です。MRO事業の大企業向けデータであり、今後も開示していく予定ですが、いくつか注意点があります。

1つ目は、通常、サービス開始の翌年、あるいは2年後から本格的に売上増に寄与していく特徴があることです。2024年開始のお客さまは、主に第4四半期にサービスを開始した3つの企業グループがあり、その影響が表れるのは2025年以降となります。

2つ目は、スライド右下に米印で記載しているとおり、2020年と2022年に新規の顧客がないように見える点についてです。この理由として、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行により行動制限があったことが挙げられます。

例えば、当社がお客さまにサービスを展開する際、それぞれの拠点を回り、仕組みやシステムのご説明をしていくのですが、「新型コロナウイルス感染拡大防止のため、来社を控えてほしい」という要望があったため、サービス開始が翌年以降にずれたケースもあります。

さらには、営業活動もかなり制約され、その当時に営業を開始した事例が少ないこともあり、その2年後に当たる2022年の顧客が少なくなっています。

今後そうした事態がなければ、このグラフのようなかたちで毎年徐々に積み上がっていくのが私どものビジネスです。

04-5.販売管理費の見通し

販売管理費の見通しについては、ITと人材への戦略的な投資を継続していきます。

スライドのグラフからも、投資が毎年増えていることがわかると思います。2025年度に関しても、積極的かつ戦略的な意思を持って支出していきたいと思っています。

04-6.年間配当の見通し (支払年ベース)

年間配当の見通しです。2025年度の実績に基づき、2026年3月にお支払いする配当では、3割配当の普通配当30円に加えて、25周年記念配当5円を乗せて、35円を予定しています。この場合、配当性向は35パーセントになります。

04-7.高ROE継続による株主価値増大へのコミット

我々が非常に重視しているROEという指標についてです。釈迦に説法で恐縮ですが、一般的に株主資本コストは7パーセントから8パーセントといわれているところ、当社はその約2倍のROE15パーセント以上を常時キープしています。

昨年の実績に基づくと15.1パーセントになりますが、この2025年の見通し達成時のROEは15.1パーセントを上回る数字になってくると予想しています。

さらには、今後もROE向上を我々の目標の1つとしていきたいと考えています。

当社決算短信の財務諸表注記:セグメント情報の記載

齋藤正弘氏:CFOの齋藤です。セグメント情報の訂正・見直しについてご説明します。スライドは、当社決算短信のセグメント情報です。みなさまは、このMRO事業・FM事業という報告セグメント内訳の数字はよくご覧になっていると思います。

しかしながら、売上高の内訳、具体的には「一時点で移転される財又はサービス」や「一定の期間にわたり移転される財又はサービス」といった内訳はあまりご覧になっていないと思います。

「一定の期間にわたり移転される財またはサービス」の「一定の期間に」とは、どれくらいの期間に当たるのかの定義は難しいところですが、我々としては年間契約などの長い契約と工期が非常に長い大型の建設工事を、こちらに計上しています。

当社のセグメント情報の売上内訳の修正

その大型工事が2024年は非常に不調でした。不調な分、2023年に比べて10億円以上の売上が減っているはずであるところ、この「一定の期間にわたり移転される財またはサービス」が帳簿上ではあまり減っていないことを疑問視しました。

そこで、計上の状況を詳しく調べたところ、大型工事がすべて包含されるように集計できていませんでした。これを過去にさかのぼって修正しています。

修正後が、スライド右側の縦列で示した数字です。2022年のFM事業の「一定の期間にわたり移転される財またはサービス」の数字が、9億6,000万円から27億円くらいに増え、再び15億円に減っています。

この中には長期契約に相当する数字も多分に入っているのですが、この変動の差分が、ほとんど大型工事の増減額に等しいことを確認しています。

今後投資家のみなさまがこの数字をご覧になれば、大型工事が増えているか減っているかという差分情報が手に入るようになると考え、全面的に修正しました。

こちらのセグメント情報に関しては2025年度中にも、さらに有意な情報になるよう一部を見直す予定です。そのため、年度替わりの都度、前年度の数字が若干変わるということになりますが、ご容赦いただければ幸いです。

質疑応答:2024年度の総括について

多田:それではここから質疑応答に入ります。

「2024年度お疲れさまでした。結果として売上は未達成となったものの、経常利益は見通しを上回る結果となって安心しました。この1年を振り返り、多田社長としての総括をお聞かせください」というご質問です。

