2024年3月期 第2四半期 業績サマリー

篠﨑俊明氏(以下、篠﨑):アドソル日進株式会社、代表取締役社長兼COOの篠﨑俊明です。本日はご多用の中、オンラインでの開催となる2024年3月期第2四半期の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

2024年3月期第2四半期の業績サマリーについてご説明します。この第2四半期決算では、売上高・営業利益・営業利益率のいずれも過去最高を更新しました。

売上高は、社会インフラ事業のエネルギー関連や先進インダストリー事業のDX関連が堅調に推移したことにより、前年同期比9.6パーセント増収となる68億3,500万円となりました。

利益面では、社員エンゲージメントの強化に向け、平均5パーセント、最大30パーセントアップの処遇改定などを行った一方で、収益性の向上に継続して取り組んだ結果、営業利益は前年同期比で33.6パーセントの増益となる7億900万円、営業利益率は10.4パーセントとなりました。

上期の受注高は前年同期比3.6パーセント増の68億6,900万円となり、前年同期を2億4,100万円超過しました。

受注残高は、契約形態の変更や売上計上方法を変更したことにより、スライドのとおりの結果となりましたが、受注全体を見れば、好調なビジネス環境が継続している状況です。今後のビジネスについても、私自身、自信を持っています。

2024年3月期 第2四半期 業績ポイント

上期の業績ポイントについてご説明します。契約条件の見直しや品質向上活動などが成果として表れ、売上総利益率は、第2四半期としては過去最高の27.6パーセントとなりました。

この数年、社内DXに取り組んでおり、社内情報の分析を高度化させ、施策に展開することで、さらなる収益向上につなげていきます。

また、今期の通期業績予想に対する進捗ですが、利益進捗率は50パーセントを超過するなど、堅調に推移しています。

以上、第2四半期決算のサマリーをご説明しました。

2024年3月期 第2四半期 業績

決算概要についてご説明します。損益計算書はスライドのとおりです。繰り返しとなりますが、売上総利益率は、エネルギー関連やDX関連が牽引し、第2四半期としては過去最高となる27.6パーセントとなりました。販売管理費については、リスキリング等の投資活動が予定どおり推移しました。

結果、営業利益は7億900万円、営業利益率は10.4パーセントと、前年同期に比べ大幅に増加し、金額・利益率ともに過去最高を更新しました。

セグメント別業績

セグメント別業績についてご説明します。社会インフラ事業は、電力・ガスのエネルギー分野や、交通・運輸分野が堅調に推移し、9.3パーセントの増収となりました。

先進インダストリー事業は、製造分野やサービス分野のDX案件が牽引し、10パーセントの増収となりました。

GIS(地理情報システム)・IoT空間情報・セキュリティを中核に展開するソリューション事業は減収となりましたが、顧客提案と対応領域の拡大や、グローバルにビジネス展開する企業とのアライアンス活動に注力しました。

社会インフラ事業

社会インフラ事業の業績詳細です。エネルギー分野は、次世代エネルギー関連やDX関連などが順調に拡大しました。本年度より注力する中部地区でのビジネスも、計画どおり進んでいます。

交通・運輸分野では、航空キャリア向け案件や宇宙関連などが拡大しました。公共分野では、防災関連をはじめとした官公庁や自治体向け案件が拡大しています。通信分野では、5Gを中心とした無線基地局関連や、通信を利用した設備などが計画どおり推移しました。

結果、売上高は39億5,500万円と、増収で着地しています。受注残高はやや減少していますが、これは売上計上方法の変更や、交通・運輸分野の航空関連で前期に一括受注したプロジェクトの契約形態を月単位に契約変更したことによるものです。

ビジネス環境に変化はなく、好調に推移していると認識しています。

先進インダストリー事業

先進インダストリー事業です。製造分野は、大手メーカー向けのDX関連が拡大し、自動車関連も継続しました。サービス分野では、キャッシュレス決済やクレジットカード等のペイメント関連が拡大しました。エンタープライズ分野では、ローコード・ノーコードを活用したDX対応に継続して取り組みました。医療・ヘルスケア関連は、計画どおりに推移しています。

結果、売上高は28億8,000万円と、増収で着地しました。なお、受注残高は11億6,500万円と、増加しています。

ソリューション事業

ソリューション事業です。GIS(地理情報システム)・IoT空間情報・セキュリティを中核ソリューションとした提案活動に取り組み、社会インフラ事業では、電力会社や自治体向けのGISソリューションが計画どおり推移しました。

