冒頭のご挨拶

仲野真司氏:みなさま、こんにちは。代表取締役会長の仲野です。本日は、ウェルネオシュガーグループの中期経営計画・決算説明会に多数のご参集を賜り、誠にありがとうございます。

開会に際して、一言ご挨拶を申し上げます。昨年1月に発足したウェルネオシュガーにとって、初めてとなる通期決算について、今般、当初計画を上回る実績でご報告できることを大変うれしく思うとともに、この間の多くのステークホルダーのみなさまのご支援とご尽力に厚く御礼を申し上げます。

当社グループでは、いよいよ本年10月に完全統合実施の予定ですが、この1年を振り返ると、単なる2つの会社の統合ではなく、「One Wellneo」ということで、新しい1つの会社を自分たちの手で創るのだというビジョンのもと、両者メンバーが手に手を携えて多くのアクションプランに取り組み、日々の経営活動に落とし込んできました。

もともと、体制も文化もまったく異なる組織が手を組んだわけですので、当初は戸惑いや驚きもありました。しかし、まさに侃々諤々の議論を積み重ねた結果、相互理解が大いに進捗し、統合プロセスのさまざまな負担を跳ね返して成果に結びつけることができ、1つの会社としての手応えを感じています。

そして、このビジョンと合わせて役職員への浸透を図ってきたのが、業界のリーディングカンパニーの一翼を担うという自覚の醸成です。完全統合で誕生する新生ウェルネオシュガーには、もはや業界の1プレーヤーにとどまらない自覚と責任が求められます。

精糖業界では、長年にわたる消耗戦の結果、設備投資が滞るなどサステナブルではない状況も見受けられる中、責任ある業界大手として従来以上に正当な価格転嫁と適正利益の確保にこだわり、持続可能な砂糖の安定供給にコミットしていくことが私たちの重要な責務であると考えています。

今回ご提示するSugar軸の収益計画は、やや控えめに見えるかもしれませんが、さまざまな社会課題に適応しながらサステナブルな製造業として成長を続けていくという、私たちの意思を織り込んだ計画です。

そしてこのSugar軸の着実な収益成長と、精糖メーカーならではの知見・経験をフルに活用する私たちの成長ドライバーがFood & Wellnessの取り組みであり、これらを両輪とする経営こそが、糖の力と可能性を切り拓く私たちのパーパスの実践そのものです。詳しくは、この後の本編に乞うご期待です。

なお、今回の中期経営計画では、人的資本、サステナビリティといったテーマにも焦点を当てています。これらについては開示対応の表面的な取り組みではなく、地に足のついた意識改革と行動変容、役職員全体に展開する経営を、中期経営計画期間を通して泥臭く実践していきたいと考えています。

本日は、私たちの2023年度の成果、そして今後4年間の挑戦についてじっくりとお聞きいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。

2024年3月期決算 -概要-

大場健司氏(以下、大場):財務担当執行役員の大場です。私から2024年3月期決算および2025年3月期決算見通しについてご説明します。

まず、2024年3月期のウェルネオシュガー連結決算についてご説明します。なお、当社は国際財務報告基準IFRSを導入していますので、これからご説明する財務数値については、これに沿った表記などを行っています。

当期は2023年3月期に比べ、伊藤忠製糖グループの業績が、前期は3ヶ月だったものが、当期は12ヶ月寄与していますので、前期の業績から大きな変動が生じています。売上収益については、経営統合の影響や、主力の砂糖事業においてコスト上昇に対する売価への反映を進めたことなどから、338億4,400万円増加し921億9,200万円となりました。

営業利益については、砂糖事業において有利な原料調達ができたことや、前期に経営統合関連の一過性の費用を計上したことなどから、前期比41億9,600万円の増益となる58億200万円となりました。

国内投資先からの受取配当金15億5,200万円の金融収益などを加え、税引前利益は76億2,700万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は55億2,400万円となりました。

2024年3月期決算 -ポイント-

当期の決算ポイントです。砂糖その他食品事業においては、主力の砂糖について、インバウンド需要の回復による土産菓子、外食関係向けなどが持ち直したものの、食品価格の値上げが続いたことによる消費低迷や、家庭内調理機会の減少の影響を受けています。

