本日のご説明
中山俊樹氏(以下、中山):代表取締役社長の中山です。本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。それでは、スライドに沿ってご説明します。
2024年度 第2Q 決算サマリー
第2四半期の決算概況です。新たにグループ入りした国際航業の寄与もあり、受注高・売上高ともに前年同期比で大幅な増収となりました。上半期としてはオーガニック、つまり国際航業の寄与分を除いても過去最高の受注・売上となりました。
利益に関しても、営業利益・純利益ともに増益となり、増収増益の決算となりました。
受注高
まずは受注高です。企業/環境社会基盤ドメインの非キャリア事業が大きく伸びた結果、前年同期比571億円増の3,192億円となりました。
特に環境・社会事業が、昨年、当社グループ入りした国際航業の寄与に加えて、オーガニックベースでも大きく伸び、好調に推移しました。
ICTソリューション事業も増加しました。
一方、通信基盤ドメインのキャリア事業に関しては、NTT事業は増加しましたが、NTT以外のマルチキャリア事業は減少し、トータルで微減となりました。結果として、非キャリア事業の比率は63パーセントとなり、当社が重点的に成長を図っている「みらいドメイン」の構成比率も45パーセントと増加しています。
売上高
売上高です。受注高と同様に、企業/環境社会基盤ドメインの非キャリア事業については、環境・社会事業が増加、ICTソリューション事業は微増となりました。通信基盤ドメインのキャリア事業については、NTT事業が増加、マルチキャリア事業は減少しました。
全体として、前年同期比333億円増の2,499億円と増収となりました。売上高も、非キャリア事業の比率が59パーセントとなり、また、「みらいドメイン」の構成比も44パーセントと増加しました。
売上高(事業区分別)
以下、事業区分別の売上高です。まずは、環境・社会イノベーション事業についてご説明します。前期比317億円増の851億円と好調で、全体の売上増を牽引しました。ミライト・ワンの再生可能エネルギー関連、電気・空調分野に加えて、西武建設の建築・リノベーション分野、そして、国際航業の企画・コンサル分野も増収に寄与しました。
売上高(事業区分別)
ICTソリューション事業です。前期比6億円増の622億円と微増になっています。前年度にLAN等の分野で大口売上があり、その反動減やキャリア向け通信機器の物販が不調でしたが、需要が旺盛なDC(データセンタ)・クラウドの部分が大幅に伸びたほか、グローバル事業も為替等の影響を含めて増加しました。
売上高(事業区分別)
NTT事業です。固定関連が増加したほか、モバイルは5Gの品質改善投資が大きく伸びたことにより、前期比53億円増の854億円となりました。
売上高(事業区分別)
マルチキャリア事業です。通信キャリア各社によって多少濃淡はあるものの、前年度から続く受注減の影響を受けており、5G基地局整備、CATV関連いずれも減少し、前期比43億円減の172億円に留まりました。
営業利益
続いて営業利益です。前年同期比23億円増の47億円と、増益になりました。
営業利益対前期比較
こちらのスライドは、増減を因数分解したもので、前年同期比23億円の増益となった要因を示しています。
売上総利益は、全体で108億円増加しました。内訳として、環境・社会事業で73億円増、ICTソリューション事業で20億円増、この2つを合わせた企業/環境社会基盤ドメインで93億円の増となりました。
さらに、通信基盤ドメインの売上総利益も15億円伸ばすことができ、トータルで108億円の増益となりました。
一方で、販管費が環境・社会分野を中心に85億円増加しています。当期より、環境・社会事業の売上総利益と販管費が両建てで増加しているのは、当社既存事業とかなり事業構造が異なる建設コンサル業である国際航業の影響によるものとご理解いただければと思います。
なお国際航業に関しては、今年度から利益貢献をしており、のれん償却を加味しても上半期で約5億円の利益増となっています。また、オーガニックの部分でも販管費の増加がありますが、これは基幹システム刷新にかかる投資増です。
営業利益・EBITDA(率)
EBITDAについてです。2年前より参考値として、営業利益に減価償却費・のれんを加えたEBITDAを開示していますが、今回からこのスライドを正規に追加することにしました。
EBITDAは前年度の71億円に対して、今年度は111億円と増加しており、企業としての稼ぐ力を着実に伸ばしていることがおわかりいただけると思います。
純利益
純利益についてです。営業利益の増加に伴い、純利益は前年度の2億円から14億円に増加しています。
データセンタ事業戦略 現在
重点取り組み施策について、3点ご説明します。
