2021年5月期決算説明会

倉田陽一郎氏(以下、倉田):Shinwa Wise Holdings代表取締役の倉田でございます。今日は2021年5月期の決算発表ということで、我々の現状をみなさまとシェアしたいと考えています。

このグループは3期連続赤字の中で昨年3月に臨時株主総会を開催し、社内の体制を大きく変えました。そして、新しいShinwa Wise Holdingsという組織を構築して、4期目が赤字にならないように、どちらかと言いますと復活をかけて新しい組織体制を作りました。その結果を本日発表したいと思っています。

しかし、日本の美術品市場はここ30年間のデフレの中で非常に低迷してきた歴史があり、我々はこれらを再生するために「日本美術市場再生プロジェクト」として日々取り組んでいるところです。

本日は、会社概要、業績ハイライト、前期の取り組み、今期行う重点施策、そして中長期ビジョンをみなさまにお話ししたいと思います。

コーポレートミッション

まず、会社概要です。先ほどお話ししたとおり、我々の会社は「日本美術市場再生プロジェクト」として「世界の市場に肩を並べるアート市場への再生」をミッションとしています。これは我々が2005年に上場させていただいて以来の大きな使命だと考えています。

今、日本はGDPが世界で3番目の経済大国ですが、アート市場が世界に比べて非常に小さいという現状があります。外部環境のせいにしてはいけないとは思いますが、1980年代後半のバブル、そして1990年代に入りバブル崩壊からの日本のデフレが我々の美術市場を本当に小さくしてしまいました。

しかし、それは30年経って1サイクル終わったと感じています。世代交代が進んで新しい時代が始まろうとしているため、この新しい波にいかに乗っていくかが我々の今の立ち位置になっていると思います。

グループ方針

新しい波にいかに乗っていくかという意味では、オークション会社というのは、営業と言うとベタな言葉ですが、マーケティングに重きを置いています。

システムや仕組みも確かに非常に重要ですが、まずは日本のコレクター、そしてアートを売却する人たちをどんどん取り込んでいくためのマーケティングを重点的に集中して行っていく文化支援企業であると位置付けています。

グループ戦略

グループ戦略です。ここ30年間にわたって、6万人から7万人以上の富裕層との取引を培ってきたため、富裕層のネットワークの中で育まれてきました。そして、社会全体に広がりを持つ厳選されたアートのプラットフォームや文化的なプラットフォームを構築したいと考えています。

強いマーケティング力で高額高級品の価値付けに責任を持ち、ただ単に安売りすればよいのではなく、本当に高いものをきちんと選び抜くセレクトサービスカンパニーでありたいと考えています。

グローバル・アート・プラットフォーム構想

我々の「グローバル・アート・プラットフォーム構想」についてです。スライドに記載のとおり、我々の中心にあるのはアートや高級品のオークションです。ワインやウイスキーも含めて、公開の場で競りをするオークションを開催しています。

その右隣に記載の「アートディーリング」「資産防衛ダイヤモンド」は現在行っているビジネスですが、この中のメディアにインターネットがどんどん入り込んできています。ですから、今後はいかにインターネットや、いわゆるバーチャルな環境をオークションやアートの取引に取り込んでいくのかが重要になります。

今年4月からは「NFTアート」にも参入しました。今後積極的にがんばっていきたいと思っていますが、将来的にはNFTとオークションの間にある「アートシェアリング」「アートクラウドファンディング」など、アート全域に広げていきたいと思っています。

これまでは富裕層の特定の人たちに向けてマーケティングしていましたが、誰でも参画できるコミュニティを形成していきます。世界的なアートのコミュニティ形成をネットの世界、SNS、そしてこれから出てくるブロックチェーンを利用しながら構築していくということになります。

今まで日本でアートは基本的に投資の主体になってこなかったのですが、アートが投資だと思っていない国はもしかしたら世界では日本だけかもしれません。中国も東南アジア諸国も欧米も、アートは資産であると考えています。

