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米倉裕之氏(以下、米倉):株式会社True Data代表取締役社長の米倉です。本日は、当社の2024年3月期第3四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日は主に第3四半期の決算概要と最近のトピックスをご説明します。よろしくお願いします。
ターゲット市場と進化の方向性
まず、決算概要をご説明する前に、当社の事業における成長モデルをお伝えします。スライドの図は、True Dataがターゲットとしている市場と進化の方向性を示しています。
スライド中央の「データマーケティング市場」が当社の主力事業です。主に「イーグルアイ」「ショッピングスキャン」といった小売業・消費財メーカー向けのSaaSを展開しています。
その外側に海外展開があり、点線で示したところが新規事業です。海外事業については、タイミングがきたらリリースとともにご説明したいと思っています。
当社はもともと「データマーケティング市場」で主力事業を行っていましたが、お客さまのニーズが拡大していることに伴い、消費者ビッグデータの活用・分析の高度化も手掛けています。また、消費財メーカーの社内データに別のデータを掛け合わせたり、AIを使ったりするニーズが出てきたことから、「ビジネスアナリティクス市場」もターゲットとしています。
「広告市場」については、当社は広告会社ではないものの、大量のデータを使った分析に専門性を持っています。広告アクションを分析し可視化した後、アクションを取る際に、どのような方にどのような訴求をしていけばよいのかという戦略立案や、広告展開した後の効果検証が当社の強みです。
そのような意味で、「ビジネスアナリティクス市場」と「広告市場」も進化させていこうと考えています。
当社の事業領域における成長モデル
事業領域についてご説明します。リテールDX領域は小売業のデータ活用とそのDXのためのデータプラットフォームで、こちらが当社の事業の土台です。「ショッピングスキャン」というSaaSや、「SalesSensor(セールスセンサー)」という新店出店時の売上予測AIなどを展開しています。
その上にデータマーケティング領域があり、「イーグルアイ」など消費財メーカー向けのデータ活用支援を行っています。この2軸が既存領域です。
スライド左側にあるビジネスアナリティクス領域は、「POS分析クラウド」というメーカーのPOSデータ等を社内で活用するためのサービスや、「POSデータクレンジングサービス」というデータ活用のための消費者行動分析、AIといったサービスを運営しています。
今期はビジネスアナリティクス領域で想定外の受注があり、大きく立ち上がってきたものの、原価率が思ったより高かったため手を入れていこうと考えています。一方、広告領域は利益率は高いのですが、現在は基本的に協業相手先が営業をするかたちです。そのため、ビジネスラインによって特徴があります。
このような4本柱が出来つつあり、ようやくビジネスミックスのポートフォリオ的な攻め方ができるようになってきたところです。
当社のリテールDXにおける取組み
スライドの図は、当社の土台である小売業向けのリテールDX領域の現在の方向性を細かく解説したものです。緑色で示しているのがツールで、「ショッピングスキャン」はデータ分析のSaaSサービスです。
従来「ショッピングスキャン」を軸に、ログインすることでお客さまのデータを分析できるサービスを提供していましたが、データ分析のためには経験・ノウハウ・リテラシーが必要でした。そのため、どのようにして使うのか、どのように使いこなしたらよいのかを勉強会やセミナーで学んでいただくというアプローチをしていました。しかし、現場の方は忙しく、リテラシーにはどうしても差が出てしまいます。
そのため、今期からはオレンジ色で示したAIシリーズを展開しています。例えば、AIが補助装置的に、どの商品が一番売れるポテンシャルがあるのかをリスト化したり、新店出店時にどのくらいの売上が立つのかをAIで計算・分析したりしてくれるサービスをどんどん出し始めました。ツールを提供し、学びながら使っていただくことと並行して、AIがデータ分析を補助しながら現場で活用していただくようなサービスを次々と投入することで、現在は小売業へ面で広げる展開に力を入れています。
