目次

清川甲介氏(以下、清川):本日は大変お忙しい中、ご参加いただき誠にありがとうございます。本日は、2022年3月期(第16期)通期決算についてご説明し、次に、初めて発表いたしました5ヵ年の中期経営計画についてご説明申し上げます。

まず、2022年3月期決算説明資料についてご説明します。1つ目は連結決算の概要、2つ目は売上高・KPI分析、3つ目は2023年3月期(第17期)の主な取り組み・連結業績予想のご説明です。

第3四半期決算発表からの主なトピックス

それでは、連結決算の概要です。「第3四半期決算発表からの主なトピックス」について、主な取り組みの1つ目として、我々のクライアントの高砂熱学工業株式会社の連結子会社であるヒューコス株式会社の労働者派遣事業を、2022年4月1日付で吸収分割により継承しています。大手サブコンで経験を培い高いスキルまたは資格を保持する技術社員122名が、コプロ・エンジニアードへ移籍しています。

指名・報酬委員会の設置を4月13日に開示しました。また、2022年4月に新卒の技術社員55名・管理社員80名、あわせて135名の新卒社員が当社グループに入社しました。次世代のコプロ・グループを担う若手人財を育て、技術者不足に悩む業界を支える企業を目指していきます。

連結決算ハイライト

連結決算のハイライトです。売上高について、採用数の下振れによる技術社員の伸び悩みにより、コア事業である建設・プラント技術者派遣を営むコプロ・エンジニアードの売上高は前期並みとなりました。

その一方で、M&Aによりグループインしたアトモスおよびバリューアークコンサルティングの新規連結により、前期比プラス5.1パーセントの増収となりました。

Non-GAAP営業利益は、売上原価率の改善を主因としたコプロ・エンジニアードの増益、並びにアトモス、バリューアークコンサルティングの新規連結により、前期比プラス20.4パーセントの増益となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、前期計上の特別利益の剥落の影響と、支店の統廃合に伴う減損損失の計上等により、前期比マイナス4.6パーセントの減益で着地しました。対計画値では、営業利益は予想から若干の下振れで着地しています。

スライド内の主な部分についてご説明します。2022年3月期は、連結売上高155億8,900万円、前期比プラス5.1パーセントです。営業利益は16億2,100万円、前期比プラス12.8パーセントです。

減価償却費およびのれん償却費、株式報酬費用を除いたNon-GAAP営業利益は18億4,100万円、前期比プラス20.4パーセントです。当期純利益は9億6,200万円、前期比マイナス4.6パーセントで着地です。

四半期連結業績

四半期での連結業績です。当第4四半期会計期間における売上高、営業利益は四半期ベースで過去最高を達成しています。スライドの内容説明は割愛します。

Non-GAAP営業利益

Non-GAAP営業利益のご説明です。建設およびプラント技術者派遣を営むコプロ・エンジニアードにおいて、チャージアップ交渉による売上原価率の改善などにより、プラス4億1,500万円の増益要因となっています。

当期より新規連結したアトモスは、請負事業の採算改善によりプラス1,000万円の増益、同じく新規連結したバリューアークコンサルティングは、プラス4,900万円の増益寄与となりました。

スライドでは各子会社別での利益分解を記載しています。また、連結のNon-GAAP営業利益は前期比プラス3億1,100万円、プラス20.4パーセントとなりました。その他として、連結調整や減価償却等でマイナス1億6,300万円を計上し2022年3月期通期の連結Non-GAAP営業利益は18億4,100万円となっています。

建設・プラント技術者派遣:技術社員数・稼働率

売上高・KPIの分析です。スライドのグラフに記載している赤色の折れ線グラフは、技術社員の稼働率、青色の棒グラフは在籍人数を示しています。

ご覧のとおり、稼働率はかなり高いところで推移している一方で、2022年3月期に関しては、計画値よりも採用が下振れしたことによって技術者員数の配属の積み上げができなかった期間となりました。

建設・プラント技術者派遣:採用/退職・定着率

建設・プラント技術者派遣の採用及び退職、そして我々が重要指標としている定着率について、簡単にご説明します。新型コロナウイルスの影響を受けた大手ゼネコンを中心に、契約満了による技術社員の退職増加が響き、年間の定着率は前期比プラス0.5ポイントと、わずかな改善幅にとどまっています。

顧客企業からの取得案件数はかなり増加しているものの、景況感の持ち直し、および新型コロナウイルス対策の推進など、経済活動の正常化に伴う採用活動が活性化したほか、外部環境の変化に対応した柔軟な採用費の投入が遅れたため、中途採用が難航しました。

スライドに関しては、上の表が採用・退職人数です。下の表は、技術者員の定着率です。入社した方を我々の会社から長く派遣していくという指標である定着率を、重要視しています。

2022年3月期第4四半期は、69.4パーセントです。この定着率に関しては、社内目標で80パーセントや85パーセントに改善していかなければ大きな成長は見込めないと考えており、さらに定着率を高めるために、今後いろいろな施策を打っていきたいと考えています。

機械設計開発技術者派遣・請負:技術社員数・稼働率

機械設計開発技術者派遣・請負のグラフについてご説明します。こちらは新規連結を組んだアトモスです。赤色の折れ線グラフが技術社員の稼働率、青色の棒グラフが技術社員数を示しています。こちらに関しても高い稼働率を継続しており、2022年3月期の時点で98.3パーセントです。

新規連結を組んでグループ全体にシナジーを生み出していくため、かなりの採用費を投入しています。配属数は伸びてきているのですが、あくまでここを目指しているわけではなく、この機械設計開発技術者の領域でさらに大きくマーケットを取っていくためにグループ全体の資源を惜しみなく使っていきたいと考えています。

機械設計開発技術者派遣・請負:採用/退職・定着率

機械設計領域の採用および退職・定着率についてのご説明です。採用活動の本格稼働の結果、メーカー出身のエキスパート人財を中心に経験者の採用が順調に進みました。第4四半期の採用数は15名となりました。

採用については、グループインをしたことによるシナジーを生み出し、採用数の拡大につなげていかなければいけないと考えています。

一方で、技術社員の定着率に関しては、今期累計で88.9パーセントと、かなり高い結果となっています。定着率は80パーセント台から90パーセントを目指し、入ってきた方々に長く働いていただきながら、新規の採用数を爆発的に伸ばし、大きな売上増につなげたいと考えています。

