目次
平野哲司氏:みなさま、こんにちは。ただ今より、株式会社LeTechの2023年7月期決算概況及び中期経営計画に関する説明会を始めます。私は代表取締役社長の平野です。どうぞよろしくお願いします。
本日は、スライドに記載の4項目を順次ご説明します。
会社概要
会社概要です。当社は2000年9月に設立し、今期で24年目の不動産デベロッパーの会社です。マネジメントチームには今年新たに管理本部長の坂東哲人を加え、スライドに記載の5名で経営の舵取りを行っています。創業からの経緯についてはご覧のとおりです。
LeTechの特徴・強み
当社の特徴・強みです。特徴として、「法律知識に基づく柔軟かつ迅速な企画・開発力」「総合不動産デベロッパーとしてのハイブリッドな事業戦略」「DXの推進により、公共性や利便性、迅速性といった新たな価値を創造すること」を挙げました。
強みとしては、「地域、用途、規模に関わらず、不動産価値を最大化・最適化させる提案力」「大阪・東京それぞれの事業環境を見極めた最適な事業戦略の構築」「変化する事業環境に対して自らも変化させる柔軟性」を挙げています。
事業概要(セグメント区分別)
事業概要です。3つのセグメントに分けて事業を展開しています。メイン事業の不動産ソリューション事業では、低層賃貸マンション「LEGALAND(リーガランド)」シリーズをはじめ、レジデンシャルの開発、セットアップオフィスやビル開発等、事業マーケットに合わせた土地の最適化、価値向上に取り組んでいます。
不動産賃貸事業は、自社保有物件や他社物件の管理によって収益を得ており、拡大事業として展開しています。その他事業としては、不動産仲介事業のほか、新たに始めた不動産DX事業を展開しています。
2023年7月期 決算トピックス
2023年7月期の決算概況についてご説明します。まず、決算のトピックスです。私どもの最重要指標は経常利益で、2023年7月においては8億2,100万円を計上することができました。また、昨年9月には30億円の資金調達により、財務の安全性の強化を達成しました。その結果、自己資本比率は19.5パーセントまで増強できています。
2023年7月期 実績サマリー
実績サマリーです。ご存知のとおり、前年同期は大きな売却損を計上したインバウンド向け大型案件の販売があったため、それに比べて当期の売上高は減収となりました。しかし、「LEGALAND」シリーズをはじめとする当社の開発案件が順調に推移し、それらの販売に伴い、利益を積み重ねていくことができました。
そして、当社の最重要指標とする経常利益は、前年同期や期初計画、前中期経営計画と比較しても大幅な増益を達成することができました。また、前年の繰越欠損も含め、繰延税金資産の再計上により、当期純利益は大幅に増加しています。
2023年7月期 経常利益の増減要因分析
当社の最重要指標である経常利益の増減要因分析です。メイン事業である不動産ソリューション事業は、「LEGALAND」等の販売が堅調に推移したことが貢献し、売上総利益は増益となりました。
それに加え、インバウンド向けのホテル・民泊等の市場回復がコロナ禍と比べると飛躍的に向上し、不動産賃貸事業の売上総利益も増益となりました。そして、その他事業も増益となっています。
また、コロナ禍ということもあり、当社ではコストダウンにも真剣に取り組んできました。販売管理費の削減、財務状況の変化もあり、いわゆる金利の低減が功を奏し、金融支出も大幅に減少できました。これらの結果を踏まえ、2023年7月期の経常利益は8億2,100万円にまで達しています。
2023年7月期 財務状況
2023年7月期の財務状況についてです。第三者割当増資により、純資産が30億円増加しました。さらに、当期純利益11億6,200万円の計上により、前期は0.3パーセントであった自己資本比率が19.5パーセントまで大きく増加しました。
前期はみなさまにいろいろとご心配をおかけしましたが、このようなかたちで回復し、本当に良いご報告ができたと思っています。
2023年7月期 セグメントの状況
セグメント別の状況です。不動産ソリューション事業は、前年同期比で減収増益となりました。不動産賃貸事業は、先ほどお伝えしたホテル・民泊物件の稼働率向上により、収支が大幅に改善し、増収増益となっています。その他事業についても、大型案件の仲介が成立し、増収増益となりました。