小売業において、大手だけでなく中堅企業もデータを扱う「DXの民主化」の時代では、このような商品がないとなかなか販路が広がりません。こちらを実装しながら、大手だけではなく中堅企業も含めて網羅的に横に広げていき、データプラットフォームを使っていただけるような世界を作りにいっています。
当社を取り巻く環境の変化
「DXの民主化」についてです。準大手・中堅企業もどんどんデータを扱う時代に入ろうとしています。先ほど小売業向けのリテールDXについてお伝えしましたが、これは消費財メーカーでも同じです。当社が「ホワイトゾーン」と呼んでいる、準大手・中堅企業のメーカーがデータを活用できるように、支援していきたいと思っています。
今は具体的にどのような取り組みをするのかお話しするタイミングではありませんが、準備を進めているため、時期を見て発表できればと考えています。
2024年3月期 第3四半期決算 ハイライト
2024年3月期第3四半期のハイライトです。売上高は11億9,200万円となり、12期連続の増収を達成しました。第3四半期単独では、前年同期比16.5パーセント増と高成長を継続しています。
ストック型売上高比率は85.3パーセントとなりました。スポット型売上高が増加したことで、相対的な売上比率が一時的に低下しています。
営業利益は800万円で、第3四半期累計で黒字となりました。成長投資、売上構成比の変化等による費用増はありますが、利益は回復基調です。
損益計算書サマリー
今期の詳しい内容についてご説明します。スライドは損益計算書で、前期第3四半期累計と比較した数字を記載しています。売上高は11億9,200万円で過去最高となり、12期連続の増収を達成しました。営業利益も第3四半期累計で黒字になっています。
一方、販管費は増加しました。こちらは計画的な人員の採用に伴う人件費や採用費の増加、第1四半期で実施したAIなどの一時的な研究開発費の増加、そして事業拡大のための事業運営基盤構築の費用によるものです。
売上原価は、新領域の初期売上に伴う売上原価増によるものです。
損益の推移:四半期単位
四半期単位の売上高および営業利益の推移です。スライド左側のグラフは四半期単位の売上高を前期と今期で比較したもの、右側のグラフは今期の四半期別の営業利益の推移と営業利益率を示したものです。
第3四半期単独の売上高は前年同期比16.5パーセント増の4億600万円で、第2四半期に続いて2桁成長を継続しています。第3四半期単独の営業利益は2,700万円で、営業利益率は6.9パーセントと四半期ごとに改善傾向です。
第1四半期単独では売上成長はあまり見られませんでしたが、第2四半期単独で前年同期比18.4パーセント増、第3四半期単独で前年同期比16.5パーセント増と大きく伸びました。こちらは、新領域である「ビジネスアナリティクス領域」のアクセルを踏んだことで受注がかなり増えたためです。これらの取り組みによって感じたことや、さらにビジネスをスケールさせるために手を入れていきたいことについては後ほどお話しします。
当社はストック型売上高が大半のため、四半期ごとに見ることが大事だと考えています。2年後の中期的なターゲットとして営業利益1億6,000万円を掲げており、四半期ごとに4,000万円くらい取れるようになっていけば目標達成が見えてくると思っています。そのような観点から、売上高と営業利益を確認しながら事業運営を進めています。
また、営業利益については、第1四半期にかなり踏み込んで成長投資を行ったことで赤字スタートとなりました。ただし、第2四半期単独では黒字になり、第3四半期単独で営業利益は2,700万円、営業利益率は6.9パーセントとなりました。
まだ利益水準が小さいため、費用がかかり過ぎるなどして原価率が変わると、四半期ごとのブレが大きくなってしまう状況です。利益を厚くしながら、こちらをコントロールしていき、成長のアクセルの踏み方とあわせて工夫しながら進めていきたいと思っています。
通期予想に対する進捗率
