第2四半期決算(1-6月) |サマリー(前年同期比)

山本樹氏:GMOフィナンシャルホールディングスの山本でございます。本日は、第2四半期の決算説明会にご参加いただきありがとうございます。それでは、決算の概況からご説明させていただきます。

1月から6月までの業績のサマリーです。上半期は暗号資産事業が非常に好調に推移した結果、前年同期と比べて営業収益が19.1パーセント増の238.9億円、営業利益が21.4パーセント増の95.4億円、最終利益が23.4パーセント増の58.9億円で、上半期としては過去最高の業績を更新した決算になりました。

第2四半期決算(1-6月) |セグメント別の状況(前年同期比)

上半期のセグメント別の状況です。証券・FX事業は前年同期と比べて、営業収益が17.3パーセント減の147.9億円、営業利益が31.4パーセント減の49.3億円で着地しています。

昨年度の上期は、FXの市場が非常に活況で、CFDに関しては株価指数や原油、商品の価格などが非常にボラタイルな状況が続いて環境としてはよかったのですが、当期はそのようなことがなく、それが減収減益の要因の1つになっていると考えています。

一方、暗号資産事業は、営業収益が368.0パーセント増の88.2億円、営業利益が652.0パーセント増の45.3億円となっています。暗号資産事業については、昨年度末から今年にかけて、マーケットの状況が非常によかったため、それを受けて大幅な増収増益を達成しています。

第2四半期(1-6月) |営業利益増減(前年同期比)

こちらのスライドは、昨年度の上半期と当年度の上半期までの営業利益の増減要因の分析となっています。先ほどお伝えしたとおり、暗号資産が非常に躍進しており、収益としては昨年度から69.4億円増加しています。

FX関連とCFD関連については、先ほどお伝えした要因により、FXは22.6億円の減少、CFDは12.5億円の減少となっています。また、金融収支はプラス6.9億円となっていますが、こちらはタイにおけるインターネット証券のビジネスが非常に好調であることが貢献しています。

一方のコストですが、取引関係費が15.8億円と大きく増加しています。こちらは、暗号資産関連の取引が活発だったため支払手数料が増加したことに加え、第2四半期は特に広告宣伝にかなり力を入れたため、広告宣伝費が増加したことが主な要因です。

人件費の8.4億円については、当年度は上半期として過去最高の業績で、業績連動賞与の計上により増加しています。

第2四半期(4-6月) ハイライト|マーケット環境

第2四半期である4月から6月までのハイライトを、マーケット環境からご説明します。スライドのグラフは、取引所や各業界団体が出している数値をグラフ化したものです。

株式については、前年同期比4.5パーセント減の87兆円で、第1四半期はよかったのですが、第2四半期は前年同期と同じくらいの水準となっています。

続いてFXですが、こちらは前年同期比1.2パーセント減の1,472兆円で、若干の減少となっています。

一方、暗号資産については、マーケット全体において第1四半期が過去最高の取引となりましたが、第2四半期に入り、5月中旬以降の暗号資産のボラティリティ低下を受けて、取引量も減少している状況です。

スライドの一番右のグラフをご覧ください。6月の数値がまだ公表されていないため、4月、5月分を表していますが、6月もそれほど多くないと予測されますので、第1四半期からはかなり減少することが予想されます。

第2四半期(4-6月) ハイライト |トピックス

GMOフィナンシャルホールディングスのトピックスとして、3つの分野についてご説明します。

まず、FXについてです。この上半期はGMOクリック証券において、国内取引高で第1位を継続しています。そのほか、リスク管理強化の一環として、東京金融取引所「FXクリアリング市場」の取引資格を取得しており、順調に5月から取引を開始しています。また、一番大きいトピックスのうちの1つになりますが、ヤフー株式会社さまの子会社でありFX業界大手のワイジェイFX株式会社さまの株式取得を決議しています。こちらは後ほど説明させていただきます。

2つ目は、暗号資産についてです。暗号資産は、顧客の裾野拡大に向けた取引アプリの改善や、DOTといった銘柄の追加などにより、サービスの充実と利便性の向上を引き続き推進しています。また、GMOコインでは暗号資産取引サービスを提供していますが、その認知度は同業他社に比べると劣るのではないかと考えていますので、この第2四半期は認知度向上のためのマーケティングとして、テレビCMなどを積極的に行いました。

