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明田篤氏(以下、明田):トビラシステムズ株式会社代表取締役社長の明田篤でございます。本日は決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。私から2022年10月期第2四半期の決算状況について説明させていただきます。

本日は事業概要、2022年10月期第2四半期ハイライト、2022年10月期第2四半期業績、中期経営計画の進捗状況の順でご説明します。

企業理念

まずは事業概要です。当社は「私たちの生活 私たちの世界を よりよい未来につなぐトビラになる」という企業理念を掲げています。この企業理念に基づき、「誰かがしなければならないが、誰もが実現できていない社会課題の解決を、革新的なテクノロジーで実現すること」を事業方針の軸としています。

トビラシステムズの沿革

当社の事業は、私の祖父が迷惑電話の詐欺被害に遭い、「日々悩んでいる祖父を助けたい」という思いから始まりました。そのような思いで開発した「トビラフォン」を、2011年6月に販売開始しました。

その後、2015年には警察庁と特殊詐欺被害電話防止に関する覚書を締結し、日本で唯一、警察から全国の特殊詐欺で実際に使用された電話番号等の情報提供を受ける体制を構築しました。

そして、大手通信キャリアのオプションパックに迷惑電話フィルタサービスを導入いただき、今の主力事業へと成長してきました。現在は第2の主力事業を育てるべく新たなサービスを複数リリースし、さらなる社会課題の解決に向け挑戦しています。

私たちが社会の課題解決に挑戦する理由

当社では人々が「迷惑・不快」と感じ、「安心・安全」を脅かされる行為を「グレーゾーン犯罪」と呼んでいます。このグレーゾーン犯罪を含めた特殊詐欺犯罪の被害額は、日本全体で約4兆円と推定されます。

スライドのグラフは、振り込め詐欺や架空請求詐欺等の特殊詐欺に関する被害状況を示したものですが、2021年度の認知件数は約1万4,500件で、約282億円もの被害が発生しています。特殊詐欺の手口は多様化しており、被害総額としては年々減少傾向にあるものの、認知件数は増加しています。

警察庁のデータによると、犯行に使われる手段は電話が約90パーセントの割合を占めています。このことから、人へ直接働きかけることのできる手段を用いて特殊詐欺犯罪が行われていること、さらには1件あたりの被害額を小さくすることで、被害者が泣き寝入りしやすい状況が生まれていると推測できます。

ウイルス対策やファイアウォールなど、コンピューターを守るセキュリティは進歩を続けているものの、「人の行動の弱み」を利用した犯罪の被害は後を絶ちません。私たちは「人を守る」という視点で事業を推進しており、詐欺被害やグレーゾーン犯罪など迷惑行為に悩む人をなくし、誰もが安心して生活できる社会を実現することに挑戦しています。

トビラシステムズの強み

現在、当社は特殊詐欺に対してデータベーステクノロジーを活用し、グレーゾーン犯罪を防ぐサービスを提供しています。人をだます手口は時代に合わせてさまざまですが、電話が使われるという点については共通しています。

昨今はSMSで届くフィッシング詐欺「スミッシング」も増加しています。当社の調査では、2021年のスミッシング件数は前年比約3倍に増加し、年間数百万件単位で確認されています。今年に入ってからも、依然として高水準での発生が続いています。

当社はここに注目し、危険な電話番号やショートメッセージに用いられるURL等をブラックリスト化して迷惑情報データベースを構築し、ユーザーが危険な電話等を受けない仕組みを提供しています。類似のサービスは存在しますが、当社と同程度のデータ量・品質を保有する企業はなく、高い参入障壁を築いています。

参入障壁が高い理由は3つあります。1つ目は警察庁から電話番号の提供を受けていることです。当社は国内で唯一、警察との連携を行っており、詐欺に使われた電話番号を提供いただいています。これによって他社にはまねできない、精度の高い情報を入手することが可能となっています。

