連結損益計算書

須崎裕明氏:ご視聴いただき、誠にありがとうございます。株式会社あらた代表取締役、社長執行役員の須崎裕明でございます。2023年3月期第2四半期の決算についてご説明いたします。初めに、2023年3月期第2四半期業績についてです。

連結損益計算書については、ご覧のような結果となっています。

2023年3月期 第2四半期 ハイライト

2023年3月期第2四半期は、人流の回復などのコロナ禍における生活の変化や急激な円安による物価の高騰、ロシア・ウクライナ危機による社会情勢への不安から、消費者の生活防衛意識が高まり、不透明かつ厳しい経営環境となりました。

そのような中、長期を見据えた小売業やメーカーとの取引拡大により、売上高は第2四半期として過去最高を達成しました。一方、利益面では売上総利益率低下の影響で減益となりましたが、販管費率は以前から進めている効率化施策により抑制しています。

2023年3月期 第2四半期 要因

2023年3月期第2四半期の売上高は過去最高を更新しました。第1四半期と第2四半期の売上高前年比を会計期間で比較すると、第1四半期の前年比102.9パーセントに対して、第2四半期の3ヶ月は前年比104.4パーセントとなり、成長が加速しています。

これらの成長は、新型コロナウイルス収束後の環境変化を見据え、持続的な成長を遂げるための各種施策の積み上げによるものです。具体的には、取引先との連携強化によるインストアシェアの拡大、新型コロナウイルス関連商品の需要増減への対応、今後の需要変化を予測した品揃えや提案の強化、以前より注力しているヘルス&ビューティーとペットカテゴリーの奏功が要因として挙げられます。この傾向は下期も続き、売上高の伸長は今後も継続する見込みです。

2023年3月期 第2四半期 要因

利益面については減益となりました。売上総利益率減少の要因として、将来を見据えた戦略的な取引拡大施策による一時的な利益への影響やコロナ禍における生活変化による関連商材の売上減少、天候不順や在宅時間減少による殺虫剤の不振などが挙げられます。

また販管費についても、燃料費高騰により物流費や光熱費が大幅に増加しました。加えて、長期経営ビジョン達成に向け、今期より従業員への給与水準を向上するなど人への先行投資を実施しているため、人件費も増加しています。

しかし、以前から進めている生産性向上施策などによりそれらを吸収できたことで、販管費率は前年と同水準に抑えることができています。

カテゴリー別売上高 (前年比較)

カテゴリー別売上高の前年比較はご覧のとおりです。ヘルス&ビューティーは、ヘアケアや化粧品の影響で好調に推移し、前年比107.3パーセント、売上高構成比31.1パーセントとなっています。

ハウスホールドは衛生関連の洗剤などが前年特需の反動で減少、ホームケアは天候要因などにより季節品においてマイナスの影響がありました。

ペットについては、ペットの体調やライフステージに合わせた高機能のフードやペット用おやつなどが消費者の支持を集め、拡大が続いています。

業態別売上高 (前年比較)

業態別の前年比較です。インストアシェア拡大施策によりドラッグストアが好調に推移し、前年比105.8パーセント、売上高構成比51.4パーセントとなりました。

連結貸借対照表

連結貸借対照表はご覧のとおりです。総資産は2,843億4,200万円となり、前期末に比べ約130億円増加しました。純資産は999億7,500万円となり、前期末に比べ約38億円増加しました。

財務健全性の向上

こちらのスライドは、前期末までの自己資本比率とROEの推移グラフです。財務健全性が評価され、2022年4月11日に日本格付研究所(JCR)による信用格付がBBB+からA-へ格上げとなり、資金調達力が向上しています。

株主還元

株主還元についてご説明します。当社は安定配当を考慮しながらも、2022年3月期より配当性向を意識した方針に変更し、30パーセントを目標として段階的に向上させることとしています。

その方針を受けて、2023年3月期第2四半期は、予想どおり中間68円の配当を実施しました。期末配当は68円で通期136円を予想し、配当性向は24.4パーセントとなっており、30パーセントに向けて向上させています。

2023年3月期 業績予想

2023年3月期の業績予想と下期施策についてご説明します。2023年3月期の業績予想は前回発表から変わらず、売上高8,700億円、営業利益133億円、経常利益140億円、親会社株主に帰属する当期純利益95億円とし、第2四半期時点での進捗率はスライドに記載のとおりです。

2023年3月期 下期施策

業績予想の達成に向け、下期は売上総利益の改善と販管費の抑制を両輪として推進していきます。

新規小売業との取引開始や既存取引の拡大、コスメを中心とした新規ブランド開拓による品揃えの充実化、ヘルス&ビューティーおよびペットカテゴリーの構成比拡大、単品別の利益管理手法などにより、売上総利益の改善を図ります。

