2022年6月期第2四半期決算説明会
石脇秀夫氏(以下、石脇):本日はテスホールディングス第2四半期決算説明会にご参加くださいまして誠にありがとうございます。はじめに、新型コロナウイルス感染症に罹患された方とそのご家族にはお見舞い申し上げます。
すでにご案内のとおり、今年4月4日の東京証券取引所の市場再編において、テスホールディングスはプライム市場へ移行することになりました。株主のみなさまをはじめ、多くのステークホルダーの方々のご支援に御礼申し上げます。今後は、プライム市場に相応しいガバナンス体制を維持・向上させていきたいと考えています。
本日は独立社外取締役で監査等委員の濱本も同席しています。それでは、2022年6月期第2四半期のハイライトについてご説明します。
トップメッセージ
上期の連結業績はおおむね順調に推移しています。スライドに記載のとおり、昨年秋に電気の小売供給において市場価格が例年以上に高騰した影響を受けています。しかし、開発型の大型再エネEPCである「福岡みやこメガソーラー」向けの太陽光発電所の工事をはじめとしたEPCが好調のため、業績全体としては順調でした。
以前からお伝えしているとおり、当社にとって電気の小売供給はあくまでも顧客サービスのツールの1つであり、メインの事業ではありません。そのため、当社への影響は限定的ですので、ご安心ください。
TESSグループが保有する再生可能エネルギー発電所
TESSグループが保有する再生可能エネルギー発電所の設備容量は約206メガワット、70件となりました。その大半が太陽光発電であり、安定収益に貢献しています。
再生可能エネルギーに関するトピックス
バイオマス発電の取り組みについてです。TESSグループでは大型バイオマス発電事業である伊万里グリーンパワーの開発を進めており、今年1月に発電所建設を決議しました。3年後である2025年5月の運転開始を目指しています。
また、昨年12月にはバイオマス燃料の第三者認証であるGGL(グリーンゴールドラベル)認証をインドネシアの子会社が取得しました。これは、日本のバイオマス発電所が輸入材を使用する際に今後必要となってくる認証です。同業他社よりも早期に取得できたと考えています。
エネルギーのスマート化に関するトピックス
エネルギーのスマート化の取り組みについてです。イギリス・ロンドン郊外における100メガワットの大規模蓄電プロジェクトに参画することになりました。国内最大手の建設コンサルである日本工営が主体で行う日系企業5社による共同事業で、電力系統安定化の取り組みとして、知見を得られるチャンスと考えています。以上が2022年6月期第2四半期のハイライトです。
次に、第2四半期の連結決算概要については、テスホールディングスの取締役で中核子会社のテス・エンジニアリングの代表取締役社長でもある髙崎がご説明します。
連結業績
髙崎敏宏氏(以下、髙崎):2022年6月期第2四半期連結決算概要についてご説明します。連結業績は、前年同期比で増収増益となりました。第1四半期で計上した「福岡みやこメガソーラー」の原価回収基準適用見合いの利益や、発電量の多い時期を発電事業に取り込んでいるため、利益面の達成率が大きく進捗しています。
四半期会計期間別セグメント別売上高推移
四半期会計期間別のセグメント別売上高推移についてです。エンジニアリング事業は、開発型再エネEPCがけん引したことにより前年同期比で増収となりました。また、エネルギーサプライ事業は、再エネ発電の総容量が増加したことにより前年同期比で増収となりました。
制度変更により前期をもってFIT交付金の売上がなくなるという減収要因もありましたが、新たに稼働した太陽光発電所の売電収入や、「福岡みやこメガソーラー」のうち北発電所の工期短縮に伴う開発報酬を計上したことから増収となっています。
2Q累計セグメント別売上高内訳
第2四半期累計セグメント別売上高内訳についてです。先ほどもお伝えしたとおり、エンジニアリング事業では「福岡みやこメガソーラー」向け再エネEPCが順調に進捗したため、売上・利益ともに大きく貢献しています。
また、受託型EPCでは、物流倉庫や屋根の上に設置する自家消費の太陽光発電所、再エネ事業者のリピートオーダーによる太陽光発電所などの工事がありました。
