2022年3月期第2四半期決算説明会

金原利道氏:こんにちは。日鍛バルブの金原でございます。弊社の2022年3月期第2四半期決算説明会にアクセスいただきまして、誠にありがとうございます。

この上半期の9月末で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言も解除され、その後のワクチン接種率の向上もあり、日当たりの感染者数も激減する状況になってきております。

一方で、これまでにお亡くなりになられた方にはあらためてお悔やみを申し上げます。また、いまだに罹患されて苦しい治療や拘束に耐えておられる方にはお見舞いを申し上げます。さらに、これまで病床数も足りずに感染症の診察から治療、入院の対応に追われた医療関係者の方々には、心より敬意を表したいと思います。

弊社グループにおきましては、ASEANとインドをはじめ、欧米および韓国の感染者再拡大を受け、またオミクロン株の脅威も含めて、今後も引き続き感染対策を緩めることなく、予防を徹底してまいります。

当社事業領域①

今回の説明会は3部構成になっており、第1部では事業概要についてご説明します。まず、当社事業領域ですが、この上期での変化はありません。新たな取り組みに関しては、第3部でご説明します。

その他事業概要

その他事業にも変化はありませんが、秦野名水を使用しLED栽培をしている「Shune365」は、コロナ禍で需要が激減し、苦しい状況が続いています。しかし、ホテル、旅館、レストランに対しては、SDGs指向の高まりにより、「必ず生き残るべき事業である」との応援も頂戴しています。コロナ禍収束後まで耐えて、安心、安全な商品を提供し続けられるように努力していきたいと思います。

当社事業領域②

スライドのグラフは、連結売上の事業別シェアを表したものです。約8割を占める小型エンジンバルブ事業は、今後の再編のもっとも大きな課題であり、仕事でもあります。拠点別かお客さま別か、といった多面的な分析から有効な再編策を描いて、今後の変化に対応していきます。

国内・海外の拠点別主要取引先 (連結売上高)

こちらは、国内と海外の売上に対する顧客別シェアを表したグラフです。連結売上に占める小型エンジンバルブのシェアのとおり、ホンダの四輪と二輪の需要が目立ちます。今後、四輪は四輪の、二輪は二輪の再編戦略を講じて、電動化などへの移行に備えていきたいと思います。

大株主の変動について(1)

大株主の変動については、イートン社との平和的協議により、30パーセントを18パーセントにすることができました。今後も引き続きパートナーシップを維持しながら、独自の戦略を尊重する路線を協議していきます。

大株主の変動について(2)

こちらのスライドは大株主の構成を左右で比較したものです。岩谷産業については、弊社の「NITTAN Challenge 10」に賛同してくださり、グローバルで新たな共同戦略を構築するパートナーとしての意思表示と言えるものです。単なる株の持ち合いの関係ではなく、目的・目標とその戦略を共有する同志として、新分野に挑戦していきたいと思います。

2022年3月期第2四半期業績総括

次に、第2部の第2四半期決算と通期業績見通しについてご説明します。まず、2022年3月期上半期の業績総括ですが、ご覧のとおり前期比で大きく増収増益になりました。しかし、今期計画に対しては、半導体不足によるお客さまの減産と、円安による材料などの値上がりにより、売上は微増だったものの減益となりました。

事業セグメント別業績①

事業セグメント別では、前期比では主要な事業において大きく増収増益となりました。しかし、今期計画比では、主力の小型エンジンバルブで国内の受注の落ち込みが大きく、利益を落とした影響が目立ちます。

事業セグメント別業績②

こちらは、事業セグメント別業績を分解したグラフです。どの事業セグメントにおいても、売上高はコロナ禍以前の2020年3月期水準に戻っていないことがわかります。ただし、営業利益では、タイとインドネシア、そして中国の日照日鍛の堅調さがカバーしたと言えます。

所在地別業績

アジアで好調だったことは、こちらの所在地別業績グラフからも読み取ることができます。まず、日本については、前期比では大きく増収増益になったものの、今期計画とコロナ禍以前との比較では、半導体ショックによる利益圧迫は避けられなかったと言えます。

一方、ASEANと中国は、需要の回復も早く、為替影響も若干の追い風となり、すべての比較でも増収増益となりました。

連結営業利益増減要因

連結営業利益増減の要因は、前期比では何と言いましても需要の回復に尽きますが、いまだに続くコロナ禍や半導体ショックによる受注の不安定さには、より機敏で柔軟なコスト抑制策を講じて、最小限のダメージに抑えていきたいと思います。

連結貸借対照表

連結のバランスシートですが、資産については、持ち分法適用関連会社の北京柳成新和を早期に日照市に移設・集約したことにより増加を示しています。一方で、利益回復に伴い長期借入金の返済が進み、為替の追い風で純資産が増加しました。

