アステリア株式会社

平野洋一郎氏(以下、平野):みなさま、こんにちは。アステリア株式会社代表取締役社長/CEOの平野です。本日はご多用のところ、アステリア株式会社の2024年3月期通期決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

本日15時に開示した2024年3月期の通期決算について、私からご説明します。どうぞよろしくお願いします。

初めてお聞きになる方もいらっしゃるかと思いますので、通期決算にあたり、当社の会社概要を簡単にご説明します。

当社は、主に企業向けソフトウェア製品を開発・販売している会社です。子会社として、AI研究開発、ソフトウェア開発、企業投資の会社を持っています。東京証券取引所のプライム市場に上場しており、従業員数は全世界グループで128名と、少数精鋭な人員構成です。

そのような中でも、ソフトウェア業界には大きな影響力を持っています。特に先端領域のノーコード領域やブロックチェーン領域においては業界団体を自ら設立し、牽引しています。

新しい働き方として、国内の数少ないCWO(最高ウェルビーイング責任者)を新設するなど、業界の中でウェルビーイングの領域でも新たな提案を行っています。

ソフトウェア業界を取り巻く変化

現在ソフトウェア業界は、非常に変化が激しくなっています。図の吹き出しはいろいろな政策、政治、規制などの世の中の変化を、黄色の円はIT業界でのいろいろな環境の変化を示しています。それに相まって、昨今は人材不足も起きています。

このような中で、さまざまな業界・業態において、ITは欠かすことのできないものとなっています。エンジニア不足も叫ばれており、当社が販売しているような、エンジニアでなくてもIT技術を活用できるノーコード製品が非常に重宝され始めています。

現在は2024年ですが、来年、再来年、その先も、いくつも新しいことが起こることがわかっている業界でもあります。これに対し、私たちは当社のノーコード製品を幅広く提供することで、社会の進化に貢献することを考えています。

製品開発(ソフトウェアメーカー)と受託開発の違い

私たちは受託開発ではなく、製品開発という形態をとっています。ソフトウェアメーカーと言い換えることができますが、1つのソフトを開発し、多数の企業に使っていただいています。

日本の多くのソフトウェア開発企業は受託開発です。つまり、ある会社から注文書をいただき、注文どおりに開発して、その会社に納めます。

しかし、当社は注文書がない状態で自ら考え、企画・設計・開発し、世の中に出します。それが1社だけでなく、10社、100社、1,000社に使用されており、「ASTERIA Warp」にいたっては1万社以上に使われています。

ソフトウェア事業のビジネスモデル

製品開発についてです。非常に特徴的な開発形態となっています。どのようなビジネスモデルかと言いますと、主力の4製品をパートナー経由、もしくはクラウド直販でエンドユーザーの企業や自治体、官庁などに提供しています。

ビジネスモデルの特徴として、すでに7割以上がストック売上となっています。そのため、毎月、継続的に売上を計上できています。

データ連携ツール「ASTERIA Warp」

主力製品をご紹介します。まず、データ連携ツール「ASTERIA Warp」です。すでに1万社以上の企業で使われています。例えば、業務システムとクラウドサービスなど他のシステムの組み合わせには多くのパターンがありますが、そのさまざまな組み合わせをノーコードでつなぐことができる製品です。

モバイルアプリ作成ツールPlatio(プラティオ)

モバイルアプリ作成ツール「Platio」です。今や業務をスマートフォンのアプリで完結させることも非常に増えています。特に若い方々にはパソコンを使えない・使いたくないという方もおり、アプリでの業務は当たり前になってきています。

「Platio」は、見た目どおりに動くアプリを、外部に委託することなく自分で設計し、3日で作ることができます。

デジタルコンテンツプラットフォーム「Handbook X」 AI/IoTプラットフォーム「Gravio」

それ以外にも、自律・分散・協調社会での情報共有ツール「Handbook X」、AI/IoT領域でのつなぐツール「Gravio」も展開しています。

決算トピック

決算概要についてご報告します。数字をお伝えする前に、この期末で行った大きな変更についてご説明します。

2024年3月期は、2024年度を迎えるにあたり、事業構造の改革を行いました。2019年からは、ソフトウェア事業を支えるデザイン事業と企業投資事業の2つと組み合わせて、3つの事業を展開していました。今回、事業構造改革として選択と集中を行い、この4月からソフトウェア事業を中心に進めています。