そのような中、独自製品の「きび砂糖」「きびオリゴ」の出荷は好調に推移しました。健康産業事業においてはフィットネス会員が緩やかに回復してきています。

2024年3月期決算 -業績要因分析(営業利益の増減理由)-

スライドは、当期の営業利益のウォーターフォールチャートです。グラフは一番左が前期の営業利益、続いて各変動要因です。一番右が当期営業利益となり、58億200万円です。

砂糖その他食品事業においては、適切な原料調達と採算を重視した販売を行ったこと、伊藤忠製糖グループが通期で業績に寄与したことなどから、営業利益は前期比258パーセントの大幅増加となりました。

健康産業事業では、会員数の回復や効率的な運営によるコスト削減などから、3億3,200万円の増益となりました。

2024年3月期決算 -キャッシュ・フロー計算書-

当期のキャッシュ・フローのポイントです。当期の営業活動によるキャッシュ・フローは66億6,200万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得やツルヤ化成工業株式の取得などにより、8億2,200万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当の支払により45億9,300万円の支出となりました。

2024年3月期決算 -財政状態計算書-

当期の財政状態のポイントをお示ししています。資産合計は前期比23億4,500万円増加の959億1,800万円となりました。

流動資産の増加の主な要因は、原料価格や販売価格の上昇に伴う棚卸資産、売上債権の増加です。非流動資産の減少は、ツルヤ化成工業株式が増加したものの、不動産賃料の支払に相当する使用権資産の償却による減少などが影響しています。

流動負債の増加は、借入金が減少した一方で未払法人所得税などが増加しており、非流動負債の減少は主にリース負債の支払によるものです。

資本の増加に影響した主なものは、当期利益、そして配当の支払となります。

参考 2024年3月期決算 原料価格の動向

こちらは参考情報になります。海外原糖市況、2024年3月期の為替相場の情報を記載しています。

2025年3月期決算 見通し概要

当社は、2025年3月期より報告セグメントの変更を行います。従来、砂糖その他食品事業であったものを、製品のグルーピングにより、SugarセグメントとFood & Wellnessセグメントに区分しています。

主に精製糖製品についてはSugarセグメント、オリゴ糖などフードサイエンス事業に関する製品などは、Food & Wellnessセグメントに区分しています。また、従来は健康産業事業と倉庫事業であったものは、Food & Wellnessセグメントとして区分しました。

2025年3月期の経営環境は、緩やかな景気回復が期待される一方で、エネルギーコストや物流コストなどの上昇、円安の影響による物価上昇圧力を受け、依然として厳しい状況が続くものと予想されます。このような状況のもと、業績予想については売上収益は950億円、営業利益は70億円、税引前利益は71億円、親会社所有者に帰属する当期利益は50億円としました。

2025年3月期見通し -ポイント-

決算見通しのポイントについてご説明します。Food & Wellnessセグメントでは、フードサイエンス事業において「カップオリゴ」や「きびオリゴ」などのオリゴ糖製品の販売拡大を目指すほか、機能性素材を軸としたさまざまな領域への事業展開の基盤作りも推し進めていきます。フィットネス事業では、総合型店舗における子ども向けスクール事業の強化などから、早期の業績回復を図っていきます。

Sugarセグメントにおいては、今後も不透明かつ厳しい市場環境が見込まれますが、採算性を重視した経営に努めていきます。当期の決算、翌期見通しに関するご説明は以上となります。

経営理念

山本貢司氏:みなさま、ご多用の中で足を運んでいただき、誠にありがとうございます。

私のほうからは、中期経営計画「WELLNEO Vision 2027」についてご説明します。

13ページは昨年と同様の内容で、経営理念については変わりありません。ウェルネオシュガーは、「糖のチカラと可能性を切り拓き“Well-being”を実現する」ことをパーパスとして、「挑戦」「多様性」「持続可能性」という3つのバリューを軸に、すべての事業活動を通じてよりよい社会作りに貢献していきます。