アートを購入するのは投資の一環であるということで実際のアセットクラスに入れられているため、今期はアートへの投資を全面的に打ち出して、アートファンドの組成に取り組んでいます。

こちらは昨年からずっと取り組んでいますが、アートファンドは評価の対象やその他諸々で非常に難しい問題があり時間がかかっています。しかし、そろそろスタートできるのではないかと思っています。

そして、アートに馴染みがない方がたくさんいらっしゃり、若い20代、30代、40代で事業を成功された方や相続で資産を継承された方が何を行えばよいのかということで、資産形成の一環でアートに取り組む際の入口として、アート投資サロンを定期的に開催しています。

その他にも文化支援事業など数多くの物事に取り組み、文化支援で我々の価値を上げて、ビジネスで収益を上げていきたいと考えています。

会社概要

会社概要です。ご確認いただければよいかと思いますが、Shinwa Wise Holdingsは昨年の株主総会で新しい社外の取締役をお願いしました取締役会長の伊勢彦信さんは世界でも有数なアートコレクターで、イセ食品の卵の販売で一代で財をなされた非常にプロフェッショナルな経営者です。取締役である秋元さんとも一丸となって、これからアート業界でこの事業に取り組んでいきたいと考えています。

グループ図

Shinwa Wise Holdingsは持株会社です。グループの戦略として、Shinwa Wise Holdingsで富裕層のマーケティングや上場維持を行っていますが、実態としては100パーセント子会社の主要子会社が3社あります。

Shinwa Auctionがオークション事業を開催し、Shinwa Priveがアートリーディングやアートファンドなど、さまざまなギャラリーのビジネスやプライベートセールを行っています。

SHINWA ARTEXは戦略子会社と位置付けており、富裕層との間で新しい事業を構築するために戦略的、実験的にいろいろな事業に取り組む会社です。アート投資サロンやプライベートセール、そして今、需要が爆発したと思っている資産防衛ダイヤモンドに取り組んでいます。

各グループ紹介

スライドに記載の3社が主要子会社です。SHINWA AUCTIONは日本最大級のオークション会社となっています。SHINWA ARTEXはアート投資サロン、NFT作品販売、資産防衛ダイヤモンド、Shinwa Priveはアートディーリングやアートファンドとなります。

なぜ日本美術市場再生プロジェクトなのか

スライドに記載のとおり、日本の世界におけるアートのシェアは3パーセントと言われていますが、実態はもっと小さいのではないかと言われており、1パーセント以下という説もあります。

世界の富裕層の割合は世界3位

世界に占める日本の富裕層の割合は、世界で第3位です。日本はアメリカと中国の次に富裕層が多いため、コレクターになり得る数多くの母集団がいるにもかかわらず、日本のアートシェアは非常に低い状況です。

ですから、我々は日本のアート市場を再生して、美術品市場が世界でも大きなシェアを持つ国にしていくための母体とならなければいけないと考えています。

業績ハイライト① 2021年1月発表 経営ビジョン

連結業績のハイライトです。スライドに「今期」と記載していますが、こちらは前期に発表した時の紙がそのままコピーされています。

「2020年6月から2021年5月の今期は、4期ぶりの黒字化を目指します。」という目標を立てていました。当時、さまざまな戦略を立てていたのですが、見事に達成しました。当初、予算は営業利益ベースでも1億円以下だったのですが、実態として2億円を超える営業利益を打ち立てることができました。

業績ハイライト② 前期比比較

数字を見ますと、前期に17億1,900万円だった売上高が28億1,300万円となりました。また、前期の売上総利益は5億600万円でしたが、今期の売上総利益は9億2,700万円となりました。そして営業利益ですが、前期は残念ながら2億7,100万円の赤字を計上していましたが、今期は2億1,100万円の黒字、経常利益も1億9,800万円でした。いろいろと落とすものをすべて落とした、結果的な当期の純利益は2,300万円です。

