2023年3月期決算説明
後藤秀隆氏(以下、後藤):株式会社松屋アールアンドディ代表取締役の後藤です。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。それでは、2023年3月期の決算説明会を始めさせていただきます。
最初に2023年3月期の実績をご報告し、その後、成長戦略についてご説明します。
2023年3月期実績:サマリー
2023年3月期実績のサマリーです。中国のロックダウンや半導体不足によるメーカーの生産稼働停止の影響を一部の工場で受けていましたが、円安の影響および主要工場であるベトナムは安定的に稼働できたことから増収増益となりました。また、縫製自動機における新規受注、エアバッグ事業の新規生産開始により、売上増加となりました。
前年同期比で、売上高は127.0パーセント、売上総利益は122.8パーセント、売上総利益率はマイナス0.7パーセント、営業利益は172.2パーセント、経常利益は165.2パーセント、税金等調整前当期純利益は230.0パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益は257.5パーセント、1株当たり当期純利益は256.7パーセントとなりました。
2023年3月期:セグメント別売上高&利益
セグメント別の売上高・利益です。メディカルヘルスケア事業においては、上半期に血圧計腕帯が中国のロックダウンや半導体不足の影響を受けたものの、下半期から回復し、円安の影響もあって増収増益となりました。
セイフティシステム事業においては、同じようにコロナ禍や半導体不足の影響がありましたが、縫製自動機における新規受注、エアバッグ事業の新規生産開始により、売上増加となりました。
売上高はメディカルヘルスケア事業で前期比119.3パーセント、セイフティシステム事業で前期比155.6パーセントとなりました。セグメント利益または損失は前期比172.2パーセントで、メディカルヘルスケア事業とセイフティシステム事業はスライドに記載のとおりです。
2023年3月期実績:売上高の増減
売上高の増減です。縫製自動機事業はインド工場向けの案件が増加し、前期比プラス3億1,400万円となりました。血圧計腕帯事業は上海のロックダウンの影響がありましたが、ベトナム工場が安定的に稼働し、前期比プラス8億6,600万円となっています。
カーシート事業に関しては、コロナ禍による工場稼働停止が影響したことに加え、ベトナム工場での生産が若干少なくなり、前期比マイナス700万円となりました。エアバッグ事業においては新規取引先との量産が開始となり、前期比プラス3億5,200万円となっています。
2023年3月期実績:営業利益の増減
営業利益の増減です。売上総利益は前期比プラス2億7,100万円となりました。また、運賃の減少により、前期比プラス4,200万円となっています。代わりに、コロナ禍による渡航規制が緩和されたことで海外出張が増え、旅費交通費が増加し、前期比マイナス1,400万円となりました。
同じく海外営業や海外工場担当者を中心に採用活動を進めた結果、人件費が増加しています。また、その他として広告宣伝費も増加しています。
2023年3月期実績:経常利益の増減
経常利益の増減です。同じような内容により、営業利益は前期比プラス2億5,600万円となりました。また、主に定期預金の利息の増加で前期比プラス800万円、国による補助金収入の増加で前期比プラス300万円、その他として支払利息及び株式交付費などで前期比マイナス100万円となっています。
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益です。経常利益の増加で前期比プラス2億6,600万円、減損損失の減少で前期比プラス3,100万円となりました。また、新型コロナウイルス対応の減少として前期比プラス8,500万円、固定資産の除却費が前期比マイナス300万円、法人税等の増加が前期比マイナス1億1,900万円となっています。
2023年3月期:連結貸借対照表
連結貸借対照表です。現金及び預金が大きく膨らんでいますが、これは利益計上による手元資金の増加によるものです。有形無形固定資産は、ベトナムの新工場建設費の発生による増加がありました。同じく借入金についても、ベトナムの新工場の建設資金として銀行借入が増加しています。
2023年3月期:連結キャッシュ・フロー計算書
連結キャッシュ・フロー計算書です。営業活動によるキャッシュ・フローは、先ほどお伝えしたとおり、主にメディカルヘルスケア事業の血圧計腕帯の受注が堅調なほか、ベトナム工場の安定稼働により大幅に増加しています。
投資活動によるキャッシュ・フローは、松屋ベトナムにおける新工場建設費の支払いによる増加がありました。財務活動によるキャッシュ・フローも、同じく松屋ベトナム新工場のための借入実行により増加しています。
2024年3月期業績予想
2024年3月期の業績予想です。為替については、2024年3月期は円高の方向で見通しているものの、2023年3月期の平均レートである1ドル135円から2024年3月期予測では1ドル125円とし、セイフティシステム事業における取引先の増加により、売上高の増収を見込んでいます。
2023年9月に松屋ベトナム新工場の稼働を予定しており、新規取引先獲得およびコストダウンにも注力し、最高益を目指します。
増減率は、売上高が103.3パーセント、営業利益は119.3パーセント、経常利益は103.7パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益は124.5パーセント、1株当たり当期純利益は約124.4パーセントの100.35円と、若干保守的に予想しています。
