目次
中山貴之氏:株式会社トリドリ代表取締役の中山です。本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。それでは、2024年度期末決算説明会を始めます。今回は中期経営計画についてもご説明しますので、ぜひ最後まで聞いていただければと思います。
まずは、2024年12月期の通期業績、および2025年12月期の業績予想についてご説明します。
エグゼクティブサマリー
通期業績のサマリーをご説明します。2024年12月期の通期業績は、前期に続き非常に好調だったと考えています。売上高は前期比32.6パーセントの成長を達成し、営業利益率は10.6パーセントに改善しました。売上総利益は39億1,000万円と、前期比で8億8,000万円の成長となりました。営業利益は4億5,000万円と、前期比で3億3,000万円の成長となっています。
また、KPIである「toridori base」の利用顧客数および登録インフルエンサー数についても順調に伸長しています。利用顧客数は前期比プラス1,256社の7,131社、登録インフルエンサー数は前期比プラス9,700人の7万1,000人となりました。
TOPICS
今期のトピックスをお伝えします。2024年12月期の業績は、売上・利益ともに大幅な増収増益を達成しました。通期の売上高は42億7,300万円と、前期比32.6パーセントの成長です。営業利益は4億5,400万円となり、前期比267.5パーセントの大幅な成長を達成しました。
領域別のトピックスとして、プロダクト領域では「toridori base」のユニットエコノミクスの改善を実現することができました。長期プランの販売も開始し、将来の売上の積み上げにも成功しています。
マーケティングパートナー領域では、niks社を設立し、マイクロインフルエンサーの成果報酬型領域の強化を進めることができました。また、blends社がグループインしたことにより、EC事業者に対するケイパビリティを拡充することができました。
2025年12月期においても、引き続き、売上・利益ともに高成長を計画しています。また、中期経営計画も策定し、2027年12月期の業績目標達成の戦略も明確にしていきます。
全社:通期連結業績
通期連結業績についてご説明します。スライドの表のとおり、各指標で前年を大きく上回る成長を実現しました。特に営業利益は、「toridori base」のユニットエコノミクス改善により、大幅な増益を実現しました。
全社:四半期業績推移
四半期ごとの業績推移についてご説明します。売上総利益は過去最高益を計上し、営業利益も第3四半期以降、高水準で推移しています。
全社:四半期売上総利益推移(領域別)
サービス領域別の売上総利益の推移です。最も注力しているプロダクト領域では、YoYで20.2パーセント増の7億900万円となりました。引き続き、全社の高成長を牽引しています。マーケティングパートナー領域では、YoYで12.7パーセント増の3億6,700万円となりました。
全社:売上総利益四半期推移(サービス別)
サービス別の売上総利益の推移です。最も注力している「toridori base」はYoYで20.2パーセント増の7億900万円と、引き続き全社の高成長を牽引しています。下期から注力している長期プランの販売は好調に推移しており、2025年以降の成長に向けた準備が整いました。
成果報酬型広告の「toridori ad」は、YoYで39.0パーセント増の1億4,900万円で着地しました。niks社におけるマイクロインフルエンサーを活用した成果報酬型広告が堅調に推移しています。
タイアップ広告の「toridori promotion」は、YoYで29.8パーセント減の8,200万円で着地しました。案件の大型化に伴いリードタイムが長期化している傾向があり、業績の反映に時間を要するようになってきていることが原因として挙げられます。
toridori base:KPI
注力サービスである「toridori base」のKPIについてご説明します。顧客数はYoYで21.4パーセント増となり、販売代理店の活用により堅調に増加しています。
第3四半期から長期プランの販売を試験的に開始したことで、一時的に新規顧客の獲得ペースが鈍化したことによる純増数の積み上がりペースの減少が生じていました。しかし、第4四半期には長期プランをしっかりと販売しつつも、新規獲得数を従来のペースまで回復することができたため、顧客数の積み上がりペースが加速しました。
