2024年12月期第2四半期決算説明

戸田繁樹氏(以下、戸田):株式会社日本マイクロニクス2024年12月期第2四半期の決算説明会を開始します。本日の司会進行を務めます、経営企画戦略本部経営企画戦略部長の戸田です。どうぞよろしくお願いします。

続いて、本日の出席者を紹介します。

長谷川正義氏(以下、長谷川):代表取締役社長の長谷川です。本日はどうぞよろしくお願いします。

片山ゆき氏(以下、片山): 取締役上席執行役員管理本部副本部長の片山ゆきです。どうぞよろしくお願いします。

戸田:今回も、前回に続きWeb上でのライブ形式の決算説明会とします。本日は、2024年12月期第2四半期決算概要について片山より、事業等の概況および業績予想について長谷川よりご説明します。その後は、みなさまからのご質問をお受けします。よろしくお願いします。

決算概要

片山:2024年12月期第2四半期、中間決算概要についてご説明します。

はじめに決算概要です。スライドには四半期ごとの業績を記載しています。オレンジ色のセルが、当第2四半期となる4月から6月までの3ヶ月の実績です。

売上高は143億7,600万円、営業利益は32億5,500万円となりました。直前の第1四半期となる1月から3月までと比較すると、売上高は21.9パーセント増加、営業利益は29.8パーセント増加という結果です。

前年同期である昨年4月から6月までと比較すると、売上高は約2倍となり、前年同期は営業損失だったため、営業利益は金額面で約34億円増加という結果です。

決算概要

半期累計の数字についてご説明します。同じく、スライド内オレンジ色のセルが当半期1月から6月までの累計実績値です。

売上高は261億7,100万円、営業利益は57億6,400万円となりました。段階利益については、経常利益は58億600万円、当期純利益は36億8,500万円です。

前年同期比較を、スライド一番右側に記載しています。売上高は前年同期比54.1パーセント増、営業利益以下の段階利益は3倍超という実績です。

販管費は、前年同期と比較して14億円ほど増加しています。主に研究開発費、減価償却費といった投資にかかる費用の増加、および売上の増加に伴う製品保証引当金の増加が、販管費増加の内容です。

5月13日に開示した業績予想値に対しては、売上・利益ともに1億円前後の差異はあるものの、業績予想とほぼイコールという結果です。

上期1月から6月までの実績レートは、1ドル150円弱です。後ほど長谷川よりご説明する通期業績予想において、下期の想定レートは1ドル147円としています。対ドル1円の為替インパクトは、2,000万円と試算しています。

経常利益および当期純利益に関して、営業外収益や特別損益等、本半期決算においては特にご説明を要する事項はありませんでした。

2024年12月期第2四半期決算の要点

2024年12月期第2四半期決算の要点です。全社ベースとして、四半期で過去最高の受注高と売上高を達成しました。

メモリ向けプローブカード事業に関しては、好調な受注を背景に高い生産稼働率を継続し、ノンメモリ向けプローブカードは、車載などの需要が堅調となり回復基調です。セグメント利益は、引き続き高い水準を維持しています。

TE事業に関しては、前四半期比では増収、半導体関連はテストソケットの売上が堅調に推移しています。FPD関連では、プローブユニットおよび検査装置が売上に寄与しています。セグメント利益は改善傾向であるものの、損失を計上しています。

四半期業績推移

四半期の業績推移です。こちらのスライドは、全社ベースで過去の四半期ごとの売上高、営業利益、営業利益率の推移を比較したものです。

当第2四半期の売上高は143億7,600万円となり、四半期ベースの過去最高売上高という実績でした。営業利益率は22.6パーセントとなり、前期第4四半期から継続して20パーセントを超える数字となっています。

四半期業績推移(セグメント別)

セグメント別の業績推移についてご説明します。

スライド左側のプローブカード事業は、前期第2四半期を底として、売上高、セグメント利益、セグメント利益率が着実に増加しています。安定した収益を計上しており、セグメント利益率は約30パーセントを9ヶ月間継続しています。

スライド右側のTE事業は、セグメント損失となったものの、直前の1月から3月までの第1四半期比では増収となっています。また、セグメント損失は縮小しています。

受注/売上/受注残高 四半期推移

受注、売上、受注残の四半期の推移です。スライド左側にあるプローブカード事業の受注高は、当第2四半期は167億9,200万円となり、四半期ベースで過去最高額を計上しました。前年第2四半期より、すべての四半期で受注高が売上高を上回っています。