2つ目はユーザー数が多いことです。当社サービスのユーザー数は1,400万人を超えており、同じ規模の利用者を獲得することは難しいと考えています。多くのユーザーから得られる統計情報を活用しているため、ユーザー数が多ければ多いほどデータの精度が高まり、先行者である当社が有利な状況となります。

3つ目は大手通信キャリアでの採用です。当社サービスは大手通信キャリアに採用されており、それがユーザー数の拡大へも繋がり参入障壁を強固なものとしています。

この3つで構成されたデータベースが当社の基盤であり、データベースの価値を高め、現場の市場だけでなくさまざまな市場へ展開していきたいと考えています。

事業セグメント

事業セグメントについてご説明します。先ほどお伝えした、迷惑情報データベースを用いた迷惑情報フィルタ事業が当社の主力事業で、モバイル向け・固定電話向け・ビジネスフォン向けにサービスを提供しています。売上構成の約80パーセントをモバイル向けフィルタサービスが占めており、利益率の高い安定収益分野です。

次に、固定電話向けフィルタサービスが約10パーセント、そしてビジネスフォン向けフィルタサービスが約5パーセントとなります。将来の収益の柱に育てていきたいという思いから、モバイル向けサービスの安定した収益を基盤に、ビジネスフォン向けフィルタサービスに投資を行っています。「その他事業」は積極的に展開しない方針ですので、ご説明は省略します。

サービス内容

当社が展開している3つのサービスの具体的な内容について説明します。1つ目はモバイル向けフィルタサービスです。大手通信キャリアと提携し、各キャリアが提供するオプションパックに含まれるサービスの1つとして、スマホアプリというかたちで迷惑電話や迷惑SMSのフィルタリングサービスを提供しています。

また、昨年M&Aを行い、広告ブロックアプリ「280blocker」の提供を開始し、迷惑電話やSMS対策に加え、迷惑Web広告対策までカバーできるようになりました。

2つ目は固定電話向けフィルタサービスです。もともとは固定電話機に取り付ける外付け型の端末を販売していましたが、現在の販売モデルの主力はホームゲートウェイです。さらに今年2月からは「ケーブルプラス電話」のオプションとして、ネットワーク上で迷惑電話の着信を自動遮断できるサービスを開始しました。

3つ目はビジネスフォン向けフィルタサービスです。現在「トビラフォン Biz」「トビラフォンCloud」「Talk Book」の3つのサービスを法人向けに提供しています。

「トビラフォン Biz」は、通話情報の録音や不要な営業電話等の迷惑電話の自動拒否によって、業務の効率化を図ることができます。「トビラフォン Cloud」は通話アプリで、スマートフォンに入れるだけで、オフィスの内線電話と同じように内線・外線の受発信が個人のスマートフォン上でできる商品です。

今年1月12日より提供開始した「Talk Book」はAI搭載型の営業ツールです。IP電話で架電できるほか、通話録音、通話内容の文字起こし、感情分析等の営業活動における通話内容の解析機能を搭載しており、主にインサイドセールスの営業担当者にご利用いただいています。

2022年10月期 第2四半期ハイライト

2022年10月期第2四半期ハイライトについて、ご説明します。2022年10月期第2四半期は、売上高4億4,700万円、前年同期比プラス24.8パーセント成長で、過去最高売上高となりました。

迷惑情報フィルタ事業のサービス別売上高では、モバイル向けが3億3,100万円で前年同期比17.7パーセント成長、固定電話向けが5,100万円で前年同期比36.4パーセント成長、ビジネスフォン向けが4,800万円で前年同期比185.9パーセント成長と、主要サービスすべてにおいて2桁以上の成長となりました。

それぞれの主な要因についてご説明します。モバイル向けサービスでは、KDDIの迷惑メッセージブロック機能の利用対象ユーザーが拡大しました。ユーザーは追加料金なく無償でご利用が可能となり、潜在ユーザーが約4倍に拡大しています。