連結キャッシュ・フロー

連結キャッシュ・フローについても、前期比で大幅な増収増益となり、営業活動によるキャッシュ・フローが伸びました。

2022年3月期業績見通し総括

2022年3月期業績見通しとして、前期比では増収増益を見込むものの、今期計画に対しては、引き続き半導体不足に伴う受注変動と「悪い円安」が、調達や物流コストを重くすることが想定されます。このような不可抗力的なコストアップに関しては、お客さまとの協議で解決を図るように進めていきます。

セグメント別業績見通し①

セグメント別業績見通しですが、まず小型エンジンバルブについては、ご覧のとおり前期比では大きく増収増益を見込めるまでに回復しました。また、今期計画に対しても、最後まで達成するように努力と改善を続けていきます。半導体不足解消後の挽回生産も情報を的確に捉えて、効率よく対応できるようにしたいと思います。

セグメント別業績見通し②

舶用部品事業では、既存製品の需要回復もつかみつつ、お客さま各社のGHG温室効果ガス対策エンジン開発に伴うオファーにも積極的に対応し、さらに増収増益の勢いを高めたいと考えています。

セグメント別業績見通し③

歯車事業は、トラック需要の回復に加えて、オートマチック・トランスミッション用の需要が回復すると、一気に生産と供給に火が点くことが懸念されます。そのような混乱で増収増益のブレーキを踏むことのないように、現在進めています再編活動で、QCD品質、価格、納期を確保する力を着実につけていきます。

セグメント別業績見通し④

PBW事業は、中国向けオートマチック・トランスミッションの需要低迷により、期首の計画に届かない可能性が高いと見ています。お客さまとは減産に伴う価格改正も合意しており、さらに固定費軽減策を実施して、黒字を維持したいと思います。

セグメント別業績見通し⑤

その他事業では、韓国の新和精密で、舶用エンジン向けの油圧リフターの開発と量産化を進めていきます。この設計と開発は日鍛バルブ本体ですが、新和精密は生産と供給の開発役という位置づけです。

設備投資・減価償却費

設備投資と減価償却の相関ですが、今期計画に対して10億円抑えたかたちで進行しています。それでも連結売上高比12パーセントは、為替影響はあるものの、2パーセント重いと評価しています。しかし、投資の目的は、ポジティブなものが多く、付加価値の高い製品に対する投資となっています。

配当の状況

配当はすでに発表している中間で5円、期末で6円の計11円を予定しています。配当性向は30パーセントですが、最終的には期末業績見通しをもって増配を考えたいと思います。

中期経営計画

第3部の中長期戦略をご説明します。27ページは、中期経営計画指標の更新版です。2022年3月期の見通しはすでにお伝えしたとおりですが、次期2023年3月期は新型コロナウイルスも半導体不足も収束の傾向に向かい、懸念点は円安と米中摩擦の行方だと考えています。

また、中国で反米・反日の不買運動が激化すると中国拠点の需要に大きく響くおそれがあります。そちらは他の拠点でカバーできるように連携を強化していきます。

拠点別中期利益計画 売上高&営業利益率

拠点別では、低迷傾向の強い米国のUSEV再編の取り組みが急務と考えています。パートナーのイートン社とも状況の認識は共通であり、相互に具体策を検討し、実行案を固めていくように進めていきます。

インドのニッタンインディアテックはコロナ禍で日本人駐在の不在を余儀なくされていましたが、11月に駐在が可能となり、今後は二輪用バルブの戦略拠点として強化していく計画です。

中国は、日照日鍛の傘中空バルブの第4ラインを計画どおりに立ち上げ、さらに付加価値製品を拡大させていきます。

最後に日本です。「NITTAN Challenge 10」を加速させ、実現していく本丸として既存事業の再編を強化しつつ、付加価値の開発と新規xEV部品の開発を両立させていきます。

拠点別中期投資計画 投資額&売上高比率

拠点別中期投資計画です。開発拠点である日本で売上高比率が10パーセントを上回る傾向が見て取れますが、「NITTAN Challenge 10」の進行に沿って更新していきます。

“NITTAN Challenge 10”とは

「NITTAN Challenge 10」を見える化、わかる化したものです。2030年で達成する目標はスライドのとおりで変更はありません。取り組みは2つのビジョンで推し進めていきます。

「VISION I」は、既存事業の技に磨きをかけ、より高い付加価値を提供し続ける戦略を目指します。大黒柱の小型エンジンバルブをはじめ、歯車やリフターの技術を活かした新ラインナップを創造していきます。

「VISION Ⅱ」は、電動化やEV化の普及を見据えたxEV部品などの開発と商品化実現です。代表例は減速機や燃料電池用ターボ製品ですが、積極的にSDGs指向のニーズを取り込んでいきます。

Mobilityの転換とESGのために

モビリティの大転換期ではESGも見据え、2つのビジョンが今後も続くエンジンの進化に貢献し続けること、そして電動化ニーズにスイッチしていくことの意義と価値を再認識しながら進めていきます。すでに「NITTAN カーボンニュートラル」のグローバル方針を立てており、2022年4月にキックオフします。