バリューアークコンサルティングについては、IT分野、SE分野に対する人財派遣、フリーランスの方々に対する仕事のご紹介というビジネスモデルです。詳細の説明は割愛します。

コア事業における主な取組み

2023年3月期の主な取り組みと連結の業績予想のご説明です。まず初めに、コア事業における主な取り組みです。我々のコアビジネスである建設マーケットに対する取り組みです。

足元の月間取得案件数は2,000件超に上り、人財需要は活況です。DX化による生産性向上と更なる案件の獲得に向けた営業力強化に取り組んでいきます。

一方、採用費の積極的な先行投入、及び入り口となる面接数の拡大を始めとした採用活動量の底上げに取り組んでいきます。また、採用した優秀な人財の離職を防ぐため、ターゲット先企業への更なる深耕営業と制度変更による定着率向上を図っていきます。

2022年3月期はかなり多くの受注案件を獲得できた一方で、採用負けした1年だったことを課題に掲げています。今期は、現在取り組んでいる営業改革、つまり営業の投入量増加を継続し、「何件訪問して、何件受注案件をいただいて、そして何件契約に持っていくのか」という営業プロセスを管理することで営業品質を向上させていきます。

これは営業だけではなく、採用活動にも同じことが言えると思います。採用も各目標値をKPI化し、どこの部分の数字が足りていないのか、を把握し、しっかりと高い目標を掲げ日々の採用活動量の底上げに努めていきたいと考えています。

スライド下の図に関しては「営業力の強化」「採用数の拡大」「定着率の向上」の3つを大きく掲げています。すごく重要な部分ですので、詳しくご説明します。

まず「営業力の強化」についてです。1つ目は「DX化による生産性向上」で、営業改革として進めているところです。営業支援ツール・システムを今年度に導入して、さらに「営業の投入量がどのような状況にあるのか」「何が足りていないのか」をしっかり見える化し、投入量が足りていないところに対して素早いスピードで対応していくという内容です。

「営業活動量の底上げ」については、営業プロセスのKPI管理による活動量の拡大や、建設需要の高い東名阪の各支店への営業人員の拡充を行っていきたいと考えています。

「採用数の拡大」については、先ほどもご説明したとおり、昨年1年間は、いただいているお客さまからの需要にしっかり応えていけるだけの人財採用が伴わなかったところがあります。

今期は、1人当たり採用費の社内基準を引き上げ、採用費の積極投入により優秀な人財確保を徹底強化していきます。また毎年4月には、大学卒業からの新卒エンジニアの採用数の拡大を徹底的に拡大していきたいと考えています。

先ほどもご説明した「採用活動量の底上げ」ですが、採用プロセスのKPI管理による活動量の拡大は、先ほどの営業と同じことが言えると考えています。また、建設需要の高い東名阪における人財確保に向け、面接設定の専任担当者を設置していきます。

スライド一番右端は「定着率の向上」です。ターゲット企業の配属率をしっかり高めていきたいと考えています。いわゆる深耕営業ですが、定めたターゲット先に対して、受注案件をいただくための営業を徹底的に行っていきたいと思っています。

我々は、スーパーゼネコン5社や準大手をターゲット先として定めているわけですが、やはりこのような大手企業は工事案件を豊富に有しています。技術社員の高い契約継続率が見込めるターゲット企業に新規配属、及び契約満了時のターゲット企業へのシフト配属を、強力に促進していきたいと考えています。

「無期雇用社員比率の拡大」については、雇用期間の定めがない無期雇用社員の比率を高めていくということです。エンジニア、派遣社員の方々に対し、雇用期間の定めがないことで安心して長く働ける環境を提供していきます。条件を満たした有期雇用社員を無期雇用へ転換し、新規採用については、無期雇用転換を前提に雇用を進めていきたいと考えています。

この3つをしっかり推し進めていくことにより、採用力と営業力に磨きをかけ、技術者志向と顧客志向を両立した人財サービスを提供していきたいと考えています。

2023年3月期見通し

2023年3月期の見通について、セグメントごとに記載しております。スライドの上からコプロ・エンジニアードの建設・プラント技術者の派遣事業、2つ目がアトモスの機械設計開発技術者の派遣事業、3つ目がバリューアークコンサルティングの、いわゆるSES事業の見通しです。

建設・プラント向けのコプロ・エンジニアードに関して、スライドの「受注と採用」の部分をご説明します。KPI管理により営業活動の競争力の底上げを徹底的に行っていきたいと考えています。並びに深耕営業の継続による大手顧客企業との関係性構築を行い、派遣案件の継続した取得を目指していきます。

また、取得案件数に対して十分な人財を供給するため、1人当たりの採用費の社内基準を引き上げ、積極的に採用コストを投入していきたいと考えています。

定着率については、深耕営業を進め、工事案件を豊富に持つターゲット企業への配属比率を高めて、向上を図ります。また、技術者の状況に合わせたトラスト活動という管理訪問の実施や、有期雇用者の無期雇用への転換を一定基準のもと推進していきます。

チャージアップについては引き続き会社の課題として捉えております。業界が人財不足であることを踏まえ、経験を通して培われた技術者の人財価値の上昇を契約価格に転嫁できるように、チャージアップ交渉を継続して強化していきます。

次に、アトモス、機械設計分野です。受注に関しては、引き続き自動車業界において、CASE対応による新規領域の拡大と、既存業務のアウトソーシング化促進による受注拡大が見込まれています。

世界的な半導体不足による製品の生産調整の影響は懸念材料としてありますが、半導体部品および装置の需要は増加しています。派遣および請負に対するニーズは高まっており、製造業の回復は緩やかに進んでいると見ています。

採用に関しては、請負事業を通じた未経験者向けの研修の充実や、メーカー出身のエキスパート人財の採用強化など、積極的な採用定着に向けた活動を取り組んでいきます。

バリューアークコンサルティングのSES事業は、受注に関しては、発注元に近い商流の取引先開拓を進め、大型の案件獲得の利幅の改善を目指していきます。

採用に関しては、オウンドメディア「ハッピーエンジニア」というフリーランスエンジニア専用の採用サイトを運営しており、今期から改修していきます。その中で、UI、UX、SEOの改善を図り、自然流入での応募拡大を狙っていきたいと考えています。