業績ハイライト③ 売上高推移4期比較

ということで、今「ここで完全に復活の狼煙を上げた」と考えています。

業績ハイライト④ 取引高 オークション関連事業

取引高も、前年度は約28億円だったものが約40億円に復活しています。これも今期、またさらに大きく拡大させていきたいと考えています。

業績ハイライト⑤ 参考

2020年は新型コロナウイルスの影響で、3月から5月までのオークションをいったん今期の6月から7月にずらしています。それを踏まえて、昨年と今年で「正当な比較をしてみよう」ということで、実際に3月・5月分で延ばした部分を、前年に入れてみたらどうなるかを見てみます。

取引高は、前期の16億8,400万円に対して22億6,900万円になっており、新型コロナウイルスの影響でずらした分を差し戻したとしても、前期に比べて大きく伸びたという結果が見えています。

業績ハイライト⑥ 売上高 四半期比較推移

売上高は、四半期もこのようなかたちで推移しています。

業績ハイライト⑦ 利益の推移

営業利益はスライドにあるとおり、第3四半期の赤字から黒字にすべて転換しました。そのため、このような数字が出ています。

業績ハイライト⑧ 売上高の増加要因

売上高の増加要因の分析をしますと、やはり今回オークションの貢献度、取引高の増加による売上の増加分が、非常に大きな貢献をしています。そして太陽光発電所の売却が上乗せされています。その他は、ダイヤモンド等の後押しもあり、今回の売上高が立っています。

業績ハイライト⑨ 営業利益の増加要因

営業利益も、マイナスから一気に浮上した一番大きな要因は、オークション関連、そして、それに太陽光発電所の売却が上乗せされていることです。販管費は少しマイナスがあるのですが、結果的には2億1,100万円の営業利益となっています。

業績ハイライト⑩ 貸借対照表

貸借対照表はスライドのとおりで、流動資産が27億3,200万円、固定資産が5億600万円で、資産合計が32億3,900万円でした。負債は、流動負債が11億600万円、固定負債が3億5,100万円で、負債合計が14億5,700万円となっています。結果、純資産の合計が17億8,100万円というかたちです。

昨年と比べて、太陽光発電所を売ったことが、B/S上の大きな変化です。大きなオークションが終了した直後に決算があると、その分が未収入金になります。そのため、これは季節要因と考えていただいてよいかと思います。

2021年5月期のトピックス

2021年5月期のトピックスです。今の時点では前年度ということになりますが、昨年はアートサロンを7月に開始しました。そして、オンラインオークションの開催ということで、『24時間テレビ』に参加しました。その他、会場で行うオークションそのものに、インターネットからビットできるシステムの運用を始めて、一気にコレクターの幅が広がったというのが現状です。そして今年の4月からは、SHINWAアートNFTというかたちで、NFTの事業も開始しており、第1歩を踏み出したと思います。

そして、先ほどから資産防衛ダイヤモンドという言葉を使っていますが、いわゆる通常のダイヤモンドと資産防衛ダイヤモンドの違いは値段になります。我々の資産防衛ダイヤモンドは、業者間の取引価格にプラスされる手数料のことです。そのため、みなさまがもし資産防衛ダイヤモンドを購入されますと、今買って売りましても手数料分になりますので、換金したとしても十分な資産として8割くらいは現金で返ってきます。そのような意味で、資産として位置付けております。

通常、百貨店やそのほかの専門店などにおける宝飾品としてのダイヤモンドというと、業者の価格では何倍の値段がつくことがありますので、これでは資産にならないだろうと、3年くらい前から資産防衛ダイヤモンドを始めました。コロナ禍後は、おそらく日本のインフレに対する懸念や社会の不安などにより、タンス預金の一部がダイヤモンドに切り替わり始めた、といった状況を見込んでいます。

昨年は実態として、いろいろなことを行っていますが、最も根源的に変わった部分としては、グループ営業体制の再構築と強化によって組織が変わったと認知していただいてよいのではないかと思っています。