固定電話向けサービスでは、外付け型端末の「トビラフォン」において、かねてより営業を重ねていた自治体からの大口発注がありました。

ビジネスフォン向けサービスでは、NTT東日本、西日本のセレクトアイテムに認定されたことをきっかけに、「トビラフォン Biz」の販売が爆発的に伸びました。これらを活かして引き続き成長を目指します。

迷惑メッセージブロック機能の利用対象ユーザーが拡大

成長要因となった事項について詳細をご説明します。1つ目は、モバイル向けサービスの成長要因となった、KDDI迷惑メッセージブロック機能の利用対象ユーザーが拡大したことです。

迷惑メッセージブロック機能は、当社の提供している迷惑電話・SMSブロック機能をアプリとしてKDDIが提供しており、これまでは「auスマートパス会員」「auスマートパスプレミアム会員」のみがご利用可能でした。

2022年3月24日からは、KDDIの施策によりスマートパス会員ではない「au」「UQ mobile」「povo」など、au回線のMVNOユーザーも、無料で迷惑メッセージブロック機能をご利用いただけることとなりました。

これにより当社の迷惑電話・SMSブロック機能をご利用いただける対象範囲が大幅に拡大し、KDDIにおける当社サービスの潜在ユーザーは、従来の約1,541万人から約6,211万人へと約4倍の規模となりました。

最近ではニュースでも話題になっているように、フィッシング詐欺被害が後を絶たない状況で、どんなに気をつけていても詐欺と見分けることが難しい状況です。au回線をお使いのユーザーは無料でご利用できますので、防犯対策の1つとしてぜひアプリをお使いいただければと思います。

トビラフォン Bizの販売は引き続き販売増加の見込み

2つ目はビジネスフォン向けサービスの1つである「トビラフォン Biz」の販売増加についてです。2021年8月からNTT東日本、2021年10月からNTT西日本の「光セレクトショップ」に登録いただき、NTT東日本、NTT西日本の代理店で「トビラフォン Biz」の取り扱いが開始され、驚異的なスピードで販売が増加しました。

モバイル向けフィルタサービスの営業活動は通信キャリア側で行うため、当社が関与できないものですが、ビジネスフォン向けは当社の営業担当が代理店向けに営業活動を行い、日々、ニーズやご要望を聞いて、システムの追加等改善を行っています。2017年6月から販売を開始し、5年と時間軸は長くかかってしまいましたが、世の中に必要なサービスと信じて開発営業を続けたことで、やっと花が開いてきました。

「トビラフォン Biz」は特に病院で多く導入していただいており、緊急電話を装い医師に直接電話を繋がせる営業電話が横行していることもあり、昨今は需要が高くなっています。NTT東日本、西日本での直販、NTT東日本を通して複合機の代理店や医療ディーラーでの取り扱いも開始し、今後も販売は順調に増加すると予想されます。

「トビラフォン Biz」はストックビジネスで、主流は7年のバンドルパックのため、解約率も極めて少ないビジネスモデルとなっています。

トビラフォン Cloudが「ITreview Grid Award 2022 Spring」受賞

第2四半期のトピックとして、「トビラフォン Cloud」が「ITreview Grid Award 2022 Spring」の3部門で、最高位の「Leader」を受賞しました。「ITreview Grid Award」は製品利用者の評価をもとに顧客満足度の高い製品を選定するもので、「ITreview」に集まった約6.5万件のレビューをもとに、顧客満足度と認知度の双方が優れた製品を「Leader」として表彰するものです。

「トビラフォン Cloud」は「ITreview」で平均顧客満足度4.2を獲得しており、PBX部門、IVR部門、IP電話部門の3部門で獲得しました。今後もユーザーのみなさまに喜んで使っていただけるサービスを目指し、開発を進めていきます。

2022年10月期 第2四半期 業績サマリー

ここからは、2022年10月期第2四半期の業績についてご説明します。売上高は4億4,700万円と四半期の業績において過去最高を達成しました。前四半期比では14.1パーセントの増加、前年同期比では24.8パーセントの増加で、上場以来、着実に成長を続けています。

