2023年3月期決算説明会

中村雅行氏:みなさま、本日は大変お忙しい中、株式会社オカムラの2023年3月期決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは私から、表題が「前中期経営計画を達成、4期連続で営業利益過去最高を更新」、副題として「中期経営計画2025で『需要創出型企業』への変革を加速」と題した資料に基づいてご説明します。

2023年3月期 業績ハイライト 売上高、各段階利益で過去最高を更新

2023年3月期の業績ハイライトを記載しています。スライドの棒グラフは3ヶ年の推移を示しています。左から売上高、営業利益、経常利益、当期純利益となっており、前年比、計画比ともに達成しました。

売上高は2年連続で過去最高になりました。加えて営業利益、経常利益ともに4年連続で過去最高を更新しています。一番右に記載の当期純利益は、3年連続で過去最高になっていますが、注釈に記載のとおり、こちらは税引前の投資有価証券売却益の45億2,000万円を含んでいます。

営業利益増減要因

営業利益の増減要因です。当期は増収の効果ならびに売上総利益率の改善による合計54億円の増益要因と、販管費の増加による40億円の減少要因があり、差し引きで着地としては、営業利益173億7,000万円、14億円の増益になっています。

スライドに記載のとおり、オフィス環境事業の売上高は過去最高を更新し、商環境事業も過去2番目の売上高となりました。

2段目に「資材価格高騰を価格改定、コストダウン等で吸収」と記載していますが、当期間では資材のコストアップが60億円弱ありました。販管費との合計で100億円が利益マイナス要因として効いているものの、増収効果で約51億円、加えて価格改定の効果で35億円、諸経費の徴収やコストダウンで残りの28億円を吸収し、14億円の増益となっています。

セグメント別の分析 オフィス環境事業

セグメント別の分析です。まずはオフィス環境事業についてです。売上高10.8パーセント増収で、過去最高を2期連続更新しました。営業利益は前年比で15.3パーセントの増益となり、こちらも2期連続で過去最高を更新しています。

売上高の面では、ハイブリッドワークの普及に伴うリニューアル需要が旺盛に推移しました。合わせて、前年度に買収したDB&B社の買収効果もあり、売上高は過去最高になりました。

利益面では、オフィス環境事業というセグメントは定価を持つ製品が多いのですが、これらに対し2022年7月に12パーセント増の価格改定を行いました。また、販売店への卸価格も3回にわたって値上げを行い、結果として、下期以降の実質的な売価アップにつながったと思っています。

セグメント別の分析 商環境事業

商環境事業です。売上高・営業利益ともに、ほぼ横ばいになっています。売上高の面では電気料金高騰が影響しました。特に、スーパーマーケットは電気料金の高騰によって利益が圧迫されるということで、期間としては昨年10月から今年1月にかけて、特定のお客さまにおいて改装需要が一部延期になった影響もあり、売上高が横ばいになっています。

利益面は前期の27億4,000万円から当期は27億2,000万円と、ほぼ横ばいになっているものの、2022年3月期は、商環境事業の製品を作っている当社工場の塗装装置の火災があり、それによる営業利益の損失分が10億円ありました。一方で、2023年3月期は本セグメントで資材の価格転嫁が20億円強あったため、差し引きで実質的には10億円の増益になったと認識しています。

セグメント別の分析 物流システム事業

物流システム事業です。売上高はおよそ10パーセント増加したものの、営業利益は5億9,000万円と12億円の減益になっています。

利益のマイナス要因としては、昨年に福島県沖で地震が起こった際に、仙台にあったお客さまの物流センターにおいて当社の自動倉庫が一部損壊しました。今後の取引を考慮し、復旧工事の費用を当社が持ったため、その分が2億2,000万円です。

加えて、AutoStoreを中心に海外から製品を入れているため為替の影響と、さらには資材価格が一部上がっています。資材の他に、モーターやセンサーなどの回路部品の価格上昇があります。これらの合計で原価が約7億円上がっているため、利益のマイナス要因としては合計9億2,000万円ほどになっています。