船舶燃料の多様化

大転換の動きは船舶用エンジン業界でも始まっています。CO2排出量の削減を図るため、重油からLNG(液化天然ガス)に移行し、その後は経済的に有利とされているバイオメタノール系への移行が有力視されています。

多くのエンジンメーカーが開発を目指す水素やアンモニアは、2028年以降の実用化が有力視されていますが、その燃料の経済的な負荷が課題になりそうです。弊社の船舶用エンジンバルブでは、いかなる燃料にも耐熱性・耐摩耗性・耐腐食性で他の追従を許さない性能を発揮するべく先行開発を進めます。

自動車メーカー電動化の動向

主要自動車メーカー各社の電動化の動向を示したものです。すでに多くのシーンでリリースされている計画と目標ですが、今後、COPなどの国際協議や自動車メーカー各社の開発競争がより加速する可能性を秘めていると言えるかもしれません。

“NITTAN Challenge 10”のバックボーン

そのような背景の中での「NITTAN Challenge 10」ですが、スライドをご覧いただくとおわかりのとおり、SDGsのバックボーンからキーとなる相関を踏まえ、挑戦領域の「VISION I」「VISION Ⅱ」にきちんと結び付けています。

“NITTAN Challenge 10”の挑戦の系譜

恐竜をジュラ紀や白亜紀など時代別に表すのと同じように、「NITTAN Challenge 10」の系譜を表してみました。恐竜と同じように衰退や絶滅をたどるものもあるかもしれません。しかし、決して退化することなく、NITTAN進化論が続くように新たな生命を創造し続けます。

“VISION I“の進捗

「VISION I」の現在の進捗を表したものです。これらは代表例ですが、着実に商品化の軌道に乗っています。

“VISION II“の進捗

「VISION Ⅱ」も同様に、緊張感とともにワクワクするような開発と課題解決を繰り返しています。はすば歯車を含めて新たな歯車にも挑戦し、幅広い電動化のニーズに対応していきます。

“NITTAN Challenge 10”の代表開発アイテム

「VISION Ⅱ」の代表選手とも言えるトロコイド式減速機の「Nixtroid」は、従来の減速機よりも小型化や軽量化を果たし、大きな出力を必要としないニーズにミートさせる狙いです。

“VISION I“の開発計画

「VISION I」の開発計画は、顧客ニーズが前倒しになることも想定したスピードで実行していきます。

“VISION II“の開発計画

「VISION Ⅱ」は、新商品化や新事業化への課題とその解決策も明確にし、海外も含めたパートナーの力も束ねながらチャンスとリスクのバランスをとって取り組んでいきます。

新商号・新商標について

商号変更についてです。「NITTAN Challenge 10」の本格化やカーボンニュートラル始動のタイミングで「日鍛バルブ」から「NITTAN」に商号を変えるにあたり、あらためて襟を正し、背筋を伸ばして、新たな歴史を築いていきます。

カーボンニュートラル達成に向けての取り組み

「NITTAN カーボンニュートラル」は、政府の指針である2030年に2013年比で50パーセントのCO2削減を目指します。「Scope1」「Scope2」「Scope3」において有効策の情報を収集しつつ、計画的に進めていきます。海外拠点に関しても、日本の活動モデルを横展開することで追従させていきます。

DXにおける取組み

DXの取り組みは、作業やルーチンワークのデジタル化にとどまらず、仕事の効率化を図るとともにスマートファクトリー化や多様な人材育成に活かしていきます。

“VISION X“とは

「NITTAN Challenge 10」の第3の予備軍を「VISION X」と呼んでいます。最初は遊びや趣味の延長など、愉快な開発から始まったものばかりです。しかし、その出来栄えはプロの目にもとまり、徐々に商品化の手応えを感じるようになっています。

その根底にはSDGsがあり、本業があればこそのアイデア商品候補であると評価しています。その無限の可能性を込めて、今は「X」と呼んでいます。

“VISION X“ それは愉快な開発

これらはすべて、企画制作にあたって合法であることを確認し、中には商標登録手続きを行っているものもあります。パターやバルブペンは、NITTAN固有の材料や加工技術から生まれた製品で、その道のプロからも高い評価を得ています。

コースターやワインストッパーは、廃棄品に工夫を凝らしてできた、まさに環境志向製品です。いろいろな思いがこのような熱い開発を盛り上げてくれることこそが「NITTAN Challenge 10」の真髄です。今後も「おもしろい会社作り」を追求し続けていきます。

今回は第3部の構成で少し長くなりましたが、最後までご視聴いただき本当にありがとうございました。いまだに新型コロナウイルスは収束しておらず、円安による経済的な影響も混沌としていますので、今期の締めくくりと来期への準備を今一度引き締めていきます。

また、CSRにはじまり、SDGs、ESG、さらにはDXやIoTなど、多くの対応と変化を求められる時代です。「日鍛バルブ」から「NITTAN」への商号変更も、それらに独自で挑戦していく1つの節目だと思っています。今後も日鍛バルブと新しいNITTANにご注目とご期待をお寄せいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。