顧客単価に関しては、新規顧客獲得ペースにより若干の上下はありつつも、現状の実力値である10万円前後で推移しています。
toridori base:長期プランの販売について
「toridori base」の長期プラン販売についてご説明します。2024年下期より、株式会社XiMから「toridori base」の営業組織を譲り受け、株式会社トリドリISとして営業活動を開始しました。同時に、12ヶ月の長期プランの販売を開始し、第3四半期からはこの新プランの設計と準備に戦略的にリソースを集中させていました。
第4四半期においても、顧客獲得ペースを維持しながら、12ヶ月プランの販売比率は新規顧客の30パーセントを超える水準で推移しています。今後さらなる顧客数の増加を見込んでいますが、業績への反映は2025年から顕在化する予定です。当期の利益進捗が順調であるため、将来に向けた取り組みを優先しました。
また、12ヶ月プランの導入により、継続的なキャンペーン実施を促進していくとともに、より成果を実感していただくための複数のプロジェクトのアップデートも現在準備しています。長期利用していただく顧客のユーザー体験の向上を引き続き目指していきます。
併せて、新潟拠点において、オペレーション・サポート業務を担う組織も強化しています。将来の顧客数の積み上がりに対応可能な組織を構築し、継続利用をサポートしていきます。
全社:販管費四半期推移
販管費については、スライドに示しているグラフのとおりに推移しています。広告宣伝費/販売促進費は、トリドリIS社のグループインにより、引き続き改善した水準で推移しています。
その他の費用については、「toridori made」が好調だったことに伴い、配送費やM&Aに関する専門家費用、新潟拠点の操業開始による一過性のコストが集中しました。
2025年12月期業績予想
2025年12月期の業績予想についてご説明します。2025年12月期は「toridori base」を中心に、売上高・売上総利益ともに前期比30パーセント増の高成長を実現し、成長投資を行いながらも着実な増益を目指します。
具体的には、売上高56億円、売上総利益51億円、営業利益7億5,000万円、経常利益7億円、親会社株主に帰属する当期純利益4億円を目指します。
業績予想推移
業績予想の推移です。2025年は本日発表した中期経営計画の初年度に当たり、プロダクト領域において2億円程度の投資を予定しています。
投資内容としては、プロダクトのアップデートに関する開発のための人件費・業務委託費や、新プロダクトのマーケティング・販売組織、およびカスタマーサクセスチームの人件費を想定しています。成長投資を実施しつつ、大幅な増収増益の実現を目指していきます。
サービス別売上総利益の成長イメージ
サービス別の売上総利益の成長イメージです。2024年に準備した施策を着実に実行することにより、高成長を継続させていきます。
売上総利益の四半期推移のイメージ
売上総利益の四半期推移のイメージです。2024年以前の実績からご確認いただけるように、トリドリは継続して成長しているため、業績の積み上がりが下期偏重となっています。
2025年も過去の実績と同様に、下期偏重の四半期推移を想定しています。特に第1四半期は、季節要因により「toridori made」の売上が小さくなる傾向があります。商材のOEM先のメインである中国の工場が旧正月に入って休みになるため、商品の販売が滞ることが要因です。
一方で、年間の販売計画はすでに策定済みであるため、第2四半期以降で売上をしっかりと積み上げていきたいと思っています。
また、2025年は第2四半期以降に、2024年第3四半期に開始した「toridori base」の長期契約プランの影響による業績伸長の加速を見込んでいます。
総じて、売上が後半に偏重する要素がいくつかありますが、引き続き高成長企業として継続して成長していきますので、応援していただけると幸いです。決算に関する説明は以上となります。
市場環境の変化と中期経営計画策定の背景
ここからは中期経営計画についてご説明します。最初に、中期経営計画を策定するに至った理由からお話しします。