SHINWA NFT PROJECT

4月から新しく「Shinwa Art NFT」が出ているのですが、これは本来はアルテックスが取り組もうとしていたビジネスになります。ブロックチェーンのビジネスは、上場会社、金融機関などでの取引においても、暗号資産というだけではなかなか非常に難しい面があり、いったん社外に出して、私も個人的にいろいろと研究を続けてくる中で、4年間の月日を経て、満を持してようやく「NFT」としてブロックチェーンの世界に帰ってこられたかたちになっています。

これが将来的にアート業界を大きく支え、いわゆる今の現実空間に対して、バーチャル空間を非常に大きく支えることになりますので、非常に大きな可能性を秘めていると我々は考えています。

重点施策

今期の重点施策についてです。前期は前期、今期は今期なのですが、今期、そして今は何に取り組んでいるのかについてをみなさまにお話ししたいと思います。

スライドに「営業力の増強・強化」と書いてありますが、この営業力の増強・強化は、国内だけにはもう留まらないということです。日本の現状として、今経済的にも生産年齢人口が縮小していますので、これからはできれば中国を中心としたアジアに向けて大きく発信していきたいと思っています。

我々のグループは、2010年から本格的にアジアへ進出を開始したのですが、一時期は少し停滞する状況となり、なかなか上手くいかないこともありました。しかし、ここに来て満を持して、またアジアにも大きく打って進出していきたいと考えています。

営業力は、すべて「人材力」になっていきます。DX化もありますが、やはりシステム、そして営業の人材力を両輪で行っていきます。それを日本、そしてアジアに向かって取り組んでいく、とご理解いただけるとありがたいです。

また、NFTアートの展覧会、NFTアートの販売を開始します。オークションもできれば今期中に1回くらい開催したいと思っているのですが、まずは展覧会でみなさまに「NFTアートとはどのようなものか」というのをきちんと認知していただこうということで取り組んでいます。

そして同時に、コンテンポラリーアートは、みなさまにとってお馴染みがあるかわかりませんが、我々の30年の歴史において、20世紀の日本の近代美術を中心に行ってきました。その中で、私自身も個人的に2007年からコンテンポラリーアートを非常にコレクターとしてコレクションしてきたこともあり、これから現代のアーティストを大きく取り上げて、できればコンテンポラリーアート部門を大きく本格展開していきたいと考えています。

また、IR・PRを機動的に行っていきたいため、オークションの認知の向上を図りたいと思っています。

スライドの5番目の「アートストーレッジ事業立ち上げ」については、鳴り物入りの我々にとって、今取り組むべき重要な事業だと考えています。アートストーレッジと書いてありますが、いわゆるアートの倉庫業のようなものになります。このようにハイテク化されたかたちで取り組んでいきたいと思っているのですが、オークション会社は、オークションに出品いただくものをどう販売するかということを行っています。オークションの期日を決めて販売して、これで1クールが終わります。だいたい3ヶ月から6ヶ月のサイクルなのですが、非常にフローのビジネスなのです。

そのビジネスをある程度うまくバランスを取って、ストック型へ拡大していきたいと考えています。アートそのものをアートストーレッジで預かることで、アートの情報も集積できます。その情報をもとに分析や、その他いろいろなことをしながら、アートのオークションへの出品・販売につなげていくということです。これがアートストーレッジの取り組みなのですが、できれば3年くらいのスパンをもって、大きく育てていきたいと考えています。

6番目のアートファンド立ち上げは、何としても今期行いたいということで、もうそろそろそのような話が出てくるのではないかと思います。しかし具体的な時期については、後ほどの発表になるかと思います。

そして、アートオークション業界の合従連衡の推進です。Christie'sやSotheby'sがここまでマルチナショナルで大きくなったのは、1950年代から1960年代かと思います。世界中の各国の主要なオークション会社が提携し、M&Aも含めた合従連衡を進めてマルチナショナルになっていった歴史があります。日本発でも、そのような活動を積極的に進めたいと考えています。

NFTアート展開催

NFTアートの展覧会を7月30日から8月8日まで開催しますが、まさしくブロックチェーンの、バーチャルと現実の空間をつなぐ神聖な領域を写真で表している、古賀勇人さんのNFTアート展です。

