目次

南條博昭氏:本日はお忙しい中、株式会社タクマ2023年3月期決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。代表取締役社長の南條博昭です。本日の説明はこちらの目次にしたがって進めていきます。なお、一部説明を割愛する部分もありますので、ご了承ください。

タクマグループの事業

まず、当社グループの紹介についてですが、当社グループは、「環境」と「エネルギー」を主要テーマに、ごみ処理プラントやバイオマス発電プラント等の設計・施工、アフターサービスを中心に事業を展開しています。

当社の歩み

1912年に創業者の田熊常吉が、日本で初めて純国産技術によるボイラを発明しました。その後、ボイラ技術を高める中で燃焼技術や水処理技術を培い、ごみ焼却プラントなど環境分野へ進出しました。以来、環境・エネルギーの分野を中心に、お客さまと社会の課題を解決する技術やサービスを提供しています。

業績推移

2000年代後半からベース収益となるアフターサービスへ注力しています。ごみ処理プラントの安定的な更新・長寿命化の需要や、バイオマス発電プラントの需要増加により、売上高・利益ともに安定的に推移しています。

ビジネスモデル|環境・エネルギー事業(国内)

主力事業である環境・エネルギー(国内)事業のビジネスモデルは、プラントの設計・施工(EPC)とアフターサービス(運転管理、メンテナンス、O&Mなど)が収益の中心となっております。収益の計上イメージはスライドに掲載しています。

2023年3月期|業績ハイライト

2023年3月期の連結業績ハイライトについてご説明します。売上高は1,426億円、経常利益は146億円と、前期比で増収増益となりました。主な要因は、環境・エネルギー(国内)事業におけるEPC案件構成の変化やストック型ビジネスの増加によるものです。

一方で、受注高はごみ処理プラントの建設・運営事業の受注が前期より減少したことで、1,685億円になりました。受注残高は4,712億円と、ごみ処理プラントの建設・運営事業など、長期O&Mの着実な受注により増加しており、残高の約50パーセントは長期O&Mが占めています。

2023年3月期|セグメント別内訳

セグメント別の業績はご覧のとおりです。詳細については資料10ページから19ページに掲載しています。説明は割愛しますので、後ほどご確認いただければと思います。

第13次中期経営計画(2021-2023)

それでは、今回の決算内容を踏まえて、2021年よりスタートした第13次中期経営計画(中計)の進捗についてご説明します。今中計は、タクマグループの長期ビジョン「Vision2030」における、2030年度の経常利益200億円という目標の達成に向けた、成長への布石を打つ期間と位置づけています。今中計の数値目標として、3ヶ年累計経常利益360億円の達成を掲げています。

第13次中期経営計画(2021-2023)|進捗状況

中計2年目の前期(2022年度)において、経常利益は146億円となり、目標達成に向けて順調に進捗しました。2023年度の経常利益は120億円と予想していますので、順調に進めば目標の360億円を達成する見込みです。ここからさらなる上積みを目指していきます。

セグメント別状況|環境・エネルギー事業(国内)一般廃棄物処理プラント|事業環境

当社グループの現在の事業環境について説明します。

まず、主力事業である環境・エネルギー(国内)事業の一般廃棄物処理プラント事業では、ごみ処理施設の老朽化に伴う建て替えや長寿命化の需要が継続しています。年間の発注件数で表すと15件から20件程度、施設のごみ処理能力の合計では日量3,000トンから4,000トン程度の安定的な更新需要が出てくるものと見込んでいます。

また、民間企業のノウハウを活用する観点から、施設の更新に加えて、竣工後20年程度の施設運営を合わせて委託するDBO方式による発注が増えており、今後も継続する見通しです。

セグメント別状況|環境・エネルギー事業(国内)一般廃棄物処理プラント|事業戦略

このような事業環境の中で、当社グループとしては引き続きこれらの需要に対応し、年間2件から3件の更新案件の受注を目指します。エンジニアや施工管理の人材など、リソースを増やすことで受注件数のさらなる上積みも目指していきます。

