株式会社ピーバンドットコム 2002年4月創業、少数精鋭運営のプリント基板EC商社

田坂正樹氏(以下、田坂):本日はお忙しい中、ご視聴いただき誠にありがとうございます。ピーバンドットコム代表取締役の田坂と申します。限られた時間の中ですが、当社について理解を深めていただけるよう努めますので、どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、Mission・Vision・Value、そしてビジネスモデル、次に2022年3月期第2四半期の決算概要、最後に成長戦略と中期経営計画をご説明します。Appendixとして中期経営計画に関する私のインタビューが添付されていますので、お時間がある時に目を通していただければと思います。

まず、会社概要です。私どもは2002年4月に創業し、現在は正社員28名、臨時雇用社員5名の33名という少数精鋭です。プリント基板という電気で動くハードウェアの中に必ず入っている部品のEコマースを中心に事業を展開しています。

私の背景の紹介ですが、もともとはミスミ(現在のミスミグループ)というBtoBのカタログ通販の商社に新卒で入社しました。そこで学んだ知見を基に独立し、数社のベンチャー企業のスタートアップに携わった後、2002年に当社を設立しました。2017年に東証マザーズに上場して、2019年に東証一部に市場変更しています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):ピーバンドットコムを創業されたきっかけをおうかがいしたいのですが、おそらく昔からミスミはかなりいろいろな事業を立ち上げており、新規事業の立ち上げではある程度利益の配分があったりと、かなり先進的に事業を展開しています。

そこで自ら立ち上げたいと思ったのか、なにかきっかけがあったのかを教えていただけたらと思います。

田坂:私はもともとミスミに入社した時から、起業志向でした。ちょうど26、27歳のネットバブルの時に、周りの仲間もいろいろなVCから出資を受けて創業していたという背景がありました。その中で、ミスミで学んだ知見を基に、商材を変えインターネットを使った事業で独立しました。

株主構成ですが、32.8パーセントを持っているインフローというのは私の資産管理会社です。2番目に私が10パーセントを保有する構成です。

経営理念(Mission)、経営目標(Vision)、行動規範(Value)

田坂:私どものMission・Vision・Valueです。経営理念(Mission)は「開発環境をイノベーションする」、これまで世の中にないシンプルでわかりやすい仕組みを構築し、社会のよりよい開発環境づくりに貢献することが私どもの使命です。経営目標(Vision)は「誰でも簡単にアイデアを具現化できるサービスの提供」で、それを実現するサービスの全体像のことを「GUGENプラットフォーム」と名付け、構築を目指しています。

行動規範(Value)は「ワクワクするチャレンジを選ぶ」で、「誠実で素直な気持ち、感謝の心とユーモア、思いやりと協調性を持ち、努力を惜しまず、成果はみんなでわかちあう」、こういった価値観を大切にしようととうたっています。

ピーバンドットコムの歩み: われわれの原点であるECサイト「P板.com」

田坂:私どもの中心であるEコマースのサイト「P板.com」についてご説明します。「P板.com」は、ハードウェア製品の頭脳・心臓部であるP板、すなわちプリント基板をすべてネットで調達できるようにしたサービスです。

昨今、5Gやウェアラブルなどの技術革新により、いろいろなハードウェアが出てきています。プリント基板もこういった技術に対応する新たな素材などが出てきていますが、それらにも対応しています。

スライド一番左側の設計サービスは「このように部品をつないだら動く」というロジック図に基づき、プリント基板の配置データを設計するサービスです。スライド中央は、配置データに基づき実際にプリント基板を作るサービスです。スライド右側は、プリント基板上に半導体やコネクターといった電子部品をはんだで取付けていくサービスになっています。

坂本:御社でこのビジネスを始める前にも、プリント配線基板の試作は、自社ないし他社に頼んで作るという業界の慣習のようなものがあったのか、おうかがいしたいです。

田坂:以前は、大手メーカー各社が自社でプリント基板工場を持っていました。現在は、自社で持っているところは少なく、外注がほとんどです。国内にも多くのプリント基板メーカーがあります。しかし、工場設備の稼働状態にもよりますが、大口のお客さまが優先されてしまうため、私どもがこのビジネスを開始するまでは、「本当に誰でも簡単に買える」「1枚しか買わない人でも買える」というようなものではなかったのです。

それを、ネット上で誰もが手軽に買えるようにしているというのが、私どものサービスの強みと言いますか、差別化のポイントになっています。

坂本:ほとんどが日本からの注文でしょうか? それとも海外からの注文もあるのかを教えてください。

田坂:現在はほとんどが国内からの注文です。海外に拠点がある日本法人から注文があって海外に納めることはありますが、ほぼ100パーセントが国内のお客さまです。

坂本:国内は御社がほとんど独占状態だと思うのですが、海外にも同じような事業を展開している会社はあるのでしょうか?