通期予想に対する進捗率です。通期の業績予想に対して、売上高はおおむね順調に推移しています。一方、利益面では、期初の想定以上に事業運営基盤の構築や新領域の初期売上に伴う原価が増えたことで進捗に遅れが出ています。第4四半期は新領域の収益構造の見直し、利益率の高い売上の獲得などを行うことで、利益改善に向けて取り組んでおります。
ハイライト① 売上高推移:3Q累計
売上高の推移です。スライドのグラフは、過去12期の第3四半期累計の売上高推移と比較したもので、順調に成長しています。
ハイライト① 売上高推移:四半期別
四半期単位では、スポット型売上高の動向によって多少のでこぼこはあるものの、順調に成長を継続しています。
ハイライト① 売上高増減分析:対前年同期
売上高の増減分析です。スライド左端が前期第3四半期累計の売上高10億5,800万円、右端が今期第3四半期累計の売上高11億9,200万円で、その増減の中身を分解して示しています。
新領域であるスポット型売上が急伸し、こちらが売上高成長を牽引したかたちです。ストック型売上では「イーグルアイ」が伸長しています。
ハイライト② ストック型売上高推移:3Q累計
スライドの赤枠がストック型売上高です。新領域の「ビジネスアナリティクス領域」の初期売上によってスポット型売上が急伸したため、一時的にストック型売上高の比率が低下し、今期第3四半期は85.3パーセントとなりました。
ハイライト② ストック型売上高推移:四半期別
スライドのグラフは、ストック型売上高を四半期別に示したものです。中期的には順調に伸びていると思います。
ハイライト② 小売業向けストック型売上高推移:3Q累計
ストック型売上高の推移について、小売業向けと消費財メーカー向けに分解してご説明します。小売業向けでは、スーパーマーケット等の受注が進んでいます。ただし、導入までに一定のリードタイムがあるため、業績貢献は来期第1四半期から徐々に始まる見込みです。
一方、すでに受注した一部の「ショッピングスキャン」等の初期売上については、今期末に売上計上できる見込みです。こちらは決算等の開示の際はスポット型売上に含めて報告しています。
ハイライト② 小売業向けストック型売上高推移:四半期別
スライドのグラフは、小売業向けストック型売上高の四半期ごとの推移です。「ショッピングスキャン」等のストック型売上は回復基調にあります。
ハイライト② 消費財メーカー向けストック型売上高推移:3Q累計
消費財メーカー向けストック型売上高の第3四半期累計の推移です。
売上高の大半は「イーグルアイ」です。今期はお客さまの裾野の拡大を目指し、中堅企業までを含めた新規顧客の獲得に取り組んでいます。契約社数は前期比で順調に伸びていますが、新規顧客の契約単価が比較的小さいため、売上高は緩やかな伸びとなっています。
今期中にはホワイトゾーンの開拓に向けた体制の準備を完了できるようにします。具体的には、現場で使いやすいソリューションの開発や営業チャネルの多様化に取り組み、来期以降のストック型売上の成長を目指しています。ソリューション開発にそれほど大きな額の投資がかかるとは見ていないため、準備が整い次第、開始したいと考えています。
ハイライト② 消費財メーカー向けストック型売上高推移:四半期別
消費財メーカー向けストック型売上高の四半期ごとの推移です。売上高は新規顧客の獲得等によって、順調に成長しています。
(参考)主要ソリューションの既存顧客売上高拡大およびストック型売上高推移
スライドは、決算説明資料に毎回掲載しているもので、当社の売上成長の特徴を2つのグラフで示しています。スライド左側のグラフは、今期見込みを含めた直近5年度の「イーグルアイ」上位5社の売上推移です。顧客単位の売上を少しずつ拡大しながら積み上げています。
スライド右側のグラフは、「イーグルアイ」と「ショッピングスキャン」で獲得した新規顧客の売上を年度ごとに整理したものです。毎年、新規顧客を着実に獲得し、ストック型売上を積み上げています。
ハイライト③ 営業利益推移:3Q累計
営業利益の推移についてご説明します。スライド左側のグラフは、直近5年度の第3四半期累計の営業利益の推移です。今期は営業利益が800万円で、黒字に浮上しました。しかし、前期末比では上期の赤字を補填するには至らず、減益となっています。
スライド右側のグラフは、開発に関わる減価償却費を差し引く前の営業利益を示しています。今期は5,000万円の黒字となりました。