これまでのデザイン事業と企業投資事業は、ソフトウェア事業を支えるという役目で5年間展開してきました。ブースター事業とも言える2つの事業を切り離し、ソフトウェア事業を大きく発展させていく時がいよいよ来たと考えています。

事業構造改革

ソフトウェア事業は、実際には既存の非常に強力な領域と、これから大きな伸びしろがある領域の大きく2つに分かれています。どちらも大きく成長する領域です。大事なことは、デザイン事業と企業投資事業はブースターであった一方で、大きな不安定要素でもあったということです。この影響力を下げていきます。

デザイン事業では、デザイン戦略コンサルティングを行っていましたが、特に生成AIの台頭によってこの領域の事業は大きな危機に直面していると考え、売却しました。

企業投資事業は、みなさまもご心配のとおり、NASDAQに上場したGorilla Technology Groupの株価の下落により、当社の業績に非常に大きな影響を与えています。したがって、新たな投資ファンドの中止と既存の領域でネガティブな影響力を下げていくための方策をとっています。

売上収益から調整後EBITDAまで(前期比)

2024年3月期の業績です。売上収益は、前期比4.4パーセント増の29億900万円となりました。これまでの年度より伸びがやや緩やかですが、これはまさに主力の「ASTERIA Warp」が一時的な売上であるライセンス売上から、継続的な毎月の売上であるサブスク売上に転換してきていることが表れています。

売上総利益は、前期比5.9パーセント増です。粗利率は初めて90パーセントを超え、91パーセントとなりました。デザイン事業を外してソフトウェア事業のみになると、このような高い利益率を得ることができます。

投資や減価償却などを調整したEBITDAは、前期比225パーセント増となり、前期の3倍以上となりました。EBITDA利益率も、非常に高い29パーセントを記録しています。

ソフトウェアセグメントの収益推移

ソフトウェアセグメントをさらに見ていきます。ソフトウェアセグメントの営業利益は6億5,000万円となりました。営業利益率は、経営目標の20パーセントを超える22.3パーセントとなっています。

投資先株価下落が連結利益に大きく影響

ソフトウェアセグメントにさらに投資セグメントを加えたのが、連結の財務諸表です。ソフトウェアセグメントはお伝えしたとおりです。投資セグメントは、NASDAQに上場したGorilla Technology Groupの株価の下落により、40億円を超える損失を計上しています。

ソフトウェアセグメントは大変順調ですが、これらを組み合わせた連結の営業利益は36億円を超える損失となっています。当期利益は為替差益や実際の税効果などもあり、最終的には18億円を超える損失となりました。

ソフトウェア事業を支える製品群

今後はソフトウェア事業に集中していきます。ソフトウェア事業はスライドに記載の4つの製品によって支えられています。

1万社以上に導入実績があるデータ連携ツール「ASTERIA Warp」、3日でアプリを作成できる「Platio」、自律・分散・協調時代のための情報共有ツール「Handbook / Handbook X」、AI/IoTのデータ連携をつかさどる「Gravio」です。当社は「ノーコード」かつ「つなぐ」ための製品を提供しています。

ストック型(継続課金型)売上への転換が進む

これらの製品がなぜこれほどまでに自信を持って伸びていくと言えるのかが、スライドの円グラフでおわかりいただけます。これは各製品のストック型売上の割合です。

「ASTERIA Warp」は、もともとは円グラフにおいてオレンジ色で示したライセンス売上ばかりでしたが、今やサブスクとサポートが大きく伸び、72パーセントがストック型です。「Platio」と「Handbook / Handbook X」は100パーセント、「Gravio」も100パーセント近くがストック型売上となっています。