インターネットの進化により、情報流通は「マスから個」へとシフトしています。私たちはこの変化を捉え、マイクロインフルエンサーと事業者を結ぶプロダクトを提供することで成長し、2022年に東証グロース市場に上場しました。
しかし、単一プロダクトだけでは多様化するニーズに十分に応えられないという課題が顕在化しました。そこで、プロダクトの細分化とマーケティングパートナー領域の拡充を進め、さらなる成長を遂げるために、中期経営計画を策定しました。
売上は直近3ヶ年でCAGRが59.2パーセントと高成長を続け、営業利益率も改善し、黒字化を達成しています。今回策定した計画を着実に実行し、2027年に向けてさらなる成長を目指していきます。
2027年業績目標
トリドリが目指す2027年の業績目標についてご説明します。私たちは、2027年までに売上高100億円、営業利益20億円の達成を目標としています。
これにより、売上高のCAGRは32.8パーセント、売上総利益のCAGRは33パーセントで成長し、営業利益率は20パーセントまで改善する計画です。
スライドのグラフをご覧ください。2024年の売上高は42億7,300万円、営業利益は4億5,000万円の見込みですが、そこから3年間で売上を約2.5倍に伸ばし、収益性も大幅に向上させます。
詳細な戦略を次のスライドからご説明します。
データベースを強みに2つの事業領域を拡大
トリドリのサービス領域と、それぞれの成長方針についてご説明します。当社の競争優位性の源泉は、インフルエンサーデータベースにあります。このデータベースを活用し、さまざまな顧客の認知・集客の課題を解決していきます。
私たちは、この価値を提供する手段としてプロダクト領域とマーケティングパートナー領域の2つに分け、それぞれの成長を強化しています。
プロダクト領域は、主にSMB事業者向けに展開し、「toridori base」を活用した効率的な支援を行っていきます。今後は地方インフルエンサーの拡充や効果測定機能の強化を進め、2027年に顧客数1万5,000社を目指します。
マーケティングパートナー領域は、中堅・大手企業向けに総合的なマーケティング支援を提供しています。インフルエンサーマーケティングに軸足を置きつつも、戦略立案からブランディング、EC運用といったマーケティング全体の課題を解決できる組織へと進化していきます。
この2つの領域を支えるのが、インフルエンサーデータベースです。データの拡充と機械学習の強化により、さらに高度なマーケティング支援を実現し、成長を加速させていきます。
次のスライドから、領域ごとの成長戦略について詳しくご説明します。
インフルエンサーデータベースを活用した競争優位性
まず、トリドリの競争優位性についてご説明します。当社の最大の強みは、国内最大級のインフルエンサーデータベースを保有していることです。現在、約7万1,000人のインフルエンサーが登録しており、累計82万件のマッチング実績を誇ります。
また、独自の信用スコアを導入し、企業が信頼できるインフルエンサーと最適なマッチングができる仕組みを構築しています。
このデータベースは膨大な登録者数と高い多様性が特徴で、さまざまな企業のマーケティングニーズに対応可能です。ファッション、グルメ、美容、旅行、ペットなど、あらゆるカテゴリのインフルエンサーが揃っており、業界を問わず最適なプロモーションが実践できます。
この強力なデータベースを活用し、次世代のマーケティングインフラを担う基盤として、企業の認知拡大・販促支援をさらに強化していきます。
マイクロインフルエンサー活用によるPR効果の実例
トリドリのインフルエンサーデータベースが実際にどのように活用され、どのような成果を生んでいるのか、具体的な事例を1つご紹介します。
当社のデータベースには約7万1,000人のインフルエンサーが登録されており、その多くは特定の分野に強みを持つマイクロインフルエンサーです。フォロワー規模が比較的小さなインフルエンサーであっても、ターゲットに密着したPRを行うことで、大きな影響力を発揮するケースが多数あります。
スライド右側に掲載している事例では、フォロワー3万1,000人の関西グルメ系インフルエンサーが、京都のカフェのPRを実施しました。この投稿は77万回以上のインプレッションを獲得し、8,000人以上の見込顧客が投稿を保存するという高いPR効果を記録しています。
このような事例が、データベースに累計82万件蓄積されています。この豊富なマッチングデータを利用することで、企業は自社に最適なインフルエンサーと効果的にコラボレーションし、確実なマーケティング成果を生み出すことができます。
