連結売上高 (対前年同期比、9か月累計比較)
小椋一宏氏(以下、小椋):みなさま、こんにちは。HENNGE株式会社代表取締役社長の小椋です。本日は、当社グループの決算説明動画をご視聴くださいまして誠にありがとうございます。それでは、2021年9月期第3四半期の決算についてご説明申し上げたいと思います。
まず、第3四半期の業績についてご説明します。連結売上高はスライドのとおり、順調に推移しました。
連結業績サマリー (対前年同期比、9か月累計比較)
連結業績のサマリーは、スライドのとおりです。第3四半期は、2020年11月13日開示の通期業績予想に対し、順調に推移しています。
売上総利益 (対前年同期比、9か月累計比較)
売上総利益も、引き続き高い水準を確保しています。
当期純利益 (対前年同期比、9か月累計比較)
当期純利益を前年同期と比較すると、スライドのようなグラフとなりました。
営業費用の構造 (対前年同期比、9か月累計比較)
営業費用の構造を前年同期と比較すると、スライドのようなグラフとなります。
営業費用の構造 (対前四半期比)
対前四半期比では、スライドのようになっています。広告宣伝費についてですが、第2四半期には大規模イベント「HENNGE NOW!」と、それに付帯したTVCMやWeb、交通広告等のマーケティングキャンペーンを実施しました。第3四半期はそれらがなかったことにより、広告宣伝費が大幅に減少しています。
売上原価と研究開発費の合計については、HENNGE Oneの売上高が堅調に増加したものの、クラウド基盤の利用効率の向上等により、第2四半期から500万円の増加にとどまっています。
売上高と営業費用の推移
売上高と営業費用の四半期での推移はスライドのとおりです。
従業員(アルバイト含まず)の状況
従業員は206名となりました。構成比はスライドのとおりです。
従業員数(アルバイト含まず)の推移
従業員数の推移は、スライドのとおりとなっています。期初の計画どおり、HENNGE Oneの営業およびカスタマー・サクセス職については、採用が順調に進んでいます。
HENNGE One開発/研究開発職については、7割以上が日本人以外の社員で構成されており、これまでは海外からの採用を中心に人員をまかなってきました。
現在は新型コロナウイルス感染症の影響により、入国できない内定者が出ているなどの理由により、前期末対比で減少しております。現在のところ、今期の研究開発活動に大きな影響はありませんが、引き続き状況を注視していきたいと思っています。
なお、第3四半期にプロダクトの強化を目指して組織変更を行っており、カスタマー・サクセス職の一部が事業開発と合流するかたちになっています。
今後も人員採用は積極的に行っていく予定です。
事業トピックス
第3四半期の事業についてご説明します。事業トピックスはスライドのとおりとなっています。
各種イベント開催
第3四半期には、前四半期に開催した大型デジタルイベント「HENNGE NOW!」のフォローアップを目的として、数多くのオンラインイベントを開催しました。
例えば、東京都が実施した「TOKYOテレワークアワード」にて大賞を受賞した企業2社さまに、HENNGE Oneを活用してテレワークを推進した事例について、お話をいただきました。
そのほか、ゼロトラストやHENNGE Oneの活用方法など、潜在ユーザの関心が高いテーマに焦点を当てた各種セミナーを行いました。
HENNGE One KPI (対前年同期末比)
第3四半期のKPIについてご説明します。HENNGE OneのKPIの前期比較は、スライドのとおりです。
HENNGE One KPIのハイライト (対前期末比)
前期末からの進捗は、スライドのとおりとなっています。
HENNGE One平均月次解約率の推移
平均月次解約率の推移ですが、前四半期末から0.06ポイント上昇し、0.24パーセントとなりました。引き続き、非常に低い水準にあると考えています。
HENNGE One契約企業数と契約ユーザ数の推移
契約企業数と契約ユーザ数の四半期ごとの推移は、スライドのとおりとなっています。第3四半期についても契約企業数、契約ユーザ数ともに順調に推移しています。
HENNGE One ARRとARPUの推移
ARPUも引き続き上昇傾向にあります。その結果、ARRも順調に推移している状況です。
