2024年3月期決算説明

村井泰介氏:みなさま、こんにちは。株式会社バイタルケーエスケー・ホールディングス代表取締役社長の村井泰介です。本日はお忙しい中、弊社2024年3月期決算説明会にお集まりいただきありがとうございます。

本日の内容

こちらが本日お話しする内容です。はじめに、2024年3月期の決算ハイライトについてご説明します。続いて、企業価値向上のための取り組み、そして最後に2025年3月期通期業績予想について説明します。どうぞよろしくお願いいたします。

2024年3月期 損益概況

まず、2024年3月期決算ハイライトについてです。当期の売上高は、前期実績より61億5,400万円増の5,874億8,100万円となりました。一部の外資系製薬企業の取引が停止になったものの、医療用医薬品市場全体の伸長に加え、抗がん剤や新型コロナウイルス感染症治療薬の販売が好調に推移したことなどから増収となりました。

営業利益は前同15億3,200万円増の55億5,600万円です。前述の増収効果に加えて、前期計上した大口得意先に対する貸倒引当金の反動によるものです。

経常利益は前同5億9,700万円増の65億5,700万円となりましたが、営業利益の増加が主な要因です。

親会社株主に帰属する当期純利益は前同10億1,200万円増の58億4,300万円となりました。前述した理由に加え、政策保有株式の売却益を計上したことが主な要因です。

以上の結果、ROEは前期実績4.9パーセントでしたが、当期は0.8ポイント改善の5.7パーセントになりました。

セグメント別利益

次にセグメント別利益についてご説明します。まず、医薬品卸売事業は抗がん剤や新型コロナウイルス治療薬を中心とした新薬創出加算品の販売伸長が、薬価改定の影響及び一部メーカーの取り扱い停止等による減収分を上回り、増収となりました。

利益面でも、この増収効果に加えて、得意先1軒ごとに取引コストを意識した価格交渉を進めたことや、国や地方自治体から受託した新型コロナワクチンの配送業務による収益の計上、前期計上した大口先の貸倒引当金の一部の戻入益を計上したため、前年実績を大きく上回る結果となりました。

以上より、売上高は前同52億6,700万円増の5,528億7,000万円、営業利益は前同13億1,600万円増の49億1,300万円となりました。

続いて、薬局事業は、事業譲受により1店舗増加したことに加え、調剤技術料収入及び薬学管理料収入の増大に努めるとともに、新型コロナウイルス感染症の分類が5類に変更されたことに伴う人流増加等により受付処方箋枚数が増加したことなどから、売上高は前同7億5,400万円増の191億1,500万円、営業利益は増収効果に加え、のれんの償却費が大幅に減少したことで、前同2億400万円増の3億1,000万円となりました。

次に、動物用医薬品卸売事業は、コンパニオンアニマル部門の売上が伸長したことにより、売上高は前同1億3,800万円増の110億2,700万円となる一方、仕入価格の上昇等の影響により、売上総利益は前同6,100万円減の16億1,000万円、販管費は貸倒引当金の減少で前同6,300万円減の12億5,900万円となりました。その結果、営業利益は前同並みの3億5,000万円を計上しました。

最後に、その他事業です。売上高は主にスポーツ関連施設運営事業等の業績が振るわず、前同500万円減の44億6,800万円となりました。売上総利益は、介護用品レンタル事業の収益力の向上等により前同1億7,000万円増の40億9,200万円、販管費は経費削減に努めたものの電気代やガソリン代の高騰により、前同7,400万円増の42億100万円となりました。その結果、前年から約1億円の改善が見られたものの、1億900万円の営業損失を計上しました。

連結決算 売上高 前年同期比 増減要因

次に、前年同期と比較した売上高の主な増減要因をご説明いたします。まず当社は、一定期間薬価が高く維持される新薬創出加算品の販売に予てより注力してまいりました。その取り組みが功を奏し、同カテゴリの販売高は179億円増加しました。また、先発品も123億円増加しています。

一方、長期収載品は薬価改定の影響もあり、217億円減少しました。さらに、外資系製薬企業1社との取引停止の影響で133億円減少しました。

しかし、コロナ治療薬の販売伸長による95億円の増収や、薬局事業、動物用医薬品卸売事業の増収なども寄与し、最終的に売上高は前同61億円増の5,874億円となりました。