2023年3月期連結業績予想

2023年3月期の連結業績予想について、掲載しています。コア事業の建設・プラント技術者派遣を中心に配属人数を積み上げ、売上高は前期比プラス14.5パーセントの増収を計画しています。

また、採用がボトルネックとなり配属機会のロスが発生している現状を打破するため、成長の基盤となる優秀な技術者の確保を目的に、採用費は前期比プラス150パーセントを計画しています。積極的な採用費の投入などに伴う販管費の増加により、Non-GAAPでの営業利益は前期比マイナス27.6パーセントの減益です。

1点付け加えてご説明します。今期は売上高は増収、利益は減益の予想です。一言でお伝えすると、我々はこの計画を作るにあたり、決してネガティブな減益としてとらえていません。

売上を作りマーケットをさらに取っていくということで、今までは採用費をしっかり抑え込み、優秀な技術社員をどれだけ少ないコストで採用できるかを考え、創業期から16年間取り組んできました。

同業他社の決算資料も拝見した中で、今後よい人材を採っていくためには、さらにお金をかけていかなければいけない状況であると認識しています。同業他社並みに採用費をかけることを考え、採用費は前期比プラス150パーセントの予算を投入し、採用負けしないようにしっかり取り組んでいきたいと考えています。

能力の高い技術社員をしっかり囲い込んでいくことにより、2年後、3年後に彼らが我々の看板社員となり、さらに利益を生み出していくという好循環が生まれます。今期は採用費を大きく使うため減益の予想になっていますが、2年後、3年後には過去最高益となるように目指していく考えです。

スライドの表をご覧ください。2023年3月期の連結売上高は178億5,400万円、前期比プラス14.5パーセント、Non-GAAP営業利益は13億3,400万円、前期比マイナス27.6パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益は6億400万円、前期比マイナス37.3パーセントの計画です。

株主還元

株主還元についてご説明します。先週の取締役会の決議を経て、株主還元に対する基本方針を変更しています。

経営上の重要課題の1つと位置付ける株主還元においては配当を基本とし、中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」の対象期間(2023年3月期を1年目として、2027年3月期まで)は減配を行わず、積極的な投資により達成される利益成長に応じて、安定的な配当を行うことを基本方針とします。

簡単にお伝えすると、中期経営計画の期間内は将来に向けて積極的な投資を行っていきます。それに応じて、今期は減益の予想となっています。

「減配を余儀なくするのではないか?」という投資家の方々のお考えもありますが、スライドに記載のとおり、中期経営計画の期間中は減配を行いません。配当性向がかなり上振れますが、将来に向けた投資を積極的に行いつつ、大きくマーケットを取り、業績の拡大に努めていきたいと考えています。

スライドに記載のとおり、2023年3月期は配当方針に基づき、中間配当で1株あたり10円、期末配当で30円、年間40円の配当を維持します。折れ線グラフが配当性向ですが、現在の計画値から見た配当性向は61.5パーセントを予想しています。

以上が、2022年3月期決算概要のハイライトのご説明です。

目次

引き続き、我々が策定した5ヶ年の中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」(2023年3月期から2027年3月期)についてご説明します。1つ目に中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」の位置付けやパーパスなど、2つ目に成長戦略、3つ目に財務数値目標・株主還元策についてお話しします。

(1) 中期経営計画の位置付け

スライドの図は中期経営計画の位置付けについて、縦軸を事業規模、横軸を時間軸で示しています。

中期経営計画の期間を5年と定め、その期間は「エンジニア応援プラットフォーム」を通じた独自の価値提供により事業を拡大し、将来的な成長への布石としていきます。初期段階ですが、「エンジニア応援プラットフォーム」の展開、基盤整備などを形にし、2027年に向けてしっかり運用していきたいと考えています。

スライド右側の次期中期経営計画以降については、M&Aでグループインした会社、もしくはこれからグループインする会社も含め、グループ全体のシナジーを活かした非連続な成長を目指していきたいと考えています。

(2) パーパス

中期経営計画を策定するにあたり、創業経営者の私も今までの固定概念にとらわれず「どのようにしたらお客さまにサービスを提供していけるのか?」「エンジニアの方々のための会社を作っていけるのか?」を一度頭をフラットにして考え、見つめ直してみました。

今いろいろな企業が導入している「パーパス」とは会社の存在意義です。「なぜこの会社が世の中に存在するのか?」「私たちのサービスは何なのか?」について全取締役と議論を積み重ねた結果、「最高の『働き方』と最高の『働き手』を。」というパーパスを定めることになりました。

お客さまには、我々から最高の「働き手」を提供していきます。そして我々のもとに集まってきていただいたエンジニアの方々には、最高の「働き方」を提供します。

現在、働き方改革などが推進されており、今後は「働く」という価値が変化していくと考えています。そのような中、我々は派遣社員やエンジニアの方々に、いかに自分の人生にフィットした働き方を提供していけるのかをしっかり追求していきたいと考えています。

(3) 策定のロジック

策定のロジックについて、スライドに図を掲載しています。左側の事業環境の把握が非常に大切です。マーケット及び顧客ニーズの変化、コプロの優位性とケイパビリティ、競合他社の取り組み方針を事前にじっくり調査していきます。

それにあわせて、事業戦略では建設・プラント技術者派遣事業、機械設計・SES事業、グローバル事業を行っていきます。

それを業績目標・資本政策に落とし込んだものが、財務目標/KPI、投資家に対する株主還元です。これらを通じ、目指す姿として「エンジニア応援プラットフォーム」を仕組みとしてしっかり確立し、運用していきたいと考えています。

事業戦略推進の基盤強化については、ガバナンスや仕組み、システムそのものの強化が必要不可欠だと考えています。また、企業としてESGやSDGsの観点も企業成長にしっかり盛り込んでいかなければいけないと思っています。

M&Aについては、この経営手法も非常に重要だと考えています。これらでしっかり基盤を強化していくことにより、さらに企業価値の高いグループになっていきたいと考えています。

(4) 外部環境(1/2)