2021年9月期の方針
今期の通期業績見通しに対する進捗についてご説明します。2021年9月期の方針としては「積極的なマーケティング投資を行い、ニューノーマル下で拡大する機会を捉えることで、HENNGE Oneの中期的なARR成長を加速します。」としています。
連結業績見通し (通期)
連結業績見通しについては変更ありません。HENNGE One事業については、今後20パーセント以上での持続的な成長を目指すための変曲点を作り出したいと考えています。そのための積極的なマーケティング投資を今期において行うため、今期の営業利益は前期に比べ減益となっています。
連結売上高の進捗
事業別売上高の、今期見通しに対する進捗はスライドのとおりです。HENNGE One事業もプロフェッショナル・サービス及びその他事業も、ともに順調に進捗しています。
営業費用(売上原価+販管費)の進捗
広告宣伝費と広告宣伝費を除いた営業費用の今期見通しに対する進捗はスライドのとおりです。第2四半期の決算説明でご説明したとおり、大規模イベントの開催と、それに伴うマーケティングキャンペーンの実施により、広告宣伝費はこれまでのところ大きく増加しています。第4四半期には広告宣伝費や人材採用等、将来のための投資を積極的に行っていく予定で、業績見通しに沿ったかたちでの着地となる見込みです。
VISION
当社の成長戦略と、セールスとマーケティング活動の概要についても少しご説明したいと思います。
HENNGEのビジョンは「テクノロジーの解放」です。私たちはテクノロジーの力を信じており、テクノロジーが大好きです。このテクノロジーをできるだけ多くのお客さまに届けることで、世の中を少しでもよい方向に動かしていきたい思っています。
HENNGEは創業以来20年以上、この「テクノロジーの解放」を理念として掲げて、さまざまな分野・方法でテクノロジーの解放を試みてきました。そしてその結果、SaaSはテクノロジー解放のための、最もフェアで洗練された効率的な手段であるという考えに至りました。そのため、私どももSaaSを提供しており、お客さまのSaaS活用を通した変革を応援していきたいと思っています。
LTV最大化
こうしたテクノロジーの解放を通して、お客さまに届けているテクノロジーの総量、私どもの理念実現の証左となるのが、LTV(Life Time Value)です。私どもの定義では、保有している契約の総価値となっており、このスライドの上段で示されている式で定義されている部分ですが、成長戦略としてはLTVの最大化を目指しています。
しかしながら、この式にある平均契約年数「Y」と売上総利益率「r」は、すでに高い水準であるため、LTVを最大化していくためには、ARRの最大化が必要な状況です。このため、直近の営業利益の水準にこだわりすぎることなく、将来への投資を積極的に行って、将来のARRを積み増していきたいと考えています。
ARR最大化
このARRは、さらに3つの要素に分解して分析できると考えています。その3つとは、契約社数「N」、平均ユーザ数「n」、そしてユーザあたり単価「ARPU」です。
成長戦略の進捗
HENNGE Oneにおける、これら3つのKPIの実際の推移は、スライドの表に示すとおりです。一番左の列がARRとなっていますが、ご覧のとおりHENNGE OneのARRは順調かつ安定的に積み上がってきていることをご確認いただけるかと思います。
しかしながら、成長率を見ると年々少しずつ減少してきていることがわかります。ここが今、HENNGE Oneの成長にあたっての課題となっています。
2021年以降の成長戦略
HENNGE Oneを主力とする当社グループのビジネスは、基本的にサブスクリプションモデルとなっています。そのため、当期中に獲得した契約は解約されない限り積み上がっていき、翌期以降の売上高の基盤になっていく性質を持っています。したがって、スライドの図の黒い線のように、極めて安定的に、堅調に成長していくビジネスになっています。
しかしながら、直線的に、線形に成長していくことは、成長率で見ると、年々分母が大きくなっていき、年々成長率が下がっていく宿命にあります。このまま放っておくと、成長率が20パーセントを切る状況になっていくため、そうならないようにしたいと考えています。