私も実はほっとしたというのが率直なところです。2024年度には、MRO事業において中小事業所向けが不調に終わり対前年比マイナスという状況でした。FM事業に関しては、大型の改装工事が後ろにずれ込みました。決して楽観できるような環境ではなかったと思います。

ただ、我々の主力事業ともいえるMRO事業の大企業向けビジネスが順調に拡大しました。その下支えのおかげで、売上は予想に対して若干の未達となりましたが、利益に関しては予想を上回る結果となりました。

数字に表れない部分にもいろいろ手を打てた年だと思います。例えば、MRO事業に関しては、2024年9月にリリースした「無限カタログ」について、命名と同時にマーケティング施策も開始しています。2025年度以降の成長や、利益の改善につながってくると見ています。

FM事業においては、今回改装工事が後ろにずれたとご説明しましたが、そうした大型改装工事を手がける事業をAPリノベーションズとして2024年6月に分社・設立しました。

設立の目的はそもそも、このような変動性が大きいマーケットに対し、より有効に対応できるようにすることですので、昨年打ったさまざまな施策は今年以降、効果に結びつくものと期待しています。

質疑応答:第4四半期における人件費急増について

「人件費が昨年度と比較し、とりわけ第4四半期に急増しているようですが、要因を教えてください」というご質問です。

社員に対しては、年度計画を過達(オーバー達成)した場合に、業績賞与を支給しています。2023年度に関しては、ご記憶の方もあるかもしれませんが、8月に上方修正するという好調ぶりだったため、第2四半期・第4四半期の2回にわたり、それぞれ引当を積みました。

2024年度に関しては、最後まで業績が見えない状況でした。しかし年度の業績を締める段階になって過達が見えたため、その分、社員に報いるという気持ちにより、業績賞与分を引当として計上しました。

そのため、2023年度に比べると、最終の四半期に引当が集中しているため増えたように見えているのだと思います。

質疑応答:賃上げの方針について

「賃上げの方針と今後の見込みについて教えてください」というご質問です。

我々は過去3年にわたり、年収ベースでそれぞれ約8パーセント、約8パーセント、約5パーセントずつ、賃上げしています。2025年度に関しても、約5パーセントの賃上げを見込んでいます。

私自身としては、賃上げを一過性のムーブメントで終わらせず、社員を安心させるために、確実に増やしていくこと、つまり、一気に15パーセントや20パーセントも伸ばすのではなく、確実に増やしていくサステナブルな昇給の継続が、より重要だと考えています。

そのような意味では、2022年度に8パーセントを伸ばす以前のデフレ期の施策でも年率3パーセントから4パーセントほど年収を増やしてきました。

質疑応答:MRO事業およびFM事業の状況について

「昨年11月の説明会で、MRO事業は利益率改善のフェーズに入りつつあると聞きました。現在どのような状況なのでしょうか? FM事業の改善状況についても教えてください」というご質問です。

MRO事業は11月にご説明したとおり、足元の状況を見ても、確実な利益率改善のフェーズに入りつつあると認識しています。

2025年度も「無限カタログ」の機能強化も含め、積極的にITへ投資していきます。人材にも投資します。2つの投資をこなしながら、利益率は非常に力強く改善できると思っています。

一方、FM事業に関しては、大手のお客さま数社への依存度が非常に高いという特徴があるため、そうしたお客さまの改装計画の内容により、我々が得る利益も変動する事情があります。先ほど、構成変更についてご説明しましたが、お客さまの計画により大型中型小型など構成も変わってきます。

そのようなことから、前年比では復調傾向にあると見込んでいますが、MRO事業で認識しているほどの利益率改善は現在のところ織り込んでいません。

特に改装ビジネスに関しては、日本の人口動態を考えると今後、新設より改装あるいはメンテナンスが主力となると考えています。そうなれば我々の独壇場で、中長期的には必ず伸びるという思いを持って、必要な施策を打っていきます。

質疑応答:2025年12月期の見通し確度について

「過去の発表の見通しは例外なく保守的で、いろいろなマイナス要素があっても必ず超過達成してきています。したがって、今回の見通しも非常に確度が高い数字と考えてよいのでしょうか? 今後新社長として業務執行に当たる、田辺さまからご回答いただきたいです」というご質問です。

田辺:私も多田社長同様に、開示した数字のうち、特に利益にはこだわっていきたい考えです。

多田:厳しいご質問ですが、なんとか達成すべく、少しでも守るべく、がんばっていきます。

質疑応答:「無限カタログ」の反響について

「昨年9月にリリースした『無限カタログ』の、顧客からの反応について教えてください。顧客獲得に当たってのスピードが向上するなどの寄与・効果は見られますか? 見通しと合わせて教えてください」というご質問です。