その結果、受注残高は213億4,300万円と高い水準になっており、下期の業績見込みに反映しています。

スライド右側のTE事業は、受注高、売上高ともに4億円から6億円程度で推移しています。

四半期売上高(製品別)

四半期ごとの売上高を製品別に示したグラフです。スライド左側のプローブカード事業は、メモリ、ノンメモリを分けてお示ししています。

売上割合は、メモリ製品が90パーセント、ノンメモリが10パーセントという結果でした。メモリ製品の売上高が増加している一方で、ノンメモリの売上高も10億円を超えて13億円となり、売上は堅調と言えます。

スライド右側のTE事業は、本四半期で一部FPD製品の売上を計上したことにより、検査装置売上高は2億2,900万円と、前四半期比で増加しています。

地域別売上高 四半期推移

地域別売上高の推移についてご説明します。スライド左側は、売上高ベースの表です。当四半期の売上高143億7,600万円の内訳をご覧ください。

グラフの下から2番目にある韓国向けの売上高は、直前四半期比で24億円増加しています。日本国内向けの売上は直前四半期と比べて2億円ほど減少し、台湾向けの売上高は約1億円弱減少という推移になっています。

スライド右側は、売上高比率です。当第2四半期は、韓国向けの売上比率は55.0パーセントとなりました。日本国内向けの売上高比率は10.1パーセント、台湾向けは21.9パーセントです。

貸借対照表

貸借対照表です。スライド左側の資産の部からご説明します。

当第2四半期の総資産は638億5,800万円となり、そのうち現預金が211億2,700万円で、総資産に占める割合は33パーセントとなりました。フリーキャッシュフローがプラスであったことで、現預金水準が増加しています。前四半期比では、売上高の増加に伴って売上債権が増加しています。

グラフの下から2番目にある有形固定資産は、直前の第1四半期と比べて16億円ほど増加しています。こちらは、新棟建設等に伴う建設仮勘定の増加と増産対応の設備投資の増加が要因です。

グラフの1番下にある無形固定資産・投資その他資産は、6億5,000万円ほど増加しています。こちらは、投資有価証券の時価評価増が要因です。なお、当社の保有する投資有価証券の保有割合は、総資産に対して2パーセント程度です。

スライド右側の負債・純資産の部についてご説明します。

前四半期比で高水準の受注、売上高を背景に、支払手形・買掛金が6億円ほど増加しています。長短有利子負債が8億7,200万円あり、有利子負債比率は2パーセント弱という水準です。

当社は150億円のシンジケートローンを組成していますが、この枠を使用した借入は未実行であり、シンジケートローン枠をそのまま保有している状態になっています。

また、その他流動負債が16億円ほど増加しています。こちらは、未払法人税等の増加分である11億円が主な要因です。純資産は450億4,100万円となりました。

自己資本比率は70.5パーセントとなっています。1株当たりの純資産は1,167円で、現在の株価水準から言えばPBRは5倍程度となります。

投資等/キャッシュフロー

投資等、キャッシュフローの状況です。スライド左側の投資等については、研究開発費、設備投資、減価償却費を四半期ベースで示しています。研究開発費は四半期ベースで継続して13億円超を投資しており、こちらは計画どおりです。

設備投資は、第1四半期と第2四半期を合わせた設備投資は約31億円で、こちらも計画どおりの投資です。なお、この上期の約31億円の設備投資のうち、青森工場の新棟建設に関わる建設仮勘定の増加として9億円を含んでいます。

減価償却費は、上期の未償却資産の割合が高かったことで約12億円の減価償却費を計上しました。本下期においては、19億円の減価償却費の計上を予定しています。

スライド右側のキャッシュフローについては、当四半期は営業キャッシュフローが38億3,000万円となりました。投資キャッシュフローが23億5,500万円支出しており、このうち有形固定資産の取得に関わる支払いが15億円、長期性定期預金へのネット払い出しが4億円という内訳です。フリーキャッシュフローはプラス14億7,500万円で、現預金のレベルが高い要因となっています。

以上、2024年12月期第2四半期中間の決算概要についてご説明しました。

中長期の事業環境

長谷川:事業等の概況についてご説明します。中長期的な事業環境については、半導体市場の長期的な成長として、生成AIの需要増によるデータセンタ投資の継続が牽引役となり、GPUやDRAM・HBMなどの市場は引き続き拡大するだろうと見ています。