ハイライト③ 営業利益増減分析:対前年同期
営業利益の増減分析です。スライド左端に前期第3四半期累計の営業利益4,200万円、右端に今期第3四半期累計の営業利益800万円を記載し、増減を分解しています。
売上高は1億3,300万円の増加であり、また、売上原価における減価償却費の負担が4,300万円軽くなったため、利益を押し上げています。一方、売上構成比の変化により、その他売上原価は想定より増加いたしました。
成長投資としてアクセルを踏んだため、営業体制および専門性強化のための人件費が増加しています。その他販管費は、一時的な研究開発費や事業運営基盤の構築等に伴う費用、採用費等が増加し8,200万円のマイナス影響となっています。
その他売上原価については、新領域のニーズがあることがわかったため、利益構造を見直してアクセルを踏み直そうと思っており、今後、比率は下がっていくと見ています。先行投資でかなりの採用をかけたため、人件費も大きく膨らみましたが、今後、大きく増えることはないと思っています。
その他販管費の事業運営基盤については、より効率的な営業体制を構築するための情報武装、また、効率的にもの作りをするための情報武装においてシステム的な対応を行っています。想定より少し費用がかかっていますが、今期中に完成するため、将来的には費用は圧縮されていくと考えています。
ハイライト③ コスト構造:対前年同期
スライドのグラフは、すべてのコストを前期第3四半期累計と今期第3四半期累計で比較したものです。費用全体では、前年同期比で16.5パーセント増加しています。
2024年3月期業績予想
業績予想についてです。第3四半期を終えた時点で、営業利益以下の各利益の進捗に遅れがあるものの、業績予想は据え置いています。
売上高はおおむね順調に推移しています。特に新領域において想定を超える受注を獲得し、売上構成比が変化しました。加えて、社内の事業運営基盤の構築、情報武装といった成長投資の費用増により、利益の進捗に遅れが出ています。
現在は、新領域の収益構造の見直しに着手し、利益率の高い既存領域の売上獲得を行いながら、利益目標に向けて取り組んでいます。
(参考)2026年3月期 数値目標(コミットの下限)
2023年3月期の決算説明資料で開示した、2026年3月期の数値目標です。3年先の状況を見通しにくい新サービスもあり、緻密な積み上げによって作られた事業計画ではありませんが、経営として取り組みたい最低限の目標数値として捉えていただければと思います。
今期は人材採用や研究開発、事業運営基盤構築などの成長投資を行いながら、新サービスを次々とリリースいたしました。中期的な取り組みとしては、順調に進んでいると思っています。
また、経済誌等でも「DXの民主化」が取り上げられていますが、消費財メーカーや小売業だけではなく、あらゆる産業の準大手・中堅企業までデータ活用の市場拡大が進んでいます。このような追い風の状況で、当社は20年以上、先端的なテクノロジーを取り入れながら、消費者購買データを中心にビッグデータを活用するノウハウを作り上げてきました。
分析したデータを小売業や消費財のメーカーの現場に活用するノウハウは、他社にない強みだと思っています。このような強みを活かし、市場の拡大に伴うポジショニングの確立を目指します。
(参考)貸借対照表サマリー
バランスシートの状況です。前期末から大きな変動はありません。
(参考)ストック型売上高推移(P. 12グラフの実数値)
ストック型売上高推移の数値です。ご説明は割愛します。
トピックス 最近の主な取り組み
スライドに、当社の最近の主な取り組みを6つ紹介しています。このうち2つのトピックについて、具体的にご説明します。
トピックス Pick Up①
1つ目に、2023年11月に「Google Cloud Marketplace」で「ショッピングスキャン」の提供を開始しました。重要なパートナーでなければ、このようなポジションはなかなか取れませんが、「ショッピングスキャン」を一緒に販売していただけるということでリリースしています。
トピックス Pick Up②
2つ目に、2023年12月に「Potential Scan(ポテンシャルスキャン)」の提供を開始しました。こちらはAIツールで、現場でのデータ活用を補足するものです。AIがリストを出してチューニングすることで、小売業は自社店舗と市場全体の売上のギャップがわかり、また、売上ポテンシャルの高い商品を見つけることができます。