このように、当社のデータベースは単なるインフルエンサーのリストではなく、実績ベースで最適なマッチングを提案できるマーケティングプラットフォームとして進化しています。
データベースの進化と新機能
当社のインフルエンサーデータベースは、すでに国内最大級の規模を誇りますが、さらなるデータ量の拡充と指標の追加を進め、より精度の高いマーケティング支援を実現していきます。
また、分析・機械学習の強化により、データモデルを進化させ、広告効果の最大化に貢献できる仕組みを構築していきます。
この取り組みの一環として、2025年1月には、PR案件実施前にエンゲージメント数を予測できる機能をリリースします。これにより、企業は事前に広告効果を見極めた上で、最適な施策を実行できるようになります。
加えて、リーチ・インプレッションのさらなる可視化機能や、インフルエンサー報酬のダイナミックプライシングによる算定機能など、新機能の開発も進めています。
このように「データの拡充×精度の向上×AIの活用」により、トリドリのマーケティング基盤はさらなる進化を遂げます。今後も競争優位性を高め、企業の成長を支援するための新たな機能を継続的に提供していきます。
開発組織の拡充による成長基盤の強化
データベースの強化を加速するため、新たにプロダクトマネジャーとテックリードがジョインし、開発組織を強化しました。
スライドで紹介している北出氏は、LINEやスマートニュースで広告・プロダクト開発を経験し、新規事業の立ち上げをリードしてきました。北野氏は、広告システムの設計・運用に関わり、エンジニアリングの観点から機能開発を推進します。
この強力な体制によりデータの拡充と機械学習の強化を加速させ、競争優位性をさらに高めていきます。
プロダクト領域の振り返りと方針
ここからは、プロダクト領域の成長戦略についてご説明します。まず、これまでの取り組みを振り返ります。トリドリは単一のプロダクトを通してSMBのマーケティング市場を開拓し、市場の創出に成功しました。その結果、顧客数は着実に増加し、2024年には7,131社に達しています。
しかし、運営を続ける中で、単一プロダクトだけでは多様な顧客ニーズに十分に対応できないという課題も明確になってきています。より幅広い業種や規模の企業のマーケティング課題を解決するには、プロダクトの細分化が不可欠です。今後はマーケット浸透フェーズへ移行し、2027年には1万5,000社の導入を目指します。
次のスライドからは、具体的にどのようにプロダクトを進化させて市場を拡大していくのかをご説明します。
店舗事業者とEC事業者の異なるニーズへの対応
「toridori base」を進化させるために顧客ニーズの整理を行い、それに基づくプロダクトコンセプトについてご説明します。
当社の顧客は、店舗事業者とEC事業者に大きく分かれます。それぞれのマーケティング課題や求める成果も大きく異なります。
店舗事業者は、店舗周辺エリアの新規顧客を継続的に集客することを重視しています。店舗は初期投資が大きく、キャパシティがあるため、長期間にわたり安定的に集客していく必要があります。このため、店舗の責任者は、安価に店舗周辺顧客を集客し続けられるサービスを求めています。
EC事業者は、費用対効果に見合う範囲で売上を最大化させることを最優先します。特に大型のセールやキャンペーン時に、短期間で大きな顧客流入を生み出せる施策が重要になります。
このように、業態ごとに異なるニーズに対応するため、プロダクトを2つの方向性で進化させていきます。
店舗事業者向けには、エリアに特化して、安価に長期間こつこつと継続できるプロダクトを開発しました。EC事業者向けには、欲しいタイミングで大きな顧客流入を生み出せるプロダクトを提供します。
次のスライドからは、この考え方に基づいた具体的なプロダクト戦略についてご説明していきます。
現状の課題と改善施策
1つ前のスライドで、店舗事業者とEC事業者は求める成果が異なるとご説明しました。現在の「toridori base」には、店舗事業者とEC事業者のそれぞれ異なるニーズに十分に応えきれていないという課題があります。
店舗事業者向けでは2つの課題が顕在化しています。1つ目は、地方のインフルエンサーが不足し、十分なマッチングを提供しきれていないということです。2つ目は、来店の効果が可視化されにくく、継続的な利用につながりにくいことです。
