2024年11月期 通期/4Q ハイライト

辻庸介氏(以下、辻):代表取締役社長、グループCEOの辻です。本日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

今日は2024年11月期通期決算についてご説明します。いつものとおり決算資料を「Financial Results」と「Business Overview for Investors」の2つに分けて進行します。主に財務数値を「Financial Results」に記載しています。

通期決算の総括としては、ドメイン別ででこぼこはあるものの概ね良い年になったと考えています。全社売上高、EBITDAともに通期期初見通しを達成しています。

特にMoney Forward Businessドメインの売上高は、当初のガイダンスの上限を超え、非常に良いかたちで着地しました。

一方、Money Forward Xドメインとスマートキャンプドメインが、残念ながら未達となり苦戦しています。

通期売上高は前年同期比33パーセント増の403.6億円、SaaS ARRは前年同期比30パーセント増の300億円となりました。

EBITDAは17.3億円、売上総利益は270.6億円でした。EBITDAマージンは4パーセントと、前期比11パーセントの改善となりました。

Money Forward Xドメインとスマートキャンプについては、もう少し伸ばしたかったのが本音ですが、全社売上高としてはガイダンスの範囲内で着地したかたちです。

2024年11月期は、企業価値の向上や資本アロケーションの最適化を目指し、戦略的なJV設立やM&A(グループジョイン)などを大きく実施した1年でした。

具体的には、Money Forward Homeドメインにおける三井住友カードさまとのJVの設立と、上場企業であるアウトルックコンサルティング社へのTOB、シャトク社のグループジョインを行いました。

Money Forward Financeドメインで推進していたSaaS×Fintechサービスについては、さらにエンベディットしていくためにMoney Forward Businessドメインに統合しました。これにより、Money Forward Businessドメインのユーザーさまへ、ファイナンスサービスのクロスセルを加速していきたいと考えています。

金融機関さま向けのサービスを提供しているMoney Forward Xドメインについても、より経営のスピード化を図るためドメインの分社化を行っています。

Money Forward Businessドメインの法人向けの第4四半期の主要KPIについて、法人顧客の純増数が1万976社となり、中堅の純増ARRに関しては9.99億円、10億円弱となりました。こちらにより、法人顧客純増数および中堅純増ARRは過去最高を更新しています。

インボイスの追い風があった前期の第4四半期には業界全体も伸びましたが、一時期インボイスの追い風が止んで成長が減速していました。今回はその前期第4四半期を超える法人顧客純増数および中堅純増ARRを実現でき、再加速できたと思っています。

経営体制の強化に伴い、新たな役員人事を発表

経営体制の強化に伴う、新たな役員人事を発表します。すでにプレスリリース等でもお知らせしていますが、兼ねてよりCHOとして人事領域を管掌している石原を、2月の株主総会での承認を前提に、取締役に内定しました。石原は8年以上にわたり、当社でIRや人事を担当しており、当社のことを深く理解してアウトプットをしてくれる、非常に活躍している人材です。

加えて、本日の決算説明会から、みなさまにも大変お世話になっている金坂に代わり、長尾が参加しています。これまで長きにわたってCFO兼CSOを務めてきた金坂は、我々の事業領域が非常に拡大していることもあり、今後の成長戦略として重要なM&A(グループジョイン)領域に、CSOとして専任することになりました。

そして今までファイナンスやIR領域の責任者として、金坂とともにリーダーを務めていた長尾が、新たにCFOに就任しました。長尾も当社に入社してから6年以上活躍しています。

IRやM&A(グループジョイン)等のすべての実務を一手に手掛け、チームを牽引してくれた人物であるため、安心して任せることができると思っています。みなさまにおかれましても、長尾のチームとのコミュニケーションがより増えると思いますので、よろしくお願いします。

金坂も引き続きCSOとして、当社の社内取締役としてフロントに立ち、事業成長を推進していきますので、ぜひよろしくお願いします。

それでは通期決算の全社ハイライトについて、執行役員グループCFOの長尾からご説明します。

通期売上高推移

長尾祐美子氏:12月よりCFOに就任した長尾です。2024年11月期の通期決算のディテールについてご説明します。

全社の売上高推移です。通期売上高については期初見通しを達成し、前年同期比33パーセント増の高成長を維持しています。特にMoney Forward Businessドメインにおいてはガイダンスの上限を超過するなど、全社の成長をドライブしました。