調査の中で意識してきたのが、外部環境に対する認識です。今の日本では少子高齢化や労働環境の改善に対応するため、企業における派遣人財の活用は今後も加速していくと考えています。さらに、コア事業の建設・プラント領域そのものの市場も拡大していくと予想しています。

スライドに外部環境に対する認識をわかりやすくシンプルに記載しています。左上のポジティブ要因は「政治的要因」で、労働環境の継続的な改善や外国人労働者の受け入れ加速が起きています。

右上のポジティブ要因は「経済的要因」です。コア事業である建設・プラント市場の伸長、企業における派遣比率の継続的な伸長が見込まれています。

左下のポジティブ要因は「社会的要因」で、少子高齢化に伴う各分野での技術者不足、働き方に対する価値観の変化(時間や環境に縛られない働き方へ)が挙げられます。

一方、右下の「技術的要因」はリスク要因です。AIや工事用ロボットなどの建設現場への普及、マッチングプラットフォームの出現によるバリューチェーンの変化をリスクとしてとらえています。

(4) 外部環境(2/2)

もう少し詳しくご説明します。コロナ禍以降の景気回復に伴う建設・プラント市場の拡大に合わせ、同領域における技術者派遣市場も年率プラス8.8パーセント程度拡大していくと予想しています。

スライドに建設・プラント派遣市場規模の予測の棒グラフを掲載しています。現在は左から3つ目の2023年ですが、派遣市場規模が全体で3,342億円であるのに対し、今から約7年後の2030年は6,052億円と、年平均成長率プラス8.8パーセントを見込んでいます。こちらは当社の推計です。

(5) 基本方針・成長戦略(1/2)

基本方針・成長戦略についてです。働く人財・働き方の社会的変化に伴い、技術者派遣の付加価値の再定義が必要不可欠だと考えています。

技術者向けには、多様なキャリアパス形成や自由な働き方の浸透に付加価値を与え、我々のサービス提供をより深いものにしていきたいと考えています。顧客企業には、働き手の不足・労働環境改善への対応が必要です。競争環境に関しては、技術者・顧客企業に向けた差別化が困難な状況となっています。

これは我々も含め、同じフィールドでビジネスを行っている同業他社もそうだと思うのですが、技術者派遣の領域がいわゆるコモディティ化しており、なかなか差別化しづらい業界だと考えています。

その中で、圧倒的なサービス性が求められてくる時代に突入していると思っていますので、我々の強みをいかに早期に確立し、差別化によって我々が何をしていくのかについて中期経営計画に盛り込んでいます。

技術者派遣市場で求められていることとして、技術者のキャリア形成の圧倒的な支援が挙げられます。また、お客さまには最高の働き手の安定的供給、競争環境ではコプロ独自の価値の創出が必要になってくると考えています。

コプロの提供価値としては、技術者の多様なキャリアを応援するプラットフォーマーとして、エンジニア・顧客企業双方から選ばれる技術者派遣企業となることを目指していきたいと考えています。

(5) 基本方針・成長戦略(2/2)

技術者・顧客企業の双方から「コプロで働くこと」「コプロに依頼すること」の価値を感じていただくため、中期経営計画期間における価値提供の方向性を示しています。スライド左側が技術者向け、右側が顧客企業向けです。

技術者向けの提供価値は、「『コプロで働く』ことでエンジニアとしてのキャリアアップと自己実現をしていただく」ことです。業務プロセスの採用については、新卒・未経験採用の圧倒的な拡大を目指します。また、自社メディアを活用したグループ採用力の強化にも取り組みます。

「教育・研修」では、一人ひとりのキャリアパス設計、スキル要件、研修プログラムおよび受講環境の整備を推し進めていきます。また、資格取得や勤務経験に応じたインセンティブの提供も、技術者向けにプラスアルファの付加価値としてサービス提供していきたいと考えています。

顧客企業向けの提供価値についてご説明します。「『コプロに依頼する』ことに、安心感・信頼感・納得感を感じていただく」ことが、お客さまに対して非常に必要なことだと考えています。

「業務プロセス」は、営業・配属では案件情報と技術者情報の一元化による最適な配属、つまりマッチングです。また、 現場の作業品質を向上するための新たな派遣形態の開発を推し進めていきます。

「フォローアップ」については、顧客企業・技術者双方からのアラートの検知とスピーディーで丁寧なフォローアップを目指していきたいと考えています。

これらを実現するために、経営インフラとして、「組織体制」「人財・人事制度」「システムインフラ」を挙げています。

「組織体制」についてご説明します。顧客企業・技術者へのフォローアップ体制の拡充を行います。また、技術者のキャリア設計を支援するコンサルタントの設置とジョブローテーションを通じた組織の活性化にも取り組みます。

「人財・人事制度」については、技術者の成長を促すプログラムや評価・報酬制度の再構築を進めて、本社・営業社員のモチベーション向上につながるサービス提供や評価・報酬制度の刷新にも努めていきます。

「システムインフラ」については、営業活動の標準化、作業の効率化を推進します。営業活動、いわゆる営業品質、さらには営業のオペレーションをよりわかりやすくシンプルに、どの営業マンでもこなせる営業プロセスにすることにより、一人ひとりの生産性の向上に努めていきたいと考えています。また、技術者情報と案件情報の一元化による、最適な配属や顧客管理を徹底していきたいと考えています。

(6) 成長戦略で目指す提供価値

成長戦略で目指す提供価値について、スライドに簡単な図を掲載しています。エンジニア一人ひとりのキャリアアップとそれを応援する幅広いサービスや仕組みを備えた「エンジニア応援プラットフォーム」を通じて、エンジニアに価値を提供し続けていきたいと考えています。

これからは採用比率を高めて、業界経験者の方々の中途採用の強化が必要となるため、採用費を上げて面接数を拡大させていかなければと考えています。一方で、今後非常に重要なのは、新卒社員や、他業界からの若手未経験者の採用拡大であるとも考えています。

若手を採用した際、その若い人たちが「エンジニアとしてどのように自分たちが成長していくのか?」「この会社でどのような価値を提供してもらえるのか?」と考える中で、当社からできる価値提供を示したものがスライドの図です。ここでは、新卒社員や中途の未経験者の方々が当社に入社して、建設技術者を志していくことを想定しています。

