アジェンダ
秋元洋平(以下、秋元):みなさま、こんにちは。これより「元・英資産運用会社アナリスト、現・個人投資家イベント主催者が語る『個人投資家が真に求めるIR』」を始めさせていただきます。
まず、本日の企画説明です。「上場企業が発信したい情報」と「個人投資家が知りたい情報」のギャップが存在する中、「個人投資家は何を知りたいと思っているのか」「上場企業はどのような情報発信を行い、コミュニケーションを取っていくべきなのか」についての理解を深めたいという方は多いのではないでしょうか?
そこで本日は、機関投資家サイドも経験しつつ、現在は個人投資家イベント主催などを手がけるリンクスリサーチ代表の小野さまをお招きし、個人投資家のニーズについてうかがいます。また、個人投資家向けに力を入れていく企業例として、オイシックス・ラ・大地のIR部長とも議論していきたいと思います。
〜QAタイムの参加方法〜
質疑応答の時間も設けていますので、ご質問のある方は、随時「Zoom」のQ&Aボタンからご投稿ください。よろしくお願いいたします。
ファシリテーター①
あらためまして、秋元と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。簡単に自己紹介をします。2016年にログミー株式会社に入社し、翌年に決算説明会の書き起こしメディア「ログミーFinance」を立ち上げました。
現在は、当メディアと金融・IR関連サービスのアライアンスを進めるほか、個人投資家やIR担当者向けのイベントを企画・運営しています。本日は少しでもみなさまのお役に立てればと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
【1】個人投資家が真に求めるIR
それでは、第1部「 個人投資家が真に求めるIR」へ移ります。スピーカーをご紹介します。リンクスリサーチ代表の小野さまです。
【1】スピーカー
小野和彦氏(以下、小野):ただ今ご紹介にあずかりました、リンクスリサーチの小野と申します。よろしくお願いいたします。過去に取材に対応していただいた企業の方には大変お世話になり、ありがとうございます。本日は、日々IRに尽力されているみなさまのお役に立てるように、しっかりとご説明したいと思います。
今回のお話をいただき、10時間くらいかけていろいろ整理しました。2時間くらいはお話しできるのではないかという内容になっていますが、私の持ち時間は30分です。例えるなら、学校の給食で出るコッペパンをぎゅうぎゅうに丸めて投げつけるような、投げつけると言うとおかしいですが、食べるような感じです。
ですので、その背後にある本当のふわふわのコッペパンをイメージして受け取っていただければよいかと思います。イメージできない方はぜひご連絡ください。
自己紹介に移りますが、スライドに記載のとおりです。細かいことは置いておき、ざっくりお話しします。証券会社でエンジニアを担当したあと、セルサイドでアナリストを、その後はバイサイドでアナリストを経て、今は機関投資家向けのリサーチ会社とIRの手伝いを少し行っています。
【1】今日お話しさせていただくこと5つ
本日は「個人投資家向けIRをやることの意味」「(タイプ別)個人投資家が投資検討にあたって知りたいこと」「獲得したい個人投資家に向けたIR施策」「個人投資家向けIRの好事例」最後に「お願いしたい事」という5つのお話をします。
【1】投資主体別売買代金
みなさまはよくご存知だと思いますが、東証一部とマザーズ市場の投資主体別の売買代金について、誰が売買しているのかをスライドに示しています。市場で分けていますが、時価総額が大きく流動性がある企業の市場と、そうでない企業の市場ということです。
マザーズ市場は60パーセントくらいが個人投資家で、東証一部だとしても、売買代金が小さい企業については個人投資家が主体ですので、個人投資家に向けてIRを行うのが当然というお話です。
【1】個人投資家向けIRをやることの意味①
個人投資家向けIRを行う意味です。1つ目は、機関投資家は投資の条件が厳しく、リスクがあるためです。2つ目は、多様な価値観を得られるということです。3つ目は、長期的なファン作りであるということです。それぞれご説明します。
【1】個人投資家向けIRをやることの意味②
みなさまはまとめて機関投資家と言っていますが、条件がある程度厳しく決められています。例えば、時価総額500億円ということです。ロングオンリーの場合は少なくとも時価総額500億円で、日々の売買代金が5億円はあるかと思います。これでも緩い条件だと思います。
先日も海外の機関投資家とお話しした際「おもしろい企業がある」と伝えたのですが、「日々の売買代金は5億円から6億円は欲しいよね」と却下されました。
そのくらい条件をしっかりと決めているため、これをクリアできていないということは、個人投資家向け重視で行うべきだということです。「個人投資家をがっちり増やし、機関投資家が買える条件を揃えましょう」ということです。
最近、流動性のリスクについては理解されてきていると思いますが、まだまだ足りないとも思っています。スライドには「+リスクも」と記載していますが、みなさまは気になるかと思いますのでご説明します。
この厳しい条件をクリアしていない時価総額300億円など、日々の売買代金が2億円から3億円という水準で投資してもらった時は、リスクも抱えているということを頭の片隅に置いておいていただきたいと思います。