先進インダストリー事業では、建設コンサルティング企業向けのGISソリューションの展開や、製造業・物流向けIoTソリューションの拡大とアライアンスによる事業拡大にも取り組みました。

これらの結果、売上高は4億8,800万円となりました。

四半期推移

四半期ごとの売上高・受注高・受注残高は、スライドのとおりです。売上高は、7四半期連続の増収となりました。受注高は、スライドのとおり、比較的高い水準で推移しています。また、受注残高についても、安定的に推移していることがグラフからもおわかりになると思います。私自身も、期待感をさらに強めています。

足元のビジネス進捗やお客さまとのコミュニケーションなどからも、市場環境は非常に力強いものであると認識しています。

引き続き、お客さまのご期待にしっかりと応えていきます。

経常利益の分析

経常利益の分析です。リスキリング等の投資を計画どおり行い、販売管理費は増加していますが、増収効果と原価率の改善が大きく寄与し、7億3,900万円と過去最高を更新しました。今後も、持続的成長と企業価値向上のための戦略投資を積極的に行うとともに、コストコントロールにも継続して取り組んでいきます。

貸借対照表

貸借対照表は、スライドのとおりです。自己資本比率は72.2パーセントと、健全な状況を保っています。

キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況は、スライドのとおりです。

2024年3月期 業績見通し

2024年3月期の業績見通しについてご説明します。現段階で、2024年3月期の見通しに変更はありません。売上高136億円、営業利益13億円、営業利益率9.6パーセントと、最高売上・最高利益・最高利益率の更新を目指します。なお、堅調な事業環境を踏まえ、この下期は、中期経営計画の達成と2030年以降の持続的成長につながる戦略投資を拡大していく方針です。

配当予想

配当については、中間19円、期末20円の39円を予定しています。今期で14期連続となる増配です。配当性向40パーセントを基本方針に、株主のみなさまにお応えする事業運営を図っていきます。

株主還元 ~株主優待~

株主優待です。配当に加え、保有株数に応じた優待制度を設けており、梅ギフトやQUOカードを年2回、贈呈しています。

新・中期経営計画「New Canvas 2026」

本年5月に策定した新・中期経営計画「New Canvas 2026」の概要についてご説明します。新・中期経営計画のポイントは、4つです。

業績目標では、毎期で最高売上・最高利益・最高利益率を更新し、最終年度となる2026年3月期は、売上高150億円、営業利益15億円以上、営業利益率10パーセント以上を目指します。

株主還元では、16期連続増配と配当性向40パーセントの方針で、株主のみなさまのご期待に応えていきます。

スライド左下の事業戦略では、2030年を見据えた事業成長ドライバーを「次世代エネルギー」「スマートインフラ/ライフ」とし、安定成長を支えるベースロードビジネスとして、「エンタープライズ DX/モダナイゼーション」の対応を強化します。

加えて、企業価値・株主価値の向上につながる経営高度化戦略として、投資や人的資本への施策に一層取り組んでいきます。

中期事業戦略フレームワーク(ビジネス領域の進化・拡大、DX ソリューションの拡充・強化)

新・中期経営計画で掲げた、中長期的な事業戦略ポートフォリオについてご説明します。2030年を視野に、サステナブルな社会の実現や人々の暮らしの発展に向け、当社が培ってきた技術や強みを、どの領域で、どのように活かし、どのように進化させながら貢献していくかを示しました。

既存のビジネスから進化・発展させた「エンタープライズ DX/モダナイゼーション」をベースロードに、「次世代エネルギー」「スマートインフラ/ライフ」の2つの事業で、成長を牽引します。

さらに、GIS(地理情報システム)などの当社独自のソリューションや、宇宙・衛星データなどのデジタルデータ活用の対応を融合させ、成長を加速させていきます。

これらの取り組みを通じ、2030年、2050年に向け、官民で進めるグリーン戦略やデジタル戦略、その先にあるカーボンニュートラルやスマートシティ、さらにはサステナブルな社会の実現に貢献していきます。