不動産案件種類・販売先別売上高構成比
案件別の売上高構成比です。割合としては開発案件が一番多く、そのうち「LEGALAND」が約半分を占めています。
販売先は法人が圧倒的に多く、個人向けの案件は1件となりました。
コアブランド:LEGALANDの開発実績
コアブランド「LEGALAND」の開発実績です。シリーズ化した「LEGALAND」は、低層のRCマンションとしての実績を積み重ねてきました。
ニッチなマーケットではあるものの、都心の賃料相場の堅調な推移、あるいは海外投資家からの見直しもあり、順調に開発棟数を伸ばすことができました。おかげさまで開発棟数は100棟を超え、現在累計104棟となっています。
新ブランド『LEGALAND+』の進捗
さらに、当期は「LEGALAND」に新しい機能、利便性、特徴を加え、「LEGALAND+(リーガランドプラス)」を開発してきました。1棟目は「LEGALAND+難波南」で、今年4月に売却を終えています。2棟目は「LEGALAND+阿波座西」で、こちらも今年3月に売却を終えています。
不動産仕入の進捗
開発・販売が堅調に推移したとご報告しましたが、それと同時に、昨年9月の30億円の増資以降、仕入能力も大きく加速しました。
売るだけではなく、その分の仕入活動も順調に進捗したことで、今期、翌期、翌々期の収益に貢献する物件を加えることができ、今後の業績の伸びもきちんと担保できている状況です。
賃貸物件の状況
賃貸物件の状況です。昨年の秋以降、海外からのお客さまが戻ってきた傾向が顕著にあらわれ、稼働率が飛躍的に向上しました。それにより、スライド右側のグラフのとおり、前期と比べて賃貸収入が大幅に向上し、不動産賃貸事業の利益を支えてくれました。
今年からはさらに国内旅行の活発化に加え、欧米、東南アジアなど海外からのインバウンド観光客が大幅に増加し、それにより不動産賃貸事業が改善してきています。
PM事業推進による循環型事業
不動産物件の管理業務を受託するPM事業の拡大により、作ったものを売って終わるのではなく、当社が開発してマーケットに供給した「LEGALAND」等の開発物件についても、継続的に管理収入を獲得し、「循環型事業」を構築していっています。
特に「LEGALAND」シリーズにおいては、過去に売却した物件の管理受託を推進しており、そちらも進捗してきています。
前中期経営計画の振り返り
2021年9月14日に公表した前中期経営計画の振り返りです。スライドの表の左側が前回公表した数値になります。2022年7月期はインバウンド向けの大型案件の影響で大きな損失を計上し、計画は未達となりました。
2023年7月期は、ご覧のとおり計画を大きく上回り、しっかりと業績を回復させることができました。経常利益は8億2,100万円と、計画の3億3,000万円を大幅に達成し、当初2024年7月期の計画数値としていた7億1,100万円をも前倒しで達成することができました。
このような変化を鑑み、この度新しい中期経営計画を策定しました。この中身についてこれから詳しくご説明します。
当然ながら、数字についてはアップサイドプランで策定しており、資本増強による財務強化や不動産開発の早期回復、当社が参入している底堅いレジデンシャルマーケットの需要、あるいは新型コロナウイルスの収束に伴ってその影響がなくなった状況を考慮しています。
新中期経営計画の基本方針
新中期経営計画の基本方針です。コンプライアンス・リスクマネジメントが、上場会社の経営の根幹を成すものであることをしっかりと認識し、私ども経営トップが組織風土の醸成に向けて、メッセージを発信していきます。そして、すべてのステークホルダーの方々にしっかりと信頼される経営基盤を作り、各戦略を遂行していきます。
事業戦略においては不動産開発を主軸とし、早期の資金回収によって成長のための資金を十分に確保し、財務の安全性を高めていきます。
つまり、基本方針の中心にこのコンプライアンス・リスクマネジメントを据え、各戦略を遂行していきます。
中期経営計画の基本戦略
基本戦略は以下の6つの項目に分かれています。