スライド右側のグラフは、Techinsights Inc.の報告資料です。2023年、2024年、2025年、2026年と大幅な右肩上がりを予想しており、その後少し踊り場はありますが、基本的には半導体市場は右肩上がりの市場が予測されています。

同時にDXやSXの推進などによって、半導体の役割・用途の裾野が拡大していくことは間違いないと言われています。それに伴い、プローブカードの需要は拡大していくと考えています。

なぜかというと、デバイスが高性能化することによる検査時間の長時間化や、高温・低温対応などその他高速対応といったさらなるハイスペック化の要求があるということが、プローブカードの成長につながっていくと考えられるからです。最先端半導体のチップレット化によって、さらにウェーハテストの比重が増加していくと見ています。

また、HBMなど、特にメモリのウェーハデバイスの積層が今後も進んでいくと考えられることから、引き続きプローブカードの需要が伸びる傾向は変わらないと考えています。

2024年の当社見通し

プローブカードについてです。当社としては、生成AIに関連したメモリ半導体の需要増が寄与することで、2024年通期業績は前年同期を大きく上回る見通しです。メモリ向けのプローブカードのシェアが高いということが非常に追い風となっており、このHBM向けの需要が急激に増加しています。

スライド右側のグラフにあるように、2024年は受注状況として非常に活発な状況であり、しっかりと売上をこなし、第2四半期、第3四半期、第4四半期と成長が見込めると考えています。

しかしながら、世界経済としては米国の規制強化による米中の半導体の貿易摩擦の悪化や、欧米の金融政策によるインフレの抑制、景気のソフトランディングに向けた動きがあります。

日本の金融政策にも適正化に向けた動きがあり、ご存知のとおり利上げが起きたり、それに合わせて為替も調整が進んだりしているところだと思います。

しかし、半導体市場においては、生成AI向け半導体であるGPUやHBMなどの需要拡大は間違いないと考えています。車載向けや産業用途の半導体市況回復の遅れはあるものの、同時に伸びていくことは、みなさまもお感じのとおりだと私どもも考えています。

事業の概況

プローブカード事業についてです。メモリ向けは、HBM需要によってDRAM向けプローブカードが好調です。また、昨年9月に始動した韓国MEKの生産拡張と青森工場の設備投資の推進などを積極的に行っていきます。

また、半導体の高性能化に対応した新技術をしっかりと開発・促進していくことが、メモリ向けプローブカードの重要なキーワードとなっていると考えています。

ノンメモリ向けは、車載向けを中心に新製品の垂直型プローブカード「MEMS-V」の顧客認定評価を続け、拡販に向けて進めています。

また、台湾の顧客サポートの強化も行っています。やはり、ロジック向けのプローブカードと言うと、量産の中心は台湾となっているところもあり、TMCを中心にしっかりと台湾のサポートを行ってきた状況です。

次に、TE事業についてです。半導体市場向けについては、新テスターと新マニュアルプローバの顧客評価と拡販を積極的に行っている最中です。同時に、顧客評価を行っている中で新マニュアルプローバのアプリケーションの必要性も感じており、そちらの拡大も積極的に行っています。

また、テストソケット販売強化のため、アジアを中心に海外拠点のサポートも強化しています。台湾だけでなく、中国の港での需要も視野に入れて販売の拡大を計画しています。

FPD市場は縮小傾向により、実は研究開発者などを、基本的には半導体検査事業にシフトしている状況です。

FV26 成長に向けた積極的な投資

FV26へ向け、積極的に投資を続けています。2023年から2026年にかけて、設備投資額300億円、研究開発費200億円、総額500億円という計画は変更せずに行っています。

スライドに掲載した棒グラフのとおり、設備投資額と研究開発費は前回発表時よりも増額しています。現在の受注をこなすために、設備投資を前倒しして急いで行っている案件もあります。

しかし、2026年に向けた投資計画総額500億円という数字は精査中ということで、現時点では変更する考えはありません。変更時には、あらためてご報告します。

FV26 設備投資の進捗アップデート

スライドには、設備投資を推進している青森工場の新棟建設と、韓国MEK Co.,Ltd.新工場の写真を掲載しています。

韓国MEK Co.,Ltd.新工場は2023年10月に竣工し、随時生産設備を導入しています。韓国については、接合するための装置など、予定よりも早く進めている状況です。

青森工場の新棟建設は、順調に進んでいます。前回は3月の写真を掲載しましたが、さらに進み、現在は外観がほぼ完成し、今後はクリーンルームなどの内装の建設に入ります。こちらも完成次第、随時装置を入れていきます。実際に稼動するのは、2025年以降の予定です。