SaaS ARR推移

SaaS ARRの推移です。ARRは300億円を突破しています。Money Forward BusinessドメインのARRについては、法人と個人事業主を合わせて前年同期比32パーセント増と、高い成長率が続いています。

SaaS ARR 期初見通し比較

SaaS ARRの期初見通しとの比較です。ドメイン別に見ると、Money Forward Xドメイン以外のすべてのドメインにおいて、期初見通しを達成することができました。

Money Forward Xドメインに関しては、地域金融機関さまを通じ、地方の中小企業さまに「Mikatano」というサービスを販売する事業に注力していました。しかしながら2024年11月期については、その顧客獲得に苦戦した結果、期初見通しを下回る結果となりました。

一方、Money Forward Financeドメインについては、上限を超過しました。Money Forward Businessドメインの法人においても、SMB向けにおける順調な顧客獲得と、中堅企業の純増ARRが第4四半期のインボイス制度後の回復をドライブしています。

通期EBITDA推移

通期EBITDA推移です。2024年11月期のEBITDAは17.3億円と、前期比11パーセントの大幅なマージン改善となりました。こちらは期初見通しのレンジ内です。

2023年11月期からの2ヶ年では32パーセント増となり、非常に高いマージン改善を実現しています。広告宣伝費を除いたEBITDAは、83.4億円で過去最高となりました。

通期売上原価・販売費及び一般管理費の推移(対売上高比率)

売上高比のコストについてご説明します。営業利益ベース、EBITDAベースともに改善しています。広告宣伝費売上高比率は16パーセントと、期初見通しのレンジ中央値で着地しています。

人件費外注費売上高比率は、営業利益ベースで70パーセントとなっているものの、第4四半期に増加した株式報酬費用4.8億円の影響を除いた場合は69パーセントとなり、期初見通しのレンジ内に着地しています。

2024年11月期 Businessドメイン 通期/4Q ハイライト

Money Forward Businessドメインのハイライトについてご説明します。第4四半期には、法人純増ARRが16.7億円増、中堅純増ARRが9.9億円増と、両方とも過去最高額を更新しました。それにより、Money Forward Businessドメインの期初ガイダンスを達成しています。

通期売上高は252.5億円で、前期比35パーセント増と、期初見通しの上限を超えて着地しました。法人ARRは前期比32パーセント増と高成長を続けています。

中堅純増ARRに関しては、2024年11月期は前四半期比で着実に純増ARRを増加することができました。冒頭でお伝えしたとおり、今四半期は9.99億円増と過去最高額を更新することができました。

法人顧客の年間平均純増数も、1万141社と昨年から大幅に増加しています。特に、我々の強みである士業ネットワーク経由の新規獲得が好調です。

Businessドメイン 四半期 売上高推移

Money Forward Businessドメインの四半期売上高推移です。ストック売上は前年同期比33パーセント増と堅調な成長が続いています。トランザクション/フロー売上については、当社のカード事業である「マネーフォワード Pay for Business」の取扱高増が牽引し、10億円と昨年の同時期と同程度に戻っています。

SMB、中堅企業両領域において高成長を実現し、Businessドメインの法人ARRは前年同期比+32%

Money Forward BusinessドメインのARRです。法人全体の第4四半期ARR純増は16.7億円で過去最高を更新しています。中堅企業向けARRの純増は9.99億円で、成長率は前年同期比45パーセント増と高成長を維持しています。

課金顧客数とARPAの成長が継続

主要KPIの推移です。法人の課金顧客数は、前年同期比27パーセント増と順調に増加しています。法人ARPAは11万6,000円と、前四半期比で2パーセント増、前年同期比で3.5パーセント増と、3四半期ぶりに増加に転じています。

SMB企業向けARRは引き続き顧客数の増加が成長を牽引し、 純増ARRも前四半期比大幅に増加

SMBにフォーカスしてご説明します。SMB企業向け純増ARRは6.7億円で、インボイス制度需要のピークであった昨年の第4四半期並みの水準を達成しています。

SMB企業向けARPAはもう少し上がると思っていましたが、フラットになっています。要因は2つあります。1つ目は、第3四半期と比較して「STREAMED」がしっかり回復したものの、もう少し伸びると社内で想定していたことです。2つ目は、記帳代行プランといった比較的ARPAの低いプランの後押しもあり、純増ARRや顧客数が伸びたことです。