1つ目は「収縮と転換」です。これまで都心の10区を中心に展開してきた「LEGALAND」シリーズの積極開発は、当然ながらこれからも推進していきたいと考えています。
2つ目は「多極化」です。この戦略に基づき、東京・大阪それぞれのマーケットに適した商品開発、事業展開を推進していきます。
3つ目は「事業ポートフォリオの最適化」です。レジデンシャルだけではなく、そのマーケットに即した商品を作ります。そして事業拡大を行い、安定性の高い賃貸事業増強の基盤も構築していきます。ソリューション、賃貸事業、その他事業のポートフォリオを強く認識し、最適化を図っていきたいと思っています。
4つ目は、コンプライアンス・リスクマネジメント強化です。私どものあるべき倫理観や方向性について考え、発信し、それを社員全員に学んでもらい、当社の風土や社風を醸成していこうという、大変重要な戦略になります。
5つ目は、コーポレートガバナンスの強化です。公平かつ透明性の高い運営のために任意の「指名報酬委員会」を設置しました。
そして、これらの基本戦略に基づく事業戦略の推進により、成長戦略の実現を前提に、株主還元と資本戦略によって企業価値・株式価値を向上させ、6つ目に掲げた時価総額100億円をできる限り早く達成したいと考えています。
中期経営計画 業績目標
何度もお伝えしていますが、この中期経営計画においても業績目標の最重要指標はやはり経常利益です。毎期、この経常利益をスライドに記載のように増加させていくことが、次の新しい中期経営計画の最も重要な柱になります。
不動産開発は1件ごとの大型化に少しずつ取り組みながら、少数精鋭のスタッフによって事業の効率化を行い、3年後の2026年7月期において経常利益を12億円まで拡大させる予定です。そして、2023年7月期比で46パーセントの増益という目標をしっかりと達成します。
そのために主力製品である「LEGALAND」の積極開発とともに、それぞれの案件や開発エリアに合わせて、特徴を持った、ユニークで価値のある、差別化できるレジデンスの開発を主軸に戦略を立てていきます。
スライドの表をもう一度ご覧ください。一番右側に記載のとおり、2023年7月期比46パーセントの増益を3年後には果たすという決意で、この3カ年計画を発表しています。
市場環境
この計画を達成するためのマーケット環境についてです。スライド下側のグラフに記載のように、東京及び大阪のマンションのNOI利回りを比較すると、海外の主要都市の利回りと比べても、東京・大阪ともに安定して高いNOIを確保できます。やはり資産価値の高さや円安などの状況によって、投資需要が高いという海外からの見方になっています。
東京のマンションは以前より、賃料が底堅く、安定しているという評価があります。また、大阪においては2025年日本国際博覧会、IRと、多くの新たな事業が目白押しのため、さまざまなものに関する開発の機運が高まっています。
LEGALANDの積極開発
スライド左下のグラフに青い折れ線グラフで示しているように、今お伝えした市場環境を裏打ちするデータとして、首都圏の分譲マンションの賃料はここ10年、堅調に上がり続けています。当社ではそれに応じて、投資意欲が高く、なおかつしっかりとマーケットが拡大している東京の都心10区に、この「LEGALAND」を積極投入していきます。
右下のグラフにあるように、この3カ年で「LEGALAND」を最低56棟積み増し、3年後には開発累計160棟まで拡大していきます。そして、この「LEGALAND」の参入する低層RCマンション開発マーケットにおいて、トップリーダーの地位を確立します。
新コンセプトの展開
各エリアの立地に合わせた「LEGALAND+(リーガランドプラス)」のコンセプトの展開についてです。例えば、スライドの左下にある「LEGALAND+江古田」では、地下に防音室を備えつけました。芸術や音楽の練習に利用できる場所がない中で、そのような付加価値を中に作っています。
今後もそれぞれの立地に合わせた新しいコンセプトを創造していきたいと思っています。そして、持続可能な社会に向け、不動産会社として貢献することも頭に入れながら、開発する商品を検討していきます。
ウェルスマネジメント/不動産売買・仲介