田坂:検索すると出てくるのですが、中国の深圳のような沿岸部の工場が、日本向けに直販のサイトを設けています。

坂本:深圳の会社などは海外相手にも商売をしているということですね。

ピーバンドットコムの歩み: 基板周辺事業の拡大

田坂:当社はプリント基板の周辺事業の拡大にも取り組み、2014年に筐体・ケース製造サービス、2016年にハーネス加工サービスを開始しました。

プリント基板をはじめとした電子部品を組み込むパソコンのような箱の製造、プリント基板上の電子部品に電気を通したり、電気信号を伝達するためのケーブルの製造といった周辺のサービスも手掛けています。

周辺商材の取扱いを強化して、モノづくりの川上・川下の工程のサービスもネットで取り扱うことによって、利便性を高めています。

ピーバンドットコムの歩み: 顧客の要望に応えてEMS事業に進出

田坂:次はEMS事業です。プリント基板の試作品をご注文いただくお客さまからは、「製品開発のプロセス全体を通じてこの予算の中で作ってください」というご相談をいただいていました。前後の工程を把握し、それにより蓄積したノウハウから、試作から検査して出荷するところまでを、ワンストップで引き受けるというEMSのサービスも開始しています。

EMSとして有名なところでは、「iPhone」などを作っている鴻海社ですが、当社では何万個という大規模な量産ではなく、数千個くらいまでの規模のものを、ネット上で受け付けて作るサービスを行っています。現在は第二の事業の柱として成長ドライバーと位置づけています。

ビジネスモデル:プリント基板ECから進化したモノづくりを支えるプラットフォームビジネス

田坂:こちらは私どもが「GUGENプラットフォーム」と名付けているプラットフォームビジネスの全容になります。スライド左側のアイデア出しから始まり、右側は完成した製品がマーケットに出るところです。

中央に示す「①」が一番のメインであるEコマースによるプリント基板事業、「②」がプリント基板の周辺サービスで、「③」がものづくりを一括で請け負うEMS事業を表しています。

坂本:アイデアから完成まで、御社が全体的に関わっていくかたちで、中心が「P板.com」ということですね。

田坂:そのとおりです。

坂本:かなりシナジーが出ていますね。最初は「P板.com」だけだったのですか?

田坂:初めは本当に基板の製造だけから始めて、前後の工程に広げていきました。

坂本:EMSもそうですが、このアイデアと設計情報の段階があることによって、「P板.com」本業のほうにシナジーがかなりあるものですか?

田坂:そのとおりです。最近では、IoT系のハードウェアベンチャーが数多く起業されていますが、そのような方たちから「ものづくりのビジネスモデルはあるが、いざ製品を作る時にどうしたらいいのか」ということでご相談があり、ご注文をいただいています。

ビジネスモデル: ピーバンドットコムの7つの強み

田坂:私どもビジネスモデルには7つの強みがあると考えています。1つ目はニッチトップということで、2002年より、日本で初めてプリント基板のネット通販を始め、シェアとしてはNo.1を保っています。

2つ目は利便性です。ネット通販のためいつでも注文できます。3つ目は信頼性です。ハードウェアの試作開発では、納期を守らないと後工程がずれ込んでしまう問題があります。そのため当社では納期を重視しており、遵守率は99パーセント以上を維持しています。

品質の信頼性は当たり前ですが、ISO9001規格認証を取得し、高品質な製品・サービスを提供しています。また、今どんどんハードウェアが進化しているのですが、LED照明のような高熱に耐えうる基板や、曲がる基板といった多商材を取り揃え、次世代技術にもしています。