第1四半期は、「STREAMED」の繁忙期であるARRが伸びる時期であり、かつ6月には価格改定があるため、今後しっかり伸びていくと引き続き期待しています。

中堅企業向け純増ARRは過去最高額。顧客数、ARPAの両面で高成長が続く

中堅企業にフォーカスしてご説明します。中堅企業領域は、今四半期は特に良かったと思います。純増ARRは過去最高額となり、ARPAは前四半期比で、4パーセント以上上がりました。ARPAは新規獲得およびクロスセルが非常に順調です。

IPO企業における、『マネーフォワード クラウド』等の導入事例

足元では、IPO準備企業への「マネーフォワード クラウド」等の導入が進んでいます。スライドに、一部の企業さまのロゴを掲載しています。直近の1年で上場したお客さまですと、ソラコムさまやGENDAさま、タイミーさま、ベースフードさまなどがいらっしゃいます。

全社売上総利益/全社調整後売上総利益/バックオフィス向けSaaS事業”Gross Margin” 推移

売上総利益は順調に増加しており、売上総利益率やGross Marginは安定しています。

EBITDA(四半期推移)

四半期EBITDAです。先ほど通期EBITDA推移のスライドがありましたが、こちらは四半期に分けたものです。第4四半期のEBITDAは2.4億円と引き続き黒字で、EBITDAマージンは2パーセントとなりました。

12月に公表済みのアウトルックコンサルティング社のTOBに伴う費用が、1.1億円ほどありました。そちらを除いた第4四半期のEBITDAは3.6億円で、EBITDAマージンが3パーセントとなっています。

従業員数の推移

従業員数の推移です。前四半期に続き100名増加し、2024年11月期末には2,597名の着地となりました。引き続き、エンジニアを中心に採用を進めています。

従業員1人当たり年間売上高・ARR

従業員1人当たりの売上高・ARRです。しっかりと順調に改善しています。

バランスシートの状況

バランスシートの状況です。三井住友カードさまとの合弁会社設立に伴う新設子会社の株式譲渡により、約140億円の現金が増加しています。ディールの一環として、約50億円の連結子会社レベルでの増資もありますが、第1四半期に反映されるため、こちらのバランスシートにはまだ掲載されていません。

現預金残高推移分析

現預金残高の推移です。先ほどお伝えした合弁会社設立に伴う新設子会社の株式譲渡に伴い、現預金が約144億円増加しています。こちらは先ほどお伝えした約50億円が反映される前の数字です。

事業キャッシュ・フローは、約マイナス15億円でした。こちらは「STREAMED」に関する契約負債の会計処理が「STREAMED」を提供するクラビス社の吸収合併に伴い変更されため、今四半期にすでに計上されている分をまとめて取り崩す会計処理を行い、一過性のマイナスが入り、このような数字になっています。

Financial Results

:ビジネスハイライトについてご説明します。今回は、主に2つのトピックに分けてお伝えします。1つ目は法人向けバックオフィスSaaS領域における主要な取り組み、2つ目は当社のM&A(グループジョイン)戦略と実績です。

1. 法人顧客純増数は過去最高を更新

先ほどもお伝えしたとおり、法人顧客純増数が順調で、今回は10,976社と四半期平均でも1万社を超えるかたちで着地しています。

1-1. 会計事務所における『マネーフォワード クラウド会計』のプレゼンスが引き続き向上

顧客純増数が順調となった大きな要因についてです。我々の大切なパートナーである会計事務所に対し、船井総合研究所さまが毎年実施しているサーベイにおいて「今後最も推進したい会計ソフトはなにか?」という質問がありました。

今回は、昨年よりも回答対象企業が増えています。従来のパッケージソフトウェアの会計ソフトを含めて利用している士業事務所が増えましたが、当社のクラウド会計のサービスを「今後とも推進したい」と選んでいただきました。非常に評価いただいていることをありがたく思っています。