テクノロジーの解放を続けたい、より沢山の価値をお客さまに届けていくことを続けたいと考えています。そのため、点線のように2021年9月期を底として、ARR成長率が上昇トレンドになる変曲点を作り出すことが私どもの実現したいことであり、今期取り組んでいることです。
なぜ今期なのかというと、そもそもこのようなビジネスモデルで変曲点を作り出すことはなかなか簡単なことではないため、もしそれができる機会があるとするならば、今をおいて他にはないだろうと考えているからです。
COVID-19のパンデミックによって、企業の行動様式が大きく変わりました。パンデミック収束後には、SaaSやクラウドの利用が拡大することは間違いない状況です。
この機会を捉えるべく、積極的なマーケティング費用の投下を行って、全国の購買意思決定者やパートナー企業など、より幅広い層にHENNGE Oneの強みやHENNGEブランドを認知していただきたいというのが、今期に取り組んでいることです。
これによって、ここから先、来期以降の「N」およびARPUの両方に作用するような変曲点を作り出したいというのが狙いです。
HENNGE Oneのマーケティング活動のイメージ図
大規模マーケティング活動が、いったいどのようにして「N」やARPUに作用するのかという趣旨のご質問をよくいただくため、今回のスライドで図解してご説明したいと思っています。
私どものビジネスモデルは、数万社の潜在顧客リストを刺激して、リフレッシュし続けることで案件を生み出す、いわば農耕型のビジネスモデルとなっています。
クラウドを導入する、SaaSを使ったワークスタイルに移行するという決定は、お客さまにとっては非常に大きな決定で、長い時間をかけて慎重に検討されるイシューだからです。
お客さまにとっては何十年も使いかねないシステムを導入することになるため、お客さまが「このクラウドを導入する」と決めた瞬間をタイムリーに捉えて、販売機会につなげていくことが非常に重要になってきます。
それでは、誰がこのようなターゲットになり得るのかということですが、私どもとしては、ほぼすべてのお客さまがいずれはSaaSに移行すると考えています。そのため、重要な情報というのは、究極的には「誰がSaaSに移行するのか」「誰がHENNGE Oneを導入しうるのか」ではなく、「いつ、お客さまがSaaSを使ったワークスタイルに移行するのか」という情報なのです。
このような意味で、私どもの活動は、誰が買うのかを絞り込んでいくファネル型のチャートでは表しづらい性質があると考えています。その代わりに何をしているかと言うと、この顧客リストを温め続け、ナーチャリングを続けて、そこから案件を生み出す活動をしています。
私どものマーケティングモデルでは、まず販売ターゲットである情報システム担当者とのコンタクトを浅く、広く作り出すために、広いテーマを取り上げる大規模なイベント等を行います。
こうした活動で出会ったお客さまは、潜在顧客リストの中に加わっていきます。潜在顧客リストの中のお客さまに対しては、SaaS導入の検討段階で、特に興味をお持ちの分野に対してより深い情報を提供するような、小規模なフォローアップイベントを行ったり、あるいは個別の訪問によって、お客さまのSaaS導入を応援するナーチャリング活動を行います。
こうしたナーチャリング活動によって、潜在顧客リストがリフレッシュされて、次のアクションにつながっていきます。また、お客さまが実際にSaaSに移行するタイミングをタイムリーに捉えて、適切なタイミングで提案を行うための信頼関係の基礎となっていくわけです。
以上の大規模なイベントからナーチャリング活動に至るサイクルは、私どもの「N」を増やすための活動の柱となっています。
それだけではない副産物もあり、大規模なイベント開催は、ターゲティングされたWeb広告のほか、TVCMや交通広告などのマス広告も伴っています。こうした広告活動は、直接的にはイベントへの集客効果を狙っているわけですが、同時に、お客さまの社内で広く認知度・ブランド力を向上させる効果も見込んでいます。
日本の中堅・大企業においては、HENNGE Oneのように全社で使うシステムの導入は、情報システム担当者だけではなく、組織全体で意思決定されるタイプの事柄です。このため、意思決定経路全体に対し、製品理解やブランドの浸透を図ることが重要であると考えています。