ウェルネオシュガーは、今後この砂糖の持つチカラを砂糖のみに限定せず、糖を起点としたオリゴ糖などへ幅広く展開し、「Well-being」を実現していきます。

また、心も体も幸せに健康になるという思いを込めて、「Well-being」という言葉を選んでいます。ウェルネオシュガーとして、人々の心と体に幸せと健康をもたらす事業を展開していきたいと考えています。

中期経営計画 WELLNEO Vision 2027 -基本方針、定量目標-

本中期経営計画、「WELLNEO Vision 2027」は2024年度から2027年度の4ヶ年を対象としています。基本方針としては、Sugarセグメント、Food & Wellnessセグメントの両輪でウェルビーイングを実現すべく、両事業の強化・拡大を図ります。

定量目標としては、2028年3月期に営業利益および持分法による投資損益101億円、当期利益70億円、ROE9パーセントを目指します。101億円の内訳として、Sugarセグメントは90億円、Food & Wellnessセグメントは24億円の達成を目指します。

また、本目標を実現するために、スライド右側に記載のとおり、最大で約420億円を投資する予定です。

中期経営計画 WELLNEO Vision 2027 -重点戦略-

先ほどご説明した定量目標の達成に向け、4つの重点戦略を掲げました。

重点戦略の1つ目は、Food & Wellnessセグメントの事業拡大です。具体的には、既存注力事業であるオリゴ糖などのフローラデザイン素材の積極拡大とフードサイエンス事業全域における、M&Aを通じた非連続な成長です。

2つ目は、Sugarセグメントの基盤強化です。デジタルも活用した統合シナジー効果の拡大、業界再編の波を捉えたさらなる基盤拡充策の推進を行います。

3つ目は、人的資本経営の推進です。従業員の「Well-being」とエンゲージメントの最大化を目指し、また、人材の多様性の確保とオープンな環境を実現します。

4つ目は、サステナビリティ経営の推進です。おいしさと健康の両立に役立つ製品・サービスの提供によって、消費者の「Well-being」に貢献することを目指します。また、自然環境に対する社会責任を果たしていき、自然との共生も実現していきます。

重点戦略①Food & Wellnessの事業拡大 Food & Wellnessの事業概要

重点戦略のご説明に入ります。まず、Food & Wellnessセグメントの事業概要について簡単にご説明します。当セグメントは、フードサイエンス事業とフィットネス事業の2つに大きく分かれます。

フードサイエンス事業については、ご覧のとおり機能性素材、食品添加物、可食フィルム、糖由来・甘味料関連が含まれており、2023年6月に新設したネオ機能性素材部やグループ会社と連携して取り組んでいきます。

フィットネス事業については、100パーセント出資の連結子会社である日新ウエルネスにて、関東エリアにおけるフィットネスジムを展開しています。

重点戦略①Food & Wellnessの事業拡大 事業戦略①フローラデザイン素材の積極拡大 -フローラデザインとは-

こちらのスライドでは、我々の狙うフローラデザイン素材の積極拡大についてご説明します。フローラとは細菌叢のことです。腸内・口腔内に生息する多種多様な細菌の集まりです。その中には、いろいろな菌がありますが、善玉菌が優位な状態でバランスよく存在することで、心身の健康に寄与することが期待されます。

「フローラデザイン市場」とは何かと言いますと、狭義にはパーソナライズ化された食生活指導と捉えられていました。広義には、食品やペット市場、美容化粧品、医薬部外品といったものに、フローラデザイン素材というオリゴ糖のようなものを掛け合わせることで、健康とおいしさを提供することができる市場ということになります。

なぜ当社がフローラデザイン素材、あるいはフローラデザイン市場をターゲットにしているのかについて少しご説明します。

当社と共同研究講座を行っている藤田医科大学の先生方が「これからの医療は未病である」「未病に貢献できるのは、口腔内フローラと腸内フローラであり、この2つが重要だ」とよくおっしゃるのですが、口腔内フローラと腸内フローラはつながっていますので、互いに影響を与えます。