EC事業者向けでは、安価で大量のインフルエンサーを活用できていますが、活用が売上に結びつくかを測定できないため、費用対効果が不透明であることが課題です。
次のスライドからは、これら3つの課題を解決するための具体的な改善策をご説明します。
施策①_地方インフルエンサーの拡充
地方インフルエンサーの不足という課題に対する施策についてご説明します。現在、登録インフルエンサーは関東を中心とした都市部に集中しており、地方でのマーケティングに必要なインフルエンサーが十分に確保できていません。例えば、関東エリアの登録インフルエンサー数が人口1,000人当たり1.0人であるのに対して、北海道・東北エリアでは0.23人と、約4.3倍の差があります。
この課題を解決するため、地方インフルエンサーのリクルーティングを強化し、エリアごとのバランスを改善していきます。
加えて、新たにダイレクトオファー機能を導入します。ダイレクトオファー機能によって、「toridori base」に登録されていないインフルエンサーにも企業側が直接アプローチすることが可能になり、企業が必要とするエリアや属性のインフルエンサーを能動的に増やせる仕組みを構築します。
さらに、登録外のインフルエンサーに対するPR依頼の成功を通じて、新たなインフルエンサーの取り込みが進み、全体の供給量を強化できます。この施策によって、地方でも安定したインフルエンサー供給を実現し、継続的なマーケティング施策の実施が可能となっていきます。
施策②_レポートの拡充とカスタマーサクセスの強化
続いて、店舗事業者向けに効果の実感を促進するレポートの強化と、カスタマーサクセスによる伴走支援についてご説明します。
現在、店舗事業者はPR施策による認知拡大の効果を測定できているものの、それが来店につながるまでにリードタイムがあり、成果を体感しにくいことが課題となっています。そのため、早期離脱につながりやすい状況になっています。
例えば、消費者がSNSで気になった飲食店を保存機能を使って保存しても、実際に来店するのは数ヶ月後になるケースが多く、来店につながる成果がすぐには見えにくいため、顧客の期待値と現在の提供内容に少しギャップがあることが早期離脱の要因として挙げられます。
そこで、今後の改善策として、効果レポーティングを強化し、PR施策がどの程度認知を獲得して、どれだけの人が興味を持って保存・検討しているかを可視化することで、店舗事業者が認知拡大フェーズの成果を実感しやすくします。
また、カスタマーサクセスが継続的に伴走支援を行い、保存数や認知度の推移を示すことで、店舗事業者が効果を感じてもらいながらPDCAサイクルを回すことをサポートします。
このような中長期の集客効果が実感できる仕組みを整えることで、店舗事業者の利用継続を促進していきます。
施策③_購入トラッキング機能の実装
続いて、EC事業者向けに、購入のトラッキング機能を開発することで従来の課題を解決していく新たなプロダクトについてご説明します。
これまでの「toridori base」は認知領域に強みを持ち、サービスを拡大してきましたが、PR施策が売上にどのように結びついているかを測定する仕組みが未整備でした。そのため、費用対効果を明確にしづらいという課題がありました。
この課題を解決するため、niks社のグループインを契機に、購入トラッキング機能を搭載したプロダクトを新たに開発します。2024年7月にグループインしたniks社は、マイクロインフルエンサーを活用した成果報酬型のPR施策に強みを持ち、すでに事業として成功しています。この仕組みをプロダクト化することで、より多くの企業が低リスクで効果を測定しながらマーケティングを実施できるようになります。
新プロダクトでは、PRと購入をひもづけて測定できるトラッキング機能を実装することで、事業者がリスクを抑えつつ、費用対効果を確認しながら施策を実施できる仕組みを構築しました。niks社での成功事例を基に、「toridori base」の新たなプロダクトとして展開し、EC事業者の費用対効果の可視化と収益の最大化を支援していきます。
プロダクト領域成長戦略まとめ
ここまでご説明してきた施策を通じて「toridori base」のさらなる成長を加速し、利用事業者を増やしていきます。
