第55回 個人投資家向けIRセミナー

松岡元氏(以下、松岡):みなさま、こんにちは。株式会社ニーズウェルの技術部門を担当している松岡です。貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。本日は、当社の2023年9月期第2四半期の決算概況と今期業績の見通し、そして事業戦略についてご説明します。

本セミナーで、当社について初めて聞かれる方もいらっしゃるかもしれせんが、この機会にぜひ当社のことを知っていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

4.1) 会社概要

松岡:当社の概要についてご説明します。ニーズウェルは、1986年に設立され、現在37期目を迎える独立系SIerです。4月に新入社員が入社し、現時点での社員数は603名で、そのうち550名以上がエンジニアです。

グループ体制についてです。今期から子会社を3社増やしており、零壱製作、ビー・オー・スタジオ、コムソフトに、持分法適用会社の総研システムズ1社を加えた4社のグループ会社とともに、事業を推進しています。

1.1) 決算ハイライト 総括

新井千波氏(以下、新井):それでは、2023年9月期第2四半期決算の概況からお話しします。3月15日に業績の上方修正を発表し、売上高は前年同期比128.5パーセント、営業利益は前年同期比163.7パーセントと大幅な増加で着地しました。利益率も、営業利益・経常利益ともに3ポイントほど増加し、14パーセント程度の水準となっています。

金融系において、レガシーなシステム環境や、プログラム言語を新しいものに置き換えるマイグレーションと呼ばれる案件の受注が順調でした。

1.2) 売上高・営業利益・経常利益 年度別推移

新井:売上高、営業利益、経常利益の年度別推移です。いずれも、設立以来の最高額を更新しています。

1.3) 業績進捗率・成長率

新井:業績の進捗率と成長率です。当社には、業務系システム開発、基盤構築、コネクテッド開発、ソリューションと4つのサービスラインがあります。

売上進捗率は、40パーセント台から60パーセント台とばらつきはあるものの、すべてのサービスラインで前年同期を上回っています。特に、ソリューションビジネスは前年同期比173.6パーセントと、高い伸びとなりました。

利益については、約60パーセントの進捗率で、前年同期比でも約160パーセントの伸びとなっています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):売上高の進捗が半期で50%を割っているのは、若干ですが下期に偏重する傾向があるからでしょうか? この辺の毎年の傾向を教えてください。

松岡:売上が下期に偏るというのは、毎年見られる傾向です。理由としては、プロジェクトが期初から始まって、後半にかけて受注量、プロジェクト体制が拡大していくためです。

また、新入社員が4月に入社し、研修を受けて配属され、実際に現場に出ていきます。稼働ボリュームも下期にかけて大きくなるため、それと並行して売上も下期に偏る傾向があります。

坂本:その辺も考えて業績予想を組まれているということですね。

松岡:おっしゃるとおりです。

坂本:足元の収益を期末までスライドすると、通期の利益の上方修正はあると思いますが、期末までに大きな投資等を行い、利益を圧迫するような計画があるのでしょうか? あるいは、どこかで上方修正の開示があるのでしょうか?

松岡:この後もご説明しますが、当社はM&Aの検討を継続して進めており、スピーディに話が進めば、下期中の支出の可能性もあり得ると考えています。

また、事業のほうでも、ソリューションビジネスの拡大を考えています。そこでの開発や投資が必要と判断されれば、そちらでの支出も考えますので、今、いろいろと計画を練っている状況です。

1.4) 経常利益増減要因分析

新井:経常利益の増減要因分析です。まず、売上高が前年同期比で約9億円増加しました。これに伴い、外注費も前年同期比で4億円ほど増加しています。

一方で、販管費については、オンライン営業が効率良く成果を挙げるなど、前年と同水準に抑えることができており、結果として、経常利益は前年同期比で約6億円の増加となりました。

坂本:外注費が増えている理由を、今後のイメージを含めて教えてください。要因として売上高の増加もあると思いますが、社員を増やすことにより外注費を抑えていくというお考えはあるのでしょうか?

