2025年4月期 第3四半期決算
田角陸氏(以下、田角):みなさま、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。ANYCOLOR株式会社代表取締役CEOの田角です。それでは、2025年4月期第3四半期の業績について、CFOの釣井よりご報告します。
釣井慎也氏(以下、釣井):CFOの釣井です。2025年4月期第3四半期の決算ハイライトについてご説明します。
2025年4月期第3四半期は、売上高115億6,400万円、営業利益42億400万円、当期純利益29億円の着地となりました。いずれも第2四半期決算にてお示しした見通しを上振れています。
領域別にご説明します。ライブストリーミング領域は、メンバーシップ中心の収益構造が継続しており、メンバーシップ数が順調に増加しています。広告収益に関しても、YouTubeの再生時間が好調であることを背景に、見通しに対して上振れでの着地となっています。
コマース領域は売上高72億400万円と、予想の上限58億円に対して約14億円の上振れとなっています。第3四半期は大型の施策が少ない期であったため、前四半期比較で減収を見込んでいましたが、主に3つの要因によって見通し対比で上振れとなっています。
1点目に、第3四半期中に販売を開始した各種グッズが、想定を大幅に上回るかたちでファンのみなさまから好評をいただいたことです。2点目に、第2四半期末に滞留していたグッズの未発送残高の解消が第3四半期を通じて一定程度見られたことです。3点目に、第4四半期には「にじさんじフェス2025」という大型イベントを開催していますが、その関連グッズの一部を第3四半期に事前発送しているものがあることです。
一方で、グッズの未発送残高に関しては、第3四半期末時点において、第2四半期比でさらに2億5,000万円ほど増加している状況です。
この点については、発送予定のグッズが発送できずに未発送残高が増加しているのではなく、第3四半期中に想定を上回る需要があったグッズで受注生産となっているものが多くあることや、第4四半期に過去最大のグッズ販売を見込んでいる中で、その受注残高が大きくなっていることが要因です。発送に関するオペレーション状況自体は第2四半期末と比較し改善してきています。
イベント領域は、第3四半期に大型イベントをいくつか開催しています。「にじさんじ歌謡祭2024」のようなグループを挙げてのイベントに加え、VTuberによるソロライブ、ユニットライブを複数開催しました。いずれのイベントもファンの方々からご評価をいただき、収益の上振れにつながっています。
プロモーション領域は、第3四半期は先ほどお伝えしたイベント等でVTuberの稼働が大きい四半期であったため、案件実施数は第2四半期と比較して若干落ち込んでいます。一方で、案件単価は好調に推移し、概ね事前の見込み値どおりの着地となっています。
業績サマリー
業績サマリーです。第3四半期を含めた今期の収益推移について全体感を振り返ると、上期はコマースでの想定外の発送遅延や、イベントの中止や延期を要因として、業績予想対比で収益・利益ともにやや下回る状況が続いていました。一方、第3四半期以降はコマースを中心にファンの方々からの非常に強い需要を観測しています。
このため、第4四半期も含めた見込み値を総合的に勘案し、スライドに掲載のとおり業績予想を修正しています。
売上高および営業利益推移(四半期)
売上高および営業利益の四半期ごとの推移です。過去の四半期ベースで、数値として売上高・営業利益ともに最大の着地となりました。
コスト内訳推移(四半期)
コスト内訳推移です。直接変動費は売上高に対して49.8パーセントという着地でした。前年同期比で2.5ポイントのマイナスですが、前四半期比では5ポイント程度の増加となっています。
この要因としては、第3四半期はイベントによる収益貢献が大きかった四半期でしたが、イベント単体で見た収益性は必ずしも高くないということがあります。そのため、全体でのミックスとして見た直接変動費の比率が少し上がっています。
一方で、その他原価・販管費の金額は、スタジオの移転に伴う旧スタジオの原状回復費用など一過性の項目もありますが、売上の成長に伴い、売上対比の比率という意味では下がってきています。
VTuber数およびANYCOLOR IDの推移
VTuber数およびANYCOLOR IDの推移です。VTuberの数は「にじさんじ」「NIJISANJI EN」ともにデビューはなく、「NIJISANJI EN」から1名の卒業ということで、会社全体では1名の減少となっています。
足元ではファンからの需要が既存・新規ともに強いものがあり、特にANYCOLOR ID数を見ると、新規ファンの流入が継続的に見てとれると認識しています。
従業員数の推移
従業員数の推移です。年間全体として見ると、新規採用は主に前期に集中し、下期に入ってからの採用は落ち着いています。
第4四半期に新卒採用があるため少し増える見込みですが、期初計画どおりに採用活動は進捗できています。