エネルギーサプライ事業もおおむね計画どおりに推移しています。前年同期比で減収となった主な要因としては、再エネ発電において前年同期に計上した一過性要因の反動や、電気小売供給におけるFIT交付金終了の影響があります。
エンジニアリング事業の実績
セグメントごとの売上総利益・営業利益を含めた実績についてです。2022年6月期第2四半期累計のエンジニアリング事業は、前年同期比で増収増益となっています。主な業績変動要因は、スライド9ページでお伝えした内容とおおむね同じです。
「福岡みやこメガソーラー」、再エネEPCにおける物流倉庫や再エネ事業者からのリピートオーダー、省エネEPCにおける顧客企業の工場や事業所向けのコージェネレーションシステムやユーティリティ設備などが予定どおり進捗しています。なお、受注実績は22億8,300万円で、受注残高は100億1,400万円となっています。
エネルギーサプライ事業の実績
第2四半期累計のエネルギーサプライ事業は、前年同期比で減収減益となりました。主な業績変動要因は、先ほどお伝えした内容とほぼ同じです。
その中で電気小売供給について少し補足すると、さまざまな努力により相対電力を確保することはできたのですが、価格は予定より高くなってしまいました。特に秋口には、JEPX市場の価格も、例年に比べ高騰しました。これらの影響を受け、当初の予定より原価が増えたことも減益の要因です。
収益認識に関する会計基準適用の影響
2022年6月期の連結業績予想について、昨年8月18日に公表したものと同じですが、あらためてポイントだけ簡単にご説明します。
2022年6月期は収益認識に関する会計基準適用の影響がありました。当社の場合、エンジニアリング事業は基本的に工事進行基準、もしくは原価回収基準が適用されることになっています。
2022年6月期連結業績予想
連結業績予想については変更はありません。原価回収基準の影響を受け、売上高は減収となる見込みです。スライドには、会計基準適用の影響を受けた場合と受けなかった場合の予想値を記載しています。
2022年6月期連結業績予想のポイント
連結業績予想のポイントです。スライドに記載のとおりですが、2030年に向けお客さまの脱炭素に向けた取り組みがいよいよ本格化していくため、当社では受注が増加していく段階に進んでいくと見込んでいます。また、開発型の再エネEPCについては「福岡みやこメガソーラー」の売上を見込んでいます。
再エネ発電については、稼働済みの205メガワットに加え、茨城桜川ソーラー稼働の売上を見込んでいます。ただし、期中で追加取得するセカンダリー案件や新規オンサイトPPAは業績予想には含めていません。
電気の小売供給については先ほどもお伝えしましたが、本来は市場価格は春に下がってきます。いろいろな事情を考慮すると価格高騰が続くこともあり得ると思いますので、そのような状況に備え、相対電源を十分に確保していく方針で進めています。
また、2022年6月期の減収要因としてFIT交付金の制度変更があります。
バイオマス燃料販売は前期に特別損失がありましたが、こちらの調達価格も引き続き高騰しているため、それを見込んだ着地予想となっています。
2022年6月期連結業績予想 報告セグメント明細
連結業績予想の報告セグメントの明細です。こちらの数値も変更ありません。以上で簡単ですが、決算概要のご説明を終わります。
質疑応答:エンジニアリング事業の業績の先行きと今後の成長イメージについて
質問者1:1点目の質問は、10ページでご説明いただいたエンジニアリング事業についてです。今期の受注高は23億円とのことですが、2022年6月期というよりは2023年6月期以降に向けて、売上と受注を比べるとこのままのペースでいくと2023年6月期、2024年6月期は減収減益になってしまうように見えます。これは先行きとしてそのように見ておくべきなのでしょうか?
また、脱炭素に向けた顧客の取り組みが追い風になるだろうというお話でしたが、いつ頃受注に表れてくるとお考えでしょうか? エンジニアリング事業の受注と業績の先行きについて教えてください。
2点目の質問は、大きな話になりますが、上場以降、再エネに関する政策や動きが若干変わってきたところもあります。今後3年でも5年でも、どのように利益成長していきたいと考えているのかあらためて教えてください。また、その考えをそのまま中計やビジョンのように公表するお考えはありますか?