ソフトウェア売上だけを見ますと、すでにそれほど上下することがなくなってきており、伸びていくしかない状況にまで来ています。

ここまで支えてくれたのがデザイン事業と企業投資事業です。この数値が、これからも自信を持ってソフトウェア事業をしっかりと安定的に大きく伸ばしていける礎となっています。

主力のWarpの売上が史上最高を記録

主力の「ASTERIA Warp」は、2024年3月期に史上最高の売上を記録しています。サブスク売上にいたっては、前期比36パーセント増です。ここを支えるのが、中小企業向けソフトウェアとの連携です。

みなさまも聞いたことがあるかもしれませんが、「kintone」「奉行クラウド」「SmartHR」などの中小企業を支えるさまざまなクラウド製品との連携が、私たちのサブスク製品を支える大きな礎となっています。

ライセンス売上は減少していますが、サブスク導入が加速しています。その要因は、プロジェクトや部門などのより小さな単位での局所的な導入が伸びていることです。結果として、ライセンス売上が減っても全体の売上が減ることはなく、史上最高の売上を記録しました。

Warp:サブスク型への転換が順調に進む

サブスク型への転換について、もう少し詳しくご説明します。

「ASTERIA Warp」の製品売上において、サブスク売上が半分近い44パーセントまで成長しました。前期比で12パーセント伸びていますので、新しい年度では50パーセントを超えることは間違いないという領域まで来ています。

売上が年間3億円を超えることも確実です。これらが、私たちがこれから先、ソフトウェア事業のみで大きく伸びていくベースとなっています。

Platio:絶好調で前期比52%の増収

「Platio」の売上は前期比52パーセント増と、より大きな伸びを継続しています。こちらは、やはり現場のDXのニーズが非常に増えています。もともとはコロナ禍などで加速した側面がありましたが、多くの企業が現場のDXを進めているところです。

例えば、「2024年問題」は建設業、運輸業などで待ったなしの状況ですので、「Platio」のように安価ですぐに始められて、現場で改善できるソフトウェアが待ち望まれています。これが売上増につながっているということです。

このように、ソフトウェア事業はサブスク売上の伸びが著しいです。ライセンス売上とのバランスも取りながら作戦を立て、ソフトウェア事業の伸びを計画しています。

販管費:先行投資一段落し販管費は大幅減

販管費についてです。前期と比べて先行投資が一段落し、販管費は大幅に減っています。特にスライドのグラフに青色で示している販売のための広告宣伝費は、前期と一昨期に大きな投資を行いました。みなさまにお約束したとおり、今期は特別予算をなくして販管費を抑えた結果、利益に大きく貢献しています。

ソフトウェアセグメント:売上収益から営業利益まで

ソフトウェアセグメントの売上収益から営業利益までの内訳です。ソフトウェアセグメントしかありませんので、連結とソフトウェアセグメントの売上収益は同じです。そこからソフトウェアセグメントの売上原価と販管費を引き、営業利益は6億5,000万円となりました。

営業利益率は、先ほどお伝えしたとおり20パーセントを超え、22.4パーセントとなっています。

連結:売上収益から営業利益まで

連結の売上収益から営業利益までの内訳です。先ほどお伝えしたGorilla Technology Groupの評価損が計上されています。結果として、36億円を超える営業損失となりました。

連結:営業利益/税引前利益/当期利益

営業損失から税引前利益、当期利益までの内訳です。税引前利益では為替差益を計上しています。今回の円安は、私たちの財務諸表には大きなプラスとなりました。

さらに税引前利益から当期利益では、税効果や所得税の調整、持分の調整などを計上し、最終的に18億円超の損失となっています。

主な経営指標の推移

財務諸表以外の主要な経営指標についてご説明します。今回、事業構造を再編していますので、経営指標も新しくしています。1つ目は、売上総利益と売上総利益率です。売上総利益率は90パーセントを超えています。