左側から、メンバー、リーダー、スペシャリスト、エキスパート、トップエンジニアと5段階のクラスがあります。各クラスの中にも3段階設けております。

このようにしっかりとした段階を作り、若いエンジニアの方々に見せて、日々の評価や1年ごとの評価を行います。これによりモチベーションを向上してもらい、将来に向け市場価値の高いエンジニアに育てていくという仕組みになっています。

中央の段のプラントおよび機械設計、IT技術者にも、同じような段階、人事評価制度を作り出して、ここでどのように自分が成長していくのか、現在の自分のレベルはどこなのかについてしっかり自己理解していただき、さらに成長を促していくということを行っていきたいと考えています。

今の若い世代の方々は、入社して3年以内に、自分はその仕事に合っていなかったと考えて、転職しやすい環境ということもあり、現在は入社して3年以内に離職してしまう方が多い時代に入ってきています。

当社でも同様に、建設を志して入ってきたのですが、「自分は建設には合わない」と思いこんで早期で退職してしまう方々がいらっしゃいます。我々としては、この損失がかなり大きいと考えています。

建設分野では通じなかったとしても、「機械設計分野でもう1回がんばってみよう」「ITエンジニアを志してみよう」ということを可能とするべく、今回M&Aでグループインした2社と連携し、他業界へのジョブチェンジを促すことで、若い人たちがコプログループから離れていかないような施策を取っていきたいと考えています。

これを実現するために必要不可欠なものは、スライド下段にも記載していますが、技術者のキャリアパスを相談するような窓口や、キャリアパス設計の構築が非常に重要だと考えています。

また、コプログループ独自の研修プログラムによるスキルアップについては、今まで社員に対する研修の環境を整備し続けており、今も運用されているのですが、現在は技術社員の「このプログラムを受けたい」「このカリキュラムを受けたい」という希望に沿っており、言わば各技術者任せになっている部分があります。

今後は、会社から能動的に、研修を受けられるよう働きかけていきたいと考えています。例えば、スライドの上の段に戻りますが、メンバーからリーダーになる時は必ず研修を受け、社内テストに合格することにより、メンバーからリーダーに上がれる、同様にしてリーダーからスペシャリストに上がれるというルールを設けたいと考えています。

このような研修と社内テストの仕組みをさらに強めて、目の前の半歩先、一歩先の目標を1つずつクリアし、将来に向けた市場価値の高いエンジニアに成長できるようにしていきたいと考えています。

さらに、これは引き続き行う取り組みとして、配属後の徹底したフォローアップ、スキルや経験に基づくインセンティブの設計を行います。若いエンジニアに向けたプラットフォームというだけではなく、メンバー、リーダー、スペシャリスト、エキスパート、トップエンジニアとランク分けすることによって、お客さまに対しても納得感を示していきたいと考えています。我々は人材サービスを手掛けている会社であり、物売りではないので、定価という考え方はないと思います。

しかし、「コプロのメンバーというランクは月額いくらなのか」「スペシャリストは月額いくらなのか」などの疑問を持つお客さまには「ここからここまで実務ができ、スキルを持った人だからこそ、この金額で納得する」「そこまでの技量はいらないから、低い派遣料金で使っていきたい」という要望があります。

そこに納得して、サービスをご利用いただけるような仕組みをしっかりと作り上げていくことにより、エンジニアの将来に向けた付加価値、およびクライアントにとって納得感のある金額設定につなげていきたいと考えています。

(7) 成長戦略のロードマップ

成長戦略のロードマップです。中期経営計画の初期、中期、後期の各期間において、我々が何を成し遂げていかなければいけないのかを記載しています。中計の期間内に、このようなことをより具体的なかたちにして実現していきたいと考えています。

(1) 事業ポートフォリオ方針

成長戦略についてご説明します。事業ポートフォリオの方針ですが、市場成長性の高いものについてスライドに記載しています。現在は左側の建設プラント領域をコアビジネスとしており、右側に機械設計、SES事業を併記しています。

我々が受け持っているビジネスモデルは、かなり成長性の高いマーケットに位置づけていると認識しており、技術者派遣という領域はさらにマーケットが拡大していくと考えています。その中で、このような技術者派遣に特化した事業ポートフォリオを構築していきたいと考えています。

(2) 建設・プラント技術者派遣事業:環境認識

建設系の環境についてのご説明は割愛します。

(2) 建設・プラント技術者派遣事業:戦略の方向性

建設系の戦略の方向性についてもご説明は割愛します。

(3) 機械設計技術者派遣事業:環境認識

こちらは機械設計の環境についてです。ご説明は割愛します。

(3) 機械設計技術者派遣事業:戦略の方向性

機械設計の戦略の方向性を示しています。こちらもご説明は割愛します。

(4) SES事業:環境認識

SES事業の環境認識についてもご説明は割愛します。

(4) SES事業:戦略の方向性

こちらのスライドは戦略の方向性を示しています。説明を割愛した部分に関しては我々のホームページにも中期経営計画を展開していますので、ご興味のある方はご覧になっていただければと考えています。

(5) グローバル事業

グローバル事業についてです。我々は、シンガポールおよびベトナムに現地法人を設立しています。設立と同時に、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るいはじめたことで、動きが鈍くなっているという事実もありますが、だからと言って諦めているわけではありません。ベトナム現地にはグローバルの担当部長を駐在させ、現地でしっかりと戦略を立案して前に進めている最中です。

これからさらに少子高齢化が進んで、日本で働く人たちが少なくなっていきます。このグローバル事業においては、世界の働き手を必ずビジネスチャンスに結びつけていかなければいけないと考えており、スライドに記載しているような仕組みのもと、現地の若手を日本にお連れして、我々のクライアントにアテンドしていきます。

日本に連れ出しておしまいではありません。日本国内のお客さまであるゼネコンメーカーなどの企業が、ASEAN地区に現地法人として進出しているため、「ゆくゆくは母国のあるASEAN地区に戻りたい」という働き手の方々についても、母国に戻っていただき、我々のクライアント企業で継続的にがんばっていただくという仕組みを、必ず実現していきたいと考えています。