私どもの持っている商材の中で「きびオリゴ」「カップオリゴ」「ケストース」は、腸内フローラの改善に役立ちます。また、「サイクロデキストラン」という製品を持っていますが、こちらは口腔フローラの改善に役立ちます。つまり、私どもの持つこれらの4商材は、ターゲットとしている市場をまとまりよく攻めていけるということです。

さらに言えば、これらの商材は砂糖が原料になっています。つまり、砂糖が形を変えて人々の健康に貢献するということになります。

これまでも、砂糖は人々に笑顔と幸せを提供してきた自負があります。このようなところは砂糖屋としてのアイデンティティの1つと思っており、そのような意味も込めて、この分野をぜひ攻めていきたいところです。

重点戦略①Food & Wellnessの事業拡大 事業戦略①フローラデザイン素材の積極拡大 -主要既存事業-

先ほど名前を出した、我々の持っているそれぞれの商材の現状についてご説明します。スライドの左側に腸内フローラの3商材、右側に口腔フローラの1商材をお示ししています。

腸内フローラの1つ目として、「きびオリゴ」は先ほどもご説明したとおりパッケージを一新して、さらなる拡販に努めます。私どもの看板商品である「きび砂糖」は、さとうきび糖としてはNo.1のブランドです。「きびオリゴ」をNo.1のブランドにすべく、礎を築いていきたいと思います。この「きび砂糖」と「きびオリゴ」の「きびきびコンビ」は、今後さらに力を入れていく商材です。

次にガラクトオリゴ糖ですが、商品名は「カップオリゴ」です。ガラクトオリゴ糖は酸と熱に強く、分解されにくい機能を持っています。この機能をさらに訴求するとともに、ネックだった生産能力を増強し、さらなる拡販に努めます。

3つ目の「ケストース」は、オリゴ糖よりも腸内の善玉菌を増やす効果が高いとされているものです。こちらは、藤田医科大学との共同研究素材の1つですので、引き続き研究に努めていきます。

最後に、口腔フローラの改善に役立つ「サイクロデキストラン」は、歯垢形成を阻害する効果がある、世界で当社だけが製造・販売している商品です。

口腔の機能が低下してくると、低栄養状態に陥ります。そうなると、さらに基礎代謝や食欲が減退し、慢性的な低栄養状態になるという負の連鎖の状況になります。

「サイクロデキストラン」を使うと、元凶である歯垢の形成を抑制できます。私どもはこちらを2024年度以降、積極的に販売していきたいと思っています。「サイクロデキストラン」については千葉工場の設備投資を実施し、2025年には本生産を開始予定です。

これらの4商材以外に、口腔・腸内のフローラ改善に資する新商品を開発し続けていきたいと思っています。これを推進するのがネオ機能性素材部であり、私どもの中長期の成長には欠くことができない重要な役割を果たしていく組織です。

重点戦略①Food & Wellnessの事業拡大 事業戦略①フローラデザイン素材の積極拡大 -拡大の事例-

先ほど述べたフローラデザイン素材の4商材を、どのように使っていくのかについて、簡単ですがご説明します。スライド左側は、フローラデザイン素材と食品・菓子・口腔ケアで、右側はフローラデザイン素材とペットフードです。

簡単な例で言うと、「きびオリゴ」を朝の食卓のヨーグルトに混ぜていただくと、腸活の作用をさらに増進させることができます。また、お料理に入れると腸活効果ばかりでなく、さとうきびの持つ、コクとうまみを添加することができます。「カップオリゴ」は熱と酸に強い機能があり、菓子や飲料に幅広くお使いいただける上、整腸機能も付加できます。

「サイクロデキストラン」は、もちろん歯磨き粉やいろいろな口腔ケア商品でお使いいただけます。また、人間以外のペットフードにも使うことができます。これは国内ばかりでなく、海外にも通用するため、国内外で積極的に行っていきたいと思っています。

動物関連で言うと、先ほどお話しした藤田医科大学の共同講座において、「ケストース」を乳酸菌と一緒に与えるとウナギ、ペンギンの腸内のフローラ改善に貢献するといったエビデンスと調査結果を得ています。