6つ目は持たない経営です。現在30社程の提携工場があるのですが、ファブレス経営により、高い資本収益性を維持しています。最後に、約20年間経営している中で、国内の取引先は2万5,500社となり、厚みのある顧客基盤を築いています。現在でも1年間で1,000社ずつくらい増えています。

坂本:ファブレス、つまり工場を持たないということで、かなり資本性が高いというお話ですが、注文をもらったものをどこかに頼むわけですよね。受けるほうも仕事が他にありますので、なかなか受けづらいところもあると思います。

それでも納期をきちんと守れているというのは、リレーションを積み重ねてきたからこそですが、そのようなコツと言いますか、関係をキープする秘策のようなものがあれば教えてください。

田坂:1社あたりの依存度はだいたい30パーセント以内です。

坂本:大きなところでも30パーセントということですね。

田坂:例えば、私どもが注文しなくなったことでその会社が揺らいでしまうような関係もよくないですし、逆に少なすぎると価格交渉ができなかったりするため、多くても30パーセントくらいが適正だということです。

納期のコントロールに関しては、海外工場の場合はほとんど航空便を利用しているのですが、天候不良や機材の故障などで遅れてしまうようなことが起こった時は民間便に切り替え、ハンドキャリーで持ってきてもらったり、空港からバイク便で運んだりすることもあります。それでも駄目な場合は、国内の工場で同じ物を作って納期に間に合わせるというできる限りの対応を行って、99パーセントを守っています。

坂本:いろいろ工夫しているのですね。ファブレスの工場というのは、ほとんど海外ですか?

田坂:海外工場は台湾、韓国、中国にあり、生産量は国内の工場と海外の工場がだいたい半分ずつです。

ビジネスモデル:GUGENプラットフォームによる企業成長と社会課題解決の実現

田坂:「ビジネスモデル:GUGENプラットフォームによる企業成長と社会課題解決の実現」ということで、スライド中央のグリーンの部分が、私どもが提供している「GUGENプラットフォーム」です。

こちらは、当社サービスをご利用いただいている2万5,500社のユーザーと、国内外約30社の協力メーカーをつなげるGUGENプラットフォームを表しています。ユーザーの内訳ですが、半分が中小企業で、4分の1が大手企業です。ほかに大学の研究室や高専、国立の研究機関といった公的機関とのお取引も多くいただいています。個人事業主となっているのは、中小企業から独立して仕事を請け負っているような方と思っていただければよいと思います。

このような構造の中で、日本全国のお客さまからの注文を集約して国内外のメーカーと交渉し、納期遵守と安価での提供を実現しています。

ビジネスモデル: 持たない経営による高効率経営の実現

田坂:「持たない経営」についてもう少し詳しくご説明します。受発注システムは自社ですべて作っています。私どもは33人と少人数ですが、このシステムにより2万5,500社の注文をさばいているということです。

また、ファブレス製造ということで、設備投資をせずに、ランニングコストを抑制し、オペレーションしています。

最後に、私どもの商品はオーダーメイドで、お客さまの注文を受けてから作り始めます。ですので、在庫リスクがありません。業務効率化と固定費の抑制により、収益性の高いビジネスモデルを実現しています。

第2四半期総括

田坂:2022年3月期第2四半期決算概要です。まず、前期比で大幅な増収増益です。前期は新型コロナウイルス感染症が拡大し始めたばかりで、生産自体を少し様子見する動きがあり需要が減っていたのですが、それが回復してきました。また、EMS事業が半導体部品の調達困難により伸び悩み、現在、半導体は本当に市場になくなってしまっています。イメージで言いますと、本来では3,000個作るモノが1,000個しか作られていません。そのような影響を受けています。

コア事業のECサイト事業では、6月開始の筐体・ケース加工サービスが堅調なスタートとなりました。背景として、DX化、IoT化の流れにより、市場ニーズがどんどん増えてきていることがあります。

業績予想は、半導体不況の状況などを踏まえ、通期で下方修正を出しています。

飯村美樹氏(以下、飯村):コロナ禍前と現在で、顧客の業種に変化はあったのでしょうか?