今期から新たに「ウェルスマネジメント部」を作りました。大手の不動産会社でそのような仕事に携わってきた方々を中心に新設し、富裕層展開を強化していきます。スライドに記載のように、日本人の投資家、海外の投資家、そして海外の投資ファンドや不動産デベロッパーといった方々にリーチしていきます。
投資家へ我々の「LEGALAND」をはじめとした自社物件の販売と仲介を推進し、国内外にそのような情報の新たなネットワークを構築することで、当社の販売力・収益力を強化していきます。そして、我々単独では実現できない新たな大型の事業については、海外のファンドやデベロッパーと共同で進めていく方針です。
DX事業の収益化加速
3年前からDX事業に参入しました。このDX事業の利益を加速させるべく、選択と集中でスライドに記載の2つの事業へ集約し、投資を継続、強化していきます。
おかげさまで「YANUSY」の会員も2万人近くになりました。25期に新サービスをスタートさせ、早期に収益を拡大していく方針を立てています。
財務安定性の向上
財務安定性の向上も、中期経営計画の大事な柱の1つです。おかげさまで2023年7月期においては、自己資本比率が19.5パーセントまで向上しました。しかしながら、まだ目標としているところまでは届いていないため、最短で20パーセントを超え、できるだけ近い将来に30パーセントまで増加させていきます。
そのために、さまざまな資金調達や資本政策を検討し、自己資本に厚みを持たせていく施策を実行していきます。そして、調達金利の低減も当社の大きなテーマです。今期も収益性の向上を目指して調達金利の低減を推進していきます。
株式価値・時価総額の向上へ
新型コロナウイルスの影響を受け、前期の業績が低迷したものの、この2023年7月期に業績が回復し、復配を発表しました。これにより、株価は上昇しています。成長戦略の実現とさまざまな資本戦略によって時価総額100億円を達成すべく、全力を尽くしていきます。
リスクコンプライアンス強化・スキルアップ支援
基本戦略の中心とした、リスクコンプライアンスの強化においては、行動規範を制定し、リスクコンプライアンスを繰り返し啓蒙していくことも大事な作業となります。
私ども経営層が自ら行動規範やリスクコンプライアンスの重要性に関するメッセージを社員へ発信するとともに、事業拡大に必要な不動産事業、DX事業等に関するスキルアップを支援していきます。攻めと守りの両輪で強固な人材の育成と確保を図る取り組みを、これからますます推進していきたいと思っています。
任意の指名報酬委員会の設置
先ほども少し触れましたが、ご覧のように、任意の指名報酬委員会を設置しました。私ども取締役の指名・報酬等に関する手続きについて、公正性・透明性・客観性を強化するための取り組みです。社外役員の方々の関与をさらに強化し、効率的な議論の場を確保していきたいと考えています。
取締役・監査役のスキルマトリックスの公表
スライドに示したようなスキルマトリックスの公表を、私どもも検討しており、今後きちんとみなさまへお知らせしていきたいと思っています。
サステナビリティ方針
当社のサステナビリティ方針です。持続可能な社会に向けて我々ができることを、4つのポリシーを持って推進していこうと考え、全力で取り組んでいます。
サステナビリティ活動
具体的には、スライドに示したような、さまざまな社会貢献活動を、社員が参加するかたちで積極的に行っています。「山王こどもセンター」をはじめ、地域の方々にしっかりと物心両面でサポートすることで、サステナビリティ活動を推進しています。
復配・大幅増配
最後に株主還元についてご説明します。先ほどもお伝えしましたが、グラフに記載のとおり、2023年7月期においては、1株当たり32円の配当とし、増配・復配を行いました。そして、安定的かつ継続的な利益還元を行っていくことを、みなさまにお約束したいと考えています。
業績と連動した配当性向による株主還元
中期計画経営計画の3か年においては、配当性向20パーセントから30パーセントを具体的な目標として、株主のみなさまにしっかりと還元します。今期はすでに1株当たり32円ということで、配当性向は23.6パーセントに達しています。
