2022年3月期 2Q累計業績概要①
高垣豪氏(以下、高垣):常務の高垣でございます。本日はご多忙のところ、弊社の決算説明会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。資料にもとづきまして、2022年3月期上半期の実績ならびに通期の予測を中心にご説明させていただきます。
2ページでは、2022年3月期の上半期の業績のポイントをまとめています。期初における我々の想定としては、ワクチン接種の進捗によって経済が徐々に回復するものの、カジノやパチンコといったレジャー産業の回復にはまだ時間を要し、上半期は低調に推移すると考えていました。
欧州のゲーミング市場については各国におけるロックダウンの実施の影響を受け、また国内遊技場向においては市場環境の影響を受け、期初の想定どおり、依然として低調な推移となっています。
しかし、米国のゲーミング市場が想定以上に早期に回復してきたことや、欧州のコマーシャル市場において感染懸念による非接触・非対面決済の利用拡大により需要が増加しており、売上高は期初の想定を上回ると考えています。
利益面においても、増収要因に加えて、前期に実施した希望退職者の募集や固定資産の減損損失の計上による人件費・減価償却費の減少、その他の経費削減にも取り組んだ結果、5半期ぶりに営業利益を確保することができました。
2022年3月期 2Q累計業績概要②
3ページでは、2022年3月期の上半期の業績について示しています。
売上高増減要因(前年同期間比)
4ページのとおり、売上高は欧州のゲーミング市場や国内遊技場向が前年同期間比でマイナスとなりましたが、米国のゲーミング市場の回復や海外コマーシャルの伸長などでカバーした結果、前年同期間比で11.2パーセントの増加となりました。
営業利益増減要因(前年同期間比)
先ほどご説明したとおり、上半期は営業利益以降の段階利益では損失を見込んでいましたが、人件費や減価償却費のほかに研究開発費、営業販促費用の削減・抑制といった策を実施したこともあり、営業利益で2億7,400万円を確保することができました。
営業外においても、米ドルが前期末に比べて円安になったことで為替差益を3,000万円ほど計上した結果、経常利益は3億2,400万円となりました。
2022年3月期 2Q累計セグメント別業績概要
6ページは、セグメント別の業績を示しています。グローバルゲーミングセグメントでは、売上高が前年同期間比でわずかに増収となっていますが、経費面で特に人件費と減損損失の計上でのれん償却費負担が減少したことやその他の経費の削減により、大幅な増益となっています。
遊技場向機器セグメントでは前年同期間比で減収になっていますが、開発費の削減や希望退職による人件費・償却費の減少などにより、赤字幅が縮小しています。
グローバルゲーミング セグメント別 業績概要
7ページからはセグメント別の概況についてご説明します。7ページは、グローバルゲーミングセグメントです。売上高については、欧州地域ではカジノやアーケードゲーム場が一時的に閉鎖されていたことに伴い、低迷しました。
しかし、後ほどご説明しますが、北米地域ではワクチン接種の進行に伴い想定よりも早く市場が回復したことなどにより、紙幣識別機やプリンターの販売は順調に推移しました。
海外コマーシャル セグメント別 業績概要
8ページは、海外コマーシャルセグメントです。米国地域における精算機向の新規顧客獲得や、特に欧州地域におけるスーパーマーケットなどのセルフレジ精算機向の販売が好調で、売上高は大きく伸長しました。
欧州地域においては、金融および小売向けにソリューションを提供する世界的な大手企業のセルフチェックアウト精算機の新製品に、当社製品が採用されました。生産や品質に関する要望に対してタイムリーにお応えすることで、同社と安定的な取引を継続できるように取り組んでいきたいと思っています。
国内コマーシャル セグメント別 業績概要
9ページは、国内コマーシャルセグメントです。こちらのセグメントにおいても、コロナ禍の影響で引き続きOEM向け製品を中心に需要先でのプロジェクトがホールドされた案件などもありましたが、セルフ化に関する需要は順調に推移し、売上高は前年同期間比と期初予想比で上回った結果となりました。