田坂:コロナ禍前と現在で、業種の変化は特にないです。私どもは2万5,500社と取引がありますが、大変幅広い業種のお客さまに取引いただいています。IoT化やDX化の流れで、このような需要により近い業界の方が増えている印象です。

2022年3月期 第2四半期業績

田坂:業績です。売上高は9億3,300万円、前年同期比でプラス4.4パーセント、売上総利益は3億2,100万円、前年同期比でプラス11.5パーセント、営業利益が9,700万円、前年同期比でプラス38.7パーセントとなっています。

坂本:半導体不足の影響により若干の下方修正ということですが、やはり来期までずれ込むかたちですか? 半導体が入ってくれば、その分をキャッチアップして増える業種なのか、それともその部分の基板の製作は諦めて、来期は並みでいくのか、イメージを教えていただけたらわかりやすいと思います。

田坂:現状、半導体は徐々に回復しています。「本当か?」と思われてしまうかもしれませんが、単純な機能の部品から複雑な部品まである中で、単純な機能の部品の製造が回復している状況です。

坂本:見えているのであれば、言ってもよいと思います。

田坂:業界のさまざまな方の話では、2年後には100パーセント回復するということです。私どもは試作と、EMSという数量が多い案件の両方を扱っているのですが、試作はそれほど部品を使わないため、逆に需要はとても増えています。

IoT化やDX化によりどんどん新しい注文が来るため、これから市場に新商品が出ると想定しています。そして、実際に量産されてマーケットに出るタイミングで、どこまで半導体の需要に製造が追いつくのかになってくると思います。

2022年3月期 第2四半期 損益計算書

田坂:損益計算書です。通期予算に対する第2四半期経過時点の進捗率を見ていただくと、48パーセントくらいになっていると思うのですが、期初に公表した通期業績予想を下方修正していますのと、売上高の季節性傾向から、想定どおりの進捗です。

市場の成長可能性:私たちの生活を支えるとともに、新たな社会を切り開くために不可欠なプリント基板

田坂:次に、成長戦略と中期経営計画です。右のイラストは、内閣府のホームページの資料です。「Society 5.0」ということで、本当にドローンでモノを運ぶといったことが実現し始めています。はじめて聞いた時は、本当に可能なのかと思いました。

また、工場などの倉庫の中で使用する、腰を痛めないパワースーツというロボットが出てきています。昔は、工場はロボットしかいない状態でないと駄目だったのです。ロボットは大変な早さで動くため、隣に人間がいると当たってけがをしてしまうのですが、現在は人間と協業できるロボットが生まれてきています。それがいわゆるロボットの革新です。

そして、クラウドなどを使ったサービスやAIの活用もどんどん増えてきています。駐車場の空き状態や使用電力などの見える化、IoT化が進んだことによりプリント基板の需要は増加し、これからもさらに増えていくことが予想されます。

市場の成長可能性:プリント基板は成長分野 電子回路市場は今後も継続成長が予想されている

田坂:こちらは、プリント基板の市場成長可能性のマクロ的なデータです。業界団体が出している、裏付け資料になっています。2019年の電子回路基板および電子回路実装基板市場の生産額は、中小企業で4,700億円、大企業は8,900億円という巨大なマーケットとなっています。

中でも今後の成長領域は医療系、車載向けです。医療系のMRIやCT、車載向けということでは、電気自動車(EV)が成長しています。

順調に拡大してきた顧客基盤:クロスセルの促進が売上成長のカギ

田坂:私どもの顧客基盤は順調に拡大、客単価もクロスセルにより増加してきました。左側の棒グラフが「P板.com」に登録しているお客さまの数の推移です。青色の折れ線グラフがお客さまの単価で、4年前に比べると25パーセントから30パーセントくらい伸びています。

右側の円グラフが、ユーザー登録の経緯です。私どもは、BtoBの通販ということもあり、どちらかと言いますと、広告で知っていただくよりも、エンジニアの方に使っていただき、口コミで社内の別の方に使っていただくことで、広告費をかけずにお客さまを増やしています。