松岡:パートナーと社員の割合は、将来的には1対1を目標としています。今期については、パートナー比率が46パーセント程度になるように、目標として考えています。

事業を拡大する上で、パートナーとの協業は重要になってきていると考えています。そのためしばらくの間は、売上高の増加に伴ってパートナーの比率は伸びていくと思います。一方で、比率の伸び幅については、社員とのバランスを見ながら考えていこうと思っています。

2.1) 2023年9月期 業績予想

新井:2023年9月期の業績予想についてです。3月の上方修正により、売上高は90億5,900万円、経常利益は10億円を超える予想となりました。売上高の計画の内訳としては、76パーセントを占める業務系システム開発を主力に、ソリューションビジネスが14.2パーセントと続いています。

ソリューションビジネスは、2017年の開始以来、売上高が年々増加しており、利益率も高めです。当社では、業務系システム開発、基盤構築、コネクテッド開発を、事業基盤を確立するサービスラインと位置づけています。また、これらに比べて利益率の高いソリューションビジネスを、事業と付加価値向上を拡大するサービスラインと位置づけています。

2.2) 中期経営計画 現状分析・対策

新井:中期経営計画についてです。当社では、2023年9月期に売上高100億円、経常利益10億円の中期経営計画に向けて取り組んでいますが、業績予想とは約9億円のギャップがあります。

理由としては、既存事業は順調に伸びている一方で、実現したM&Aが計画よりも小規模にとどまっていることが挙げられます。

対策としては、M&Aは引き続き継続しながら、他社とのアライアンスでオーガニック部分の売上をさらに拡大できるような受注強化策に、グループ全体で取り組んでいます。

坂本:売上高100億円を達成するためには、また第4四半期の頭から反映するかたちであれば、最低でも売上規模が40億円ぐらいの会社を購入する必要があると思います。

こちらは必達ではなく、案件がなければ来期以降というようなお考えなのでしょうか?

松岡:当社では、M&Aについては、シナジー効果を最大化できるかどうかがポイントになると思っています。現在もM&A候補の会社情報はいろいろいただいており、社内で詳細に検討しています。そのシナジー効果を最大化できるように、慎重に考えていきたいと思っています。

仮に今期はM&Aを実現できなかったとしても、来期以降も事業のシナジーを前提に、いろいろな会社と協業していきたいと考えています。

坂本:昔に比べると、中期経営計画を見て投資判断をする個人投資家も相当増えてきていると思いますが、次期の中期経営計画の発表はいつ頃になるのでしょうか? また、どのような内容が盛り込まれるのか、お話できる範囲で教えてください。

松岡:社内ではもちろん検討を進めていますが、まだ明確には決定していません。ただし、当社が描く今後の中期的な姿は提示していきたいと考えています。準備が整い次第、早めに公表したいというところに留めたいと思います。

2.3) 配当と株主還元

新井:配当と株主還元についてです。当社は5月31日を基準日として、6月1日を効力発生日とする1対2の株式分割を実施します。

これに伴い、1株当たり配当金は、株式分割前の23円と同水準の11円50銭となります。株式分割により流動性が高まり、出来高も増えることで、個人投資家や機関投資家のみなさまにとって、より買いやすい銘柄となり、活発な売買につながると考えています。

増井麻里子氏(以下、増井):以前のIRセミナーでも、23円を配当金の下限とするようなコメントをされていたと思います。分割して11円50銭というところからも、その方針を引き継いでいらっしゃると思いますが、ほかにも基準や目安があれば教えてください。

松岡:今は配当性向30パーセント以上で推移していますので、これは維持していきたいと思っています。内部留保との兼ね合いを検討しながら考えていきたいと思っています。

3.1) 連結決算体制

松岡:事業の成長戦略についてお話しします。冒頭の会社概要でご説明しましたが、今期からニーズウェルグループとして、連結子会社を3社、持分法適用会社を1社というかたちでグループ体制を組んでいます。

零壱製作はゼネコン向け受託開発やMVNO関連ビジネス、ビー・オー・スタジオはWeb制作やコンサルティング、デジタルマーケティング、コムソフトは金融系システム、Web関連システム開発、というようにそれぞれ特徴を持つ会社です。これらの会社と事業シナジーを出しながら、事業拡大を進めています。

坂本:会社が増えると、営業の幅も広がってくると思います。営業担当の方は、商品ごとにいらっしゃるのか、それとも子会社にもいらっしゃるのか、どのようなスタイル、考え方で営業されているのかを教えてください。

松岡:当社と連結子会社はそれぞれ営業部隊を持っており、まずは各々が自社の営業をするというスタンスをとっています。

一方で、当社の営業部隊はシステム営業部とソリューション営業部の2つに分かれているのですが、ソリューション営業部では、例えば零壱製作が持っているMVNOのサービスやビー・オー・スタジオのWeb制作のノウハウなどを、当社の事業と合わせてプラスアルファのかたちで営業展開することもあります。