どのようなリスクかと言いますと、IRを行って理解してもらえたらその場はハッピーかもしれませんが、株価が思うように上がらなかったり、今回のようにコロナ禍の影響を受けて想定外のことが起こった時に、何かしらの圧力がかかる可能性があるということです。
例えば、「株価が上がらないのは御社のガバナンスの問題じゃないか」とか、「保有現金に余裕があるのだから自社株買いをすれば御社の企業価値は高まるのではないか」など、想定していなかった提案の形の圧力が掛けられないとも限りません。
その方たちはある程度の期間で投資のパフォーマンスを得なければいけない立場にいるため、そのパフォーマンスが得られない場合は、負った流動性リスクを何とかしてリターンに変えなければいけないのです。そのため、何かしらの働きかけがあってもおかしくないのではないかということです。
その点、個人投資家は待ってくれる可能性があると言うとおかしいですが、待ってくれます。もちろん事前にコミュニケーションを取った上で、ファンになっていることが前提にはなると思います。
次に「多様な価値観を得られる」ということをご説明します。個人投資家には年齢・性別・職種など、さまざまな投資家がいるため、個人投資家向け説明会や株主総会を通してそれらの方の意見を聞くことができます。そのような幅広い価値観の方々の意見を聞く場はなかなかないと思いますので、そこから得られる知見もあると思います。
反対に、機関投資家はいろいろな方がいるとは思いますが、結局は金融業界の中の人ですので、似たような人と言うと問題かもしれませんが、さまざまな個人投資家がいることと比べると、それほど変わりはないと思います。
最後に「長期的なファン作り」についてです。日々、個人投資家からの理不尽な問い合わせに悩まれているIR担当の方もいるかもしれませんが、そのような方からみれば、個人投資家が短期か長期かと考えると「個人投資家って短期が多いよね」と思うかもしれません。
私はどちらかと言いますと長期の個人投資家のほうが付き合いが多いですが、それ以外では短期や長期というスタンスをあまり決めていない投資家の方が多いのではないかと思います。「どのように短期や長期を決めるのか」というと、IRの対応次第だと非常に感じています。
例えば「Twitter」で社長自らが煽るような発言をすると短期の投資家が増え、長期の投資家はいなくなります。「付き合っていられない」ということですね。
一方で、問い合わせがあった時に丁寧な回答を送ったり、早期に回答したりしていると、長期の投資家が自然と増え、ファンになってくれることがあると思います。じっくり理解してファンになってもらえれば簡単には離れません。常に頭の片隅にいる状態になりますので、もし売ったとしてもまたどこかで買ってくれます。
そこまで来ればしめたものと言いますか、「下がったら投資してくれる」「売買に厚みができる」ことにつながると思います。
【1】タイプ別 投資家は何を期待しているのか
「個人投資家が投資検討にあたって何を知りたいか?」ということです。「配当重視」「優待重視」「成長重視」のタイプ別に簡単にお話しします。
【1】配当重視・優待重視
「配当重視」は安定配当と成長による増配ということですが、ここで気をつけたいのは安定配当をどのように捉えているかということです。
例えば、社内の要因や今回のコロナ禍の影響などの外部の要因により、減益や赤字になった時に、減配や無配になると安定配当とは言えません。ですので、どんな時も配当を維持する覚悟があるかを知りたがっています。
「優待重視」は優待の継続と充実を求めており、優待が企業価値向上につながるかどうかを考えています。QUOカードやお米など、自社の製品・サービスに関係ない優待を行うと、実際に株主が得る価値と企業の負担を比較すると負担のほうが大きくなります。つまり、企業価値を毀損する行為にもなるのです。賢い投資家のみなさまは理解していると思います。
また「優待目当ての投資家に投資してほしい」というメッセージにもなります。例えば「どのような会社か知らないが、QUOカードがもらえる企業なんだよ」という認識の投資家が増えるということです。「それでもよいのでしょうか?」ということです。
【1】成長重視
「成長重視」タイプについてです。今回は「個人投資家が真に求めるIR」というテーマですが、みなさまが知りたいのは個人投資家の中でも「成長重視の投資家」なのではないかと予想します。つまり「成長期の成長に寄り添ってくれる投資家が何を知りたいのか?」ということです。
彼らと言いますか、私もそうですが、まず知りたいのは企業の本質的価値です。「存在価値」「事業内容」「儲かるビジネスモデルかどうか?」ということです。
「儲かるのか?」というのは、単純に「儲かるかどうか」ではなく、「きちんと付加価値の高いことを行っているか?」「顧客にそのようなものを提供しているか?」ということです。「しっかりと伝えているよ」と思うかもしれませんが、多様な投資家がいますので、すべて伝わっているとは思わないほうがよいです。
次に「成長する意思・継続する意思があるか?」ということです。よく「上場ゴール」など、言われているほうは「失礼な」と思うかもしれない言葉がありますが、このような言葉が当たり前のように使われています。企業のことをしっかり理解していないからかもしれませんが、長期的な成長に対して疑問を持っている投資家は多いです。
ここに対し「社会をどのように変えていくか?」というメッセージを積極的に投げかけることが必要です。投資家の脳みそにズバッと投げ込み、疑念の壁を打ち砕いてほしいということです。