坂本:これはすごいです。紹介でこれだけ入ると、広告コストが普通よりかなり安く、当然リピート率も割と高いということですよね。

田坂:そのとおりです。製品を作るサイクルにもよるのですが、ご利用いただいたお客さまの7割から8割の方が、再度、半年以内に注文いただいています。

ピーバンドットコムが2030年にありたい姿

田坂:10年後の私どものありたい姿は、「誰でも簡単にアイデアさえあればモノが具現化できるサービス(世界)の提供」です。

エレクトロニクスのハードウェアは昔からあるモノですが、私どもは、それを明朗会計で誰でも買うことのできるプラットフォームを提供しています。それに加え、新しい社会のトレンドに対応し、誰でも社会にインパクトを与えられ、イノベーションにつながるモノを作れるプラットフォームを作ろうと考えています。

「2030年のありたい姿」の実現には、従来とは異なる次元と発想の成長戦略が必要

田坂:「2030年のありたい姿」の実現には、3段階で成長していこうと考えています。2023年から2025年の第1次中計は「飛躍に向けての基盤整備」で、EC事業をさらに伸ばしていこうと考えています。EMS事業は、EC事業に比べると単価が2桁くらい違うような金額になりますので、着実に伸ばしていきます。

第2次中計のテーマが「新たな成長の始動」です。現在、私どもは東証一部の再編で、プライム市場の申請を出しており、プライム市場の上場維持基準に適合するかたちまで成長していこうと考えています。

最後の「変革への挑戦」という2029年から2031年の第3次中計では、オンリーワンで作り上げてきたサービスをさらに高めること、また、M&Aも含めた非連続の成長も含めて挑戦していこうと考えています。

第1次中期計画(23年3月期~25年3月期)「飛躍に向けての基盤構築」①

田坂:第1次中期経営計画です。「飛躍に向けての基盤構築」として、祖業であるEC事業を主体とした、地に足の着いた事業計画を展開します。

1つ目が、プリント基板事業の拡大です。今までは、本当に中小企業の試作基板のEコマースでしたが、上場企業という信頼性が担保され、大企業からの引き合いが大変増えています。

現在、1日200件近い試作の注文をいただいていますが、AIの発達により、基板データを解析できるようになりました。それを教師データとして、お客さまにさまざまなかたちでフィードバックできるサービスを準備しています。

2つ目が、EMS事業です。 小ロットの量産品をワンストップで作ることができるサービスで、主にハードウェアスタートアップの方などにご利用いただいています。

3つ目が、「第3の事業の柱」の模索と種まきです。昨今の部品不足といった、部品の商流の問題も多々ありますが、AIの活用や、これまでの知見を生かした「仕組み」でサポートするサービスの構築を準備しています。

第1次中期計画(23年3月期~25年3月期)「飛躍に向けての基盤構築」②

田坂:戦略投資としては、今後の成長加速に必要な「キーパーソン」の獲得にも取り組みます。EMSのコンサルや、新しいサービスの開拓に必要な方を採用していきます。とはいえ、現在の少人数態勢を引き続き意識しながら、人材を獲得していきたいと考えています。

また、私どもがKPIマネジメントとして重視しているのは、売上成長KPIと、収益管理KPIのROICの部分です。そして、日々の事業では、製造の信頼を損なうことのないよう、品質管理KPIを注視して運営しています。

第1次中期計画(23年3月期~25年3月期)具体的な施策:プリント基板事業①

田坂:第1次中計のもう1つのテーマが、「中小企業向け試作基板EC商社からの脱却」です。現在、私どもがターゲットにしているのは4,740億円の試作・産機向け少量生産リピート市場です。電子回路基板、電子回路実装基板の国内市場全体に占めるECでのシェアは0.14パーセントと、とても少ないため、ネットにリプレイスしていく余地があると考えており、それを一番の目標として営業活動しています。

また、スライド左側の棒グラフでは、中堅・大手企業の増加傾向を表しています。2015年度の顧客規模別売上高では、大企業が22パーセントでしたが、2015年度の顧客規模別売上高では、27パーセントと、5パーセント増えています。これからも拡大傾向にあると考えています。

第1次中期計画(23年3月期~25年3月期)具体的な施策:プリント基板事業②

田坂:私どもは、仕組み(知的資本)と人的リソース(人的資本)を使い、大手・中堅市場シェア拡大を図る方針です。

「知的資本」の強化1つ目は、UI(ユーザーインターフェイス)を改善し、より使いやすく、一見複雑そうな工程を誰でも扱いやすくしていこうということです。また、基板データのAI自動解析システムを活用して、注文の手間を減らしていきます。