オンライン営業も注力しています。ホームページでの掲載やメールマガジン、広告の配信などのほか、イベントなどに出展する際、グループ会社も共同で行っています。

坂本:グループのブースも出ているというのは、よくありますね。

松岡:当社のブースで、グループ会社各社のソリューションを一緒に展示し、認知度の拡大も含めて今いろいろ行っています。

3.2) 重点施策

松岡:重点施策について、第1四半期のIRセミナーでもお話ししていますが、あらためて第2四半期に注力しているところなども含めてご説明します。

3.3) 重点施策 ①企業価値向上の推進 ⅰ

松岡:企業価値向上に関しては「IR・PR」「資本政策」「サステナビリティ」「業績」という4本柱で継続して展開しています。特にIR・PRのところで、当社はプレスリリースに力を入れており、会社の情報をなるべく幅広く展開するため、最低でも週に1回というペースでプレスリリースを出しています。

例えば、案件受注の情報や、先ほどお話ししたようなソリューションの案内など、幅広く情報を展開し、認知度を少しずつ上げていく政策をとっています。その中で、お問い合わせをいただく数も増えてきています。

3.2) 重点施策 ①企業価値向上の推進 ⅱ

松岡:スライドの右側には、これまでのM&Aや、資本業務提携、業務提携などの相手先を記載しています。

左側の売上高成長率とEPSについては年々上昇傾向となっており、良い傾向であると思っています。

個人投資家に加え、機関投資家との対話等も増えてきているため、この数をさらに増やしながら、当社の特徴を幅広く展開していきたいと考えています。

坂本:かなり大手の会社との業務提携、資本業務提携を多数行われています。もちろん価値がある企業だからこそ提携しているのだと思いますが、そうであればTOB(株式公開買付け)をされる可能性もあると思います。

その場合、株式を多く保有している大株主がいるため、そちらの意向なども絡むと思いますが、どのようにお考えでしょうか?

松岡:当社では、大株主とかなり良好なコミュニケーションをとっており、いろいろな情報交換もしているため、安定的に株式を保有していただけると考えています。そこはあまり心配していません。

坂本:業務提携や資本業務提携をしている大手企業とは、どのような仕事で協業しているのか、一例があれば教えてください。

松岡:大手SIerとは、当社の特徴でもある金融系システム開発におけるプロジェクトの協業に注力しています。例えば、具体的にこの程度まで開発の規模を持って行こうというように目標数値を設定して、そこに向けたプロジェクトの拡大を進めています。

プロジェクトを大きくしていくには上流工程から入り込む必要があるので、設計、製造、テストまで当社が一気通貫で対応できるスキームを作っています。

また直近は、システムの移管をマイグレーションと呼びますが、マイグレーションの案件などに特に注力し、長崎開発センターを活用しながら、規模を大きくしていくことに取り組んでいます。

坂本:マイグレーションというのは、冒頭にお話のあった、プログラム言語を新しいものに置き換えるというものですね。

松岡:おっしゃるとおりです。レガシーシステムのオープン化など、システム改変についての話が出てきています。そのため、その手法などを当社がある程度標準化して、まとめてお任せいただくというようなスキームを今、作っているところです。

また、Concur(経費精算システム)に関連するソリューションでは、各社がインボイス制度や電子帳簿保存法などの対応に取り組んでいることに付随して、いろいろな引き合いをいただいています。そのようなところで、提携している会社と一緒にお客さまに提案し、受注するということも協業の一例です。

さらに、当社オリジナルのソリューションの展開や、技術に特化して業務提携している会社もあるので、その会社と技術に特化した案件の受注で幅を広げています。

3.3) 重点施策 ②物流ビジネスの拡大

松岡:物流ビジネスに関しては、引き続き取り組んでいます。特に物流ハードウェアメーカーとの協業です。

当社が持っているのはソフトウェアですので、倉庫の管理になると、ハードとソフトというのはセットで考えなくてはいけません。そのため、ハードウェアメーカーと協業して一緒にウェブセミナーを開催しながら、リード獲得の幅を広げている状況です。

少しずつ案件受注が進んでおり、現在は受注した案件の横展開を並行して進めるというかたちで、徐々に実績が増えてきています。

3.3) 重点施策 ③AIビジネスの拡大

松岡:AIビジネスも引き続き継続しています。スライドに「Prophetterシリーズ」を記載していますが、当社が数年前から取り組んできたデータ分析のノウハウをソリューション化したものについてラインナップを増やし、今取り組んでいます。

