オーテック、営業利益・中間純利益は前年比で約2.5倍 工場案件等の受注拡大、原価管理徹底による収益性向上が寄与
決算サマリー

安野進氏:株式会社オーテック取締役管理本部長の安野です。本日は当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
それでは、2026年3月期第2四半期(中間期)の決算概要をご説明します。はじめに、決算サマリーについてご説明します。
当中間期は、工場案件が受注を牽引し、学校や医療施設も堅調に推移しました。庁舎やオフィス用途の受注も増加し、良好な受注環境を維持しています。また、売上総利益の向上により、営業利益および中間純利益は前期比で大きく伸長しました。
その結果、環境システム事業の受注高は148億5,800万円、売上高は146億200万円、営業利益は17億3,600万円、親会社株主に帰属する中間純利益は12億2,100万円となりました。
2026年3月期中間期 連結決算概要①

連結決算概要についてご説明します。環境システム事業の受注高は前年同期比26.8パーセント増加し、148億5,800万円となりました。売上高は前年同期比18.0パーセント増加の146億200万円です。
売上総利益は、売上高の増加と利益率の向上により42億3,600万円となり、前年同期比36.4パーセントの増益となりました。
販売費および一般管理費は、前年同期比3.7パーセント増の25億円でした。営業利益は前年同期比149.7パーセント増益の17億3,600万円となりました。
経常利益は、1億3,800万円の営業外損益の収入を計上したことで、前年同期比130.4パーセント増益の18億7,500万円となりました。
親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期比148.6パーセント増益の12億2,100万円となりました。また、1株当たり中間純利益は78円84銭、1株当たり純資産は1,549円97銭です。
2026年3月期中間期 連結決算概要②

売上高および営業利益の推移については、スライドに記載のとおりです。
営業利益の増減要因

営業利益の増減要因についてご説明します。営業利益の増加要因としては、売上高の増加による効果が5億5,900万円、売上総利益率の向上による効果が5億7,000万円となっています。
営業利益の減少要因として、人件費が1,200万円、その他の販管費の増加で7,600万円となりました。この結果、営業利益は前年同期比で10億4,100万円の増益となっています。
連結貸借対照表/連結キャッシュ・フロー

財政状態についてご説明します。当期末の資産額は361億円、負債額は116億円、純資産額は245億円となりました。
続いて、キャッシュ・フロー計算書についてご説明します。営業活動によるキャッシュ・フローは24億1,700万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは8億6,300万円の支出となりました。主な支出として、有形固定資産の取得に伴う支出が3億4,000万円、その他投資などの取得による支出が2億9,400万円です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、4億7,300万円の支出となりました。この結果、現金及び現金同等物の中間期末残高は、期首から10億8,000万円増加して94億2,100万円となりました。
2026年3月期中間期 セグメント別実績/環境システム事業

セグメント別決算概要についてご説明します。環境システム事業のセグメント別実績では、好調な市況による受注拡大と原価管理の徹底による収益性向上が進展し、売上高および営業利益がともに伸長しました。
売上高は前年同期比24.2パーセント増加の92億3,300万円、営業利益は前年同期比100.8パーセント増加の22億8,100万円となり、収益性が向上しています。
環境システム事業の工種別構成

環境システム事業の工種別構成についてご説明します。受注工事高は、新設工事が大きく増加した結果、合計額は前年同期比26.8パーセント増加して148億5,800万円となりました。
完成工事高は、新設工事および既設工事がともに増加し、合計額は前年同期比23.0パーセント増加して88億7,200万円となりました。
また、下期および次年度以降に完成工事高となる繰越工事高については、合計額が前年同期比4.9パーセント増加の166億9,300万円となりました。
2026年3月期中間期 セグメント別実績/管工機材事業

管工機材事業のセグメント別実績についてご説明します。売上高は設備販売が好調だったため、前年同期比8.6パーセントの増収となりましたが、売上原価上昇分を価格転嫁しきれず、営業損失を計上する結果となりました。
以上で、簡単ですが、決算の概要についてのご説明を終了します。
見通しサマリー

市原伸一氏(以下、市原):株式会社オーテック代表取締役社長の市原です。本日は当社の決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。私から、2026年3月期連結業績の見通しをご説明します。
はじめに、見通しサマリーについてご説明します。通期の業績の見通しについては、工場施設や医療分野の堅調な需要が受注工事高を下支えし、中長期的な増加基調を維持する見通しです。また、営業利益については、通期で前期と同程度の水準を見込んでいます。
2026年3月期 連結業績の見通し