もう1つは、「機関投資家やアナリストが優遇されているのではないか?」という投資家間の情報格差の有無です。疑問や疑念というよりは、ほぼ確信しています。確信と言いますとそのようなことがあるように聞こえてしまいますが、そのように思っている投資家は多いです。
機関投資家・アナリスト向けの説明会は行うが、個人投資家向けは行わないなど、個人投資家が軽視されている現状を見ると当然かなと思います。ここはあまり否定もできないと思います。ですので、このあたりは考えていただき「できることから始めましょう」「できないこともやりましょう」ということです。
【1】成長重視の投資家向けIR施策
獲得したい個人投資家に向けたIR施策についてです。先ほどお伝えしたとおり、今回のテーマでは個人投資家をどのように位置づけているかと言いますと、おそらく成長重視の個人投資家向けなのではないかと想定してお話ししています。
まず、社長の顔を見せるということです。機関投資家は他人のお金を預かって投資していますが、個人投資家は自分のお金を使って投資しています。投資家は、自分のお金を誰に託すかを重視します。社長を知りたいということです。
それに対して説明会や投資家向けメディアなどに出て説明を行い、思いを伝えるということが必要です。熱く語り「俺に任せろ」というかたちで説明すると伝わるのではないかと思います。
コミュニケーションの場を作ることも大事です。個人投資家向け説明会や株主総会後の事業説明会など、できることはいろいろあると思います。ここで強調したいのは、コミュニケーションということです。
私が勝手に思っていることですが、動画を流すだけなど、一方的に話す形式の個人投資家向け説明会はほとんどお金の無駄だと思っています。開催する意味はありますが、時間の無駄ですので、意味がないとも思います。必要なのは対話です。
【1】開示資料の改善
次に、開示資料の改善です。わかりやすい開示資料が必要です。「説明できている」と思うかもしれませんが「ちゃんと伝えきれていないな」と常に考え、改善してほしいです。専門用語や略語の羅列、数字の説明が中心になっていないでしょうか?
例えば「内容をまったく知らない友人に資料を見て理解してもらえるか?」などの基準があってもよいと思います。
わかりやすいだけではなく、事業内容はもちろん「どのような課題に向き合っているか」「それをどのような手段で解決するのか」「会社の成長によって社会はどのように変わるのか」については、説明会資料から意外と漏れているのではないかと思いますので、見直していただきたいです。
このあたりは、個人投資家のハートに直接訴えていきましょう。機関投資家よりも個人投資家のほうが熱が伝わりやすいと思います。
1つ注意したいのは「BtoBだから理解してもらいにくい」と思い、説明会資料を平易にしている企業があります。しかし、個人投資家には熱心に勉強している方も多いため、意欲のある投資家にわかってもらえる資料を作ったほうがよいと思います。
【1】個人投資家と共にリンクスリサーチが開催する説明会
私たちが実施している個人投資家向けの企画について簡単にご紹介します。「成長企業がファンを作る説明会」をテーマに、社長に登壇してもらっています。説明が1時間、質疑応答が1時間くらいの時間設定です。約100名の個人投資家が参加してくれますが、40代以下の方が8割ほどで比較的若い参加者が多いです。
【1】個人投資家向けIRの好事例
個人投資家向けIRの好事例についても簡単にご紹介します。ラクスは、中村社長およびIR担当の方が積極的に活動しています。
私たちの企画の第1回に登壇してもらいましたが、社長の熱い思いが伝わり、かなり好評でした。早期にIRメールの提供を開始したり、説明会の動画をアップしたりと、IR担当の適切なサポートがあり、総合力が高いと感じます。
ENECHANGEは2020年12月に上場した企業です。投資家との1on1はもちろん、個人投資家向けの説明会にも積極的に登壇しています。毎月のように、どこかの個人投資家向け説明会に登壇している状況でした。
城口社長がイギリスにいるため、日本時間との時差を利用して、社長・CFO・IR担当とみなさんで一丸となってIR活動を行っていました。常に名前が挙がる企業でしたし、私たちの企画にも登壇してもらっています。
PR TIMESは、通常の説明会を「YouTube」でオープンに配信して、誰でも見られるようにしています。それに加えて、個人投資家向けの説明会も別途、自社開催していました。山口社長自ら、個人投資家にも機関投資家と同じように情報提供するため工夫しています。
グッドパッチは2020年6月に上場した企業です。個人投資家向けの説明会を自社開催し、土屋社長自ら、質問が切れるまで、毎回2時間以上も回答していました。さらに、参加できなかった方も情報にアクセスできるように、説明会の動画と文字起こしの記録をWebサイトに載せています。
交換できるくんは2020年12月に上場した企業です。上場後間もなく、私たちの企画に栗原社長が登壇してくれました。上場間もない会社は「個人投資家向けの説明会はよくわからないから様子見する」と言うことが多いです。しかし、栗原社長は参加を即決してくれたため、とてもうれしかったです。
それだけではなく、毎回の資料もよりわかりやすくなるように改善し、IR担当の方も積極的にがんばっているのが見てとれます。社名もわかりやすいですが、これも大事なポイントです。栗原社長もかなり悩んで決めたそうです。
今ご紹介した企業に共通しているのは、わかりやすく伝えているということです。また、機関投資家と個人投資家との間に情報格差がないように工夫しています。そして、社長が積極的に関与しています。
