2025年4月期 第2四半期決算

田角陸氏(以下、田角):みなさま、本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。ANYCOLOR株式会社代表取締役CEOの田角です。それでは、2025年4月期第2四半期の業績について、CFOの釣井よりご報告します。

釣井慎也氏(以下、釣井):CFOの釣井です。私より、第2四半期の決算ハイライトについてご説明します。

第2四半期の業績は、売上高99億600万円、営業利益40億4,300万円、当期純利益28億200万円の着地となりました。

領域別に見ていくと、ライブストリーミング領域は、引き続きメンバーシップを中心とした収益構造となっており、当初の予想どおり、安定した推移となっています。

コマース領域の第2四半期実績は66億5,200万円で、期初に予想していた72億円から75億円に対し、若干割り込むかたちでの着地となりました。

四半期ベースでコマース領域の売上高は過去最高であり、お客さまからの受注ベースでは、しっかりと予想を上回る着地となっています。一方で、この第2四半期において、グッズ発送遅延の解消を見込んでいたものの、実際には見込みどおりの解消とはならず、結果として若干ビハインドで着地しています。

イベント領域は、第2四半期に2件のイベントを開催しています。現地のチケット販売は非常に好評で完売となりましたが、オンラインチケットの売上が見込みを若干下回る販売となりました。

企業案件を中心とするプロモーション領域は、当初の予想より良い結果となっています。第2四半期はスタジオの移転などで稼働が落ち込むと予想し、13億円から14億円を見込んでいましたが、10月の追加IPコラボ案件の実施が一因となり、結果としては非常に良い結果で着地しています。

このような売上高の結果を踏まえて、営業利益、当期純利益については、利益率ベースで予想どおりの着地となりました。

業績サマリー

業績サマリーです。上半期全体で振り返ると、売上高173億4,100万円、営業利益67億6,100万円と、上期業績予想の売上高180億円、営業利益71億円に対し、5パーセント弱下回る結果となっています。

主な要因としては、グッズ発送の遅延を主な理由としたコマース領域における下振れが発生したこと、第1四半期に発生したイベントの中止や延期したことがあり、それらが売上高および利益に影響しました。

下半期に向けては、未発送残高の解消およびグッズ販売やイベントにおいて延期・中止分を補填する追加施策を実施することで、通期予想をしっかりと達成していきたいと考えています。

売上高および営業利益推移(四半期)

売上高および営業利益の四半期推移です。売上高としては過去最高となっています。

コスト内訳推移(四半期)

コスト内訳推移です。直接変動費は44.4パーセントで着地しています。第2四半期の直接変動費の中には、第1四半期のイベント中止に関する損失を計上しています。イベント中止に至った意思決定が第1四半期末付近で行われたことから、金額確定が第2四半期にずれ込んでいます。イベント中止損失の計上を行ってもなお、直接変動費全体では44.4パーセントと、おおむね影響のない水準で着地することができました。

その他原価・販管費項目では、人員採用を継続的に実施した結果、人件費を中心にコストは増加傾向にありますが、売上高の成長により売上高対比での経費の比率は15パーセントを下回るかたちで着地しています。このようなことが営業利益率40パーセント超という着地につながっています。

VTuber数およびANYCOLOR IDの推移

VTuber数およびANYCOLOR IDの推移です。VTuberにおいては、8月に「にじさんじ」から5名がデビューしています。一方で、「にじさんじ」から2名、「NIJISANJI EN」から2名の計4名が卒業となり、会社全体では1名純増となっています。

ANYCOLOR IDの推移を見ると、引き続き、新規ファンの流入が見てとれると思います。

従業員数の推移

従業員数の推移です。全社的に見ると、人員の拡大傾向が続いています。ビジネス領域においては、300名を超えていますが、これはIPコンテンツの販売、イベントの実施、営業案件などの実施施策の増加に伴い増員しています。

また、2024年10月より新スタジオをオープンしていますが、新スタジオの稼働に伴い、スタジオエンジニアを中心に、全社として採用を強化しています。

第2四半期における主要施策

スライドは第2四半期に実施した主な施策の一例です。コマースにおいては、ユニットを中心とした施策や、ファンの方々に喜んでいただけるような企画の施策を中心に展開しています。

スライドのコマースに掲載している「3SKM Half Anniversary」は、デビュー半年を記念したグッズで、デビューして間もないVTuberによる貢献もあり、全体として良かったと思っています。