一方で売上高は増えているため、増収効果との差し引きで6億円のマイナスとなっています。ただし、後ほどご説明しますが、地震対応以下の要因については今期は発生しないということで、今期以降については前年対比で増益になる見込みです。

中期経営計画2022の振り返り

中期経営計画2022の振り返りを行います。2020年度から2022年度までの3年間の中期経営計画ですが、総括としては、スライド上部の赤枠内に記載のとおり、コロナ禍や人手不足といった社会の変化を需要に変えつつ、未来への種をまいた3年間だったと思います。基本方針である「新たな需要の創造」と「事業構造の変革」は、目論見どおりに進展しました。

売上・利益に関してですが、売上高は2期連続で過去最高を更新しました。新型コロナウイルス感染症の影響で2020年度は売上高が一時的に下がったものの、営業利益は4期連続で過去最高を更新しています。ほぼマイルストーンどおりに推移したと認識しています。

中期経営計画2022の振り返り −新たな需要の創造

「新たな需要の創造」ということで、オフィス環境事業については、働き方、つまりワークスタイルを提案して新たな需要を作り出しました。

スライド左からワークブース、共用席の増加、ポータブルバッテリーと3枚の写真を載せています。例えばこちらのワークブースに関してもスマホ時代に必需品だと言われており、この中に入って仕事をするということが新たな働き方として、1つの流行になったと思っています。

共用席の増加に関しても、チームで仕事をするという意味では、この大きなテーブルにみなさんが集まっていろいろなことを討議していくという文化や、ポータブルバッテリーによってオフィスのいろいろなところで仕事ができるようなワークスタイルを作り出すことができました。

また、スライド右側にあるとおり、当社は「Re:birthプロジェクト」を行っており、独自のリサイクルインフラを確立しています。ここに記載している写真は「ポータム」という椅子ですが、椅子から椅子へ完全リサイクルができるという、業界初のリサイクルインフラのシステムを作ることができました。これは非常に大きな1つの転換点だったと思っています。

左下に商環境事業の説明がありますが、「省人化、省エネルギー対応の店舗什器・設備の開発」と記載されています。特に、省人化や省エネルギーが非常に大きく浮かび上がってきており、こちらに向けたいろいろな製品が入り始めています。

物流システムについては、特に物流センターを自動化しようということで、ロボットを使ったさまざまな製品への投資が起こり始めています。

当社では、ノルウェーのAutoStoreを扱っています。業界の中で工事物件を含めた55件ほどを納入しています。同業他社では2社がこちらの製品を扱っているものの、ほとんど納入実績がない状態です。55件の実績があり、特に地震への対応等のノウハウが相当貯まってきているため、拡販をさらに進めていきたいと思います。

中期経営計画2022の振り返り −経営基盤の強化

経営基盤の強化として、こちらに3つ挙げました。サプライチェーンの改革、デジタル技術の活用、海外事業の強化です。

サプライチェーンの改革については、多品種変量生産と記しています。非常に多く売れる製品と、品種は多いが、一つひとつはそれほど売れないロングテール製品を同時に作る生産システムに変えていかなくては今の販売動向についていけないということで、つくば事業所に新棟を増築しています。

また、冷凍冷蔵ショーケースの生産能力を上げたいということで、長野に新工場という大型投資を決定することができました。また、「製造プロセス改善・在庫削減による物流コストの削減」と記載していますが、この3年間で売上高物流費率、在庫回転率を上げるさまざまな施策を打った結果、売上高物流費率は約2パーセント弱低減しています。

デジタル技術の活用については、全従業員向けのデジタル教育の実施に加えて、デジタル技術を活用した新規事業や社内の業務改善など、業務を圧倒的に短い時間でこなすようなプロジェクトを現在進めています。

また、販売面については、冷凍冷蔵ショーケースの温度管理は法律で決まっているため、簡略化あるいは一括管理して省人化するためのクラウドサービスをすでに数年前から販売しているのですが、現在こちらがかなり普及し始めています。

海外事業の強化については、右下に2項目を記していますが、中国で物流システム事業の合弁会社を立ち上げました。また、中国でオフィスシーティングの生産工場を設立しています。これらについては、次の3年間で利益を生む事業になると思います。