ビジネス構造改革 : 「 利益成長型企業 」 を見据えた投資強化

利益成長型企業への進化に向け、人材を中核に置いた5つのポイントで投資を推進します。優秀な人材の獲得と育成、リスキリング、エンゲージメントの強化は、システム開発、コンサルティング、サービスの高度化・拡充などに不可欠であり、重点的に推進していきます。

これらの投資効果により、長年培ってきた確かな開発力・技術力を基盤としたプロダクト・ソリューション・高度エンジニアリングを融合した高収益サービスを活用し、ソリューション営業やコンサルティング営業が課題解決に向けた施策を提案していきます。

そして「高付加価値を創出するビジネス・フレームワークの確立」につなげ、利益成長型企業への進化を果たしていきます。

2026年3月期 業績目標

業績目標です。繰り返しになりますが、新・中期経営計画の最終年度である2026年3月期は、売上高150億円、営業利益15億円以上、営業利益率10パーセント以上の達成に向け、事業活動を進めていきます。加えて毎期の最高売上・最高利益・最高利益率の更新を目指します。

一方、この3ヶ年は、2030年以降の持続的成長を見据え、戦略投資や採用、育成・リスキリング、ビジネスポートフォリオの最適化など、進化・変革に向けた基盤作りと経営の高度化に向けた取り組みを強化していきます。

2024年3月期 第2四半期 トピックス

最後に、2024年3月期第2四半期におけるビジネストピックスをご説明します。

先ほどご説明した新・中期経営計画の達成に向けた取り組みとして、この第2四半期はアライアンスや企業価値向上、持続的成長につながるさまざまな取り組みを行いました。

アライアンス関連(1) : 仏・シュナイダーエレクトリックとの共創

アライアンス関連では、2019年より協業活動を推進するフランスのシュナイダー・エレクトリック社とは、インダストリーDXに加え、マイクログリッドやVPP(バーチャルパワープラント)、エネルギー・マネジメントなど、対応領域の拡大と協業関係の強化に取り組んでいます。

この春には、全世界のパートナー企業400社の中から世界で6社のみが選ばれる「シュナイダー・サステナビリティ・インパクトアワード賞」を受賞しました。サステナブルな社会の実現に向け、今後も両社のアライアンス活動に一層注力していきます。

アライアンス関連(2) : リーディングカンパニーとの共創

スライドに記載のとおり、データ利活用などで業界をリードする企業とのアライアンスにより、当社ならではの一歩先いくDXサービスの拡充を図っていきます。

アジア・オフショア戦略 〜ベトナムでの取組み強化〜

アジア・オフショア戦略に基づくベトナム中部の都市、ダナンでの取り組みをご説明します。

ベトナム政府からIT特区に指定されているダナンでは、高度IT人材の育成をコンセプトに、2つの取り組みを進めました。

1つ目は、スタートアップ企業であるTechzen(テックゼン)社との資本・業務提携の締結です。Techzen社は、エンジニアとして活躍したベトナム人の当社OBが、当社独自の起業支援制度を活用し、昨年設立した企業です。9月に現地で提携セレモニーを実施し、私も出席しました。急成長中の若い会社らしい勢いや情熱を感じることができ、非常に刺激を受けています。

Techzen社とは、今後、高度IT人材の育成に加え、オフショア開発の体制強化についても連携を進めていきます。

2つ目は、ベトナムの国立ダナン大学と産学連携協定を締結しました。今後、スマート大学の実現に向け、メタバースと当社の教育ソリューションである「StudyArts(スタディアーツ)」の融合に向けた共同研究を推進します。

Techzen社とダナン大学との取り組みを両輪で進め、日本、ベトナム両国の経済発展に貢献する高度IT人材の育成に取り組んでいく方針です。

研究開発・特許取得

知的財産への取り組みについてご説明します。当社は長年にわたり、保有する独自技術の特許化に取り組んでいます。この上期は、屋内外の人やモノをシームレスに位置検知する位置検知ソリューション「uS1GMA(ユーシグマ)」を活用する技術に関して特許を取得し、累計で21件となりました。

今後も当社は保有する独自技術の特許化を進め、オリジナルソリューションや技術力の強化を図っていきます。

企業価値向上・持続的成長に向けて : 人材に関する取り組み

人材に関する取り組みについてご説明します。まず、事業活動の源泉である人材の獲得率獲得については、2024年4月入社の新卒採用で40名以上を目標に採用活動に取り組み、先日、内定式を行いました。また、市場環境の変化や技術革新を先取りするデジタル人材育成を一層加速するため、「人財開発センター」を新たに設置しました。