遊技場向機器 セグメント別 業績概要
10ページは遊技場向機器セグメントです。当セグメントの顧客先のパチンコホールを取り巻く市場環境ですが、店舗数や遊技人口の減少が続いている中、コロナ禍の影響で営業自粛期間があった前年同期間よりは改善したものの、依然として厳しい事業環境が続いています。
また、半導体などの需給の不足によって新機種の販売延期や販売数量の制限などの影響を受け、来年1月末を期限としている旧規則機の撤去やそれに伴う新規則機の入替が順調に進んでおりません。このような状況から、我々が得意とする設備関係についての投資が抑制傾向にあり、販売が低調に推移している状況です。
以上が上半期のセグメント別の業績の概要です。
2022年3月期 通期業績予想①
11ページから、2022年3月期の通期業績予想についての話題に移りたいと思います。下半期の見込みですが、売上高については先ほどもお話ししたとおり、いろいろな問題があるものの、国内遊技場向で旧規則機の撤去・入替などによる設備の更新があり、数量が期待できます。
また、欧州のゲーミング市場がようやく正常に戻りつつあることも合わせて、米国のゲーミング市場がコロナ禍前の水準に戻るという想定のもと、上半期からはさらに売上が改善すると見込んでいます。
一方で、最近の話題として、イギリスやドイツを中心に、欧州では新型コロナウイルスの感染の再拡大が見られるなど、依然として先行きは不透明な状況にあることも合わせて考えておかなければならないと思っています。
利益面においては、それらのほかに部材価格の高騰に加え、海外市場の回復に伴い、海外へ向けた航空運賃の高騰による輸送費の増加、あるいは上期から後ズレした開発費の支出などによる経費の増加などが考えられるため、営業利益については上期よりは低い水準に留まると見込んでいます。
一方で、半導体やその他の部材の品薄、調達遅れ、あるいは東南アジアでの新型コロナウイルスの感染拡大によって、一部の生産活動に支障が生じています。しかし、海外の販売子会社は決算期末が12月であるということから、進行年度の下半期においては生産遅れなどに伴う販売への影響はごく軽微であると想定しています。
10月以降の為替レートについては、スライドに記載のとおり、米ドルは110円、ユーロは130円としています。
2022年3月期 通期業績予想②
下半期の見込みを踏まえた通期の業績予想は12ページのとおりです。一部のセグメントにおいては回復の兆しも見られており、期初予想をクリアできる見込みではありますが、セグメント・地域によってはまだ濃淡があります。
2022年3月期 通期セグメント別業績予想
13ページでは、コロナ禍前の2020年3月期のセグメント別の数値も記載しています。残念ながら、2020年3月期の水準までの回復には至っておらず、進行年度は、そこまでは至らないと考えています。
しかし、前期に実施した構造改革によってコスト構造が大幅に改善しており、損益分岐点売上高は直近3ヶ年は平均で約265億円でしたが、約190億円まで下がっています。コロナ禍の収束による売上の回復に応じて、利益を確保できるものと考えています。
グローバルゲーミング 2022年3月期 セグメント別予想
14ページ以降では、各セグメントの下半期の見通しと取り組みをご説明します。グローバルゲーミングセグメントについてはスライド15ページの表のように、米国のカジノは非常に活況を取り戻していることから、顧客の設備投資意欲の回復に期待しています。
欧州地域においても9月頃から、ようやく各国のカジノやアーケードの営業がコロナ禍前の正常な状態に戻りつつあります。それに伴い、足元では受注状況が回復しているため、上半期よりも改善すると見込んでいます。
グローバルゲーミング セグメント別 下期以降の取り組み①
16ページ以降では、グローバルゲーミングでの下半期以降の取り組みをまとめています。1点目として、カジノ向システム「FUZION」についてご説明します。当セグメントにおいては、以前からビルバリ(紙幣識別機)やプリンターの単品ビジネスを進めてきましたが、当システム製品などの新たな商材の取り扱いを通じて、単品ではないシステムも含めたビジネスモデルへの移行を積極的に進めていきます。