中期経営計画2022の振り返り −既存事業強化と成長のための投資

投資についてです。3年間で、維持・更新投資に180億円、加えて戦略投資に300億円の意思決定を行いました。既存事業と生産・物流機能の強化で約220億円、海外事業の強化で約50億円、新規事業の創出で約20億円の意思決定を行いました。

中期経営計画2025で目指すもの

今期以降の中期経営計画2025についてご説明します。新たな中期経営計画で目指すものとして、「時代の流れを捉え、提案力と製品力を磨き、『需要創出型企業』への変革を加速する」としています。今や市場は、自ら提案した新しい需要を作らなければ売上が伸びない、という認識で経営を進めていきたいと思います。

経営基盤強化のポイントとして「人財育成と働きがいの向上」「デジタル技術活用の加速」「多品種変量生産への対応」「市場に根ざした海外事業の展開」の4つを設定しています。詳細は後ほどご説明します。

加えて、社会課題への取り組みということで「2050年カーボンニュートラル実現に向けた地球環境への長期的取り組みの着実な実行」を行っていきたいと思います。

中期経営計画2025における定量目標

定量目標についてです。スライド下部に記載のとおり、2022年度から2025年度にかけての営業利益成長の目標は、オフィス環境事業でプラス31億円、商環境事業でプラス33億円、物流システム事業でプラス25億円、パワートレーン事業でプラス7億円となっています。

合計で270億円になりますが、人財育成と技術開発費用に30億円を投資する予定ですので、2025年度の目標としては240億円と設定しています。営業利益率で8パーセント、ROEで10パーセントを目指したいと思います。

新たな需要の創出事業 −セグメントの位置づけと主な打ち手

事業セグメントの位置づけと主な打ち手です。詳細は後ほどご説明しますが、新たな需要の創出により収益力を強化する事業としてオフィス環境事業と商環境事業、事業規模を拡大する事業として物流システム事業とパワートレーン事業を、それぞれ位置づけています。

創出資金の投資と株主還元への配分方針

創出資金の投資と株主還元への配当方針です。スライド上部に記載のとおり、「基礎キャッシュフローと資産売却により創出した資金を、成長投資と株主還元に配分する」という基本方針のもと、配当性向は税引後利益の40パーセント以上を安定的に維持したいと思います。従来は、税引後利益の3分の1という方針でした。

自己株式の取得については、投資の実行状況や外部環境等を踏まえて柔軟に対応していきたいと思います。

スライド下部に考え方を図としてまとめています。創出した資金を維持更新投資と戦略投資枠に振り分けます。株主還元の方針はただいまお伝えしたとおりで、配当性向は40パーセント以上へ引き上げ、自己株式の取得には柔軟に対応していきたいと思っています。

PBR改善に向けて

PBR改善に向けて、スライド左側に現状の分析をまとめています。

資本収益性については、営業利益は4期連続で過去最高を更新していますし、配当性向も考慮して3期連続で自己株式の取得を実施しています。ROEは直近2期連続で10パーセントを上回り、資本コストを上回る収益性を達成しているものの、成長性について市場から十分な評価を得られていないという認識です。

この改善に向けて、右側に記したとおり、ROE10パーセント以上の資本収益性を維持・向上していくための方策を開示し、実行していきたいと思います。戦略投資による資金創出力の向上ということで、投資枠を500億円に設定し、事業の成長を維持・加速していきたいと思います。

また、先ほどご説明したとおり、配当性向は従来の33パーセントから40パーセント以上へ引き上げ、安定的に維持したいと思います。自己株式取得の実施については、戦略投資枠の使用状況等を踏まえながら柔軟に対応していきたいと思います。

経営基盤強化

経営基盤の強化のポイントは4つです。「人財育成と働きがいの向上」については、経営・デジタル・グローバル人財を育成していきたいと思います。また、「デジタル技術の活用の加速」として、経営・事業・業務レベルのデジタル化を行います。

