2022年12月期:前年比/対予算比(連結)

相原輝夫氏(以下、相原):2022年12月期の決算説明を行います。本日はよろしくお願いいたします。

まず、決算の全容です。スライドに「医療システム事業※1は堅調に推移し」とあるように、2022年は我々が狙ったとおりのビジネス展開ができたと思います。オフィスシステムプロジェクト※2は、今後につながるすばらしいお客さまを多く獲得できました。また、今後につながる新しい種もたくさんまけたと思っています。

一方で、「GAP」※3の販売は思うようにいかず、つらい部分がありました。当初の予定より1年半から2年くらいの遅れになったと見ています。

全体としては、売上高は前年比8.6パーセント減の45億4,100万円、営業利益は前年比11.7パーセント増の10億2,800万円で着地しました。ご覧のとおり、売上原価がしっかりと下がりましたが、何を狙ってどのようになったかということについては、後ほど個別にご説明します。

※1 当社では診療を支える病院情報システムを、大学病院をはじめとし大規模医療機関からクリニックまで長期に渡りお使いいただいています。

※2 公文書管理・電子決済システム「Documaker Office」に関わるプロジェクトであり、自治体や公的企業、省庁外郭団体をメインターゲットに販売に取り組んでいます。

※3 視線を解析することで網膜等の疾病を検査する視野検査装置。国内とヨーロッパで医療機器届出済みです。

2022年12月期:業績 過去5年比(連結)

過去5年間の売上高および経常利益、年間配当金の推移です。今、振り返ってみると、やはりコロナ禍でなかなか厳しい戦いをしてきたと感じられます。

売上の伸びは期初の予定よりやや厳しい結果になりました。一方で、利益自体は死守するということで、2021年以降から戦い方を変えてがんばってきたことが利益に表れてきたと思っています。

2022年12月期:報告セグメント/売上構成(連結)

2022年12月期のセグメント別の成績です。2022年はシステム開発事業とヘルステック事業の2セグメントで進めてきました。

今までどおり、システム開発事業が大規模病院において高い評価と安定したシェアを維持し、売上、利益ともに牽引してきました。ヘルステック事業※1は体制が十分でなかったことが「GAP」の遅れとなって業績に表れたと思います。

全体の構成で見ても、ヘルステック事業の売上構成比は1.5パーセントですので、まだまだこれからだと思います。

※1  2022年の第2四半期までは、連結子会社であったEMCH(EMC Healthcare株式会社)製品も含まれています。

2022年12月期 製品別実績(連結)

売上の中身としては、従来どおり大規模病院やクリニックの眼科、産婦人科を中心に、依然としてマーケットで強い力を持っている「Claio」シリーズが全体を牽引し、売上構成比は全体の41パーセント以上となりました。

保守メンテナンスは、我々のようなシステムを販売・サポートする会社にとっては、ストックとしてきちんと積み上がってくる非常に重要な部分です。こちらも順調に伸びて、売上構成比は26パーセント以上となりました。

また、システムの中でも注目すべきは文書作成システム「DocuMaker」です。売上こそ小さいですが、「Claio」と「DocuMaker」をあわせて病院で使っていただくことが、非常に重要なポイントになっています。

「DocuMaker」で入力したもの、「DocuMaker」でコントロールするドキュメントが、ほかのさまざまなシステムに連携して良い効果を与えるというところで、売上こそ少ないものの、非常に意味のある製品であり、こちらも順調に導入が進んでいます。

2022年12月期:今期のトピックス

2022年12月期のトピックスを簡単にご説明します。まず、コンサルティング部を新設しました。今、我々の持つ医療や医療システムに関する高い知見を活かし、コンサルティングサービスとして周りにアピールし、ビジネスにしていこうということで、我々の戦い方の1つの武器として使っていくことを決めました。

また、これまで「オフィスシステム」※1と呼んでいた製品については、医療から生まれた堅牢なシステムをバックオフィス用にさまざまにカスタマイズしてきました。どの顧客層に刺さるのかということで随分苦労してきましたが、公共部門の自治体や省庁の外郭団体、公社などに対してしっかりとフィットする製品※2に育てることができました。

今後は大きな柱の1つに育てていくということで、事業戦略室から公共ソリューション部として独立し、ビジネスを大きくしていこうと考えています。

また、それに伴い報告セグメントの変更があります。2022年12月期までは、先ほどお伝えしたとおり、システム開発事業とヘルステック事業の2セグメントでしたが、医療ビジネス、公共ビジネス、ヘルステックビジネスの3セグメントに改め、2023年1月から体制を新たにスタートしています。

後ほど詳しくご説明しますが、2021年7月に発表した中期経営計画「Vision for 2025」の見直しを決定しました。これについては、さまざまな外的要因や我々の見通しの甘さから数字を達成することができなくなりましたので、あらためての見通しをみなさまにご報告します。