1点目は、データセンタの事業戦略の現在と今後についてです。まず、当社グループのデータセンタ事業戦略の現在の展開です。現在の中心的な取り組みは、データセンタデータホール、いわゆるデータセンタの中の仕事になります。ケーブリング工事などの通信設備の施工で、日本を含めアジア13ヶ国に事業展開しており、今年度には約300億円の売上を想定しています。
また、電気分野では、特にUPS(無停電非常電源設備)の施工を拡大させています。最近、急速に需要が高まるGPU(Graphics Processing Unit)リソースを提供するコンテナ型データセンタなど、新しい分野への取り組みも加速させています。
スライド下部の施工部分を説明しましたが、上部にサービスとO&M(Operation&Maintenance)に関して記載しています。サービス提供分野においては、大阪で自社保有のデータセンタをオペレーターとして運用しています。そこではデータセンタのサービスそのものを提供(27億円)しています。さらに、他社のデータセンタをお借りしてサービスを提供する、DC in DC(Datacenter in Datacenter)の形態での事業も展開しています。
データセンタ事業戦略 今後
今後の展開について業容拡大を含めてご説明します。背景に建設分野における労働者不足があります。データセンタの建設にも大きな影響を及ぼしており、ゼネコンや通信、電気、空調など、それぞれのサブコンの分野で労働力を確保することが極めて困難になっています。
データセンタの建築そのものから、通信、電気、空調など、ワンストップでの請け負いを望まれるお客さまが非常に多くなっています。
私どもは、ゼネコンの西武建設、通信・電気のミライト・ワン、空調の日設をグループ内に持っているため、ワンストップを期待されているお客さまの声に応えることができる、数少ない企業グループであると考えています。もちろん、まだまだ各分野で経験値を積み重ねる必要もありますが、今後はグループの強みをフルに活かして、グループトータルのフルバリュー型でデータセンタ事業に本格的に取り組んでいきたいと考えています。
さらに、自社でオペレーターとしてデータセンタを運用していますので、その経験やノウハウを活かして、データセンタにおけるO&M(Operation and Maintenance)の分野にもサービス領域を拡大していきたいと考えています。
非常にチャレンジングではありますが、2026年度には、2024年度対比で50パーセント増を目指して取り組んでいきたいと考えています。
三位一体の事業シナジーの推進
2点目は、街づくり、里づくりの分野におけるミライト・ワン、西武建設、国際航業の三位一体のシナジーの推進についてです。
スライドに記載のとおり、「ゼロカーボンシティ事業」と「公益インフラマネジメント事業」の2軸に注力して取り組んでいるところです。
まず、ゼロカーボンシティ分野では、自治体向けZEB(Net Zero Energy Building)改修事業で上半期に3件12億円の受注を獲得しました。今年度の目標である10億円を上回る成果を上半期であげることができました。
公益インフラマネジメント分野では、道路包括管理事業で、自治体向けの提案を進めており、パイロット案件の早期受注を目指して鋭意取り組んでいるところです。
2026年度の受注目標である100億円達成に向けて、テーマごとに実務者での協議を進めており、また、ワーキングによる活動の推進も行っています。今後も三社連携をさらに強化していきたいと考えています。
ビジネスリスク管理室の運用状況
3点目は、「ビジネスリスク管理室」の運用状況についてです。昨年度、大変ご心配をおかけしたが、大型の不採算案件の再発防止のため、スライド左側に記載のとおり、まずカンパニーや各事業会社の事業サイドにおけるリスクマネジメント体制をしっかりと強化しました。
一方、スタッフ側であるガバナンスサイドではチェックと牽制機能を強化するために、今年4月に「ビジネスリスク管理室」を設置しました。
「ビジネスリスク管理室」では、一つひとつ案件の内容に応じて、各分野の社内専門家をアドバイザーとしてアサインして、上半期だけで24件の大型案件について、受注前のリスク評価を徹底して行うとともに、受注後の案件の進捗状況をしっかりとモニタリングし、毎月の取締役会で報告をしていく体制で取り組んでおります。
さらに、昨年度も含めた過去の大型不採算案件の事例分析や、そこから得られたリスク対策のノウハウをナレッジ化し、社内の教育機関である「みらいカレッジ」での研修を通じて全社的に共有することで、過去の失敗を繰り返さないための仕組みづくりを整備してきました。
2024年度 通期計画