「多品種変量生産への対応」については、現在は生産品目がかなり増加し、品目ごとの売上にばらつきが出ていますので、製品を安定供給するための生産システム強化を含めた改革をしていきたいと思います。「物流ネットワークの再編」とありますが、在庫をなるべく川上に集めて自主倉庫による物流改革を行います。これによって効率を上げ、結果として賃借料を大幅に下げていきたいと思います。

「市場に根ざした海外事業の展開」に関しては、一言で言えば地産地消体制への移行を図っていくものです。

事業を通じた社会課題への取り組み

事業を通じた社会課題への取り組みです。オカムラグループは事業を通じて社会課題に取り組むとともに、サプライチェーン全体における地球環境負荷の低減を徹底することで持続可能な社会づくりに貢献していきたいと思います。事業ごとの内容についてはスライドのとおりです。

一番右側に全社共通という項目があります。サーキュラーエコノミーの構築による資源利用・廃棄物の削減や、森林資源の循環利用の促進、責任ある調達と取引先との信頼関係構築などについては、全社をあげて取り組んでいきたいと思います。

事業を通じた社会課題への取り組み −地球環境への取り組み

地球環境への取り組みということで、当社が設定している「環境長期ビジョン 『GREEN WAVE 2030』」という方針に則り、3年間の計画を着実に進めていきたいと思います。

下段の表に記載のとおり、2030年の目標は温室効果ガスの排出量(SCOPE1・2)を2020年比で50パーセント削減することです。2025年度までには、25パーセントを削減する計画で作業を進めています。

企業の成長を支え多様な働き方に応えるソリューションの提供

各セグメントの方針をお話します。オフィス環境事業では、企業の成長を支え、多様な働き方に応えるソリューションを提供することを目指しています。

基本方針は「多様な働き方に応える製品・サービスを充実させ、お客さまの風土・文化を理解し、将来を見据えたオフィス環境を構築することで、ワーカーの働きがい向上と企業の成長に貢献する」としています。

スライド左側に事業環境について記載していますが、ハイブリッドワークスタイルが定着しました。それに伴い、新しいオフィスを作る際には、コンサルタントやデザイン事務所がかなり提案をするようになり、上流領域の担い手の発言力や影響力が増大し始めています。

そのような中で、オカムラグループの強みとしては、古くから持っているワークデザイン研究所の存在があります。未来の働き方について研究し、豊富な知見に基づく提案を積極的に行っていきたいと思います。また、新たな需要を創出する製品力と開発力も強みの1つですので、こちらについてもさらに磨いていきたいと思います。

右側は定量目標・取り組み課題ですが、オフィス環境事業における2025年度の営業利益は190億円を目指しています。

取り組み課題としては、コンサルティング機能のさらなる強化に加えて、日本の働き方の特徴として、チームで働くということが挙げられます。そのため、これからの働き方である「Team Based Working」を支える新製品の開発を進めていきたいと思います。また、海外事業においても少し利益が出るようになりましたので、少なくとも2025年度には利益全体の10パーセント以上まで収益を拡大することを目標としています。

2024年3月期もオフィスリニューアル需要は堅調

スライド左側の棒グラフは森ビルが毎年発表しているもので、東京23区のオフィス供給量を示しています。2023年から2025年にかけて、かなり大規模なオフィスビルが竣工する予定です。これに伴い、オフィスの需要がかなり拡大すると思います。

出社率については、5月の連休明けからいろいろなところに影響が出始めています。「ハイブリッドワーク」の普及と記していますが、ここに来て完全出社という会社もずいぶん出てきました。それぞれの働き方に合わせたオフィスを作る必要があるということで、このあたりのコンサルティングを強化していきたいと思います。

また、それを支える製品群として、ワークブースの「テレキューブ by オカムラ」や、オフィスのDXを支える「Work × D(ワーク・バイ・ディ)」などを発売しています。また環境配慮ニーズへの対応として、「カーボンオフセットプログラム」等を含めて、新たな市場を作り出していきたいと考えています。

オフィスリニューアルの必需品

ワークブース販売実績とオフィスリニューアルの必需品の傾向を記載しています。ワークブースは発売から5年ほどになります。2022年3月期から2023年3月期にかけては、少し伸び悩んでいるように見えますが、実は2021年の3月に需要がかなり集中しました。