第3四半期における主要施策
スライドは第3四半期における主要施策の一覧です。
コマース領域をスライド左半分に掲載しています。左上の「いずれ菖蒲か杜若 Half Anniversary」は、「いずれ菖蒲か杜若」というグループのデビュー半年を記念したグッズです。このグループはマスコットキャラクターを含むデビューとして、オーディション段階から企画してきたものです。この半年記念グッズは、ぬいぐるみ商材を中心に、非常に好評をいただいています。
左下はいわゆるコンセプトグッズです。「NIJISANJI Mode Select」というラインナップの第2弾として、引き続き好評をいただいています。
右上の「Dytica Happy Pack 2025」は、お正月のタイミングに合わせて発売しました。こちらも非常に強い需要をいただいています。
右下の「にじさんじ ウィンターデート2024」は、毎年恒例のウィンターデート企画です。プロモーションなどの面でさまざまな工夫を行った結果、この施策単体で過去最高の売上を出すことができました。コマース領域のいずれの企画も、非常に順調だったと認識しています。
スライド右側のプロモーション領域では、「Google Pixel」さまとのコラボレーションを行いました。番組形式でのコラボレーションとして、継続的に案件を取り組ませていただいているものの一環となっています。「TOKYO LIGHTS 2024」とのコラボレーションに関しては、プロジェクションマッピングのイベントのオフィシャルアンバサダーとして、我々を起用いただき実施した案件です。
同じくスライド右側のイベント領域は、「にじさんじ歌謡祭2024」を中心に、その他複数のイベントを開催した四半期でした。
音楽コンテンツへの取り組み
第3四半期、第4四半期と多くのイベントを予定しているため、イベントや音楽コンテンツへの取り組みを少し補足したいと思います。先ほど「イベント単体で見た時の収益性は、必ずしも高くない」とお伝えしましたが、イベントを含む音楽コンテンツは、我々のビジネスにとって非常に良い循環を生んでいます。その一例として、スライドには昨年開催した「ChroNoiR(クロノワール)」のイベントを掲載しています。
このイベントに先立ち、音楽コンテンツをCDとして販売しました。これが我々のコマース領域の売上に貢献しています。次に、その楽曲をもとにイベントを実施しています。イベントチケットはイベント領域の売上として計上し、イベントに関連して販売する各種グッズはコマース領域の売上として計上しています。最後に、イベントを映像化したBlu-ray作品をイベント実施から一定期間経過したのちに販売し、その売上はコマース領域の売上に計上するという、一連のサイクルでイベントを含む音楽コンテンツに取り組んでいます。
例えば、スライドに挙げた例でご説明すると、CD販売が2024年2月、イベントが2024年4月、Blu-rayの発売が2025年3月となっています。売上の計上区分や計上時期は少し異なりますが、これらを一体として見ると非常に良い取り組みだと認識しています。
2025年4月期 第4四半期業績見通し
ここからは、第4四半期の見通しについてご説明します。第4四半期の見通しは、売上高が118億円から128億円、営業利益が44億円から49億円、四半期純利益が30億円から33億5,000万円と見込んでいます。
領域別では、ライブストリーミング領域は、第3四半期以前同様に堅調な推移を見込んでいます。
コマース領域は第3四半期に引き続き、過去最高の売上高を予定しています。内訳としては、「にじさんじ 7th Anniversary」を記念したグッズや、「にじさんじフェス2025」に関連したグッズ、第3四半期に上振れて受注生産となったもの、その他さまざまなグッズの企画を予定しており、第4四半期は非常に強い結果を見込んでいます。
イベント領域では、2月に「にじさんじフェス2025」を開催しました。こちらを中心に、その他にもVTuberによるソロライブやユニットライブを複数予定しています。
プロモーション領域についても、第3四半期から比較すると大きく伸びることを見込んでいます。年度末付近における企業さまからの強い需要を受け案件数が大きく増加するとともに、大型案件の数も多いことから、スライドに掲載したレンジでの数字を見込んでいます。
修正業績予想との関係では、業績予想は見通しの下限部分に記載した売上高118億円、営業利益44億円に概ね対応した水準として設定しています。
質疑応答:コマース領域が伸長した背景について
釣井:「第3四半期の国内のコマース領域が、大きく増収に至った背景をどのように捉えていますか? 新しいファンを獲得できているという本質的に評価できるトレンドなのか、それとも一過性な要素も大きかったのでしょうか?」というご質問です。
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