銀座のギャラリースペースでも開催していますが、バーチャル空間の中にもギャラリーを作りますので、その中にアバターとして入っていただいて、みなさまにこれを楽しんでいただくのも一興かと思っています。

中長期ビジョン

我々は、プラットフォームの構築を最終的な目標にしているのですが、まず中長期ビジョンとして考えます。先ほどお話しした、今年行っていることがまず第一歩だと考えていただいて、これをどう仕上げるかということが一番の重要なポイントになります。まずNFTアートとオークション、そしてアートファンド、アートストーレッジまでは、今期からスタートします。

これに対して、アートコミュニティ作りでより非常に重要なポイントが④・⑤です。これは、今までの富裕層だけでなく、みなさまのライフスタイルの中にもアートのコミュニティを参画して、人生とアートをリンクできるようにするためのクラウドファンディング、そしてアートシェアリングです。

特にアートクラウドファンディングというと、金融二種なども必要になるのですが、中長期的にはそのような取り組みも行いたいと考えています。

そして、アジア戦略です。これは一番大事なポイントになるのではないかと思います。中国進出を模索ということで、本当に難しいと考えていますが、歯を食いしばって、アジアの中で我々が日本のアート・アジアのアートをどれだけ大きく広げていけるかを、オークションという媒体、そしてその他、アートの取引という媒体を使いながら、仕上げていきたいと考えています。

NFTアート展覧会・オークション開催

先ほどから何回も出てくるのですが、NFTアートについてです。現在はイギリスのWCP(West Country Prince)というグループもしくは印刷会社が印刷している、バンクシーのコピーです。これはエディションが付いているものですから、このエディションをきちんとNFTと紐付けて、我々が売った痕跡をきちんと残すかたちで管理していきます。

そうすることによって、偽物が排除される取り組みからスタートできます。ただ、ここにはまず、これまでのアートの価値のあり方と違うさまざまな価値が何重にも出てきます。NFTアートを我々が紐付けて管理して展開を進めていく中で、そのようなさまざまな価値を積み重ねていくことで、今までの既存の単なるコピーから、さらに大きな価値を生み出していくことが、このNFTアートから生まれてきていると感じています。

アートファンド

アートファンドについてです。スライドに記載のとおりになりますが、何をするのかと言いますと、一番わかりやすいのは、アートの値段が上がるところを取るということです。

これはデフレの期間は本当に大変でした。しかし、これから世界的にインフレの波が来て、日本もコロナ後に政府が資金をどんどん市場に流していく状況でインフレとなりますと、最終的には株や不動産の上昇率よりもはるかに高い上昇を見せるのがアートになります。

アートは非常に魅力的なものです。よいアーティストを選び、プロモーションをかけ、特にオークション会社であるため、マーケットメイクも含めて展開していきます。過去にはロッカクアヤコさんが12年で15倍以上になり、小松美羽さんも4年で5倍、5年で10倍となりました。

アートの投資のおもしろいところは、パーセントの上昇は年率で何パーセントではなく、何倍にもなる可能性を秘めているところです。

アートストーレッジ事業

アートストーレッジ事業は、長年、我々がオークション会社として培ってきた実績とノウハウを活用して、みなさまから作品をお預かりします。もしくは、中長期的には保税倉庫も作っり、例えば中国の方が日本でアートを買った際に、保税倉庫の中で保管することを実現します。サブスクリクションモデル事業への投資によって、「中国本土に持って帰る必要はありません」「日本で安全に保管しておけます」といったさまざまなサービスの規模を拡大させたいと思います。

これもいずれは発表があると思いますが、仕組みも従来型の倉庫事業ではなく、インターネットや管理体制も併せて、さまざまな新しい取り組みを取り入れたアートストーレッジの事業を開催します。これがさまざまなかたちで、お預けになる方たちの利益になるように展開していきたいと思っています。