みなさまの会社はいかがでしょうか? ぜひ、振り返って考えていただきたいと思います。
【1】お願いしたい事
最後に、みなさまにお願いしたいのは、IRを投資として考えてほしいということです。IR専任者がいる企業はまだまだ多くありません。経理と兼任していたり、経営企画と兼任していたりすることが多いです。
結局のところ、企業価値は業績なのかもしれません。しかし、伝え方次第で資本コストを下げることができれば、企業価値は向上します。そのため、IRは企業価値に直結する投資だと私は感じています。
以上で私からの説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【1】会場からの質問:ESGやSDGsのIR開示について
秋元:会場からの質問です。「ESGやSDGsのIR開示について、個人投資家は興味を持っていますか?」とのことです。
小野:1年ほど前にはESGなどのIRに対して否定的なコメントもありましたが、最近では少なくなってきました。ただし、興味があるかと問われれば懐疑的です。
企業のみなさまは、基本的に社会課題の解決のために活動しています。そのため、その活動自体をESGやSDGsの枠に当てはめればよいと思います。嘘をつくわけではないので、そのような意識を持つのがよいと思います。
秋元:実業とあわせて発信していくということですね。
小野:そうですね。どのように伝えるかが重要です。
【1】質疑応答:機関投資家向けのIRの注意点について
秋元:「小野さんが指摘した個人投資家向けのIRは、機関投資家向けにもほぼ応用できる印象です。逆に、機関投資家向けのIRの場合に念頭に置いたほうがよいことや、個人投資家向けIRとは異なることはありますか?」とのことです。
小野:機関投資家には一生懸命説明しているのではないかと思いますが、個人投資家向けIRにおいて重要なこととの違いはないと思ってよいと思います。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日小野さまに回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問1:IR担当者をなぜ置くべきか、もう少しブレイクダウンしてご教示いただきたいです。また、理想のIRチームのメンバー構成(人数や役割など)をお教えいただけますと幸いです。
小野:まず、今、自社が市場で正しく評価されているか見直してください。市場で評価されていないのであれば、その為にやるべきことは多数あると思います。以下、すでに取り組んでいることかもしれませんが参考としてあげさせていただきます。すべて網羅しようと取り組めば、兼任でやれる作業量ではないと思いますがいかがでしょうか。
自社内の活動と外部への活動で、分けてご説明します。
自社内での活動については、例えば、マネジメントとのミーティング、社外取締役とのミーティング、これらは当然ですが、より現場を知るために、常に社内の事業部門とのコミュニケーション(キーマンをおさえる)をします。取材で現場の声がリアルに聞くことができると信頼性が高まります。地方にも拠点があるのであれば、地方拠点をみて回ることも必要でしょう。開示資料に現場の声を反映してもよいですね。
外部への活動については、フェアディスクロージャーを達成するための開示情報の充実、資料の改善は時間も手間もかかりますが、多くの企業で優先的に取り組むべきことだと感じています。セミナー内でもお伝えしたことですが、1on1や説明会で受けた質問も参考にしながら、わかりやすく自社の思いを伝える開示にぜひ取り組んでほしいです。
また、様々な開示規定の更新・変更に対する対応も非常に悩ましい事項ですが、規定に縛られることなく、自社ならばどう開示すべきかを考えるべきだと思います。加えて、最近ではSNSなどを活用したIRをする企業も増えています。多くの投資家とつながる手段の一つとして検討してもよいのではないでしょうか?
他にも独自で取り組まれていることはあるでしょうから結構忙しいと思います。
必要な人員、体制について。自社の課題を洗い出していただいて必要な人員を検討することになりますが、まずは専任者が最低一人は必要ですね。あとは、予算と相談して外部のリソースを活用しながら効果的なIRを継続する。並行して新たなIR担当者を育成する。企業規模が大きくなれば、負担も大きくなるため複数の専任者が必要になるでしょう。
<質問2>
質問2:優待を廃止して、配当を出そうと思っていますが、どう思いますか?
小野:セミナー内でご説明させていただきましたが、自社製品、サービスが優待にできないのであれば、廃止をお勧めします。お考えの通り、配当にすることがよいと思います。優待廃止で株価は下落するかもしれませんが、配当を実施するとともに、株主還元に対する考え方、企業価値向上に対する取り組みをしっかり明示すれば新たな投資家と接点を得るきっかけとなります。
実際、株主優待を廃止して株価が下落しても、すでに競争力が評価されている企業の株価は短期間で持ち直している事例も少なくないです。
また、もう一つのアイディアとして、BtoBだから株主優待ができないということはなく、工場見学など現場を知ってもらうこともあるでしょうし、自社の事業に関わる企業の製品を対象にするなど、自社を理解してもらう株主優待の方法があると思いますのでぜひ検討してください。
<質問3>
質問3:社長&取締役があまり表に出たがらなくて困っております。社長を説得するには?