今期業績と中期経営計画の見通しについてご説明します。今年度第2四半期までの業績は、概ね計画どおりに進行しています。その結果、通期業績予想は変更せず、受注高5,800億円、売上高5,700億円、EBITDA400億円、営業利益270億円、当期純利益180億円の通期計画の達成に向けて引き続き取り組んでまいります。
財務・資本戦略
株主還元についてです。今年度も、還元方針は「安定的な配当成長と機動的な自己株式取得」を基本としています。総還元性向のターゲットレンジ(50パーセントから70パーセント)をベースとして積極的に株主還元を実施していく方針です。
今中間期は、前年比で増収増益でしたし、年度計画も変えていませんので、配当は期初の予想どおり、中間期35円、期末40円の年間75円を予定しており、前年比で10円の増配となります。
自己株式取得は新たに20億円を追加することとし、年間の自己株式取得額は合計50億円となります。結果的に、総還元性向は65パーセント程度の水準になります。
ROEに関しては、昨年度は残念ながら5パーセントと低迷しましたが、今後も収益性の向上や株主還元の実施等により、目標の10パーセント以上を目指して取り組んでいきたいと思います。また、EPS(Earnings Per Share)は、中計目標の10パーセントを上回る前年比48パーセント増の198円を見込んで取り組んでいます。
中期計画(中間点)の振り返り
中期経営計画についてです。2024年秋は、5年計画である第5次中期経営計画(2022年から2026年まで)の開始から2年半が経過した中間点にあたるため、中期経営計画の前半部分の振り返りと、社内でも計画のローリングをしてきました。その見通しをご説明します。
まず事業環境の振り返りですが、この2年半は、通信キャリアの設備投資抑制が想定以上に加速するとともに、コロナ禍の長い期間を経て資材価格や人件費が上昇するなど、さまざまなコスト増の要因があり、当社グループにとって厳しい事業環境でした。
一方で、データセンタの需要が拡大しています。グリーンエネルギー市場も拡大しています。災害に強い強靭な街づくりニーズも、自治体を中心にどんどん活発になってきています。そのような新しいニーズや事業機会の拡大も変化しました。
このような変化への対応として、当社グループは事業運営の一層の効率化を図り、コスト増の要因を企業努力で吸収することに努めてきました。同時に、「みらいドメイン」という新しい分野の早期拡大を目指して西武建設、国際航業等のM&Aを実施するとともに、データインサイトを活用して事業変革を目指していくことで、DX投資、情報関連投資も促進してきました。
その結果、「みらいドメイン」の比率は今年度、当初目標の40パーセントを上回る水準に達し、西武建設、国際航業とのシナジーも含めて、成長分野の売上拡大を目指して取り組んでいます。
一方で、成長投資の加速により、ノン・キャッシュのDA(減価償却とのれん)は、中期経営計画を策定していた時に想定していた数字よりも約70億円増加するかたちでの事業運営となっています。
中期計画の見通し
事業環境の変化、それに対応した事業戦略の変化も踏まえた中期経営計画の見通しについてご説明します。
西武建設、国際航業のM&Aを含む成長事業へのシフトの加速により、売上高目標は通信基盤ドメインの想定以上の落ち込みをカバーして、計画当初の7,200億円以上の目標を維持したいと思います。それとともに、「みらいドメイン」比率は、当初目標を5パーセント引き上げて45パーセント以上に設定し直したいと思います。
利益面については、当社グループの持続的な収益成長力(稼ぐ力)を示す指標として、EBITDAもしくはEBITDA率を新しいKPIとして導入したいと思います。未公表ながら、中期経営計画策定当初、EBITDA率目標は8.5パーセント以上としていました。当初の想定と同じ8.5パーセント以上と設定し、稼ぐ力の目標値、事業成長をしっかりと維持していきたいと考えています。
一方で、M&Aや情報関連投資・DX投資によるのれん、減価償却費の増加等を考慮し、営業利益率目標については当初の7.5パーセント以上から6.5パーセント以上に見直しを図りたいと思います。
新事業戦略:5つの事業変革「5Changes」
「MIRAIT ONE Group Vision 2030」の進捗状況についてお話しします。スライドの図は事業戦略の柱となる5つの事業変革「5Changes」を表しています。
次のスライド以降は、Change1からChange5について、取り組み項目別に、目標に対してどのように進捗しているのかをわかりやすく記載しています。
本日は時間の関係上、「NEW」のマークが付いている新たに追加した施策項目についてのみご説明します。他の項目については各スライドをご参照ください。
Change 1 人間中心経営の進展
まず、Change1「人間中心経営」の進捗状況です。「みらいカレッジ」は、社員の利用率はほぼ100パーセントですが、パートナー企業、協力企業の利用率は現在約48パーセントとなっています。目標の60パーセント以上の実現に向けて順調に拡大しています。