加えて、販管費率は前期に引き続き生産性向上策により抑制し、期末目標である営業利益133億円、経常利益140億円の達成に向けて進めていきます。

注力カテゴリー取引拡大

注力カテゴリーにおける取引拡大施策として、3年ぶりのリアル開催となったJAPANドラッグストアショーではコスメに特化したブースを出店し、多くの小売業さまより評価をいただいています。ヘルス&ビューティーカテゴリーの強化戦略の1つとして、このような展示をとおして小売業に当社の魅力的な商品ラインナップを知っていただき、取引拡大につなげています。

ペットカテゴリーにおいても、あらたグループであるジャペル主催のペット総合展示会を毎年実施しており、取引先との関係強化に欠かせない強みとなっています。

提案力の強化

営業社員の提案力の強化として、商品に関する正しい最新知識や消費者ニーズなどのトレンド情報を習得すべく、定期的な研修や勉強会も実施しています。直近では、ヘルス&ビューティーカテゴリーにおいて注目度の高まる「Femtech(フェムテック)」の勉強会を実施し、「Zoom」で社員500名以上が参加しました。

ペットカテゴリーでは年2回のジャペル営業研修が行われており、ペット市場の最新動向を営業社員が把握することで、小売業への提案において高い専門性を発揮しています。

ヘルス&ビューティーカテゴリー強化

「長期経営ビジョン2030」策定に伴い、成長加速や社会への新しい価値提供に向けて、製造業・製造販売業認可を持つ新会社D-Neeコスメティックを設立しました。

また2022年7月には、韓国コスメブランド「ジョンセンムル」の日本販売代理店契約を締結し、ECサイトでの販売を開始しました。

さらに8月より、フェムテック商品として女性用デリケートゾーンケアアイテム「モアディーテ」シリーズを上市しています。

将来に向けた庫内生産性向上施策

将来に向けた生産性向上施策の1つとして、最新鋭の物流機器の活用の検討も進めています。興和オプトロニクスグループとの協働で、自律走行ロボット(AMR)の試験導入を開始しました。AMRは、これまで人が行っていた台車の運搬を自動で行うもので、省人化につながります。

また、走行経路上の障害物を検知し回避が可能なため、人と同じ場所で働くことができる点において画期的な物流機器となっています。今後、運搬効率や精度を高め、他物流センターへの横展開を計画していきます。

環境 : 気候変動への対応 TCFD情報開示

今期のESGの取り組みについてご説明します。環境面においては、TCFD情報開示を実施しました。TCFD提言への賛同およびTCFDコンソーシアムへの参画を実施し、4つの開示推奨項目について有価証券報告書などに開示しました。

今後は、気候変動に関する「リスクと機会」の財務影響の算定および対応策の検討や、Scope3の算定に向けて活動を行っていきます。

環境 : 循環型社会の実現 物流における取組

環境面への貢献として、物流センターにおける折り畳みコンテナ(オリコン)のクローズドリサイクルを開始します。こちらは物流資材メーカー三甲との協働によるプラスチック循環利用に向けた新たな取り組みで、破損などによって廃棄するオリコンを三甲が再資源化し、新しいオリコンの原料として使用することで、再製品化を行います。

この他、物流センターではパレットやダンボールのリサイクルも行っています。「環境配慮型卸」として、これからも循環型社会の実現に向けた取り組みを推進していきます。

社会 : 人財への取り組み

社会面では人財への取り組みとして、働き方の見直しを進めています。女性社員へのヒアリングを実施し、その中で課題として挙げられた「性別や年齢を問わない営業社員の働き方」を経営会議での討議のテーマとしました。討議結果をもとに業務の棚卸しを含めたシステム面での見直しを進めており、ムリ・ムダを削減することで働き方改革を実現していきます。

また、多様な働き方の推進に向け、男性社員の育休取得についても奨励しています。10月に、産後パパ育休制度が実施となりましたが、その施行前に首都圏エリアにおいて男性社員が約2ヶ月半の育休を取得しました。

そして、制度施行に合わせ社内報で産後パパ育休制度の説明を掲載し、周知や取得奨励を行っています。子育て世代の社員が制度を柔軟に活用できる環境を整えることで、意欲的に活躍し続けられる企業風土を作っていきます。

ガバナンス

ガバナンスにおいては、任意の指名・報酬委員会において、次期経営層の育成活動を積極的に行っています。指名・報酬委員会の役割として次期経営層の育成が重要であると認識していますので、経営幹部に対して年1回の面談を実施しています。

経営者視点に立った課題意識の醸成や委員である社外取締役との討議によって、業界外の見識を得る機会となっています。面談後はフィードバックを実施し、後継者候補の発掘および育成に努めています。

統合報告書2022 発行

情報開示強化の一環として、9月に「統合報告書2022」を発行しました。今年で5回目となります。

ステークホルダーエンゲージメント

統合報告書内では「ステークホルダーエンゲージメント」のページを新設し、当社の情報開示体制を強化しています。これからも、株主・投資家のみなさま、従業員、取引先、そして消費者など、すべてのステークホルダーのみなさまとの対話を重視し、企業価値向上につなげていきます。

以上をもちまして、私からのご説明とします。ご視聴いただき、誠にありがとうございました。