小野:投資家は自分が汗水たらして働いて得たお金を企業にではなく、社長に託していると理解してもらってください。
【2】 IR活動事例:オイシックス・ラ・大地様
秋元:続きまして、オイシックス・ラ・大地のIR活動の事例へ移ります。コインチェック株式会社Sharely事業部、事業部長の大島さまにバトンタッチします。
ファシリテーター②
大島啓司氏(以下、大島):ここからは私が進めていきます。よろしくお願いいたします。
簡単に自己紹介します。昨年3月からコインチェックのSharely事業部を牽引しています。事業部長としてバーチャル総会の普及に日々邁進しています。以前は外資系の企業で変革業務などいろいろな業務に従事していました。
本日お招きしているオイシックス・ラ・大地の梅村さんをご紹介します。
【2】スピーカー
梅村翔也氏(以下、梅村):みなさま、初めまして。オイシックスの梅村と申します。自己紹介は割愛し、会社の説明に移りたいと思います。よろしくお願いします。
【2】オイシックス・ラ・大地株式会社について
オイシックス・ラ・大地は、簡単に言うと食品宅配・食品のeコマースの会社です。有機や低農薬の野菜、添加物をできるだけ使わない加工品、ミールキットなど、普通には手に入らない商品を販売をしています。
もともとはオイシックスという会社でしたが、数年前に大地を守る会とらでぃっしゅぼーやという会社が一緒になって、3つの社名がくっついてオイシックス・ラ・大地という会社になりました。いずれもターゲットが異なる3ブランドで展開しています。
スライドには記載していませんが、買い物難民の方向けに移動販売事業を行うとくし丸、ヴィーガンに特化したプラントベースのミールキットをアメリカで販売するPurple Carrotという子会社も持っています。このような食に関するさまざまな社会課題の解決を理念としています。
【2】オイシックス・ラ・大地 個人投資家に関わるIR施策
私自身、らでぃっしゅぼーやからこの会社にジョインしました。統合した当時はIRの専任部署がなく、右も左もわからない状況から立ち上げ、今年で丸4年経ちました。
今までは個人投資家向けではなく機関投資家向けのIRを強化してきて、この数年間で機関投資家比率をある程度増やすことができました。機関投資家が増えるとボラティリティが安定するかと思っていたのですが、直近の株価を見ていただくとわかるとおり、そう上手くは進捗していません。あらためて個人投資家向けIRも含めたバランスが重要だと感じ、これから強化していきたいと思っています。
スライドに記載のとおり、個人投資家向けで言いますと、弊社サイト上に個人投資家向けのページを作りました。また、BtoCのビジネスモデルを踏まえた株主優待のコンセプトを変更しました。ほかにも、個人投資家向けの説明会や、証券会社のリテール営業向けの説明会も実施しています。
情報開示の公平性・情報格差の改善についてはまだまだではありますが、決算資料をできるだけ見やすくするなど少しずつ工夫しています。また、機関投資家からのQ&Aはすべて動画やテキストをアップしています。
株主総会については、2019年まではリアルで開催していましたが、2020年・2021年はコロナ禍の影響でハイブリッドで開催しています。施策と言うほどでもありませんが、このようなことを実施してきました。
大島:個人的にはオイシックス・ラ・大地の株式も非常に魅力的だと思っております。梅村さまからいろいろな施策を紹介してもらいましたので、1部で登壇した小野さまにもご意見を伺ってみたいと思います。
小野:以前に取材したこともあるのですが、個人投資家向けのIRというテーマを踏まえて、非常によいところと、「これはどうしてやらないのかな?」と思ったことをコメントします。まず、すばらしいと思ったところは3つあります。
1つ目は、2018年の時点で個人投資家向けページを作成していることです。2018年当時の時価総額は300億円から400億円くらいで、今の3分の1くらいの水準だったかと思います。その水準のタイミングで個人投資家向けIRを強化することは重要であり、わかりやすい図や写真が掲載されていてよかったです。
2つ目は、フェア・ディスクロージャーに努めていることです。2019年からは説明会動画の配信や、スクリプト・Q&Aの開示もされていてよいと思います。
3つ目は、2018年の株主優待コンセプトの変更です。これはとてもよいと思いました。今の優待には、食支援プラットフォームへの寄付や、フードロス解決型ブランドのアップサイクル商品などがラインナップされていますよね。
BtoCの企業では、商材をそのまま送ることが多いと思います。そうではなくて、自社のコンセプト・考え方、どのような社会課題を解決しているかをメッセージとして伝える優待を設定されており、非常にすばらしいと思いました。そして、そのメッセージを説明会資料の中に落とし込んでいるのもよいと思います。
一方、「これはどうしてやらないのかな?」と思った部分についてです。先ほどもお伝えしましたが、社長が前に出てきて、直接メッセージを投げかけるべきです。社長と個人投資家とのコミュニケーションをもっと積極的に行ったほうがよいと思います。また、個人投資家向け説明会は開催しないのでしょうか? 御社はBtoCですので効果は高いと思います。
梅村:本当に正論すぎて耳が痛いという感じです。まず、個人投資家向け説明会に関しては、お話ししたとおり、今までそもそもあまり重視していなかったところがありますので、これから積極的にできればと思っています。