アートクラウドファンディング・アートシェアリング

アートクラウドファンディング・アートシェアリングについては、わかりにくいところかもしれません。スライドの左側をご覧ください。これまで、お金持ちの人たちが大きなお金を払うことで、虚栄心から満足感、所有欲を満たし、また、「あの人はすごい絵を持っている」となることで、社会のつながりがありました。

みなさまでアートをシェアすることにより、別にみなさまが大きなお金を払う必要はありません。みなさまで所有権を持っています、とすることによってそれが大きなコミュニティになり、その中で新しいライフスタイルが出てきます。そのようなかたちで、アートクラウドファンディング・アートシェアリングに取り組んでいきたいと思っています。

アジア戦略推進・中国進出模索・M&A

アジアについては、まず中国のコレクターを日本に呼び込む戦略です。ずっと続けてきました、2010年からの蓄積がありますので、これは比較的伸ばしやすいと考えています。今期も「ライブビッド」において、台湾や中国から数多くのビッダーが入ってきています。また、日本のコンテンポラリーアートやウイスキーなどもご購入いただいていますので、これを大きく伸ばしていきたいと思っています。

続いて中国への進出についてです。実際に呼び込むだけではなく、中国そのものの大きな市場を取りにいきたいという大きな夢があります。具体策としては、当社は今回、新しい体制を昨年3月に作った際に、香港在住である中国本土のエグゼクティブを取締役に招聘しています。そして今は、中国のさまざまな機会に対して、どのようなかたちで進出するかについて、いろいろと構築している状況です。

その手法としては、M&Aを含めてさまざまなあり方を模索しています。以前はアジアのオークション会社である4社が連合して、アライアンスオークションを5年くらい行っていたのですが、そのようなことをまた復活させることも視野に入れながら、取り組んでいきたいと思っています。

リリース内容

最後になりますが、インフレの芽が出てきており、現金を実物資産に変える動きが出てきていることにより、我々のオークションは好調です。

リリース

現在、銀座のスペースにおいて「三人展」というかたちで、「100人10(展)」で選ばれた3人のグループ展を開催しています。みなさま、お時間がありましたら、いらっしゃっていただきたいと思っています。

そして、7月30日からは古賀さんの「NFTアート展」を開催します。これはなかなか見応えがあるのではないかと思いますので、ぜひバーチャルの中に入って見ていただくか、もしくは銀座にいらして見ていただき、楽しんでいただきたいと思います。

ご説明は以上になります。ありがとうございました。

質疑応答:今期のオークションの手応えについて

質問1:オークションが好調とありましたが、今期の手応えはいかがでしょうか?

倉田:すでに公表していますが、この第1四半期は夏休みを挟むということで6月と8月にはオークションがなく、7月に2本のオークションを行いましたが、結果は非常によかったです。

結果がよく高く売れるとなると、また募集が集まってくるという好循環が生まれます。9月、10月、11月は集中的にオークションが出てくる時期ですが、募集の状況もそこそこ好調に推移しています。

また、コンテンポラリーアートは今まで1つのカタログの中で小さな部門として取り扱ってきましたが、10月9日は単独で1冊のカタログで大々的なコンテンポラリーオークションを開催する予定です。

質疑応答:コンテンポラリーアートの業績への影響について

質問2:コンテンポラリーアートを本格展開とのお話でしたが、業績にはどのように寄与するのでしょうか?

倉田:バブルの崩壊以降、日本の近代美術は非常に低迷して単価が下がっている状況ですが、今、コンテンポラリーの単価が短期的に上昇している状況です。

そのような意味では、平均単価がコンテンポラリーのほうが高くなる可能性も出てきているため、こちらをしっかり推進していきたいと考えています。今期はコンテンポラリーの比率がそこそこのところまで高まっていくのは間違いないと考えています。

質疑応答:今期の業績予想の公開について

質問3:今期の業績予想はいつ頃に出すのでしょうか?