貸借対照表

次に、貸借対照表についてご説明いたします。まず、当期末の資産合計は、前期末から199億4,200万円増加し、3,172億5,800万円となりました。その要因は、3月末が銀行休業日のため仕入債務の未決済により現金預金が156億8,300万円増加したことで、流動資産が148億100万円増加したためです。また、株式市場の上昇による投資有価証券含み益の増加等により、固定資産も51億4,100万円増加しました。

負債合計は、前期末から141億6,700万円増加し、2,113億1,700万円となりました。その主な要因は3月末銀行休業日による影響で、仕入債務が146億300万円増加したことです。

純資産は、前期末から57億7,500万円増の1,059億4,000万円となりました。その主な要因は、株主還元策の実行による減少分を、当期純利益の計上や投資有価証券含み益による増加分が上回ったためです。

当社PBR1倍までのロードマップ

ここからは、企業価値向上のための取り組みについてお話しいたします。まず、2023年12月26日に公表した資料から「当社PBR1倍までのロードマップ」について、あらためて振り返ります。

当社は、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、さまざまな取り組みを行ってまいりました。その結果、2022年10月3日に639円だった当社の株価は、2024年4月30日時点で1,231円と約2倍の水準まで上昇しております。

今後も当社はさらなる企業価値向上に向けて取り組んでいきますが、特に意識しているのはPBRの構成要素であるROEやPERの向上につながる各種施策の実践です。

当社のROE向上策

当社のROEを向上させるためには、ここに示したように、「売上高当期利益率の向上」「総資本回転率の増大」「財務レバレッジのコントロール」の3つに対処していく必要があります。

コア事業の進化

ここからは、具体的な取り組みをいくつかご紹介します。まず、売上高当期利益率の向上です。当社のコア事業である医薬品卸売事業においては、さらなる進化を遂げるため、既存の取り組みに加えて、そのスコープを拡大し、新たな取り組みも推進しております。

まず、既存の取り組みでは、「貢献利益を重視した適切な価格交渉の推進」「病院営業の強化」「製薬企業向けの情報ビジネス拡大」「高度なサプライチェーンの構築」に加えて、本年4月にケーエスケーが女性の健康支援に特化したウィメンズヘルスケアソリューション部を新設し、営業体制を一層強化しました。

さらに、患者さんや地域住民に近い川下領域においてもその活動エリアを広げ、難病患者の治療の質向上につながる新ツール「おくすりあうん」のリリースや、行政との協働を一層進めています。さらに、当社が力を入れてきたレンタル事業においても好事例が増加しています。

また、川上領域においては、製薬企業からの3PL事業の拡大を目的とした新物流センターの建設、我が国の社会課題となっているドラッグロス解消のための新しいビジネスモデルへの参画など、未来の成長につながる投資も行っています。

次のスライドから、1つずつ詳しくご説明いたします。

貢献利益を重視

はじめに、貢献利益を重視した取り組みです。バイタルネット、ケーエスケーの両社において、病院と薬局の売上高TOP30の得意先の取引状況を見ますと、前期と比較し、多くの得意先で貢献利益が改善されているのがお分かりになるかと思います。

当社は、個々の医薬品の価値を踏まえた適切な価格交渉の徹底を図ることに加え、流通コストに基づいた丁寧な話し合いを得意先と進めてきました。その結果、至急配送回数が16パーセント、得意先からの返品が14パーセント減少しました。さらに自社の物流体制を見直すことで、MSによる配送も11パーセント減らすことができました。

今後も安定的な医薬品流通体制を維持していくために、適正利益の確保やコスト管理に努めるとともに、システム投資や人材投資も進め、持続的な企業価値向上に努めてまいります。

病院営業の強化

第5次中期経営計画の主要課題である病院営業の強化も着実に成果につながっていますが、それをさらに推し進める考えです。

当社は、継続してMSの専門性強化に取り組んできました。そしてこの度、今後益々成長が見込まれるがん市場での新薬や重点品目のシェア拡大を目的として、新生・がんリエゾンの育成に着手しました。より高度な研修体制を構築し、メーカーMRとの協働の元、病院市場でのプレゼンス向上を目指します。