同時にIRの立場でお話しすると、やはり社長の時間をどのように投資するのかという点がかなり重要だと思います。したがって、個人投資家なのか機関投資家なのか、そのバランスはしっかりと考えていきたいと思います。まずは、私自身が社長のように魅力的に話せるようになるのが非常に重要だと思っています。
小野:「実施しないのか」というネガティブな質問が後に来てしまったため、それに対してのコメントしかいただけていないのですが、私は株主優待の考え方はとても素晴らしいと思います。どちらかというとすばらしいと思っているほうが強いので、株主優待の考え方について、一言いただけるとうれしいです。
梅村:株主優待に関しては、おっしゃるとおり、もともとはけっこうお米や人気の商品を送っていました。先ほどもお話ししましたが、着任後、当社は食に関する社会課題に対して毎年いろいろな取り組みをしていました。
例えば今ですとフードロスなど、我々も会社としてその時々で本当にいろいろなことに取り組んでいます。先ほど小野さまがおっしゃったアップサイクルのように、例えばブロッコリーの茎やナスのへたなど普通の加工工程で捨てられている品物をチップスにした商品を優待にしたりしています。
また去年はコロナ禍で居酒屋などでお酒がぜんぜん売れなくなってしまい、酒米の農家さまが非常に困っていました。それをリゾットにして販売する取り組みをしていたのですが、それを優待にしました。
このように食の課題に対して毎年いろいろなことに取り組んでいます。労力はかなり大変ですが、その理念に共感する方にやはり投資をしてほしいという思いを大切にしています。
小野:きっと、とても頭を使うことだと思います。優待は、個人投資家向けでは特に、共感する投資家を集める非常に有効な手段であり活用しない手はないと思いますので、とてもすばらしいと思います。
大島:小野さま、いろいろコメントとアドバイスをありがとうございます。
小野:勝手なことばっかり言って申し訳ありません。
大島:アドバイスとご指摘ありがとうございました。個人的にも大変勉強になりました。この後はIRの2021年の6月総会をご支援したバーチャル株主総会、IR施策、SR施策のところに少し入って、また梅村さまに後ほどコメントいただければと思います。
【2】株主総会に参加したことによる、株主の意識の変化
大島:バーチャル株主総会も含めた株主総会全般に関わるデータを3つほど用意しました。バーチャル株主総会も含めて、株主総会全体に参加して、投資に対してどのように思ったかというデータです。
基本は、右の3つを足すと約50パーセントです。やはり何かしらの機会で参加したバーチャル総会、リアル総会も含め株主総会に参加された方は、かなり投資に対してポジティブになります。したがって、総会に参加する仕組みは必要だろうという、1つ目のデータです。
【2】バーチャル株主総会の参加経験・参加した感想
大島:2つ目のデータです。まだ歴史が浅いのですがバーチャル株主総会は、最近日本でも導入されるようになりました。スライドの左図のように、参加経験者は全体の投資家の5パーセント以下です。
ただ右図でその5パーセントという小さいデータを見ると、一度バーチャル株主総会に参加した株主さまの半分以上が「また参加したい」もしくは「バーチャル株主総会を企画して参加させてほしい」とポジティブに回答しています。
【2】今後もバーチャル株主総会を求める・求めない理由
大島:スライドの左のデータは、今後もバーチャル株主総会に参加したい理由です。新型コロナウイルスの問題もありますが、やはり遠距離の株主さまも多くいらっしゃると思いますので、約9割が「移動がなく参加しやすい」と回答しています。
集中日などで同時に参加する場合もあるため、9割くらいの方が移動などに関して「効率的に参加できる」と考えているデータだと思います。
右のデータは「バーチャル株主総会もよいが、あまり参加したくない」という声の内訳です。バーチャル株主総会でも経営者の声を聞けるのですが「やはり直接、1年に1回は聞きたい」「顔を見たい」という声が約4割と、かなり比率を占めています。
それ以外は、やはり高齢の株主などもいらっしゃる会社も多いため「システムの利用があまりできない」「配信を見てみたがあまり円滑ではなかった」という回答が、約20パーセントありました。
後ほど開催形式も軽く説明しますが、オイシックス・ラ・大地さまが開催したような、会場もあってオンラインもある「ハイブリッド型バーチャル株主総会」がかなりポジティブに求められているだろうと、このデータからわかると思います。
【2】バーチャル株主総会の種類
大島:バーチャル株主総会の開催形式の種類と、どのようなことができるかの説明です。ハイブリッド型は会場併設で、参加型も出席型もオンラインと会場で同時に行います。
出席型はそこで議決権行使ができます。まさに、オイシックス・ラ・大地さまが開催した形式です。去年の6月中旬から、完全オンラインといわれるバーチャルオンリー型も、実は日本でできるようになっています。したがって、現在この3つの形式で、自社に合うもの、株主さまに合うものが選べます。
【2】Q. 出席型オンライン株主総会、開催の理由
大島:ここからはまた、梅村さまにご登壇いただきます。昨年6月にご支援させていただきましたが、バーチャル株主総会でハイブリッド出席型を選択した背景を、ご説明いただけますか?