2026年3月期の連結業績見通しについてご説明します。環境システム事業の受注高は205億円、売上高は330億円、営業利益は40億円を予想しています。
売上高の内訳として、環境システム事業は前期比3.5パーセント増の207億円、管工機材事業は前期比7.6パーセント増の123億円を見込んでいます。
営業利益については、環境システム事業が前期比2.3パーセント増の49億円となる見通しで、管工機材事業は黒字での着地を見込んでいます。
調整額の9億円は、セグメントに配分されない本社の一般管理費などです。
経常利益は42億円を予想しており、親会社株主に帰属する当期純利益は29億円の見通しです。また、1株当たり当期純利益は187円16銭を予想しています。
環境システム事業の工種別構成の見通し

環境システム事業における工種別構成の見通しについてご説明します。受注工事高は前期の188億9,600万円に対し、当期は205億円を見込んでいます。完成工事高は前期の195億9,200万円に対し、当期は202億円を予想しています。これにより、2026年3月末の繰越工事高は110億800万円になる見通しです。
用途別受注工事高

用途別受注工事高についてご説明します。当中間期の受注工事高は、前年同期比26.8パーセント増加しました。好調な市況を背景に、幅広い建物用途で堅調な設備投資需要が受注増加に寄与しています。
経営数値目標の進捗

中長期の経営ビジョンについてご説明します。まずは経営数値目標の進捗についてご覧ください。現在、国内の設備投資が堅調に推移しており、売上高は着実に右肩上がりの推移を示しています。
また、営業利益については、原価管理を徹底した結果、昨年同等の40億円を予想しており、ROEは10パーセント以上を維持する見込みです。
今期は、第4次中期経営計画の初年度となります。前期までの第3次中期経営計画で得た成果を踏まえ、経営基盤のさらなる強化と事業成長に向けた取り組みを推進していきます。
中期経営計画の進捗① コーポレート機能の拡充

中期経営計画の進捗について、コーポレート機能の拡充に関する内容をご説明します。当社は2034年の創業100周年に向けた「長期ビジョンV100」のもと、快適な建物環境の創出を通じて、持続可能な社会への貢献を目指しています。
その実現に向けて、優秀な人材の確保と働きやすい職場環境作りを目的に、本社オフィスの移転を決定しました。新オフィスでは、社員間の交流やコミュニケーションを促進し、イノベーションを生み出す環境を整備するとともに、交通利便性の向上により採用力や営業効率を高めていきます。
中期経営計画の進捗② インターセントラルとの連携によるシナジー

インターセントラルとの連携によるシナジーについてご説明します。当社子会社であるインターセントラルは、放射冷暖房の分野でトップクラスの実績を持ち、電気暖房器から環境測定まで、さまざまなシーンに対応可能な製品・サービスを提供しています。
今回の本社移転に伴い、インターセントラルも同一フロアに移転することを決定しました。これにより、両社のシナジーをより一層強化し、サービス体制や製品開発力の向上、環境システム事業の強化、販売網の拡大に努めることで、競争力と提供価値の向上を図ります。
インターセントラルの納入実績としては、東京ワールドゲート、NHK放送センター、TODA BUILDING、世田谷区役所、THE LINKPILLAR1 SOUTHなどがあります。
中期経営計画の進捗③ 『ZEB認証』を目指した新支店建設

「ZEB認証」を目指した新支店建設についてご説明します。当社は、2025年12月に完成予定の東関東支店の移転新築において、エネルギー消費量を100パーセント以上削減する「ZEB認証」の取得を目指した、環境配慮型のグリーンビルディングの建設を進めています。
また、今回の東関東支店の移転新築に必要な資金は、グリーンローンにより調達しました。グリーンローンとは、環境課題の解決や緩和に資する事業に限定して活用される資金調達手段です。当社は今後も、持続可能な社会の実現に向けて貢献していきます。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組み

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組みについてご説明します。
当社は、2023年9月に配当方針の変更を発表した際、ROEの目標を8パーセント以上から10パーセント以上へ引き上げる方針を公表しました。2025年3月期には13.6パーセントを達成し、今後も目標としている10パーセント以上の継続に取り組みます。
また、PBRについても、2025年3月期以降は1倍を超過しており、引き続き資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて取り組んでいきます。
配当・株式の状況