(6) M&A方針・投資戦略

M&A方針・投資戦略について、こちらのスライドに示しています。コア事業を中心とした既存事業のオーガニックな高い成長に加えて、非連続な成長を実現するために、積極的にM&Aを推進し、中計財務業績目標の前倒しの達成を目指していきたいと考えています。M&Aの方針に関しては、買収ターゲット、資金調達および財務規律に分けて記載していますのでご覧ください。

<h2(1)>財務業績目標

財務の数値目標、株主還元策についてご説明します。今年度を初年度とした5年後の2027年3月期に中期経営計画を必ず実現させます。グループ連結で売上高400億円、Non-GAAPでの営業利益50億円、グループ全体の技術者数が連結で6,200名、この3つを大きな数字目標としています。

今期、2023年3月期の予想である売上高178億5,400万円から、2027年3月期の400億円まで、これは売上高の年平均の成長率でプラス20.7パーセントと、個人的にはかなりチャレンジングな数字目標と考えています。

我々が今まで培ってきた経験や、人財サービスのノウハウ、この中計期間中に始まる「エンジニア応援プラットフォーム」の基盤構築をすることにより、必ず実現できる数字目標になっています。私を筆頭に、取締役一同、社員一同で必ずこれを実現していきたいと考えています。

(2) 株主還元策

株主還元策です。中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」の公表に伴い、配当方針を変更しています。一言でお伝えすると、中期経営計画期間中については、積極的な投資により、達成される利益成長に応じて安定的な配当を行うことを基本方針とします。

2022年3月期は、年間配当1株当たり40円を配当として出しましたが、この年間配当について、2027年3月期まで下限配当として40円を配当するという配当政策となっています。

決算説明と中期経営計画について、私からのご説明を以上とします。ご視聴ありがとうございました。

質疑応答:株主優待の導入検討について

司会者:「株主優待の導入検討のご予定はありますか?」というご質問です。

清川:先ほども、株主さまに対する還元についてご説明しましたが、我々が第一に考えていかなければいけないこととして、株主配当を配当金として還元していくことを基本方針としています。

しかし、ご質問にもあるとおり「他の還元策はないのかと」いうお声は、たくさんご要望としていただいていますので、引き続き、配当金以外に何か還元できるものはあるのかを検討し、議論していきたいと考えています。決定した際は、速やかに開示します。

質疑応答:株価の状況について

司会者:「プライム市場上場維持基準適合についてです。直近の株価の状況はよくなく、基準適合は遠のいた感がありますが大丈夫でしょうか? 次の前倒し計画はありますか?」というご質問です。

清川:株価に関しては、日経平均もかなり下がってきており、外部環境もよくありません。また今回、2022年3月期の決算発表を行っています。株主、投資家の方々からのご期待について、今期の増収と減益の数字に対するインパクトがかなり大きかったのではというところで、株価の下落につながってしまったと考えています。プライム市場に残るための条件である流通株式時価総額100億円を、我々はクリアしていないということがあります。

すぐにできる小手先の方法で株価を上げることには限界があると思います。我々は、中期経営計画に基づいた毎年の業績拡大、売上・利益の拡大を積み重ねて、2027年3月期では連結での売上目標400億円、Non-GAAPでの営業利益50億円を必達します。

今の株価をPERから逆算すると、この業績を達成すれば全体の時価総額が上がり、流通株式時価総額100億円という条件も必ず達成できると考えています。

あまり難しく考えることはなく、中期経営計画に基づいた数値目標を毎年達成していくことにより、投資家の方々、株主の方々からたくさんのご期待をいただき、株価の上昇につなげていきたいと考えています。

質疑応答:技術社員数の変動と採用の見通しについて

司会者:「2022年3月期の技術社員数が前期に比べ、減少した理由は何ですか? また、今後の見通しや方策をお聞かせいただけますか?」というご質問です。

清川:決算説明資料でもご説明したとおり、昨年の1年間については圧倒的に採用負けしてしまったと反省しています。営業改革を推し進めてきた一方、お客さまからの受注案件はかなりいただいている状況ですが、我々が業績を上げていくためには、受注いただいたところに対してしっかりとした技術社員を供給していかなければ、売上にはなっていきません。

昨年の反省点をもとに、2023年3月期は、同業他社が長けている採用比率並に、採用費を使わせていただきます。

採用に関しては、費用投下したとしても数字に追いついてこない部分があるため、一人当たりの能力、いわゆるPER HEADを厳しく意識しながら、今期はしっかりと巻き返していきたいと考えています。

質疑応答:顧客サイドの賃上げについて

司会者:「清水建設など建設企業は、正社員の給料を上げているとのことです。顧客サイドの賃上げが貴社にどのような影響を及ぼすのか、ご教授ください」というご質問です。

清川:建設業界は圧倒的な人手不足にあります。物の需要と供給と同じで、そこで働く人が少なくなればなるほど、世の中では働いている方々の価値が上がっていきます。価値というのは、いわゆるお給料の部分だと思っています。

お客さま側の正社員の給料が上がっていくというのは、私たちとしては当然だと考えていますし、当社で働いているエンジニアの価値もその分高まっていきます。

当社で働く方々のお給料についても、しっかりと昇給していかなければいけないですし、昇給した分、お客さまに対してその価値を十分にご理解いただき、毎月の派遣料金もチャージアップさせていきたいと考えています。

質疑応答:M&Aの方針について

司会者:「M&Aの年間の方針はありますか? 具体的な業種、規模、社数、タイミングなどのイメージがあれば教えてください」というご質問です。

清川:スライドに、M&Aに関する大枠としてのターゲット、資金調達、財務規律を示しています。例えば、金額的に言うと、WACC8パーセントから9パーセントをハードルレートとして設定し、当該レートを上回るM&Aの投資についてのみ検討します。

最も大きなターゲットとしては、同業他社です。この人材ビジネスは、積み上げビジネスになります。クライアントが被っているため、建設系のエンジニアは我々と同じところでがんばっていると考えると、同業他社は間違いなくターゲットになります。

今年4月に当社子会社による吸収分割を行った高砂熱学工業の技術者の方々を含め、まず「ど真ん中」のターゲットは同業他社として、建設系のみならず、機械設計分野、IT分野の技術者派遣という領域に関しては、前のめりでしっかりと検討していきたいと考えています。

それだけではなく、人材ビジネスに付加価値をつけられるような業態、例えば研修をビジネスモデルにしているような会社や、学校法人の中にある専門学校などをグループインさせることができれば、我々の大きな強みになっていくのではないかと考えています。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問1:中期経営計画の最終年度2027年3月期に、売上高400億円を目標とされるとの事ですが、その時点での時価総額の目標はありますか?