プロモーションにおいては、従前からゲーム領域が強いですが、スライドに掲載しているのは非ゲームの領域で、「DMM TV」さまと「にじさんじ」の動画を中心としたコラボや、金融領域である三井住友カードさまとのコラボといったかたちで、多種多様なコラボレーションを実現しています。

スライド右側には、第2四半期に実施した2件のイベントを掲載しています。

2025年4月期 第3四半期業績見通し

ここからは、第3四半期の見通しについてご説明します。11月から1月の3ヶ月間となる第3四半期の業績見通しは、売上高は94億円から99億5,000万円、営業利益は34億5,000万円から37億5,000万円、当期純利益は24億1,500万円から26億2,500万円の予想となっています。

領域別に見ると、ライブストリーミング領域は、前四半期からそれほど状況は変わらない見通しです。コマース領域は、引き続きユニット施策や楽曲コンテンツといった、ファンに喜んでいただけるコンテンツを中心に企画を行っていきます。加えて、この第2四半期末までに溜まっている未発送の残高をしっかりと管理していくことで、売上高を伸ばしていきたいと考えています。

イベント領域は、第1四半期、第2四半期と比較して、大きく数字が伸びることを予想しています。

「にじさんじ」全体を挙げて開催する「にじさんじ歌謡祭2024」に加えて、VTuberのソロライブやユニットライブを複数企画しており、このイベントによる収益貢献が大きくなると予想しています。

企業案件のプロモーション領域は、引き続き好調な結果となる見通しです。営業利益率では、前四半期対比で低く見えるところもありますが、イベント領域の比率が大きくなる中で、利益率は第2四半期より若干落ちる着地になると予想しています。

VTuber・ユニットのプロデュース体制

田角:現在、取り組んでいる中期的な成長に向けた事業進捗についてご説明します。

まずは、VTuberやユニットのプロデュース体制を下半期から変更しました。従来はマネージャーの部署と、ユニットのプロデュースといった進行管理やディレクションを行う部署は別々の部署として機能していました。今回、それを一体化し、プロデュース本部の中にプロダクション部門を作りました。これにより、ユニットのプロデューサーやマネージャー、進行管理をする方々が1つのチームとして行える体制としました。

1つのチームとして行っていくことで、迅速な意思決定を可能とする、効率的な体制を構築することができます。また、これまではマネージャー主導や、他のビジネス部門で主導していた個々のVTuberの活動やユニット活動を、今後は連携して強化していくことにより、個人の活動とユニット活動のさらなる相乗効果に取り組んでいきます。

加えて、新人マネジメント部もここに所属しています。ここは、新人をプロデュースしていく中で、最初の数年間を担当する部門で、デビューして間もなく起こりうるトラブルへの対応や、悩み事への対応といった分野を専門的に取り扱うことができます。VTuberとして中長期に活躍できる人材の輩出を目指し、デビュー後もしっかりと取り組んでいくような体制への変更となっています。

デビュー年度別の収益貢献度とVTuberあたり収益

このスライドでは、上半期のデビュー年度別の収益貢献度とVTuberあたりの収益をまとめています。左側のグラフは、デビュー年度別の収益貢献度を示しています。長年所属しているVTuberだけでなく、直近デビューしたVTuberにおいても、収益に幅広く貢献していることが見てとれます。

全体のVTuber平均と比較しても、特に2023年4月期デビューのVTuberの収益貢献度が高いことが右側のグラフから見えてきています。新人プロデュースの1年目、2年目においてもしっかりと収益貢献しているというところで、新人プロデュースやユニットプロデュースにおいて、少しずつ成果が出せている結果と考えています。

ユニットプロデュースと直近の活動例

ユニットプロデュースの直近の事例をご紹介します。ユニットプロデュースでは、複数のVTuberを1つのユニットとして、音楽活動や番組活動、グッズ展開などを行っています。直近の事例としては、スライド一番左「Speciale(スペシャーレ)」という男性2名・女性3名、計5名のユニットがデビューしています。スライド中央「ROF-MAO(ロフマオ)」の『Bring it on』のMVは、公開2ヶ月で1,000万回再生突破の実績を出すことができました。