ワークライフスタイル改革の進展については、表彰制度(アワード)を新設しています。また「ミライト・ワン流価値創造モデル」を制定し、6月に有価証券報告書に開示をしました。その他、人事制度改革、健康経営の取り組みについても着実に進捗しています。
Change 2 みらいドメインへの取り組み
Change2「事業成長加速」についてです。こちらのスライドをご確認ください。
Change 2 三位一体のシナジー
ミライト・ワン、西武建設、国際航業との三位一体によるシナジー効果についてご説明します。上半期における3社連携による受注実績は、西武建設とミライト・ワンの2社連携で18億円、西武建設、国際航業、ミライト・ワンの3社連携で12億円、合わせて30億円となっています。
三位一体のシナジーの着実な実現には、まだまだ課題がありますが、1つずつクリアして、フルバリュー型事業モデルの実現、成長に向けて取り組んでいきたいと思います。
Change 3 利益性改善の進捗状況
Change3「利益性トップクラス」です。生産性向上を目指した取り組みの進捗について、スライドをご参照ください。
Change 4 データインサイト経営
Change4「データインサイト経営」、DX関連についても、スライドをご参照ください。
Change 5 ESG経営基盤強化への取り組み
Change5「ESG経営基盤強化」についてご説明します。
当社は「環境にやさしく強靭な街づくり・里づくりへの貢献」をマテリアリティの1つのテーマとして取り上げており、生物多様性保全や自然環境全般に関わる取り組みをさらに加速していくため、TNFD(自然関連情報開示タスクフォース)の理念に賛同し、TNFDフォーラムに参画の申請を行っているところです。
取締役会は今年度、経営環境の変化に対応した意思決定の迅速化を図るため、取締役の人数を19名から13名へ変更し、大幅にスリム化しました。
さらに、サプライチェーン全体のサステナビリティ実現のために、調達基本方針およびガイドラインを策定して開示しています。
その他、スライド最下部に記載のとおり「えるぼし」「くるみん」等の認定取得を推進しています。今後もESG経営基盤強化と情報開示の充実を図っていきたいと考えています。
2022-2026 中期目標(ローリング)
スライドの図は、中期目標達成に向けた推移を表しています。「みらいドメイン」、非通信分野の拡大によりトップラインを成長させていきます。また、継続的な事業効率化とコストダウンを図ることにより、稼ぐ力としての利益率をEBITDAも含めて向上させていきます。中期目標の達成と、「超・通建」に向けた企業価値向上を目指して、継続して努力していきたいと考えています。
上半期業績の推移
ご説明は以上となりますが、少し補足させていただきたいことがございます。先週11月13日の決算発表後、当社の株価は5パーセント弱下落して、ご心配をおかけしております。その後、だいぶ戻してはきておりますが、いくつか下落した要因があるでしょうが、その1つに年間計画に対する上半期の利益進捗率が物足りないというご指摘があるのではないかと考えています。
スライドの表は、過去も含めた上半期の業績をまとめています。今年度の営業利益の進捗率は17.3パーセントと、過去2年と比較すると上昇しているものの、3年前、4年前に比べるとやや低くなっています。
下半期業績の推移
しかし、今年度の当初計画の達成は十分可能と考えています。スライドの表は、今年度を含む過去5年間の下半期の業績をまとめたものです。
今年度は、過去最高水準の豊富な繰越工事が下半期に控えているため、これをしっかりと完工促進させることにより利益増を図ってまいります。さらに、通信基盤ドメインの利益改善も見込まれているため、過去の実績水準から見ても達成可能な数字だと考えています。
前年度は、大型不採算案件の発生と通信基盤ドメインの減収により、営業利益が大きく減少しましたが、今年度は不採算案件の影響は概ね解消されていることに加え、国際航業のグループ入りによる業績貢献が通年で期待されています。
こうしたことからも、期初に公表した業績予想の達成は十分果たしていけるものと考えており、この点だけ補足でご説明させていただきました。
以上で私からの説明は終わります。
質疑応答:ICTソリューション事業の上半期進捗と下半期見通しについて
質問者:ICTソリューション事業の上期進捗と下期見通しについて教えてください。売上総利益率が、第1四半期対比で第2四半期が若干低下した背景、通期の計画(16.1パーセント)の達成確度についてコメントをお願いします。
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