その中心となるのが、カジノ向システム「FUZION」です。米国内に30ヶ所以上のカジノを有する大手オペレーターが、2019年11月に新規開業したスロットマシン3,600台を設置した大型カジノに初めて導入され、その後も採用が決定していましたが、残念ながらコロナ禍の影響もあり、導入が一時ストップしていました。ただ、コロナ禍で営業活動ができない間に、各州においてゲーミング認証機関(GLI)の承認を得るべく手続きを進めており、再開後に販売地域をさらに拡大させていきたいと考えています。
グローバルゲーミング セグメント別 下期以降の取り組み②
2点目として、テーブルゲーム・ソリューションについてご説明します。現在、テーブルゲームではディーラーが手作業で紙幣の受け取りや鑑識別を行っていますが、当社製品をテーブルゲームに搭載することで、高速かつ高セキュリティに紙幣の鑑識別を行うことができるようになり、ディーラーの負担を軽減するとともに、カジノ向システム「FUZION」との連携により、オペレーターはデータを活用できるなどのメリットを享受できます。
あわせて、カジノシステムと連動した「チケットイン/チケットアウト・システム」により、テーブルでチップとの交換ができ、チケットを使用してテーブルとスロットとの間を自由に移動することが可能となり、顧客の利便性も向上すると思われます。
当製品は北米だけでなく、今後はマカオを中心としたアジア地域やオーストラリアへの展開も進めていきます。
グローバルゲーミング セグメント別 下期以降の取り組み③
3点目として、大型LEDディスプレイの拡販についてまとめています。米国の合法的なスポーツ賭博は2018年5月の米国最高裁の決定により、全米の州に門戸が開かれました。早速、2018年に6州で解禁されて以降、現在28州で解禁され、実際に20を超える州で運営がされており、今後解禁される州と合わせて、ベッティングルームの新設などに伴い、大型LEDディスプレイの商機も広がってくると考えています。
海外コマーシャル 2022年3月期 セグメント別予想
19ページでは、海外コマーシャルの下半期の見通しと取り組みについてご説明します。下半期の見通しはすべての地域で、案件減少などで上半期に比べて減収を想定していますが、欧州地域は引き続き安定した需要が継続すると見込んでいます。
また、当社の中長期戦略で、海外コマーシャル事業をグローバルゲーミング、国内遊技場向に続く第3の柱に成長させるというテーマを掲げて取り組んできました。この度、さらに当製品のバージョンアップを行い、紙幣の画像処理を可能にするなど、鑑識別能力をさらに強化しました。
これにより、紙幣の鑑識別はもちろんのこと、紙幣の記番号の認識や偽造券の追跡も可能になることに加えて、各国の中央銀行のセキュリティ基準を満たしていることから、幅広いお客さまのニーズにお応えすることができ、さまざまな国や地域、市場において採用していただけることを期待しています。
国内コマーシャル 2022年3月期 セグメント別予想
20ページで、国内コマーシャルの下半期の見通しと取り組みをご説明します。下半期は非対面・非接触が進むなかで、飲食店向け券売機の需要が継続するとともに、コロナ禍前に比べるとまだ低調ですが、コロナ禍でストップしていた顧客のプロジェクトが再開する見込みがあるなど、少しずつですが期初予想の達成を目指します。
下半期の注目項目としては、11月1日に発行された新500円硬貨に関する需要が挙げられますが、本件はソフトウエアの更新での対応が中心になると考えており、下半期では約1億円の増収要因と見込んでいます。
遊技場向機器 2022年3月期 セグメント別予想
21ページでは、遊技場向機器セグメントの下半期の見通しと取り組みをご説明します。下半期のポイントとしては、旧規則機が1月末に撤去期限を迎えることです。現状、半導体や部材不足により新規則機の発売状況が芳しくなく、計画的な入替が行えないことで設備投資が新台の発売に準じて延期されている状況です。
来年1月末までに現在設置されている約100万台の旧規則機が完全撤去され、台入替が行われることに合わせて、その際の周辺機器の入替需要をいかにして獲得できるかが、この下半期のポイントになると考えています。