石脇:概要を私がご説明して、詳細は髙崎がご説明します。まず脱炭素についてはみなさまご承知のとおり、多くの企業が「2030年に半減しよう、2050年にはカーボンニュートラルにもっていこう」と考え、新聞などでの報道以上に多くの投資やいろいろなパートナーシップやアライアンスを進めておられるのではないか、と思います。
我々は「一挙に2050年のカーボンニュートラルには行かず、移行期間が絶対必要である」と考えています。当社でもそのような取り組みの1つとして、昨年、四国セントラルエナジーで減炭素、LNGのハンドリング技術を習得すべく、大阪ガス、四国電力、四国ガスとでJVを作りました。今年の冬に事業がスタートする予定です。
新しい技術については、「TESSグループはいろいろな新技術のインストーラーである」と今までお伝えしていましたが、これだけ世の中の脱炭素に向けた動きが加速していきますと、当社も待っているだけではなく、さらに踏み込んだ積極的な研究開発投資に取り組まなければならないと考えています。
中計については、IR、個別面談でも先がなかなか見えないというご指摘を多々いただいています。そこで年末から年明けにかけチーム編成を終え、専門家にも入っていただき、中期計画を議論している最中です。計画がまとまった際には、積極的に公開していきたいと考えています。次に受注の詳細は髙崎からご説明します。
髙崎敏宏氏(以下、髙崎):ご質問が2つありましたが、1点目を少し補足します。受注の先行きについては、当社の仕事の性質上、受注してから完工するまである程度時間がかかります。エンジニアリング事業に関しては、受託型と開発型の2つの大きなサブセグメントがあり、2022年6月期、2023年6月期は開発型がエンジニアリング事業の中での収益の中心になってくるという見立てを行っています。
どちらかと言いますと新規の受託型は、今期よりも来期、来期よりも再来期というように売上利益を計上できるように営業をかけています。
これは当初からずっと同じ戦略です。足元の受注高は確かに数字としては少ないですが、例えば、コージェネレーションシステムなどの脱炭素のプロジェクトは春の補助金採択を狙っていますので、国の補助制度を積極的に活用することを考えると、受注はやはり8月、9月になってきます。
それから順次着工していき、年度内、あるいは翌年度も仕込みながらということで、受託型の売上高のピークは来期や再来期以降になるようにしています。したがって、今営業中の案件が受注できれば、このまま減っていくというよりは、どこかで折り返して、受注高が増えるフェーズになってくると見込んでいます。
脱炭素の流れについては、お客さまから非常に多くの「なんとかして脱炭素していかないといけない」という引き合いをいただいています。しかし、「2030年が迫っているから発注しよう」という決断にはまだ至らない部分もあると感じています。
具体的な案件は今もどんどん増えていますので、今後はお客さまの判断で決断されることが増えてくるのではないかと思います。しかしながら、新型コロナウイルスや海外情勢、金利など、いろいろな不確定要素がありますので、お客さまはなかなか脱炭素だけを見てのビジネスはできないのではないかと感じます。
受注高については、ビジネスモデルの関係で、想定より少なくなってしまう面もあります。理由の1つはPPAです。お客さまが自分で投資して太陽光発電をする場合は、エンジニアリング事業の受託型の再エネで売上計上できますが、補助金が活用できることから、当社のPPAサービスで太陽光発電の導入を検討されるケースもかなり多いです。この場合は、売上高は再エネ発電の売電収入としてエネルギーサプライ事業に計上される形になることから、エンジニアリング事業の受注高には反映されません。
その引き合いだけでも、数万キロワットはあります。その中で、太陽光発電のみで終わらず発展性のあるものなど、お客さま向けのさまざまな提案に注力し具体化しています。そのため、結果としては太陽光発電の仕事もPPAに想定より流れてしまったため、受注高の伸びが少し鈍い要因になっていると思います。
質疑応答:中期計画について
質問者1:最初に会長がご説明した中計について確認です。エンジニアリング事業もエネルギーサプライ事業も、どちらも年度ごとのブレはあると思いますが、御社としては向こう3年や5年に向けてどのように伸びていくと位置づけているのでしょうか? それとも、基本的にはエンジニアリング事業はブレるけれども今くらいがベースで、エネルギーサプライ事業が伸びていくイメージでしょうか? もし、現時点でセグメントごとの利益の方向性についてのイメージがあれば教えてください。
石脇:先ほどの中計とも関連しますが、両事業の成長の方向性に関する議論を先日キックオフしたところです。今までは創業者の兄から私が継ぎ、いわゆるオーナー側で引っ張り、おかげさまで上場まで来ることができました。私のイメージは当然ありますが、一度白紙に戻し思い切り意見を戦わせようと考えています。