また、「Chat Document」という名前で、AIチャットボットを使った社内FAQやドキュメント検索ができるソリューションを展開しています。

既存のソリューションなのですが、なかなか使い方が幅広すぎて、お客さま側に使っていただく時に悩まれてしまうことがあるので、スライド下部に示した4つの機能に絞り、現在再展開を進めています。

特に、社内FAQや株主総会向けの問答用として使っていただくことについては、お問い合わせが増えてきているため、少しずつ実績を作っていければと考えています。

坂本:確かに、その場で対応するため、回答文をすぐ仕上げなくてはいけない時に使えますね。

松岡:質問に対する予想回答の候補を、パッと出せる仕組みになっています。

坂本:事例集みたいなものを当て込むということも、けっこうありますからね。あれを覚えておくのは、なかなか難しいと思います。

松岡:そうですね。当社も実際にこれを使って株主総会などにも対応しましたが、非常に使い勝手が良かったです。

3.3) 重点施策 ④ニアショア開発の拡大

松岡:ニアショア開発の拡大についてです。こちらも引き続き行っており、長崎開発センターにおいては、今期70名、来期100名体制を目指し、取り組みを進めています。先ほどお話ししたマイグレーションの案件もあり、少しずつ対応するプロジェクトも増えているため、引き続き拡大していきたいと思っています。

坂本:長崎100名体制ということで前回もお話しいただいたと思うのですが、100名になると他の拠点の開発を行うのでしょうか? それとも長崎をさらに拡張するのでしょうか? この成功体験をもとに、地方に拠点を作っていくのかを含め、展望を教えていただけたらと思います。

松岡:まずは、長崎でしっかり体制を作るという考えで、ちょうどこの6月にフロアを増床し、対応できるボリュームを相当増やしています。

今後も長崎で実績を作っていき、その後のことは検討中になります。具体的な場所などは決めていませんが、例えばお客さまのリクエストや、お客さまに近いところが必要であれば、別の拠点も考えられると思っています。

特に長崎県は企業の誘致にも積極的でしたので、同じようなことができるところがあれば、積極的に考えていきたいと考えています。

坂本:長崎県のサポートはけっこう手厚いのでしょうか?

松岡:長崎県、長崎市のそれぞれが、補助金も含めて非常に手厚くご対応いただきました。また、採用に関しても、長崎県内の大学や専門学校から学生をご紹介いただき、非常に積極的に進められたと思っています。

坂本:このパターンがほかの地方でもできれば良いですね。

3.3) 重点施策 ⑤事業基盤の確立 ⅰ

松岡:事業基盤の確立については、業務系システム開発、基板構築、コネクテッド開発、そしてソリューションの取り組みを、引き続き継続していこうと思っています。

特に、金融系の中では先ほどお話ししたマイグレーションの案件や、公共系の案件も、今非常に注力して少しずつ増やしているため、継続していこうと思っています。

3.3) 重点施策 ⑤事業基盤の確立 ⅱ

松岡:教育についてです。当社はキャリア採用ではなく、すべて新人採用に切り替えて数年が経ち、若手の育成が大きなポイントになっています。

スライドの青色の部分が社内研修、黄色の部分が社外研修です。社内、社外、それぞれで教育体系を組み、若手から管理職まで、研修のラインナップを増やして、人材育成に非常に注力しています。

これを継続して、若手の早期の立上げと、また管理職になっていくメンバーも若いメンバーをしっかりマネジメントができるようなスキームを立ち上げているという状況です。

3.3) 重点施策 ⑤事業基盤の確立 ⅲ

松岡:先ほどもお話ししたとおり、パートナーとの連携は事業拡大に必要になるため、発展・共存共栄を目指していきたいと思っています。

今期9月にはパートナー比率を46パーセントに、来期には社員とパートナーが1対1の比率になるように、今は参画などを調整している状態になります。

増井:将来的に1対1に向かうということですが、やはりパートナーの比率を上げていくということは、業界の環境が変わったり、経営方針が変わったりなど、そのようなことが背景にあるのでしょうか?