営業利益は1億4,500万円、前四半期比では8.3パーセントの増加、前年同期比では10.4パーセントの減益となりましたが、通期計画でもお伝えしているとおり、のれん償却による一時的な減益を見込んでおり、計画どおり推移しています。

今回からはEBITDAを開示しています。EBITDAは、営業利益に減価償却費とのれん償却額を加算して計算していますが、前四半期比・前年同期比ともに増加しており、着実に成長しています。

なお、昨今のウクライナ情勢が与える当社業績への影響については軽微です。為替変動リスクについても、当社は国内市場でのサービス展開を行っていることや、外貨決済が一部のみであることから、影響は軽微です。

上期計画との対比

業績の上期計画との対比です。発表している上期計画との対比では、売上高プラス6.7パーセント、営業利益プラス22.5パーセント、経常利益プラス23.3パーセント、純利益プラス7.3パーセントと、すべて上期計画を上回る実績となっています。

通期業績予想に対する進捗率

2022年10月期の通期業績予想に対する進捗状況です。第2四半期終了時点において、売上高・営業利益・経常利益で50パーセントを上回っています。純利益については47.3パーセントと50パーセントを下回っていますが、前のスライドでお伝えしたとおり、上期計画を達成していますので、すべての項目において順調に進捗しています。

下期については事業成長のための投資として、人材採用及び研究開発を行う計画で、通期計画に変更はありません。

売上高四半期推移(ストック収益、フロー収益)

売上高の四半期推移についてです。スライドのグラフはストック収益と一過性のフロー収益の内訳をそれぞれ記載しています。当社の基盤であるストック収益は堅調に推移しており、前年同期比7.1パーセントの増加となっています。

フロー収益には広告ブロックアプリ「280blocker」の売上を含めています。これは「280blocker」が買い切り型のアプリであるためです。また「トビラフォン」「トビラフォン Biz」などの端末代もフロー収益に含まれます。

第2四半期は、「トビラフォン」の大型受注があり、「トビラフォン Biz」も発注が増加し、フロー収益は過去最高となっています。

売上内訳

売上内訳です。迷惑情報フィルタ事業の売上高は4億3,000万円、前年同期比で28.3パーセントの成長となりました。モバイル向けの売上高は3億3,100万円、前年同期比17.7パーセントの増加、固定電話向けは5,100万円、前年同期比36.4パーセントの増加です。ビジネスフォン向けの売上高は4,800万円、前年同期比で185.9パーセントの増加となっています。

モバイル向けフィルタの主な契約モデル

主な通信キャリアの契約タイプについてご説明します。当社は、大手通信キャリア3社とそれぞれ異なる料金契約を締結しています。1つ目は固定契約(定額契約)。毎月定額でお支払いをいただいており、利用者数の増減の影響を受けない契約です。

2つ目は「契約者数×単価」の契約です。通信キャリアでオプションパックを契約されているユーザー数×単価で料金をいただいています。大手通信キャリアから格安スマートフォンへ移行する流れにより、契約者数の減少が続いていますが、利用者数で見ると順調に増加しています。

3つ目は「月間利用者数×単価」の契約です。当社のアプリケーションをご利用のユーザー数×単価で料金をいただいており、月間利用者数が増えると当社への売上高も増加する契約です。

モバイル向けフィルタの主な契約モデルの売上構成

モバイル向けフィルタサービスの主な契約モデルの売上構成です。スライドに記載しているグラフは、3つの契約モデルの売上構成比の四半期推移です。グラフの右側には、売上高と月間利用者数の前四半期比を記載しています。

月間利用者数は、すべての契約モデルで増加しています。利用者数が多ければ多いほど当社が得られる迷惑情報データも多くなり、より精度が高く、迷惑な電話やSMSをブロックすることが可能となりますので、利用者数の増加は1つの重要な指標です。

また、「LINEMO」「ワイモバイル」「UQ mobile」「povo」などでも当社のサービスが利用可能となり、格安スマートフォンでの提供範囲も広がりつつあります。