さらに、こうした広告活動によって、新規・既存のお客さまの高付加価値プランの利用を促すこともできると考えているため、最終的にはこのようなブランディング活動、認知向上活動が、ARPUの向上にもつながっていくだろうと考えています。
さて、第2四半期に行った「HENNGE NOW!」ですが、これは私どもの歴史上初めての1万人規模の完全オンラインのイベントとなりました。これは当社が従来行ってきた物理的なイベントと比べると、10倍規模の来場者を迎えたイベントです。そして、このイベントとマーケティングキャンペーンのために、これまでに投下したことのない規模の広告宣伝費を投下した、大規模な活動だったと考えています。
これは、来たるパンデミック収束後のクラウド利用拡大の「N」の増加のチャンスと、先般発表した新しい機能の投入によるARPUの向上のチャンスを見据えたものとなっています。
現在、どのような段階なのかというと、私どものサイクルとして、大規模イベント、マーケ施策が行われたことで、1万人以上の来場者が生まれて、潜在顧客リストが一気に追加、またはリフレッシュされ、活性化された状況になっています。
このチャンスを活かすべく、顧客ニーズに応える新機能を発表し、多くのナーチャリングイベントを実施して、さらにお客さまとの関係を深めていき、受注につなげていきたいというのが現在の状況です。
[N] 営業アクティビティ
このように活性化された状態が、来期以降じわじわと業績に効いてくるということが、想定しているモデルなわけです。これをどうにか表現できないかと思っており、当社が公表しているイベントの回数を数えてプロットしてみました。
パンデミック前のリアルイベントを開催していた頃が、スライド左側にある薄い灰色の棒グラフです。お客さまと実際に対面したり、懇親したりすることができるよい時代でした。一方で、毎回会場をおさえる必要があったりと、現在とはイベント開催の前提条件が異なっていました。
昨年、2020年9月期第3四半期からパンデミックになっているわけですが、それ以降のイベントは、スライドの中央から右側にある黒い棒で示されています。
オンライン化されたことで、お客さまと対面で会うことができなくなった代わりに、より幅広い地域の多くのお客さまに効率的にアプローチできるようになったという効果があります。
イベント数自体は、昨年の第3四半期、第4四半期で大幅に減っている状況です。これは、私どもがオンラインでのセールスマーケティング手法に関する試行錯誤を重ねている時期だったからです。第4四半期あたりから徐々にコツをつかんできて、「大規模なイベントを行ったほうがよいのではないか」ということで、2021年9月期第2四半期に「HENNGE NOW!」を行うことにしました。
それ以降は開催件数が回復してきており、第3四半期、第4四半期はフォローアップイベント、ナーチャリング活動を順調に積み重ねています。
このような活動の結果、実施しているフォローアップイベント、あるいは今後実施しようとしているフォローアップイベントの回数は、下半期では前年同期比で4倍強となる見込みです。
もちろん、私どものナーチャリング活動はフォローアップイベントによるものだけではないため、この回数だけを数えて4倍になったということではありません。ほかにも、営業が訪問したり、あるいはここに出ていないようなプライベートなイベントも行っております。ですが、全体としてオンラインでの営業活動、フォローアップ活動が活性化しているという一端を見ていただけると思います。
これが「N」側の施策です。
[ARPU] HENNGE One新機能について
一方、ARPU側の施策ですが、まずは大型イベントとそれに伴うTVCMなどによって、より多くの企業さまや販売パートナーさまにHENNGE Oneの価値を知っていただくことができました。
特に「HENNGE NOW!」前後の大規模なマーケティングキャンペーンにより、販売パートナーさま等と多くコミュニケーションをとらせていただいたため、今後の連携強化が加速できればよいと思っています。