また、今後の医療システムや患者、病院といったさまざまなところでの取り組みを1つのクラウドサービスとしてアピールしていく、病院と患者を結びつける資源だと我々がご説明してきた「Medical Avenue」という製品のリリースを行いました。今後、我々の医療システムビジネスを大きく変える施策になると期待しています。

さらに連結子会社であるフィッティングクラウド株式会社から新製品をリリースしました。画像鮮明化機能については、千寿製薬株式会社とともに事業を行うというアナウンスになります。加えて、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同も行いました。

※1 「DocuMakerOffice」のことを指します。

※2 「公文書等の管理に関する法律」に準拠した、公文書の扱いに特化した管理・電子決済機能を有しています。

2023年12月期:報告セグメント別 業績予測(連結)

進行期である2023年12月期の業績見通しについてご説明します。先ほどお伝えしたとおり、報告セグメントを2セグメントから3セグメントへ変更しました。

2023年12月期にどのくらいの業績を見込んでいるかと言いますと、医療ビジネスは売上高47億円、営業利益は13億円弱です。我々が2023年をどのように戦っていくのか、どのようなフォーメーションでビジネスを行っていくのかについてご説明すると、コンサルティング部はある意味で我々にしかできない事を上流でこなしながら、医療ソリューション部ではパッケージ販売をしっかりとこなすという戦い方をしていきます。知恵と経験を提供するサービスと、非常に優れた製品群で高い利益率を保てるものを組み合わせた、新たなビジネスモデルを作っていこうと考えています。

公共ビジネスは、先ほどお伝えしたとおり「DocuMaker Office」の評判が非常に良く、自治体や公的企業に向けて、うまくビジネスが展開できていると思っています。ストック型の月額課金ビジネスモデル、クラウド型のモデルになるため、売上の伸びこそ緩やかですが、その中身としては非常に良く、どんどん積み上がってくるビジネスが展開できると思っています。

売上高は1億6,000万円、営業利益は1,300万円を目指しています。まだまだ見かけは小さいですが、2023年のスタートとして非常に良いものになると期待しています。

ヘルステックビジネスは、「GAP」を中心に展開していきます。国内、海外の販売がなかなか順調に滑り出さないところがありましたが、2023年は巻き返しを図るべく、ヨーロッパやインド向けの販売パートナー、また国内の医療機器リーダーとともに、しっかりと足場を固めていきたいと思っています。2023年12月期は、売上高2億円、営業利益200万円を目指しています。

2023年12月期:業績予測(連結)

業績予測です。先ほどお伝えしたとおりですが、出来上がりの数字としてどのようになるかというところをお話しします。売上高は50億6,500万円で前年比11.5パーセントの増加、営業利益は13億1,300万円で、前年比27.7パーセントの増加を着地点として見ています。また、これに伴って中間配当は前年比1円50銭プラスの、11円を予定しています。

2023年12月期:四半期別/売上高・経常利益・当期純利益

2023年を含めた数年の四半期ごとの動きです。ここでみなさまにお知らせしたいことは、2022年12月期から収益認識基準に変更したことです。2022年は売上基準から収益認識基準への移行期であったため、緩やかな動きとなりましたが、2023年は、期初から収益認識基準で動いていきます。

収益認識基準になると、一般的に我々のようなビジネスは上期、下期でほとんど同じくらいになるという見通しをお持ちだったかもしれませんが、まだ年末年始に集中するというところが少し残りました。2023年12月期の見通しとしても、上期と下期は42パーセント、58パーセントと、下期のほうに少し片寄るところが見て取れると思います。

利益もきちんと伸びてきています。この勢いで2024年、2025年、2026年と伸ばしていく、非常に重要な年になると思っています。

中期経営計画:「Vision for 2025」修正の概要と背景

中期経営計画の変更についてご説明します。まず、なぜ修正することになったかということと、概要と背景です。

ご覧のとおり修正前は、2021年の売上高が46億円、経常利益が10億円から、2025年は売上高108億円、経常利益49億円を描いていました。実際には2021年で売上高49億円、経常利益9億4,000万円から、2025年で売上高63億円、経常利益21億円と、半減に近いところに落ちてしまうことになりました。

スライド下部に理由を記載していますが、これについては我々の見通しの甘さがあったかと思います。みなさまには非常にご迷惑をおかけしました。あらためておわび申し上げます。

背景ですが、1つは、新型コロナウイルス感染症が及ぼす影響が予想以上に我々の売上に響いたところがあります。新型コロナウイルス発生当時は、営業活動等がかなり厳しいながらも、大型案件を予定どおり進められていたため、かなり見通しを明るく見ていました。

しかし、長引く新型コロナウイルス感染症のせいで営業活動がなかなかできないということで、戦い方を途中から変えざるを得なかったところがあります。これをうまく乗り切ったように見えたものの、やはり当初予定していた大きな伸びを作ることができなかったことが、売上の減少に影響している点の1つです。