売上高は、「契約者数×単価」の契約で減少していますが、先ほどお伝えしたように、格安スマートフォンへの移行が続いている影響だと考えています。今後も格安スマートフォンへの移行の流れが継続すると想定し、通期計画でも「契約者数×単価」の契約においては減少傾向を見込んでいます。

「月間利用者数×単価」の契約では、月間利用者数の増加に伴い売上高も増加しています。

売上原価推移

売上原価の推移です。第2四半期は1億4,700万円で、前年同期比で58.8パーセント増加しました。その他の費用が増加していますが、外付け型端末の「トビラフォン」、「トビラフォンBiz」の端末販売が増加したことが理由です。

労務費と減価償却費は、概ね計画どおりにコントロールしています。これまでの四半期に比べ、他勘定振替率は低下していますが、金額自体に大きな変動はないものの、分母である売上原価が増加したため、振替率としては低下しています。

販管費推移

販管費の推移です。第2四半期は1億5,400万円で、前年同期比で50.1パーセントの増加となりました。人件費と広告宣伝費は、概ね計画どおりにコントロールしています。下期は成長のための人材採用や研究開発を行う予定です。

その他費用は、「280blocker」の買収に伴うのれん償却等が入っていますが、しっかりとコントロールできています。

営業利益推移

営業利益の推移です。第2四半期の営業利益は1億4,500万円、営業利益率は32.6パーセント、前年同期比で10.4パーセントの減少となります。先ほどもお伝えしたように、今年度は「280blocker」の吸収合併によるのれん償却や、「トビラフォンBiz」の売上原価の増加により、一時的に減益の計画です。引き続き、成長のために必要な投資を継続していきます。

2022年10月期 通期業績見通し

2022年10月期通期の業績見通しとして、第3四半期以降の下期は事業成長のため人材採用や研究開発に対して、積極的に投資を行う計画です。第2四半期終了時点で営業利益の進捗が計画を上回っていますが、現時点で今後の見通しに変更はありません。

研究開発では、成長分野として注力しているビジネスフォン向けのサービスへの投資を予定しています。当社はこれまでも、今までになかった新しいサービスを生み出してきた実績があります。具体的なサービス内容はまだお伝えできませんが、持続的な成長のために積極的に事業推進を行っていきます。

人材採用も成長を加速するために必要不可欠だと考えており、エンジニアや営業部門での採用を計画しています。

BS推移

B/Sの状況です。自己資本比率は63.7パーセントで、財務安全性はこれまでと同様に高く保持しています。

2022年10月期 財務状況 四半期業績推移

財務状況の四半期業績推移です。ご参考にご覧ください。

中期経営計画

中期経営計画の進捗をご説明します。2024年度を最終年度とした3年の中期経営計画を策定しており、初年度の今年は売上高16億3,600万円、営業利益5億1,300万円と計画しています。通期の進捗でもお伝えしたように、現時点では計画どおりに進んでいます。今期は一時的に減益を予定していますが、来期以降は増収増益を達成すべく計画を進めています。

今後の注力事項は、安定しているモバイル向けの収益を基盤に、新しい分野のビジネスフォン向けのサービスに投資し、事業の柱として育てていきたい思いがあります。積極的に投資を重ねながら、事業を推進していきます。

2022年度の注力事項

中期経営計画の達成に向け、2022年10月期に注力する事項を2つ考えています。1つ目はモバイル向けで、すべてのキャリアのオプションパックへ迷惑SMS機能の導入を目指していきます。

近年、SMSを使って宅配業者や金融機関、ネット通販事業者などを装い個人情報を盗み出すフィッシング詐欺の被害が拡大しており、深刻な社会問題となっています。各通信キャリアも独自の対応を推進していますが、当社のサービスを採用していただけるよう注力していきます。