特に、ウナギの腸内フローラ改善に関しては世界初のことです。ウナギの養殖はさらに効率化が進むと期待しています。

このような商品をグループの中でも当然コラボしており、ツキオカフィルムで生産している可食フィルムに「サイクロデキストラン」をのせて、それを歯磨きが困難なペットに食べさせます。そうすると、歯垢形成が抑制されます。

重点戦略①Food & Wellnessの事業拡大 事業戦略② M&Aを通じたフードサイエンス事業の成長

これまでご説明したのはどちらかと言うとオーガニックの成長ですが、私どもはM&Aや業務提携によるインオーガニックの成長も、当然視野に入れています。

したがって、中期経営計画の期間に、投資規模を100億円から200億円の規模で設定しています。投資対象としては、フードサイエンス事業、特に機能性素材や食品添加物領域における企業です。投資にあたり、資金はフリーキャッシュ・フロー、借入の順番で調達し、WACCを上回るROICの達成を目指したいと思っています。

重点戦略②Sugarの基盤強化 統合シナジー最大化の推進

重点戦略の2つ目の、Sugarセグメントの基盤強化についてご説明します。「 統合シナジー最大化の推進」として、私どもは2028年3月期に営業利益で約15億円規模の統合シナジーを目標としています。スライドの表の一番左側に「活動」とありますが、調達、生産、物流、営業のそれぞれの分野で、統合シナジーを創出していこうということです。

調達の部分に関しては、「調達方法の最適化」「包装資材の見直し」を実施していきます。

生産に関しては、4つの工場について、どこで何をどのぐらい生産すれば全体最適になるのかを分析して、最適な生産体制を作っていきます。各工場で使用しているユーティリティの削減もしていきたいと考えています。

物流に関しては、「配送の効率化」「保管効率の向上」については、真ん中にあるDX施策にも関係してきますが、今あるデータを効率よく蓄積し分析しつつ、最適な配送形態を導き出して物流コスト削減を行うことで、2024年の物流問題に対応していきたいと思っています。

営業に関しては、「販売戦略の最適化」と記していますが、こちらもDXに絡んできます。緻密な分析を行い、最適化を進めます。

スライド中央は、先ほどからお話ししているDX施策について記載しています。こちらには20億円の投資を考えています。具体的な施策として、基幹システムの統合はもちろんのこと、データドリブンな経営管理を掲げています。効率よく蓄積されたデータを分析することによって、経営に活かしていこうということです。また、サプライチェーンの最適化も行います。

右側は基盤強化についてです。こちらは予定どおり、今年10月に日新製糖と伊藤忠製糖との吸収合併を実行します。右下の内容は新しい話になりますが、来年10月に第一糖業の吸収合併を実行し、グループ一体となって統合シナジーの最大化を推進します。

重点戦略② Sugarの基盤強化 今後も予想される業界再編

今後も予想される業界再編についてです。

この業界は合従連衡と業界再編がどんどん進んでおり、2000年と比べると砂糖の工場は7工場減少しています。

メーカー数はどうかと言いますと、2000年と比較して、すでに7メーカー減少しています。来年は私どものグループ会社の第一糖業が消滅するため、8メーカーが減ることになるといった業界です。

業界再編や合従連衡は今後も進んでいくと思っています。私どもとしては、グループ内の生産基盤を強化して、それに備えたいと思っています。

重点戦略③ 人的資本経営の推進

重点戦略3つ目の、人的資本経営の推進について説明します。当社は、多様性とエンゲージメントを中心に考えており、会社と従業員が強く結びつくことで、当社らしい人的資本経営を推進します。

事業戦略の必要な人材を言語化することで、従業員の共感と挑戦を引き出すとともに、多様な価値観を尊重し、お互いを高め合うオープンな職場環境のもと、すべての従業員が自立したプロフェッショナルを目指し、活躍できる新しい人事制度を導入します。

従業員の一人ひとりが持つ能力を「見える化」することで、自立的なライフキャリアを尊重する人材育成を推し進めていきます。

2023年1月の経営統合以降、日新製糖と伊藤忠製糖の活発な人的交流によって、両者の価値観・文化が交差し、年齢・性別を問わず、自由闊達な意見交換ができる風通しの良い環境と強いチームワークが形成され、当社の中に統合シナジーを生み出す強い競争力を宿していると実感しています。