データ分析の専門家がいない小売業でも、店長やバイヤーといった現場の方々が、AIの示唆にもとづいて売上アップの伸びしろがどこにあるのかを視覚的に把握し、品揃えや販売促進のヒントを得ることが可能です。受注はこれからですが、引き合いがあるため、非常に期待しているサービスです。
質疑応答:新領域の売上高について
司会者:「新領域の売上高は、全体の何割程度を占めていますか?」というご質問です。
米倉:こちらは開示していないため、ご説明できる範囲でお答えします。新領域には、「ビジネスアナリティクス領域」と「広告領域」があります。
新領域の初期売上はスポット型売上とストック型売上が積み上がりますが、今期第3四半期累計期間の売上高全体に占める割合は1割程度です。前期比では300パーセント近く増加しています。まだ実額は小さいですが、今期は特に「ビジネスアナリティクス領域」が大きく成長しています。
質疑応答:広告領域の進捗と今後の展開ついて
司会者:「ビジネスアナリティクス領域で事業が強化され、今後も期待が持てます。広告領域は、今後どのような検討を進めていますか?」というご質問です。
米倉:「広告領域」について、今期は楽天グループとGoogleとの協業サービスをリリースすることができました。
事業領域によって少し違いがありますが、楽天グループとの協業においては、営業主体は楽天です。アライアンス強化を図り、楽天での営業を後押しするかたちで売上拡大を目指しています。Googleとの協業サービスは「Poswell(ポスウェル)」です。こちらは、当社直販の営業による顧客獲得に向けて営業体制を整えており、来期の業績貢献を目指しています。
また、「広告領域」では、位置情報などを活用した新しいサービスについても検討を行っています。時期がくれば具体的にお伝えします。
質疑応答:人材投資の現状と来期の計画について
司会者:「今期は人材への投資を積極的に行っていましたが、来期以降はどのような人材を採用する予定でしょうか? 増員の規模についても可能な範囲で教えてください」というご質問です。
米倉:専門的な人材の強化において、人がなかなか採りづらいこともあり、出会いがあった時に採用することもあります。今期は人材の強化にアクセルを踏んだ甲斐があり、新サービスの開発や立ち上げを実施できました。また、今期は情報武装として社員用ツールの整備を行っており、効率的な営業や開発、デリバリー体制の構築が完了する予定です。
これにより事業運営効率化が実現できれば、来期は一定程度の人材補強で済むと思っています。具体的な人数はお話しできませんが、今期のような採用ペースは想定していません。
質疑応答:新領域のストック型売上について
司会者:「今期は新領域の初期売上が増えており、一時的にストック型売上高比率が下がっているとのご説明でした。これらは来期以降、新領域のストック型売上につながっていくという理解でよろしいでしょうか?」というご質問です。
米倉:おっしゃるとおりです。当社のビジネスは、新領域も含め、基本的には月次課金型のストック型ビジネスです。プロジェクトの最初に、お客さまごとに初期開発や環境設定などが発生しますが、サービス開始後は月次の課金型で売上が計上されていきます。
質疑応答:今期好調だったビジネスアナリティクス領域のサービスについて
司会者:「今期にビジネスアナリティクス領域でスポット型売上を多く獲得したサービスとは、プラネットとの協業の『POSデータクレンジングサービス』ですか?」というご質問です。
米倉:「POS分析クラウド」です。こちらは、消費財メーカーが社内に持っている小売業のデータの上手な活用を実現するためのものです。
当社はリテールDX領域において、多くの小売業のデータ活用を支援しています。「POS分析クラウド」はそれと連動するかたちで、消費財メーカーが取得した小売業の購買データについて、データのクレンジングやフォーマット設定、ダッシュボードの作成、分析アルゴリズムの作成といった消費財メーカー社内での分析・活用を支援しています。