製造の関係で一部の計上が2022年3月期へ後ろ倒しになりましたので、それを考えると順調に成長してきていると思います。今はチームで仕事をするということで、単体のデスクなどは売上が落ち込んでいます。それをカバーする製品になってきたと思います。

また、オフィスリニューアルの必需品としては、フリーアドレスのテーブル、モバイルロッカー、ポータブルバッテリーあたりが順調に成長しています。

小売業が抱える社会課題の解決とみらいの店づくり

商環境事業についてです。「小売業が抱える社会課題の解決とみらいの店づくり」ということで、小売業の課題と社会的要請に応えるために提案からアフターサービスまでの一貫したサービス機能を活かして、みらいの店づくりをサポートするという方針です。このセグメントについては、店づくりが変わり始めています。

左上に記載の事業環境においては、人手不足による省人省力化・自動化が進んでいます。また、環境配慮、省エネが求められる店舗設備機器がかなり注目を浴びています。

当社の強みは、あらゆる業種・業態をカバーしているということと、提案からアフターサービスまでの一貫したサービス体制が取れるということ、加えてデザイナーを100名近く抱えていることです。そのため、店づくりに関しては同業他社に比べてかなりのアドバンテージがあると思っています。

右側のグラフのとおり、セグメントの定量目標は2025年で営業利益60億円を設定しています。取り組み課題について下段に3つ記載していすが、特に店舗のDX化について、いろいろな取り組みをしていきたいと思います。

また、新たにプレハブ冷蔵庫設備の市場に参入していきたいと思います。スライドには冷蔵庫と記載していますが、スーパーマーケットのバックヤードに肉や冷凍食品を保管する冷凍室のようなものを指します。こちらの市場へ新たに取り組んでいきたいと思います。

2024年3月期も需要堅調、省人化、省エネ需要の獲得を狙う

商環境事業の需要そのものは堅調に推移しています。当社の売上を支えている大きな分野は、ドラッグストア、スーパーマーケットです。

左上のグラフでは、先期は一時的にスーパーマーケットが下がっていますが、これは電気代が上がって改装投資が今期に持ち越しになった分によって落ち込んでいます。落ち込んではいるものの、需要が消えたわけではありません。改装投資を行わないと店全体の売上が落ちるため、いつかは必ず行うわけです。それが1年後ろ倒しになったとご理解ください。

左下に「食品に注力するドラッグストア業界は、先期に引き続き店舗への投資が活発」と記しています。今や、ドラッグストアの中で食品の売上比率が非常に大きくなっています。ある大手のドラッグストアでは、売上の6割が食品になり、ドラッグストアと呼べるような業態ではないという声もあるようです。

当社では食品売り場も相当扱っているため、ドラッグストアを支援、受注する際には食品売り場のノウハウがかなり活きていると思います。

また、ここにきてインバウンドが回復しているため、ノンフーズ業界の投資も活発化しています。

右にある当社の需要への取り込みとしては、店舗デザイン能力を活かし総合力で需要を膨らませたということと、省エネ性能の高い冷ケースを発売したことです。省エネ性能で30パーセント、電力代が削減できるような冷ケースをリリースしました。こちらも引き合いがかなり出始めています。

また、写真にあるとおり、ショッピングカートやレジ周りがかなり省人化に向かって動き始めました。特にDXを使ったいろいろな取り組みが行われています。SI企業と協業でいろいろな新しいレジの機能やPOSを搭載したカートを開発し始めました。この需要は今後3年から5年にわたって続くと思いますので、確実に売上と利益に結びつけていきたいと思います。

利益率の改善については、価格改定を実施しています。しかし、新規だけではまだ十分ではありません。商環境事業については概ね2割から3割ぐらいしか価格改定ができていないと思っています。今期以降で、この部分の値上げを進めていきたいと思います。

冷凍冷蔵ショーケースの販売増とサービス事業拡大

冷凍冷蔵ショーケースの販売増とサービス事業拡大についてです。スライド左側に業界の出荷台数の統計と当社のシェアが載っています。

当社のシェアはおよそ28パーセントのゾーンで推移しています。生産能力がほぼいっぱいのため、新たに工場の建設計画を立てています。少なくともシェアを35パーセントぐらいまで伸ばしていきたいと思います。