実際に、2023年度は両社で打ち合わせと懇親会を行いました。打ち合わせと、夜あるいは昼の懇親会を1つのセットとしましたが、その回数が、2023年度は120回を超えました。それほどまでに両者の交流が進んだということです。

また、新会社のスタートにあたっては、一番下に出ているとおり、持株会加入従業員に対して単元株を付与し、経営参画意識の醸成や、エンゲージメント向上を図る施策も導入します。

そのような取り組みが、多様な人材に選ばれ続ける企業となり、新しい価値創出や新規事業を生む好循環となり、当社グループの持続的経営につながるものと確信しています。

重点戦略④ サステナビリティ経営の推進

4つ目に、サステナビリティ経営の推進に関してご説明します。当社はパーパス、事業戦略などを念頭に置きながら、生活者やユーザーをはじめ、サプライチェーン、環境、従業員といったさまざまなステークホルダーの各種課題を、「Well-being」に注目して整理し、最終的に5つのマテリアリティを特定しました。

スライド左側にウェルネオ、あるいは「Well-being」の頭文字にあたる「W」を記していますが、文字の角にあたる部分に5つのマテリアリティを配置しています。私どもはこれをマテリアリティとして進めていきたいと思っています。

今後は、KGIの実現に向けた取り組みを進めて持続可能な社会の実現に貢献し、当社グループの企業価値をより高めていくことで、サステナブル企業としてさまざまなステークホルダーの「Well-being」の実現に注力していきます。

私からの説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応 -現状認識、方針、取組み-

大場:私から財務戦略についてご説明します。

当社の2024年3月期のROEは、一過性の国内投資先からの受取配当金の影響を含んでいますが、7.9パーセントであり、PBRは1.1倍となっています。ROEは、伊藤忠製糖グループとの経営統合効果もあり、株主資本コストを超えた水準に到達しています。

このような現状認識のもと、当社は中期経営計画期間最終年の2028年3月期に、ROE9パーセント、連結当期利益70億円の達成を目指していきます。資本コストや株価を意識した経営の実践が求められる中、資本効率を意識した経営の追求、サステナビリティ経営の推進、成長分野への積極投資、高水準株主還元の維持、さらなる資本効率の向上などの取り組みを進めていきます。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応 -株主資本コストを上回るROEの実現-

スライド左上のグラフをご覧ください。近年の資本コストと資本収益性の指標は、2023年1月の経営統合の影響もあり、改善傾向にあります。

今後も株主資本コストを上回るROEの水準を持続的に実現するために、Sugarセグメントでの基盤強化を通じた収益性向上や、Food & Wellnessセグメントの成長投資の推進などによる持続的な成長を目指していきます。

キャッシュアロケーション(中計4期間累計)

中期経営計画期間4年間において、キャッシュイン・フローとして、営業キャッシュ・フローにより約350億円から400億円、また資金調達と資産の見直しにより、約50億円から150億円の、合計最大550億円の資金を投資と株主還元に戦略的に配分します。

投資の使途は大きく3点です。1点目は、成長投資としてのM&AやFood & Wellnessセグメントにおける大学との共同研究をはじめとした研究開発に、約150億円から250億円を投資します。

2点目は、Sugarセグメントにおける安定操業に資する基盤維持のために、約100億円から150億円の継続的な投資を行います。

3点目は、既存事業領域における基盤強化などのDX投資に、約20億円を想定しています。

株主還元については、4年間で累計約130億円を目線感とした配当を想定しています。

株主還元

当社は、連結配当性向60パーセント、または親会社所有者帰属持分配当率3パーセントの、いずれか大きい額の配当を実施することを基本方針としています。2024年3月期の年間配当額は、一過性の国内投資先からの受取配当金の影響もあり、中間配当46円、期末配当56円の、年間102円となります。

また、2025年3月期の年間配当額は、連結配当性向60パーセントに基づき、1株当たり年間で92円の見込みとなります。

私からのご説明は以上です。