このほかにも社員全員を対象とした処遇改定や、ジョブ型制度を含む人事制度改革、DX人材の育成などに継続して取り組みました。

企業価値向上・持続的成長に向けて : エリア戦略(中部地区 新展開)

エリア戦略の取り組みとしては、中部地区への対応強化を一層加速するため、本年4月に名古屋オフィスを開設しています。

これにより、全国5つの拠点でビジネスを進めています。中部地区は、当社の主力領域であるエネルギー企業さまやグローバル展開する製造メーカーさまの拠点が多い地域です。こうしたお客さまを中心に営業活動とシステム対応を推進し、中部地区でのアドソルブランドを高めていきます。

中期的には、成長原動力の1つとして関西支社、九州支社と並ぶビジネスボリュームを作る拠点へと進化させていきます。

企業価値向上・持続的成長に向けて : プロモーション掲載 ①

スライドに記載のとおり、この第2四半期は日本経済新聞をはじめ、さまざまなメディアで当社のビジネスを取り上げていただきました。

企業価値向上・持続的成長に向けて : プロモーション掲載 ②

また、投資家さま向けのメディアでも取り上げていただいています。今後も当社ブランドの向上につながるプロモーション施策を推進していきます。

企業価値向上・持続的成長に向けて : 外部評価、サステナビリティ

外部評価としては、日本経済新聞社が新たに公表を開始した「日経連続増配株指数」の構成銘柄に選定されました。

当社は、創立50周年となる2026年3月期までの16期連続増配を実現すべく、持続的な成長に向けた取り組みを今後も進めていきます。そのほか、経済産業省のDX認定やTCFDコンソーシアムに加盟し、アドソルブランドの強化に努めていきます。

以上で、2024年3月期第2四半期の決算説明を終わります。今後も株主、投資家のみなさまには、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。本日はご参加いただき誠にありがとうございました。

質疑応答:エンジニアの稼働率や単価の状況について

司会者:「エンジニアの稼働率や単価の状況を教えてください」というご質問です。

篠﨑:現在、上期が終わったところですが、エンジニアの稼働率は、ほぼフル稼働と認識していただければと思います。下期に入ってからも好調な事業環境は続いていますので、このまま稼働状況には問題はございません。

お客さまからは、足元のビジネスに加え、すでに来年の案件についても多くのご相談をいただいています。したがって、稼働率は今後も安定的に推移すると見込んでいます。

ただし、稼働率の高さを追いかけるあまり、新・中期経営計画でも謳っている人材育成や教育等に十分な時間を確保できないといったことが起こらないよう、5年先、10年先の持続的な成長を念頭に、取り組みを進めていきたいと考えています。

また受注単価に関しては、新規案件を受注する際の交渉には、新たな提案内容も踏まえて単価交渉を実施しています。一方、既存案件に関しては、まだまだ改善の余地があると思っていますので、今後も改善を続けていきたいと考えています。

質疑応答:新入社員の立ち上がり状況について

司会者:「今年の4月に入社した新入社員の立ち上がり状況について教えてください」というご質問です。

篠﨑:おかげさまで、この4月に新社員34名が入社していますが、現在、全員が各プロジェクトに参加して、開発業務に当たっています。

開発業務を行いながら先輩社員によるOJTも同時に行い、開発業務のスタイルやお客さまの文化の理解技術力の強化にも取り組んでもらっています。また、来年の春の採用についても、40名以上の採用に向けて順調に進んでいます。

人材が何よりの財産であり事業活動の源泉となるため、しっかりと今後も人材育成、また教育に取り組んでいきたいと考えています

質疑応答:下期の受注・業績見通しについて

司会者:「下期の受注見通し、業績の見通しについて教えてください」というご質問です。

篠﨑:今期は、最高売上・最高利益・最高利益の更新を目指し、数字では、売上136億円、営業利益13億円、営業利益率9.6パーセントを目指しています。

事業環境は非常に良好ですので、私自身も自信を持って達成に向け取り組んでいます。事業サイドには現在、来期のビジネス獲得に注力するようにと指示しています。併せて、来年度に向けた開発体制の準備も進めているところです。