これを踏まえて、2021年8月にHENNGE Oneの新機能を発表しました。これは2021年10月から発売することになっています。機能の詳細はここでは省かせていただきますが、パンデミック下で新たに生まれたニーズに対応するかたちで追加された3つの素晴らしい新機能を搭載しており、より大きな付加価値をお客さまに提供できるようになったと自負しています。
[ARPU] HENNGE One新ライセンス体系
この新機能追加の大型バージョンアップにあわせて、10月からライセンス体系を刷新することも発表しています。高付加価値なセットプランでの販売をメインに据えつつ、新たな試みとして、ライトユーザにも導入しやすいような単機能プランも設定し、より幅広い層へのアプローチを試みようと考えています。
お客様の変革を応援するHENNGE One
HENNGE Oneは、2011年に単一の機能でスタートし、お客さまのニーズに合うかたちで次々と機能を追加していきました。これまでは、5つの主要機能と1つのオプションからなるIDaaSとして展開してきました。そこに今回、新たに3つの機能が追加されることになりました。
今後も、お客さまに届けるテクノロジーの総量を最大化したいという私どもの「テクノロジーの解放」の理念に従って、SaaS活用の分野で必要となる機能をどんどん追加し、SaaS活用によるお客さまの生産性向上を強くバックアップしていきたいと考えています。
SaaSプラットフォームとしてのHENNGE One
HENNGE Oneは、お客さまがSaaSを活用すればするほど、価値が高まる種類のIDaaSとなっています。今後も私ども自身が、日本全国の企業においてクラウドサービスの利用が拡大する流れを後押ししたいと考えています。そのような流れの中で、SaaS各社との連携を深めながら、SaaSプラットフォームとしての成長を図っていきたいと思っています。
以上、駆け足でしたが、当社の2021年9月期第3四半期の決算についてご説明いたしました。本日はお忙しい中、ご視聴くださいまして、誠にありがとうございました。
質疑応答:マーケティングの効果について
質問者1:大規模広告と言いますか、マーケティングの効果についておうかがいしたいのですが、以前の説明会では結果が出るまでに半年以上、1年から1年半くらいはかかるとお話しされていたと思います。
実際に第2四半期に行い、第3四半期の状況として、例えばリードでどれくらい拡大したのか、先方の反応など定性的な部分でもけっこうですので、効果として手応えがあったかどうか教えてください。
小椋:このスライドの図は、イベントの件数がどのくらいだったかを示しています。「HENNGE NOW!」で生まれた何千件あるいは1万件ほどのリード数が、潜在顧客リストに追加され、今は接触可能な潜在顧客に対してイベントや訪問を行っている状況です。
ご覧いただくとわかるように、2020年9月期第1四半期や第2四半期と比べてもイベント数が増えています。基本的には、対応しないといけないお客さまはたくさん出現しており、現場は非常に盛り上がっている状況です。それをお示しするため、今回はこのような図でご説明しています。
今までにない規模のイベントを開催したところ、今までに見たことのない規模のお客さまがいらっしゃり、そういったお客さまにアプローチできる余地がたくさん生まれました。今はフォローアップしている状況にあり、順調であるという感触です。定性的な答えで申し訳ありませんが、そのような状況です。
質問者1:時間軸としては1年から1年半くらいかかるようなイメージでしょうか?
小椋:「HENNGE NOW!」イベント自体は、前は物理的に行っていました。3年前の「HENNGE NOW!」イベントで獲得したリードが、最近の広告活動によって刺激を受けてクロージングするようなかたちの受注もあります。
そのため、半年後にすごい勢いで一気に受注につながるのかと聞かれると、そもそもそのようなモデルではありませんが、この「HENNGE NOW!」イベントやそれ以外の営業活動も含め、ここにあるリストを刺激していることによって、よい効果が生まれつつあるのが今の状況かと思います。今後、長い時間にわたってよい影響を与えそうだという感触を持っています。
質疑応答:新ライセンス体系によるARPUの変化について
質問者1:ARPUについて、10月以降に新ライセンス体系を出されると思うのですが、これによって短期的・中長期的にどのような変化があると想定していますか?