回答1:中期経営計画最終年度の業績目標である売上高400億円、Non-GAAP営業利益50億円を達成できれば、仮にPERを始めとした現状の株価バリュエーションが変わらなくても、プライム上場維持基準の内、当社が適合できていない流通株式時価総額100億円以上はクリアできると考えています。

また、中期経営計画にて成長戦略を示し、毎年度の業績目標を達成していけば中期経営計画で掲げた業績目標の蓋然性が認められ、株価バリュエーションも見直されるものと思います。

<質問2>

質問2:海外人材の受け入れについて、足元はどのような状況でしょうか?

回答2:2021年に現地事業法人としてコプロ・ベトナムを設立し、この1年準備を進めてきました。新型コロナ禍により海外渡航に制限がかかる中ではありますが、現地での内部準備は着々と進んでいます。具体的には現地の教育機関との契約締結が最終段階に差し掛かっており、契約の締結後、日本での就労を希望する理工系学生の募集と教育を開始する予定です。

<質問3>

質問3:建設・プラント技術者派遣の定着率の低さが課題かと思われます。今後、どのような対策を考えているのか教えてください。

回答3:人財サービスを提供する当社にとって、人的資本が企業価値形成の基盤となるため、いかに技術者の方々が長く定着して能力を発揮していただけるかが、当社の成長を左右します。今後、当社が技術社員数の拡大を通して業績拡大を目指す中、採用マーケットがタイトな業界経験者の技術者だけでなく、他業界から転職を検討されている業界未経験の方や、大学・専門学校等を卒業される新卒の採用を増やしていかなくてはなりません。

しかし、業界未経験者や新卒の方にとって、馴染みのない建設現場でキャリアを築いていくのは簡単ではなく、当社でも残念ながら入社早期での退職が発生している状況です。そのため、今般発表した中期経営計画では、これまで技術者の自発性に多くを委ねていたキャリアパス形成を、派遣元である当社が能動的に支援することを目指し、「エンジニア応援プラットフォーム」の構築に取り組んでまいります。プラットフォームでは、技術者の半歩先、一歩先の目標を提示しながら、当社が研修制度を提供し、且つ技術者の次の派遣配属先を考えていきます。

中期経営計画の策定にあたり定めました、当社グループのパーパスである「最高の働き方と最高の働き手を」に沿ったサービス価値を技術者、顧客企業の双方に提供していきたいと考えています。

<質問4>

質問4:建設・プラント技術者派遣事業の2023年3月期採用計画について質問です。採用数が前期に比べて1.8倍と高い目標を掲げていますが、どのように達成されるお考えでしょうか?

回答4:当社は創業時から技術者1人を採用するコストとして、採用PHを採用活動の重要指標として定めています。前期までは同業と比べても半分近い水準の採用PHを社内基準に設け、コストを抑えた質の高い採用活動を目指し取り組んできました。しかし、前期においては、社内基準にしばられてしまい柔軟な採用費の投入が遅れたことにより、採用数が伸び悩みました。

2023年3月期については、当社の強みである費用対効果の高い採用活動を維持しながら、採用PHの社内基準を引き上げ、採用費を前期に比べ約2.5倍投入する計画です。営業改革の推進が奏功し、顧客企業からの受注案件数が大幅に増加する等の一定の効果を得られている一方、取得案件にマッチングできる人財がおらずに採用に至っていない、いわゆる採用負けの現状を打破し、配属人数の拡大につなげてまいります。

<質問5>

質問5:建設・プラント技術者派遣事業について顧客の引き合いや採用面など、現時点でのコロナ禍による影響を教えてください。

回答5:前期はコロナ禍の影響により、大手ゼネコンを中心に工事の延期等の影響で一時的に受注案件が細りましたが、現状は社内で進めている営業改革が効果を発揮し始めていることもあり、受注案件数は月間2,000件を超える状態で需要は活況であると言えます。課題は先ほど申し上げた通り、受注案件にマッチングする人財の確保になりますので、2023年3月期は採用費の積極投入により優秀な人財を確保していきます。

<質問6>

質問6:機械設計開発技術者派遣事業の2023年3月期採用計画について質問です。中途採用を中心に85名の採用を見込まれていますが、現時点での手応えを教えてください。特に中途採用は採用が厳しく、人材採用費が嵩む印象があります。または機械設計開発技術者の需要はしばらく強いとお考えですか?

回答6:機械設計開発技術者派遣事業を運営する株式会社アトモスは、前期の2021年6月にM&Aによりグループインして以降、社内体制の整備を進めています。採用面については、グループイン以前は増員を目的とした新規の採用を行っておりませんでしたが、前期の第3四半期から採用担当者をおいて活動を開始いたしました。

この結果、第4四半期の採用数は15人と第3四半期の3人、第2四半期の2人から大幅に増加しています。機械設計開発の分野も建設と同様に技術者が不足しており、派遣技術者の需要は高い状況にあります。2023年3月期は採用活動の強化を更に進め、メーカー出身のエキスパート人財の採用を推進しながら、研修制度の充実を図り若年層の採用数拡大も図る方針です。

<質問7>

質問7:競合と比べたコプロの競合優位性を教えてください。

回答7:人財ビジネスは人を相手にする商売であるため、当社は技術者一人ひとりに寄り添う姿勢を何より大切にしています。そのため、当社は創業以来、技術者を派遣して終わりではなく、派遣後のアフターフォローを重視してきました。マッチングを担当した営業社員が派遣後も派遣先の現場を訪れ、何か悩んでいることはないか、職場環境に問題はないか等、コミュニケーションを取って詳しくヒアリングしています。

しかし一方で、同時に人財ビジネスは差別化が難しい業界でもあります。技術者と顧客企業に他社ではなくコプロを選んでいただけるために、先ほどご説明した通り、今般発表した中期経営計画では「エンジニア応援プラットフォーム」の構築を目指し、人財サービスそのものの差別化を図ってまいります。

<質問8>

質問8:2023年3月期の減益予想は採用費の増加が主要因という理解でよろしいでしょうか? また、翌期以降も同様に採用費は増加していく見込みでしょうか?