さらに、医薬とメディカル双方に精通したMAPsも軌道に乗り始め、新たな取引が次々生まれています。その結果、病院の売上高は前同101.9パーセントの1,870億円となり、当社売上に占める病院の割合も、第5次中期経営計画スタート前の2021年度の32パーセントから2023年度は33.1パーセントに伸びました。

製薬企業への情報ビジネス拡大

続いて、製薬企業への情報ビジネス拡大です。当社は、病院や診療所、薬局といったヘルスケアの現場に深く入り込める営業力を、地域卸ならではの強みとしてこれまで活動してきました。

そのきめ細やかな活動を可能にする私たちの充実した営業体制が、今あらためて注目されています。疾患啓発や受診勧奨、副作用などに関する情報を製薬企業のMRに代わって発信したり、臨床現場から収集した質の高い情報を製薬企業にフィードバックするといった、患者さんの適切な治療へのアクセスを支援する当社の活動の評価が、製薬企業の間で高まりつつあります。

その結果、情報活動に伴うフィーも増加しており、情報ビジネスの新たなステージへの進化として実感できるようになりました。限定流通医薬品が増えている昨今ですが、当社は物流品質だけでなく、情報品質の向上にも取り組んでおり、あらゆる面で製薬企業や得意先から選ばれる卸を目指してまいります。

高度なサプライチェーンの構築

次に、より高度なサプライチェーンの構築に関してです。GDPに対応した物流体制の整備に加え、物流2024年問題に対応するため、製薬企業との共同配送の検討を進めています。

また、バイタルネットの宮城、新潟、ケーエスケーの兵庫、大阪、京都の計5つの物流センターでは、より一層の物流品質向上を目指し、ISO9001の認証を年内に取得する予定です。なお、ケーエスケーの3センターは再取得になります。

さらに、災害が頻発する我が国において、いついかなる時も医薬品を届けるために、ドローンの実証実験や災害対策車両の追加導入など、危機管理物流体制の構築にも力を入れています。

これらの取り組みに加え、未来の成長投資の一環として、神奈川県内に新しい物流センターの建設が決定いたしました。詳細は後ほどご説明いたします。

ケーエスケー : 女性の健康支援に特化した組織を新設

また、本年4月には、ケーエスケーが女性の健康支援に特化した「ウィメンズヘルスケアソリューション部」を新設しました。昨今、女性の社会進出や働き方の変化とともに、女性特有の疾患や健康問題が表面化してきています。

ケーエスケーが営業活動を展開している近畿2府4県では1,000万人を超える女性が暮らしています。女性の健康課題に関するソリューションを提供することを目的として、女性MSを配置し、女性疾患領域やフェムテック商材に関する専門性を有した人材へと育成すべく、教育プログラムを始動したところです。

新連携ツール「おくすりあうん」

続いて、東北大学病院とバイタルネットとの共同研究から生まれた、患者さんと薬剤師、主治医をつなぐチャットと教育プログラムが統合されたシステム「おくすりあうん」のリリースについてご説明します。

このシステムは、主治医の処方意図を正しく理解した、高度な専門知識を持つ薬局薬剤師が、患者さんと主治医の間に入ってシームレスな連携を行うことで、治療の質向上を目指すために開発されたものです。

まずは、炎症性腸疾患(IBD)から連携をスタートし、今後徐々に対象疾患や利用可能エリアを広げていく考えです。

東北大学との共同リリース

こちらが本年4月23日に東北大学と共同でリリースした文書になります。右上のQRコードから詳細をご覧になれますので、ぜひお読みください。

行政との協働によるビジネス機会の創出

行政との協働も一層推進しております。一例として、岩手県盛岡市との「健康増進に関する連携協定」をご紹介します。この度バイタルネットが、がん対策、生活習慣病予防、感染症対策など、市民の健康増進に関する取り組みを盛岡市と一体となって推進していくことになりました。早速、本年6月には子宮頸がんワクチン啓発イベントを開催いたします。