松岡:将来的に、社員とパートナーの比率を1対1にしたいという思いは以前からあり、その大方針は変えていません。

パートナー比率の中でも、コアパートナーという制度を設けています。コアパートナーは、当社との協業をより強化していただく体制を組んでいるパートナーを指し、そこの比率を増やしていきたいと思っています。

やはり、パートナーと強力にタッグを組むことで、技術面でも人材確保の面でも、またコミュニケーションの面でも事業を進めやすくなるため、当社と契約する人数などに一定の基準は設けていますが、コアパートナーの比率を増やしながら協業を強化していきたいと考えています。

増井:人材の確保が難しくなってきていると思うのですが、パートナーの連携について気を遣っていることや、力を入れていることがあれば教えてください。

松岡:先ほどお伝えしたコアパートナーには、優先発注や詳細なプロジェクト情報の連携などを行い、プロジェクトを一緒に進めていく体制を組んでいます。

パートナーの会社にも新入社員や若手の方がいますので、その方々も含めてプロジェクトに入っていただき、OJTを一緒に行うということもしています。

また、プロジェクトは運用なども含めて長期的な案件になることもあるので、なるべく長いスパンで参画していただき、人材育成も含めて計画的に業務を行える環境をお互いに作っています。

やはり人材がすべてだと思います。その人材を活かしていけるように、コアパートナーと一緒に取り組んでいるところです。

3.3) 重点施策 ⑥ソリューションビジネスの拡大 ⅰ

松岡:ソリューションビジネスの拡大についてです。こちらは当社がここ数年取り組んでいるところですが、スライド下段に記載している方針の中でも、特に「付加価値の提供」に注力しています。

単なる物売りにならないように、お客さまと一緒にソリューションを作り込んでいくイメージで取り組んでいます。

また「1回提供して終わり」ではなく、サブスク提供のかたちで継続的に使っていただき、その製品の価値をさらに深めていくような取り組みを方針としています。

3.3) 重点施策 ⑥ソリューションビジネスの拡大 ⅱ

松岡:ラインナップとしては、スライドに掲げたようなソリューションビジネスを展開しています。特に、「ITリエンジニアリング」や「SharePoint活用サービス」などは当社オリジナルのソリューションになっており、直近ではこちらの展開を進めていきたいと思っています。

また、「Invoice PA」「Invoice PA+」などのConcurに関わるラインナップも増やしており、インボイス制度や電子帳簿保存法対応については、これらのソリューションを使ってお客さまに展開しています。

3.3) 重点施策 ⑦エンドユーザー取引の拡大

松岡:エンドユーザー取引の拡大についてです。こちらは継続して取り組んでおり、エンドユーザー比率60パーセント以上で維持拡大するというかたちで進めています。

当社では、エンジニアがプロジェクトの現場に常駐し、業務を行うというかたちが割合として多かったのですが、現状では大部分を自社に持ち帰ったり、請負契約を結んだりと、自社内で生産性を高めるかたちに変化しています。引き続き、エンドユーザー比率は高めていきたいと思っています。

以上、簡単ではありますが、当社の概要と事業戦略についてご説明しました。

質疑応答:業種ごとの売上の内訳について

坂本:「金融向けの業務が主力ということですが、他業種相手にも手広く展開しているため、業種ごとの内訳を教えてください」というご質問です。

松岡:業種ごとの売上の内訳は公表していませんが、先ほどご説明したとおり、業務系システム開発の中では金融系が最も多く、それ以外では通信キャリア向けが多くなっています。

その他、当社ではホテル業界向けの基幹システム開発をかなり昔から手がけていますので、保守も含めて継続しています。

坂本:この割合は変わらないまま推移している感じですか?

松岡:全体として、業務系システム開発の割合は大きく変わらないと思います。一方で、今後はやはりソリューションビジネスに注力していき、割合は増えていくと考えています。

坂本:営業次第、ニーズ次第というところで、意外と割合というのはわかりませんね。

松岡:おっしゃるとおりです。ソリューションについては、業種というよりはサービスというかたちで展開しているため、結果的にある業種が増えていくのかな、と考えています。

質疑応答:今後の市況とニーズウェルの強みについて

坂本:「今後の市況および競合他社の状況と御社の強みについて、具体的に比較しながら教えてください」というご質問です。

ソリューション営業の部分では、会社の特色がグループ各社で異なるため、これを比較するのは難しいと思いますが、できる限りの範囲で教えていただけたらと思います。

松岡:当社は、規模としては小さい会社です。取り組むべき課題はまだ多くある反面、大手のSIerに比べて迅速な対応ができることは、当社の特長の1つだと思います。

事業方針としても、課題解決型ビジネスの推進を掲げており、事業部のメンバーには「お客さまの『不』を解決しよう」とよく話しています。お客さまが抱えている課題、すなわち「不安」「不満」などがあると思いますので、それを解決できる手段を提供するということです。