3つ目は、新規ビジネスとして、NFT事業の参入を目的に、6月にGMOアダムを設立しています。こちらも後ほど説明させていただきます。

第2四半期決算(4-6月) |サマリー(前四半期比)

第2四半期の第1四半期と比べた業績は、スライドに記載のとおりです。FX、CFD、暗号資産のどのマーケットも取引量が減少したことと、コスト面では先ほどお伝えしたとおり、マーケティングによるコストの増加により、減収減益の決算になっています。

第2四半期決算(4-6月) |セグメント別の状況(前四半期比)

セグメント別の状況について、第1四半期との比較となります。証券・FX事業は、営業収益が16.6パーセント減の67.2億円、営業利益が32.5パーセント減の19.8億円の着地になりました。

暗号資産事業は、営業収益が24.0パーセント減の38.1億円、営業利益が52.6パーセント減の14.5億円となっています。増減の要因については次のスライドに記載しています。

第2四半期(4-6月) |営業利益増減(前四半期比)

先ほどお伝えしたとおり、どの取引、マーケットも若干低調ということもあり、FXで8.9億円、CFDで3.4億円、暗号資産では12.0億円の収益の減少となっています。

コスト面について、取引関係費が7.0億円増となっていますが、先ほどお伝えした暗号資産事業におけるマーケティングの強化、テレビCM、交通広告を実施した結果、広告宣伝費が8.1億円増加しており、これが取引関係費の増加要因になっています。

人件費は7.0億円の改善となっていますが、第1四半期は非常に業績がよく、業績連動賞与も多く積みましたが、第2四半期は多く積む部分が少なかったため、人件費としては第1四半期から減少している状況になっています。

四半期業績推移|営業収益(セグメント別/商品別)

スライド11ページ以降は四半期の業績推移になります。まず、営業収益のセグメント別と商品別の推移はスライドに記載のとおりです。第1四半期からすると19.2パーセント減となっていますが、暗号資産の収益が拡大したこともあり、前年同期比で10.1パーセント増での着地になっています。

四半期業績推移|営業利益

営業利益の四半期推移です。こちらも基本的には営業収益と連動しますが、先ほどお伝えしたマーケティングによるコストの増加により、前年同期比でも減益となっています。

四半期業績推移|販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費の四半期推移についてです。第1四半期において、「第2四半期のコストの見通しはだいたい70億円くらい」とご報告しましたが、結果としては66.9億円となり、若干少なく着地しました。

大きく増加しているのは取引関係費です。先ほどお伝えした広告宣伝費の増加により、大きく増加しています。

また、第3四半期のコストは62億円程度の見通しです。証券・FX事業は、従来から変わらず48億円程度とし、暗号資産事業は14億円程度としています。第2四半期ほどではないのですが、第3四半期もマーケティングのコストとしてある程度使いたいと思っていますので、そこを加味して14億円とさせていただいています。

事業概況ハイライト|2021年12月期第2四半期(4-6月)

事業の概況についてご説明します。スライドは、第2四半期の各事業のハイライトとなっています。

FXは、取引高が288兆円です。取引高シェアが19.6パーセントということで、前年同期からは減少となっています。CFDは、売買代金が11.5兆円ということで、前年同期からは減少していますが、口座数、預り証拠金ともに増加となっています。

株式についても、売買代金、売買代金シェアは若干減少していますが、信用取引残高が増加している状況です。また、暗号資産が非常に好調だったため売買代金も前年同期より2倍以上となり、口座数、預り資産残高も順調に増加していることがご確認いただけると思います。

店頭FX|国内取引高シェアの推移

では、商品別にご説明します。まず、店頭FXの国内取引高シェアの推移です。昨年末まで行っていた「スプレッド縮小キャンペーン」が終了して以降、国内取引高シェアは横ばいで推移しています。ただ、取引高のシェアとしては、GMOクリック証券が国内第1位を継続している状況です。

店頭FX |口座数・預り証拠金残高の推移

FXの口座数と預り証拠金残高の推移は、スライドに記載のグラフのとおりです。大きく増加というほどではないのですが、若干の微増で、ほぼ横ばいとなっています。2021年3月末時点でのシェアは、12.5パーセントとなっています。