配当および株式の状況についてご説明します。当社は、株主還元を重要な課題の1つと位置づけており、経営基盤の強化や利益率の向上に積極的に取り組んでいます。
また、将来の事業展開や経営環境の変化に対応しながら、安定的かつ継続的な配当を実現するよう努め、DOE3.6パーセント以上の配当を基本方針としています。
この方針に基づき、2026年3月期の配当予想は、中間配当29円、期末配当29円を予定しています。今後も、株主のみなさまに利益を還元できるよう努力していきます。
以上で、私からのご説明を終了します。ありがとうございました。
質疑応答:上期の収益性改善要因について
質問者:この上期は非常に業績が著しく改善し、特に利益率が改善していると思います。受注単価が上がっていることや、リニューアル案件が増えているのではないかと考えています。足元の著しい収益性改善について、どのような背景と要因があるのか教えてください。
市原:新設工事・既設改修工事の双方が堅調に推移しています。従来は既設改修のほうが利益率が高く、新設は必ずしも高い水準ではありませんでしたが、近年は新設工事でも利益率が改善している点が特徴です。
複数年にわたる工事では、不確定要素を踏まえ、慎重かつ保守的な原価管理を行ってきました。
近年は、市場環境や取引慣行の変化により、価格変動に応じて契約条件が適切に反映されており、その結果として利益率の改善につながる事例が見られています。
質疑応答:現在の良好な経営環境下での最大の経営課題について
質問者:受注も活況ということで、おそらく3年先くらいまで、現在の良好な状況が続く可能性が十分にあると思います。良好な経営環境が続くことを前提とした場合、現在の一番の経営課題はなにになるのかをお聞かせください。
市原: 最も重要な課題は人材の確保です。特に環境システム事業では、担当できる工事量は技術者・工事担当者の人数に直結しますので、自社だけでなく協力会社の人員確保も含めて大きなテーマです。
第3次中期経営計画以降、採用や教育への投資を増やし、採用費用はここ数年で2倍から3倍になりました。文系学生も積極的に採用し、入社後1年間は支店配属せず教育に専念させ、電気工事士など基礎資格の取得を支援しています。この教育体系により、現場配属後の習熟も早く、離職率の改善にもつながっています。
さらに、バックオフィスの社員も計装士資格を取得し、図面や書類作成をサポートする体制を構築しており、業務効率化が進んでいます。このような人材施策を通じて事業成長に対応していきます。
質疑応答:同業他社にない強みと課題について
質問者:非常に事業環境としては追い風になっているわけですが、これは御社だけでなく、同業他社も当然ながら似たような環境にあると思います。入ってみないとわからないですが、御社の特徴や他社にない強みがあれば教えてください。また、逆になにか課題のようなものがあれば教えてください。
市原: 当社の大きな特徴は、社員教育への継続的な投資です。特に1年目社員に対して1年間の教育プログラムを実施し、基礎技術の習得を徹底する点は、業界内でも特徴的だと考えています。
また、社内コミュニケーションの改善にも注力しており、コンサルタントの導入やAIを活用した相談環境の整備など、社員が相談しやすい環境づくりを進めています。
ビジネスモデル自体は大きく変えていませんが、メンテナンス業務では必ず社員が協力業者のチームに入り、受注現場の理解を深めることで、将来的な改修提案にもつながる経験を得ています。
課題としては、現在中心となっている東日本エリアに加え、事業領域の拡大をどのように進めていくかが大きなテーマです。
質疑応答:通期上方修正後の配当据え置きについての意図
質問者:今回、通期の上方修正を行われましたが、配当を据え置いた意図や考え方について教えてください。
市原:配当に関しては、配当方針をDOE3.6パーセント以上と定めていますが、現時点では据え置きの判断を行いました。
質疑応答:2025年3月期下期と今期下期の粗利率計画について
質問者:御社の傾向として下期偏重かと見ているのですが、それで見ると、終わった期の2025年3月期の下期の粗利率と比べると、おそらく今期の下期の計画は非常に抑制されているのではないかと思います。このあたりは、業界の動向になにか変調があるのでしょうか?
市原:業界の状況の変調は特にないと考えています。どちらかといえば、私どもが先行きを慎重に見ている結果だと思っています。
質疑応答:人材採用と従業員増加計画について
質問者:業績も順調で、採用も好調とお見受けします。御社が人材をしっかり確保できている点において、さまざまな取り組みを実施されていると思いますが、どの取り組みの成果によって、前と比べて社員が定着しているとお考えでしょうか?
おそらく社会全体として、人材の数を維持することだけでも困難な状況にあると思いますが、御社がそれでも一定の増加を実現している点について、どのような取り組みや工夫をされているのか、お聞かせください。
とはいえ、例えば「コロナ禍前と比べて1.5倍にしたいのに2割にしか増えていない」という見方もできると思います。今後、どの程度の人員増加が可能な範囲として見込まれているのかについてお聞かせください。
市原: 当社では毎年25名から30名程度の採用を目標として活動しています。その中で、当社を志望される学生のみなさまには、待遇や教育体制、フォローアップの仕組みなどを、実際に働く社員の声を伝えることで、承諾率の向上につながっていると感じています。また、社員育成を大切にする風土が当社の魅力として評価されているのではないかと思います。当社は大量採用ではなく、毎年の計画に基づいて着実に採用し、丁寧に育成する方針で取り組んでいます。
施工案件の増加に伴い、将来的なメンテナンス需要も増えるため、サービス人員の確保も必要となります。このような点からも、人員の安定的な増加に向けて取り組んでいます。
質問者:採用と定着ともに力を入れるとのことですが、最終的にどれくらいまで人員を増やす計画ですか?
市原: 現時点では、受注状況が非常に高く、対応が難しい案件もあるため、引き続き人員を増やす余地はあると考えています。一方で、新規事業に本格的に着手するための人的な余力はまだ十分ではありません。
今後、人員が増加し適正な配置が可能となれば、新規事業への展開や、将来的なM&Aを通じた地域・事業領域の拡大も視野に入れていくことになります。
ただし、具体的な人数については、現時点で確定的にお伝えできる段階にはありません。事業環境と受注動向を踏まえながら、段階的に検討していきます。
質問者: 人員増加や事業拡大の観点で、従来とは異なるM&Aのかたちも考えられると思います。社長としてどのような感触をお持ちですか?
市原: ご指摘のとおり、人員や事業の拡大余地はまだあると考えています。現在、インターセントラルとの連携によるシナジーも進めており、放射空調と自動制御を組み合わせたパッケージ提案など、事業間の強みを生かす取り組みを検討しています。
現状を踏まえると、事業状況と人材育成のバランスを見ながら、段階的に人員増加に取り組んでいきたいと考えています。
質疑応答:用途別受注工事高の分野ごとの将来展望について