当然ながら、利益については株主還元、新規投資、内部留保のバランスをしっかりと考慮し、企業価値の向上を継続的に推進していきます。
配当による株主還元
株主のみなさまへの公平な利益還元に集約するため、株主優待制度「プレミアム優待倶楽部」の廃止を決定しました。したがって、2023年7月末のポイント付与をもって終了します。
しかしながら、今期は経常利益10億円の達成を計画しています。そのため、例えば配当性向が30パーセントとなれば、配当原資は3億円となり、一般の株主の方には、そこから1株当たり51円の配当となります。現在の株価が900円程度であるため、これを利回りで割り戻すと、配当の利回りは約5.7パーセントとなります。「プレミアム優待倶楽部」では、仮に200株を保有していた場合、4,000ポイントの付与となり、配当の利回りは約2.2パーセントです。
つまり、配当性向を高め、経常利益を積み増していくことにより、1株当たりの配当額は大幅に向上していきます。このような方針をしっかりと株主のみなさまに掲げ、ぜひともご理解いただきたいと思っています。
質疑応答:税効果会計の影響による2024年7月期の減益について
「2024年7月期は、当期純利益ベースでは減益の計画になっていますが、こちらは税効果会計の影響と理解してよろしいでしょうか?」というご質問です。
これについては、ご理解いただいているとおりです。当社は前期に初めて多額の損失を計上し、繰延税金資産を全額取り崩すことになりました。その結果、2023年7月期の決算では、その繰越欠損金を含めた繰延税金資産の再計上を行うことによって法人税等調整額がマイナス3億円となり、それによって純利益が大きく増加しました。
これは会計上の数値のため、今後はもちろん実質的な利益の拡大を十分に進めていくことが大事だと思っています。
質疑応答:2023年7月期初の計画との乖離と、2024年7月期以降の上振れ要因について
「2023年7月期は、期初の計画と比べて利益は大きく増加しているということですが、当初の想定との乖離について教えてください。また、2024年7月期以降の計画について、上振れの要因はあるのでしょうか?」というご質問です。
2023年7月期については、それぞれの販売物件が想定していた予算よりも、高い販売価格での成約が実際には多かったことに加え、販管費など費用の圧縮が功を奏したと思っています。役員報酬やさまざまな経費を圧縮し、非常に効率的な経営を実現できました。
売上高は未達だったものの、最重要指標として見ている経常利益を、当初の目標から大きく増加することができました。
また、コロナ禍における行動制限の緩和があり、2023年に入った頃から人の移動が活発になったことにより、ホテル・民泊物件の賃料収入が大幅に増加したことも、利益の増加に相当寄与していると思っています。コロナ禍でどのようになっていくのか不透明な状況だったため、もともと予算としては賃料収入を保守的に見ていた部分があり、それが良い方向に伸びました。
また、2024年7月期以降の計画については、このような物件の販売価格を多少保守的に設定、計画しているため、上振れる可能性はあります。
現在、国内外のさまざまな投資家の方々から、東京や大阪のマーケットは注目を浴びています。そのため、成約価格が上振れしていくことで、全体の計画値が上振れすることは十分に考えられると思います。
また、業績の計画に織り込むことは難しいものの、短期的な業績の向上につながるような案件が今後出てくる可能性もあるため、そのあたりが上振れの要因になる可能性もあります。
質疑応答:ホテル・民泊物件の今後の保有について
「ホテル・民泊物件の稼働が好調ということですが、今後もこれらの物件を保有していくのでしょうか?」というご質問です。
ホテル・民泊物件については、今お話ししたように利益を下支えており、経常利益の向上に寄与しています。ですので、引き続き保有することを考えてもよいのですが、当社ではこの中期経営計画の3年以内に売却を行う計画で進めています。
もともと、ホテル・民泊物件は売却を前提に開発を行ったため、物件を売却することで資金回収したいという面もあります。また、その資金を再投資することで、さらなる事業拡大が見込めるため、むしろそのほうがベターだと考え、計画しています。