2つ目に、当社では、お客さまの設計データなどをすべて自社システムで一元管理していますので、お客さまデータをバージョン管理し、必要なデータをすぐに活用できるよう、またそれらを利用してミスなく発注できるようDX化を推進していきます。3つ目に、マーケティング・オートメーションの強化です。これまでに蓄積したお客さまの利用状況などのビッグデータをAI解析することにより、提案型サービスを社内で開発していきます。

そして、「人的資本の強化」としては、人材をクライアント対応にシフトし、お客さまがネットで対応しきれない部分については、きちんとコンサルティングできる人員でサポートし、営業利益率10パーセント以上の維持を基本に計画を立てています。

第1次中期計画(23年3月期~25年3月期)具体的な施策:EMS事業

田坂:次に、EMS事業の具体的な施策をご説明します。ファブレスによる独自のサプライチェーンを構築して、EMS受注の拡大を促進する方針です。具体的には、エンジニアリングネットワークを強化していくこと、戦略的な投資と事業提携によって人的資本の投資を図っていくことです。

「部材調達力」強化による「安定的な量産体制」構築は、喫緊の課題である半導体不足への対応です。量産力のある企業との戦略的提携により、部品の調達力の構造的な改善を図ります。

またEMS事業によって、「ハードウェアスタートアップ企業との相互成長」を目指しています。ハードウェア製造には大規模な設備投資が伴い、これまでベンチャーの参入は難しかったですが、資金調達手段の多様化やオープンイノベーションの盛り上がりによって、ベンチャー企業でもハードウェアが作れるようになりつつあります。ハードウェアスタートアップ企業の成長とともに、私どもも成長していこうと考えています。

第1次中期計画(23年3月期~25年3月期) 事業展開の戦略

田坂:スライドは、第1次中期経営計画の事業展開戦略のイメージを表すチャートです。現状は、スライド左下の縦軸、横軸ともに「既存・既存」となっている部分で、中小企業向け試作基板のお客さまがメインで使っていただいています。今後は、スライド左上(領域D)と右下の部分(領域C)の両軸で領域を広げていこうと考えています。

第1次中期計画(23年3月期~25年3月期) 計画数値

田坂:第1次中期経営計画の計画数値です。売上高については、直近実績の19.7億円を26.8億円まで伸ばします。売上高成長率でプラス10パーセント、営業利益率は10パーセント以上、ROEは12.5パーセント以上を目指しています。

第2次中期計画(26年3月期~28年3月期) 「新たな成長の始動ーGUGENプラットフォーム構築 第2章へ」①

田坂:第2次中期経営計画では、事業基盤を固めた上で新しいサービスを仕込み、成長させていく方針です。

「事業展開の戦略」は、大きく3つあります。1つ目は、「存在感あるプリント基板総合EC商社の地位確立」です。大企業・中堅企業のシェアを拡大していきます。

2つ目はEMS事業の売上増大です。EMSの小ロットといえば「P板.com」とマーケットから認識いただけるよう、「プリント基板製造EMS企業」としての地位確立を実現していきます。

3つ目は「『第3の事業の柱』のテイクオフ」です。先ほど「部品の事業」「データ」「AI」などのキーワードをお伝えしましたが、それらをきちんと収益化し、オンリーワンの企業になろうと考えています。

第2次中期計画(26年3月期~28年3月期) 「新たな成長の始動ーGUGENプラットフォーム構築 第2章へ」②

田坂:戦略投資と事業提携の加速ですが、私どもは、基本的に、飛び地のM&Aはするつもりがありません。「GUGENプラットフォーム」の機能として必要な会社との協業を考え、非連続な成長を目指しています。

最後に「KPIマネジメント」です。2028年3月期には営業利益率を15パーセントまで高める考えです。ROICとROEのターゲットも12.5パーセントから15パーセントに引き上げます。

また、投資の比率を中期的に15パーセントから30パーセントに抑制しながら、ROICは15パーセント超をハードルレートとし、M&Aや戦略的投資をしていこうと考えています。

第2次中期計画(26年3月期~28年3月期) 事業展開の戦略「新たな成長の始動」

田坂:第2次中期経営計画の成長イメージです。スライド左下が、「GUGENプラットフォーム」がほぼ完成した状態です。新しいターゲット部分と、スライド右下の新しいサービスの成長ということで広げていこうと考えています。