どのような方向に持っていくかと言いますと、当然、成長しないと意味がないと思っています。定量的な課題やESGを中心に、どちらを向いていくのかを決めていく段階にあると思っています。時間軸としては相当速いピッチでまとめていきたいと思っています。今まで考えられなかったような新規ビジネスや、パートナーシップが出てきていますので、そのような組み合わせをTESSグループとして突き詰めていきたいと考えています。
上場時のロードショーでもご説明したとおり、エネルギーサプライ事業は経営安定性に貢献していますが、いつまでそのようなパターンでいくのかというご指摘や社内でもいろいろな意見があります。それに対し、中期計画を考え、公開する前提で取り組んでいきますが、今検討をスタートしたとご理解いただきたいと思います。
山本一樹氏:エンジニアリング事業とエネルギーサプライ事業のどちらで伸ばすかということについて、補足します。今までのご説明どおり、やはりエンジニアリング事業も波がありますし、エネルギーサプライ事業も一過性のものがあります。
しかし、どれも計画されていた一過性ですので、それを織り込み、現時点では「全社として経常利益ベースで年平均10パーセント以上の成長」という目標を立てています。ただし、やはり外部環境も変化してきたため、今一度練り直して、できるだけ早く計画として提示できるよう進めているところです。
質疑応答:諸物価上昇による影響について
司会者:「資材価格など諸物価上昇による影響はいかがでしょうか?」というご質問です。
髙崎:資材価格の上昇に関するリスクは、EPCを受注するタイミングと仕入れのタイミングにギャップが生じた場合に大きくなります。そのため、できるだけこの時間を短くして、受注からすみやかに当社のベンダーに発注することで価格をできるだけ早く確定させる取り組みを従来から行っています。したがって、今のところ物価上昇による大きな影響はありません。
ただし若干、納期には影響があり、半導体を使うものなどには「値段は同じだが、物が入ってくるのが少し遅れる」ということがあります。それに関しては、発注するタイミングを本来よりも前倒しにして、普段よりも長めの納期を見込み、対応するようにしています。今のところはなんとか対応できていますが、今後この影響が大きくなってくると、結果的にはなるべくお客さまにご理解いただく方向で進めたいと思っています。
質疑応答:最近の受注環境について
司会者:「最近の受注環境について教えてください」というご質問です。
髙崎:最初のご質問と少し重なるところがありますが、営業活動としてはやはり、新型コロナウイルスの影響がボディブローのように効いていると思います。昨年秋まではお客さまと打ち合わせしやすかったのですが、最近は現地調査や調査打ち合わせといった場面をなかなか作りにくくなり、いろいろなプランの作り込みや提案のスピードが緩くなってしまうことがあります。
また、お客さま自身は2030年、2050年に向け脱炭素しなければならないことはよくご理解されていますが、今年の春や夏までに意思決定を行うかどうかは、お客さま自身の本業や事業の環境などにより影響を受けるため、それらを複合的に考えて取り組みが順次進んでいくことになります。
当社の場合、物流施設向けの太陽光発電などは、施設の屋根上に太陽光発電を載せるため、引き続き堅調です。コロナ禍ですが、物流施設はますます建設される環境にあります。特に既存のお客さまはどんどん展開されているため堅調です。工場に立ち入り、細かい省エネなどのプランを進める必要のあるお客さまに対しては、どうしても立ち入りが制限されるケースがあり、進捗が難しくなります。今はそのような状況だと感じています。
質疑応答:電力小売事業の見直しについて
司会者:「電力小売事業のリスクは限定的とのことですが、今後についても見直し余地はないのでしょうか?」というご質問です。
髙崎:先ほど石脇もお伝えしましたが、当社において電力小売事業はあくまでもお客さまにいろいろなサービスを提供するツールという位置づけにあるため、大きく伸ばす方針はありません。
そのような中で非常に市場が高騰しており事業環境が厳しいため、今は積極的に需要を得るよりも、いろいろなことを経験し、オペレーションの技術に特化して伸ばしていくつもりです。需要に関してはやや下がっていくこともあると感じています。
JEPX依存をできるだけ減らしたいということで、上期も自社で半分くらいは相対取引により電気を調達しましたが、やはり市場から買ってくる分が高騰すると影響を受けます。下期もさらにJEPX依存を抑え、限定的な影響となるように対策しています。しばらくこのような状況が続くため、今後について先ほどの中計の検討などで議論される部分もあると考えています。
質疑応答:JEPX依存の割合と原価について
司会者:「JEPX依存はどの程度あるのでしょうか? またJEPX高による原価アップはどの程度あったのでしょうか?」というご質問です。
髙崎:上期の平均では、調達している電気の約半分が市場から買ったものとなっています。夏や冬の初めはもともと電力価格が高くなるだろうと相対取引を高めに見積もっていたのですが、例年、中間期はそれほど高くないため、市場から買う量を多くするように計画していました。したがって上期でならせば半分くらいとなります。