マーケットの環境は好転しており、賃料収入も上がっているため、購入の引き合いも相当増えてきています。そのような状況を見て、出口戦略を構築する中で見定めていきたいと考えています。
質疑応答:2024年7月期の売上計画の達成確度について
「2024年7月期の売上高が、2023年7月期比で3割増という計画になっています。この達成の確度について、どのように考えていますか?」というご質問です。
もちろんマーケットの状況によって、業績に影響を与えますが、2024年7月期はすでに保有済み物件での売却計画を予定しているため、これを効率良く売却していくことに注力していきます。
当然ながら、売上高の大半を占める販売用不動産の販売については、すべて仕入が終わっています。今は開発段階で建築を進めているものばかりです。つまり、業績を達成するための材料は、すでに100パーセント確保しているため、計画している売上を達成する確度は相当高いと思っています。
質疑応答:2024年7月期以降の増配について
「2023年7月期は1株当たり32円と大きく増配されており、投資家に対して強いメッセージになったと思います。2024年7月期以降はこの金額をベースに増配していくのでしょうか?」というご質問です。
先ほどから再三ご説明しているとおり、利益配分については、株主のみなさまに配当というかたちで利益還元をしっかり行っていくことが、重要な経営課題であると深く認識しています。
残念ながら、2022年7月期は赤字決算となり無配となってしまいましたが、2023年7月期は当初計画どおり回復しましたので、復配することができました。
今後について、2024年7月期の1株当たりの配当額はいったん未定としていますが、先ほど発表した今後の3カ年計画の配当性向を指標にし、できる限り大きく利益還元していく方針です。
さらに内部留保あるいは再投資が必要だということは先ほどお伝えしましたが、最低でも20パーセントあるいは30パーセントの配当性向を基準に取り組んでいきたいと考えています。
また、2023年7月期は1株当たりの配当額が32円となりましたが、それを上回る配当額を確保していくために、しっかりと成績を出し、企業価値を向上させ、それらを社員全員で強く推進していく姿勢に変わりはありません。株主のみなさまに満足していただける配当を実現していきたいと思っています。
質疑応答:各事業セグメントの粗利率と今後の見通しについて
「開発案件、バリューアップ、その他の粗利率のおおよその違い、また今後の開発費高騰による粗利率の見通しを教えてください」というご質問です。
粗利率を具体的に数字でお示しするのは、戦略上難しいため、ここでは回答を控えさせていただきます。開発にかかるコストが粗利の判断材料となりますが、今後はそれら以外のコストの売却の手数料や金利等の費用を低減させ、これらのコストがかからないようになるイメージで考えています。
また、「開発とバリューアップで違いがあるか」というご質問については、あまり大きく変わらないと思います。バリューアップについては完成済物件が多いため、個別での粗利率のブレが大きい傾向があると考えています。
建築費やその他人件費もあり、確かに開発費は高騰しています。これについては、私どもが血眼になり、いろいろな努力をし、その高騰を吸収していくことを地道に進めていきたいと考えています。
質疑応答:ホテル事業の現況と今後の見通しについて
「現在のホテル事業のADR(客室平均単価)や稼働率の数値、今後のアップサイドの余地については、どのように考えていますか?」というご質問です。
まず、ADRはホテルと民泊で少し違います。民泊は1万2,000円前後、ホテルは2万円弱だと理解しています。稼働率については、概ね90パーセントを超えています。京都のホテルでは少し低い傾向があり、稼働率の向上が今後の課題です。
中国からの団体客の解禁など、さまざまな問題があるものの、インバウンドがさらに回復してくる中でアップサイドはあると考えています。
質疑応答:金利上昇の影響について
「金利上昇の影響について、どのように捉えていますか?」というご質問です。