移行基準日における当社の適合状況 流通時価総額がプライム上場基準を充足していない

田坂:この第2次中期経営計画のもう1つの目標は、期間中のできるだけ早い時期に、東京証券取引所の新市場区分プライム市場の上場維持基準に適合することです。現在のプライム市場の基準と、現状の比率を示しています。現状で私どもが満たしていないのは「流通株式時価総額」です。プライム市場に移行するためには100億円が必要ですが、移行基準日時点において20億円と、5分の1です。ですので、流通時価総額をいかに上げるかがテーマになっています。

計画期間:第2次中計(26年3月期~28年3月期) 期間中のできるだけ早い時期に達成を目指す

田坂:第2次中期経営計画の計画数値です。スライド右側、第2次中期経営計画では、売上高36.9億円と、流通時価総額の算出の根拠が記載されています。

流通株式比率を52.6パーセントから70パーセントまで増やし、PERを26倍から私どもと同じBtoBのEコマース企業3社の平均値35倍ないし40倍まで伸ばすことにより、流通時価総額106億円を実現できるのではないかという根拠で算出しています。

坂本:売上利益の成長は、ほぼ均等に上がっていくようなイメージになっています。第2次中期経営計画の間にM&Aを予定しているかどうか教えてください。

また、流通時価総額と流通株式比率について、冒頭にあった株主のお話では、資産管理会社と社長分の持ち株でかなりの割合になっていますが、株の放出のことも考慮し、流通時価総額106億円、流通株式比率70パーセントとなっているのでしょうか? 

田坂:現状の計画の中にM&Aの数字は織り込んでいません。オーガニックな成長の中でこの目標を達成するという計画を練っています。また、株式の放出に関しては、株価や流動性も含め、私の資産管理会社で保有している株式の売却を進めることを、検討課題として挙げています。

第3次中期計画(29年3月期~31年3月期) 「変革への挑戦-GUGENプラットフォームのその先へ」①

田坂:最後に、第3次中期経営計画についてです。第3次中期経営計画では「GUGENプラットフォーム」を軸に、経営目標である「誰でも簡単にアイデアを具現化できる仕組み」を追及することにより、持続性ある企業成長、経済・社会のよりよい開発環境の協創を実現するというイメージです。

私どもが提供しているサービスがあるおかげで、さまざまな便利なハードウェアが世の中にあふれる世界を実現しようと考えています。昨今のビッグワードである「AI」「エッジコンピューティング」「クラウドソリューション」などを提供するSI事業も含め、ソフト、ハードを一気通貫し、サービス提供できるようなプラットフォームを作っていきます。

第3次中期計画(29年3月期~31年3月期) 「変革への挑戦-GUGENプラットフォームのその先へ」②

田坂:第3次中期経営計画のイメージを表すチャートです。スライド左下の「GUGENプラットフォーム」が大きく実現した中で、ハードウェアをベースにした利便性の高いサービスを誰でも作れるようにできる企業になっていこうと考えています。

株主還元方針

田坂:株主還元方針についてです。基本的には成長投資を優先していきますが、バランスシート上で資金の余力があるため、株主還元も継続していこうと考えています。

配当性向については、第2次中期経営計画期間では30パーセントを実現するかたちとしています。

坂本:プライム市場に完全移行するまでは、どちらかと言いますと成長株という見方を個人投資家はすると僕は思っています。配当する資本を成長に組み込んでいくのではなく、バランスを取って進めていくのではないかと思いますが、イメージを教えてください。

田坂:私どもはシステム開発をはじめ仕組みづくりを内製化する文化があり、そのような方法をとってきました。人材をそろえることで、いろいろな開発を進めることができるようになっています。人的投資という点では、成長するための投資はすでに行っていると考えています。

また、先ほどお伝えしたように、顧客獲得のためのテレビCMを打つ必要もあまりなく、現状のリソースを大きく変えずにこの成長が実現できると考えています。そのため、成長投資を行った上できちんと配当もしていきたいと考えています。

IR/PRニュース配信のご案内

田坂:IR/PRニュースをメール配信しています。ぜひ、この機会にご登録ください。今後は、月次KPIの配信も考えています。ぜひ、ウォッチしていただければと思います。ありがとうございました。