結論から言うと、非常に好評です。2024年9月以降いくつかの段階に分けてリリースしました。2025年1月には、価格比較やレコメンデーションの機能も含む使い勝手が良い新しい機能をリリースしています。

2024年度の後半以降に立ち上げたばかりですが、おかげさまで、お客さまに好評であるのはもちろん、お客さま自身のコストダウンにもつながっています。

このカタログをどのようにして新しい顧客獲得につなげていくかについては、2025年度にとっても大きなテーマです。

従来から行ってきたダイレクトメールの送付や説明会の開催のみならず、デジタルマーケティングなどにもトライしながら、既存のお客さまからの評価も非常に高い「無限カタログ」をさらに訴求し、顧客獲得のスピードを上げていきたいと思っています。

質疑応答:MRO事業の新規顧客について

「MRO事業では、新規顧客の立ち上げを何社くらい想定していますか?」というご質問です。

2024年12月期第4四半期には、大企業向け直販顧客の企業グループ数は、2企業グループ増加しました。

直近では、売上高がいずれも数千億円規模の複数のお客さまと、商談の成約段階に入っています。それらを含め、2025年度の目標は、前年比倍増の5社から6社を獲得したい考えです。

また、売上高が数兆円規模の大企業グループとも現在、実は5社以上と商談に入っています。ただし、これら兆円企業の場合は、その裏にあるERPの切り替えをどのように行っていくかなどの課題が大きく絡みます。そのため、現時点においては、先ほどの5社、6社の外数として考えています。

できるだけ早く新規顧客の立ち上げを実現することで、みなさまに良いニュースをお届けすることを目指し、がんばっていきます。

質疑応答:FM事業の成長戦略について

「MRO事業の成長に関しては心配していませんし、大きく期待していますが、FM事業の成長戦略についてさらに詳しく教えてください」というご質問です。

田辺:FM事業はMRO事業と異なり、役務サービスの購買代行を行っている事業です。この役務サービスの購買代行をするためには、MRO事業にはない機能の提供が必要です。

例えば、品質管理や作業の工程管理などを合わせて提供しない限り、お客さまが満足するサービスにはならないところがあります。

この課題にお客さまと一緒に取り組み改善してきたのが、現状のフェーズです。その成果として、案件管理能力などが向上しています。加えて、役務に必要な日本全国のサプライヤーネットワークも構築できました。

これらを成長につなげるためには、お客さま固有・業界固有の専門知識をさらに追加していく必要があります。お客さまの購買業務DX化を一緒に展開していくことなどが、FM事業の成長には不可欠だと考えています。実行もできると思っています。

質疑応答:APリノベーションズの事業戦略について

多田:「直近の決算期の業績を見ると、ゼネコン系の建設業は受注残が積み上がり、工事単価も上昇しており、人件費増をこなして好調な会社が多いです。

APリノベーションズの主要顧客であったビジネスホテルの改装が後ろ倒しになったということは理解しますが、別の顧客に営業をかければすぐにカバーできるのではないでしょうか? 各社とも好調な建設業での受注不振はキーになります。2025年の事業戦略を教えてください」というご質問です。

田辺:確かにAPリノベーションズは立ち上がったばかりの会社ですが、多様なお客さまにサービスを展開していくことへの対応を課題としています。

しかし、現在のAPリノベーションズは、前年からずれ込んできた大型工事への対応で、2025年度中のリソースをほぼ使い果たしてしまっています。このため2025年度は、既存のお客さまを大切にすることで、確実に収益を上げながら経営していきたいと思います。

質疑応答:中期経営計画について

多田:「当面の売上目標を1,000億円とし、営業利益率に関してはトップラインの増加に伴い改善していくと聞いています。御社の株式を中長期的に保有するためにも、中期経営計画を提示していただきたいです」というご質問です。

田辺:我々はこれまで、事業環境の変化へダイナミックに対応するため、中期経営計画は非開示としてきました。

しかしながら、開示の要望は存じていますので、社長就任後には、できるだけ早くなんらかのかたちで成長ビジョンを示したいと考えています。

質疑応答:配当の維持について

多田:「株式市場での認知度を上げていただきたいという前提で、今回の記念配当を翌年に剥落させず、通常配当として維持してもらえないかと期待しています。

ビジネスモデルが堅いため、1円ずつでも連続増配のほうが知名度向上に寄与しそうです。資本効率を考慮しての増配と理解していますが、約束とはいかずとも経営陣としての考えを教えてください」というご質問です。