セグメント別状況|環境・エネルギー事業(国内)一般廃棄物処理プラント|事業戦略

ストック型ビジネスについては、2023年度の期初時点で、長期O&Mを25件受注し、そのうち19件が運営中です。O&Mを受託していない施設についても、O&M化や性能改善の取り組みなど、お客さまのニーズに寄り添った提案を進めることで、ストック型ビジネスのさらなる成長を目指していきます。

セグメント別状況|環境・エネルギー事業(国内)一般廃棄物処理プラント|主な受注案件

こちらのスライドには、最近の主な受注案件を掲載しています。引き続き、安定的な受注の獲得を目指していきます。

セグメント別状況|環境・エネルギー事業(国内)エネルギープラント|事業環境

バイオマス発電プラントなど、エネルギープラント事業の状況について説明します。現在、バイオマス燃料の価格が高騰するなど、お客さまの計画に影響を及ぼすリスクが出てきていますが、足元では国内のバイオマス燃料を中心とした中小型規模のバイオマス発電プラントの建設と、納入後のメンテナンス需要が継続しています。

また、工場を保有するお客さまでは、エネルギー価格の高騰やCO2削減への取り組みから、化石燃料を使用する大型ボイラーを更新する燃料転換の需要も出現しています。

今期については、中小型規模の2メガワットから10メガワットのFITを利用した計画が中心となる見込みです。また、FIPに基づく計画も、徐々に出現しています。

セグメント別状況|環境・エネルギー事業(国内)エネルギープラント|事業戦略

FIT制度の開始以降、当社グループはこれまで80件近くのプラントを受注し、納入後も多くの案件でメンテナンスの受注を獲得しています。今後もFITやFIP、燃料転換の案件や改造工事など、お客さまのニーズに寄り添った提案によりEPCやメンテナンスの安定的な受注を目指していきます。

セグメント別状況|環境・エネルギー事業(国内)エネルギープラント|主な受注案件

こちらのスライドには、最近の主な受注案件を掲載しています。2022年度はFITに加え、燃料転換案件、非FIT案件など、今後につながる案件を受注しました。

セグメント別状況|環境・エネルギー事業(国内)水処理プラント

水処理プラント事業については、下水汚泥処理設備の更新や長寿命化のニーズが高まる中で、当社の主力製品である階段炉下水汚泥焼却発電システムが、2022年度に2つの賞を相次いで受賞しました。

このシステムは、化石燃料である補助燃料を従来の焼却炉に比べて必要としないため、温室効果ガスの削減に貢献できることに加えて、省エネルギーな性能で発電によるエネルギーの創出も可能な製品であることが評価されました。今後も積極的な営業活動を展開し、受注につなげていきます。

セグメント別状況|環境・エネルギー事業(国内)新電力事業

新電力事業では、当社が納入したごみ処理プラントやバイオマス発電プラントで発電した電力の調達と供給を通じて、お客さまの電力料金の安定化やCO2の削減に貢献しています。ストック型ビジネスの1つとして、引き続き着実な成長を目指していきます。

セグメント別状況|環境・エネルギー事業(海外)|事業環境

環境・エネルギー(海外)事業の事業環境について、東南アジアでは人口増加や都市化の進展に伴い、廃棄物発電の旺盛な需要が潜在的にあります。政府による事業実施を後押しする動きも始まりつつあります。

市場の形成には時間がかかっていますが、今後も受注の獲得に向けて、現地法人を中心に現地企業とのパートナーシップなどの体制整備を進めていきます。

また、タイでは再生可能エネルギー発電の導入を政策として推進しており、製糖工場向けを筆頭に、バイオマス発電の需要が根強い状況です。引き続き、新設や更新、メンテナンス案件の受注に注力していきます。

セグメント別状況|環境・エネルギー事業(海外)|事業戦略

受注実績としては、2021年度から2022年度にかけて、廃棄物発電プラントの設備更新工事のほか、タイやベトナムでプラントの建設工事を受注しました。引き続き、年間1件から2件以上の新設工事の受注を維持し、海外事業の黒字化、成長を目指していきます。

