2022年3月期決算説明会

舩橋哲也氏:社長の舩橋でございます。日頃より格別のご支援・ご指導を賜り、心より厚く御礼申し上げます。本日は、お忙しいところ説明会にご参加いただきありがとうございます。さっそくではございますが、2021年度決算の説明を始めさせていただきます。

(1)決算ハイライト

まず、2021年度業績のご説明から始めます。今回の決算のハイライトを一言で言えば、おかげさまで、過去最高の決算を得たことだと思います。受注高については、前年はGIGAスクールの特需などもありましたが、さすがにそこに追いつくまでには至りませんでした。しかし、売上高・営業利益ともに過去最高で着地しています。

期末の配当も年間96円へと増配する予定です。また、先般発表しましたが、今年度も自己株式の取得を継続して行う予定です。後ほどご説明しますが、本年2月公表分を合わせると、年間ベースでは約70億円を予定しています。

また、昨年から開示のセグメントをどうするか検討してきましたが、22年度より主要会社別から事業別の3つの事業セグメントに変更して発表することにしました。事業の動向を含めて、みなさまにもいろいろアドバイスをいただければと思います。

(2)業績ハイライト(受注高・売上高)

まず、トップラインについてですが、先ほどもお伝えしたように、受注高、売上高ともに計画から随分がんばりました。2020年度から2021年度へ向かう時に案件が非常に多くあり、GIGAスクールあるいは高度無線のような大型の部分が剥落すると想定していましたが、他の案件でもがんばることで、それぞれなんとかリカバリーでき、5,953億円まで受注を得ることができました。

また、売上高については、近年、引き続き好調な繰越工事もあり、5,948億円まで伸ばすことができました。

(3)業績ハイライト(営業利益)

営業利益についてです。一言で言えば、2021年度の第1四半期からスタートダッシュが効き、その分が後半戦までもったかたちです。もう少し早く上方修正があってもよかったという反省点もありますが、各セグメントごとにしっかりと行うべきテーマを乗り越えられたと思います。

都市インフラは少し減益の部分がありますが、総合的に見ると、最後の最後まで気を抜かずに売上・利益をしっかりと伸ばすことができたと考えています。

(4)業績ハイライト(セグメント別状況)

セグメント別の状況を一覧表にまとめたものをご覧ください。通信キャリアは、高度無線の出来高の増、あるいはNCCからのお仕事の増もあり、全体としては増えてきています。また、NCC分野の利益も改善しています。

都市インフラは、700​​MHzテレビ受信対策工事の部分や土木、M&Aの効果もあり、売上はだいぶ伸びるようになってきました。しかし、セグメント利益は完全にカバーするところまではいきませんでした。

また、システムソリューションは売上高が1,546億円ということで、前年のGIGAとの対比で見ても遜色がないレベルまでがんばれたと思います。それぞれ基盤的な部分についても底上げができたことと、グローバルでの成長が一部進んできたことがポイントです。利益についても、グローバルで10億円を超えるレベルで改善できましたので、少しずつ路線が定まってきたと思っています。

(1)計画サマリー

続いて、2022年度の通期計画をご説明します。通信キャリアについては、少し減収となることがすでに見込まれていますので、そこは織り込んでいますが、都市インフラ・システムソリューションについては、グローバルも含めてさらなる成長を織り込もうと、増収を予定しています。なお、工事の一部縮小あるいはビジネスの拡大に向けて、のれんなどもM&Aで増えてきています。

また、2021年から本格化しています、社内のDXにおいて費用増あるいは投資増を予定していますので、そのような意味では2022年・2023年は、しっかりとDXで生産性向上を目指すということで、残念ながら営業利益については少ししゃがむ計画になっています。

(2)計画サマリー(営業利益)

営業利益について、すでにいろいろ伝わっているかと思いますが、通信キャリア、特にドコモさまが設備投資あるいは費用のコントロールを行うと聞いていますので、我々としてもそのアナウンスに従ってやや厳しめに減収減益を見込んでいます。できれば、ドコモさまの持ち分をNCCでカバーすると考え、努力していこうとは思いますが、2022年度は我慢の年と考えています。

都市インフラについては、増収で若干の減益を見込んでいます。こちらは引き続きデータセンターが好調に推移すると思っており、データセンターに支えられながら、土木あるいはM&Aで新たに加わった仲間、さらにエネルギーの関係にも積極的に先行投資をかけようと思っています。そのため、その部分が都市インフラに少し効いてくる見込みです。

また、システムソリューションについては、引き続き国内外で堅調に推移すると見ています。グローバルについても、新たな仲間の参加あるいは積極的な投資も考えていますので、利益も少しずつ改善していくと想定しています。

(3)計画サマリー(セグメント別状況)