また、なるべくスピーディにお客さまと対話することで、少しずつ実現に向かっていく取り組みのフットワークが軽いことは、当社の特長だと思っています。

もう1つの強みはIT人材です。今後もエンジニアの需要は高まってきますし、IT業界ではすでにエンジニア不足が騒がれています。

先ほど教育体系についてお話ししましたが、当社ではキャリア採用から新卒採用に切り替えており、人材の立ち上げスピードを早めるという点では、ノウハウはかなり溜まってきています。そのため、このIT人材と教育という部分が、今後の当社の強みになっていくと思います。

若手が早期に立ち上がり、事業を推進する力をつけていくことは、事業の拡大にもつながります。そこで若い力を発揮できるシーンが増えていくと思っています。

質疑応答:事業所や子会社が大都市ではなく地方にある理由について

坂本:「本社以外の事業所や子会社が、長崎県や栃木県など地方にありますが、これは特定の取引先に特化した業務のためなのでしょうか? どのような業務なのか、差し支えなければ教えてください」というご質問です。

松岡:長崎県については、企業誘致のお話があって開設したという経緯があり、特定のお客さまがいたというわけではありません。

栃木県に本社を持っている零壱製作については、もともとそこに会社があったということですが、周辺には、建設業向けのお客さまの研究所や工場が多数あり、案件数が多いところです。お客さまの近くに事業所を構えることで、スピーディに対応できる体制は整えられていると思っています。

質疑応答:連結会社の今後の増加について

坂本:「連結会社はこれから増加していくイメージなのでしょうか?」というご質問です。

松岡:先ほどご説明したとおり、事業シナジーが一番大事だと思っています。そのため、まずはグループ会社としてそれぞれが動ける体制が重要と考えています。

それぞれの持っている特徴を、当社の営業部門や、プレスリリースなどで発表しながら、両者が活躍できるステージを作ることで、グループ会社は今後も増やしていくかたちになると考えています。

坂本:新しくグループ会社が増えると、文化もバラバラだと思いますが、現状そこで問題になっていることはありますか?

松岡:今のところ、文化の違いで問題になることはあまりないのですが、違いというのは確かにあります。例えば、現場の管理方法1つにしても違いますし、事業の進め方やスピード感も違います。

したがって、合わせられるところは合わせて、それぞれの特徴を活かしつつ、事業推進が必要だと思います。適切な落としどころを見つけながら進められていますので、現状においてそれほどの課題はないと考えています。

質疑応答:倉庫管理システムのペーパーレス化の効果について

坂本:「倉庫管理システムのペーパーレス化にどの程度の効果があるのか教えてください」というご質問です。

松岡:倉庫管理の中で、紙の利用が一番多かったのはFAXでのやり取りです。ほかにも、各種報告物や台帳などが紙で出されていましたが、ペーパーレス化によって、まずは紙を減らせるということが1つと、もう1つは、クラウド上で情報を共有すれば、いろいろな人が閲覧できるようになる効果があります。

ペーパーレス化を実現できると生産性が大きく上がるため、倉庫管理業務の効率化はかなり進められると考えています。

質疑応答:同業他社と比較した際のサービスの強みについて

坂本:「同業他社と比較した場合に、御社のサービスの強みはどこですか?」というご質問です。

松岡:当社のソリューション全般に言えることですが、「1つのかっちりしたパッケージ」というかたちの製品ももちろんありますが、お客さまの事情に合わせて「サービス」として提供できることが、当社の特徴だと思います。

例えば「ITリエンジニアリング」というサービスにおいても、お客さまが持っている基幹システムの状況によって、RPAやその他の手段を使い分けてシステムを連携させるなど、当社のノウハウを使って柔軟なご提案が可能です。

「必ずこのツールを使ってください」というサービスの提供の仕方ではないため、お客さまには非常に幅広く使っていただけると思います。

また、当社のエンジニアがSEとともに張り付きますので、柔軟な対応が可能になっています。そのようなところが、当社のソリューションの強みだと思っています。

松岡氏からのご挨拶

当社は、現在第2四半期まで業績が好調になってきています。本日ご説明したとおり、今後はソリューションビジネスや、業務系システム開発の規模もさらに大きくして、事業拡大を進めていきます。

M&Aも引き続き検討しており、事業としてはかなり拡大できると考えています。今後も事業推進をしていきますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。