セグメント別状況|民生熱エネルギー事業、設備・システム事業

民生熱エネルギー事業、設備・システム事業については、スライドに示したような状況になっています。これらの事業についても、規模の維持・拡大による成長を目指していきます。

経営基盤の強化|概要

今中計における経営基盤の強化に関しては、人材の採用・育成や脱炭素技術の研究開発を中心に、今後も積極的な投資を続けていきます。

経営基盤の強化|人材投資

人材投資の状況は、こちらのスライドに示したとおりです。引き続き、採用、育成など積極的な人材への投資を通じて、競争力の強化とリソースの拡充に努めていきます。

経営基盤の強化|研究開発

研究開発については、既存技術のブラッシュアップに加えて、脱炭素技術の研究開発を進めています。バイオマス発電プラントの燃焼ガスを利用したCO2供給設備や、都市ガスの原料としての活用が見込まれるバイオメタネーション、カーボンブラックなど化学品の原料としての活用が見込まれる固体炭素化技術など、さまざまな研究開発を積極的に進めています。

経営基盤の強化|パートナーシップ・デジタル技術

パートナーシップやデジタル技術活用の状況はスライドのとおりです。これらにも積極的に取り組み、既存事業の付加価値向上などに努めていきます。

中長期ロードマップ

これまでにご説明した事業環境と取り組みを踏まえ、「Vision2030」実現に向けたロードマップとして、売上高のイメージをスライドの図のように想定しています。

成長の中核を担うドライバーとして、ストック型ビジネスのさらなる拡大と、EPC事業の維持、拡大など、各事業において着実な成長を目指していきます。また、新規事業やM&Aなどを通じて、環境分野、エネルギー分野において事業を拡大していきます。

2024年3月期|業績予想

最後に、2024年3月期の業績予想と株主還元についてご説明します。市場環境としては、ごみ処理プラントの更新、長寿命化や、バイオマス発電プラントの新設など、堅調な需要を背景に引き続き高水準で推移するものと見込んでおり、受注高は1,700億円を計画しています。

一方で、売上高は1,460億円と増収を見込んでいますが、経常利益は120億円と減益を見込んでいます。これは主に、環境・エネルギー(国内)事業のEPC案件の構成変化に加えて、研究開発や人材への投資を増やしていること、また播磨新工場の稼働に伴い減価償却費が増加することなどから、減益になるものと予想しています。

当社の事業の特性として、プラント工事の進捗が年度によって異なりますので、単年度の業績には波があります。しかし、市場環境は堅調に推移していますので、リソースの拡充を進め、着実な受注の継続とストック型ビジネスへの注力に加えて、成長分野への投資を継続することで、今後も持続的、安定的に成長できるものと考えています。

2024年3月期|セグメント別業績予想

セグメント別では、スライドの表に記載の数字を計画しています。これらの目標を達成できるように、しっかりと取り組んでいきます。

株主還元

株主還元については、配当は安定配当の維持を基本として、業績や財務状況を総合的に勘案して行う方針です。今期は減益の予想ではありますが、中期経営計画の目標を達成できる見込みであることから、配当額は5円増配の年間48円とする予定です。配当性向は46.2パーセントと増加する見込みです。

自己株式の取得は選択肢の1つとして、株価の状況なども踏まえ、機動的に実施するよう考えています。

最後に

ストック型ビジネスは、新たなプラントの納入や長期O&Mの受託により着実に成長しています。今後も当社グループの成長ドライバーかつ安定的な収益基盤として注力していきます。

また、さらなる成長に向けて、海外事業や脱炭素技術などの研究開発、人材への投資などを通じて将来に向けた布石を打つことで、「Vision2030」の実現、2030年の経常利益200億円の実現を目指します。

引き続き、環境とエネルギーに関する事業を中心に注力し、ESG経営でお客さまや社会とともに持続的な成長を目指していきますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。ご清聴ありがとうございました。