セグメント別の状況についてです。通信キャリアは売上が少し減りますが、セグメント利益率はなんとか横ばいないし改善しようということで、国内でいくつか見えてきている課題がありますので、その課題の改善を織り込み、達成したいと思います。

都市インフラは、先ほどもお伝えしたように、引き続き堅調に伸びていくとは思っていますが、競争の激化や一部物品などの問題もあり、工程が若干伸びることも予想されます。またエネルギー関係については、いろいろなテーマもいただくようになっていますが、人材のリスキリングなど、まだまだ先行投資をかけないといけないということで、ご理解いただければと思います。

システムソリューションについては、着実な成長を進めていく予定です。

(1)通信キャリア

セグメントごとのご紹介を簡単にします。まず、通信キャリアのセグメントについてですが、スライドに記載したとおりです。高度無線が終了したこともあり、大きな部分はもう峠を越えています。なお、2022年度も、6月末まで北海道などの残りの部分がありますので、こちらをしっかりと仕上げるのが課題です。また、各キャリアの投資動向、あるいはいろいろな施策に機敏に対応できるようにしながら、生産性を維持・向上させていこうと思います。

主な取り組みは、継続課題もありますが、施工のマルチスキル化・マルチキャリア化、あるいはプロセスの見える化による業務の効率化です。このようなものはDXと絡めて、積極投資と同時に徹底して改善していきたいと思います。

(1)通信キャリア(収益性向上の取り組み例)

次に、収益性向上の取り組みの1例をお話しします。現在、我々は工事をするごとにスタティックな写真を撮り、それを検査に回すという工程をとっています。これを紙に出してチェックするのでなく、場合によってはスタティックな画像というよりは、映像を使ってAIの力を借りてチェックをします。その上で、お客さまにきちんとしたものをお納めするという、生産性と品質の向上をテーマに取り組んでいきたいと思います。

(2)都市インフラ

都市インフラについては、先ほどお伝えしたように、現在、すでにグリーンボンドを発行し、バイオマスの拠点も2ヶ所建設中です。物品の遅れなどはありますが、工事はなんとか順調に進んでいます。そのようなこともあり、再生可能エネルギーへの弾込め、さらに高難度な土木の推進工事も受注していますので、しっかりとチャレンジし、よい成果をお返ししたいと思います。

併せて、技術者の獲得や育成に関わる先行投資もしっかり行っていきたいと思います。

(2)都市インフラ(ビジネスユニット別内訳)

ビジネスユニット別の内訳については、後ほどご覧いただければと思います。

(2)都市インフラ(エネルギー)

都市インフラのエネルギーについて、2つご紹介します。1つは、営農型太陽光発電施設の取り組みについてです。農地を利活用するかたちで、ソーラーのシェア事業を東急不動産さまとともにスタートしようと発表したばかりです。ある意味、地産地消であり、この営農の中でいろいろなことができ、エリアの活性化にもつながると期待しています。日本全国でこのパターンができると、かなりの事業規模に成長するのではないかと期待しています。

もう1つは、スライド右側に記載した直流給電についてです。初めてNTTアノードエナジーさまとご一緒するチャンスを得ています。直流1,500ボルトという、日本でもこのパターンではなかなかない先進的な事例として、金沢工業大学さまのキャンパス内での実験を含めた設備構築ということで、お引き合いをいただいたところです。

直流に関わる部分では、通信で培ったノウハウが活きてきますので、我々も積極的にお役に立っていきたいと思います。また、いろいろなエネルギーロスを抑えながら運営するためには、蓄電池の技術も大変重要になってきますが、我々はこちらも持っていますので、併せてご活用いただきたいと考えています。

(2)都市インフラ(土木)

続いて、土木のご紹介をします。今まで、アースシャトルという、海から陸、陸から海の海底ケーブルをある程度長く掘っていく技術をご紹介しています。しかし、もう少し短い距離での工法がないかということで、イセキ開発工機のチームと一緒に、マリンシャトルという工法を作りました。

お引き合いをたくさんいただき始めたところですので、海底ケーブル、あるいはこれから出てくる電力関係のケーブル設備などにも、なんらかのかたちでご採用いただけるのではないかと思います。

スライド右側は、先般受注した中央新幹線のリニアの部分です。地下60メートルという大深度において掘進するもので、我々としても大変チャレンジングではありますが、楽しみにしている案件です。このような高い技術の実績をお見せできたらと考えています。

(3)システムソリューション

システムソリューションについてです。2022年度の計画は、売上・利益ともに増えていくと予想しています。この後ご紹介しますが、特に保守運用も1つの中核コアとして育てていきたいということで、アイティ・イットとの協業も模索しています。引き続きコンサルからAIなども含めた、高付加価値のソリューションになるよう進めたいと思います。

また、グローバルの事業についても着実に成長してきていますので、ご覧いただければと思います。

(3)システムソリューション(ビジネスユニット別内訳)