この下期は来期だけではなく、やはりその先も見据えた戦略投資や人材育成、またソリューション開発やアライアンスなどの種まきもしっかりと行い、成長のベースを作っていきます。

特に、これから始まる次世代エネルギー関連のビジネスに関しては非常に期待していますので、がんばっていきたいと思います。

質疑応答:ソリューション関連での事例や今期の進捗について

司会者:「御社は位置情報やセキュリティなどのソリューションで、同業SIerとの差別化戦略を推進されています。ソリューション関連でのトピックスや事例、今期の進捗状況について教えてください」というご質問です。

篠﨑:ソリューションビジネスについては、GIS(地理情報システム)・IoT空間情報・セキュリティの3本で、基盤固めや種まきを行う1年だと考えています。その成果の1つが、フランス・シュナイダーエレクトリック社や地図のゼンリンとのアライアンスの拡大です。

またソリューションビジネスは、当社の主力事業である社会インフラ事業にマッチすると考えています。特に電力会社や測量会社向けのGIS案件が非常に多く進展しているのも事実です。

新しいソリューションの展開としては、先日マッピングサービスの「COCOYA(ココヤ)」をリリースするなど、製品ラインナップの拡充も推進しているところです。

新・中期経営計画の中で、この取り組みが成果となって表れるように注力していきます。

質疑応答:名古屋オフィスの稼働状況について

司会者:「今年の春にオープンした名古屋オフィスの稼働状況について教えてください」というご質問です。

篠﨑:今年4月に名古屋オフィスをオープンしました。名古屋オフィスを構えた狙いでもありますが、これまで空白地帯だった中部地区で新たなエネルギーのビジネスを作ることを中心に、ここまで営業活動を行ってきました。「エネルギーのICTシステムならアドソル」といわれるよう、全国展開を進めているところです。

すでにメーカーとの協業ビジネスとして、一部案件もスタートしています。具体的なテーマはお伝えできませんが、新・中期経営計画の中で掲げている次世代エネルギーにつながるビジネスのご相談もいただいています。

また、中部地区を地場とするインフラ企業との口座も新たに開設し、案件を受注しています。この半年間の営業活動や提案活動は着実に成果が出てきており、しっかりと育てていきます。

質疑応答:受注高や受注残高の減少要因について

司会者:「受注高や受注残高が前期比で減少した要因について教えてください」というご質問です。

篠﨑:まず受注高ですが、今年7月から9月の3ヶ月間では減少しています。しかし上期6ヶ月間トータルでは増加しており、ご心配いただくような状況にはないと思っています。私もこの上期現在の状況を見るにあたって、下期以降も順調にビジネスは推移してくると自信を持っています。

今回このような結果となった理由の1つには、前期に受注した航空の大型案件における契約形態の変更があります。前期は一括契約で受注していましたが、現在は毎月の月単位での契約へ変更になっています。

その結果、開発体制に変更はないものの、前年の同期間と比較すると受注が減っているように見えるという現象が起きています。受注残高もこうした理由から減少していますが、先ほどご説明したように、四半期単位で見れば安定的に成長しているということになります。

ここまで非常に事業環境が良く、下期から来年、再来年に向けた案件のご相談もすでに多くいただいており、お客さまからも非常に高い評価を受けている状況です。まずは今期の業績計画を必ず達成できるように、私自身もしっかりと取り組んでいきます。ぜひご期待に応えたいと思います。

質疑応答:売上総利益率の上昇理由について

司会者:「売上総利益率が上昇している理由について教えてください」というご質問です。

篠﨑:スライド3ページでご説明したとおり、売上総利益率は毎期着実に上昇しています。この要因は複数ありますが、1つは、当社が受注する案件がコンサルティングなどのいわゆる上流で増えていることがあります。また、契約条件の適正化や単価交渉、パートナー活用の効率向上など、複合的に進めてきた取り組みが収益性の向上につながっていると考えています。

それ以外の要因として、ここまでトラブルプロジェクトがなかったことが大きいと考えています。当社は品質に対して非常に時間をかけ、マネジメントを強化しています。この結果、トラブルがなく推移したことが、なにより喜ばしく思っています。

トラブルプロジェクトが発生すると、業績だけではなく、対応する社員のモチベーション低下など、マイナスの影響を与える恐れがあります。このような事象は、品質問題や生産性の問題が要因になっていることもあるため、品質対応の強化は重要だと考えています。