2022年3月期 下期の取り組み
22ページでは、下半期のその他の取り組みなどを3点ご説明します。1点目は、生産面でコロナ禍前から課題であった中国からフィリピンへの生産移管を、需要の回復に合わせて完遂させるとともに、新工場での製品品質の一層の安定化を図るなどの施策に取り組んでいきます。
2点目は、中小規模の医療クリニック向けにリリースした新製品をご説明します。当製品は医事会計システム(レセプトコンピューター)との連動により、診療費会計を自動化・非対面化できるクリニック向精算機です。
本製品は、新型コロナウイルスをはじめとした感染症対策が進む中、非対面での会計を実現するとともに、クリニックが抱える違算防止を含め、現金管理における省人化の課題を解決し、現金決済のみならず多様なキャッシュレス決済方法にも対応しています。
3点目として、現在の中期経営計画において、実績が初年度(2019年度)より大きく乖離していたことから、見直し作業を進めていましたが、その後に業績が新型コロナウイルスの影響を大きく受けたことにより、いったん中断していました。
進行年度において、次年度を初年度とした計画の策定を進めていましたが、世界的な半導体をはじめとした材料不足による業績への影響を見定める必要が生じたため、慎重に精査をしたうえで、完成次第、公表します。
利益還元
最後に、23ページで利益還元についてご説明します。最終損失を計上していたことから、2020年度の中間、期末、そして進行年度の中間配当は無配でした。また、進行年度の期末の配当も、当社グループを取り巻く市場環境などの先行きが不透明な状況であることから、当初は未定でしたが、スライドの12ページでご説明したように、通期で利益が確保できる見込みであることから、配当方針に基づき、期末配当は5円といたします。まだ先行きが不透明な状況は続きますが、早期に業績を回復軌道にのせて安定配当ができるように、引き続き、鋭意努力していきます。
以上で、私からの説明は終わります。ご清聴いただき、ありがとうございました。
質疑応答:米国コマーシャルカジノの売上高の高水準の継続性について
質問者1:15ページのアメリカのカジノの売上高ですが、単月が非常に高水準に推移しています。この継続性についてどのように考えておけばよいでしょうか?
高垣:15ページのアメリカのカジノの売上高のグラフをご覧ください。スライドの一番右側の赤丸で囲んだところが今年の3月以降、高水準で推移している部分です。
今後の推移についてのご質問だと思いますが、こちらについては何度もお伝えしていますが、新型コロナウイルスの感染の波がどのように出てくるかについては十分に注視しておかなければならないと思っています。
しかし、アメリカの状況を現地からもいろいろ聞いていますが、ある程度の感染はあるものの、ワクチン接種が進み、重症化する方、死亡する方が減少していることもあって、少なくとも国内のラスベガスへの移動者や旅行者は飛行機がほぼ満員になるくらいの活況を呈しているようです。
したがって、我々としては、感染の減少によって多少の水準の上下はあるものの、当面はこのままの状況で推移すると考えています。アメリカのカジノの設備投資、業績、そして当セグメントの業績の状況が当面は続くという前提で想定しています。
質疑応答:今後の損益分岐点について
質問者1:構造改革で損益分岐点がかなり下がっていますが、このあとさらに下げるのは難しいと思います。今後の損益分岐点についてどのように考えておけばよいでしょうか?
高垣:260億円から190億円に下がっているのは、減価償却費と人件費のマイナスが中心になると思います。ご指摘のとおり、このあとこれ以上下がることは我々も想定していないのですが、今期は売上高が190億円ですので、来期以降はそれよりは上回ってくると思います。
半導体、電子部材の状況は若干リスクとしてあるものの、市場や受注状況を見ると200億円の前半から中盤くらいまでの想定にはなります。したがって、投資や固定費は若干増えると考えているため、分岐点は少し上がるものの、売上高を増加させ、利益を拡大させるという方針で望みたいと考えています。