20ページもビジネスユニットの中身ですので、ご確認いただければと思います。

(3)システムソリューション(戦略会社の設立)

ソリューションの中のテーマについて、2つご紹介します。全体としては「2022年度も積極的に」と思っていますが、特にスライド左上に記載したiGrafxやMicrosoft 365のようなガバメントクラウドの領域については、我々は業務プロセスの可視化・効率化という観点でノウハウを持っていますので、小さいかもしれませんが、積み上げていくとかなりの量になると思っています。すでに西エリアでは、大口のお引き合いもいただいています。

また、「GIGAスクールが終わった」とご説明していますが、一部の高校については少し残っているところもあります。今年度の前半になると思いますが、引き続き高校のGIGAにも取り組んでいきたいと考えています。

(3)システムソリューション(グローバル)

グローバルの事業についてです。M&Aをした仲間の企業ロゴの下に、一言で簡単にどんな分野かを書いています。インフラの世界からアプリケーションサイドまで、また新しい事業の中では、ARCOという、ITハードウェアのリファービッシュ、リユース品などご提供するというおもしろいビジネスを行っている企業など、非常にいろいろなお客さまからお引き合いをいただき始めています。

このように総合的に対応できるよう、シンガポールを中心にしたAPAC、場合によっては欧米についてもお客さまのご要望にお応えしながら、着実に拡大できたらと考えています。

(1)配当、自己株式取得

続いて、株主還元についてです。配当金は、DOE3.5パーセントを基準にしていますが、おかげさまで2021年は業績も非常によくがんばれたということもあり、期末配当は6円増配し、年96円と考えています。また、2022年度についても、しっかりと利益を稼ぐことで、年間102円の配当を考えています。

また、自己株式取得は引き続き機動的に実施し、年間約70億円の規模まで届きました。

(2)総還元額、ROE・EPS

株主還元額、ROE・EPSについてです。おかげさまで、2021年度のROEは9.4パーセントまで届きました。EPS250円が可能なことを証明したかと思いますが、2022年は残念ながら少し下がってしまいますので、ここについては中期経営計画達成に向けて引き続き改善を進めていきたいと考えています。

(1)構造改革

経営基盤の取り組みについてご紹介します。今年度は、大きな通信キャリアの投資動向などが変化しますので、もう一度、全社一斉点検をかけ、社内の構造改革を進めようと思っています。現在、いろいろなお仕事をいただいていますので、その中でより効率化が図れるようにします。

セグメントごとに一体的な運営ができるようなかたち、特に本社を中心とする首都圏でもう少し稼ぐ部分を作ろうということで、分散ロスの解消に取り組みます。また、ソリューションでは、グループ会社の大括り化をすることで、より開発能力のフレキシビリティを上げます。生産性の向上、固定費分の改善をするかたちで、7月1日に大幅な機構改革として組織変更を行う予定です。

(2)M&A

M&Aについては、スライドに記載したようにバランスよく進める予定です。おかげさまで、2021年度に参加してくれた仲間はみな非常に元気で、我々としても頼もしい仲間が増えたと大変よろこんでいます。引き続き、焦らずしっかりとPMIで確認しながら伸ばしていきたいと思います。

(3)ESG経営の実践

グループ全体の経営をさらに進めるということで、この度、若手からいろいろな希望をきき、グループパーパスを設定しました。「”つなぐ力”で創れ、未来の”あたりまえ”を。」を合言葉にグループの発展を進めたいと思っています。

(3)ESG経営の実践(環境)

ESG経営についてです。こちらも強化するということで、社内に「サステナビリティ推進室」「サステナビリティ委員会」を設置し、また、TCFDに対する賛同表明・加盟をしました。細かい部分についてはスライドをご覧ください。Scope1、Scope2については、2050年までにカーボンニュートラルを目指したいというテーマを設定したところです。

(3)ESG経営の実践(その他)

外部からも評価も受けているため、こちらもスライドをご覧ください。

(4)各テーマへの取り組み状況

細かい点はいくつかありますが、一つひとつはお伝えしません。いろいろなテーマを考えていくつかの課題を設定し、今年度はそれを乗り越えようということで作っています。

(1)技能五輪全国大会で金メダルを獲得 ー人材育成の取組みー

トピックスです。技能五輪全国大会で金メダルを獲ることができました。6名が出場した東京大会で金メダルと銀メダルを獲ることができました。過去出場のメダルの数としては一番よかったと思います。今年度に上海で予定されている世界大会にも海老原社員が代表として出場予定ですので、応援したいと思います。

(2)特定技能外国人の採用

1年以上待ちましたが、特定技能で合格した5名がようやくこの4月に入社しました。首を長くして待っていましたが、非常に元気な援軍を得たつもりです。引き続きご支援いただければと思います。

以上で、今回の決算についてご説明を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。