現在、「toridori base」の利用事業者数は7,131社ですが、今回の施策を実行することで2027年には1万5,000社までの拡大することを目標としています。店舗およびEC事業者別の内訳でいうと、店舗事業者は5,972社から1万2,000社へ、EC事業者は1,159社から3,000社へ、それぞれ増加させます。
成長の鍵となるのは、これまでにご紹介した以下の3つの施策です。
地方インフルエンサーの拡充によりエリア特化型のマーケティングを強化し、より多くの店舗事業者に対応します。
店舗事業者向けカスタマーサクセスおよび効果レポーティングの強化により、効果を体感しやすい環境を整え、継続率を向上させます。
EC事業者向けの購入トラッキング機能を搭載した新プロダクトの提供により、新規契約数を拡大します。
これらの施策を実施することで、継続率と新規契約数の両面から事業の成長を促進し、プロダクト領域全体の売上総利益も、2027年には69億円へと拡大させる計画です。「toridori base」は業態ごとに最適化されたプロダクトに進化し、より広範なマーケットをカバーできるようになります。
これにより、持続的な成長を実現し、さらなる企業価値の向上を目指していきます。
マーケティングパートナー領域の振り返りと方針
ここからは、マーケティングパートナー領域についてご説明します。これまでトリドリは、インフルエンサーキャスティングを中心としたサービスを提供してきました。しかし、SNSを活用したマーケティング戦略の重要性が高まる中、クライアントが求める支援範囲が広がり、インフルエンサーキャスティングだけでは十分な価値を提供しきれないという課題が浮き彫りになっています。
特に中堅・大手クライアントは、インフルエンサーマーケティングだけでなく、戦略設計、ブランディング、商品企画、EC運用、デジタル広告運用など、より幅広い領域でのサポートを求めています。
そこでトリドリは、インフルエンサーキャスティング支援企業から、企業のマーケティング全般をワンストップで伴走支援できる組織へと進化します。
具体的には、OverFlow社、niks社、blends社といったグループ企業との連携を強化し、複雑化するマーケティングニーズに対応できる体制を構築しました。これにより、インフルエンサーマーケティング単体のみならず企業のマーケティング全体を支援できる総合的なグループへと進化していきます。
SNSマーケティングの重要性と支援範囲の拡大
近年は、消費者の情報接触の主軸がマス広告からSNSに急速にシフトしています。企業のマーケティングにおいても、いかにSNS上で話題を生み出し売上につなげるかが重要となってきています。この流れは、SNSで影響力を持つインフルエンサーを多数抱えるトリドリにとって、大きな追い風となっています。
こうした環境の変化に伴い、クライアントがトリドリに求める役割も変化しています。従来は、SNSは数あるマーケティングチャンネルの1つに過ぎず、トリドリに求められてきたのは、主にインフルエンサーを起用して話題を作ることでした。
今後は、SNSを中心としたマーケティング戦略全体を設計することがより重要になり、SNSを各種広告施策や販促活動とどう連携させていくかについての施策も求められるようになっています。
したがって、トリドリには、インフルエンサーを活用した単発のプロモーション支援だけでなく、SNSを起点に購買につなげる一連の流れを設計する支援も期待されています。
このような市場環境の変化に対応し、トリドリはクライアントの期待に応えられる体制へと進化していきます。次のスライドでは、その具体的な戦略についてご説明します。
toridoriのケイパビリティを拡充
さらに幅広いクライアントの期待に応えるためのケイパビリティ拡充についてご説明します。SNSに強みを持つマーケティングカンパニーとして、トリドリはこれまでインフルエンサーネットワークやデータベース、SNSマーケティングのノウハウを強みとして、インフルエンサーキャスティングを中心としたサービスを提供してきました。
しかし、SNSの影響力がますます拡大し、マーケティングにおけるSNSの役割がより重要になったことで、クライアントの求める支援の範囲も広がってきています。この変化に対応するためにトリドリはM&Aを活用しながら、グループ全体としてのケイパビリティを強化しています。