2つ目は、調整後のEBITDAです。投資や減価償却を調整し、利益率は29パーセントと非常に高い数字を誇っています。

3つ目は、継続型売上です。先ほどストック型とも言いましたが、ストック型売上が74.5パーセントと、7割を超えている状況です。安定的に成長するベースとなっています。

4つ目は、最近市場で非常に注目を浴びているPBRです。「PBRが1倍を切っている会社はいかがなものか」と言われていますが、当社は2024年3月期で2倍を超え、2.07倍という結果になりました。

財政状態計算書

財政状態計算書です。バランスシートはいつもとあまり変わりませんが、1つだけお伝えしますと、のれんがゼロになっています。今後、減損となることはないということです。自己資本比率は76パーセントと、非常に高い比率を保っています。

営業活動によるキャッシュ・フローも非常に強い数字を打ち出しており、財務諸表を健全な状態に保っています。ここまでが決算の数値のご説明です。

適合計画書進捗状況

いよいよ成長戦略のご説明に入っていきます。ベースとして、昨年6月に開示した適合計画書についてお話しします。当社はプライム市場に上場しており、プライム市場の上場維持基準を満たす必要があります。

条件はいくつもありますが、当社は1つだけ満たしていない項目があります。それは流通時価総額です。流通時価総額を満たすために、昨年6月に適合計画書を開示しました。そこには行動計画を記載しています。

その行動計画に基づき、今回発表したソフトウェア事業への集中を行っています。デザイン事業を売却し、企業投資事業は新規ファンドを中止することで、影響力を下げるといったところです。新しい年度である2024年度からは、業績のボラティリティを抑えた大きな成長を実現していくことがベースになります。

デザイン事業を売却

デザイン事業の売却についてです。すでに開示しているところですが、今後、AIの台頭によってデザイン事業の市場が縮小していく危険性が非常に高く、業界のトップランナーですら大規模なリストラを行うような状況です。

また、当社のデザイン事業は米国の大きなIT企業に依存しており、そこからなかなか抜け出せていませんでした。結果的に数字は出たものの、リスクは大きくなるばかりです。これらが今後のボラティリティに大きな影響を及ぼすということで、リスクを排除していきます。

中期経営計画では売上収益で15億円ほどの影響となりました。業績予想にもそのような影響がありましたが、これからの変化の早い市場の中で、いかに先手を打って新しい成長を得ていくかという点から判断した次第です。

企業投資事業→業績への影響度を低減

企業投資事業については、先ほど簡単にお伝えしたとおり、AVF(Asteria Vision Fund)の新規投資を凍結しました。

既存の投資についても運営方針を遵守し、上場したものはできるだけ有利に売却し、そうでないものもしっかりマネージして影響を抑えます。

当社の場合、一番大きな投資金額はGorilla株でしたが、現在は5億円程度と少ない金額になっています。大きなところが小さくなったため、ボラティリティは9割以上なくなっています。

このGorilla株の売却に向けた準備を進めていることは、すでに公開されているSECへの文書でもご覧いただけます。新たなキャッシュアウトではなく、キャッシュインがあり、このキャッシュインも次の作戦に活かしていきます。

Gorilla社の状況

Gorilla社については、大きな関心が持たれているため1ページだけ触れておきます。まずGorilla社は、4月4日に2023年通期決算を発表しています。

詳細はWebサイトでもご覧いただけますが、売上が2倍以上と大きく伸びています。利益についても黒字転換し、19ミリオンドル以上の利益ということです。

また、4月15日には株式併合を発表しています。株価が1ドルを切った状態が続くと、NASDAQの基準により上場廃止のリスクがありますが、これについてはすでに払拭しています。10対1で併合したため、だいたい5ドル台で推移している状況です。

また、4月末に、私はGorilla社の社外取締役を退任しました。私自身の役割は、ソフトウェア業界における知見を活かして業績を伸ばすことでしたが、この決算において私の役目を果たすことができたため、アステリアでソフトウェア事業に専念しようと考え退任しました。