企業理念体系の改定

企業理念体系の改訂を行いました。ガラパゴス・ケータイ中心であったものがスマートフォンに変わり、さまざまなアプリケーションの増大等によって、世の中の電子デバイスを使った産業が大きく変わっています。当社としても、自分たちのあるべき姿を見直す良いタイミングだと考えています。

しかし、スライドに記載しているとおり「原理原則を大切にする」「『観・感・勘』を大事にし、自己の能力開発を追及する」「達成への5つのステップ」からなる創業者の精神や、MJCの使命として掲げている「電子計測技術を通して広く社会に貢献する」については、大きく手を入れていません。

これまで、「Probing the Future」というキーワードで事業を運営してきましたが、新たにMJCのめざす姿として「MJC YOUR Best Partner、MJC Anytime Anywhere」を掲げました。

いつでもどこでもMJCの製品で検査されたものが、みなさまのデバイスとしてある、また、お客さまであるデバイスメーカーにとっては、当社は安心できるパートナーであり、プローブカードについてテストの相談をすれば、いかなる時もきちんとした回答が得られるという思いを込めて、この言葉を追加しています。

みなさまもご存知のとおり、当社は「QDCCSS」という言葉を大事にしています。こちらは当社の造語で、Quality、Delivery、Cost、Compliance、Service、Safetyの頭文字からとりました。

時代に即した当社の大切なものとして「QDCCSS 2.0」という言葉を追加しています。「QDCCSS 2.0」は、時代の変化に合わせてキーワードを見直していこうと考えています。

今回は「Questの成長への探求」「DevelopmentのNo.1製品の開発」「Challengeの挑戦と行動」「Commitmentの約束と責任」「Sympathyの思いやりと感謝」「Sustainabilityの持続性の追求」というキーワードを、社員に馴染みのある「QDCCSS」に当てはめて共有していきます。

サステナビリティへの取り組み

サステナビリティへの取り組みも、積極的に行っています。昨年3月よりサステナビリティ推進室を設け、部に昇格しています。また、取締役会の中にサステナビリティ諮問委員会を設け、サステナビリティの動きがきちんと運営されているか検証しながら行っています。サステナビリティ諮問委員会の構成は社外取締役が中心で、公平公正な運用を目指しています。

スライド右側に記載している、サステナビリティ方針とマテリアリティ(重要課題)は、3月に当社のホームページ上で発表したものです。

サステナビリティ方針として「健全な発展を推進する企業」「お客様に信頼される企業」「環境と社会へ思いやりと感謝を持って接する企業」「社員の一人ひとりが多様な力を発揮できる企業」の4点を掲げ、取り組んでいきたいと考えています。

マテリアリティ(重要課題)は「付加価値製品の持続的な創出と生産性・業務効率化の追求」「多様な人材の育成と活躍の推進」「事業を取り巻く環境への適切な対応」「強固な事業基盤の構築」の4点を掲げ、追求していきたいと考えています。

以上が、当社の事業等の概要です。

業績予想

業績予想についてご説明します。前回も発表したとおり非常に好調に推移しています。

今回発表した第4四半期の業績予想は、売上高は400億円です。内訳は、プローブカード事業が382億円、TE事業が18億円です。営業利益は87億円、経常利益は88億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は58億円という計画です。

業績予想

当社はいつも2四半期先までの予想も発表しているため、通期の数字も掲載しています。売上高は550億円で、当社の最高水準となっています。内訳は、プローブカード事業が525億円、TE事業が25億円です。

プローブカード事業単体としても、525億円は上場以来の売上高になると思います。TE事業は、成長半ばです。パッケージプローブ、プローブユニット、プロパーテスターなどが中心となりますが、テスタープローバーはまだ売上に寄与するまでに成長していません。基本的には、プローブユニットとテストソケットが中心となります。

営業利益は116億円、経常利益は117億円、親会社株主に帰属する当期純利益は83億円です。これらに伴って配当予想は65円と、上場以来の水準を計画しています。

いずれも前年同期比で上振れている状況です。ひとえに社員のがんばりと、市況に乗った製品が提供できているからだと考えています。為替は、スライドに記載のとおりです。

質疑応答:中期経営計画をアップデートしなかった理由について

戸田:「過去1年でHBM系を中心に事業環境が大きく変化したと考えられますが、今回、昨年公表した中期経営計画をアップデートしなかった理由を教えてください」というご質問です。

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