プロダクトの強さやセールスカスタマーサクセス、サポートなど全体の強さによる結果だと思いますので、引き続きしっかりと強めていきます。

1-1. 士業業界によるクラウド化の促進と、当社プロダクトの提供価値

私自身、年末年始もお客さまの会計事務所を訪問しましたが、当社プロダクトを非常にうまく活用いただいている事務所が徐々に増えてきています。「クラウドを利用することで、事務所経営としての競合優位性をかなり確立できているというお客さまも増えています」と、ありがたいお声をいただくことが増えました。

スライドに「Before」と「After」で示したように、以前の会計事務所は紙が多く、「お客さまから紙証票を回収するのが大変」や「手打ちでの記帳が大変」など、労働収集約型のビジネスでした。「顧問先数を拡大したくても従業員が採用できない」「収益性が上がらないために給料があげられない」など、人材採用や育成に課題がありました。

我々の「マネーフォワード クラウド」や、証憑の電子化サービス「STREAMED」業績・予算管理サービスの「Manageboard」といったサービスを使っていただくことにより、紙がまったくなくなったり、1人当たりの顧問先数が何倍にもなったりすることが増えてきました。

さらには、DXコンサルや経営アドバイス等の新たな収益源の柱ができたり、経営のプロを育成できるようになったりもしています。ほとんどの士業事務所において「クラウドを使いたい」という新規法人さまが増えたため、「新規顧客の獲得という面でもブランディングができている」と言っていただくことが増えています。

スライド下部の導入事例をご覧ください。我々は毎年「士業サミット」というイベントを開催しています。そちらにご登壇いただいた方で、葵パートナーズさまの花田先生という、素晴らしく強いビジョンをお持ちの方がいらっしゃいます。クラウド化により業務スピードや収益性が向上し、競合優位性も確立されたおかげで、非常に良い人材を採用できたとのことです。

私も事務所のスタッフの方々にお会いしました。年齢は関係ありませんが、若い方々が生き生きと新しい取り組みをされる姿を拝見し、非常に心強く思った次第です。

いまだクラウド化が難しいという既存のお客さまもいらっしゃいますので、引き続きしっかりとサポートし、会計事務所さまと顧問先の生産性向上に努めていきたいと思っています。

1-2. 中堅企業のバックオフィス業務を網羅

中堅企業のバックオフィス業務のプロダクトラインアップです。債権、会計、経営管理、支出管理、人事労務、SaaS管理、契約と、国内でも最大のプロダクトラインアップだと思っています。

経営管理のところに記載したように、「Manageboard」を提供するナレッジラボさまの持ち株を、61パーセントから100パーセント保有に変更し、完全子会社化しました。ならびに「Sactona」を提供するアウトルックコンサルティング社が、TOBによりマネーフォワードグループにジョインしたことで、ラインアップがますます拡大しています。

1-2. 中堅企業領域においては、自由度と拡張性を持たせたコンポーネント型ERPを展開

繰り返しになりますが、我々の強みは、使いやすいところから導入していただけるコンポーネント型であるところです。クラウドの法人向けサービスについてのご説明は以上です。

2. 当社のM&A(グループジョイン)戦略 と実績

M&A(グループジョイン)における戦略と実績についてです。我々は、非常に規律あるかたちでM&Aを推進しています。主な戦略は3つです。

1つ目は、プロダクトラインアップの拡充です。我々の既存のお客さまに対して、良いサービスを提供していくことでARRを拡大します。過去の一部の実例としては「STREAMED」「Manageboard」「V-ONEクラウド」と続いています。

2つ目は、TAM(地理的拡大)です。我々のみではできないかたちで、日本以外の地域への展開を中期的に検討する必要があると考え、インドネシアSaaS企業のMekari社に出資しています。こちらは、東南アジアマーケットで最大のSaaSカンパニーです。

3つ目は、TAM(事業領域の拡大)です。隣り合わせの市場ではあるものの、異なる領域の「BOXIL」のスマートキャンプ社と「BizHint」のビズヒント社がM&Aによってグループジョインしています。

2. グループジョイン後のシナジー効果

グループジョイン後のシナジー効果についてです。もともと良いプロダクトを提供している企業であるため、我々のセールス・マーケティングを活用して成果がかなり出ています。

例えば、8年前の2017年にグループジョインしたクラビス社の「STREAMED」は、クロスセルを推進することにより、2018年11月期には新規登録数が前年同期比で5.5倍に増加しました。直近はさらに伸びています。