倉田:新型コロナウイルスによる緊急事態宣言など、非常に読みにくい状況の中で予想を立てますとミスリーディングになるリスクがありましたので、我々はあえてここ1年間、そして今期も予想を出すのをいったん止めています。

緊急事態宣言が明けたあと、新型コロナウイルスがどのように収束するのか、また、新型コロナウイルスにだんだん慣れてきて、我々の事業そのものがいわゆるルーティンの中の1つとして予算が立てやすい状況になってきた時、できれば上半期のどこかでそのような事態になれば、その時点でみなさまには今期の予想をきちんとお話ししたいと考えています。

質疑応答:アートオークション業界合従連衡推進の内容について

質問4:「アートオークション業界合従連衡推進」とは、具体的にはどのようなことを行うのでしょうか?

倉田:小さな会社がうごめいていても「どうかな?」というのがありますので、できればオークション会社同士が手を取り合って、資本や業務を含めて一緒に行えるような機会をどんどん作っていければと考えています。

まずは当然日本国内を念頭に置いていますが、過去にアライアンスオークションを行った実績もありますので、アジアのオークション会社の資本も含めて取り込んでいけるような展開を考えています。

質疑応答:NFTアートの販売開始について

質問5:NFTアートの販売開始について、もう少し詳しくお聞かせください。

倉田:暗号資産の世界において、これまでいろいろなかたちで自分自身が取り組んできましたが、NFTは新しいバーチャル空間を作るために必須の要因になります。それが今後はどんどん広がっていくため、今は入り口に立っている状況です。

アーティストは、将来に向けて我々がわからないものをどんどん作り上げていくという特殊な才能を与えられている人たちです。我々人類がバーチャル空間の中に入ろうとしている時に、この人たちがどのようなアートを作るのか、これが非常に楽しみになります。

そのため、そのようなNFTをみなさまにご紹介し、販売していきたいと思っています。 初期の頃のNFTになりますと、いずれは我々がバーチャル空間に入っていくような世界が広がっています。

一つひとつ、唯一無二のものはNFTと考えていただければと思います。「初期の頃にはどのようなものがあったのか」となった時に、この時期に出てくるアートは非常に価値のあるアートだといった、ヴィンテージものになるかもしれません。将来的には、非常に楽しみにしています。

質疑応答:NFTアートによる今年度の業績への効果について

質問6:NFTアートの今年度の業績への効果について教えてください。

倉田:今、NFT部門の引き合いが非常に多い状況です。そのため、どのくらいであるといった具体的な部分をこの場でお話しするわけにはいかないのですが、業績に寄与する1つの大きな要因になるに違いないと考えています。

質疑応答:中期経営計画の発表に関する今後の予定について

質問7:中期経営計画について発表されるご予定はありますでしょうか? 

倉田:我々は、中期ビジョンのグランドピクチャーをずっと更新し続けてきています。これに肉付けしまして、できれば中期経営計画を再構築したいと考えています。今は人材も徐々に整いつつある状況ですので、できれば今期中にはきちんとしたかたちでみなさまに発表できればよいと考えています。

司会者:最後に倉田社長よりごあいさついたします。

倉田:今、まさしく日本の社会環境や世界の経済環境において、おそらく法定通貨という資産から、実物資産への移行が起こっているような気がしてならないのです。

その中で、我々はその波をきちんと捉えていきたいと考えています。それと同時に、環境が追い風というだけではなく、今後はさまざまな1つの取り組みを企業として、いわゆる新しい事業を構築するという段においても、世界の人たちがアートのコミュニティをきちんと作っていけるように進めたいと思います。

これまでのオークションの非常にアナログな世界、ネットから、バーチャルな世界から、そのようなものを取り込み、できれば実際に技術者も中に入り込んで我々が1つの新しい企業体を作りたいと思います。これまでChristie'sやSotheby'sが作ってきたオークションとは1つ違う次元の取り組みを、今後仕上げていきたいと考えています。

そのような意味ではまさしく3期赤字からようやく浮上しまして、なんとかスタート台に立ったと考えていますので、ここからShinwa Wise Holdingsの成長を、みなさまにあたたかくお見守りいただきたいと思います。よろしくお願いします。