店頭FX|ワイジェイFXの全株式取得

2021年5月にワイジェイFXの全株式の取得の決議を公表しています。取得価格が288億2,400万円で、株式の譲渡の実行(※)は2021年9月下旬を予定しています。譲渡実行とともに、「ワイジェイFX株式会社」という商号から「外貨ex byGMO株式会社」という商号に変更する予定(※)です。

この「外貨ex」という名称は、ワイジェイFXでのサービスの名称で、サービス名称をそのまま商号に用いました。

ワイジェイFXは、FX業界において大手の一角で、独自に経営資源やノウハウ、経験をお持ちです。そのような同社とGMOフィナンシャルホールディングスが持っているものを融合させ、よりFXの分野で勝っていきたいと思っています。

※公正取引委員会による企業結合審査終了が前提です。

店頭FX|ワイジェイFXについて

会社の概要についてです。直近の2021年3月期は、営業収益が約97億円、営業利益が約27億円、当期純利益が約21億円という規模です。総資産としては約1,374億円、純資産は約221億円ですが、譲渡までにここから110億円の配当を既存の株主に行う予定になっています。

店頭FX|ワイジェイFX株式取得後の展開

ワイジェイFXの株式取得後の展開について、簡単にご説明します。「ワイジェイFX株式会社」の商号を「外貨ex byGMO株式会社」に変更して、GMOフィナンシャルホールディングスは、GMOクリック証券、FXプライムbyGMO、外貨ex byGMOの3社でFXのサービスを展開することになります。

GMOインターネットグループの他のサービスにおいても、「多ブランド戦略」として入口を多面的に設け、多角的にお客さまを獲得していくという戦略を採っていますが、FXのサービスについても同じように進めていきたいと思っています。

ワイジェイFXの規模を、参考までにスライドに記載しています。口座数は41.7万口座、預り証拠金残高は1,104億円で、現在のGMOクリック証券、FXプライムbyGMOの半分くらいとなっており、グループジョイン後はおおよそ1.5倍の規模でビジネスが展開できると考えています。

我々とワイジェイFX、両社の知恵を結集して、収益性もグループのシェアもより高められると考えております。

CFD|売買代金・収益の推移

続いてCFDです。スライドのグラフは、売買代金と収益の推移です。第2四半期は、株価指数銘柄を中心に売買代金が減少して、収益も若干減少しています。

CFD|口座数・預り証拠金残高の推移

口座数と預り証拠金残高の推移です。一時は減少していましたが、預り証拠金残高は緩やかに増加傾向となっています。CFDは非常に力を入れている事業ですので、3つのポイントをご説明します。

1つ目は利便性の向上で、スマホアプリのバージョンアップを第2四半期にも実施しています。今後もさらに改善を重ねて、より使いやすいアプリを目指していきたいと思っています。

2つ目は銘柄の追加を検討しています。特にお客さまから要望の強い商品や指数などを新しい商品ラインナップとして加えていければと思っています。

3つ目はBtoBtoC事業です。前回ご報告していますが、開始に向けた準備を粛々と進めており、順調に進捗しているところです。

国内株式|株式売買代金

国内株式についてです。売買代金は2.9兆円、シェアは3.4パーセントで、状況はあまり大きく変わっていませんが、第3四半期に入った7月5日から、現物・信用取引の手数料の引き下げを実施しています。もちろん株式でのシェア拡大を目指していますし、さらにクロスセルを促進することにより、会社全体としての収益性も向上できるのではないかと期待しています。

国内株式|株式委託手数料・委託手数料率の推移

株式委託手数料と委託手数料率の推移です。売買代金の減少を受けて、手数料は減少となっています。

国内株式|金融収支の推移

金融収支の推移はスライドのとおりです。前四半期と比較すると若干の減収で着地しています。

海外(タイ王国)|信用取引残高の推移

タイのインターネット証券の信用取引残高の推移がこちらになります。タイのインターネット証券については、信用取引残高ナンバーワンを目標に掲げてビジネスを展開していますが、この第2四半期も前四半期から3.5パーセント増ということで、順調に推移しています。

シェアの状況についても、2021年3月末時点で11.3パーセントということで、少しずつ伸ばすことができています。

海外(タイ王国) |金融収支の推移

こちらのスライドは、タイでの金融収支の推移となっています。信用取引残高が非常に順調に伸びているため、それに比例するように金融収支も順調に伸びています。第2四半期は前四半期から17.3パーセント増で、前年同期と比較すると2倍以上と、着実に収益を出せるようになってきていると考えています。