これから収益性の向上余地は、十分にあると考えています。人は当社の財産であり、社員の処遇改定、社員エンゲージメントの向上、教育などを率先して進めるとともに、粗利益率の上昇を進めていきたいと思います。

質疑応答:ベトナムでの取り組みと収益との関係について

司会者:「ベトナムでのビジネス展開や取り組みをご紹介いただきましたが、これらの取り組みが御社の収益にどのように貢献するかをお聞かせください」というご質問です。

篠﨑:当社はベトナムのハノイ、ダナン、ホーチミンを中心に、オフショア開発体制の強化と確立を進めています。

特にダナンにおいては、日本の大学を卒業したベトナム人留学生を積極的に採用し、彼らが母国に帰国した後に起業する場合は、支援や提携も行っています。オフショアの開発拠点として見た場合、ベトナムは日本に比べ、まだまだコストメリットが発揮できる国となっています。

今回、Techzen(テックゼン)社との資本・業務提携、ダナン大学との産学連携を行いました。こうした枠組みをうまく活用し、当社の高い品質力に対応できるエンジニアを育成することで、当社の収益力向上につなげていきます。将来的には、高度IT人材不足という社会的課題の解決にもつながればと思っています。

質疑応答:電力データの利活用ビジネスの現状について

司会者:「電力データの有償利用が10月から本格的にスタートしていますが、このプラットフォームの開発には携わっていますか? 電力関係のデータ利活用ビジネスの現在の状況を教えてください」というご質問です。

篠﨑:今年10月から、全国10エリアで電力データの有償利用が順次開始されています。全国約8,000万台のスマートメーターから取得したデータを使ったサービスを提供する場合には、電力データ管理協会を通じて、統計データなどを取得できることになっています。

この件について、当社は管理協会を通じた電力データの有償利用のプラットフォームそのものに携わっていませんが、各ご家庭に設置されているスマートメーターから情報を収集するシステムについては、以前から開発を行っています。直接関わっていないとはいえ、間接的には関わっている状況になります。

今後は各電力会社がこのようなデータ利活用によるビジネス改革や、顧客サービス向上などの取り組みを進めていくことになっています。すでに一部では、そのような案件に対して、当社がコンサルティングから対応を行っているところもありますが、具体的にはこれから進んでいくことになります。当社は電力会社においてもデータの利活用部分を支援していく方針です。

質疑応答:社員の処遇改定の来期以降の見通しについて

司会者:「社員の処遇改定について、来期以降の見通しを教えてください」というご質問です。

篠﨑:当社は今年4月に、平均で5.06パーセント、最大で30パーセントの処遇改定を実施しています。来期以降については現在検討中のため、この場での回答は差し控えたいと思います。

何度も申し上げていますが、当社の財産は人であり社員です。人材獲得、社員のエンゲージメント向上に向け、幅広く取り組みを検討していきたいと考えています。

質疑応答:パートナー確保の状況について

司会者:「リソースの確保が売上拡大にも重要かと思いますが、パートナーの確保の状況についてはいかがでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:当社のような業態においては、ビジネスを加速する上で、パートナーの活用も含めた人材確保が非常に重要だと認識しています。

現時点で特段大きな問題はありません。この業界における人材不足は今後も継続すると予想していますし、求められるスキルや開発手法、技術などが変化していく可能性もあります。

このように先を見据え、当社は国内外でパートナーとの関係構築を強化し、信頼関係を結び、時には働きかけを行いながらビジネスを進めていきます。また、今後もお客さま、パートナー企業、当社、それぞれにとって良い結果を生み出せるよう取り組んでいきます。

篠﨑氏からのご挨拶

篠﨑:本日はお忙しい中、2024年3月期第2四半期決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございました。

上期に続き、下期も業績は順調に進捗しています。「今期の業績計画を必ず達成すること」、そして「来期はその先に向けた土台固めを確実に行うこと」、この2つにしっかりと取り組み、成果を出すことが、経営者である私に課せられた重要なミッションだと考えています。

今年5月に公表した新・中期経営計画も形になってきています。株主、投資家のみなさまのご期待にお応えし、さらに成長した当社の姿をお見せできるよう、経営陣と社員が一丸となって取り組んでいきます。

今後もご指導ご鞭撻のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。