今後Gorilla社は、中東、北アフリカ、タイ、南米、英国などで事業を伸ばしていくと発表しています。

成長のための大きな変革

冒頭でお伝えした事業構造改革について、もう少し詳しくお話ししたいと思います。この事業構造改革ですが、デザイン事業と企業投資事業を除外して、ソフトウェア事業に専念するというものです。

つまり、これまでブースター事業であった2つの事業を外して大きな伸びを目指します。ソフトウェア事業は、おかげさまでパートナーを中心に、日本最強と言ってよいようなエコシステムを作っています。ここをベースに安定成長し、AI、海外展開、直販といったところを大きな伸びしろとする事業を考えています。

新たな事業構成

スライドの図のうちオレンジ色の部分は、Advanced-tech & Overseas Growthの略でAOG事業と呼んでいます。その名のとおり、先端技術と海外市場で大きく伸びており、年率50パーセント以上の伸びを目指す事業グループとなっています。

緑色で示したパートナーエコシステムをベースとする事業を、Eco-system Led Growth、つまりELG事業グループと呼んでいます。こちらはパーセントも非常に大きく、成長目標は年率10パーセント以上で、これにより、安定した部分と急成長の部分を組み合わせてソフトウェア事業を伸ばしていきます。

ソフトウェア製品展開領域は成長市場

私たちが持っている4つの製品を、これから伸びる成長市場に投入しています。SaaS、iPaas、ノーコードはいずれも2桁以上の年率成長が見込まれる領域です。

また、みなさまも注目しているAIですが、認識AI・生成AIは2019年から専業の子会社アステリアArtificial Recognition Technology(アステリアART)で開発を続けてきました。今年はいよいよ、アステリアARTの製品「ロボステージ」の提供を開始し、さらには当社のそれぞれの製品に、このAI技術を次々に入れています。

ソフトウェアを取り巻く状況は課題が山積しています。中小企業から大企業まで、「2024年問題」や「SAPの2027年問題」の対応に苦慮しています。そこに適用するのが私たちのノーコード製品です。

データ連携やエンジニアでなくても使えるノーコードをサブスクリプションで提供しているため、大きな伸びを実現しています。

Warp Core上位版の投入

そこに拍車をかけるため、私たちはサブスク製品「ASTERIA Warp Core」の上位版を投入します。これは案件単価の向上にもつながりますし、ユーザーさまの選択肢を広げることにもつながります。

フル機能サブスク上位版の投入

待ちに待った、フル機能のサブスク版を提供します。これまでの「ASTERIA Warp Core」のシリーズは、機能がある程度制限されており、中小企業もしくは特定の利用しかできませんでした。新年度からいよいよフル機能のサブスク版を投入し、大企業の選択肢が広がるかたちとなります。

企業の購買方法やシステムそのものがクラウドネイティブになっていくにつれて、このようなニーズがますます大きくなっています。

フル機能のサブスク版は私たちも長年考えてきたことでした。いよいよ市場に投入します。

サポートメニューを拡充

「ASTERIA Warp」において、サポートメニューを拡充しました。「ASTERIA Warp」の売上のうち、サポート売上はすでに半分を占めています。多様化しているニーズに合わせて、ラインアップを拡充しました。

これまでは単一のサポートメニューで、ライセンス金額の15パーセントを頂戴し、新バージョンの提供と技術サポートを提供していました。今回、3つのラインアップを用意し、必要に応じてサポート期間を延長したり、オンサイトのサポートを行ったりするなど充実したメニューを用意します。

これは、ユーザーさまにとって選択肢が広がるだけでなく、当社にとってアップセルの機会となり、さらなる単価向上の機会につながります。

あらゆる業界で様々なシステムを連携

私たちは需要の大きさを強く感じており、それを実現した事例なども広く公開しています。

最近の公開事例としては、日本郵船さま、木曽路さま、リンガーハットさま、目黒区さまなどがあります。先ほどからお伝えしているように、さまざまな中小企業向けのクラウドサービス、基幹システム、行政システムとの連携などにも利用用途が広がっています。