人事領域には人事クラウド、会計領域には会計クラウドがあるように、「POS分析クラウド」はPOSデータを使うためのクラウドです。当社が行ってきた小売業への取り組みの形を変えて、メーカーの社内でのデータ活用を支援しています。
データ活用時には、小売業からのデータ取得、データクレンジングとフォーマット作成、商品マスターのメンテナンス、分析のアルゴリズム作成、使いやすいダッシュボートとして現場で使用するといったプロセスがあります。
プラネットと共同で行う「POSデータクレンジングサービス」は、そのうちのデータクレンジングにフォーカスし、より効率的にフォーマットを整えることを行っています。したがって、「POSデータクレンジングサービス」はプロセスの一部ともいえると思います。
質疑応答:新領域の利益構造の見直しについて
司会者:「新領域で想定より原価率が上がってしまった理由と、今後の見通しについて教えてください。利益構造の見直しを行っているとのことですが、効果はどのくらい出ていますか?」というご質問です。
米倉:できるだけ早く効果を出したいと思っています。第2四半期・第3四半期でアクセルを踏んだら売上が大変伸びましたが、利益構造としては想定よりもコストが多くなることがわかりました。そのため、今はアクセルを弱め、どこをどのように工夫すればどのようになるかを検証しながら利益構造を整えているところです。
新規事業は、そのようなことを行いながら利益が上がるようになっていきます。ニーズはあるため、もう一回アクセルを踏むとそれに応じた利益が出るようになる想定です。時期については今のタイミングではっきりとお伝えできませんが、3ヶ月か半年といったスパンの中でなるべく早くアクセルを踏みたいと思っています。
質疑応答:ホワイトゾーン開拓にかかる投資について
司会者:「消費財メーカー向けのホワイトゾーン開拓のための開発には大きな投資はかからないとのご説明がありましたが、その理由を教えてください」というご質問です。
米倉:抜本的な開発と成長投資をして、その償却が終わりました。そのため、その部分への投資はかかりません。
ビッグデータのビジネスでは、根っこの部分であるシステムインフラの立て付けが一番大きな投資です。これについてはグローバルで最先端のものの実装が終わっており、償却も終えたと思っています。
今後は、アプリケーションやAIの組み合わせを考えて、どのように使用する現場のお客さまに合わせたかたちで支援していくかという段階です。今期も「ポテンシャルスキャン」などのAIをいくつか出しましたが、それほど大きな投資はかかっておりません。今後も同様の感覚で攻めていけると思っています。
質疑応答:「ショッピングスキャン」の受注獲得の影響について
司会者:「今期は『ショッピングスキャン』の受注が複数入り、来期以降に業績貢献していく予定というご説明でした。『ショッピングスキャン』は前期・今期と伸び悩んできたため、これは良いニュースだと思います。
社長は上場直後のIRで、『小売データを拡大していくことが、消費財メーカー向けビジネスの成長に向けた最大のカギである』とご説明されていたと思いますが、『ショッピングスキャン』の受注が増えることが、来期以降の消費財メーカー向けビジネスにも好影響を与えていくと考えてよいのでしょうか?」というご質問です。
米倉:こちらに関しては、すべての事業領域が関連しています。当社のデータプラットフォームが使いやすく、セキュリティが担保され、個人情報保護体制とデータガバナンスがしっかりしたものであれば、小売業は、契約などをきちんと担保しながら「このデータはこのように使える」「このような目的に使えるのはこのようなデータだ」と出し分けながら利用できます。
そして、リテールDX領域で小売業のお客さまが増えると、メーカーが当社の「ショッピングスキャン」を使って小売業のデータ分析をすることが増え、また、個別の小売業者が自社のデータだけではなく市場全体を見て「このような人がこのような商品を欲しがっている」ということを把握することができます。
さらには市場データの精度が上がるというように、すべてがつながるかたちで好循環になるのです。そのほか、現場でのデータの見方、ノウハウ、AIといった違うサービスの中での同じロジック・ダッシュボードの活用なども広がっていきます。