このような取り組みを推進することで、地域の医療課題解決につながるのはもちろん、ワクチンの販売機会創出など、新たなビジネスチャンスにもなります。

子宮頸がん啓発イベントのチラシ

こちらが、6月に開催するイベントのチラシになります。今後も地域卸として、自治体や医師会との連携を一層強化し、地域のヘルスケアを支えてまいります。

レンタル事業の推進

また、レンタル事業においても好事例がいくつも出ており、今日は2つご紹介いたします。

1つ目は、MAPsによるチーム営業と、レンタルというソリューションが掛け合わさることで、新たなビジネスにつながったケースです。当社のMAPsと医薬MSがある中核病院を訪問した際、「高額な機器が故障したが、予算の問題で対応できず、患者さんが困っている」という話を耳にしました。それを社内に持ち帰り、メディカルMSやレンタル担当も交えたチームで協議した結果、レンタルによる機器導入を提案することになりました。

この提案は病院に受け入れられ、すぐに導入が決まりました。これはモノを売るだけでなく、レンタルという別のソリューションがあったことで生まれたビジネス機会であり、病院や患者さんにも大いに喜ばれました。

2つ目は、新しい販路の開拓です。当社は「長期ビジョン2035」でも、レンタル事業の販路を医療機関以外にも広げていくことを謳っております。この度、医薬品の取引がまったくなかった民間企業にAED100台をレンタルにより納品することができました。

これは地域に根差した当社だからこそ生まれたビジネス機会だと思っています。これからも従来の枠に捉われない斬新な発想で新しいビジネス機会をどんどん創ってまいります。

3PLの拡大 : 神奈川県内に物流センター新設

また、成長投資の一環として製薬企業からの3PL事業拡大を目的に、この度、神奈川県内に新たに物流センターを設置することを決定いたしました。

このセンターは、バイタルネットとケーエスケーの本店所在地からほぼ中間にあり、成田空港からも約2時間と非常に恵まれた立地に位置します。また、今後の高速道路網の整備により、日本全国へのアクセスがさらに向上すると見込まれています。

包装、表示、保管といった医薬品製造工程の一部にも対応可能な室温倉庫も設置する予定で、将来的な医薬品流通ビジネスの収益機会の拡大に大きく寄与すると期待しています。

ドラッグロス解消に向けた新しいビジネスモデルへの参画

続いて、本年2月14日にリリースした「ドラッグロス解消に向けた新しいビジネスモデルへの参画」についてご説明します。

ご存じのように、欧米の医療現場で使用されている薬剤が我が国で使用できないというドラッグロスが大きな社会問題となっています。実際に欧米で新しく承認されている薬剤の72パーセントは国内未承認となっており、その割合はここ数年増加傾向にあります。

また、世界に目を向けると、欧米で承認されている新薬の約70パーセントはEBPと呼ばれるEmerging Biopharmaという新興の製薬企業により開発されています。日本に開発や販売機能を持たない海外EBPが創薬した製品の多くは我が国には導入されず、これがドラッグロスの大きな原因となっています。

では、なぜ海外EBPは日本市場に入ってこないのでしょうか? その原因は大きく3つあります。まず1つ目は、限られた資金で運営されている海外EBPは、最も大きな売上と早期上市が期待できる欧米市場での開発・販売を優先するためです。

2つ目は、言語や文化の違いにより、日本市場の参入障壁が高いためです。そして3つ目は、国内製薬企業の事情があります。たとえ効果が高く有望な新薬であっても、売上規模が小さい希少疾病や難病、小児疾患用製品は収益性が低いため、積極的に開発を進めないのです。

この度、当社はこれらの原因を解消する新しいビジネスモデルに参画することを決め、我が国の社会課題であるドラッグロスの解決に取り組んでまいります。

当ビジネスモデルの概略図

こちらがビジネスモデルの概略図です。まず、医療領域に特化したベンチャーキャピタルであるメディカルインキュベータジャパンが、国内外の有望なEBPの探索と導入に係る資金の提供を担います。

シードインキュベーターであるLinDoは、ケアネットグループと協業することで、これまでの製薬モデルとは異なる、効率性を高めたリーンな開発・販売体制を実現します。

また、当社およびフォレストホールディングスが、我が国で開発された新薬のサプライチェーンを担うことで、最小限の費用でスピーディに全国にいる希少疾患や難病で苦しむ患者さんにお薬を届けます。

なお、このビジネスモデルに参画することによる今後の業績に与える見通しですが、当面の間は軽微なものと見込んでおります。ただ、中長期的には当社グループの企業価値向上に大いに資すると考えています。

政策保有株式の処分

続いて、総資本回転率の増大につながる政策保有株式の処分についてご説明いたします。当社は、2031年度までに政策保有株式の対連結純資産比率を10パーセント未満に縮減するスケジュールを公表しています。