この点については我々もかなり議論しました。今回は記念配当として35円です。おっしゃるとおり、再来年の配当を今この段階でコミットするわけにはいきませんが、我々経営陣としては、1回上げたものを再び下げるのは株主にとって不利益だと捉え、維持には最大限の努力を図っていくべきだと思っています。

質疑応答:生成AIへの対応について

「『DeepSeek』など、昨今の生成AIの進歩には目を見張るものがあります。アルファパーチェスのビジネスに及ぼす影響や、今後のビジネスプランについて教えてください」というご質問です。

田辺:生成AIは、確かに我々にとって大きなビジネスチャンスだと捉えています。しかしながら、技術的には未成熟・不完全な部分があるのも確かです。

我々が取り組んでいる企業間取引においては、正確性と堅牢性が求められます。そのため、不確実性のあるAI技術をダイレクトに導入することにはならないと考えています。言い換えれば、企業間取引にも耐えられるような技術を開発することで、サプライヤーが安心して取引に使えるソリューションに仕上げることが、現在の我々のAIの活用方針です。

質疑応答:金利上昇が及ぼす影響について

多田:「金利上昇が及ぼす影響はどの程度ですか?」というご質問です。

現在ほぼ無借金で経営できているため、直接的な影響はないと考えています。在庫をあまり抱えていないことから類似業態の卸売業者のように倉庫などを持つ必要もないため、資金効率が非常に高いビジネスだと自負しています。

そのようなところへの投資で、実際にまた借り入れが必要になることがあまりないと思っているため、我々のビジネスに対する金利の直接的な影響はないとお考えください。

なお、在庫をあまり抱えていないのは、創業当初からアセットライトでの経営を志向しているためです。FM事業には、お客さまの指定の輸入材など、手配にけっこうな手間がかかるのみならず、タイムリーに納入する必要があるため、在庫を保有せざるを得ないものが一部ありますが、MRO事業を中心に、基本的にはサプライヤーからお客さまへ商品を直接配送してもらうかたちを取っています。

ただし、間接的な影響はあり得ると考えています。我々はアスクルのチャネルを通じて中小事業所のお客さまにも商品を販売していますが、中小事業所のお客さまが非常に苦しい状況にあるようです。

ただでさえ円安や物価の高騰で苦しい中、賃上げも求められています。さらに金利高が重なると、非常に大変な状況になりそうです。その結果起こる買い控えなどを間接的な影響があり得ると想定しています。

しかしながら、我々の売上比率は大企業向けが圧倒的です。このような事象が起こっても、大企業向けでカバーしていけると考えています。

質疑応答:売上目標1,000億円に向けての具体的なプランについて

「当面の売上目標1,000億円に向けて、具体的なプランはありますか?」というご質問です。

具体的なプランについては、田辺が新社長に就任以降に将来に向けての成長ビジョンを示す予定です。申し訳ありませんが、そのタイミングまでお待ちください。

質疑応答:トランプ政策の影響によるDEIの見直しについて

「トランプ政策により、DEIを見直す海外企業が増えています。御社はどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。

我々は先ほどの賃上げの話も含め、良い意味において世の中の動きに左右されず正しいことを行っていこうというポリシーの会社です。

質疑応答:新会長の役割について

「現社長の多田氏が新会長に就任後、果たす役割について教えてください」というご質問です。

私、多田は3月26日付で取締役会長に就任します。具体的な仕事は、現在も務めている取締役会議長職や、指名・報酬委員としてガバナンスの強化・推進などです。

少数株主の方々に対しては、昔から大変お世話になってきたという思いがあります。配慮を怠りなく経営を推進していく考えです。

19年間にわたる社長就任中に、それなりの人的ネットワークも出来上がりつつあります。お客さまの中で、私と商談していた当時の部長が、社長や会長などになっているケースもあります。このような人脈も活用しながら、私が社長を続けていくよりも大きな効果が出せるよう、新社長の田辺ほか齋藤ら執行陣を、全力を挙げてサポートしていきたいと思います。

後1ヶ月強、私も全力を尽くしていきます。さらには株主総会での選任を経て正式に就任した後は、田辺をはじめとするアルファパーチェスに対し、引き続きご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いします。