中計の進捗:モバイル向け、固定電話向けフィルタサービス

それぞれの事業についての進捗についてですが、これまでお伝えした内容と重複しますので割愛させていただきます。

中計の進捗:ビジネスフォン向けフィルタサービス

こちらも、これまでお伝えした内容と重複しますので割愛させていただきます。

ESGに向けた取り組み

最後に、ESGに向けた取り組みの進捗状況です。

トピックとしては、「電波の日・情報通信月間」の記念式典にて、東海情報通信懇談会会長表彰を受賞しました。都道府県警察などと連携を図り、迷惑メールフィルタ「トビラフォン」を開発し、迷惑電話や振り込め詐欺などの社会問題の解決に多大な効果を発揮するなど、情報通信の発展に貢献した団体として表彰されたものです。

環境への取り組みについては、TCFDの開示に向けた分析検討を開始しました。その他はスライドに記載のとおりです。持続的な成長に向け、ESGやSDGsへの取り組みにも引き続き注力していきたいと考えています。

質疑応答:中期経営計画の重要施策について

司会者:「中計の達成において重要な施策はどういった部分になるのでしょうか? また達成に向けて、現在見えている課題や懸念・力を入れるべき事柄について教えてほしい」 とのご質問です。

明田:重要な施策は、ビジネスフォン向けの成長だと考えています。ビジネスフォン向けサービスのプロダクトは「トビラフォンBiz」「トビラフォン Cloud」「Talk Book」の3種類です。

プロダクト別に申し上げると、「トビラフォンBiz」は、NTT東西のセレクトアイテムに登録されたことで販売が加速しており、その効果が今期から出てきています。「トビラフォン Cloud」については、市外局番(0ABJ番号)から受発信ができるように改修したことで、利用者が増えている状況です。また、「Talk Book」については、利用ニーズは大きいと考えていますので、現在積極的に市場の声を聞いて開発している状況です。

当社はテクノロジー企業ですので、仮説と検証をいかに速く繰り返して、よい製品や、他社が真似のできないような製品を開発していくかが重要なことだと考えています。

質疑応答:今後の新規事業について

司会者:「今後の新規事業は、どのようなものを考えているのか」 とのご質問です。

明田:当社は今まで、主に電話に関するセキュリティサービスを開発し、成長してきました。

これまでの当社の新規事業の実績としては、電話番号でブロックできるサービスから始まり、SMSへと広がり、SMSをきっかけに詐欺サイトに誘導するURLの情報も保有できるようになりました。通信キャリアだけではなく、金融機関へのデータベースの提供も開始しています。

今年1月からは、AI搭載型の営業ツール「Talk Book」の販売を開始しました。電話の通話は定性的、感覚的な活動に捉えられがちですが、利用する人の活動量、アクティビティや特徴などを分析することができます。さまざまな観点からの分析で、優秀な営業担当者の話し方に近づけることも可能であり、業務改善に役立てられる可能性は大きいと考えています。

今後は、今まで当社が培ってきた強みを活かして、迷惑な電話を防ぐことを中心としていた企業から、より広い意味での音声コミュニケーション、または迷惑なコミュニケーションをなくしていくといったような点で注力し、成長していきたいと考えています。

質疑応答:携帯キャリアが独自で提供している「SMSブロック」機能について

司会者:「携帯キャリアが独自で『SMSブロック』を行っていると思うが、御社のサービスとしては不利になるのではないか」 というご質問です。

明田:SMSを使ったフィッシング詐欺が非常に増加している中で、NTTドコモ社からは3月24日に、SMSを自動的にブロックする機能の提供が発表されています。しかし、通信キャリアが独自でSMSの中身を解析して、フィルタリングするには限界があると考えています。

当社は、現在1,400万人もの利用者を抱えており、そのデータをいかに速く分析し、精度を高めることに、この何年も注力しています。通信キャリアのSMSブロック機能との精度比較を行っておりますが、定性的にも定量的にも、現時点では当社のデータベースのほうが精度が高く、より多くのショートメッセージを検知できています。国内には2億台近い携帯電話が存在していますが、通信キャリアが提供しているSMSブロックに加えて、さらに私たちの精度高いSMSブロックを併せて使っていただくことで、通信キャリアと一緒にその利用者さまを詐欺のSMSから守っていきたいと考えています。