小椋:短期的にはどのプランが売れるかにもよるわけですが、私どもが注力している、お客さまにぜひ使っていただきたいと思っているのはセットプランです。例えばHENNGE One Basicでは600円という価格設定になっています(HENNGE One Proは1000円)。
以前のHENNGE One Standardは500円(HENNGE One Businessは750円)でした。そのような意味では、お客さまに価値をしっかりと理解いただける状況になれば、ARPUは上昇傾向になるだろうと考えております。一方で、単機能プランでもう少し幅広いユーザ層を獲得したいという部分もありますので、今後の動向を注視していきたいと思います。
私どもの戦略としては、よりたくさんの価値をお客さまに提供することでARPUを上げることを目指しています。
既存のお客さまについて、基本的には2019年6月の価格改定以前からお使いのお客さまは、既存のプランをずっと更新し続けるというのがこれまでのご説明でした。しかし、今回の大幅アップデートによって、そのようなお客さまにもぜひ新プランへの移行を勧めていきたいと思っています。
今後、乗り換えをお勧めする具体的な活動を活性化していくため、2022年または2023年においては、既存のお客さまも新プランに移行いただける状況になっているとよいなと思ってます。これが、ARPUの推移に関しての今の見通しです。
質問者1:10月以降は「これまでで言うところの新ライセンス体系」「昔から残っているもの」「今回発表した価格改定後のもの」と、基本的には3つの価格体系が存在するイメージでしょうか?
小椋:おっしゃるとおりです。新規販売は、今回発表した2021年10月以降のライセンス体系を適用する予定になっており、見積もりベースでは、この2021年10月以降のライセンス体系をもとにした販売体制を準備しているのが今の状況です。
ただし、既存ユーザさまについては、これまでで言うところの新ライセンス体系と、昔から残っているものがあるわけですが、10月からいきなり今回発表した新体系に乗り換えなくてはいけないというわけではないものの、1年から2年の間に新機能を活用いただくべく乗り換えていただきたいとお勧めしていきます。
質疑応答:新ライセンス体系への移行について
質問者2:既存の旧ライセンスのお客さまは、契約更新時に強制的に移行させるわけではないということでしょうか? 既存プランを選択可能な状態で残すのでしょうか、それともこの新プランのいずれかを選ぶかたちになるのでしょうか?
小椋:基本的には、どこかの時点で新ライセンス体系に移行していただきたいと思います。
質疑応答:潜在顧客層の知識と競合他社について
小椋:ご質問をいただきました。「直近の競合状況について教えてください。大規模イベントを踏まえて、御社が把握した潜在顧客層の方々は、こうしたプロダクトへの事前の知識があるケースが多いのでしょうか? また知識がある場合は、Oktaなどと比較するケースが多いのでしょうか?」ということです。
基本的には「クラウドを導入しよう」「実際に導入するためにはどのような問題があるのだろう」「今、クラウドに移行するとどのような問題が起こるんだっけ」というような、自分が思いつく問題をどう解決するかにご興味のある方々がイベントにいらっしゃいます。
プロダクトへの知識があるかと言うと、おそらくあまりはっきりとした認知はなく、そのようなサービスの存在は知っていても、それがいったいどう役に立つのか、なぜ必要なのかまでは認識していないと思います。それよりは、なにか興味のあるテーマがあるからご参加くださるようなケースのほうが多い気がしています。
そこに対して、現状だとおそらくこのようなことでお困りになるでしょうという事例などもご紹介しながら、HENNGE Oneならそれを解決できることを示していきます。
また、「知識がある場合はOktaなどと比較するケースが多いのか」についてですが、未だ、海外IDaaSとすごく競合するような状況にはなっていません。どちらかと言うと、ほかの代理店が推進している国産のシングルサインオンベンダーのほうが競合になりやすいかと思います。
質疑応答:契約社数の増加について
小椋:次のご質問です。「契約社数がQonQでプラス87社の1,900社と、前四半期から大きく増加していますが、イベント効果が出てきているのか、それともほかの背景があるのか教えてください。四半期で60件くらいが今までの獲得契約数だったと思うのですが、契約社数が加速する傾向は続きそうでしょうか?」ということです。