確かに、長期金利が上昇傾向にあることは懸念材料としてあります。ただ、足元の金融機関とのやり取りにおいては、どの金融機関からも「金利を上げたい」という具体的な話は聞こえてきていません。
財務上の安全性を確保し、今回の決算短信発表では業績の回復も証明したことで、いわゆる調達金利に関して、私どもは今後さらに下げていただくことを考えています。ですので、調達金利についてはむしろ下がると見込んでいます。しかし、確かに金利上昇の懸念はあるため、今後も注視していきたいと考えています。
質疑応答:「LEGALAND」の開発スピードについて
「『LEGALAND』について、今の開発棟数が104棟で、今後は160棟まで増やす計画となっていますが、どのような増加スピードで進めるのでしょうか?」というご質問です。
こちらは、どんどんと増やしていくのではなく、1年間で15棟から20棟ぐらいを開発し、3年間で160棟まで増やしていくという計画です。つまり、テールヘビーのような考え方ではなく、コンスタントに増やしていこうと考えています。
その他の質問と回答
説明会のお時間内でご回答できなかった質問について、書き起こしにてご紹介します。
<質問1>
質問:2023年7月期は「LEGALAND」の販売が堅調に推移したということですが、その要因はどのように見ていますか?
回答:東京都心のマンション市場は国内外の投資家から投資需要が高い状況です。当社の「LEGALAND」も都心の資産性の高さに注目して展開しており、需要と合致していることが大きい要因だと考えています。
また、「LEGALAND」の累計開発棟数は100棟を超えており、これまでも投資家からの高い評価を得ていることや市場への供給実績が支える信頼感が、厳しい状況でも業績を支えた要因となっていると考えています。
<質問2>
質問:賃貸収入が大幅に改善しましたが、今後も物件の買い増しは進めますか? そうであれば、どのような物件を何棟買い増すなどの目安はありますか?
回答:説明会中に頂戴したご質問に対して回答したとおり、賃貸収入が増加したホテル・民泊物件に関しては、基本的にこの中期経営計画の3年以内で売却することを検討しています。
ただし、事業の安定収益獲得のために賃貸物件の買い増しは行っていきたいと考えているものの、中期経営計画の3年では資金獲得・成長投資のための販売不動産の強化を推し進めたいと考えています。
<質問3>
質問:管理戸数も増やすとのことですが、その目標を教えてください。
回答:特に注力していきたい部分は当社の開発・売却物件の管理受託です。そのため、主力商品である「LEGALAND」を年間10棟から15棟売却した場合には、管理戸数を年間150戸から220戸に増やしていきたいと考えています。
<質問4>
質問:大阪の万博、IR関連のご説明がありましたが、具体的な取り組みをご紹介ください。
回答:現時点で具体的な関連施設・不動産の開発状況はありませんが、情報をしっかりとキャッチしていくとともに、大阪で高まる開発機運に対して対応していきたいと考えています。
<質問5>
質問:フィスコのレポートによると、東京と大阪での消費者や投資家のスタンスが大きく違うとのことですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
回答:東京と大阪では不動産の価格や資産性、賃料相場が相違することから、商品戦略を分けて考えています。当社は「LEGALAND」が開発の主軸とはなりますが、この仕様をそのまま大阪で展開することは、利回りの面で難しいと判断しています。
大阪では一定規模以上の物件の開発によって採算を得ていくことが必要となる上、そのエリアに合ったオーダーメイド的な戦略を進めることにチャンスがあると考えています。
日本の不動産投資マーケットにおいては、東京への需要がやはり旺盛にはなりますが、投資家としてはポートフォリオの中で大阪やその他都市にヘッジする考え方があります。
また、安定した収益性のある王道的なレジデンス投資を評価しつつも、大阪で投資する際にはホテル・民泊などのチャレンジングな投資を好む投資家もいらっしゃいます。
大阪での事業拡大について、そのような市場状況に鑑みながら画一的商品ではなく、案件ごとに試行錯誤しながら事業を展開していきたいと考えています。