質疑応答:「トビラフォンBiz」の直販を開始するメリットについて

司会者:「『トビラフォンBiz』について、NTT東西で直販が開始、とあるが、直販が開始するメリットを教えてほしい」とのご質問です。

明田: NTTブランドを活用した販売が可能になることと、販売チャネルの増加、この2点だと考えています。NTTが直接販売することで、電話系商材としての相当なブランド力を持って販売することが可能となります。これにより、セレクトアイテム化による販売にもよい影響を与えてくると考えています。また、販売チャネルについては、NTTは大きく分けてNTT直販、代理店、NTT業務委託という3つの方法で販売しています。これまで代理店のみの取扱いでしたが、NTTの直販、NTT業務委託といったチャネルも活用できることになりましたので、さらに販売が加速できるのではないかと捉えています。

質疑応答:自社株買いを行わない理由について

司会者:「プライム市場に残るためには流通時価総額を300億以上にする必要がある。とするならば、現在の時価総額は『格安』なはず。なぜ『自社株買い』をしないのか。通常ならば考えられない」というご質問です。

明田:当社はプライム市場を選択していますが、現時点では上場維持基準を満たしていませんので、上場維持基準の適合に向けた計画書を提出させていただきました。この計画書でも記載しているとおり、まずは業績が一番大事だと考えており、中期経営計画に沿って業績を達成、またそれを上回るペースで成長させていくことが重要だと考えています。

ご指摘いただいたとおり、株主還元という観点でも、自社株買いは常に経営陣でも検討しています。適切なタイミングや時期があれば実行していきたいと思います。また、株式流動比率も重要だと考えていますので、発表できることがありましたら、すぐに開示させていただきます。

質疑応答:迷惑フィルタサービスの進捗状況と、大手通信キャリアとの契約締結時期について

司会者:「固定電話の機材を必要としない迷惑電話フィルタサービスをKDDIで開始したが、進捗について教えてほしい。ソフトバンクや東西のNTTはいつになったら締結できるのでしょうか?」というご質問です。

明田:KDDIで開始した全国のケーブルテレビ向けのサービスは、順調に申込数は伸びていますが、今のところ具体的な数字は開示させていただいていない状況です。ただこの取り組みは、2010年のトビラフォンを開発した当初から考えていた理想であり、この機能の実装は私たちの夢でした。迷惑電話に困っている方は非常に多いのですが、私たちのデータベースを利用しようと思うと、専用機器との接続や、ホームゲートウェイ自体の買い替えが必要であり、使うまでの敷居が高いという状況がありました。このケーブルテレビ向けに開始した新しいKDDIのサービスは、専用機器が不要であり、お使いいただいている電話回線のまま、オプション契約をしていただくことで、すぐに利用が開始できる非常に画期的なサービスです。

ようやくこの機能を大手通信キャリアで搭載することができましたので、申込数を順調に伸ばしていくことで、他社の大手通信キャリアにも導入を検討いただけると考えています。NTT東西やソフトバンクにも積極的に提案は続けている状況です。必ずよい結果を出したいと考えていますので、発表できる段階がきたらお知らせいたします。

質疑応答:迷惑SMSブロックの評価の理由と対策、今後の事業の見通しについて

司会者:「P32において迷惑SMSブロックが、△にとどまってしまった理由と、その対策、及びその事業の見通しを教えてほしい」というご質問です。

明田:現状迷惑SMSブロックが△である理由ですが、先方との交渉によるものです。交渉の中でも、当社の品質については、非常に評価していただいていますので、継続的に注力していきたいと考えています。

質疑応答:ビジネスフォン事業の端末と回線売上の区分、下期見通しについて

司会者:「ビジネスフォン事業実績の端末売上と回線売上の区分、及び下期見通しを教えてください」とのご質問です。

明田:現在、非常に積極的に投資を進めているフェーズです。個別の売上高をすべて開示してしまうことでミスリードにつながってしまう可能性も高いと考えており、現在は非公開とさせていただいています。