坂本:先ほどの月次のKPIの部分が非常に興味深いところです。外食や小売りなどは打ち出しやすいのですが、それをされるというのはなかなかです。株価に一喜一憂してしまう可能性もありますが、投資家としては非常にありがたいことです。楽しみに待ちたいと思います。

質疑応答:顧客について

飯村:「顧客は国内でしょうか? 海外メーカーと海外ユーザーを結びつけることなどもあるのでしょうか?」という質問です。

田坂:これまでは国内のみでしたが、AIを活用したデータ解析といった付加価値により、海外でも価値を感じてもらえるサービスを提供できる可能性はあります。将来的には、国内と同様に、海外にもサービスを提供していけると思います。

質疑応答:SDGsの取り組みについて

坂本:「Appendix」に、田坂代表取締役へのインタビューとして、今後の目指す姿と中期経営計画についてのお話が掲載されています。成長戦略については、このあたりを見ていただければよいと思います。その中にSDGsについてのお話がありましたが、現在の取り組みなどを教えてください。

田坂:SDGsについては、昨年にサステナビリティ・ワーキンググループを社内に立ち上げ、これから優先度をつけて取り組みを本格化するところです。私どもが特に貢献できると考えているのは、9番の「産業と技術革新の基盤を作ろう」という項目で、Eコマースを通じ企業規模に関係なくサービスを提供しようとしています。

私どもが提供しているのは、新しい技術で便利な技術を創出しようとしているハードウェアベンチャー企業のお客さまにもご利用いただきやすいサービスです。事業活動を強化することで、技術革新の片隅を照らしたいと考えています。

質疑応答:今後の経営リソースの使い方について

坂本:成長戦略のうちソフト面に関してです。「『GUGENプラットフォーム』などの企画はおもしろく、注目しています。一方で、シェア率はまだ低いと拝見していますが、今後は、どこにどのような経営リソースを投下していくとお考えか教えてください」という質問です。

田坂:大手のものづくりのプラットフォームにどれだけ入っていくかということがすごく重要になっています。私どももプラットフォームのため、「プラットフォームonプラットフォーム」のようなかたちで、他社のプラットフォームに入り込むことにより、シェアを上げていきたいと考えています。

また、他で提供していない新しいサービスを提供し始めることで、ハードウェアを作る時は必ず私どものゲートウェイ、つまり入り口を通ることが当たり前となるサービスを目指し、シェア率をどんどん上げていきたいと思います。

坂本:「プラットフォームの中のプラットフォーム」という考え方はすごくおもしろいと思います。やはり、試作を含めて大量に基板を発注するような大企業の自社システムの中に入れ込むかたちですか?

田坂:そのとおりです。

坂本:その取り組みは、すでに始まっていますか?

田坂:今まで大手の1部署のみご利用いただいていたところから横展開で広がってきています。いずれは全社的にご利用いただけるかたちになっていくと思います。それにより目標を達成していきたいと考えています。

坂本:そこは、大企業はかなり期待できますね。

田坂:そのとおりです。

質疑応答:EMSの利益率と中長期的なセグメント比率について

坂本:「EMSの利益率と中長期的なセグメント比率はどのくらいになるか知りたい」という質問です。

田坂:通常、「iPhone」のようなものを作るEMSはかなり利益率が低いと言われていると思いますが、私どもの場合はEMSでもきちんと利益が取れるような体質になっています。なぜそれができるかと言いますと、少人数で効率姓を重視していること、さらには価格競争になるようなものは受け付けないところがあります。

坂本:その部分があるため、売上のみを伸ばしていく方法はとっていないということですね。

田坂:そのとおりです。やはり利益をきちんと確保しないと疲弊してしまいます。ですので、会社の方針として、価格のみを求めるようなユーザーとは取引しないということで、利益を確保していくように考えています。

田坂氏からのご挨拶

田坂:私どものサービスは少しわかりづらく、個人投資家の方にはなじみがないところがあると思います。しかし過去の実績も含め、本当にオンリーワンのインフラ的サービスを提供する企業として成長していこうと考えています。ぜひウォッチしていただき、応援していただければと思っています。よろしくお願いいたします。