ナレッジラボ社の「Manageboard」も、グループジョイン後に導入顧客数が約6倍増加しています。

2-1. 高成長が見込まれる経営管理システム領域におけるグループ事業戦略を加速

今回、TOBにより、アウトルックコンサルティング社にグループジョインしていただきました。ナレッジラボ社も100パーセント子会社化しており、さらに連携を強めていきます。

2-1. SMB~Enterprise企業まで、経営管理領域における幅広いニーズへの対応

経営管理領域については、今後非常に伸びるとの見通しがあり、予測も出ています。この成長を我々にもしっかりと取り込んでいきます。会計ソフトと非常に相性が良い領域であるため、成長ドライバーの1つとなることを大いに期待しています。

なお、アウトルックコンサルティング社は、2025年11月期の第1四半期から連結予定であり、PL上の連結は2025年11月期の第2四半期からとなります。

ご存知のとおり我々が注目している経営管理領域は範囲が広く、対象企業がEnterprise・中堅企業・SMBに分かれています。対象事業者数はEnterpriseが約2,000社、中堅企業13万社、SMBが約175万社あり、それぞれ必要なニーズや機能が変わってきます。

我々の提供サービスとしては、今回グループジョインしてくれたアウトルックコンサルティング社の「Sactona」が、Enterpriseおよび大きな中堅企業に強いです。中堅企業とSMB向けには「Manageboard」を提供できます。このように、すべての経営管理領域において、マネーフォワードグループのサービスラインアップが提供できると考えています。

グループ企業向けとしては「マネーフォワード クラウド連結会計」という、非常に評判の良いサービスがあります。こちらの併売により、経営管理領域の業務効率化と可視化を推進できるのではないかと期待しているところです。

2-2. SaaS型社宅管理システム/サービスを通じて福利厚生賃貸を実現するシャトク社を2024年12月よりグループ会社化

もう1社、2024年12月からグループジョインしてくれたのが、SaaS型社宅管理システム/サービスを通じて福利厚生賃貸を提供するシャトク社です。

福利厚生制度の1つである社宅制度は、会社にも従業員にもメリットがありますが、やり取りが非常に大変なものです。入退社手続、給与計算、勤怠管理など、実際にはいろいろな手間がかかります。

「マネーフォワード クラウド福利厚生賃貸」は、丸投げしていただければその手間を解決するというサービスで、競争優位性があります。従業員が契約している賃貸物件を法人名義に変更することにより、従業員の手取り収入を増やすとともに、企業のコスト削減を実現します。「マネーフォワード クラウドHRソリューション」のプロダクトとして、ラインアップに加えています。

実際に、最近上場された企業さまにも使っていただきました。大きなニーズがあり、グループジョインの発表後から引き合いが多くあり、これから期待できると思っています。

25/11期の見通し

2025年11月期の通期ガイダンスと中長期の財務ターゲットについてご説明します。通期売上高は前年比23.9パーセントから30.3パーセント増の500億円から526億円、SaaS ARRは前年比30.6パーセントから37.2パーセント増の392億円から412億円、調整後EBITDAは25億円から45億円の見通しです。

これらの実現をしっかりと目指していきたいと思っています。SaaS ARRに関しては、前期の成長率である30パーセント増から、さらなる加速を目指します。

広告宣伝費の売上高比率は、14.5パーセントから16.5パーセントです。広告宣伝費の金額は増やしますが、費用対効果を十分に見てコントロールしていきたいと思っています。EBITDAベースの人件費外注費売上高比率は、57.0パーセントから62.0パーセントに改善し、調整後EBITDAマージンは1パーセントから5パーセントの改善を目指します。

新ドメイン別実績および今後の見通し

実績および今後の見通しについて、今回からドメイン別に開示することになりました。新ドメイン別として、成長率ならびに収益性等についてご説明します。

スライドの左側4列には2024年11月期の実績を、右側にはガイダンスを記載しています。全社については先ほどお伝えしたとおりです。

Money Forward Businessドメインについては、売上高の実績が270億3,100万円で、前年比33パーセントの増加です。売上高は33.0パーセントを上限とし、SaaSのARRは38.3パーセントを上限とした成長をしていこうと考えています。

Money Forward Homeドメインについては、EBITDAマージン31パーセントと比較的収益率が高いビジネスモデルですが、今回、三井住友カードさまとの連携を強化し、成長率は18パーセントから24パーセントといったレンジで成長を加速しようと思っています。