このスケジュールに沿って、2022年度、2023年度の2年間、政策保有株式の処分を進めてきましたが、2023年度末の政策保有株式の残高は直近の株高の影響を受けて増加しました。そのため、最終年度の2031年度10パーセント未満の目標は変えずに、今後の毎年度の処分額を増やすスケジュールに変更しました。

また、この処分により得られた資金は、将来の企業価値向上のための設備投資や事業投資等に用いるほか、株主還元についても適宜利用していく予定です。

配当金と総還元性向の推移

次に、財務レバレッジのコントロールとして、株主還元策の強化についてご説明いたします。株主還元方針については、前に述べたとおり、2022年10月公表の「企業価値向上に向けた取り組みの強化について」を機に、株主のみなさまへ最大限配慮した還元策を講じるべきとの趣旨から、「総還元性向50パーセント以上」を目標に設定し、実施しています。

また同時に、配当方針も従来の「配当性向25パーセント程度」から「株主資本配当率(DOE)2パーセント以上」に改めました。

その結果、赤枠で囲った2023年3月期、2024年3月期の2年間、配当額および総還元性向が増加しています。

人的資本経営の推進

次に、その他のトピックスとして、人的資本経営の推進についてご説明します。当社は、多様な人材が活躍できる社内環境の整備に重点的に取り組んでおります。

まず、バイタルネット、ケーエスケーの両社で「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」の認定を取得しました。

また、昨今の物価高も考慮し、ベースアップによる従業員の処遇改善やワークライフバランスを重視した働き方改革にも取り組んでいます。

さらに、ケーエスケーでは、従業員一人ひとりが生み出している価値を重視した新人事制度を本年4月から導入しました。これにより、従業員のさらなるモチベーションの向上が期待されます。

そして、エンゲージメント調査も前期に実施しました。従業員の意識を的確に把握し、それを経営戦略に活かしていくことで、一層の定着率向上や組織力の強化につなげてまいります。

2025年3月期 通期業績予想

最後に、2025年3月期通期業績予想について説明します。まず、売上高は2024年4月の薬価改定の影響や、新型コロナウイルスに関する公費支援の終了によるコロナワクチン配送業務の収益が消失すること、ならびにコロナ治療薬を中心とする新型コロナウイルス感染症関連商材の売上が大きく減少することが予想され、前年比100.4パーセントの5,900億円を見込んでいます。

営業利益は、この増収効果に加え、病院対策や処方元対策等の各種営業施策の推進、それに3月改訂版の流通改善ガイドラインに則った価格交渉による貢献利益管理の徹底により、約12億円の増益を見込んでいます。

その一方で、前述のコロナワクチン配送収益や2024年3月期に計上した大口得意先の貸倒引当金の戻入益の消失が合わせて11億円。さらに、オープン化等の情報投資等で販管費が2億円増加することを見込み、結果として前年比99.0パーセントの55億円となります。

経常利益については、営業利益の微減に加えて、政策保有株式の処分による受取配当金の減少や投資組合運用益の減少を見込み、前年比97.6パーセントの64億円となります。

親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の処分の増加により、前年比102.7パーセントの60億円を見込んでいます。

ROEについては、前年より0.1ポイント改善の5.8パーセントを目標にします。

経常利益の推移

今ご説明したとおり、2025年3月期の経常利益は前期を若干下回る64億円です。しかし、前期実績に含まれるコロナワクチン配送収益や大口の貸倒引当金戻入益といったイレギュラーな要素である約11億円を差し引いて考えれば、実質的には増益となります。

今期の株主還元

最後に今期の株主還元についてです。まず、配当はDOE2パーセント以上の方針から、中間配当21円、期末配当22円、合わせて年間配当は1円増配の43円を予定しています。

総還元性向は、当期中に自己株式200万株(総枠30億円)の実施を予定していることから、過去最高の84.5パーセントになる見込みです。

将来見通しに係る記述事項

将来見通しに係る記述事項につきましては、ここに記載のとおりです。

お問い合わせ先

最後に、本日お話しした内容に関するお問い合わせは、当社コーポレートコミュニケーション部までお寄せいただきますようお願いいたします。

以上をもちまして、私からの説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。