質問者:18ページに用途別受注工事高の図がありますが、おしなべてここに記載の業界は好調な市況が背景にあるようです。今後3年から5年先を見通した場合、どの施設に対してより営業に力を入れていこうとお考えですか? また、どの施設の利益率が高いのでしょうか? さらに、マーケット全体として数年先を見通した場合、どのマーケットが伸びていくのか、施設ごとに状況をお聞かせください。
市原: 「オフィス/商業施設」では、首都圏を中心に再開発プロジェクトが多く計画されており、着工前段階の案件も多数あります。
再開発需要そのものは継続すると考えています。計画が一時的に見直される場合でも、中長期的には再び案件化される傾向があるため、緩やかな増加基調になると見ています。
商業施設は、立地の見直しを伴う建替需要が続いています。
工場案件については、工期が比較的短く、結果が早期に反映されやすい特徴があります。中部、首都圏、群馬、埼玉、茨城、栃木、東北などでは引き続き注力していきます。自動車関連などの新工場建設も見込まれており、当社としても得意分野として強化していきたいと考えています。
医療・介護施設、教育・研究施設については、大学のキャンパス整備などの需要が継続しており、当社が得意とする分野の受注を確実に積み上げることで安定した事業量を確保できると見ています。
総じて、オフィス/商業施設と工場分野が引き続き大きな需要を維持し、当社としても重要な領域になると考えています。
質疑応答:管工機材事業の高付加価値商材への取り組みとシナジーについて
質問者: 管工機材事業について、高付加価値商材の取り扱いやシナジー施策について、これまでの経緯と現在の考え方をお聞かせください。
市原:第4次中期経営計画でも掲げているように、まず重点施策の1つはECサイトの強化です。大手管材商社では幅広い商材展開が進んでいますが、当社は特化領域に集中し、選びやすく、注文しやすいECサイトを構築する方向で取り組んでいます。現在改修を進めながら、お客さまの手間を減らす仕組みづくりを進めています。
もう1つは、在庫を伴う案件における付加価値提供です。工事関連の人手不足が進む中、特に既設工事での受水槽や衛生器具を含む改修案件について、単に商品の販売にとどまらず、施工に関する助言も含めたサポートを行っています。
「オーテックに相談すれば、商品も施工も一括で相談できる」という体制を構築することで、お客さまの利便性向上を目指しています。現在は得意とする支店から段階的に展開しているところです。
工事込みで受注する案件は利益率が高く、この比率を高めることで事業全体の利益率向上が期待できます。そのためにも、施工管理技士などの必要資格の取得を積極的に進めています。特に若手社員の資格取得を継続的に支援しており、第4次中期経営計画の3年間で成果を出していきたいと考えています。
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