成長戦略 セイフティシステム事業、およびメディカルヘルスケア事業の拡大
成長戦略についてご説明します。セイフティシステム事業、およびメディカルヘルスケア事業の拡大を目指します。
新たな業界への拡大として、セイフティシステムに関しては、画像認識とAI機能を搭載したSewing Robotの開発、ならびに画像処理システムによる縫製品質自動検査を行います。
また、生産管理システム開発による製造効率改善事業、ならびにエアバッグ搭載可能なドローンの開発を引き続き行います。
セイフティシステム事業、およびメディカルヘルスケア事業においては、ベトナム生産受託事業の拡大を行います。
また、リハビリロボット製造販売事業、ならびに医療用装置と最先端ウエアラブル機器の開発を行います。
当社を取り巻く業界の変化予想及び今後の取組
当社を取り巻く業界の変化予想と今後の取組です。国によるサプライチェーンの見直しの中で、ベトナムでの受託先を拡大し、カーシートやエアバックで新規事業を開始しました。
また、松屋ベトナム新工場は2023年9月の稼働を予定しています。生産能力を大幅に強化するとともに、工場集約によるコストダウンを図りながら、市場拡大に対応していきます。
大きな業界の再編、および大手企業のファブレス化に対応するため、積極的なM&A、ならびに業務提携を模索します。
当社を取り巻く業界の変化予想及び今後の取組
セイフティシステム事業では、設備投資回復の兆候がありますので、販売促進の強化、ならびに人材の多様化を図り、海外志向の人材を中心に採用を拡大し、営業体制を構築します。
特にインドを中心とした開発途上国では、エアバック需要が急増しています。この需要に対し、ワーカーごとの能力差による品質のばらつきをなくすために、省人化、省熟化可能な自動機を製造開発し、販売します。また、カメラを使った縫製品質検査システムを事業化し、人に頼った品質管理を高精度化し、不良品の流出を防ぎます。
当社を取り巻く業界の変化予想及び今後の取組
メディカルヘルスケア事業については、血圧計の市場を拡大します。2023年9月に松屋ベトナム新工場が稼働予定ですので、生産能力の大幅な強化や工場集約によるコストダウンを図りながら、市場拡大に対応します。
また、リハビリロボット「LunaEMG」の医療機器製造・販売については、リハビリセンターや病院への販売促進を開始します。
当社を取り巻く業界の変化予想及び今後の取組
新規事業では、1つ目として、特に画像認識に力を入れ、AI機能搭載のSewing Robotの開発を行います。
2つ目として、生産管理システム開発による製造効率改善ソフトウェアの事業化を推進します。エアバッグについては、すでに弊社工場内でシステムの運用を開始しています。また、大手2社から、このシステムに関するお問い合わせをいただいています。
3つ目として、ドローンの市場拡大に向け、従来のドローン用エアバッグと異なったかたちで売上利益に貢献する製品の開発を、MICを中心に進めます。
成長戦略 ベトナム生産受託事業の拡大:松屋ベトナム新工場建設着工
大型投資案件である松屋ベトナム新工場は、予定どおり2023年7月完成、9月からの稼働を予定しています。現在、内装工事が始まっています。
成長戦略 成長イメージ
成長戦略のイメージです。弊社の成長戦略のイメージとして、表に記載したように、AI Sewing Robotの開発関係、あるいはカメラによる画像認識関係に特に注力していきます。Medical Healthcareでは、ロボットの開発、いろいろなウェアラブル関連の機器、あるいはメディカル部門で血圧計の腕帯だけではなく、それ以外のものにも取り組んでいきます。
当然、SDGsへの取り組みも併せて行い、持続的な成長を目指していきたいと思っています。以上で、私からのご説明を終了します。引き続きみなさま方には、ご支援をお願いしたいと思っています。本日はどうもありがとうございました。
質疑応答:リハビリロボットについて
質問者:リハビリロボットに注目しています。たとえば、病院等のリハビリロボットへの反応、御社への収益寄与はいつ頃になるかなどの見通しについて教えてください。また、現在のリハビリロボットの課題があれば、お聞きしたいです。
後藤:まずリハビリロボットは筋電計を用い、動かそうという信号をキャッチして、動かない腕も、ロボットがやや強制的に動かすというシステムです。名古屋や関東の4つの病院、5つのリハビリセンターでご説明し、各病院あるいはリハビリセンターからの反応も非常に良いものを感じています。
東京都内に5店舗がある、豊田通商系の大手の高級リハビリセンターから、すでに2回ほどお問い合わせをいただいています。リハビリセンターや病院のほうからも、今までになかったリハビリの機能ということで、良い感触を得ています。
リハビリロボットの収益に対する影響は、今期後半ぐらいから徐々に表れてくるのではないかと思っています。小売価格が600万円から800万円ぐらいの間ですので、今までのリハビリの機器と比べ、患者さまのリハビリには圧倒的に費用対効果があると感じています。
課題としては、現在、弊社に理学療法士が1名いますが、人数が足りていないことと、認知度が低いことであり、今後展示会などを行い、認知度を上げていこうと考えています。来月は福岡で日本リハビリテーション医学会の学術集会があり、展示会も行うと思いますので、そちらでも展示していこうと考えています。
また、理学療法士が1名とお話ししましたが、6月から大手の病院より1名入社してもらうことになっており、今後10名体制くらいにまで増やしていく予定です。都内を中心に、リハビリセンターや大手の病院にも納入していこうと思っています。