加えて、「VΔLZ LIVE TOUR 2024『三華の樂』」を実施しました。ライブツアーを3公演実施し、現地チケットはすべて完売と、非常に好評でした。

最後にグッズコンテンツの販売です。「ChroNoiR(クロノワール)ニューレトロスタイル」というグッズを販売しています。これは既存のユニットイメージとは離れた企画となっており、新しいファン層と既存のファン層のどちらにも喜んでいただけるような取組となっています。

直近オーディション/新規デビューの報告

直近オーディションと新規レビューの報告です。2023年11月、2024年2月、5月、8月と、定期的にオーディションを開催し、それぞれの応募者数は1万名前後で推移しています。直近では、男性アイドルオーディション、女性ゲーマーオーディション、U-21向けカリキュラムのオーディションを開催しました。

男性アイドルや女性ゲーマーのオーディションは、これまでのVTAのカリキュラムや選考とは異なるかたちで、「にじさんじ」のファン層を広げていくための新しい取組と、特別な選考を実施しています。

U-21向けカリキュラムにおいては、長い目線でタレント育成を行っていくことにより、より長く、より幅広く活躍できる人材をプロデュースすることを目的としてオーディションを開催しています。

直近では、2023年11月に、マスコットのVTuberオーディションを開催しました。VTA育成やデビュー前研修を経て、2024年6月に、女性4名とマスコット1匹がVTuberとしてデビューしています。

グッズ販売の体制

グッズ販売の体制についてご説明します。こちらも若干体制を変更しています。コマース事業はIPマーケティング本部という部門がメインで担当していますが、部署を3つに分けています。1つ目がグッズの企画をするMD企画部、2つ目が進行管理やEC対応を行うMD製造販売部、3つ目が品質管理やイラスト管理を行うマーケティング部です。

このような3つの部署に分けることにより、役割を分担し、より効率的な取組を目指して、体制を変更しています。

グッズ販売における発送遅延

グッズ販売における発送遅延についてご説明します。釣井からもあったとおり、発送遅延が引き続き起こっており、未発送残高が増加傾向にあります。

その背景として、大きく3つの要因があります。1つ目は、外部の企業さまとの連携・管理不足、2つ目は、製造会社からの納品スケジュールの遅延、3つ目は、販売開始時期の異なる商品の同時購入です。

特に、2024年4月期期末から2025年4月期第1四半期にかけて、残高は大きくなっています。第2四半期においても解消されず、未発送残高は前期末から比較して約5億円の増加となりました。

未発送残高の解消に向けた対応策として、既存商品においては、出荷計画表を作成した上で、日次で出荷状況を管理するような対応を取っていきたいと考えています。

また、新規施策においては、納品日が確定次第、出荷開始日と完了日を管理していきます。このような対応策によって、未発送残高の解消に向けて取り組んでいきます。

グッズ販売における直近の取組事例

グッズ販売における直近の取組事例です。スライド左側は、企画の部分です。ターゲット層を定め、既存の人気商品や今までにない商品の企画・製造販売を行っています。

例えば、スライド左下に載せている「にじさんじ Christmas Wear~KD Sweater Style~」のような、話題性を生むアパレルグッズを販売しています。

右側は、プロモーション・マーケティングの施策という観点で掲載しています。SNSプロモーションや、動画エンドロールでの起用などを行っています。

先ほどお話しした「にじさんじ Christmas Wear~KD Sweater Style~」についても、例えば、動画内・生放送の中で、VTuberが実際に実装して配信を行います。このように、より相乗効果のあるようなプロモーションを実施しています。

新スタジオ開設に伴う効果と今後への影響

最後に、新スタジオ開設に伴う効果と今後への影響です。従前よりご説明していた新スタジオ開設ですが、引っ越しが完了しました。スタジオの面積規模を、これまでの約3倍まで拡張しています。

すでに、新しいスタジオの運用は開始しています。スライド左下に掲載していますが、新スタジオ設立記念として、総勢50名のVTuberがスタジオに集まり、「にじさんじ大感謝祭」という大型特番を実施しました。

引っ越し前と比較しても、足元でのスタジオ稼働量は大きくなってきています。このような背景から、プロモーション配信のコンテンツから新規のお客さまを獲得する施策まで、さまざまなコンテンツの量・質ともに向上させられるような取組になっていると考えています。

質疑応答:海外のテコ入れ等の状況と回復時期の見通しについて

釣井:「米国を中心とする海外のテコ入れ等の状況と、回復時期の見通しについて教えてください」というご質問です。

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