2023年10月には、SNSマーケティングの企画や提案力に優れた、総合広告代理店のOverFlow社がグループに加わっています。2024年7月には、マイクロインフルエンサーを大量に活用し、成果報酬型広告に強みを持つniks社が参画しました。2024年10月には、ECモールの戦略立案や運用支援、商品企画支援に強いblends社がグループインしました。
その結果、トリドリグループは、単なるインフルエンサーキャスティング企業から、SNSを中心とした総合的なマーケティング支援を提供できる組織へと進化しています。2025年以降は、2024年以前に実施したM&Aによる成果の業績寄与を最大化するために、着実にPMIを遂行していきたいと思います。
マーケティングパートナー領域成長戦略まとめ
ここまででご説明したように、マーケティングパートナー領域ではM&Aを活用したケイパビリティの拡充を進めることで、より包括的なマーケティング支援を提供できる体制へと進化していきます。今後、この成長をさらに加速させるため、3つの戦略を推進します。
1つ目は、M&Aを活用したマーケティング機能の拡充と組織の拡大です。すでにOverFlow社、niks社、blends社といった企業をグループに迎えていますが、今後もさらなる機能拡充の可能性を探っていきます。
2つ目は、グループ会社間の連携を強化することによる各社の強みを組み合わせた横断的なマーケティング案件の創出です。
3つ目は、インフルエンサーデータベースを活用したデータドリブンマーケティングの推進です。膨大なインフルエンサーデータを活用し、PR施策の効果をより精緻に測定しながら、マーケティング戦略の最適化を支援していきます。
これら施策を実行することで、マーケティングパートナー領域の売上総利益は2027年には23億円まで成長する計画です。トリドリグループは、単なるインフルエンサーマーケティング企業ではなく、SNSを中心に総合的なマーケティングを提供できる組織へと進化していきます。
成長戦略まとめと売上総利益目標
ここまででご説明したプロダクト領域とマーケティングパートナー領域の成長戦略を実行することで、全社CAGR33.0パーセントの成長を計画しています。
プロダクト領域では、成果トラッキング機能を搭載した新規プロダクトの市場への投入や、短期間で成果につながるメニュー開発を進め、CAGR37.2パーセントの高成長を目指します。
マーケティングパートナー領域では、M&Aを活用した組織拡大とグループ間シナジーの強化により、より広範囲なマーケティング支援を実現し、CAGR22.8パーセントの成長を見込んでいます。
この両輪で成長を加速し、2027年には売上総利益92億円の達成を目指していきます。
データ活用による事業拡大と新領域への展開
トリドリは、強みであるインフルエンサーデータベースとマッチングデータを活用し、2027年以降もさらなる成長を続けます。現在は市場創出フェーズにあり、単一プロダクトでマーケットを開拓し、マッチングデータを蓄積してきました。
2025年からの中期経営計画では市場浸透フェーズへ移行し、事業者ごとに最適なプロダクトを提供することにより、蓄積したデータの活用による付加価値向上を進めます。
2028年以降は、事業の領域を拡大するフェーズに入ります。大量のデータ資産を活かし、インバウンド需要の取り込みやプロダクトの海外展開、さらには人材サービスなど新領域への進出も視野に入れています。中長期的な事業の進化を見据え、引き続き成長を加速させていきたいと考えています。
成長投資・財務健全性・株主還元の方針
最後に、投資と還元の方針についてお話しします。トリドリは、成長投資・財務の健全性・株主還元の3つのバランスを意識しながら、持続的な成長を実現していきたいと考えています。
まず、成長投資については、中期経営計画達成に向けた優先課題とし、人材投資やマーケティング、M&Aを適切に進めます。
一方で、財務健全性も維持し、ROE20パーセントを目標に資本効率を最大化するとともに、借入余力も確保していきます。
また、株主還元についても検討を進めており、2023年の減資を経て、柔軟な還元が可能な環境を整えています。この方針の下、今後も着実な成長と企業価値の向上を目指していきます。
今後も四半期決算を通じて進捗をご報告したいと考えていますので、引き続きご支援のほど、何とぞよろしくお願いいたします。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。