もう1つの要因は「GAP」です。ヨーロッパでの薬事の資格取得にかなり時間がかかり、予想以上に遅れを取ってしまいました。それに加えて、国内での営業体制の構築にも大きく時間を取られました。

コロナ禍も要因の1つですが、新しい視野検査装置である「GAP」を販売していくにあたり、医療機関のみなさまが今まで使ってきた製品とは少し異なる考え方や原理の医療機器であると、セールスの担当者が十分に説明し提示していくコンサルティングセールスが必要でした。しかし、その部隊を作ることも遅れてしまい、うまく進まなかったところが大きな要因だと思っています。

これに関しては、2022年度末に十分な体制を構築しています。また、我々だけではなく、販売店の中にもGAP販売チームを作ろうと考え、現在良いかたちで進めています。販売チームの力をもって、後期以降は国内での売上も大きく伸ばしていきたいと思っています。

なお、我々の製品である「GAP」は人間の眼球の動きを分析する、アイトラッキングが動作原理にあります。これは眼球映像をとらえて分析するのですが、特に海外では人種による骨格の違いが影響してきます。

「GAP」のヘッドマウントディスプレイの中にはカメラが入っていて、そのカメラが眼球の映像をとらえますが、現地での実証をスタートするとヨーロッパ系の白人の中にも我々の開発モデルとさまざまな違いがあり、解析ロジックの追加に、大幅な時間を取ったという背景もあります。

中期経営計画:数値目標(連結)

スライドの数値は、現在の状況を踏まえて計算し直した、2025年までの予測です。大幅な遅れがあるのはつらいことですが、売上の伸びに加え、利益の伸びも非常に大きく作れるよう、精密にデザインしています。※1

また、我々のビジネスは、高い利益率をきちんと担保することが重要なKPIの1つだと考えていますので、スライドに記載しているようなビジネスを展開する中で、年間配当を倍増に近い18円にまで持っていくことを、大きな目標として掲げました。

そのためには非常に緻密な計算や、計画的なビジネス展開が重要だと思っています。これらをきちんと成し遂げるために、新体制で臨んでいきたいと思っています。

※1 2021年7月に発表した事業計画から、GAPの進捗の遅れや、サステナビリティへの対応など、非財務情報の再考もあり今回の修正に至ったものの、市場環境には変化がないことから、事業戦略や方針に大きな変更はありません。

中期経営計画:事業戦略 2023-2025

中期経営計画のポートフォリオです。スライドに我々の戦略などをまとめています。

繰り返しのご説明になりますが、我々は医療ビジネス、公共ビジネスのセグメントそれぞれに強みがあります。この強みを最大限活かせば、15ページのグラフのような成長を十分に成し遂げられると思っています。

また、ヘルステックビジネスの中心である「GAP」については、薬事を取得し、販売を開始しているEUに加えて、2023年12月期はASEANやインドを新たな海外の販売先として位置づけています。すでにそこに対する売り込みや、薬事の取得手続きを開始しています。このあたりの伸びについても、随時みなさまにご案内できると思います。

中期経営計画:経営効率化・成長戦略 2023-2025

我々の社是は「価値ある技術創造で社会を豊かにする」というもので、これを実現していくために日々取り組んでいます。また、そのような取り組みを行う中で、我々の成長をどのように作っていくかについても考えました。

1つは、経営資源の集中です。先ほどもお話ししたとおり、今は既存ビジネスの的を完全に絞り切りました。その的に向けて、我々の今持つ力を注入していきます。

新しい力を外部から集めてくるということも重要です。それは人でもあり、もちろんM&A等による企業買収もあると思います。パートナーセールスの強化についても、専門部署を設けて取り組んでいます。

次に「高度な研究開発の促進」と記載していますが、これは我々の会社設立以来のアイデンティティです。これを再定義し、次世代、次々世代の我々のビジネスを作り上げていきます。

今、医療分野では、医療DXと呼ばれる大きな動きが見られます。例えば、クラウドを使ったシステムやデータ、そして人と病院の連携などが該当します。さらに具体的にいうと、マイナンバーカード※1や電子処方箋などです。そのような流れが我々の周りを取り巻いていますが、この部分も我々の力で新たなビジネス、価値として再定義していきたいと思っています。ESGにも取り組み、我々の果たすべき役割をきちんとまっとうしていきます。

※1 マイナンバーカードと健康保険証を一体化させる動きを指します。カード1枚で患者等がさまざまな医療・福祉サービスを受けることができ、医師等も医療サービス提供に必要な認証ができます。

相原氏からのご挨拶

ここまででお話ししたように、2025年までを駆け抜けることで、それ以降の3年、5年でさらに大きく成長していくための起爆剤にしていきたいと思っています。詳しくは、あらためてみなさまにお見せできると思います。

以上で決算説明を終わります。ご清聴いただき、ありがとうございました。