あらゆる業界で様々なシステムを連携

モバイルアプリ作成ツールの「Platio」も事例が充実しており、「2024年問題」についてすでにいくつかの事例があります。

運輸業である洛西貨物自動車さまにおいても、「Platio」が「2024年問題」の解決に貢献しています。また、防水・防塵・耐衝撃性に優れた業務用のAndroidタブレットにも対応していますので、そちらで「Platio」を使えば、どのような現場にいてもDXできます。

モバイルアプリ作成ツール「Platio」

新しい用途として、東北大学におけるフィールドレポートや、制御機器大手のナブテスコさまの事例があります。こちらは新製品の「Platio Connect」、つまりシステム連携も含めた「Platio」の利用方法の事例です。

Platio Connect (データ連携機能)

「Platio Connect」は、「Platio」と従来私たちが持っている「ASTERIA Warp」というデータ連携技術を組み合わせたものです。データ連携機能を持った「Platio」とも言えます。

これにより現場のあらゆるデータを、基幹システムやクラウドシステムと連携することができます。「Platio」だけですと最低単価は月2万円ですが、「Platio Connect」は月9万円からとなっており、当社にとっても案件単価が向上するかたちとなっています。

デジタルコンテンツプラットフォーム 「Handbook X」

現在、さらに新しい市場の開拓も行っています。「Handbook X」は2年前にリニューアルし、提供プランを改定して法人向けプランを拡充しました。例えばクレジットカード決済や請求書払いへの対応も進めました。

このようなことが奏功し、800人の乗務員に導入していただいた京浜急行電鉄さまの事例を最近公開しました。

AI/IoTプラットフォーム「Gravio」

AI/IoTプラットフォーム「Gravio」も先進の製品です。市場そのものはまだ黎明期ですが、先頃上場したSORACOMさまとの連携、それからパナソニックさまからスピンアウトしたi-PROさまとの連携を進めているところです。

地方創生/自治体DX

新規市場の開拓として、地方創生や自治体DXなども進めています。これまで秋田県仙北市や熊本県小国町などとの連携を進めてきましたが、この事例を基に、全国のさまざまな自治体との連携を進めています。

中小企業や地方自治体は今後3年、5年と非常に広がりのある市場になるため、ここにも注力しています。

アステリア(東証プライム:3853)

ここまで、私たちの製品の展開、市場の状況、新しい市場についてご説明してきました。本日の決算発表と私の解説をまとめます。

新しい戦略として、安定成長のための事業構造改革を実施したということをお伝えしました。こちらはまだ継続中で、実際にはこのソフトウェア事業について「選択と集中」で実施しています。

決算説明についてです。今回の決算にあたり、事業構造改革を実施しました。これまでのブースター事業を切り離し、ソフトウェア事業に選択と集中を行ったとご報告しました。

2つ目は、調整後のEBITDAが8億4,000万円を超える黒字となりました。This Placeを除き、投資事業の投資損益、さらにはEBITDAのため減価償却を除いた、いわゆるソフトウェアのピュアな利益となります。

そして、それを支えるサブスク製品として、特に「ASTERIA Warp Core」と「Platio」が好調です。連結については、投資事業でNASDAQに上場している投資先のGorilla社の株価下落の影響により、業績、連結財務諸表上は大きな赤字となっています。しかしキャッシュに直接的な影響はありません。

以上が、2024年3月期決算の説明となります。

質疑応答:四半期決算におけるトップラインについて

司会者:「ストック売上が増えることでLTVは高まっていくと思いますが、四半期決算でのトップラインは微減していくのでしょうか? 最終的にはストック型ビジネスが大半になっていくのかもしれませんが、成長基調の継続とのバランスは、戦略的にどのように確保していくのでしょうか?」というご質問です。

ここから先は無料会員登録で続きをお読み頂けます

既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。

登録することで、本サービスにおける利用規約プライバシーポリシーに同意するものとします。