なんとも言い難いところで、基本的にはイベントの効果はもう少し後になってからしか出てこないはずというのが私どもの認識です。それは、お客さまがイベントにいらしたあと急に買うタイプの商材ではないからです。
しかし、これまで検討してきたようなお客さまが、TVCMを見たり「HENNGE NOW!」にいらしたりしたことが導入の最後の後押しになって、契約社数が加速しているということは少なからずあるのだろうとは思っています。我々の中では、イベントによってすごく増えたという感覚はあまりないというのが正直なところです。
この増加傾向がこのままずっと続くのかについても、続けばよいとは思っているものの、まだそこまで確証が得られている状況ではありません。もう少し保守的に様子を見ていきたいと思っています。
一方で、契約企業あたりの平均ユーザ数が減少しているという現象もご覧いただけるかと思います。これについては、首都圏以外の地域のパートナー企業さまとの連携強化を「HENNGE NOW!」前後で行っているからです。
今回発表したプレスリリースでは、いろいろなパートナー企業さまにエンドースをいただいております。ここからも、パートナー企業さまと強固な関係を築いているところが見ていただけるかと思います。
パートナー企業さまとの連携強化によって、SSOのニーズがある中小企業へのアプローチが進んでいるという事実もあります。ある意味では、そのような案件が増えていると解釈できるかと思っています。
いずれにしても、アクションに対してのリターンが始まったとは捉えていません。今のところは、これまでのアクションの結果として、じわじわとお客さまの認知が高まり、受注がきているという認識です。
質疑応答:今後付加される機能や新たなプロダクト開発の方向性について
小椋:次のご質問です。「今後付加される機能や新たなプロダクト開発の方向性について教えてください」ということです。
今回はよいかたちで、これまで貯めてきたものをリリースして、HENNGE Oneの新機能として追加することができました。今後もさらに強化していきたいと思っています。「テクノロジーの解放」という理念に向かうかたちで、お客さまのSaaS活用に資するような機能を付けていきたいと思っています。
現在もお客さまからいろいろなご要望をいただいている状況で、さまざまなテーマが、今後のターゲットになり得るかと思っています。これからも積極的に機能付加やプロダクト開発を進めていきたいと考えています。
質疑応答:解約率が上昇傾向にある理由について
小椋:次のご質問です。「解約率がわずかながら上昇傾向にある理由を教えてください」ということです。
今は、解約理由に何か大きな変化が起こっている状況ではありません。確かに解約率は上昇しているものの、全体としてはまだまだ大変低いという認識です。そのため、ここについては特に今、分析して何か述べられることはありません。
質疑応答:今後のイベント開催のペースについて
小椋:次のご質問です。「今後の大規模イベントと、ナーチャリングのための小規模イベントのペースについてや、次の大規模イベントはいつくらいになるのかを教えてください」ということです。
お客さまの状況と私どものマーケティングのペースを踏まえて見ていきたいと思っています。現在のところ次の大規模イベントは、未定となります。
基本的には農耕型のやり方のため、種をまいている時期と育てている時期、刈り取っている時期が交互にやってくるようなイメージで活動しています。イメージとしては年間予算の中で計画を立てていきたいと思っています。
一方で、例えば、毎四半期に大規模イベントを行ったらよいのではないかというと、そういうことではありません。お客さまは、年度単位で活動するため、お客さまが比較的時間に余裕がある時、次のアクションを考えているような時期にイベント等を行うことがBtoBのセオリーだと思っています。
つまり、毎四半期にイベントを行うというよりは、お客さまがそのようなことを思案しやすい時期に、そしてお客さまの年度サイクルのようなものを意識しながら行っていくことが、今後も基本的な活動になっていくかと思います。
イベント予定等については、お客さまが普通に見られるものをHENNGEのウェブサイトでお知らせしています。ほかのSaaS企業さまとも連携しながら、お客さまへ知見をお届けすることを中心としたイベント活動を行っている状況です。
当社のIRページに、今お見せした資料、このQ&Aの資料、そして英語版も含めて掲載しています。もし需要があれば、ぜひご覧ください。
本日は本当にお忙しい中、ありがとうございました。今後ともHENNGEをどうぞよろしくお願いいたします。