下期は先行きが不透明になってきたことで相対を多めにしており、2割から3割を市場から調達するということを目指しています。原価アップの金額に関してはサブセグメントの粗利を開示していないことから差し控えたいと思います。
質疑応答:太陽光PPAの状況について
司会者:「先ほど言及がありましたが、太陽光PPAの引き合い、競合の状況と受注・売上高を教えてください」というご質問です。
髙崎:まずPPAの競合の状況についてお伝えします。単純に屋根上に太陽光発電を載せたいお客さまに対して、サービスとしてPPAを行う事業者はたくさんあります。しかし当社は、「エネルギーをたくさん使っている工場や事業所」など、省エネや脱炭素についていろいろな提案余地があるお客さまのPPAに注力しています。
PPAの引き合いだけで言いますと、8万キロワットや9万キロワットほどあるのですが、PPAは20年以上継続的にお客さまと契約関係でつながるため、提案・受注確度が高かったり、今後、脱炭素の提案ができるお客さまに注力するという戦略で差別化を図っています。
実際この春の補助金やその予算の余りや、または来期の予算でPPAの補助金などがあるため、それらにお客さまと計画しているものを順次エントリーしていく方向で進めています。補助金を活用して、おそらく合計10メガワット以上となる見込みです。現在、工事も進めており、そちらは5件ほどで3メガワット以上になります。
これらはPPAのため、エンジニアリング事業の売上ではなく、毎年エネルギーサプライ事業で少しずつ売電収入として上がってくるかたちになります。EPCのように単年度の売上高に乗るわけではありません。
質疑応答:相対電源の調達策について
司会者:「需給がタイトで大変かと思いますが、相対電源の調達策について聞かせてください」というご質問です。
髙崎:これは他社も同じかもしれませんが、相対電源を安く調達することは正直難しいため、少し高めでも早めに取りにいくこととしています。
また当社は比較的長く10年以上この業界にいるため、他社よりはいろいろなところから声をかけてもらえていることが優位性の1つとしてあるかもしれませんが、やはり価格がある程度高くても取ることが必要な事業環境だと思っています。
石脇氏より補足
石脇:電力の小売について先ほどから質問が寄せられているため回答します。このサブセグメントだけを見れば調達価格高騰の影響を受けてしまっていますが、新しい取り組みとして、先ほど説明したとおり英国のロンドン郊外の蓄電池でのJVは、2024年に我が国の容量市場がスタートするなど、新しい電力取引を見据えて取り組んでいます。ベースとして電力の小売について供給側のノウハウを持っておき、いざ本格的に始まったとき手遅れにならないようにという意味です。
またPPAについても質問を受けていますが、PPAだけでお客さまと勝負しても、中には赤字で取りに来る会社もあるかもしれません。そこで、我々はPPAを1つの手段としてお客さまのエネルギーソリューションに加えることをポリシーとしています。
最後に受注状況が少し変わってきていることについてです。一昨年国内で、フランスのグローバル企業のヴェオリアと一緒にJVを作りました。我々はエネルギーソリューションのことばかり言っていますが、工場には当然排水のような静脈系のものもあり、それらをトータルでアウトソーシングする役割も担っていきたいと考えています。
歴史のある大手企業は、なかなか排水についての悩みをオープンにしてくれないため、まずオーナー系の企業から攻めています。近々、おもしろい話になりつつあるため、そうした分野にもトータルで取り組んでいるとご理解いただきたいと思います。
質疑応答:リスクと問題意識について
司会者:「当社は『責任ある機関投資家の諸原則(スチュワードシップ・コード)』の受け入れを表明しており、社外取締役の皆さまが株主の代弁者として取締役会で議論することを期待しています。濱本さまの観点から、御社の成長ポテンシャルとリスクをどのように見ているか、また今後の成長に向けての問題意識や意見があれば聞かせてください」というご質問です。
濱本晃郎氏:まずリスクについては、経営戦略や特に営業についてのアドバイス、そして委員としてモニタリングしていくことを大切にしています。やはりESG経営とコンプライアンスの徹底を、取締役会を通じ社外からの目できちんとフェアに見ていくことを心がけていきたいと思っています。
次に成長に向けての問題意識についてです。先ほど会長兼社長の石脇から新規ビジネスとパートナーシップを積極的に進めていく必要性についての説明がありましたが、やはり私としてはリスクはある程度負っていかないと成長はないと思っています。
適切なリスクマネジメントをしていき、ステークホルダーの代弁者として成長を見守りながら、TESSグループが持続的に成長していくようにアドバイスとモニタリングをしていくことを意識していきたいと思います。