Money Forward Xドメインは2024年11月期は苦戦したところもあり、13パーセントから上限18.8パーセントの成長率に改善していこうと模索しています。SaaS Marketingドメインは2024年11月期の実績が41パーセント増となっています。「BizHint」のグループジョイン効果が2024年11月期の実績に入っているため、前年度は成長率が高く見えますが、2025年11月期については、最大27.9パーセントを目指していきます。

Money Forward Financeドメインは、投資先のイグジットがあるかどうかによりますが、ベンチャーキャピタルであるHIRAC FUNDによる売却収入は、現状で8億円から10億円のガイダンスにしています。

共通費は各ドメインにできるだけ配賦していますが、そちらに帰属しない社長室やデザイン戦略室、Public Affairs室などの費用であるバックオフィス関連費用を、コーポレート人員に配賦されたバックオフィス関連費用として計上しています。加えて、M&Aに伴う一時費用等を計上しており、22億8,800万円になっています。

売上高に占めるオペレーションレバレッジは、売上高が上がっていくと効いてくるため、共通費をより減少させたいと思っています。全体的に、2028年11月期の売上高1,000億円以上、EBITDA300億円以上の実現に向け、売上高広告費率や人件費外注比率の改善を継続し、マージン改善の継続にしっかりと取り組んでいきたいと思っています。

中長期の財務ターゲット(Update)

中長期の財務ターゲットに変更は引き続きありませんが、内訳として、今回はドメイン変更がありました。Money Forward Businessドメインが650億円から700億円、Money Forward Homeドメインが100億円、Money Forward Financeドメインはファンドだけであるため、10億円から20億円としっかり取り組んでいきます。中長期的には、EBITDAマージンを40パーセント以上に持っていきたいと思っています。

中長期の財務ターゲット達成に向けたインセンティブ設計の導入

中長期の財務ターゲット達成に向けたインセンティブ設計を導入する予定です。企業価値向上に向けて、経営陣でしっかり数字を達成しインセンティブを作るべく、中長期財務ターゲットとして、2028年の売上高1,000億円以上、EBITDA300億円以上の達成を目指します。

かなりのチャレンジですが、取り組んでいきたいと思っています。売上とSaaS ARRだけではなく、EBITDAやキャッシュ・フロー創出へのコミットメントも示すために、調整後の事業キャッシュ・フローマージンも数字で出しています。

少しややこしいですが、業績要件達成の2028年までは4年間であるため、希薄化率は毎年約1パーセント、最大で4パーセントです。2028年11月期までは、同様のSOを発行する予定はありません。対象者は経営陣で、社内取締役、執行役員およびそちらの候補者です。

行使条件は、売上高、SaaS ARR、EBITDA、キャッシュ・フローマージンについて0パーセントから25パーセントずつ刻みます。売上高が1,100億円以上、SaaS ARRが880億円以上、EBITDAが350億円以上、キャッシュ・フローマージンが25パーセント以上を実現した場合にのみ、それぞれ25パーセントの権利が出るかたちです。

1,000億円以上、800億円以上、300億円以上の場合、それぞれ20パーセントとなります。売上高が900億円未満、SaaS ARRが720億円未満、EBITDAが250億円未満、調整後キャッシュ・フローが15パーセント未満の場合は、一切行使ができないかたちになっています。

2028年まで4年間と長く、達成した分もその後3年にわたって段階的に行使可能となるため、かなり長期のコミットメントを要求します。費用計上については、監査法人さまとも議論しながら進めていきます。平均で計上できず、発生確率が上がってくると費用計上になるため、2025年11月期における費用計上は0となります。

ノンキャッシュ項目であるため、EBITDAへの影響はないものを作っています。チャレンジングな目標に、経営陣とともに全社一丸となって向かっていきたいと思います。企業価値を上げ、いい結果が出れば、しっかり株価は上がってくると考えているため、着実に取り組んでいきたいと思っています。

25/11期の見通し

連結売上高、SaaS ARR、調整後EBITDAは、スライドに記載したとおりです。事業キャッシュ・フローに関しても、最速で2025年11月期の後半には、四半期で黒字化を最速で実現したいと思っています。営業利益も、2026年11月期には通期で黒字をしっかり達成し、収益率を高めていきたいと考えています。