梅村:先ほどお話ししたとおり、個人投資家の方と社長、メンバーが直接対話できる機会が、正直、株主総会くらいしかなかったことが、まず前提としてあります。
やはり、きっかけとして新型コロナウイルスの影響はもちろんありますが、だからといって「コロナ禍になったからその対話の機会にアクセスしにくくなるのはNG」という思想が、まず根本としてありました。
2年前の2020年4月くらいに第1波がきたと思いますが、そのタイミングで我々はちょうど第4四半期の決算説明会を自社運営でZoomウェビナーを使って開催していました。そして、決算説明会ができるなら株主総会も開催できるのではと考え、1年目は自前で開催したことが最初です。
先ほどのスライドで言うと「参加型」で1年目は開催したことになります。ただ、一度開催してみて、社長が話すだけの決算説明とは違い、社外役員が外から参加するし、少なからずいる会場に参加してくれる人たちにどう見せるかという点でも、オペレーションが難しいと感じました。
また、1年目の参加者はオンラインで10人くらいでしたが、次回開催するからにはきちんとレベルアップしたいと考えました。リアルの時の参加者は200人くらいだったのでそれくらいまで増やしたいと、しっかりKPIを置きました。そうすると、オペレーションを自前で開催するのはかなりリスクがあると判断し、昨年はコインチェックさまにお願いしたという背景になります。
出席型にこだわっているというよりは、先ほどお話ししたとおり、オンラインだからといってアクセスが悪くなったり、リアルでの参加と違う状況になったりという事態は基本的にはなくしたいと思っていました。したがって、オンラインの時も、リアルでの参加と同じように権限を持つ出席型を採用しました。
【2】Q. オンライン株主総会での気付きや工夫
大島:ご支援した昨年をあらためて思い出しましたが、非常によい総会だったと個人的には思いました。それをふまえて、もう1つ質問をご用意しています。
今日は、いろいろな企業の担当者さま、IRもしくはSRに興味がある担当者さまもいますので、開催してみてわかった気付きや工夫など、少しアドバイス的な要素も含めて、コメントをいただいてもよろしいですか?
梅村:まず気付きとしては、「参加しやすい」ということはいわずもがなだと思います。リアルでは東京で開催していましたが、オンラインはアクセスしやすいため、目標の200人には届かなかったのですが、ありがたいことに160人くらいに参加いただけました。それに付随して「質問のしやすさ」は間違いなくあると思います。
会場開催の時は、2問くらいでしたが、オンラインだけで10問くらい質問がきました。対話の場と考えるとオンラインのほうが非常に実施しやすいと気づきました。
正直、工夫といえるような取り組みはしていませんが、オンライン株主総会自体がまだそこまで個人投資家の方にスタンダードに普及してきていない状況もあったため、まずは「この形式で実施する」という認知を工夫しました。
招集通知でいかに目立たせるかを意識し、参加したい方がなんの障壁もなく参加できるプラットフォームや問い合わせ窓口は、しっかり準備する必要があるだろうと思いました。
一方で、あまり凝りすぎる必要もないとは思っています。オンラインだからといって、テレビのようにカメラを切り替えて万全に行うような必要もないとは思っています。しっかりと見やすいことと、どちらかというと対話することが我々の一番の目的だったため、そこを重視してそれに合わせたかたちでコインチェックさまにいろいろお願いしました。
大島:では、質問がかなり来ていますが、時間も少し押していますので、あと1点だけご回答いただいてもよろしいですか?「個人投資家向けIRの施策を行って、1つだけよかったと今思えるものはどのようなものでしたか?」
梅村:株主総会にも共通しますが、個人投資家の方との対話の機会があまりないため、ネットやYahooの掲示板をもちろん見るのですが、どうしても、サイレントマジョリティの方の意見を聞くことがそれほどありませんでした。
そこを改善するため私どもの株主優待は選択制にしており、その折り返しの返答をアンケート付きにして、定性コメントや属性を記入するアンケートも一緒に実施しています。
どのような方が株主なのかという属性やコメントを比較的入れやすいので、そのアンケートによって、そのような声を吸い上げられた点は比較的よかったと思います。先ほどもお話ししましたが、株主総会で10問くらい質問がきたことも同様です。
大島:残りの質問はお時間の関係もありますので、また追って確認します。では、梅村さま、長い時間ご協力、ご登壇ありがとうございました。ここからは秋元さまに、戻ってきていただきます。
秋元:大島さま、梅村さま、どうもありがとうございました。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日小野さまに回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問1:IR協議会に再度入会された理由と入会したことで成果がどうだったかご教示ください。
梅村:IR協議会様が実施しているIR優良企業賞の選考において、IR活動が点数としてフィードバックいただけることを求めて再入会いたしました。
IR活動は、なかなか定量化してフィードバックいただける機会が少なく、自分たちの活動が他社と比べてどの程度出来ているのか、どのカテゴリを強化しなければいけないのかなど面談でのフィードバック付きで解説いただけるため、非常に良かったと思っております。
<質問2>
質問2: 個人投資家向けのIRサイトの効果はありましたでしょうか?