回答8:2023年3月期は採用費の積極的な投入を主因とした販管費の増加により、増収減益を見込んでいます。2024年3月期以降につきましても、中期経営計画の最終年度である2027年3月期の目標として掲げたグループ技術者数6,200人に向けて、採用数を拡大してまいりますので、採用数に比例して採用費も増加する見込みです。但し、先行費用による減益は2023年3月期までであり、2024年3月期以降は増収増益基調を作っていきたいと考えています。

<質問9>

質問9:今後の経営の方向性として、労働集約的なビジネスモデルを引き続き強化するのか、徐々に脱却していくのか教えてください。

回答9:人材派遣は労働集約型のビジネスであるため、営業や採用担当者の生産性をいかに最大化するかがビジネス上、重要になります。そのため、当社は個人技に秀でた営業担当者・採用担当者だけが結果を残す属人的な手法から、誰もが標準的な一定以上のパフォーマンスを生み出せる体制を目指し、各種取組みを進めています。

前期はこの一環である営業改革の取組みが効果を生み始め、期初の優に2倍を上回る受注案件数を期末頃にはお客さまからいただくまでに至っています。2023年3月期は、営業でのベストプラクティスを採用活動へ横展開し、生産性を向上させていきます。

<質問10>

質問10:技術者の労働環境、給与など労働条件の改善、安心して働いていける環境づくりをしている会社と考えてよいのでしょうか? 具体的な取り組みを教えていただけますでしょうか?

回答10:同一労働同一賃金の原則の下、当社は従業員の過半数代表者との間で労使協定を締結し、基本給などの賃金と賃金以外の待遇を決定しています。法で定める一般労働者の平均賃金と同等以上の水準の賃金を確保し、毎年当社の評価基準に基づく昇給を行っています。賃金以外の待遇については、雇用の安定や帰属意識向上を目的に有期雇用契約から無期雇用契約への切り替えを積極的に取り組んでおります。

また、毎月のトラスト活動の中で技術社員の様々な声を吸い上げ、不合理な待遇等があれば解消に取り組み、快適で働きやすい職場環境の形成に向け取り組んでおります。併せてサポートセンターも開設し、トラスト活動以外にも技術社員の声を聴く場を設けているほか、現在は新型コロナ禍で開催できていませんが、エリア毎に技術社員と安全大会を開催し、労働災害や健康管理等について情報共有を行っています。

2017年度からは、社員の健康管理・働き方改革推進のため「長時間労働削減計画」を策定し、長時間労働削減にも取り組んでおります。毎年目標を達成し、今期の達成目標は2024年より適用される改正労働基準法と同等の上限規制となっています。 その他にも、新型コロナウイルス対策として、勤務時間内の接種可やコロナ特別有給休暇の設置等、ワクチン接種を積極的に推奨しているほか、インフルエンザのワクチン接種補助、熱中症予防グッズの配布等も行っています。

今後も技術社員に寄り添い、賃金やその他待遇に関して、快適な職場環境の形成を目指し取り組んでいきたいと考えています。

<質問11>

質問11:2023年3月期は採用費を増加させることにより売上高営業利益率7.5パーセントに低下する予想ですが、2024年3月期以降の採用費と売上高営業利益率のイメージをお聞かせください。

回答11:2024年3月期以降の採用費については、2023年3月期と同様、売上高比3パーセントから4パーセントを目安に投入する想定です。売上高営業利益率は、中期経営期間中に10パーセント以上への回復を目指します。

<質問12>

質問12:チャージアップ交渉(技術者の契約単価の見直し交渉)について、売上原価率の改善余地はまだあるものでしょうか?

回答12:人財ビジネスは構造上、原価率の大幅な低下は難しい事業です。そのため、チャージアップにより原価率を保ちながら、売上高を上げつつ生産性の向上を通して販管費を抑制することで経営効率を高めていきます。

<質問13>

質問13:技術者の離職に対してどのような対策を取られていますか?

回答13:当社では、技術者に対する就業状況や今後の希望等の聞き取りのための訪問等をトラスト活動と呼んでおり、創業時から配属後のアフターフォローに力を入れてきました。派遣先の現場に毎月足を運び、技術者とコミュニケーションを密に取っています。

<質問14>

質問14:スタンダード市場を選択し、積極的に自社株買いを行うという選択肢はないのでしょうか?

回答14:当社は東証の市場再編に伴いプライム市場を選択しており、2022年4月4日に市場変更をいたしております。プライム上場維持基準の適合に向けて、中期経営計画を通じた業績の拡大により、現在未適合である「流通株式時価総額100億円以上」のクリアを目指してまいる所存です。

<質問15>

質問15:2023年3月期業績予想は強気ですか? それとも保守的ですか?

回答15:保守的な計画を組んだつもりはありませんが、十分に達成可能な水準であり、中期経営計画の実現に向けた中期的な戦略の推進に加え、営業や採用といった足元の課題にも取組み、業績予想の達成に全力を尽くしたいです。

<質問16>

質問16:同業他社に対する採用負けは、採用費をかけていなかったことが原因ということでしょうか?

回答16:採用負けは、営業部門が案件の受注に一定の効果を上げている反面、採用部門が人財を確保しきれなかった点を表現させていただいたもので、どこか特定の競合に採用負けしたということではありません。労働力人口の減少を背景に日本国内の採用マーケットは非常にタイトであるため、優秀な人財は業界関係なく取り合いの構図にあります。2023年3月期からは採用費の蛇口を上手くコントロールしながら、採用をしっかり強化したいと思います。

<質問17>

質問17:2024年3月期は最高益を目指すとの説明でしたが、2024年3月期以降も投資先行により減益になるという可能性はありませんか?

回答17:2023年3月期の減益予想は、前期に技術者数を思うように増やせなかったため、採用費の増加をトップラインの増加で吸収できないことが理由です。2023年3月期中に技術者数を積み上げることができれば、安定的な収益拡大が見込める積み上げ型ビジネスの特性として、翌期以降は増収増益の基調を作ることができると考えています。