そのため、「ショッピングスキャン」だけではなくAIシリーズなどでリテールDX領域を広げていますが、これはデータマーケティング領域、広告領域、ビジネスアナリティクス領域それぞれに恩恵があります。小売業のみなさまが当社のデータプラットフォームを使いやすいと思い、ご使用いただくことで、全体に成長が波及していくという構造です。
質疑応答:「ショッピングスキャン」のターゲット業態について
司会者:「『ショッピングスキャン』ではドラッグストアから他業種へ対象を拡大していきたいとのお話だったと思いますが、何か変化はありましたか? スーパーマーケットで受注があったとのことですが、この方向で広げていくのでしょうか?」というご質問です。
米倉:方向性として、今もっとも注力しているのは食品スーパーの領域です。やはり食品や飲料は人の生活に欠かせないもので、かなり大きな市場です。その市場に貢献していくよう取り組んでおり、成果もかなり上がっています。リードタイムがありますが、来期からは確実に数字に表れてきます。
業態については、スーパーマーケット・ドラッグストア以外にもアプローチ、コミュニケーション、ディスカッションを行っており、その中で何か新しいものが出てくる可能性も十分あると思っています。
もう1つは、海外です。当社はベトナムをターゲットにしています。eコマース、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストアにおいても、今後ですが、当社のサービスにログインすると「どのようなことをするとどのような効果があるか」「どのような方が買ったか」などがわかるようになります。その上で輸入や輸出ができるようになると、さまざまな企業がさらに成長できるのではないかと思っています。そのため、こちらも立ち上げていきたいと考えています。
質疑応答:第4四半期の業績見通しについて
司会者:「今期の業績予想を据え置きにしていますが、今回の決算を見ると残り3ヶ月で通期業績予想の利益達成は難しいのではないかと思います。第4四半期で利益をどのように確保するのか教えてください」というご質問です。
米倉:第4四半期については、今、利益率の高い既存領域での売上の獲得に注力しています。費用面は、人員が充足しているため、採用費などは圧縮しています。また、開発工数の見直しなどの検討を実施しています。
一方で、事業運営基盤における情報武装の構築費用などが想定を上回る可能性もあるため、日々進捗を追いながら業績予想の達成に近づけるように取り組んでいます。
質疑応答:事業運営基盤構築の内容について
司会者:「事業運営基盤構築にかかる費用が今期の負担になっているとのことですが、費用の具体的な内容を教えてください」というご質問です。
米倉:事業運営基盤構築にかかる費用については、今後、事業をスケールさせていくため効率化が必要と考え、社内向けDXに投資しています。
具体的なものの1つは、当社における営業の推進・管理の効率化です。2つ目は、システムを開発してデリバリーするまでの工数の精度向上や最適化です。この2つは、今後ホワイトゾーンを攻めていく時や、利益率の改善に必要だと考えています。
今までも取り組んできており、今期中にすべてを完了させることを目指しています。今期の一時的な支出となりますが、事業運営基盤が整うことによって、来期以降の成長に寄与するのではないかと思っています。
質疑応答:「イーグルアイ」の解約と対策について
司会者:「『イーグルアイ』の契約社数が第2四半期と比較して減少しています。解約の原因と今後に向けた対策を教えてください」というご質問です。
米倉:変化していく事業環境にあわせて、さらに先を取りにいくことが大事だと思っています。現在の解約数はそれほど多くはありませんが、中堅規模の企業が解約する傾向にあります。
「イーグルアイ」はどちらかというとプロ向けで、プロが満足するクオリティで高度な機能が備わっています。しかし、ホワイトゾーンの現場の方にフィットするかたちにする必要があると思っており、専門的なマーケティング知識がなくても活用できる、現場で使いやすいツールの必要性を感じています。これによりホワイトゾーンの開拓に力を入れたいと考えています。
ユーザー向けの活用セミナーや意見交換の場を設けるなど、引き続きユーザー数の増加に向けた施策を行いながら、ホワイトゾーン向けの備えをしっかりして攻めにいくステージに行きたいです。