下期につきましても、おおむね計画どおりの進捗を見込んでいます。今後、開示が必要な事項が発生しましたら、速やかに公表させていただきます。

質疑応答:「280blocker」の今後の見通しについて

司会者:「『280blocker』の好調はどこまで続きそうか。足元の引き合いと、将来戦略について教えてください」とのご質問です。

明田:「280blocker」については、今後も同程度に推移していくと見込んでいます。ただ、各メディアでも取り上げていただいているとおり、実際使っていただくと二度と手放せないような優れたアプリであり、有料アプリランキングも常に上位にランクインしています。さらに将来、このアプリに新しい機能を付加していく、また新しいプラットフォームでの提供もしっかり検討していくことで、さらに大きな成長を目指していきたいと、考えている状況です。お伝えできるタイミングがきたら、公表させていただきます。

質疑応答:KDDI向け迷惑SMS機能の収益モデルについて

司会者:「KDDI向け迷惑SMS機能の収益モデルを教えてほしい。また、貴社説明資料並びに貴社サービス別売上ではどちらに計上されているのか」とのご質問です。

明田:当社の通信キャリア向けの収益モデルを3パターン紹介させていただきましたが、どの通信キャリアがどの契約かは機密保持契約上、残念ながらご回答できません。収益はモバイル向けサービスに含めています。

質疑応答:KDDIのモバイル向け潜在ユーザーの拡大理由について

司会者:「KDDIのモバイル向けが潜在ユーザー4倍に拡大となっていますが、これは売上と利益(増加要因)に直結するものなのでしょうか。それとも登録者数が増えても売上にも利益にも貢献しないのでしょうか」とのご質問です。

明田:わかりにくい回答になってしまい、非常に申し訳ないですが、いずれかの3つのパターンの契約形態となっています。ユーザー数が増えることは当社のデータベースの精度向上に寄与するだけではなくて、今後各通信キャリアと契約更新する際においても、当社が有利に交渉できる強みになると考えています。いずれにしても、非常に当社のデータベースの参入障壁を高める点、また安定収益、高い利益率を維持していく上では、間違いなくよい影響になると考えています。

質疑応答:上期計画の上振れ要因と、下期継続性について

司会者:「上期の計画上振れ要因と、その要因の下期継続性について教えてください」とのご質問です。

明田:上期計画の上振れ要因は、モバイル向けサービスの堅調な成長に固定電話向けサービスの自治体からの大口発注、「トビラフォンBiz」の爆発的な販売増加によるものです。固定電話向けサービスの自治体からの大口受注については一時的なものと考えていますが、そのほかにつきましては、下期についても一定程度継続していくと考えています。

質疑応答:SMS市場拡大傾向における業績への影響について

司会者:「今後、SMS市場は拡大傾向にあると思いますが、御社の業績への影響など、予測があれば教えてください」とのご質問です。

明田:ご意見いただきましたとおり、SMS市場についてはスミッシング詐欺等が非常に増加していることもあり、注視すべき市場と考えています。この市場において、当社のデータベースは現在、国内では圧倒的に高い品質を保っています。当社の強みを活かせる市場とも考えていますので、2022年の今期の注力事業としても、すべての通信キャリアに当社のSMSフィルタを導入していただくような活動をしています。こちらも発表できる段階になったら、速やかに開示させていただきます。

代表取締役社長 明田氏よりご挨拶

本日は大変お忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございました。中期経営計画1年目ということで、2年目以降も成長をさらに加速できるように事業を推進していきたいと考えています。

ウクライナ情勢や米国金利上昇など、先行き不透明な状況が続いていますが、当社は中期経営計画をまず達成できるように着実に成長を重ねてまいりますので、引き続き、温かい応援をいただきますようお願い申し上げます。今後とも、トビラシステムズをどうぞよろしくお願いいたします。