暗号資産|売買代金・セグメント収益の推移

暗号資産の売買代金とセグメント収益の推移となります。第1四半期は非常に環境もよく、売買代金と収益ともに過去最高だったのですが、第2四半期に入り、特に5月中旬以降はボラティリティの低下があり、売買代金と収益ともに第1四半期よりは減少しています。

暗号資産|口座数と預り資産の推移

GMOコインの口座数と預かり資産の推移です。口座数は順調に伸びており、5月には40万口座を突破しています。当社の暗号資産事業は、高頻度で取引されるお客さまには非常に強いと思っています。一方で、暗号資産の取引は、初心者の方など、いろいろな方がおられるため、そのような方々にもGMOコインで取引していただきたいと思っています。

そのため、スマホアプリにシンプルな取引画面を追加し、初心者の方でもわかりやすいようなモードを追加して、そうしたお客さまへ対応していくといったことも第2四半期に実施しています。

先ほどもお話ししたとおり、知名度が同業他社に比べて若干劣るのではないかという課題を持っていますので、認知度向上に向けて、お笑いタレントのスギちゃんを起用した新テレビCMを放映しました。YouTubeや交通広告で、かなり露出できたと思っています。非常に多くの反響をいただいており、今後の口座開設増加につながっていくのではないかと期待しています。

暗号資産|売買代金シェア

暗号資産の売買代金はスライドのとおりです。日本暗号資産取引業協会からの数字が5月までしか出ていないため、そこまでのグラフになりますが、取引高についてはボラティリティの低下を受けて減少傾向で推移しているものの、取引シェアとしては今年に入ってから順調に伸ばしており、現在30パーセント台で推移しています。先ほどお伝えしたような初心者層のお客さまに加え、法人のお客さまを取り込むことによって、引き続き、さらなるシェア拡大を図っていきたいと思っています。

NFT事業|共同出資による子会社設立

新規事業のNFT事業について、簡単にご説明します。親会社であるGMOインターネット株式会社と、株式会社サムライパートナーズさまとの共同出資によって、6月にGMOアダムという子会社を作っています。

GMOインターネットグループが保有する暗号資産事業でのノウハウやブロックチェーン関連技術、また(サムライパートナーズが持つ)コンテンツプロデュース力を駆使して、NFT事業に取り組んでいきたいと思っています。そして、圧倒的No.1のNFTマーケットプレイスの実現を目指したいと考えています。

NFT事業|NFTの可能性

NFTの可能性についてです。NFTは「Non-Fungible Token」の略で、ブロックチェーン上で発行・取引される代替不可能なデジタルトークンのことです。こちらを用いることによって、デジタルコンテンツ流通革命ということで、IPホルダーに正当な収益機会をもたらす可能性を持っているのではないかと考えています。

スライド中段に、特徴として3つ記載しました。1つ目が「希少性など資産的価値の付与」です。従来、デジタルコンテンツは(コピーや改ざんなどが容易で真正性を証明することが難しいため)資産的価値がなかなか付与しづらいものでしたが、NFTによって「鑑定書」や「所有証明」ということができるため、デジタルコンテンツに資産的価値を付与することができます。

2つ目が「追跡可能な移転・売買」です。NFTの売買については、ブロックチェーン上で記録されていくため、「誰がどのように購入していた」といった記録が追跡可能という特徴があります。

3つ目が「付加機能をプログラム可能」です。従来は2次流通時にIPホルダーが収益を獲得することが難しかったのですが、スマートコントラクトという仕組みを用いて、そのようなプログラムを組めるところが大きな特徴となっています。

NFT事業|NFTマーケットプレイス「アダム byGMO」

2021年8月に「Adam byGMO」をサービス開始予定です。キャッチコピーは「すべての人に最高のNFTを」ということで、アーティストやコンテンツホルダー、クリエイターのみなさまの笑顔と、そうした方々を支えるファンのみなさまの笑顔を、このマーケットプレイスで実現できればと考えています。

株主還元|配当および配当性向

最後は株主還元について、配当および配当性向になります。60パーセントの連結配当性向を目標としていますが、この第2四半期もそれに従い、1株当たり11.52円で本日決議し、開示しています。私からの説明は以上でございます。