梅村:正直、当社も効果検証の方法については確立できておらず悩んでおります。取組みは出来てはいないですが、個人株主様向けに、IRサイトの閲覧経験や、わかりやすさなどを評価してもらうのが一番直接的で良いかもしれません。
あとはIRサイト表彰などの結果をレビューいただくことも、UIUXや分かりやすさを改善する点では良いフィードバックになると考えています。
<質問3>
質問3:リテール向け説明会、IFA向け説明会の効果はいかがでしたか?(効果測定をどのようにされましたか?)また、IFA向け説明会をどのようにしたら開催できたのかも、可能であれば教えていただけると助かります。
梅村:こちらも効果測定は出来ていません。(当社は個人向け説明会自体、まだまだ出来ていませんのでこれから質も量も高めていければというステータスです)
他社様の事例ですが、説明会後のアンケートの満足度などをKPIにされているとお聞きしたことがあり、例えば、自社開催(自社のオープンスペースを活用など)で開催した場合の方が、会社の雰囲気が分かって満足度が高くなるとのことです。(ただ説明会がそのまま株式購入に直結したかどうかはなかなか分からないそうです)
証券会社のリテール営業様や、IFA向けに説明会を実施したのは、直接個人投資家に説明を行うよりも、面をとれるとの仮説からです。IFA向けの説明会は「株主手帳」を出版されている青潮出版株式会社経由で実施いたしました。
【3】サービスのご紹介
それでは、最後に、簡単に私どものサービスと「Sharely」のサービスをご紹介します。
【3】〜複数の提携サービスへの配信で多くの投資家へアプローチ〜
「ログミーFinance」は、IRのイベントに関するメディアの掲載、配信を行うサービスです。みなさまの課題はやはり「上場企業がおよそ3,800社ある中で自分の会社を本当に投資家に知ってもらえているのか」「認知を取れているのか」だと思います。
それに対して、私どもは決算説明会や株主総会の内容を全文書き起こしして、「ログミーFinance」に掲載します。さらに、スライドに表示されているようなさまざまな提携サービスに配信されることによって、その企業さまの認知度をより上げることできます。
【3】動画・書き起こしの配信で個人投資家 7,000人以上へリーチ
2つ目に、個人投資家向けのオンラインIRセミナーを実施しています。先ほど小野さまからもご指摘がありましたが、対話が必要です。私どももイベントにおいて、なるべく投資家の方と登壇される役員の方々の対話を重視しています。
その内容をそこだけに留めるのではなく、アーカイブをきちんと残し、さらに外部にも配信していくことで、1回でだいたい7,000人以上にリーチできる内容になっています。
【3】Zoom導入無料支援
3つ目に、株主総会のバーチャルもそうですが、コロナ禍になってから各企業さまのIR系のイベントはどんどんオンライン化してきています。
特に私どもの場合は、決算説明会のオンライン化を無料でご支援しています。今日使っているZoomのツールを使ってノウハウをご提供し、自社で配信できる状態までサポートさせていただく内容になっています。
【3】YouTubeチャンネル
4つ目に、私どもはYouTubeチャンネルを運営しています。今、説明会動画や株主総会動画、個人投資家向けイベントの動画を掲載されている企業さまが増えていると思います。自分のIRページだけだとなかなか見てもらえませんが、その素材を提供いただければ私どものほうで掲載し拡散します。こちらもすべて無料でアップします。
これらの4つのサービスにもしなにかご興味があれば、アンケートにチェックをいただければと思います。よろしくお願いします。そして、コインチェックさまからもサービスの紹介をお願いします。
コインチェック株式会社のサービス紹介①
大島:弊社は、参加型、オイシックスさまが開催された出席型、完全オンラインのオンリー型のすべてに対応できます。
マネックスグループのマネックス証券と一体となっており、システム開発力、暗号資産取引所も含めたセキュリティ管理が強いので、システムやセキュリティに注意したい場合、弊社は非常に適していると思っています。
コインチェック株式会社のサービス紹介②
もちろん、システムがよくても法律に準拠していない、経済産業省が推奨しているガイドラインにそくしていないとまずいので常にアップデートし、定期的に経済産業省や顧問弁護士とディスカッションも行っています。
コインチェック株式会社のサービス紹介③
弊社のサービスは、システムだけの提供や、アナログ的な招集通知のレビュー、総会当日、リハーサル同席、そのようなこともすべて柔軟に対応できるようになっています。
コインチェック株式会社のサービス紹介④
1月前半に日経新聞に弊社が取り上げられたのですが、オイシックスさまが開催したようなハイブリッド出席型、バーチャルオンリー型にはやはり不安要素もあります。
そこで、損保ジャパンと組んで業界初の新たな損害保険を開発しました。もしバーチャル株主総会で通信障害などのトラブルがあっても、弊社の場合はその保険料を別途ご請求せずに支援サービスに組み込んでのご対応が可能な他社にはない強みを持っています。もしご興味がありましたら、ぜひお問合せいただけますと幸いです。
秋元:先ほどもお伝えしましたが、これらのご紹介したサービスに関しては、ご興味がある方はアンケートにチェックをいただければと思います。
また、このセミナーに参加してみて、よかったところ、悪かったところのフィードバックを率直にいただければと思います。投資家とはもちろんですが、私たちも、みなさまとIRに関してどんどん対話を重ね、よりよい業界にしていきたいと思っていますので、ご協力お願いいします。
この今の市況や新型コロナウイルスの影響、オンライン化の進行や市場再編など、IRのご担当の方には頭を悩ませることがなかなか多いかとは思います。私どもとしては、みなさまに対して有益な情報提供ができるように今後もセミナーを実施していきますので、お時間が合えばぜひご覧いただければと思います。それでは、本日のセミナーを終了させていただきます。失礼いたします。