また、省エネ需要がかなり出ています。右下に記載のとおり、既存の冷凍ショーケースに扉を付けるような需要が出始めました。また、OSCOMシリーズと呼んでいる当社の温度管理システムを集中管理することで、消費電力の管理と省電を合わせて行うシステムがかなり普及し始めています。こちらで得られる利益もこの事業の1つの柱にしていきたいと思っています。

スマート物流に貢献する製品・サービスの開発

物流システム事業についてです。当社は小物の搬送・保管の分野を中心に市場を攻略しています。先ほど申し上げたとおり、この分野では自動化やロボット化が進み始めました。そのようなこともあって、特に高密度収納の自動走行において、中型やパレットタイプのものを出しました。後ほど写真をお見せしますが、そちらもさらに拡販へ努めていきたいと思います。

海外事業のところでもご説明しましたが、左下にあるグループの強みの最後に「中国市場における現地有力事業パートナーの存在」と書いています。

当社とトルクコンバーター事業でお付き合いをしているのは、中国で2番目に大きいフォークリフトメーカーで、杭叉集団です。こちらと物流システム事業について合弁会社をスタートさせました。すでに受注が出ていますし、3年から5年経てば、かなり売上と利益が期待できる事業になると思います。

スライド右側に定量目標を記していますが、2025年度には、このセグメントにおいて13億円の営業利益を目指したいと思います。

物流システム機器の需要は堅調、当社受注高も順調に増加

30ページの左側には、ECの市場規模を載せています。今は13兆円を超えたところですが、ECの分野が順調に伸びています。EC分野が伸びるということは、裏側でそれを支える物流センターの投資が活発化するということになります。

右側に記載のとおり、「物流施設テナント企業調査今後3年間に重視する施策」として、1位が物流拠点を増やすこと、2位に機械化・自動化設備を導入すること、3位に従業員の就労環境を整備することを挙げています。

市場としてはかなり活発化していますので、きちんと当社が入り込める市場のシェアを高めていきたいと思います。

顧客ニーズを先取りした新製品・サービスの開発と中国合弁事業の拡大

従来ご説明しているAutoStoreについてです。今期も1件20億円を超えるような、かなり大口の物件が決まりました。

左下に記載のとおり、「CYBISTOR2」はパレット向けの製品です。自社開発ですが、2021年9月に発売して、現在受注がかなり濃厚な物件が数件出てきました。中国の合弁事業を含めて、この分野の売上を増やしていきたいと思います。

この事業分野のポイントとしては、安定的に毎年売上・受注を積み上げられるかというところにきています。今追いかけているのは2年先、3年先の物件です。売上が落ちないように、そのあたりの販売体制を強化していきます。

2024年3月期業績見通し

2024年3月期の見通しについてお話しすると、2024年3月期売上高が2,850億円、営業利益で205億円、経常利益で215億円、当期純利益で150億円です。

2023年3月期の当期純利益が159億円のため一見減益のようですが、2023年3月期の159億円の中には有価証券の売却益が入っているため、それを除くと127億円になりますので、127億円を150億円に伸ばす計画にしています。

2024年3月期業績見通し セグメント別

スライド左側が売上高、右側が営業利益です。2024年3月期に205億円を達成すると、売上高利益率は7.2パーセントになります。

一株当たり配当金と配当性向推移

配当性向です。2023年3月期の期末配当を33円に増配して、55円を予定しています。2024年3月期については、中間・期末ともに33円、計66円の増配を予想しています。

補足 政策保有株式の状況

補足として、政策保有株式の状況についてです。直近の4年間で簿価85億円を縮減しました。今後の縮減計画は、議決権行使助言会社の推奨基準、対純資産比率10パーセント未満を目安に、保有の合理性も考慮の上で、縮減に努めていきたいと思います。

なお、一番下に自社株買いの直近の実績を掲載しています。

本日のまとめ

ご説明は以上です。ありがとうございました。